ゲスト
(ka0000)
Prayer/Breaker
マスター:柚烏

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/04 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/13 12:00
オープニング
汚泥のように澱み、酷く湿った夏風が草原を吹き抜けていった。夕暮れ時の空は、まるで鮮血の色を思わせる程に不吉な赤で――彼方に沈もうとする夕陽が照らすのは、半ば苔むし朽ち果てようとしている墓石の群れだ。
(どれほどの方々が、無念にも死していったのでしょう)
けれど、熱病にあえぐような夏の景色の中、清廉な輝きを放つ存在があった。ひとつひとつの墓に跪き、丁寧に祈りを捧げていくのは、エクラ教の助祭であるメルフィという娘だ。
(例え、皆に忘れ去られたとしても。わたくしは覚えておきましょう……あなた方は確かに、この世界に生きていたのだと言う事を)
メルフィの祈りは、悲痛な願いにも似ていた。ひとびとを救いたいと願えど、自分ひとりで出来ることなど限られているのだと――彼女は嫌と言う程知っていたから。
「これで、この地は大体回りましたかしら」
けれど、何もせずにいる事は出来なくて。メルフィは各地を回り、死者の安息を祈る旅に出た。彼女の後ろに無言で佇むのは、此処の墓地へ向かう際に護衛として雇ったハンターの少女――名は確かシエナと言う。
「……メルフィ。何だか空気がおかしい。嫌な予感がする」
「シエナさん? それはどういう……」
鋭い瞳を周囲に向けるシエナは、素早く短剣を抜いてメルフィの前に出た。するとどうだろう――彼女たちを取り囲む墓石のあちらこちらから、柔らかな土を食い破るようにして腐敗した腕が、頭が、体が、次々に姿を現していくではないか。
(雑魔が居るかもしれない、と言う危険はあった。なのに、まさか……これほど多いとは)
それは、雑魔と化した死者たち――所謂アンデッド、死にぞこないだ。完全に骨のみとなり、からからと乾いた音を鳴らすもの。腐敗した肉片をこびりつかせ、生前の面影を宿すもの――様々な個体が居るが、皆が一様に武装し武器を構えていた。
「此処は……亜人との戦いで命を落とした戦士たちの墓地、です」
告げるメルフィの声は微かに震えていた。しかし雑魔と化した今、彼らは生あるものを狩ろうと躊躇なく此方に刃を向けるだろう。
「矜持も何もかも、死ねばそれで終わり」
後ろ手にメルフィを庇いながら、シエナは唸りを上げる長剣を短刀で弾いた。
「……私は、祈る術など持ち合わせていない」
緊急の依頼がある、とハンターオフィスの職員は居合わせたハンター達に告げた。この街から少し離れた場所にある草原――其処に、雑魔の発生が確認されたのだと。
「其処には墓地が広がっていまして、恐らくは埋葬された死者が雑魔化したのでしょう。目撃情報も幾つか寄せられていたので警戒はしていたんですが……つい先程、旅の助祭と護衛のハンターが向かってしまったようなんです」
雑魔たちは人型の生ける死者で、日没と共に活動を開始するらしい。数は多く、ハンターがひとりでは太刀打ち出来ずにやられてしまう――故に、至急現場へ向かい雑魔を退治、ふたりを無事に保護して欲しいと職員は言った。
「ハンターは駆け出しで、勿論助祭に戦う術はありません。……死者の眠りを祈る筈が、自分たちも死者の仲間入りなんて、洒落になりませんから」
どうか、よろしくお願いしますと、切実な声がオフィスの中に響いていく。
「シエナさん!」
一方、生ける死者らに囲まれたふたりは徐々に追い詰められていた。刃を握るシエナの腕からは赤い雫が伝い、彼女は黒髪を揺らして「大丈夫だ」とかぶりを振る。
「戦うのは、私の役目。私は祈らない……祈れない。ただ、敵を倒すことしか出来ない。でも」
――あなたは、そのままでいて。私の分まで、死せる者の安息を祈って。そう訴えるように、シエナの瞳が微かに和らいだ。
地平線の彼方に、陽が沈む。そして――死者の踊る、夜がやって来る。
(どれほどの方々が、無念にも死していったのでしょう)
けれど、熱病にあえぐような夏の景色の中、清廉な輝きを放つ存在があった。ひとつひとつの墓に跪き、丁寧に祈りを捧げていくのは、エクラ教の助祭であるメルフィという娘だ。
(例え、皆に忘れ去られたとしても。わたくしは覚えておきましょう……あなた方は確かに、この世界に生きていたのだと言う事を)
メルフィの祈りは、悲痛な願いにも似ていた。ひとびとを救いたいと願えど、自分ひとりで出来ることなど限られているのだと――彼女は嫌と言う程知っていたから。
「これで、この地は大体回りましたかしら」
けれど、何もせずにいる事は出来なくて。メルフィは各地を回り、死者の安息を祈る旅に出た。彼女の後ろに無言で佇むのは、此処の墓地へ向かう際に護衛として雇ったハンターの少女――名は確かシエナと言う。
「……メルフィ。何だか空気がおかしい。嫌な予感がする」
「シエナさん? それはどういう……」
鋭い瞳を周囲に向けるシエナは、素早く短剣を抜いてメルフィの前に出た。するとどうだろう――彼女たちを取り囲む墓石のあちらこちらから、柔らかな土を食い破るようにして腐敗した腕が、頭が、体が、次々に姿を現していくではないか。
(雑魔が居るかもしれない、と言う危険はあった。なのに、まさか……これほど多いとは)
それは、雑魔と化した死者たち――所謂アンデッド、死にぞこないだ。完全に骨のみとなり、からからと乾いた音を鳴らすもの。腐敗した肉片をこびりつかせ、生前の面影を宿すもの――様々な個体が居るが、皆が一様に武装し武器を構えていた。
「此処は……亜人との戦いで命を落とした戦士たちの墓地、です」
告げるメルフィの声は微かに震えていた。しかし雑魔と化した今、彼らは生あるものを狩ろうと躊躇なく此方に刃を向けるだろう。
「矜持も何もかも、死ねばそれで終わり」
後ろ手にメルフィを庇いながら、シエナは唸りを上げる長剣を短刀で弾いた。
「……私は、祈る術など持ち合わせていない」
緊急の依頼がある、とハンターオフィスの職員は居合わせたハンター達に告げた。この街から少し離れた場所にある草原――其処に、雑魔の発生が確認されたのだと。
「其処には墓地が広がっていまして、恐らくは埋葬された死者が雑魔化したのでしょう。目撃情報も幾つか寄せられていたので警戒はしていたんですが……つい先程、旅の助祭と護衛のハンターが向かってしまったようなんです」
雑魔たちは人型の生ける死者で、日没と共に活動を開始するらしい。数は多く、ハンターがひとりでは太刀打ち出来ずにやられてしまう――故に、至急現場へ向かい雑魔を退治、ふたりを無事に保護して欲しいと職員は言った。
「ハンターは駆け出しで、勿論助祭に戦う術はありません。……死者の眠りを祈る筈が、自分たちも死者の仲間入りなんて、洒落になりませんから」
どうか、よろしくお願いしますと、切実な声がオフィスの中に響いていく。
「シエナさん!」
一方、生ける死者らに囲まれたふたりは徐々に追い詰められていた。刃を握るシエナの腕からは赤い雫が伝い、彼女は黒髪を揺らして「大丈夫だ」とかぶりを振る。
「戦うのは、私の役目。私は祈らない……祈れない。ただ、敵を倒すことしか出来ない。でも」
――あなたは、そのままでいて。私の分まで、死せる者の安息を祈って。そう訴えるように、シエナの瞳が微かに和らいだ。
地平線の彼方に、陽が沈む。そして――死者の踊る、夜がやって来る。
解説
●成功条件
助祭・メルフィとハンター・シエナの救出。墓地に現れたアンデッド雑魔10体は、全て倒さなくても構いません。
●アンデッド雑魔×10
ゾンビやスケルトンの混成。全て武装しており、剣や槍などの近接武器を使って攻撃してきます。質より量のようで、数の多さが厄介です。
●メルフィ
一般人の女性でエクラ教の助祭です。20前後で、死者を弔う旅に出ていました。性格は真面目で敬虔、ひとの痛みを自分のことのように感じてしまいます。戦闘能力はありません。
●シエナ
駆け出しのハンターで、ジョブは疾影士。10代半ばのクールな少女です。メルフィを守るように行動しますが、彼女の実力ではこのままではやられてしまいます。開始時点で、体力は1/4ほど減少しています。
●戦場
草原にある夜の墓地。周囲には墓石が幾つも立ち並び、メルフィとシエナは雑魔に包囲されつつあります。そこへ駆けつけ、この危機に対処するという流れになります(ピンチ、という時に割って入る所からスタートします)。
二人に近付く為には、数体の雑魔を突っ切っていかなくてはなりません。敵は近くに居る相手を狙ってきます。遠距離からいくら挑発を行っても、其方に向かう可能性は低いと考えて下さい。
また、範囲攻撃は墓石も巻き込みます。『当てないようにする』としても、敵に当てようとする以上は巻き添えにしてしまいます。ここへはメルフィが祈りを捧げていたので、墓地が荒らされる事には心を痛めます。そこら辺の気持ちを汲むのであれば注意してください。
●その他
戦闘シーンメインですが、心情なども重視したいと思います。あなたは、死者へ何を祈りますか。それともただ刃を振るうのでしょうか。何をもって救いとするのか、など想いを寄せて頂ければ、戦闘と合わせて描写いたします。
助祭・メルフィとハンター・シエナの救出。墓地に現れたアンデッド雑魔10体は、全て倒さなくても構いません。
●アンデッド雑魔×10
ゾンビやスケルトンの混成。全て武装しており、剣や槍などの近接武器を使って攻撃してきます。質より量のようで、数の多さが厄介です。
●メルフィ
一般人の女性でエクラ教の助祭です。20前後で、死者を弔う旅に出ていました。性格は真面目で敬虔、ひとの痛みを自分のことのように感じてしまいます。戦闘能力はありません。
●シエナ
駆け出しのハンターで、ジョブは疾影士。10代半ばのクールな少女です。メルフィを守るように行動しますが、彼女の実力ではこのままではやられてしまいます。開始時点で、体力は1/4ほど減少しています。
●戦場
草原にある夜の墓地。周囲には墓石が幾つも立ち並び、メルフィとシエナは雑魔に包囲されつつあります。そこへ駆けつけ、この危機に対処するという流れになります(ピンチ、という時に割って入る所からスタートします)。
二人に近付く為には、数体の雑魔を突っ切っていかなくてはなりません。敵は近くに居る相手を狙ってきます。遠距離からいくら挑発を行っても、其方に向かう可能性は低いと考えて下さい。
また、範囲攻撃は墓石も巻き込みます。『当てないようにする』としても、敵に当てようとする以上は巻き添えにしてしまいます。ここへはメルフィが祈りを捧げていたので、墓地が荒らされる事には心を痛めます。そこら辺の気持ちを汲むのであれば注意してください。
●その他
戦闘シーンメインですが、心情なども重視したいと思います。あなたは、死者へ何を祈りますか。それともただ刃を振るうのでしょうか。何をもって救いとするのか、など想いを寄せて頂ければ、戦闘と合わせて描写いたします。
マスターより
柚烏と申します。夏っぽい雰囲気のお話にしよう、と思いこんな感じになりました。
救出第一の依頼ですが、どんな想いで戦いに挑むかによって雰囲気は変わってくると思います。ぜひ、皆様のキャラクターならではの個性を、ぶつけて下されば嬉しいです。それではよろしくお願いします。
救出第一の依頼ですが、どんな想いで戦いに挑むかによって雰囲気は変わってくると思います。ぜひ、皆様のキャラクターならではの個性を、ぶつけて下されば嬉しいです。それではよろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/09 21:51
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/01 02:31:53 |
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相談卓 柏木 千春(ka3061) 人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/08/03 22:15:41 |