ゲスト
(ka0000)
海辺のしゃれこうべ
マスター:のどか

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/27 19:00
- 完成日
- 2015/08/10 03:16
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
世界の空が白む頃、港湾都市「ポルトワール」の港に、1隻の商船が出航準備に追われていた。
ぐるりと半島を回りヴァリオスへと向かう予定のその船は、今朝一に出る予定の大型貨物船。
客に頼まれた物品や商品を目的地へと届ける、海の宅配業者だ。
「朝は流石にすずしいねぇ。仕事はこの時間の内に終わらせるに限る」
1人の男が、港沿いの大きな倉庫の入口を開け放ちながら額の脂汗をタオルで拭う。
開けた扉の隙間から朝日が差し込み、倉庫内を新鮮な空気が満たして行く。
男は中へと入ってゆくと、眼前に積み上げらえた木箱の側面にある焼印を1つ1つ指でなぞって確認し、手元のリストと照らし合わせる。
ここにあるものはすべて、貨物船に積んで運ばれる予定の荷物達だ。
行き先と簡単な内容表示を焼印で行ったそれを確認し、全ての荷物が無事に揃っている事に満足げに頷いた。
「さぁて、後はこいつを船に積むだけだけどよ」
後は若い衆に頼めば――そう思い一度倉庫を後にしようとした時、「カラカラカラ」と何か軽いものが鳴り響くかのような音が響き渡っていた。
「何だ……?」
不審に思い、倉庫の中へと戻ってゆく。
コソ泥でも紛れ込んでいたのか……だとしたら、人様の荷物を盗むなんて許しちゃおけねぇと。
傍らに落ちていた角材を手に、木箱のジャングルへと足を踏み入れる。
神経を研ぎ澄ませ、周囲を忙しなく見渡しながらにじり歩く男。
その瞳が積み上げられた木箱の陰に不審な影を捉え、男は威勢よく飛び出した。
「そこまでだ、お縄につきやがれ……!」
元々外傷を加える気などない。
威嚇程度に振り上げた棍棒で、大声を上げて脅し掛ける男であったが……そのために空いた口は、そのまま塞がることなく、あんぐりと広げられていた。
「カラカラカラ」
眼前に居たのはそう……一言で言えば骨。
人の骨まるまる1人分が、男をあざ笑うかのようにカラカラ顎を鳴らして立っていた。
否、周囲にも同じようにした骨が1つ、2つ、3つ――6体。
その様子を前に、思わず角材も取り落し、肩を震わせる男。
「ば……バケモンだぁぁぁぁ!!!」
次の瞬間、そう声を上げながら倉庫の入口へと引き返す男を、骨の化け物は四方八方に分かれ、追い立てる。
それでも命からがら扉を抜けて、閉門、大きな閂を掛ける。
当然ながらその日、2度とその倉庫の扉は開けられる事は無く、荷物を積んでいない船は出航する事も無かった。
「――我々の貨物倉庫を、どうか取り戻していただけませんか?」
同盟オフィスの依頼斡旋受付に顔を出した男は、相談室へ通されるなり蒼白な表情でそう切り出していた。
「我々の運営する貨物船に乗せる貨物を一時的に保管する倉庫が港の海沿いにあるのですが、つい先日その倉庫内に雑魔が湧き出しまして……倉庫を占領されてしまったのです」
「それはなんと言うか、災難ですネー」
男の証言を調書に纏めながら、受付娘ルミ・ヘヴンズドア(kz0060)は小さく頷き返す。
男は「はい、本当に……」と幾分くらい表情を見せて俯いた後に、もう一度顔を上げて事の詳細を語り出す。
「敵は人骨――所謂スケルトン型の雑魔で、全部で6匹、我々の方では確認しております。目立った武装などは無いのですが、流石に我々一般人の手に負える相手では無く、ハンターの皆さんの力をお借りしたいと」
「荷物の保管倉庫って事ですけど、中には今何が?」
「次の航路で運ぶ予定であった交易品や作物が多数……しかし、状況が状況ですので船への積み替えも出来ず、結果船も出せず、運航に大幅な遅れを出しております」
そう言って、男は一層青ざめた表情で頭を抱え込んだ。
「ああ、このままでは予定が遅れた事だけに限らず、生鮮食品も倉庫の中で傷んでしまい、商品価値を失ってしまう! そうなれば、我が社の信用は急降下! 私の人生も急降下ですよ!」
「あ、あああ、落ち付ていくださいっ! お茶でも飲んで!」
取り乱すかのように頭を掻きむしる男を前にして、目の前のお茶を薦めてそれを宥めようとするルミ。
男はややぬるくなったお茶をゴクリゴクリと一息で飲み干すと、小さなゲップと共に、カップをテーブルへと置いていた。
「ともあれ、このままでは倉庫の周囲も、我が社も危険であることは明白。どうか、早急な解決をよろしくお願いいたします」
その言葉と共に男は深々と頭を下げ、ハンターの派遣をオフィスへと懇願するのであった。
ぐるりと半島を回りヴァリオスへと向かう予定のその船は、今朝一に出る予定の大型貨物船。
客に頼まれた物品や商品を目的地へと届ける、海の宅配業者だ。
「朝は流石にすずしいねぇ。仕事はこの時間の内に終わらせるに限る」
1人の男が、港沿いの大きな倉庫の入口を開け放ちながら額の脂汗をタオルで拭う。
開けた扉の隙間から朝日が差し込み、倉庫内を新鮮な空気が満たして行く。
男は中へと入ってゆくと、眼前に積み上げらえた木箱の側面にある焼印を1つ1つ指でなぞって確認し、手元のリストと照らし合わせる。
ここにあるものはすべて、貨物船に積んで運ばれる予定の荷物達だ。
行き先と簡単な内容表示を焼印で行ったそれを確認し、全ての荷物が無事に揃っている事に満足げに頷いた。
「さぁて、後はこいつを船に積むだけだけどよ」
後は若い衆に頼めば――そう思い一度倉庫を後にしようとした時、「カラカラカラ」と何か軽いものが鳴り響くかのような音が響き渡っていた。
「何だ……?」
不審に思い、倉庫の中へと戻ってゆく。
コソ泥でも紛れ込んでいたのか……だとしたら、人様の荷物を盗むなんて許しちゃおけねぇと。
傍らに落ちていた角材を手に、木箱のジャングルへと足を踏み入れる。
神経を研ぎ澄ませ、周囲を忙しなく見渡しながらにじり歩く男。
その瞳が積み上げられた木箱の陰に不審な影を捉え、男は威勢よく飛び出した。
「そこまでだ、お縄につきやがれ……!」
元々外傷を加える気などない。
威嚇程度に振り上げた棍棒で、大声を上げて脅し掛ける男であったが……そのために空いた口は、そのまま塞がることなく、あんぐりと広げられていた。
「カラカラカラ」
眼前に居たのはそう……一言で言えば骨。
人の骨まるまる1人分が、男をあざ笑うかのようにカラカラ顎を鳴らして立っていた。
否、周囲にも同じようにした骨が1つ、2つ、3つ――6体。
その様子を前に、思わず角材も取り落し、肩を震わせる男。
「ば……バケモンだぁぁぁぁ!!!」
次の瞬間、そう声を上げながら倉庫の入口へと引き返す男を、骨の化け物は四方八方に分かれ、追い立てる。
それでも命からがら扉を抜けて、閉門、大きな閂を掛ける。
当然ながらその日、2度とその倉庫の扉は開けられる事は無く、荷物を積んでいない船は出航する事も無かった。
「――我々の貨物倉庫を、どうか取り戻していただけませんか?」
同盟オフィスの依頼斡旋受付に顔を出した男は、相談室へ通されるなり蒼白な表情でそう切り出していた。
「我々の運営する貨物船に乗せる貨物を一時的に保管する倉庫が港の海沿いにあるのですが、つい先日その倉庫内に雑魔が湧き出しまして……倉庫を占領されてしまったのです」
「それはなんと言うか、災難ですネー」
男の証言を調書に纏めながら、受付娘ルミ・ヘヴンズドア(kz0060)は小さく頷き返す。
男は「はい、本当に……」と幾分くらい表情を見せて俯いた後に、もう一度顔を上げて事の詳細を語り出す。
「敵は人骨――所謂スケルトン型の雑魔で、全部で6匹、我々の方では確認しております。目立った武装などは無いのですが、流石に我々一般人の手に負える相手では無く、ハンターの皆さんの力をお借りしたいと」
「荷物の保管倉庫って事ですけど、中には今何が?」
「次の航路で運ぶ予定であった交易品や作物が多数……しかし、状況が状況ですので船への積み替えも出来ず、結果船も出せず、運航に大幅な遅れを出しております」
そう言って、男は一層青ざめた表情で頭を抱え込んだ。
「ああ、このままでは予定が遅れた事だけに限らず、生鮮食品も倉庫の中で傷んでしまい、商品価値を失ってしまう! そうなれば、我が社の信用は急降下! 私の人生も急降下ですよ!」
「あ、あああ、落ち付ていくださいっ! お茶でも飲んで!」
取り乱すかのように頭を掻きむしる男を前にして、目の前のお茶を薦めてそれを宥めようとするルミ。
男はややぬるくなったお茶をゴクリゴクリと一息で飲み干すと、小さなゲップと共に、カップをテーブルへと置いていた。
「ともあれ、このままでは倉庫の周囲も、我が社も危険であることは明白。どうか、早急な解決をよろしくお願いいたします」
その言葉と共に男は深々と頭を下げ、ハンターの派遣をオフィスへと懇願するのであった。
リプレイ本文
●骨々行こう
真夏の倉庫には何とも一言では表せない空気が漂っていた。
天井の射光窓からそれなりに心地の良い潮風が入り込んでくるため、通気性は悪くない。
それでも照り付ける日差しに倉庫内の温度は著しく上がり、中に入った瞬間に相応の熱気がハンター達を出迎えていた。
「あっつぅ……」
額を伝う汗を拭いながら、天王寺茜(ka4080)は襟元をパタパタとはためかせてべた付いた身体に空気を流し込んだ。
ある程度想定はしていたが、熱中症になっては依頼どころじゃない。
「よろしく頼んだぜ。この熱気では、いくら保存が効く品であってもすぐにダメになっちまうからな……」
入口では扉に手を掛ける倉庫番の男が、中を覗き込みながらそう声を掛けていた。
「よほどないとは思いますが……万が一1日経っても合図がなければ、ハンターズソサエティに連絡してくださいね」
にこりと微笑み掛けながらもその口にする言葉は重く。
狭霧 雷(ka5296)の言葉に、倉庫番はゴクリと息を呑み込みながらも扉を支える腕に力を込める。
ギィと蝶番の軋む音を響かせて、ハンター達は外界から遮断されていた。
しんと静まり返った室内に、カラリと乾いた足音が響き渡る。
「これは確かに居るね……」
音を前にして、シェリー・ポルトゥマ・ディーラ(ka4756)はシンと気を張りつめる。
「当初の予定通り、手分けして事に当たろう」
「承知いたしました。どうぞよろしくお願いしますね」
柄に手を当てて、事前に示し合わせた策を口にする銀 真白(ka4128)。
ラススヴェート(ka5325)はそれに微笑みを浮かべて頷くと、ラススヴェート(ka5325)は真白とアーデルハイト ライジンガー(ka4406)、2人の白髪の少女へと頭を足れた。
「了解であります! 中央突破、頑張るのであります!」
ビシリと敬礼で返すアーデルハイトに、真白も静かに頷き返す。
「私はシェリーさん、キアーラさんと一緒に倉庫の左側担当ですね。サポートは任せてください!」
魔導拳銃に弾丸を込めながら、三鷹 璃袈(ka4427)はシェリー、そしてキアーラ(ka5327)へと挨拶を交わす。
「こちらこそ。三鷹殿、キアーラ殿、よろしくね!」
気さくに返すシェリーとは対極的に、おっかなびっくり頷き返すだけのキアーラは怯えるような瞳で手にしたぬいぐるみを抱きしめるのであった。
●海辺にしゃれこうべ
「私達は2人っきりですね。雷さんよろしくお願いしまーす」
倉庫内の狭い道を歩む茜。
「この数では、囲まれると流石に捌ききれませんからね……奇襲には注意して行きましょう」
雷は天井や物陰などを注意深く確認しながら、慎重に倉庫の奥へと進んで行く。
明らかに敵の居る「音」はそこらじゅうから響いていたが、それは広い屋内の天井や壁に反響しどこを音源としているものなのかはっきりしていなかった。
「それにしても、暑いですね……危険防止とはいえ、閉めてもらうべきでは無かったでしょうか」
はたりと襟元を持ち上げて、雷はやや後悔するような視線を入り口のほうへと送っていた。
とは言え、暑さを和らげるためだけに入り口を開けるなどと言う危険な行為へ及ぶ由は無い。
「水筒に冷やしたお茶を持ってきてますから、依頼が終ったら皆で飲みましょうよ。それまでの辛抱です!」
「それはありがたいですね。仕事後の一杯を楽しみに、この暑さも我慢しましょうか」
多少気は紛れたのか、雷はふぅと一つ息を吐くと変わらぬ笑みへと表情を戻す。
不意にカラリと。
乾いた木片が石畳を叩くような音をその耳に聞いたのは、その直後の事であった。
「――敵は2体。当たりを引いたでしょうか?」
眼前でからからと顎を鳴らす2体のスケルトンを前にして、あっけらかんとして笑みを浮かべる璃袈。
スケルトン達は肩を左右にふらふらと揺らしながら、目の前に見つけた獲物へと、奥の見えぬ瞳で(というより瞳が無い)ハンター達を真っ直ぐに見つめ返す。
「困っている人が居たら、助けてあげなさい……そう教わったから」
そんな璃袈の横で、自らに言い聞かせるかのようにキアーラはボソリと呟いた。
「――そう、ね。助けたら皆喜んでくれる。嬉しい。褒められるともっと嬉しい。ヤツら…嫌い。歪虚は大嫌い――ああ、とっても素敵ね。歪虚がボロボロと崩れていく様子を、眺めることができるなんて――そうね…そうよそうだそうだね、わたしがボクが…ボクらが仲間と一緒に。ああ、歪虚は滅ぼさなきゃ。其処に居るなら倒さなきゃ」
キアーラは立て続けにブツブツと、誰に言うでもなく、それでも誰かに言い聞かせるかのように口にして行く。
そうして最後に大きく一つ頷くと、手にしたクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「――キシシ…歪虚は、みんな、みぃんな、やっつけなきゃ」
「やる気が十分なのはとても良い事だと思いますよ。一緒に頑張りましょう!」
ニカリと八重歯を見せて陰鬱と笑ったキアーラに、璃袈は変わらぬ調子で微笑み掛ける。
「いや、そう言う問題じゃ無い気がするんだけど……今はそんな事を言ってる余裕は無いか」
頬に汗を伝わせながらもそのやり取りを見ていたシェリーは、眼前の敵へ視線を戻すと腰に提げた大小2本の刀を抜き放つ。
張り詰めた空気の中に、刃の翻る音が成る。
「こちらは2体を相手取るから、よろしく!」
そう、倉庫に響き渡るように大声を上げると、刃の煌きと共にスケルトンへと突貫するのであった。
同時刻。
残る中央でもスケルトンとハンターが接敵。
「雷さん達が1体、シェリーさん達が2体……と言う事は、私達は大当たりを引いたということでありますか」
眼前ににじり寄る3体のスケルトンを前にして、アーデルハイトは魔導銃のサイトに瞳を這わせる。
「どれだけ数が多くとも、終いには全てを倒さなければならないんだ。引くつもりは無い」
「それはもとより、歪虚は皆殲滅であります」
美しい白銀の刀を携えた真白の言葉に、アーデルハイトはキリリと頷き返す。
そのまま、銃口を通して放ったマテリアルを真白へと纏わせるアーデルハイト。
「まずはパワー注入。何事もパワーであります!」
「では私めも……」
倣うようにして、ラススヴェートの振る杖の先から揺らめく炎のようなマテリアルが放たれ、ぼうと周囲を赤く染め上げながら真白の白銀の刃を包み込む。
「何分老骨ゆえにこのような事しかできませんが、少しでもお力になればよいのですが」
「いや、ありがたい。これで存分に戦える」
言うが否や、真白は体を低く落として一歩の間合いからスケルトンの懐へと踏み込む。
そのままさながら視界を覆う夜間の吹雪の如く、黒い着物をはためかせる中で閃いた真っ白い太刀筋が、スケルトンの身体を一刀の元に切り捨てる。
勢い持って切り捨てられた骨の身は力なくガラリとその場に崩れ落ち、さながら刃から移った炎のマテリアルに全身を焼かれるかのように、空中へと霧散して行った。
「お見事であります」
アーデルハイトの賛辞に、逆に目を見張ったのは真白の方。
流石に自分の力量も推し量れないほど愚かでは無いと思っているが、それに則れば一刀で切り伏せられる相手ではなかったハズ……。
「――この炎か」
やがて、自身の想定を覆した要因に思い当たり真白は納得したように一人頷いた。
そしてチラリとラススヴェートへ目を配り、すぐに殴りかかって来るスケルトンの方へと視線を戻した。
「本当に骸骨だ。昼間で良かった……」
言いながらも、もし夜にこの依頼を受けていたら……とゾッとする気持ちを飲み込んだ茜は、ぐっと手に装着した手甲型の魔導機を握り締める。
「何か作戦はありますか?」
雷の問いに、大きく深呼吸をした茜は、一息で言葉を返した。
「最初にガツン、その後は後で考える!」
猪突猛進、という言葉そのままに丸い盾を構えて骸骨へと突進する茜。
からから顎を鳴らすスケルトンは、自分の肋骨をポキリともぎ取ると、ヘタクソなフォームからそれを投げ飛ばす。
カンと小気味良い音が響いて、盾にぶつかった肋骨はからからと地面に転がった。
「ある種、分かりやすくて良いと思いますよ」
雷もまた、自身の戦意を高ぶらせるかのように全身を巡るマテリアルを活性化させる。
ゴウと音を立てて、茜の後ろを純白の竜人が大地を蹴った。
「破ぁッ!」
気合と共にスケルトンの胸倉に突き込んだ拳。
その拳先からマテリアルの刃が突き上げ、スケルトンの身を突き上げる。
スケルトンは身じろぐようにその拳を振るうも、カツンと魔導機の表面を叩く悲しい音色だけが響く。
「大人しくしなよ。たった1体相手なら、早く皆の所に合流しなきゃだからね……っ!」
言いながら、くるりと身を翻して側面を取った茜は後頭部から地面に叩きつけるように、その魔導拳をスケルトンへと叩き込む。
「雷さん!」
「了解です」
突撃する勢いそのままに、ばっと空中へと跳ね上がった白竜人は手にしたドリル型ナックルを引き上げる。
唸りを上げて回転する螺旋推が、金切音と共に地面に叩きつけられたスケルトンの身体へと撃ち込まれた。
なおも高速回転を続けるその螺旋に巻き込まれるかのように、身体を構成する数多の骨は崩れ、砕けるように飛び散ってゆくのであった。
「2人で掛かればざっとこんなものですね」
螺旋拳の回転数を落としながら、ふぅと一息つく雷。
「ざっと見たところ被害も少ないし、ヤバそうな真白達のところに合流しよう!」
茜は左右に詰まれたコンテナの表面を軽く撫でながら、損傷が無い事を確認すると、クルリと踵を返して中央隊への合流を目指すのである。
一方、その中央体は残る2体のスケルトンを相手に真正面から対峙。
駆ける真白に応じるように、骸骨の1体がその腕を振るう。
横に薙がれた白い骨が、身を低くした真白の足元を襲った。
咄嗟に地面を蹴って回避しようとするも、足先に硬い骨が殴打される。
「……ッ!」
一瞬、苦痛に顔を歪ませるも感触的には打ち身程度の怪我だ。
物ともせず、眼前のスケルトンへと炎の白刃を振り下ろす。
唐竹に割られた骸骨が、左右にパカリと崩れ落ち、炎と共に霧散して行く。
「素晴らしい勇猛ぶりですね。どうやら私の出番は無いようで……」
ラススヴェートがそう顔を綻ばせた所で、残る1体のスケルトンがクルリと踵を返して倉庫の脇道へと逃げ込んでゆく。
流石に本能的にヤバイと感じ取ったのか、からからと無様に、どこか愛想も良く、ワタワタと逃げてゆく骨の雑魔。
「おやおや、それはいけませんよ」
重い腰を持ち上げるかのように、ゆっくりとした動作で前傾となったラススヴェートはタンと床を蹴って一気にスケルトンの元へと接敵。
そのまま、コツリと杖の先で地面を撫でる。
直後、せり上がる土の壁が狭い通路の中でスケルトンの眼前を遮るように立ちふさがった。
「これで通せん坊ですね」
飛び上がって驚くスケルトンの後ろで、小さく笑みを浮かべるラススヴェート。
そのままひらりと身を翻して通路上の射線を開けると、その背の後ろからアーデルハイトの姿が、射光窓を背に拳銃を構えて待ち構えていた。
「火が弱点なら、こちらのほうが良いでありますね」
そう口にして絞った引き金の先で、カラカラと顎を鳴らして土の壁を背に両手を挙げるスケルトン。
が、慈悲は無く。
放たれた銃声と共に、その体は大地へと崩れ去っていた。
「やぁぁぁぁぁッ!」
シェリーの剣閃が、差し込む太陽光に照らされる。
舞うように、軽やかに着物の裾を翻して振るわれた刃がスケルトンの身に迫る。
が、スケルトンは頭を抱えてその場にしゃがみこむとそれを回避。
刃は空を切る。
「んなっ……!」
お返しとばかりに振るわれた骨の拳が彼女の胸を襲うも、璃袈に貰った防御強化の魔術と着込んだ胴丸を前に難なく弾かれる。
「あれじゃ雑魔がこわれない。どうしよう――本当? 力をかしてくれるの? じゃあ、おねがいね」
キアーラは再び何事か自問自答すると、手にしたぬいぐるみをシェリーのほうへと向ける。
そこから放たれたマテリアルが彼女の体を包み込み、その腕と脚の力を高める。
「うん、体が軽くなった気がするよ……これなら!」
一度身を引いて態勢を立て直し、その間に璃袈がその引き金を引き絞る。
放たれた銃弾が、スケルトンの頭部に指先大の穴を空ける。
「シェリーさん!」
「食らえぇぇぇっ!」
地を蹴ってクルリと身を捻って切り込んだ刃が、今度こそ敵の体を捉える。
その一撃は璃袈の攻撃でヒビの入った頭部を穿ち、そのままゴシャリと体を切り崩した。
「スケルトン1体、討ち取ったり!」
高らかに宣言し、霧散して行く破片を刃から振りほどく。
もう1体のスケルトンが肋骨を折り、投げ込んでくるのを見ると、身を屈めてそれを回避し、そのまま一気に間合いを詰めた。
「おっと……流れ弾も取りこぼさないように、ですね」
飛来した肋骨を前に、周囲の荷物へと障壁を展開する璃袈。
肋骨は障壁に弾かれるようにして地面を転がる。
「もっともっと力があれば、もっと派手に砕けるかなぁ……?」
キヒヒと嫌な笑みを浮かべながら、ぬいぐるみの手を持ってフリフリと動かすと、放たれたマテリアルがシェリーの刃へと纏われる。
「ありがたいのに、なんだか背筋が寒いんだけど……」
頬を嫌な汗が伝うのを感じながらも、距離を詰めたスケルトンへと振るう一刀。
肋骨を袈裟に振りぬくも、若干浅く体の芯までは捉え切れていない。
返しに振るわれた白骨の蹴りを片手の小太刀でいなし、空いたその懐へと一気に潜りこむ。
「これだけ深く、もぐりこめば……!」
突き込まれた剣先が、骸骨の骨の髄を打ち砕く。
その一撃に生気を失ったスケルトンはだらりと身体の力が抜け、からからとブロック塀が崩れ落ちるかのように大地へと散らばってゆくのであった。
その後、念のための見回りを行い残存雑魔の存在が無い事を確認したハンター達。
荷物に目立った外傷も無く、最大の評価で任務を終えるのであった。
真夏の倉庫には何とも一言では表せない空気が漂っていた。
天井の射光窓からそれなりに心地の良い潮風が入り込んでくるため、通気性は悪くない。
それでも照り付ける日差しに倉庫内の温度は著しく上がり、中に入った瞬間に相応の熱気がハンター達を出迎えていた。
「あっつぅ……」
額を伝う汗を拭いながら、天王寺茜(ka4080)は襟元をパタパタとはためかせてべた付いた身体に空気を流し込んだ。
ある程度想定はしていたが、熱中症になっては依頼どころじゃない。
「よろしく頼んだぜ。この熱気では、いくら保存が効く品であってもすぐにダメになっちまうからな……」
入口では扉に手を掛ける倉庫番の男が、中を覗き込みながらそう声を掛けていた。
「よほどないとは思いますが……万が一1日経っても合図がなければ、ハンターズソサエティに連絡してくださいね」
にこりと微笑み掛けながらもその口にする言葉は重く。
狭霧 雷(ka5296)の言葉に、倉庫番はゴクリと息を呑み込みながらも扉を支える腕に力を込める。
ギィと蝶番の軋む音を響かせて、ハンター達は外界から遮断されていた。
しんと静まり返った室内に、カラリと乾いた足音が響き渡る。
「これは確かに居るね……」
音を前にして、シェリー・ポルトゥマ・ディーラ(ka4756)はシンと気を張りつめる。
「当初の予定通り、手分けして事に当たろう」
「承知いたしました。どうぞよろしくお願いしますね」
柄に手を当てて、事前に示し合わせた策を口にする銀 真白(ka4128)。
ラススヴェート(ka5325)はそれに微笑みを浮かべて頷くと、ラススヴェート(ka5325)は真白とアーデルハイト ライジンガー(ka4406)、2人の白髪の少女へと頭を足れた。
「了解であります! 中央突破、頑張るのであります!」
ビシリと敬礼で返すアーデルハイトに、真白も静かに頷き返す。
「私はシェリーさん、キアーラさんと一緒に倉庫の左側担当ですね。サポートは任せてください!」
魔導拳銃に弾丸を込めながら、三鷹 璃袈(ka4427)はシェリー、そしてキアーラ(ka5327)へと挨拶を交わす。
「こちらこそ。三鷹殿、キアーラ殿、よろしくね!」
気さくに返すシェリーとは対極的に、おっかなびっくり頷き返すだけのキアーラは怯えるような瞳で手にしたぬいぐるみを抱きしめるのであった。
●海辺にしゃれこうべ
「私達は2人っきりですね。雷さんよろしくお願いしまーす」
倉庫内の狭い道を歩む茜。
「この数では、囲まれると流石に捌ききれませんからね……奇襲には注意して行きましょう」
雷は天井や物陰などを注意深く確認しながら、慎重に倉庫の奥へと進んで行く。
明らかに敵の居る「音」はそこらじゅうから響いていたが、それは広い屋内の天井や壁に反響しどこを音源としているものなのかはっきりしていなかった。
「それにしても、暑いですね……危険防止とはいえ、閉めてもらうべきでは無かったでしょうか」
はたりと襟元を持ち上げて、雷はやや後悔するような視線を入り口のほうへと送っていた。
とは言え、暑さを和らげるためだけに入り口を開けるなどと言う危険な行為へ及ぶ由は無い。
「水筒に冷やしたお茶を持ってきてますから、依頼が終ったら皆で飲みましょうよ。それまでの辛抱です!」
「それはありがたいですね。仕事後の一杯を楽しみに、この暑さも我慢しましょうか」
多少気は紛れたのか、雷はふぅと一つ息を吐くと変わらぬ笑みへと表情を戻す。
不意にカラリと。
乾いた木片が石畳を叩くような音をその耳に聞いたのは、その直後の事であった。
「――敵は2体。当たりを引いたでしょうか?」
眼前でからからと顎を鳴らす2体のスケルトンを前にして、あっけらかんとして笑みを浮かべる璃袈。
スケルトン達は肩を左右にふらふらと揺らしながら、目の前に見つけた獲物へと、奥の見えぬ瞳で(というより瞳が無い)ハンター達を真っ直ぐに見つめ返す。
「困っている人が居たら、助けてあげなさい……そう教わったから」
そんな璃袈の横で、自らに言い聞かせるかのようにキアーラはボソリと呟いた。
「――そう、ね。助けたら皆喜んでくれる。嬉しい。褒められるともっと嬉しい。ヤツら…嫌い。歪虚は大嫌い――ああ、とっても素敵ね。歪虚がボロボロと崩れていく様子を、眺めることができるなんて――そうね…そうよそうだそうだね、わたしがボクが…ボクらが仲間と一緒に。ああ、歪虚は滅ぼさなきゃ。其処に居るなら倒さなきゃ」
キアーラは立て続けにブツブツと、誰に言うでもなく、それでも誰かに言い聞かせるかのように口にして行く。
そうして最後に大きく一つ頷くと、手にしたクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「――キシシ…歪虚は、みんな、みぃんな、やっつけなきゃ」
「やる気が十分なのはとても良い事だと思いますよ。一緒に頑張りましょう!」
ニカリと八重歯を見せて陰鬱と笑ったキアーラに、璃袈は変わらぬ調子で微笑み掛ける。
「いや、そう言う問題じゃ無い気がするんだけど……今はそんな事を言ってる余裕は無いか」
頬に汗を伝わせながらもそのやり取りを見ていたシェリーは、眼前の敵へ視線を戻すと腰に提げた大小2本の刀を抜き放つ。
張り詰めた空気の中に、刃の翻る音が成る。
「こちらは2体を相手取るから、よろしく!」
そう、倉庫に響き渡るように大声を上げると、刃の煌きと共にスケルトンへと突貫するのであった。
同時刻。
残る中央でもスケルトンとハンターが接敵。
「雷さん達が1体、シェリーさん達が2体……と言う事は、私達は大当たりを引いたということでありますか」
眼前ににじり寄る3体のスケルトンを前にして、アーデルハイトは魔導銃のサイトに瞳を這わせる。
「どれだけ数が多くとも、終いには全てを倒さなければならないんだ。引くつもりは無い」
「それはもとより、歪虚は皆殲滅であります」
美しい白銀の刀を携えた真白の言葉に、アーデルハイトはキリリと頷き返す。
そのまま、銃口を通して放ったマテリアルを真白へと纏わせるアーデルハイト。
「まずはパワー注入。何事もパワーであります!」
「では私めも……」
倣うようにして、ラススヴェートの振る杖の先から揺らめく炎のようなマテリアルが放たれ、ぼうと周囲を赤く染め上げながら真白の白銀の刃を包み込む。
「何分老骨ゆえにこのような事しかできませんが、少しでもお力になればよいのですが」
「いや、ありがたい。これで存分に戦える」
言うが否や、真白は体を低く落として一歩の間合いからスケルトンの懐へと踏み込む。
そのままさながら視界を覆う夜間の吹雪の如く、黒い着物をはためかせる中で閃いた真っ白い太刀筋が、スケルトンの身体を一刀の元に切り捨てる。
勢い持って切り捨てられた骨の身は力なくガラリとその場に崩れ落ち、さながら刃から移った炎のマテリアルに全身を焼かれるかのように、空中へと霧散して行った。
「お見事であります」
アーデルハイトの賛辞に、逆に目を見張ったのは真白の方。
流石に自分の力量も推し量れないほど愚かでは無いと思っているが、それに則れば一刀で切り伏せられる相手ではなかったハズ……。
「――この炎か」
やがて、自身の想定を覆した要因に思い当たり真白は納得したように一人頷いた。
そしてチラリとラススヴェートへ目を配り、すぐに殴りかかって来るスケルトンの方へと視線を戻した。
「本当に骸骨だ。昼間で良かった……」
言いながらも、もし夜にこの依頼を受けていたら……とゾッとする気持ちを飲み込んだ茜は、ぐっと手に装着した手甲型の魔導機を握り締める。
「何か作戦はありますか?」
雷の問いに、大きく深呼吸をした茜は、一息で言葉を返した。
「最初にガツン、その後は後で考える!」
猪突猛進、という言葉そのままに丸い盾を構えて骸骨へと突進する茜。
からから顎を鳴らすスケルトンは、自分の肋骨をポキリともぎ取ると、ヘタクソなフォームからそれを投げ飛ばす。
カンと小気味良い音が響いて、盾にぶつかった肋骨はからからと地面に転がった。
「ある種、分かりやすくて良いと思いますよ」
雷もまた、自身の戦意を高ぶらせるかのように全身を巡るマテリアルを活性化させる。
ゴウと音を立てて、茜の後ろを純白の竜人が大地を蹴った。
「破ぁッ!」
気合と共にスケルトンの胸倉に突き込んだ拳。
その拳先からマテリアルの刃が突き上げ、スケルトンの身を突き上げる。
スケルトンは身じろぐようにその拳を振るうも、カツンと魔導機の表面を叩く悲しい音色だけが響く。
「大人しくしなよ。たった1体相手なら、早く皆の所に合流しなきゃだからね……っ!」
言いながら、くるりと身を翻して側面を取った茜は後頭部から地面に叩きつけるように、その魔導拳をスケルトンへと叩き込む。
「雷さん!」
「了解です」
突撃する勢いそのままに、ばっと空中へと跳ね上がった白竜人は手にしたドリル型ナックルを引き上げる。
唸りを上げて回転する螺旋推が、金切音と共に地面に叩きつけられたスケルトンの身体へと撃ち込まれた。
なおも高速回転を続けるその螺旋に巻き込まれるかのように、身体を構成する数多の骨は崩れ、砕けるように飛び散ってゆくのであった。
「2人で掛かればざっとこんなものですね」
螺旋拳の回転数を落としながら、ふぅと一息つく雷。
「ざっと見たところ被害も少ないし、ヤバそうな真白達のところに合流しよう!」
茜は左右に詰まれたコンテナの表面を軽く撫でながら、損傷が無い事を確認すると、クルリと踵を返して中央隊への合流を目指すのである。
一方、その中央体は残る2体のスケルトンを相手に真正面から対峙。
駆ける真白に応じるように、骸骨の1体がその腕を振るう。
横に薙がれた白い骨が、身を低くした真白の足元を襲った。
咄嗟に地面を蹴って回避しようとするも、足先に硬い骨が殴打される。
「……ッ!」
一瞬、苦痛に顔を歪ませるも感触的には打ち身程度の怪我だ。
物ともせず、眼前のスケルトンへと炎の白刃を振り下ろす。
唐竹に割られた骸骨が、左右にパカリと崩れ落ち、炎と共に霧散して行く。
「素晴らしい勇猛ぶりですね。どうやら私の出番は無いようで……」
ラススヴェートがそう顔を綻ばせた所で、残る1体のスケルトンがクルリと踵を返して倉庫の脇道へと逃げ込んでゆく。
流石に本能的にヤバイと感じ取ったのか、からからと無様に、どこか愛想も良く、ワタワタと逃げてゆく骨の雑魔。
「おやおや、それはいけませんよ」
重い腰を持ち上げるかのように、ゆっくりとした動作で前傾となったラススヴェートはタンと床を蹴って一気にスケルトンの元へと接敵。
そのまま、コツリと杖の先で地面を撫でる。
直後、せり上がる土の壁が狭い通路の中でスケルトンの眼前を遮るように立ちふさがった。
「これで通せん坊ですね」
飛び上がって驚くスケルトンの後ろで、小さく笑みを浮かべるラススヴェート。
そのままひらりと身を翻して通路上の射線を開けると、その背の後ろからアーデルハイトの姿が、射光窓を背に拳銃を構えて待ち構えていた。
「火が弱点なら、こちらのほうが良いでありますね」
そう口にして絞った引き金の先で、カラカラと顎を鳴らして土の壁を背に両手を挙げるスケルトン。
が、慈悲は無く。
放たれた銃声と共に、その体は大地へと崩れ去っていた。
「やぁぁぁぁぁッ!」
シェリーの剣閃が、差し込む太陽光に照らされる。
舞うように、軽やかに着物の裾を翻して振るわれた刃がスケルトンの身に迫る。
が、スケルトンは頭を抱えてその場にしゃがみこむとそれを回避。
刃は空を切る。
「んなっ……!」
お返しとばかりに振るわれた骨の拳が彼女の胸を襲うも、璃袈に貰った防御強化の魔術と着込んだ胴丸を前に難なく弾かれる。
「あれじゃ雑魔がこわれない。どうしよう――本当? 力をかしてくれるの? じゃあ、おねがいね」
キアーラは再び何事か自問自答すると、手にしたぬいぐるみをシェリーのほうへと向ける。
そこから放たれたマテリアルが彼女の体を包み込み、その腕と脚の力を高める。
「うん、体が軽くなった気がするよ……これなら!」
一度身を引いて態勢を立て直し、その間に璃袈がその引き金を引き絞る。
放たれた銃弾が、スケルトンの頭部に指先大の穴を空ける。
「シェリーさん!」
「食らえぇぇぇっ!」
地を蹴ってクルリと身を捻って切り込んだ刃が、今度こそ敵の体を捉える。
その一撃は璃袈の攻撃でヒビの入った頭部を穿ち、そのままゴシャリと体を切り崩した。
「スケルトン1体、討ち取ったり!」
高らかに宣言し、霧散して行く破片を刃から振りほどく。
もう1体のスケルトンが肋骨を折り、投げ込んでくるのを見ると、身を屈めてそれを回避し、そのまま一気に間合いを詰めた。
「おっと……流れ弾も取りこぼさないように、ですね」
飛来した肋骨を前に、周囲の荷物へと障壁を展開する璃袈。
肋骨は障壁に弾かれるようにして地面を転がる。
「もっともっと力があれば、もっと派手に砕けるかなぁ……?」
キヒヒと嫌な笑みを浮かべながら、ぬいぐるみの手を持ってフリフリと動かすと、放たれたマテリアルがシェリーの刃へと纏われる。
「ありがたいのに、なんだか背筋が寒いんだけど……」
頬を嫌な汗が伝うのを感じながらも、距離を詰めたスケルトンへと振るう一刀。
肋骨を袈裟に振りぬくも、若干浅く体の芯までは捉え切れていない。
返しに振るわれた白骨の蹴りを片手の小太刀でいなし、空いたその懐へと一気に潜りこむ。
「これだけ深く、もぐりこめば……!」
突き込まれた剣先が、骸骨の骨の髄を打ち砕く。
その一撃に生気を失ったスケルトンはだらりと身体の力が抜け、からからとブロック塀が崩れ落ちるかのように大地へと散らばってゆくのであった。
その後、念のための見回りを行い残存雑魔の存在が無い事を確認したハンター達。
荷物に目立った外傷も無く、最大の評価で任務を終えるのであった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/07/27 17:35:32 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/24 00:36:39 |