ゲスト
(ka0000)
迂闊な新人ハンター
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/22 22:00
- 完成日
- 2015/07/25 13:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●どうしよう!?
駆け出しの女性新人ハンター、ミント・ユリガンは頭を抱えた。
「どうして、こんなにいるのよ!」
洞窟内の壁の間に上手く隠れたまま、これからどうしようと考える。
ひとりで洞窟に入った目的は、最近内部に住み着いたというコボルドの退治。
先日、念願叶ってハンターになったミントは、報告しに生まれ故郷へ帰省した。
両親と久しぶりの団欒を楽しんでいる時に、遊びにきた村長からコボルドの件を聞かされた。
大勢なら、領主様にお願いするのだがとも。
そこで新米ハンターのミントは、世話になった村のために、ボランティアでひと肌脱ぐのを決めた。
ミント、十六歳。ここで期待に応えなきゃ、女じゃないわ!
意気込んで洞窟へ乗り込んだはいいものの、想定外の事態に遭遇する。
ターゲットとなるコボルドは、一匹だけではなかったのである。
「村長の嘘つきィ。説明と違うじゃないよぉ」
ぼやいても事実は変わらない。
どこでも繁殖できる性質どおり、産めや増やせやで、たった半月で十五匹にもなっていた。
一対一なら駆け出しでもなんとかなると判断して、私が退治してあげると得意げに言った。
なんとかしたい気持ちはあるが、さすがに想定外すぎる。
一旦洞窟を出ようとしたものの、入口には五匹ものコボルドがいる。
出入口はひとつだけ。不意をつけても、ひとりで五匹を倒せるとは思えない。
奥には十匹ほどのコボルド。これ以上増やさないためにも倒したいが、やはりひとりでは無理だ。
「ど、どうすればいいのよ。このままだと、引き返すのも進むのも無理じゃない」
出入口と奥の中間地点で悩み続ける新人ハンターのミントは、敵に見つからないようにするだけで精一杯だった。
●父親の不安
コボルド退治に出かけた娘が帰ってこない。
不安を覚えたミントの父親が洞窟へ様子を見に行くと、入口付近に五匹のコボルドを発見した。
もしかして、娘はもう。
嫌な予感ばかりがやってきては、父親を絶望させようとする。
無意識に地面へ膝をつく。
同時に落ちた視線が、地面の上で丸まった紙を発見する。
中には石が入っていたが、こちらに意味はなかった。
すぐに父親は、石を包んでいた紙こそが、洞窟の外へ出したいものだったと理解する。
紙には殴り書きで、洞窟内の様子が書かれていた。間違いなくミントの字だ。
娘はまだ生きている。希望を得た父親は、大急ぎで村へ戻った。
ここでようやく、ミントの生まれ故郷の村も、コボルドの数が増えているのを知る。
助けに行きたがる父親を、村人全員で引き止める。
新米とはいえハンターになったミントと違い、父親は男でも一般人だ。敵対的亜人のコボルドに勝てるはずがない。
村に、ミントを助けに洞窟へ入れる人間はいない。焦る村長は、正式にハンターへ依頼を出した。
●依頼内容
最優先はミントの救出。次にコボルドへの対処。殲滅できればありがたいが、無理ならば後日に改めて領主へ退治を依頼する。
コボルドの数は十五匹。増援などはいない模様。
ここからは父親の我儘だが、可能であるならば娘のミントにも退治を手伝わせて、経験を積ませてあげてほしい。
依頼に支障をきたすようであれば、我儘は忘れてもらっても構わない。
洞窟は一本道で全長は二百五十メートル程度で、内部構造は卵形になっている。
高さは三メートル。横幅は最大で百五十メートル。出入口付近で三十メートル。最奥で八十メートルとなる。
洞窟内部に明かりはない。入口に五匹。奥に十匹のコボルドがいる。
ミントは中腹部に隠れている。なんとか隙をついて、石を中に入れて丸めたメモを外を出した。まだ生存中。
繰り返し、ミントの父親は訴える。
娘を助けてください――。
駆け出しの女性新人ハンター、ミント・ユリガンは頭を抱えた。
「どうして、こんなにいるのよ!」
洞窟内の壁の間に上手く隠れたまま、これからどうしようと考える。
ひとりで洞窟に入った目的は、最近内部に住み着いたというコボルドの退治。
先日、念願叶ってハンターになったミントは、報告しに生まれ故郷へ帰省した。
両親と久しぶりの団欒を楽しんでいる時に、遊びにきた村長からコボルドの件を聞かされた。
大勢なら、領主様にお願いするのだがとも。
そこで新米ハンターのミントは、世話になった村のために、ボランティアでひと肌脱ぐのを決めた。
ミント、十六歳。ここで期待に応えなきゃ、女じゃないわ!
意気込んで洞窟へ乗り込んだはいいものの、想定外の事態に遭遇する。
ターゲットとなるコボルドは、一匹だけではなかったのである。
「村長の嘘つきィ。説明と違うじゃないよぉ」
ぼやいても事実は変わらない。
どこでも繁殖できる性質どおり、産めや増やせやで、たった半月で十五匹にもなっていた。
一対一なら駆け出しでもなんとかなると判断して、私が退治してあげると得意げに言った。
なんとかしたい気持ちはあるが、さすがに想定外すぎる。
一旦洞窟を出ようとしたものの、入口には五匹ものコボルドがいる。
出入口はひとつだけ。不意をつけても、ひとりで五匹を倒せるとは思えない。
奥には十匹ほどのコボルド。これ以上増やさないためにも倒したいが、やはりひとりでは無理だ。
「ど、どうすればいいのよ。このままだと、引き返すのも進むのも無理じゃない」
出入口と奥の中間地点で悩み続ける新人ハンターのミントは、敵に見つからないようにするだけで精一杯だった。
●父親の不安
コボルド退治に出かけた娘が帰ってこない。
不安を覚えたミントの父親が洞窟へ様子を見に行くと、入口付近に五匹のコボルドを発見した。
もしかして、娘はもう。
嫌な予感ばかりがやってきては、父親を絶望させようとする。
無意識に地面へ膝をつく。
同時に落ちた視線が、地面の上で丸まった紙を発見する。
中には石が入っていたが、こちらに意味はなかった。
すぐに父親は、石を包んでいた紙こそが、洞窟の外へ出したいものだったと理解する。
紙には殴り書きで、洞窟内の様子が書かれていた。間違いなくミントの字だ。
娘はまだ生きている。希望を得た父親は、大急ぎで村へ戻った。
ここでようやく、ミントの生まれ故郷の村も、コボルドの数が増えているのを知る。
助けに行きたがる父親を、村人全員で引き止める。
新米とはいえハンターになったミントと違い、父親は男でも一般人だ。敵対的亜人のコボルドに勝てるはずがない。
村に、ミントを助けに洞窟へ入れる人間はいない。焦る村長は、正式にハンターへ依頼を出した。
●依頼内容
最優先はミントの救出。次にコボルドへの対処。殲滅できればありがたいが、無理ならば後日に改めて領主へ退治を依頼する。
コボルドの数は十五匹。増援などはいない模様。
ここからは父親の我儘だが、可能であるならば娘のミントにも退治を手伝わせて、経験を積ませてあげてほしい。
依頼に支障をきたすようであれば、我儘は忘れてもらっても構わない。
洞窟は一本道で全長は二百五十メートル程度で、内部構造は卵形になっている。
高さは三メートル。横幅は最大で百五十メートル。出入口付近で三十メートル。最奥で八十メートルとなる。
洞窟内部に明かりはない。入口に五匹。奥に十匹のコボルドがいる。
ミントは中腹部に隠れている。なんとか隙をついて、石を中に入れて丸めたメモを外を出した。まだ生存中。
繰り返し、ミントの父親は訴える。
娘を助けてください――。
リプレイ本文
●
「まったく……下調べは初歩の初歩なのに……帰ったら手取り足取りおしえてあげなくちゃね?」
洞窟手前までやってきたハンターたち。入口で見張りみたいに立つコボルドの姿を確認しながら、沙耶(ka5332)が言った。
続いてエルフのラススヴェート(ka5325)が、落ち着いた動作で今回の依頼の確認をする。
「情報収集と偵察の大事さを教えてくれる依頼ですね。少女は災難ですが、生きて帰れればとてもよい教訓になるでしょう」
ミントの父親や村長に、村でくれぐれもよろしくとお願いされた。なんとか助けてあげたい思いは全員同じだ。
「目的は新人ハンターの救出だね。名前はミントさん。テキトーにコボルト退治に巣の洞窟へ踏み込んだら、予想以上の敵の数に身動きとれなくなったー、的な状態かな?」
超級まりお(ka0824)は元気いっぱいだ。早く洞窟の中へ突入したそうにも見える。
コボルド退治にとてつもないやる気をみなぎらせているハンターは、他にもいた。役犬原 昶(ka0268)だ。
「はっはー! 存分に暴れるぜ!」
ミント救出の目的は忘れてないみたいだが、言葉どおり、とにかく暴れたいという欲求がオーラとなって全身から放出されていた。
一方でコボルドを視界に捉えても、比較的冷静なのが榊 刑部(ka4727)だ。
「……さすがに迂闊であったと思いますが、ここであたら若い命を落とさせるのは正直後味が悪すぎます。全力で当たらせて頂きます」
コボルドの巣となっている洞窟へ突入前に、作戦等の打ち合わせを提案する。
「えっと、コボルドだっけ……? うん、初めてみる事になるから興味はあるけど、まずは救出優先、だね。……そっか、そういえば戦闘依頼は今回が初めてになるや」
途中から呟くように雨夜 時雨(ka3964)が言った。初めての戦闘依頼なだけあって、温厚さの中に緊張が見え隠れする。
ここで一行は、今回の依頼についておさらいをする。達成すべき目的はコボルド退治に出かけて、洞窟から出てこられなくなった新人ハンター、ミントの救出である。
「なるほど~、みんなのために良いとこ見せようって思っちゃったんだね~、気持ちは分かるなあ~、うんうんっ」
こくこく頷く榛 菫香(ka4875)が、ミントの心情を代弁するように発言した。
話し合いを経て、一行は二手に分かれるのを決めた。出入口のコボルドを引きつけてる間に、他のメンバーがミント救出に向かう。
「少女を救うことが大前提、というのは皆様の共通認識として、それでは私はまず手前にいるコボルト達を引き付けましょう。少女を迎えに行くのはお若い人達に任せます」
ラススヴェートに続いて、沙耶も出入口にいる五匹のコボルドへの対処を希望する。
「あん、ミントちゃんを無事救出することが一応の目的よ。できるなら、コボルトも食い散らかしてあげたいけどね。とりあえず、救出自体は突入班にまかせるわ♪」
話し合いの結果、突入班に昶、まりお、時雨、菫香の四名。
敵を引きつけて見方を洞窟内部へ突入させやすくる援護班を、刑部、ラススヴェート、沙耶の三人で務めることになった。
「入り口には……五匹の見張りコボルド。奥にはどんだけいるか分かんないけど、コボルド穴に入らずんばミントを得ずって感じだし、とにかくサクッと助けに行こうか♪」
元気印のまりおが言うと、菫香も可愛らしい感じで気合を入れた。
「よぉ~し、じゃあ早速助けに行きましょ~♪ 菫香の全力見せたげる~☆ ミントちゃん待っててねぇ~!」
●
援護目的の面々が行動を開始する。
「まずは1~2匹を集中して倒しましょう」
ラススヴェートの言葉に同意すると同時に、味方を突入させようと刑部が出入口のコボルドの釣り出しを図る。
先手必勝を使い、両手に持った太刀でコボルドの一匹にダメージを与える。
「黙ってやられるつもりがないのなら、もっと積極的に向かってきたらいかがですか?」
刑部の言葉がわからなくとも、挑発されてるのは雰囲気で理解できたのだろう。
バックステップで軽く後退する刑部に、五匹のコボルドが一斉に襲い掛かる。
その瞬間を待っていたかのように、今度は沙耶が五匹のコボルドに突進する。
「あん、お仕事のはじまりはじまり」
剣心一如から疾風剣を使っての初撃で、一匹のコボルドが絶命した。
仲間意識があるのか、一匹が倒されたことで、残り四匹の目が血走る。
「前衛のお二人に、前はお任せします。私は後方から援護します」
前衛の二人をウィンドガストでフォローしつつ、ラススヴェートは刑部の一撃で傷ついているコボルドを仕留めるべく、ファイアアローを放つ。
見事に命中し、二匹目のコボルドも戦闘不能にする。
単純な思考のコボルドは不利を察する前に、怒りに支配される。
咆哮を上げ、並んで戦闘態勢をとっている刑部と沙耶に爪を繰り出す。
二人は回避しながら、洞窟の出入口から三匹のコボルドを引き離した。
突入の機会を窺っていたハンターたちは、その間に洞窟の内部へ突入する。
●
「あれ……? なんだか、洞窟の入口で音がするような……もしかして、誰かが助けに来てくれたんじゃ!」
ハンターになっておきながら助けを求めるのは情けないが、自分の命には代えられない。
様子を見るため、ミントは隠れていた場所からひょっこりと顔を出す。
タイミング悪く、そこへ一匹のコボルドが通りかかる。やはり入口での異変を察して、見に行く最中だったのである。
「う、うひゃあぁぁぁ!」
いきなりの遭遇に吃驚しながらも、ミントはショートソードを抜く。
周りの状況をよく確認してなかったせいで、洞窟の壁にショートソードをぶつけてしまう。
響いた音が合図となり、ぞろぞろと奥の方から新たなコボルドが動き出す。
迂闊な新人ハンターは、どこまでも迂闊だった。
●
「中に入れたから、ミントちゃんを先に探す事にするよ~! そうしたら、中に残ってるコボルドと鉢合わせしちゃうだろうし~、コボルドとどんどん戦っていけばミントちゃんも気付いてくれるから楽かなあって思うんだ~♪」
そんなふうに言う菫香の近くで、昶が超聴覚を使って洞窟内の様子を確認する。
絶妙なタイミングで、武器と洞窟の壁がぶつかる音を察知した。
「ゆっくりしてる暇はなさそうだぜ。どうやら、もうコボルドどもに見つかっちまってるらしい」
言うが早いか、昶が駆け出した。大急ぎで、洞窟の奥を目指すつもりなのである。
最初からそのつりもだったまりおも、遠慮なくズンズンと先に向かう。
「ヒァーウィーゴー!!」
先行するメンバーが多い中で、後方を守るのは時雨だ。いつでも銃を使った援護ができる位置をキープする。
それでいながら、薄暗い洞窟内の視界を良好にするため、魔導銃にライトを縛り付ける。
昶の話では、すでに救出対象は敵と遭遇してしまっている。見つからないように行動する必要はないのだから、より動きやすい環境を作るのに注力した。
昶の超聴覚頼りに進む。数分もしないうちに、コボルドに囲まれて半泣きになっているミントを発見できた。
「はっはー! ここは俺に任せておけ!」
ナックルをつけたクラッシュブロウで、ミントをタコ殴りしようとしているコボルドをぶちのめす。
紛う事なき脳筋の戦いぶりで、コボルドの攻撃ですらも拳で受け止める。
間近で見ていたミントが、たまらず「痛そう」と悲鳴に近い声を上げる。
「痛そうだの、怪我だの、んなもん気にして戦闘なんか出来るか!」
強烈な突進と攻撃で、瞬く間にコボルドのミントへ対する包囲網が崩壊する。
まりおは、そのチャンスを逃さない。
周囲の壁だけでなく、わらわらと場に存在するコボルドまで踏み台として利用する。
立体攻撃を仕掛けながら、窮地に陥っていたミントの側まで移動したのである。
「ミントを無事に保護できたなら、一旦出入口まで引き返そうよ。まずは後顧の憂いを断った方がいいと思うし」
ミントの状態確認を他ハンターに任せ、周辺警戒をしている時雨が提案した。
「戻る際はボクが先頭になるから、任せてよ」
先頭を歩こうとする時雨のあとを、ミントを前後に挟む形でまりおと菫香が続く。殿を務めるのは昶だった。
●
味方が洞窟内へ突入するのを確認したあと、刑部、ラススヴェート、沙耶の三人は本格的な攻勢へ転じた。
取り逃がした標的が、洞窟内で他のコボルドと合流するのを防ぐため、あえて刑部と沙耶は入口を塞ぐように陣取った。
「私たちが数で勝ってるわけではありません。極力、敵に連携を取らせないようにしましょう」
刑部と沙耶が連携して一匹を仕留めようとすれば、どうしてもひとりで動くラススヴェートが他のコボルドに狙われる。
一匹ならなんとかしようと思っていたが、二匹同時に向かってこられると対処しきれない。
走るのはあまり得意でないが、仲間へ助けを求めると同時に距離をとるようにコボルドから逃げる。
「あん、こっちにいい女がいるのに見ないのは失礼じゃないの?」
小太刀からリボルバーに武器を持ちかえた沙耶が、ラススヴェートを狙うコボルドのうち一匹を遠距離から攻撃する。
ダメージを追って動きが鈍くなったコボルドに、ラススヴェートがウィンドスラッシュでとどめを刺す。
残った最後の一匹に、刑部が狙いを定める。剣心一如を施した上での電光石火だ。
両手で握る黒漆太刀に、肉を斬り裂く感触が伝わる。
「……仲間の支援に向かわなくてはならないのです。いつまでもおまえらに構っている暇などありません」
どうと倒れたコボルドから刑部が視線を外した時、洞窟からミントを連れた突入班が戻ってきた。
●
出入口にいた五匹を全滅させても、洞窟の内部にはまだかなりのコボルドが残っている。
「そういえばコボルドは全滅を目指すのかな……? うん、必要な事だしね。余裕もありそうだし、異論はないよ。やるなら徹底的にいこうか」
時雨をはじめハンターの意見が殲滅に傾く中、まりおが救出したばかりのミントに問いかける。
「依頼主のお父さんはハンターとしてここで経験積んで欲しいようだったけど、どうする?」
ひとりで大丈夫といっておきながら、助けてもらったのは恰好悪い限りだ。
ただ、せっかくの機会ではある。旅の恥は掻き捨てではないが、ミントは先輩ハンターたちにお願いしますと頭を下げた。
ミントの意思を確認し終えた一行は、再び洞窟の中へ入る。
すでに中で戦闘していたのもあり、奥からはコボルドたちがわらわらと出入口付近にいるハンター目がけてやってくる。
時雨が魔導銃に取り付けたままのライトで照らす場所を、主戦場に決めた。視界の良好さを確保できると同時に援護もしてもらえるからである。
ミントに経験を積ませるのはもちろんだが、このままでは数が多すぎる。減らすためにも、まずは菫香が先陣を切る。
先手必勝のスキルを使い、まずは主導権を握る。
「あ、隙を見せちゃったね~! こっちから行くよ~♪」
反応しきれてないコボルドに、疾風剣で一気に間合いを詰める。
「必殺ぅ~おりゃあ! これでどうかな~?」
菫香の装備する日本刀に急所を捉えられたコボルドが、悲鳴を上げる暇もなく仰向けに倒れた。
踏まないように注意しつつ、まりおはミントを援護するためにコボルドへエンタングルを仕掛ける。
あとは体勢を崩したコボルドにミントが攻撃するだけだったが、なかなか想定通りには決まらない。
「あっ、ご、ごめんなさいっ!」
ミントが仕留めきれず、反撃しようとしてきたコボルドを、代わりに昶が撃退する。
「はっはー!! 新米だろうが気にすんな! 戦ってればなれる!」
脳筋全開なアドバイスをしたかと思ったら、昶は味方との連携を考慮しつつも、コボルドの集団目がけて突っ込んでいく。
豪快に攻撃を仕掛けていく昶を、ラススヴェートや沙耶が後方から援護する。
一方でミントは、まりお協力のもと、何匹かのコボルドを仕留めるのに成功する。
他のメンバーも手助けしてくれて、なんとかミントもコボルド相手に経験を積めたのだった。
●
全員、大きな怪我もなく、コボルドを全滅させることができた。
洞窟から外に出てくると、真っ先に昶がミントを褒めた。
「頑張ったな! おつかれさん! 強くなりてぇなら……師匠をとることだ!」
師匠思考主義の昶が、心の中で今日の戦いも師匠に見て欲しかったっすと呟く。
ミントは改めて先輩となるハンターたちにお礼を言った。
「今回は本当にありがとうございました。自分の未熟さも、よくわかりました」
頷いたあとで、ラススヴェートが口を開く。
「頑張る人は嫌いではありません。お嬢様もそのような人ですから。ですが、あまりお転婆をしていると困ってしまいますが」
苦笑するミントに、今度はまりおが注意喚起する。
「でもねー。状況によっては戦う勇気ではなく、逃げる勇気を発揮させる必要が有ることを経験しておくのも、ハンターを続けるなら大事なんだよー」
「今回の事で事前の情報収集の大切さがよく分かったと思います。今回の事を教訓に次に生かして下さい」
まりおと刑部の有難い注意に、ミントはピンと背筋を伸ばす。
「はいっ! もっと精進します!」
感動的な光景に、一同が感慨深そうにする。
あとはミントを村へ連れ帰るだけ。
誰もがそう思っていたが、ここで急にミントが大きな声を出した。
「あ! そういえば、前に怪しげな露天商から、宝の地図を購入してたんだ! いっけない! 早く行かないと、誰かに取られちゃうかも!」
両手を握り締めて瞳の中に炎を燃やすミントの姿に、一同がポカンとする。
そして、場にいるハンター全員が思った。
この新人ハンターは近い将来、今回と似たような失敗をするかもしれないと。
「まったく……下調べは初歩の初歩なのに……帰ったら手取り足取りおしえてあげなくちゃね?」
洞窟手前までやってきたハンターたち。入口で見張りみたいに立つコボルドの姿を確認しながら、沙耶(ka5332)が言った。
続いてエルフのラススヴェート(ka5325)が、落ち着いた動作で今回の依頼の確認をする。
「情報収集と偵察の大事さを教えてくれる依頼ですね。少女は災難ですが、生きて帰れればとてもよい教訓になるでしょう」
ミントの父親や村長に、村でくれぐれもよろしくとお願いされた。なんとか助けてあげたい思いは全員同じだ。
「目的は新人ハンターの救出だね。名前はミントさん。テキトーにコボルト退治に巣の洞窟へ踏み込んだら、予想以上の敵の数に身動きとれなくなったー、的な状態かな?」
超級まりお(ka0824)は元気いっぱいだ。早く洞窟の中へ突入したそうにも見える。
コボルド退治にとてつもないやる気をみなぎらせているハンターは、他にもいた。役犬原 昶(ka0268)だ。
「はっはー! 存分に暴れるぜ!」
ミント救出の目的は忘れてないみたいだが、言葉どおり、とにかく暴れたいという欲求がオーラとなって全身から放出されていた。
一方でコボルドを視界に捉えても、比較的冷静なのが榊 刑部(ka4727)だ。
「……さすがに迂闊であったと思いますが、ここであたら若い命を落とさせるのは正直後味が悪すぎます。全力で当たらせて頂きます」
コボルドの巣となっている洞窟へ突入前に、作戦等の打ち合わせを提案する。
「えっと、コボルドだっけ……? うん、初めてみる事になるから興味はあるけど、まずは救出優先、だね。……そっか、そういえば戦闘依頼は今回が初めてになるや」
途中から呟くように雨夜 時雨(ka3964)が言った。初めての戦闘依頼なだけあって、温厚さの中に緊張が見え隠れする。
ここで一行は、今回の依頼についておさらいをする。達成すべき目的はコボルド退治に出かけて、洞窟から出てこられなくなった新人ハンター、ミントの救出である。
「なるほど~、みんなのために良いとこ見せようって思っちゃったんだね~、気持ちは分かるなあ~、うんうんっ」
こくこく頷く榛 菫香(ka4875)が、ミントの心情を代弁するように発言した。
話し合いを経て、一行は二手に分かれるのを決めた。出入口のコボルドを引きつけてる間に、他のメンバーがミント救出に向かう。
「少女を救うことが大前提、というのは皆様の共通認識として、それでは私はまず手前にいるコボルト達を引き付けましょう。少女を迎えに行くのはお若い人達に任せます」
ラススヴェートに続いて、沙耶も出入口にいる五匹のコボルドへの対処を希望する。
「あん、ミントちゃんを無事救出することが一応の目的よ。できるなら、コボルトも食い散らかしてあげたいけどね。とりあえず、救出自体は突入班にまかせるわ♪」
話し合いの結果、突入班に昶、まりお、時雨、菫香の四名。
敵を引きつけて見方を洞窟内部へ突入させやすくる援護班を、刑部、ラススヴェート、沙耶の三人で務めることになった。
「入り口には……五匹の見張りコボルド。奥にはどんだけいるか分かんないけど、コボルド穴に入らずんばミントを得ずって感じだし、とにかくサクッと助けに行こうか♪」
元気印のまりおが言うと、菫香も可愛らしい感じで気合を入れた。
「よぉ~し、じゃあ早速助けに行きましょ~♪ 菫香の全力見せたげる~☆ ミントちゃん待っててねぇ~!」
●
援護目的の面々が行動を開始する。
「まずは1~2匹を集中して倒しましょう」
ラススヴェートの言葉に同意すると同時に、味方を突入させようと刑部が出入口のコボルドの釣り出しを図る。
先手必勝を使い、両手に持った太刀でコボルドの一匹にダメージを与える。
「黙ってやられるつもりがないのなら、もっと積極的に向かってきたらいかがですか?」
刑部の言葉がわからなくとも、挑発されてるのは雰囲気で理解できたのだろう。
バックステップで軽く後退する刑部に、五匹のコボルドが一斉に襲い掛かる。
その瞬間を待っていたかのように、今度は沙耶が五匹のコボルドに突進する。
「あん、お仕事のはじまりはじまり」
剣心一如から疾風剣を使っての初撃で、一匹のコボルドが絶命した。
仲間意識があるのか、一匹が倒されたことで、残り四匹の目が血走る。
「前衛のお二人に、前はお任せします。私は後方から援護します」
前衛の二人をウィンドガストでフォローしつつ、ラススヴェートは刑部の一撃で傷ついているコボルドを仕留めるべく、ファイアアローを放つ。
見事に命中し、二匹目のコボルドも戦闘不能にする。
単純な思考のコボルドは不利を察する前に、怒りに支配される。
咆哮を上げ、並んで戦闘態勢をとっている刑部と沙耶に爪を繰り出す。
二人は回避しながら、洞窟の出入口から三匹のコボルドを引き離した。
突入の機会を窺っていたハンターたちは、その間に洞窟の内部へ突入する。
●
「あれ……? なんだか、洞窟の入口で音がするような……もしかして、誰かが助けに来てくれたんじゃ!」
ハンターになっておきながら助けを求めるのは情けないが、自分の命には代えられない。
様子を見るため、ミントは隠れていた場所からひょっこりと顔を出す。
タイミング悪く、そこへ一匹のコボルドが通りかかる。やはり入口での異変を察して、見に行く最中だったのである。
「う、うひゃあぁぁぁ!」
いきなりの遭遇に吃驚しながらも、ミントはショートソードを抜く。
周りの状況をよく確認してなかったせいで、洞窟の壁にショートソードをぶつけてしまう。
響いた音が合図となり、ぞろぞろと奥の方から新たなコボルドが動き出す。
迂闊な新人ハンターは、どこまでも迂闊だった。
●
「中に入れたから、ミントちゃんを先に探す事にするよ~! そうしたら、中に残ってるコボルドと鉢合わせしちゃうだろうし~、コボルドとどんどん戦っていけばミントちゃんも気付いてくれるから楽かなあって思うんだ~♪」
そんなふうに言う菫香の近くで、昶が超聴覚を使って洞窟内の様子を確認する。
絶妙なタイミングで、武器と洞窟の壁がぶつかる音を察知した。
「ゆっくりしてる暇はなさそうだぜ。どうやら、もうコボルドどもに見つかっちまってるらしい」
言うが早いか、昶が駆け出した。大急ぎで、洞窟の奥を目指すつもりなのである。
最初からそのつりもだったまりおも、遠慮なくズンズンと先に向かう。
「ヒァーウィーゴー!!」
先行するメンバーが多い中で、後方を守るのは時雨だ。いつでも銃を使った援護ができる位置をキープする。
それでいながら、薄暗い洞窟内の視界を良好にするため、魔導銃にライトを縛り付ける。
昶の話では、すでに救出対象は敵と遭遇してしまっている。見つからないように行動する必要はないのだから、より動きやすい環境を作るのに注力した。
昶の超聴覚頼りに進む。数分もしないうちに、コボルドに囲まれて半泣きになっているミントを発見できた。
「はっはー! ここは俺に任せておけ!」
ナックルをつけたクラッシュブロウで、ミントをタコ殴りしようとしているコボルドをぶちのめす。
紛う事なき脳筋の戦いぶりで、コボルドの攻撃ですらも拳で受け止める。
間近で見ていたミントが、たまらず「痛そう」と悲鳴に近い声を上げる。
「痛そうだの、怪我だの、んなもん気にして戦闘なんか出来るか!」
強烈な突進と攻撃で、瞬く間にコボルドのミントへ対する包囲網が崩壊する。
まりおは、そのチャンスを逃さない。
周囲の壁だけでなく、わらわらと場に存在するコボルドまで踏み台として利用する。
立体攻撃を仕掛けながら、窮地に陥っていたミントの側まで移動したのである。
「ミントを無事に保護できたなら、一旦出入口まで引き返そうよ。まずは後顧の憂いを断った方がいいと思うし」
ミントの状態確認を他ハンターに任せ、周辺警戒をしている時雨が提案した。
「戻る際はボクが先頭になるから、任せてよ」
先頭を歩こうとする時雨のあとを、ミントを前後に挟む形でまりおと菫香が続く。殿を務めるのは昶だった。
●
味方が洞窟内へ突入するのを確認したあと、刑部、ラススヴェート、沙耶の三人は本格的な攻勢へ転じた。
取り逃がした標的が、洞窟内で他のコボルドと合流するのを防ぐため、あえて刑部と沙耶は入口を塞ぐように陣取った。
「私たちが数で勝ってるわけではありません。極力、敵に連携を取らせないようにしましょう」
刑部と沙耶が連携して一匹を仕留めようとすれば、どうしてもひとりで動くラススヴェートが他のコボルドに狙われる。
一匹ならなんとかしようと思っていたが、二匹同時に向かってこられると対処しきれない。
走るのはあまり得意でないが、仲間へ助けを求めると同時に距離をとるようにコボルドから逃げる。
「あん、こっちにいい女がいるのに見ないのは失礼じゃないの?」
小太刀からリボルバーに武器を持ちかえた沙耶が、ラススヴェートを狙うコボルドのうち一匹を遠距離から攻撃する。
ダメージを追って動きが鈍くなったコボルドに、ラススヴェートがウィンドスラッシュでとどめを刺す。
残った最後の一匹に、刑部が狙いを定める。剣心一如を施した上での電光石火だ。
両手で握る黒漆太刀に、肉を斬り裂く感触が伝わる。
「……仲間の支援に向かわなくてはならないのです。いつまでもおまえらに構っている暇などありません」
どうと倒れたコボルドから刑部が視線を外した時、洞窟からミントを連れた突入班が戻ってきた。
●
出入口にいた五匹を全滅させても、洞窟の内部にはまだかなりのコボルドが残っている。
「そういえばコボルドは全滅を目指すのかな……? うん、必要な事だしね。余裕もありそうだし、異論はないよ。やるなら徹底的にいこうか」
時雨をはじめハンターの意見が殲滅に傾く中、まりおが救出したばかりのミントに問いかける。
「依頼主のお父さんはハンターとしてここで経験積んで欲しいようだったけど、どうする?」
ひとりで大丈夫といっておきながら、助けてもらったのは恰好悪い限りだ。
ただ、せっかくの機会ではある。旅の恥は掻き捨てではないが、ミントは先輩ハンターたちにお願いしますと頭を下げた。
ミントの意思を確認し終えた一行は、再び洞窟の中へ入る。
すでに中で戦闘していたのもあり、奥からはコボルドたちがわらわらと出入口付近にいるハンター目がけてやってくる。
時雨が魔導銃に取り付けたままのライトで照らす場所を、主戦場に決めた。視界の良好さを確保できると同時に援護もしてもらえるからである。
ミントに経験を積ませるのはもちろんだが、このままでは数が多すぎる。減らすためにも、まずは菫香が先陣を切る。
先手必勝のスキルを使い、まずは主導権を握る。
「あ、隙を見せちゃったね~! こっちから行くよ~♪」
反応しきれてないコボルドに、疾風剣で一気に間合いを詰める。
「必殺ぅ~おりゃあ! これでどうかな~?」
菫香の装備する日本刀に急所を捉えられたコボルドが、悲鳴を上げる暇もなく仰向けに倒れた。
踏まないように注意しつつ、まりおはミントを援護するためにコボルドへエンタングルを仕掛ける。
あとは体勢を崩したコボルドにミントが攻撃するだけだったが、なかなか想定通りには決まらない。
「あっ、ご、ごめんなさいっ!」
ミントが仕留めきれず、反撃しようとしてきたコボルドを、代わりに昶が撃退する。
「はっはー!! 新米だろうが気にすんな! 戦ってればなれる!」
脳筋全開なアドバイスをしたかと思ったら、昶は味方との連携を考慮しつつも、コボルドの集団目がけて突っ込んでいく。
豪快に攻撃を仕掛けていく昶を、ラススヴェートや沙耶が後方から援護する。
一方でミントは、まりお協力のもと、何匹かのコボルドを仕留めるのに成功する。
他のメンバーも手助けしてくれて、なんとかミントもコボルド相手に経験を積めたのだった。
●
全員、大きな怪我もなく、コボルドを全滅させることができた。
洞窟から外に出てくると、真っ先に昶がミントを褒めた。
「頑張ったな! おつかれさん! 強くなりてぇなら……師匠をとることだ!」
師匠思考主義の昶が、心の中で今日の戦いも師匠に見て欲しかったっすと呟く。
ミントは改めて先輩となるハンターたちにお礼を言った。
「今回は本当にありがとうございました。自分の未熟さも、よくわかりました」
頷いたあとで、ラススヴェートが口を開く。
「頑張る人は嫌いではありません。お嬢様もそのような人ですから。ですが、あまりお転婆をしていると困ってしまいますが」
苦笑するミントに、今度はまりおが注意喚起する。
「でもねー。状況によっては戦う勇気ではなく、逃げる勇気を発揮させる必要が有ることを経験しておくのも、ハンターを続けるなら大事なんだよー」
「今回の事で事前の情報収集の大切さがよく分かったと思います。今回の事を教訓に次に生かして下さい」
まりおと刑部の有難い注意に、ミントはピンと背筋を伸ばす。
「はいっ! もっと精進します!」
感動的な光景に、一同が感慨深そうにする。
あとはミントを村へ連れ帰るだけ。
誰もがそう思っていたが、ここで急にミントが大きな声を出した。
「あ! そういえば、前に怪しげな露天商から、宝の地図を購入してたんだ! いっけない! 早く行かないと、誰かに取られちゃうかも!」
両手を握り締めて瞳の中に炎を燃やすミントの姿に、一同がポカンとする。
そして、場にいるハンター全員が思った。
この新人ハンターは近い将来、今回と似たような失敗をするかもしれないと。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談用 雨夜 時雨(ka3964) 人間(リアルブルー)|15才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/07/22 21:12:19 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/21 19:36:11 |