ゲスト
(ka0000)
落し物探し?
マスター:笹村工事

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/06/16 12:00
- 完成日
- 2014/06/20 18:41
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「あの道は危ないから止めた方が良いですよ」
やんわりとした声で、酒場の主人はカウンターを挟んだお客に忠告をする。
「なんでも、余所からやってきた雑魔が最近出るようになったらしいんですよ。
数は少ないらしいですし、私らみたいなのはともかく、ハンターの人たちならどうってことない相手らしいんですけどね。
それでもやっぱり、危ないことには変わりはないですし」
親切で掛けられた言葉に、忠告を受けたお客である青年は苦い表情を見せながら言葉を返す。
「心配してくれてありがとうございます。
私も、可能ならわざわざそんな道を通りたいとは思わないんですけどね。
とはいえ、そういう訳にもいかないんですよ」
ため息と共に、カウンターに置かれたお酒を一口飲み干し自分を落ち着かせてから、青年は言葉を続けた。
「数日前になるんですが、ウチの商会がその道を通った時に、先ほど言われた雑魔に襲われたんですよ。
幸い怪我人も出ないで逃げられたんですが、その時にウチの商会の商主がいつも身に着けていた大事な品物、ブローチなんですけどね、それを落っことしたらしいんです。
お金なんかには代えられない、二つとない思い出のある大事な品物だから、誰かが取りに行かなきゃいけないんです。
……いけないんですけど、誰が行くかってなった時についポロリと私が行くと言っちゃったんで後には引けないんですよ」
青年の説明に、酒場の主人は静かに酒を継ぎ足し質問する。
「その場の勢いってのはあるもんですが、命あっての物種ですよ。嫌なら止めた方が良いと思うんですが、止められないんですか?」
もっともなその言葉に、けれど青年は継ぎ足された酒を一気にあおり、どこか肝の座った眼差しを向けながら応えを返した。
「最初はね、止められたんですよ。でもね、途中から売り言葉に買い言葉でしっちゃかめっちゃかになっちゃって。最後にはオヤジさん、ウチの商主で、俺の彼女の父親なんですけどね、あの人が、
度胸もないヤツがウチの娘にちょっかい出すな腰抜けが!
って……その場の勢いなのは分かってますよ。でもそこまで言われたら引ける訳ないじゃないですか。
売り言葉に買い言葉で、探しに行くことになったんですよぉ……」
一気飲みしたお酒が効いたのか、青年はぐでんぐでんになりながら、なおも何かを言おうとする。
(いかん、飲ませない方が良かったか)
何を言っているのか分からない不明瞭な呟きを始めてしまった青年に、酒場の主人は酔い覚ましのジュースを空になったグラスに注ぎながら一つの提案を口にした。
「それなら、ハンターの人たちを雇えばいいんですよ。まさか、それもダメとまでは言わないでしょう、その彼女の親父さんも。
なに、他人の手を借りられるのも男の度量の一つですよ。商人なら、なおさらだ。
どうです? 頼んでみてはどうですか?」
ハンター依頼
「依頼が来てますよ」
明るく元気の好い声で、ハンター職員であり商人でもある少女が貴方達に話し掛けて来ました。
「雑魔が出た道に落としてしまったブローチを拾いに行く人を護衛しながら、ブローチを探し出してあげる依頼です。
ブローチを落としてしまった場所ですけども、ここからゆっくり歩いて半日ほどの場所にあるそうです。
途中で少し休んでも、朝早くに出発すればその日の内に帰ってくることは出来そうですね。
詳しい道は、依頼人の方に聞いて下さいね。
でも元々が輸送用の道の一つとして造られた道ですから、この街から途中で道が分かれたりすることのない一本道です。
だから迷子の心配とかはする必要はないですよ。
ただ、その道は森に沿って進む道なんですけども、最近その森に居ついたらしい雑魔が襲い掛かって来る事もあるそうです。
何人かの人たちが出会ってしまったようですけども、ハンターではない人たちも逃げ出したりすることは出来たみたいです。
だから、それほど強くはないみたいです。でも、油断はしないで下さいね。
雑魔は、逃げ出した人たちの話からすると三体みたいです。
ちょっと襲いかかって来て、こちらが反撃するとすぐ逃げたりするみたいです。
でも、ブローチを落とした場所辺りでは激しく襲い掛かって来るらしいですよ。縄張りでもあるのかもですけども。
こちらが提供できる情報としては、それぐらいですね。
何人かの、同じように襲われた人たちの話をまとめて得た情報ですから、信頼性は高いと思います。
でも、くれぐれも油断はしないで下さいね。
なによりも、今回の依頼は雑魔退治よりもブローチを探してあげることの方が重要ですから、しっかり助けてあげて下さい。
(小さくつぶやくような声で)でないとお姉ちゃんかわいそうだし。おじさんも無茶ぶりするしそれに乗っちゃうんだもん、あの人……。
とにかく、依頼を受けてくれるなら、よろしくお願いしますね」
やんわりとした声で、酒場の主人はカウンターを挟んだお客に忠告をする。
「なんでも、余所からやってきた雑魔が最近出るようになったらしいんですよ。
数は少ないらしいですし、私らみたいなのはともかく、ハンターの人たちならどうってことない相手らしいんですけどね。
それでもやっぱり、危ないことには変わりはないですし」
親切で掛けられた言葉に、忠告を受けたお客である青年は苦い表情を見せながら言葉を返す。
「心配してくれてありがとうございます。
私も、可能ならわざわざそんな道を通りたいとは思わないんですけどね。
とはいえ、そういう訳にもいかないんですよ」
ため息と共に、カウンターに置かれたお酒を一口飲み干し自分を落ち着かせてから、青年は言葉を続けた。
「数日前になるんですが、ウチの商会がその道を通った時に、先ほど言われた雑魔に襲われたんですよ。
幸い怪我人も出ないで逃げられたんですが、その時にウチの商会の商主がいつも身に着けていた大事な品物、ブローチなんですけどね、それを落っことしたらしいんです。
お金なんかには代えられない、二つとない思い出のある大事な品物だから、誰かが取りに行かなきゃいけないんです。
……いけないんですけど、誰が行くかってなった時についポロリと私が行くと言っちゃったんで後には引けないんですよ」
青年の説明に、酒場の主人は静かに酒を継ぎ足し質問する。
「その場の勢いってのはあるもんですが、命あっての物種ですよ。嫌なら止めた方が良いと思うんですが、止められないんですか?」
もっともなその言葉に、けれど青年は継ぎ足された酒を一気にあおり、どこか肝の座った眼差しを向けながら応えを返した。
「最初はね、止められたんですよ。でもね、途中から売り言葉に買い言葉でしっちゃかめっちゃかになっちゃって。最後にはオヤジさん、ウチの商主で、俺の彼女の父親なんですけどね、あの人が、
度胸もないヤツがウチの娘にちょっかい出すな腰抜けが!
って……その場の勢いなのは分かってますよ。でもそこまで言われたら引ける訳ないじゃないですか。
売り言葉に買い言葉で、探しに行くことになったんですよぉ……」
一気飲みしたお酒が効いたのか、青年はぐでんぐでんになりながら、なおも何かを言おうとする。
(いかん、飲ませない方が良かったか)
何を言っているのか分からない不明瞭な呟きを始めてしまった青年に、酒場の主人は酔い覚ましのジュースを空になったグラスに注ぎながら一つの提案を口にした。
「それなら、ハンターの人たちを雇えばいいんですよ。まさか、それもダメとまでは言わないでしょう、その彼女の親父さんも。
なに、他人の手を借りられるのも男の度量の一つですよ。商人なら、なおさらだ。
どうです? 頼んでみてはどうですか?」
ハンター依頼
「依頼が来てますよ」
明るく元気の好い声で、ハンター職員であり商人でもある少女が貴方達に話し掛けて来ました。
「雑魔が出た道に落としてしまったブローチを拾いに行く人を護衛しながら、ブローチを探し出してあげる依頼です。
ブローチを落としてしまった場所ですけども、ここからゆっくり歩いて半日ほどの場所にあるそうです。
途中で少し休んでも、朝早くに出発すればその日の内に帰ってくることは出来そうですね。
詳しい道は、依頼人の方に聞いて下さいね。
でも元々が輸送用の道の一つとして造られた道ですから、この街から途中で道が分かれたりすることのない一本道です。
だから迷子の心配とかはする必要はないですよ。
ただ、その道は森に沿って進む道なんですけども、最近その森に居ついたらしい雑魔が襲い掛かって来る事もあるそうです。
何人かの人たちが出会ってしまったようですけども、ハンターではない人たちも逃げ出したりすることは出来たみたいです。
だから、それほど強くはないみたいです。でも、油断はしないで下さいね。
雑魔は、逃げ出した人たちの話からすると三体みたいです。
ちょっと襲いかかって来て、こちらが反撃するとすぐ逃げたりするみたいです。
でも、ブローチを落とした場所辺りでは激しく襲い掛かって来るらしいですよ。縄張りでもあるのかもですけども。
こちらが提供できる情報としては、それぐらいですね。
何人かの、同じように襲われた人たちの話をまとめて得た情報ですから、信頼性は高いと思います。
でも、くれぐれも油断はしないで下さいね。
なによりも、今回の依頼は雑魔退治よりもブローチを探してあげることの方が重要ですから、しっかり助けてあげて下さい。
(小さくつぶやくような声で)でないとお姉ちゃんかわいそうだし。おじさんも無茶ぶりするしそれに乗っちゃうんだもん、あの人……。
とにかく、依頼を受けてくれるなら、よろしくお願いしますね」
リプレイ本文
その日は良く晴れた気持ちの好い朝から始まった。
依頼を受けたハンター達は事前相談をし、それに従い早朝から依頼人と共に探索へと出発した。
不慮の事態にも備え、何よりも依頼人の事を第一に考えての取り決めは移動の際の陣形にも出ていた。
前衛に当たる位置についているのは、古風めかしい口調でありながらそれとは裏腹に人間でいえば十歳程の幼い姿をした、愛らしくも可愛らしいエルフの女性、星輝 Amhran(ka0724)と、彼女の父親違いの妹であり、こちらは人間でいえば十代半ば程に見える、どこか神秘的で俗世離れした雰囲気を持つエルフの女性、Uisca Amhran(ka0754)である。
その後ろに依頼人がついて行くが、その左右を守るような配置にもハンター達がついていた。左には人間でいえば二十歳程に見える、溌剌とした元気さが伝わってくるようなエルフの女性、酔仙(ka1747)が、右には人間でいえば三十代半ば程に見える立派な体格をした男性、エルフと人間の混血であるギルバート・フォーサイス(ka1395)がついていた。
そして後衛には、どこか他人慣れしてない気配と、それでいてそれを苦笑するように他人に受け入れさせるような心地よい素朴さを感じさせる十代後半の人間の女性、月観 翠杞(ka0699)と、育ちの良さが気品となって漂っているような十代半ば程の可憐な人間の少女、ルーチェ・デ・メディチ(ka1528)がついていた。
依頼人を囲むようにして、どこから襲われても対応できる柔軟な陣形である。
それが依頼人であるカイトの緊張感を和らげる。その気配をハンター達は感じながら、更に緊張をとくようにハンター達は話し掛けた。
ギルバートが水を向けるようにしてカイトが今回の依頼について話し出し易い雰囲気を作ると、カイトは少しずつブローチ探索の顛末を話し出す。その中で彼の恋人の話が出ればUiscaは励ますように、そして恋人の為に頑張る事の大切さを説きカイトのやる気も引き出していた。
それが一行の場の雰囲気を柔らかな物にする。その和やかさを保ったまま、カイトの疲労軽減も兼ねて一行は遅めの朝食と早めの昼食も兼ね軽食を道中で摂る。
場所は街道からも、街道に沿うようにして広がる森からも離れた場所に生えた木の下、周囲には視界の邪魔になる物が無いため急襲にも即座に対応できる場所であった。
そこでギルバートやルーチェは用意していたお茶や軽食を皆に振る舞い、星輝は警戒の為に木に上り周囲を見渡しながら家で用意していたおにぎりを食べ、Uiscaは探さなければならないブローチを落とした時の状況や場所あるいは形状を聞き出し、酔仙や翠杞はその合間合間にカイトの緊張をほぐすような和やかな会話を皆と共に重ねていった。
それがカイトは嬉しかったのか、自分に対して気遣う一行に対して礼を言い、今回の依頼が終わった後にもてなしの場を設けさせて欲しいと頼み、それを一行は受け入れる。
そんな一時の団欒を終え一行は再び道を進み始めた。道中、カイトが不要に緊張しないようルーチェは彼と彼の恋人の事について会話を重ね、ギルバートもそれに合わせるように会話に入る。時折Uiscaの肩を借りた星輝が高い場所から周囲を見渡し警戒をするなど依頼人への配慮と周囲への注意を重ねながら進んでいった。
そんな中、それは来た。
「来ました。一匹ですけれど」
Uiscaの声に皆は動きを止め彼女の視線の先に目を向ける。一行の進行方向から見てやや先、これまで進んできた道に沿う形で広がる左手にある森から出てきたのは人間並みの大きさをした巨大な犬。件の雑魔であった。
「一匹だけというのは可怪しいですね」
ルーチェが警戒するように言うと、
「ボクもそう思います」
酔仙も同意するように続く。そしてその正しさを告げるように、
「後ろからも来とるぞ」
星輝は一行の後方から現れた更なる一匹に警戒するように告げる。
「い、いつの間に後ろについたんでしょう」
疑問の声を上げる翠杞に、
「こちらが先に進むまで森の中で待機した上で、いま前方に居る雑魔が現れるのに合わせて出てきたのかもしれません。だとすれば頭は悪くはなさそうですね」
ギルバートは応えると更に続けて、
「でも強くはないですね。もし強いのなら、わざわざ挟み撃ちを仕掛けてくるほど頭が良いんです、もう襲い掛かってきているでしょう。だから大丈夫ですよカイトさん、我々は勝てます。安心して下さい」
雑魔の出現に体を強張らせたカイトの緊張をほぐすように声を掛けた。それが功を奏し緊張感は持ちつつもカイトの体の強張りは薄れていく。
「さて、どうするかの」
星輝の呼び掛けに、
「このまま進みましょうキララ姉さま。雑魔の数は三匹は居たみたいですし、ここに留まり続ければ更に数が増えるかもです。それにまだ夜まで時間はあるけれど、いつかは日が暮れます。そうなる前に動いた方が良いです」
Uiscaは提案するように言葉を続ける。それに、
「私もそう思います。そうするなら余計に事前に決めていた陣形を守りながら、状況に応じてそれぞれが動けるようにした方が良いでしょう」
補足するように応えたのはルーチェだった。すると、
「うん、ボクも同感です。カイトさんを守ることを第一にして先に進むのが良いです」
気合を入れるような声で酔仙も同意する。そして、
「い、行きましょう。早くブローチを見つけてあげたいですし」
翠杞の言葉を最後に皆は再び進み始めた。
その道中は雑魔からの積極的な行動はなかったが、すぐには追い付けない距離ぎりぎりまで近づいて来た上で一行を警戒させるように咆哮をぶつけてくる、などの挑発するような行動を重ねてきていた。
だがそれに一行は、Uiscaによる縄張りまで挑発に乗らない方が良いという提案に賛同し挑発に乗らずそのまま進む。それによる雑魔との膠着状況はしばらく続いたが、それはやがて堰を切って崩れ去った。
一行が雑魔の縄張りと予想される場所まで辿り着いたその時、それまで現れなかった最後の一匹が咆哮を上げながらカイト目掛けて森から飛び出してくる。それと同時、付かず離れず一行の前と後ろに付いていた二匹の雑魔も一斉に襲い掛かって来た。
混戦になり雑魔三匹がカイトに近付かないようにする為に、前衛の星輝とUiscaだけでなく後衛のルーチェと翠杞も襲い掛かって来る雑魔へと逆に走り出し、カイトを守ることをより強く前提とする、カイトの左右に付いていた酔仙とギルバートは、カイトからつかず離れずの距離を取りながら迎え撃つ。
まず最初に雑魔と接敵したのは星輝とUiscaだった。
「いくぞ、イスカ」
「はい、キララ姉さま」
息もぴったりに二人は迎え撃つ。
僅かに前に出ていたUiscaが雑魔と接敵する瞬間横に飛ぶとそれに合わせるように星輝が投げナイフで牽制、それは浅く雑魔の肩口に当たり動きが鈍る。その機を逃さずUiscaは距離を一気に縮めるとレイピアを刺していく。
それに雑魔は反撃、前足を振り回すが星輝が放っていた投げナイフの傷のせいで鈍った動きのお蔭もありUiscaは避ける。
避けた所に更に襲いかかろうとした雑魔ではあったが、距離を詰めていた星輝の居合式のスラッシュエッジをその足に受け切り飛ばされた。
そして決着はそこでついていた。足を一本失い動きの鈍った雑魔は息の合った姉妹二人の敵ではなかった。
その決着がついて僅かに間をおいて後衛であるルーチェと翠杞も雑魔を倒していた。
「援護を頼みます」
「ま、任せて下さい」
仲間としての信頼を言葉で交わしながら二人はそれぞれ最適な位置を取る。
闘狩人であるルーチェは向かい来る雑魔に突出しすぎないよう意識しながら走り寄り、魔術師である翠杞は支援の為に距離を取る。
瞬く間に雑魔とルーチェの距離は縮まり、飛びかかって来た雑魔の攻撃をルーチェは避けるのではなくバックラーで受け止め防御する。
鈍い衝撃が体に走るが戦闘に支障をきたす程ではなく、誘導するように雑魔の攻撃を受けながら移動していく。
それは功を奏し、翠杞が攻撃するのに最適な位置へと雑魔は動かされる。
その隙を翠杞は突く。光るエネルギーの矢、マジックアローを放ち、それは狙い過たず雑魔の胴体へと突き刺さった。
苦痛の鳴き声を雑魔は上げ動きが鈍る。それを好機にルーチェは一気に踏み込むとその勢いも利用し強打を放った。
マテリアルを込め威力の上がったその一撃は会心の一撃となり、それでも油断なく翠杞と共に止めを刺した。
そして最後の一匹、それも酔仙とギルバートに倒されていた。
「カイトさんの事は頼みます」
「分かりました。ですが可能なら支援に動きます。では好きご武運を」
「はい、それじゃ行きますね」
ギルバートに応えると同時、酔仙は初手から全力を出した。肌が紅潮し目元がまどろむ。どこか酔っているかのようなその様は彼女が覚醒した姿だった。
全身脱力しながらゆらりとした動きで雑魔に近付く。隙だらけにも見えるその動きは相手に油断と当惑をもたらす。
酔拳、リアルブルーにおいてそう呼ばれる動きの系譜を見せながら、彼女は覚醒者としての絶大な速さをその動きに乗せ雑魔を迎え撃った。
酔拳の流麗な動きと覚醒者の速さに雑魔はついて来れない。初撃を難なく酔仙は叩き付ける。
雑魔の横っ面を叩くようにして放たれたヌンチャクの一撃は雑魔の顎を容易く砕く。
だが雑魔は倒れなかった。
既に死者でもある雑魔は痛痒を覚えた風もなく爪を振るう。
他の二体よりも速いその動きは脅威ではあったが、元々が回避に優れ覚醒した状態の酔仙を捕えられる程ではなかった。
だがそれでも雑魔は酔仙を狙い続ける。それがあだとなった。不意を突くようにギルバートが雑魔の横っ腹をロッドで突く。
「残りの二匹は倒れました。カイトさんは皆さんに任せて一気に決めましょう」
既に雑魔を倒した仲間達がカイトの元に近付くのを確認してから酔仙の元に走り寄ったギルバートと共に酔仙は雑魔に止めを刺した。
そうして雑魔を退治した後、周囲への警戒は怠らずカイトをいつでも守れるような位置取りをしたまま一行はブローチ探索を開始した。
「まずこの辺りから探してみませんか? ここで襲ってきたという事は、ブローチを落とした場所もこの辺りかもしれないですし」
酔仙の提案に、事前にカイトより聞いていた場所からもほぼ同じであることもあり皆はまず、いま襲撃を受けた周囲から探し始める。
(ぜ、絶対見つけてあげないと。大事なブローチなんだから)
心の中で翠杞は気合を入れながら皆と共に探すが、残念ながらそこでは見つからなかった。
「さて、どうするかのぅ? 暗くなると危険が増すのじゃが」
見つからなかった時の事も考え呟く星輝に、
「LEDライトを用意しましたから少しは大丈夫です、キララ姉さま。でも早く見つけた方が良いでしょうし、頑張りましょうねカイトさん。ここが恋人さんに誠意を見せるチャンスですよ」
探索の為にLEDライトを用意していたUiscaはカイトの背中を押すように発破をかける。すると、
「はい、勿論です。その、皆さんには労力を掛けますがよろしくお願いします」
カイトは頭を下げ一行に頼むと、率先して探し出そうと探索範囲を広げようとする。それに、
「言われるまでもありませんカイトさん。ただその前に、再度ブローチの形状を確認したいのですが構いませんか?」
カイトが一人で行かないよう引き止めるようにしてギルバートがブローチの形状を尋ねる。それに、
「あ、はい。途中で休憩した時にもお話しましたけれど、大きさは掌に収まるぐらいです。形は商売のご利益があるっていう片手を上げた猫の形をしてます。厚さは、そんなに無いですね」
指でブローチの形を宙に描きながら答えを返した。それを受け、
「それなら、草むらに紛れているかもしれませんね。その辺りも気をつけて探しましょう」
穏やかな決意を込めるようなルーチェの言葉に、皆は再び探索を開始した。
とはいえ周囲を警戒しながらであった事もあり、簡単には見つからなかった。だが皆が懸命に探す中、二時間ほど掛かりはしたが、ついには森の近くに茂っていた草むらの中から発見された。
そこには件のブローチと共に、同じようなアクセサリーや小物などが固まって置かれていた。
よく見れば周囲には巨大な犬の足跡があり、どうやら退治した雑魔がそこに集めていたようであった。集めていた理由は分からなかったが中には破壊されていた物もあり、そんな中、傷らしい傷のないブローチを破壊される前に見つけられたのは運が良かったともいえた。そのことに気付いたカイトは皆に頭を下げ礼を繰り返した。
その後、警戒しながら街への帰途につき依頼の完了を成し遂げると周囲はすっかり暗くなっていた。するとカイトは道中で告げた通りに一行をもてなそうと一行を行きつけらしい酒場へと誘う。それに一行は応え、いま酒場で呑み、あるいは食べていた。
「仕事が成功した後のお酒は格別ですねぇ。星輝も、そう思いますぅ?」
酔ったせいで普段より人懐っこい口調の酔仙に、
「まったくじゃのぅ。いつもより酒が美味いのぅ」
ご機嫌な感じに星輝は酒を飲み、
「はい、キララ姉さま」
Uiscaは星輝に酒を注ぐ。そして、
「お肉、美味しいです」
木の実や果物だけでなく特にお肉を美味しそうに翠杞は食べ、
「依頼が成功して良かったです。音楽でも奏でたくなりますね」
ルーチェは楽しそうな皆に嬉しそうに表情を和らげる。酒場での食事会は穏やかに進んでいた。とはいえカイトの姿はその場にはない。
「大分経ちますが何かあったのでしょうか」
この場に一行を招き、その後ブローチをすぐにでも届けたいと出て戻らないカイトを気にするような声をギルバートが上げた時だった。
「すみません遅くなりました」
一人の女性を伴ってカイトは戻ってきた。その女性が誰かを聞こうとするより早く、
「ありがとうございました」
深々と頭を下げその女性は一行に礼を告げた。疑問に思う一行にその女性は、
「あの、今回探して頂いたブローチなんですけれど、母の形見だったんです。母が若い頃に父にプレゼントしたもので。ずっと父はそれを大事にしてて、私にとっても大事な物だったんです。だから、その、ありがとうございました」
嬉しさに涙を滲ませながら喜びと共に笑顔を浮かべた。
それが一行により強く依頼を成し遂げたのだという実感をもたらした。
これが今回の依頼の顛末である。世界の命運に関わるほどではなく、けれど誰かにとっては大事な何か、それを守ることが出来た一つの物語の結末である。
依頼を受けたハンター達は事前相談をし、それに従い早朝から依頼人と共に探索へと出発した。
不慮の事態にも備え、何よりも依頼人の事を第一に考えての取り決めは移動の際の陣形にも出ていた。
前衛に当たる位置についているのは、古風めかしい口調でありながらそれとは裏腹に人間でいえば十歳程の幼い姿をした、愛らしくも可愛らしいエルフの女性、星輝 Amhran(ka0724)と、彼女の父親違いの妹であり、こちらは人間でいえば十代半ば程に見える、どこか神秘的で俗世離れした雰囲気を持つエルフの女性、Uisca Amhran(ka0754)である。
その後ろに依頼人がついて行くが、その左右を守るような配置にもハンター達がついていた。左には人間でいえば二十歳程に見える、溌剌とした元気さが伝わってくるようなエルフの女性、酔仙(ka1747)が、右には人間でいえば三十代半ば程に見える立派な体格をした男性、エルフと人間の混血であるギルバート・フォーサイス(ka1395)がついていた。
そして後衛には、どこか他人慣れしてない気配と、それでいてそれを苦笑するように他人に受け入れさせるような心地よい素朴さを感じさせる十代後半の人間の女性、月観 翠杞(ka0699)と、育ちの良さが気品となって漂っているような十代半ば程の可憐な人間の少女、ルーチェ・デ・メディチ(ka1528)がついていた。
依頼人を囲むようにして、どこから襲われても対応できる柔軟な陣形である。
それが依頼人であるカイトの緊張感を和らげる。その気配をハンター達は感じながら、更に緊張をとくようにハンター達は話し掛けた。
ギルバートが水を向けるようにしてカイトが今回の依頼について話し出し易い雰囲気を作ると、カイトは少しずつブローチ探索の顛末を話し出す。その中で彼の恋人の話が出ればUiscaは励ますように、そして恋人の為に頑張る事の大切さを説きカイトのやる気も引き出していた。
それが一行の場の雰囲気を柔らかな物にする。その和やかさを保ったまま、カイトの疲労軽減も兼ねて一行は遅めの朝食と早めの昼食も兼ね軽食を道中で摂る。
場所は街道からも、街道に沿うようにして広がる森からも離れた場所に生えた木の下、周囲には視界の邪魔になる物が無いため急襲にも即座に対応できる場所であった。
そこでギルバートやルーチェは用意していたお茶や軽食を皆に振る舞い、星輝は警戒の為に木に上り周囲を見渡しながら家で用意していたおにぎりを食べ、Uiscaは探さなければならないブローチを落とした時の状況や場所あるいは形状を聞き出し、酔仙や翠杞はその合間合間にカイトの緊張をほぐすような和やかな会話を皆と共に重ねていった。
それがカイトは嬉しかったのか、自分に対して気遣う一行に対して礼を言い、今回の依頼が終わった後にもてなしの場を設けさせて欲しいと頼み、それを一行は受け入れる。
そんな一時の団欒を終え一行は再び道を進み始めた。道中、カイトが不要に緊張しないようルーチェは彼と彼の恋人の事について会話を重ね、ギルバートもそれに合わせるように会話に入る。時折Uiscaの肩を借りた星輝が高い場所から周囲を見渡し警戒をするなど依頼人への配慮と周囲への注意を重ねながら進んでいった。
そんな中、それは来た。
「来ました。一匹ですけれど」
Uiscaの声に皆は動きを止め彼女の視線の先に目を向ける。一行の進行方向から見てやや先、これまで進んできた道に沿う形で広がる左手にある森から出てきたのは人間並みの大きさをした巨大な犬。件の雑魔であった。
「一匹だけというのは可怪しいですね」
ルーチェが警戒するように言うと、
「ボクもそう思います」
酔仙も同意するように続く。そしてその正しさを告げるように、
「後ろからも来とるぞ」
星輝は一行の後方から現れた更なる一匹に警戒するように告げる。
「い、いつの間に後ろについたんでしょう」
疑問の声を上げる翠杞に、
「こちらが先に進むまで森の中で待機した上で、いま前方に居る雑魔が現れるのに合わせて出てきたのかもしれません。だとすれば頭は悪くはなさそうですね」
ギルバートは応えると更に続けて、
「でも強くはないですね。もし強いのなら、わざわざ挟み撃ちを仕掛けてくるほど頭が良いんです、もう襲い掛かってきているでしょう。だから大丈夫ですよカイトさん、我々は勝てます。安心して下さい」
雑魔の出現に体を強張らせたカイトの緊張をほぐすように声を掛けた。それが功を奏し緊張感は持ちつつもカイトの体の強張りは薄れていく。
「さて、どうするかの」
星輝の呼び掛けに、
「このまま進みましょうキララ姉さま。雑魔の数は三匹は居たみたいですし、ここに留まり続ければ更に数が増えるかもです。それにまだ夜まで時間はあるけれど、いつかは日が暮れます。そうなる前に動いた方が良いです」
Uiscaは提案するように言葉を続ける。それに、
「私もそう思います。そうするなら余計に事前に決めていた陣形を守りながら、状況に応じてそれぞれが動けるようにした方が良いでしょう」
補足するように応えたのはルーチェだった。すると、
「うん、ボクも同感です。カイトさんを守ることを第一にして先に進むのが良いです」
気合を入れるような声で酔仙も同意する。そして、
「い、行きましょう。早くブローチを見つけてあげたいですし」
翠杞の言葉を最後に皆は再び進み始めた。
その道中は雑魔からの積極的な行動はなかったが、すぐには追い付けない距離ぎりぎりまで近づいて来た上で一行を警戒させるように咆哮をぶつけてくる、などの挑発するような行動を重ねてきていた。
だがそれに一行は、Uiscaによる縄張りまで挑発に乗らない方が良いという提案に賛同し挑発に乗らずそのまま進む。それによる雑魔との膠着状況はしばらく続いたが、それはやがて堰を切って崩れ去った。
一行が雑魔の縄張りと予想される場所まで辿り着いたその時、それまで現れなかった最後の一匹が咆哮を上げながらカイト目掛けて森から飛び出してくる。それと同時、付かず離れず一行の前と後ろに付いていた二匹の雑魔も一斉に襲い掛かって来た。
混戦になり雑魔三匹がカイトに近付かないようにする為に、前衛の星輝とUiscaだけでなく後衛のルーチェと翠杞も襲い掛かって来る雑魔へと逆に走り出し、カイトを守ることをより強く前提とする、カイトの左右に付いていた酔仙とギルバートは、カイトからつかず離れずの距離を取りながら迎え撃つ。
まず最初に雑魔と接敵したのは星輝とUiscaだった。
「いくぞ、イスカ」
「はい、キララ姉さま」
息もぴったりに二人は迎え撃つ。
僅かに前に出ていたUiscaが雑魔と接敵する瞬間横に飛ぶとそれに合わせるように星輝が投げナイフで牽制、それは浅く雑魔の肩口に当たり動きが鈍る。その機を逃さずUiscaは距離を一気に縮めるとレイピアを刺していく。
それに雑魔は反撃、前足を振り回すが星輝が放っていた投げナイフの傷のせいで鈍った動きのお蔭もありUiscaは避ける。
避けた所に更に襲いかかろうとした雑魔ではあったが、距離を詰めていた星輝の居合式のスラッシュエッジをその足に受け切り飛ばされた。
そして決着はそこでついていた。足を一本失い動きの鈍った雑魔は息の合った姉妹二人の敵ではなかった。
その決着がついて僅かに間をおいて後衛であるルーチェと翠杞も雑魔を倒していた。
「援護を頼みます」
「ま、任せて下さい」
仲間としての信頼を言葉で交わしながら二人はそれぞれ最適な位置を取る。
闘狩人であるルーチェは向かい来る雑魔に突出しすぎないよう意識しながら走り寄り、魔術師である翠杞は支援の為に距離を取る。
瞬く間に雑魔とルーチェの距離は縮まり、飛びかかって来た雑魔の攻撃をルーチェは避けるのではなくバックラーで受け止め防御する。
鈍い衝撃が体に走るが戦闘に支障をきたす程ではなく、誘導するように雑魔の攻撃を受けながら移動していく。
それは功を奏し、翠杞が攻撃するのに最適な位置へと雑魔は動かされる。
その隙を翠杞は突く。光るエネルギーの矢、マジックアローを放ち、それは狙い過たず雑魔の胴体へと突き刺さった。
苦痛の鳴き声を雑魔は上げ動きが鈍る。それを好機にルーチェは一気に踏み込むとその勢いも利用し強打を放った。
マテリアルを込め威力の上がったその一撃は会心の一撃となり、それでも油断なく翠杞と共に止めを刺した。
そして最後の一匹、それも酔仙とギルバートに倒されていた。
「カイトさんの事は頼みます」
「分かりました。ですが可能なら支援に動きます。では好きご武運を」
「はい、それじゃ行きますね」
ギルバートに応えると同時、酔仙は初手から全力を出した。肌が紅潮し目元がまどろむ。どこか酔っているかのようなその様は彼女が覚醒した姿だった。
全身脱力しながらゆらりとした動きで雑魔に近付く。隙だらけにも見えるその動きは相手に油断と当惑をもたらす。
酔拳、リアルブルーにおいてそう呼ばれる動きの系譜を見せながら、彼女は覚醒者としての絶大な速さをその動きに乗せ雑魔を迎え撃った。
酔拳の流麗な動きと覚醒者の速さに雑魔はついて来れない。初撃を難なく酔仙は叩き付ける。
雑魔の横っ面を叩くようにして放たれたヌンチャクの一撃は雑魔の顎を容易く砕く。
だが雑魔は倒れなかった。
既に死者でもある雑魔は痛痒を覚えた風もなく爪を振るう。
他の二体よりも速いその動きは脅威ではあったが、元々が回避に優れ覚醒した状態の酔仙を捕えられる程ではなかった。
だがそれでも雑魔は酔仙を狙い続ける。それがあだとなった。不意を突くようにギルバートが雑魔の横っ腹をロッドで突く。
「残りの二匹は倒れました。カイトさんは皆さんに任せて一気に決めましょう」
既に雑魔を倒した仲間達がカイトの元に近付くのを確認してから酔仙の元に走り寄ったギルバートと共に酔仙は雑魔に止めを刺した。
そうして雑魔を退治した後、周囲への警戒は怠らずカイトをいつでも守れるような位置取りをしたまま一行はブローチ探索を開始した。
「まずこの辺りから探してみませんか? ここで襲ってきたという事は、ブローチを落とした場所もこの辺りかもしれないですし」
酔仙の提案に、事前にカイトより聞いていた場所からもほぼ同じであることもあり皆はまず、いま襲撃を受けた周囲から探し始める。
(ぜ、絶対見つけてあげないと。大事なブローチなんだから)
心の中で翠杞は気合を入れながら皆と共に探すが、残念ながらそこでは見つからなかった。
「さて、どうするかのぅ? 暗くなると危険が増すのじゃが」
見つからなかった時の事も考え呟く星輝に、
「LEDライトを用意しましたから少しは大丈夫です、キララ姉さま。でも早く見つけた方が良いでしょうし、頑張りましょうねカイトさん。ここが恋人さんに誠意を見せるチャンスですよ」
探索の為にLEDライトを用意していたUiscaはカイトの背中を押すように発破をかける。すると、
「はい、勿論です。その、皆さんには労力を掛けますがよろしくお願いします」
カイトは頭を下げ一行に頼むと、率先して探し出そうと探索範囲を広げようとする。それに、
「言われるまでもありませんカイトさん。ただその前に、再度ブローチの形状を確認したいのですが構いませんか?」
カイトが一人で行かないよう引き止めるようにしてギルバートがブローチの形状を尋ねる。それに、
「あ、はい。途中で休憩した時にもお話しましたけれど、大きさは掌に収まるぐらいです。形は商売のご利益があるっていう片手を上げた猫の形をしてます。厚さは、そんなに無いですね」
指でブローチの形を宙に描きながら答えを返した。それを受け、
「それなら、草むらに紛れているかもしれませんね。その辺りも気をつけて探しましょう」
穏やかな決意を込めるようなルーチェの言葉に、皆は再び探索を開始した。
とはいえ周囲を警戒しながらであった事もあり、簡単には見つからなかった。だが皆が懸命に探す中、二時間ほど掛かりはしたが、ついには森の近くに茂っていた草むらの中から発見された。
そこには件のブローチと共に、同じようなアクセサリーや小物などが固まって置かれていた。
よく見れば周囲には巨大な犬の足跡があり、どうやら退治した雑魔がそこに集めていたようであった。集めていた理由は分からなかったが中には破壊されていた物もあり、そんな中、傷らしい傷のないブローチを破壊される前に見つけられたのは運が良かったともいえた。そのことに気付いたカイトは皆に頭を下げ礼を繰り返した。
その後、警戒しながら街への帰途につき依頼の完了を成し遂げると周囲はすっかり暗くなっていた。するとカイトは道中で告げた通りに一行をもてなそうと一行を行きつけらしい酒場へと誘う。それに一行は応え、いま酒場で呑み、あるいは食べていた。
「仕事が成功した後のお酒は格別ですねぇ。星輝も、そう思いますぅ?」
酔ったせいで普段より人懐っこい口調の酔仙に、
「まったくじゃのぅ。いつもより酒が美味いのぅ」
ご機嫌な感じに星輝は酒を飲み、
「はい、キララ姉さま」
Uiscaは星輝に酒を注ぐ。そして、
「お肉、美味しいです」
木の実や果物だけでなく特にお肉を美味しそうに翠杞は食べ、
「依頼が成功して良かったです。音楽でも奏でたくなりますね」
ルーチェは楽しそうな皆に嬉しそうに表情を和らげる。酒場での食事会は穏やかに進んでいた。とはいえカイトの姿はその場にはない。
「大分経ちますが何かあったのでしょうか」
この場に一行を招き、その後ブローチをすぐにでも届けたいと出て戻らないカイトを気にするような声をギルバートが上げた時だった。
「すみません遅くなりました」
一人の女性を伴ってカイトは戻ってきた。その女性が誰かを聞こうとするより早く、
「ありがとうございました」
深々と頭を下げその女性は一行に礼を告げた。疑問に思う一行にその女性は、
「あの、今回探して頂いたブローチなんですけれど、母の形見だったんです。母が若い頃に父にプレゼントしたもので。ずっと父はそれを大事にしてて、私にとっても大事な物だったんです。だから、その、ありがとうございました」
嬉しさに涙を滲ませながら喜びと共に笑顔を浮かべた。
それが一行により強く依頼を成し遂げたのだという実感をもたらした。
これが今回の依頼の顛末である。世界の命運に関わるほどではなく、けれど誰かにとっては大事な何か、それを守ることが出来た一つの物語の結末である。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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面白かった! | 7人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/11 09:31:43 |
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相談卓! 酔仙(ka1747) エルフ|20才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/06/16 11:20:58 |