Prayer/Breaker

マスター:柚烏

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/08/04 12:00
完成日
2015/08/09 21:51

みんなの思い出

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オープニング

 汚泥のように澱み、酷く湿った夏風が草原を吹き抜けていった。夕暮れ時の空は、まるで鮮血の色を思わせる程に不吉な赤で――彼方に沈もうとする夕陽が照らすのは、半ば苔むし朽ち果てようとしている墓石の群れだ。
(どれほどの方々が、無念にも死していったのでしょう)
 けれど、熱病にあえぐような夏の景色の中、清廉な輝きを放つ存在があった。ひとつひとつの墓に跪き、丁寧に祈りを捧げていくのは、エクラ教の助祭であるメルフィという娘だ。
(例え、皆に忘れ去られたとしても。わたくしは覚えておきましょう……あなた方は確かに、この世界に生きていたのだと言う事を)
 メルフィの祈りは、悲痛な願いにも似ていた。ひとびとを救いたいと願えど、自分ひとりで出来ることなど限られているのだと――彼女は嫌と言う程知っていたから。
「これで、この地は大体回りましたかしら」
 けれど、何もせずにいる事は出来なくて。メルフィは各地を回り、死者の安息を祈る旅に出た。彼女の後ろに無言で佇むのは、此処の墓地へ向かう際に護衛として雇ったハンターの少女――名は確かシエナと言う。
「……メルフィ。何だか空気がおかしい。嫌な予感がする」
「シエナさん? それはどういう……」
 鋭い瞳を周囲に向けるシエナは、素早く短剣を抜いてメルフィの前に出た。するとどうだろう――彼女たちを取り囲む墓石のあちらこちらから、柔らかな土を食い破るようにして腐敗した腕が、頭が、体が、次々に姿を現していくではないか。
(雑魔が居るかもしれない、と言う危険はあった。なのに、まさか……これほど多いとは)
 それは、雑魔と化した死者たち――所謂アンデッド、死にぞこないだ。完全に骨のみとなり、からからと乾いた音を鳴らすもの。腐敗した肉片をこびりつかせ、生前の面影を宿すもの――様々な個体が居るが、皆が一様に武装し武器を構えていた。
「此処は……亜人との戦いで命を落とした戦士たちの墓地、です」
 告げるメルフィの声は微かに震えていた。しかし雑魔と化した今、彼らは生あるものを狩ろうと躊躇なく此方に刃を向けるだろう。
「矜持も何もかも、死ねばそれで終わり」
 後ろ手にメルフィを庇いながら、シエナは唸りを上げる長剣を短刀で弾いた。
「……私は、祈る術など持ち合わせていない」

 緊急の依頼がある、とハンターオフィスの職員は居合わせたハンター達に告げた。この街から少し離れた場所にある草原――其処に、雑魔の発生が確認されたのだと。
「其処には墓地が広がっていまして、恐らくは埋葬された死者が雑魔化したのでしょう。目撃情報も幾つか寄せられていたので警戒はしていたんですが……つい先程、旅の助祭と護衛のハンターが向かってしまったようなんです」
 雑魔たちは人型の生ける死者で、日没と共に活動を開始するらしい。数は多く、ハンターがひとりでは太刀打ち出来ずにやられてしまう――故に、至急現場へ向かい雑魔を退治、ふたりを無事に保護して欲しいと職員は言った。
「ハンターは駆け出しで、勿論助祭に戦う術はありません。……死者の眠りを祈る筈が、自分たちも死者の仲間入りなんて、洒落になりませんから」
 どうか、よろしくお願いしますと、切実な声がオフィスの中に響いていく。

「シエナさん!」
 一方、生ける死者らに囲まれたふたりは徐々に追い詰められていた。刃を握るシエナの腕からは赤い雫が伝い、彼女は黒髪を揺らして「大丈夫だ」とかぶりを振る。
「戦うのは、私の役目。私は祈らない……祈れない。ただ、敵を倒すことしか出来ない。でも」
 ――あなたは、そのままでいて。私の分まで、死せる者の安息を祈って。そう訴えるように、シエナの瞳が微かに和らいだ。
 地平線の彼方に、陽が沈む。そして――死者の踊る、夜がやって来る。

リプレイ本文

●Breakthrough
 紅く空を染め上げていた夕陽はゆっくりと没し、辺りは急速に闇へと呑まれていった。ひたひたと迫る夜の足音を感じながら、依頼を受けたハンター達は死者が溢れる墓地を目指す。
「女性ふたりが危険な目に遭っているのを、放ってなんて置けないもん!」
 そう決意を唇に乗せるのは、自身も可憐な少女と見紛うばかりの少年――時音 ざくろ(ka1250)だった。その名の通り石榴を思わせる深い赤の瞳が、真っ直ぐに行く先を見据えている。
(それに、死者には再び安らかに眠って欲しいから)
 草原に佇む古き墓地。其処では旅の助祭であるメルフィと、護衛のハンターのシエナが雑魔と化した死者に襲われているのだ。
「ち……面倒な状況だな」
 舌打ちと共に軽く吐き捨てるティーア・ズィルバーン(ka0122)だが、その怜悧な相貌は微塵も揺らぎはしない。何はともあれ、先ずは二人の確保が最優先だと、彼はやるべき事を確りと把握していたからだ。
(道を間違えてしまうことも、力不足を実感することも多いけれど……だからといって、恐れて立ち止まっていたら救える命も救えなくなってしまうから)
 生ぬるい風が肌を撫で、薄らと滲む汗に柏木 千春(ka3061)は厭な感覚を覚えるけれど――それでも、大地を踏みしめる足どりは確かなもの。祈りを覚悟に、覚悟は力に変えて、彼女たちは墓地に向かってひたすらに駆ける。
「見えた……一気に斬り込んでいくよ!」
 豊かな長髪をかき上げて、辺りに勇ましい声を響かせるのはタラサ=ドラッフェ(ka5001)。手にしたハンディLEDライトが闇に包まれた墓地を照らし、生ける死者となった雑魔を鮮やかに浮かび上がらせる。
「待たせたね、今助けるよ!」
 彼らに囲まれ追い詰められていたのは、二人の乙女――それがメルフィとシエナだと確認した樹導 鈴蘭(ka2851)は、薙刀を握りしめて死者の囲みを突破しようと皆に続いた。
「死に損ない共が雁首並べおって……その見苦しい面を我の前に晒すでない」
 尊大な態度を崩さず、フィオナ・クラレント(ka4101)は王者の如く堂々と敵に向き合う。彼女の繰り出す金色の大剣が唸りを上げる中、魔導大剣を起動させるのは狭霧 雷(ka5296)だ。
「……どんな形であれ死者には敬意を払え。私の教官殿の教えの一つです」
 そのまま雷は、地を駆けるもの――俊敏な動物霊の力をその身に宿す。こうして登場した新たな獲物に、生ける死者たちはカタカタと骨を鳴らして歓喜したように見えた。
「……歌いましょう、祈りをこめて」
 ――と、其処に凛と響くのは、千春の奏でる鎮魂歌。その妙なる調べは正ならざる生命の行動を阻害し、あるべき姿に還れと誘う。
「彼らが闇の中に落ち込みませんように。彼らに光が届きますように」
 すると、まるで鉛を流し込まれたかのように生ける死者の動きが鈍り始めた。すかさず瞬脚を用いて距離を詰めたカッツ・ランツクネヒト(ka5177)が、へらりと笑いながら直剣を打ち付ける。
「……俺も、祈りで誰かが救えりゃ良いんだがな」
 ま、世界の末端の紙クズみてえな木端が言えたセリフじゃねえかと自嘲しつつ、カッツの手には骨を断つ確かな手応えが伝わっていた。
「祈りで誰も救えねえなら、この手で救える誰かを救うさ。……誰かを愛して、誰かに愛されたヤツをぶった斬ってでも、な」
 自身に注意を引き付けるように前に出つつ、フィオナは強い踏込を活かして幅広の剣を振り下ろす。覚醒したタラサも、真紅に染まった髪を炎のように揺らめかせながら、マテリアルを込めた黒斧の一撃を目の前のアンデッドに叩きつけた。
 お、おおぉ――と怨嗟の声を響かせ、半ば腐りかけた戦士の骸が悔しげによろめく。それでも横合いから新たな死者が槍を振るい、突破口を拓こうとしていた雷の胴を抉った。
「雑魔と化し、既に生前のものとは違う存在に変わり果ててしまったのでしょうが……」
 流れ落ちる血を強引に拭い、雷は獣を思わせる動きで大剣を振るう。眩い光を放つ刀身は、死者を焼き尽くす裁きの一撃となって不浄の身を斬り裂いた。
「……ここからなら届くかな? ごめんね、もう少し耐えて」
 徐々に、立ちはだかる雑魔は蹴散らされていって。必死に攻撃を凌いでいるシエナに対し、鈴蘭は防性強化の術を施す。するとシエナは彼に一瞬視線を向けて、ありがとうと言うように軽く頷いた。
「よ……っと!」
 こうして果敢に斬り込む仲間たちの奮戦で、遂にメルフィとシエナの元へ向かう道が出来た。其処に突撃したざくろは、ブーツからマテリアルを噴射して一気に跳躍――ついでに邪魔な雑魔に蹴りを加えて、二人の側に着地する。
「助けに来たよ、もう大丈夫だから」
 にっこりと愛らしい笑みを浮かべるざくろの向こう――疾く地を駆けたティーアは軽やかに敵をいなしつつ、墓石を蹴った勢いで斧剣を操り、彼らに近付きつつあった死者のひとりを斬り捨てた。
「やれやれ、少々先を越されちまったが……助けに来たぜ。お二人さん」

●Dance of death
「ありがとう、ございます……。救おうと願いながら、逆に自らの身を危険に晒すなど、本当に申し訳ありません」
 助けに来てくれたハンター達にメルフィは礼を述べ、痛ましい表情で頭を下げた。けれど悔やむのは後、と言うように、鈴蘭は持ち替えた盾を翳して一歩前に出る。
「退路は、塞がれているか……」
 斧剣の形態を変化させたティーアが、淡い蒼光を帯びた瞳で周囲を睨み付けて呟いた。突破した囲いは直ぐに塞がれ、死者たちはじりじりと包囲を狭めながら此方に近付いてきている。ならば――仲間たちと円陣を組んで迎え撃つまでだ。
「大丈夫、ざくろに任せて」
 立ち並ぶ墓標のひとつを背にして、メルフィを守るようにざくろが前に出る。四方を囲まれている為、彼らは必然的に背中合わせとなって敵と向かい合っていた。けれど其処に、悲壮感は無い。自分達は死の誘いを跳ね除け、これからも生ある世界で生き続けるのだと――皆が未来に、光を見出していたからだ。
「私はハンターになって、戦いに身を置くようになって、たくさんの命を背負うことになりました」
 メルフィ達に、そして自分自身に言い聞かせるように、千春は囁き鎮魂歌を歌う。透き通るような歌声に呼応して、ふわりと舞うのは蛍火のような淡い光。
「だからこそ、祈ることはやめたくない。祈りは、私に覚悟を与えてくれるから」
 ――どうか、いつまでも安らかな眠りを、彼らに。其の為に歩み続けることを千春は誓い、精霊に祈りを捧げた雷が魔導大剣を振るって迫る死者を薙ぎ払う。
「ここは任せてください。改めて、彼らに眠りを差し上げますから」
「っと、あんたがシエナ嬢かい? 怪我してるみてえだな……無理は禁物だぜ」
 と、軽やかなステップを刻んでシエナの側にやって来たカッツが、刃を閃かせて彼女に囁いた。
「戦えるヤツが死んじまったら、戦えねえヤツに救いはねえのさ。雑魔相手に死なねえのが覚醒者のお仕事の基本だ。間違ってもくたばるんじゃねえぞ?」
「……ああ、分かっている。けれど、それはとても難しいものだと痛感していた」
 それでも、とシエナはカッツの攻撃に合わせるように、素早い身のこなしで短剣を突き立てて微かに微笑む。
「どうしてだろう……あなたに言われると、簡単にくたばるものかと言う気になってくる」
「しかし、迷って化けて出て生者を襲うぐらいなら、生前その気力を生きることに向けるべきであったろうに……愚か者共が」
 厳しい口調で死者を断じるフィオナだが、転化した存在である歪虚は生前の因果とは関係無しに襲い来るものだ。愚かだと言うのなら、それは歪虚を生む理そのものを指すのだろう。
「……ッ!」
 速さを武器に、フィオナは雑魔の攻撃をいなそうとするも苦戦している。攻撃の出鼻に、武器を持つ手に一撃を当てて止めようと試みるが、それを行える程の技術を彼女は持っていなかった。更に、武器の風切り音や足音で敵の位置を特定するには難しく、それに頼るよりも確りとした光源を準備してきたタラサの方が、効果的に動いているように見えた。
(黄泉返る死者、か……)
 果敢に斧を振るい、雑魔の身体を断ち切るタラサが想うのは、己の死んだ兄妹のこと。彼らも何らかの手違いで、こうして動き出し生者を襲う時が来るのだろうか、と彼女は思う。
「……いいや。彼らはもう笑わないし、泣かない。共に歩むことはできない」
 ああ、唸りを上げる斧は、まるでタラサの悲鳴のよう。どう祈りを捧げたらいいのか分からないと、彼女は唇を噛み締めながら戦い続けた。
(一人だけ生き残った私にゃ、死者に掛ける言葉が見つからない――今は、まだ)
 かつて戦士であった頃振るった剣を、死人の雑魔は理想も何もなく振り回す。それを機導術によって盾を動かす事で凌いだ鈴蘭は、続く勢いで苦無を突き立てた。
「もう一度死ぬのはどんな気持ちなんだろうね……だからと言って、手加減はできないけどね」
 今生きるのもままならない、そう続けて鈴蘭は腐敗した死者を蹴飛ばして。其処へざくろが篭手の宝石で中空に三角形を描き、その頂点から放たれた光が横合いから迫る雑魔を纏めて貫いていた。
「二人には一歩も近付けない……必殺デルタエンド!」
 ――仕留められる機会を逃しはしない。無慈悲な猟犬のようにティーアは死者に食らい付き、鋭い斧刃がばさりとその首を刎ねる。
「死人は大人しく死んどけ。ここは墓場だぜ? てめぇらがオネンネするにゃ最適だろうが」
 そしてカッツが洗練された動きで一気に肉薄し、鮮やかに獲物を斬り捨てて――気が付けば雑魔はその数を半分以下まで減らし、遂に退路が確保されたのだった。

●Evacuation
「さて、押すか引くかは状況次第って感じかねえ」
 任務の遂行を第一に考えるならば、メルフィとシエナを連れて一刻も早く撤退すべきだろう。しかし、雑魔の群れを放っておけないと言う思いも在る。とりあえず、指示があったらそいつに従っとくとカッツは仲間たちに目配せをした。
「先輩諸氏の忠告は大人しく聞いとくべきだ。一応長生きしたいんでね」
「……んーやっぱり、素直に撤退すべきだよね」
 そう言って退路を確認したのは鈴蘭だ。しかし一方で、ざくろとティーアは敵の殲滅を考えているようだった。
「再び安らかな眠りについて貰う為に、雑魔は殲滅しておきたいな」
「俺も、敵を殲滅させずに撤退はしたくないな。彼らは元は戦いで命を落とした英霊だ。そんな彼らをあのままにするのは忍びないし、彼らが人を襲うのを見過ごしたくはない」
 けれど、救出するべきメルフィ達を守っての戦闘は、思わぬ事故が起きないとも限らない。己の果たすべき使命を取り違えない事だ、とフィオナは冷然とした態度で告げた。
「墓は直せる。その後祈りを捧げ直すことも出来る。だが、拾える命を落としてはそれすら出来ん」
「ええ、離脱しますよ。直接的な怪我だけが問題じゃないんですから」
 雷をはじめとした、他の仲間らも敵の殲滅よりもメルフィ達の安全を優先しているようだ――ならば迷っている時間などない。墓地からの撤退を決めた一行は、尚も此方に向かって来る死者を牽制しながら、安全な街道へ向けて駆け出した。
「黄泉返った彼らが生前戦士だったと聞くと、礼を以て斬り結びたい所だったんだがね」
 メルフィ達に行けと目配せして、タラサは迫る死者を振り払うように斧を叩きつける。
「数が数だし状況が状況だ、そうも言ってられないさ!」
(天使たちが、楽園へと導きますように)
 一方で千春も、神の加護を宿すメイスに魔力を込めて呪われし死者を迎撃した。そうして頃合いを見計らった所で、彼女たちも撤退へと移る。
「悪いがお仲間になる気はねえよ。二度も同じこと言わせんな。大人しく死んでろっつーの」
「生憎と、まだやらないといけない事が沢山ありますので、貴方達の所へは行けないんですよ」
 そして、カッツと雷も雑魔との間合いを計りつつ、機を窺いながら一気に地を蹴って逃走した。ティーアとざくろは微かに名残惜しそうな表情をしていたが、結局ざくろが超重練成の一撃を叩きつけた所で撤退する事にしたようだ。
(もう戦わなくていいんだ、もう一度安らかに眠って)
 ざくろの祈りは、形にならず胸の奥に秘めて。メルフィに悲しまないかと問いかけた鈴蘭は、彼女が大丈夫と頷いたのを確認してから、酒と布を用いた即席の火炎瓶を背後に投げつけた。
 ――もう二度と立ち上がらなくていいように、墓地に眠る他の人達も、一緒に浄化されるように。そう祈った炎は、雑魔の足を僅かに留まらせる事しか出来なかったけれど――逃げる時間を少しでも稼げたのならと鈴蘭は頷き、一瞬だけ背後を振り返って呟きを零す。
「死んだ人を相手にできるほど、僕達に時間は残されてないんだよね……全力で生きて、そして死んでいかないと」
 何もできないままは嫌だから、と。最後に漏らした声は生ぬるい風にさらわれていった。

●Pray
 墓地を脱出し、安全な場所までやって来た所で、彼らはようやく一息つく事が出来た。其処で改めてメルフィは皆に礼を言い、シエナもまだまだ実力が足りないと痛感しているようだった。
 ――死者が墓から蘇り、生者を襲う。その光景はやはり鮮烈で、彼らも望んで雑魔と化したのではないと思うとやるせなさが募る。
「それでも……全部背負って、目の前の脅威を打ち払って、残った片目で全部見届ける。私ができるのは、それだけだ」
 そうすればいつか、死者と向き合い祈りを捧げられる日が来るかもしれないと、タラサは思った。そして聖導士である千春は、真摯なまなざしで皆に告げる。
「祈りは、意味のないものじゃない。その祈りによって救われる人は、少なくない。私は、そう信じています」
 こうして場は落ち着いたけれど、為す術の無かったメルフィの心境は複雑だろう。そう思ったカッツは、いつもの軽い笑みを浮かべてメルフィの肩を叩いた。
「難しいこと考えんのは後回しだ。シスターは祈るのが仕事だろ?」
 墓地が荒れたら墓守が直す。また雑魔が出たらハンターが退治する。其々が自分に出来る何かをやって、世界は回っていくのだ。だから。
「あんたはあんたの仕事をしなよ。そうすりゃ、ちったあマシな世界になるさ」

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MVP一覧

  • 誓いの隻眼
    タラサ=ドラッフェka5001
  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒトka5177

重体一覧

参加者一覧

  • アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」マイスター
    ティーア・ズィルバーン(ka0122
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 世界の北方で愛を叫ぶ
    樹導 鈴蘭(ka2851
    人間(紅)|14才|男性|機導師
  • 光あれ
    柏木 千春(ka3061
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • 傲岸不遜
    フィオナ・クラレント(ka4101
    人間(蒼)|21才|女性|闘狩人
  • 誓いの隻眼
    タラサ=ドラッフェ(ka5001
    人間(紅)|23才|女性|闘狩人
  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
  • 能力者
    狭霧 雷(ka5296
    人間(蒼)|27才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/01 02:31:53
アイコン 相談卓
柏木 千春(ka3061
人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/08/03 22:15:41