狙われた密売人

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/08/03 19:00
完成日
2015/08/10 20:46

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 ここは同盟領。極彩色の街「ヴァリオス」の一角。
「さ、これでいいわ」
 フィッティングルームから出てきた家出娘のアムは、以前のアムアリス=マッケレルとは別人のようだった。
「そこまでせずとも……」
 思わず呟くモータル。が、アムに呆れられた。
「はーっ、ダメね。これから私も加わって旅するのよ? 長い髪は邪魔だし、良家のお嬢様風の娘が一緒だと何かと都合が悪いでしょ?」
 ね? と闇の密売人「ベンド」を見るアム。その姿は長かった紫色の髪をバッサリと 切り、半ズボンに半そでシャツという少年のような姿だった。もちろん、足運びの様子や骨格を見れば女性にしか見えないが。
「ま、目立ちすぎるのは都合が悪いな」
「ほら見なさい」
「それでも十分目立つ気が……」
「何ですって?」
 モータル、余計なひと言を口にしてアムに睨まれた。彼としては、あっさりとそれまでの姿を捨ててしまうことのできる彼女を尊敬した。半面、このとげとげした感じは苦手なタイプで好きになれないな、と顔をしかめる。
「我々としては足手まといになるのが一番の心配事です。お嬢様は深窓のご令嬢とは違うのでご安心ください。もちろん、場合によっては着飾りますので……」
「その時はせいぜい、私を利用するがいいわ」
 執事のバモスが割って入り説明する途中、アムが話を取り替えしてツンと薄い胸を反らす。髪を払う風な手つきをしたが、空振りしたときだけは少し寂しそうな顔をした。むしろモータルはその様子を見てほっと和むのだったが。
「ほな、ヴァリオスを出る前に、ここの良さを堪能しよか」
 ベンドの声で一行は、高級料理店へと移動しランチをすることに。

「ベンド様ですね。お待ちしておりました、こちらへ」
 給仕男性にうやうやしくテーブルに案内された。田舎者のモータルだけ、慣れないようにきょろきょろ。
 で、着席した後。
「おや、マダム。今度の宝石も素晴らしいですね」
「本当。いつも取り替えてお洒落ですこと」
「流行には敏感でございますから、おほほほ……」
 近くの席に座った紳士と淑女がそんな会話をしていた。
「……モータル。いつかわしに、『どんな商売をしているのか』と聞いたことがあったろ?」
「え? はい」
 いきなりベンドに言われかしこまるモータル。ちょい、と指を曲げて顔を近付かせてひそひそ声で続ける。
「あの女性のしとる宝石はみな、元盗品や」
「えええっ!」
 がた、と思わず立ち上がりそうになってしまうモータル。そこをアムがぺしりと叩く。
「馬鹿、声が大きい」
 眉を吊り上げるアムの背後ではバモスが「すいません何でもないんですよ」と周りをなだめていた。
 モータル、周囲が落ち着いたのを見計らって身を乗り出し、ひそひそ声で聞いてみた。
「どうしてそんなことが分かるんです?」
「わしの客や」
 ベンド、ひひひとひそみ笑い。
「盗品や強奪品をわしが安く買い取るやろ? それを転売すると『以前の持ち主も分からない品』扱いされて買い叩かれる。せやけど、あのマダムのような人にまずは身に着けてもらい『気に入らなかったから返品された』とすれば次に買う客も気後れせずに真っ当な値段を出してくれる、というわけや」
「あの人、それを知ってるんですか?」
「知るわけない。ちゅうか、知らせちゃあかん。……あの客は、宝石をとっかえひっかえして自分の価値を高めよんや。自分を良ぅ見せてええ商売しようとしてな。それを邪魔したらあかん」
 どうやらベンド、モータルに商売を教えようとしているらしい。
 それはそれとして、料理は素晴らしく、モータルも気を取り直して高級店の味を堪能するのだった。
 しばらくすると男性給仕がやって来てひそひそ声で話した。
「お客様、失礼ですがこれからの予定は?」
「ん? 街を出るだけやが」
「では、ならず者にお気を付けください」
「分かった。……いつものように頼む」
「かしこまりました」
 それだけのやり取りで給仕は下がった。
「どうしたの?」
「緊急でハンター雇ぅた。街を出るまでにならず者に狙われるそうやな」
 聞いたアムに涼しそうに答えるベンド。
「ええっ? どうして……」
「恨むモンもおるちゅうこっちゃ。……ま、この店みたく味方もぎょうさんおるが。とにかく、雇ぅたハンターがこの付近に駆けつけるにはもうちょいかかるやろ。しばらくゆっくりするで」
 モータルに言い聞かせ、食後のデザートを頼むベンドだった。

 というわけで、ベンド商会一行が一頭立ての荷馬車に乗って午後の街を出るまでそれとなく護衛する者、求ム。

リプレイ本文


 午後の街で。

「ここはいいね。広く見渡せる」
 瀬崎 琴音(ka2560)が露店を開いていた。
「わ、珍しい」
「それは藍染の浴衣で、涼しそうな色合いがこの季節にピッタリ」
 早速の来客に説明する琴音。
「浴衣?」
「着るとこんな感じ」
 想像できない客に、立ち上がってくるっと回って見せる。琴音が着ているのは着物「銀蝶」。揺れる袂に銀糸の蝶が羽ばたくように見えた。
「まあ」
 客、感動したようだが服の入用はなく、そのまま辞す。
 入れ替わるように次の客。
「これはどうだい? お姉さんの綺麗な白い肌が映えるよ」
「……そう…です?」
 客は、アリシア・トリーズン(ka4713)だった。
 琴音、ノースリーブの黒いワンピースに身を包んだアリシアの肌を褒めつつ熱心に勧める。
「これもお姉さんに似合うと思うな」
 ミニスカートから伸びる足をくねらせ及び腰になるアリシアに近付き、浴衣「流星」を合わせつつ顔を近付ける。
「不埒者…が居ると言う事ですよね…アムアリスさんは…大変な星の元に産まれたんでしょうか…」
「まだ…僕も不埒者の目星はつけてないけど……」
 こそこそっ、と二人だけの会話。
 そして琴音、アリシアの衣装を改めて見て気付いた。アリシアもその視線に気付く。
「…これならバレないでしょう…ふふ……」
 アムたちに気付かれないよう、服を代えてきたようで。
「僕も前はこれだったね」
 琴音、折り畳んだ着物「青波」を手にして言う。
 ひそひそ声なので傍からは商品を勧めているようにしか見えないが。
 この時、新たな客。
「ほう、珍しい」
 腕っ節の強そうな男性だ。
「おっと、こっちは眩しいな。こっちからこの綺麗な布を見せてくれねぇか?」
 男、琴音の陣取っていた壁側に回り込んでしゃがむ。不審だ。
 この時、通りの向こうから一頭立ての幌なし馬車がやって来た。
 琴音、ちらと視線でアリシアに合図し元の位置に戻る。
「急ぎじゃないならじっくり見ていくといいよ」
「いやあ、そんなのんびりもしてられねぇんだ」
 客、様子を変え急ぐ。商品をまたいで馬車へと行く気だ。
「これは……こう?」
 この時、アリシアがバットを手に素振りした。
「おわっ! ……お前、狙いやがったな?」
 ミニスカワンピ姿で大振りしたが、外れた。
 ただし!
「あっ! 大切な商売道具を!」
 かわした足は商品を踏みにじっていた!
「知るか。忙しいんだ。あばよ」
「僕の飯の種を台無しにしておいて、言い訳はあんまりだよね……」
 男、急ぐ。馬車は目の前だ。
「おら、どけっ」
「は、話し合いで解決……」
 アリシア、男の前に身を入れた。その真っ青な顔を見て暴漢は手を挙げかけ……止めた。
「お前、それ銃じゃ……」
 言葉の最後は、「がっ!」という短い悲鳴に変わった。
 どさりと隠し持っていた武器を落とし倒れた背後に、琴音。
「……段々、武器使うの慣れてきたわぁ~。難儀やなぁ……」
 背後からリボルバー「ヴァールハイト」の銃床で殴りつつ電撃を食らわせたのだ。
「……アムアリスさん…元気そうでしたね……」
 アリシアも魔導拳銃「ズィーベン」を仕舞いつつ、過ぎ去る馬車を見送りこぼす。彼女も殴りつつ電撃をかましたが、何もなかったふり。
 馬車でアムたちは平和に談笑していた。



 さて、その先の大きな石橋で。
 ――コンコン。
「ふぃ~……」
 黒い瞳が煙管の紫煙を憂鬱そうに追う。
「本当なら猿回しで市井に紛れたいところでござるが」
 藤林みほ(ka2804)が残念そうに橋のたもとに立っていた。
 着物「青波」の胸元はやや乱れ、足元は緩い。みほ、本来小柄ではあるが、身長を少しごまかし、何より胸元はいつもよりふくよかで谷間も魅力的に変装している。
 東洋衣装で気を引く娼婦としてここで張り込んでいるのだ。
 今、好きモノそうな中年男性が気付いた。
 みほ、にまっと艶やかに微笑して傘を開き、顔を隠す。
 で、その後わずかに上げて恥ずかしそうな視線でちらり。中年男性はうひょ~っ、と喜んだが、懐中時計を出して悔しそうに立ち去った。
 娼婦が仕事をするには確かに少し時間は早い。

 一方、橋を渡ったたもとには。
「わあい、ウサギさん~」
 子供たちのはしゃぐ声が響いている。
「はい、こんにちはです……はい、こちらも握手……」
 まるごとうさぎを着込んだサクラ・エルフリード(ka2598)が子供たちに囲まれていた。
「ウサギさん~」
「はい……あ、あまり触らないで……そこはダメ……はい、抱っこはいいです」
 抱き着かれたりぺたぺた触られたり体当たりされたりと大人気である。橋のあっちとこっちで対象年齢的にすごい構図になっているがまあ、それはそれ。
「それにしても……」
 サクラ、子供たちのタッチされまくりながら思う。
「いつもの格好は流石に出来ないとはいえ、こんな格好……。依頼の為とはいえちょっと恥ずかしいです……」
 ウサギの口の部分から出ている顔を赤らめる。これでも普段は真面目な騎士だったりする。
「あ、はしゃぎすぎると川に落ちます」
 サクラ、恥ずかしがっていても真面目。子供が川に落ちないように注意を払っている。
「あ……」
 その時、気付いた。
 川に不審な小舟が待機しているのだ。
 みほに伝えようと顔を上げるとすでにベンド商会の馬車が来ている!

 この時、みほは体を張っていた。
「ほらほら、本当は欲しいのでござろう? 急いでどこかにしけ込んでお楽しみなら拙者でよいでござらぬか?」
「ちょ……放さんか、こら」
「ほうら、イヤよイヤよいいつつ腕に絡ませるなんて……」
 ベンド商会の馬車に横から近寄ろうとした男の腕に体を絡ませ引き留める。これが本当の娼婦ならえらく強引である。
「ええい、このブスめ!」
 思わず男、口走って腕を払った。
「……お言いだね?」
 瞬間、みほの雰囲気が激変した!
「仮にも拙者のような淑女を捕まえて……」
「淑女がこんなことするか? つーか、捕まえようとしてるのはおま……」
 問答無用で煙管がうなる。
 男、最後まで言うことができなかった。

 この時、馬車に別の一人が近寄っていた。
「御者さん、この先は行き止まり……」
 ――どすん。
「うさぎさんちょっぷ…。…なんちゃって…」
 ベンドに近寄った男が倒れると、背後からまるごとウサギが現れた。
「あ」
 モータル、見た顔だと気付くが咄嗟に口を閉ざした。
「……誰も聞いてなかったですよね…?」
 サクラは男を抱えたまま橋から飛び降りた。
 どすん、と下には先の不審な船。
 たちまち乱闘が始まる。
「サクラさん、ありがとう」
 こっそり馬車で呟くモータルの声は……。
「お説教聞くときは正座ですよ…? え、下が凸凹して痛い?」
 奇襲に成功し船を乗っ取り仁王立ちするサクラには当然、届かない。



 馬車は行く。
 その先で、木箱をたくさん並べて作ったステージがあった。
「みんな~、今からダンスショーするよ~」
 天竜寺 舞(ka0377)の呼び掛け声が響く。振り返る人たちの目にぶんぶん手を振っている舞が映る。猫耳カチューシャ付けてフリフリひらひらのセーラー服姿だ。


 午後の路地でにゃんにゃん、にゃんにゃん


 お尻を上げて手首を猫風にこねて、タップダンス。セーラー服のフリルとくるくるふわふわな銀髪が揺れる。
「わあっ。おもしろーい」
 子供たちも舞を真似て、にゃんにゃん♪。

 これを、通りの反対側から観察する姿があった。
「舞ちゃん、うまくやってんじゃーん」
 ゾファル・G・初火(ka4407)である。
「……だけど」
 周りを見る。
(俺様ちゃんなら、馬車を押さえようとするからには御者か馬を攻撃するじゃん?)
 襲撃されるかもしれない敵の動きをそう読む。
(誘拐した後の逃走も考えたら馬車ごと行くのが最善。となると……)
 御者に自然に近付くことのできる物売りが怪しい、と頷く。
 ここで改めて舞を見る。


 ほんのーじ、ほんのーじ げこくじょーだよほんのーじ


 だいろくまてんをぶっとばせ、イェイ♪などと謎アイドルソングで盛り上がっている。観客ももちろん、イェイ♪。
「舞ちゃんに釘付けになってるあそこらの奴らは大丈夫じゃーん」
 ゾファル、あちらは舞に任せた。仮に不審者がいたとしても……。
「そこのあなた! いい感じにダンス体型だね! 一緒に踊ってよ!」
「お、俺か?」
「ねえみんな、いいでしょ? イェイ!」
 イェイ、と観衆。
 これでがっしりした男が舞台に強引に上がらされて衆目監視に置かれた。舞、上げる瞬間、短いスカートで太ももチラ見させ誘ったりしたのは内緒だ。
「さすがじゃーん」
 おかげでゾファルの警戒範囲が狭まった。視線を左右に配る。
「……いた」
 舞台に上がった女性に気付いて焦っている人物に気付いた。物売り風に籠を背負っている。
 そこへ、ベンドの馬車が来る!
「すまねぇ。バックダンサーはここまでだ」
 舞台に上がらさせた男はそう言ってステージを降りようとする。馬車を目指しているのは明らかだ。
「ちょっと、まだまだ終わらないよ!」
 舞の声に集まった観衆が男を行かせないようにする。
 ゾファルはこの時、駆け出していた。ちょうどダンサーが人波をかき分けて出てきたところだ。
 これに勢いよく突っ込んだ!
 ――どげしっ!
「おうおう、おいちゃん。この俺様ちゃんにぶつかっといて挨拶無しかい。いい度胸してんじゃーん。ちょっと顔貸しな」
 何という早業。
 突っ込んだ勢いのまま体当たりをくらわし相手のせいにして胸ぐら掴んで難癖までつけていた。……この一瞬で!
 これで一人を確保。
 その横を舞がランナウトで駆け抜ける!
「背のう背負ったやつじゃーん」
「分かったよ」
 すれ違いざま敵のマークを受け渡し。そいつは馬車に近寄っていた。
「はいはい、買うよ。何が安いの? それよりあたしと踊ろうよ!」
 マルチステップで人々をかわしつつ、敵が馬車に接触する前に腕をつかんでくるくる回った。
「はっ!」
 馬車が舞の横を通過する時、モータルが思わず腰を浮かせた。
「妹から話聞いてるよ!」
 舞、短いスカートをひらめかせてから独り言のように叫ぶのだった。



 やがて、街の端。
「うわっ。あのおじさん、お酒くさ~い」
「これ、指差してはダメ」
 道行く家族連れが視線を外したのは、路地影の石壁を背にぐで~んと座っている鍛冶仕事用ツナギ姿の男だった。
「……とっとと出てきてくれねーから酔っ払い扱いだよ」
 男の名は、ジャック・エルギン(ka1522)。エールの入った小樽に口をつけて、ぐびり。馬車がなかなか来ないので捨て鉢気味になっている。
「つーか、本当に酔って寝ちまうぞっと……ん?」
 おっと、その目がきらりんと光ったぞ?
「リンカ……頑張ってるじゃねぇか」
 同じエリアを担当する、リンカ・エルネージュ(ka1840)の姿に気付いたのだ。
 リンカ、買い物客を装っている。というか、どこかでパーティーでもするのかのようなフリルワンピ姿は爽やかであり、そして目立つ。
 そのリンカが突然、とてとてと買い物袋を抱えたまま誰かに近寄って行く。
 明らかにチンピラ風の男で、お嬢様が近寄るものじゃないと周りの人たちはハラハラしている。

 この時リンカ、手柄顔。
(きっとこの人に違いないよね!)
 ならず者を見つけた喜びに包まれたまま、優雅にそちらに近寄っていく。
 むしろリンカに気付いたならず者の方がぎょっとしているぞ?
「おい……浮ついて歩いてると危ない……」
 ならず者、いい人だった!
 リンカの危なっかしさに気付いて注意した。
 が。
「きゃあ、ごめんなさいっ!」
 こつん、と石畳に躓いたふりをして手に持った買い物袋の中身をぶちまけ体当たりした。
「お前、だから……」
「ああっ、そこは危ないですっ!」
 呆れたならず者の声を、さらにふらふらするリンカの声が遮った。なぜか手に持っていたデコレーションケーキを……。
 ――ぐしゃっ!
 見事、ならず者の顔面にぶち当てた。
「ごめんなさい、私、うっかり……」
「てめえ……おわっ!」
 激高したならず者だったが、足元に転がっていたウィスキーの瓶を踏んですってん。勢いで飛んだナッツが頭に降りかかる。
「貴様、馬車の仲間だな?」
「ち、違います……」
 リンカ、逃げた。
 もちろん逃げた先は、事前に目をつけておいた路地。
 木材が立てかけられているのだ。
「えい!」
 先に逃げ込んで、バランスを崩しておく。
「おわっ!」
 追って来たならず者にがらがらと倒れ掛かる。
「……こうするつもりだったんでしょ?」
 うまくいってうふふと振り返るリンカだった。

 もちろん敵はほかにもいた。
「荒縄に麻袋……もうちょっとごまかす気はないのかねぇ」
 リンカのいなくなった場所に新たに来たならず者を見たジャックがため息をついている。
「仕方ねぇ」
 ちょうどリンカの消えた方面からガラガラと音がした後。馬車も近付いているし、人目も音の方に向いている。ここを狙われるわけにはいかないと止めに行く。
「よお兄弟! こんなトコで再会するたあ、日頃の行いだな!」
 誘拐のための道具を持った二人組に絡んだ!
「何だ、お前は?」
「なんだよ兄弟、通りに珍しいモンでも……ははあ、さては」
 邪険にする二人の首根っこに両手を掛けたジャック、きらんと瞳を輝かせた。
「女だな! 分かる、分かるぜ! あの姉ちゃんの尻とか最高だよな!」
 ひときわ大きな声を出す。
「ちょ……何だこの酔っ払いは!」
「連れねぇなぁ。俺たちゃあの姉ちゃんの尻にメロメロな仲間だろ? いわば、お尻合い、って奴だな」
「ちっ……お前、こいつを押さえとけ」
 ならず者の一人がジャックから逃げようとする。
「おおっと、どこ行くんだ? 今日の店はこっちだろう? ほら、ありがたくも酒が落ちてるじゃねぇか。飲みな飲みな」
 がぽっ、とウイスキーの飲み口を逃げようとした男に突っ込む。
「こいつぅ」
「おおっと、ここで荒事はいけねぇなぁ」
 殴りかかったところを手の平で受け止め、再び二人の首根っこを両脇に抱えるとそのままダッシュ。飲み屋の入り口にそのままダイブして消えた。
 あとは飲ませるだけだ。


 そして、馬車が何もなかったように通過した。
「怪しいの、いっぱいいたわね。……あんた、一体どんなあくどい商売してんのよ?」
 街を出たところでアムがベンドに聞く。
「舞さんにサクラさん、琴音さんやアリシアさんもいた……ほかにもいっぱい」
 アムの横ではモータルがハンターたちに感謝していた。
「誰かに感謝されるような、ぎょうさんの人らにあくどい言われる商売や」
 ベンド、ひひひと笑うのみ。

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重体一覧

参加者一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 青炎と銀氷の魔術師
    リンカ・エルネージュ(ka1840
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 漆黒深紅の刃
    瀬崎 琴音(ka2560
    人間(蒼)|13才|女性|機導師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • くノ一
    藤林みほ(ka2804
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 影のベーシスト
    アリシア・トリーズン(ka4713
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ジャック・エルギン(ka1522
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/08/03 18:45:43
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/01 23:57:27