ゲスト
(ka0000)
黒くて大きくて適度な弾力のアレ
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/08/18 09:00
- 完成日
- 2015/08/23 16:59
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
必ず迷うと噂される深い森――リンダールの森を抜けたグラズヘイム王国南東部の果て、自由都市同盟領との境が近いある所に、その村はあった。
その村と周囲の領地の主は王都近郊のある貴族であった。いわゆる、飛び地である。領主の代わりに代官と呼ばれる者が領地経営を行う、その制度の歴史は王国の半島統一時代まで遡るともいう。
●ある村のお話
「今年も、この季節がやって来たのじゃ」
長老が集まった村人達に宣言する。
年に一度の収穫祭に向けての準備だ。
「昨年は、ハンターの力でいつになく大盛況だった。今年も大いに盛り上がらせたい」
村に現れた雑魔をハンターに倒してもらい、その戦い振りを劇の内容に活かして、とても好評だった。
代官も喜び、同盟領までの街道の整備を約束してくれた。
「では、本題じゃが、本年の祭りのメインを決めたいのじゃ。テーマは、『食』じゃ」
ガヤガヤと村人達が騒ぎ出す。
「やっぱり、アレしかねぇよな」
「こんなの出来レースじゃんか」
「オレ、嫌いなんだよな。旨いけど、見た目がよ」
村人達の反応はどれも似た様な反応だった。
黒光りするその生物は、もともと、この村では食事に用いられていなかった。
だが、数年前に訪れた旅人の中に、リアルブルーからの転移者がおり、その者が振舞ったのが始まりになったのだ。
今では、ある程度の規模の養殖場を設ける事にもなり、外への出荷も少しずつ行われている。なので、同盟領への街道整備は、村にとって嬉しい話しなのだ。
「長老! やはり、アレしかありません!」
1人の村人が挙手した。
「やはり、アレか……我が村のグルメ料理」
長老は村人全員を見渡した。
全員が頷いている。満場一致だ。
こうして、この村の収穫祭の目玉が決まった。ところがである……。
●二度ある事は三度ある
ある村人が養殖場を点検していた。
「収穫祭と、このグルメ、関係ないんじゃないかなと思うんだけど、おめぇーはどう思う?」
話しかけているが、人も向かって話してはいない。
養殖場の中にいる、黒光りのソレに向かっての独り言だ。
「ふつー、収穫祭といったら、秋の恵みだろっつのに」
強い日差しが痛かった。
止む事のない日光に、村人の独り言も続く。
「去年はよ、ゴキブリやらムカデの雑魔に出くわして、マジやばかったぜ」
二度も雑魔と遭遇して無事なので、運が良いのか悪いのか。
「……そういや、お前も黒光りしてる、な……」
作業する手を休めて、養殖場を見る。
大きな人工の池。村人が作業していたのは、養殖に必要な設備だ。わざわざ帝国から取り寄せた魔導装置である。
突然、その魔導装置がうなる。同時に静まる辺り。
「な……なん……だよ……」
急に怖くなって周囲を見渡す村人。
その時、養殖場の中で大きくなにかが揺れた。
「ひ、ひぃ!」
村人は見た。
黒光りするソレが、養殖場の中でそびえ立つ所を。
なんと――黒々しい事か!
なんと――立派な大きさか!
なんと――適度な弾力か!
「で、でたぁぁぁ!」
村人は必死の思いで駆けだしたのであった。
●とあるハンターオフィス
「最近、私の出番少ないし、扱いがザツって言ってやったのよー!」
受付嬢ミノリが愚痴をこぼしながらカウンターに肘ついていた。
聞かされている同僚は興味が無さそうで、適当にウンウンと頷いている。
「で、この依頼よ! おかしいわよ! セクハラよ!」
資料を引っ掴んで叫ぶ受付嬢。
ちゃんと真面目に仕事しろという心の声がオフィス内に静かに響いた――気がする。
「く、黒光りして、大きくて、適度な弾力なんて!」
顔を真っ赤にして声を大にするミノリを見ている方が逆に恥ずかしくなる。
「ただの雑魔退治の依頼の説明だと思ったら、これよ!」
ちゃんと正しく説明するのが受付嬢の仕事なのだが、これでは、説明を受ける方も受けたくなくなるものだ。
「黒光りして、大きくて、適度な弾力なんて!」
二度も言うなというツッコミの空気が、どこともなくオフィス内に広がった。
1人のハンターが呆れて立ち去っていく。
モニターには、その依頼の討伐対象が映し出されていた。
それは――巨大なウナギの様な姿をしていた。
その村と周囲の領地の主は王都近郊のある貴族であった。いわゆる、飛び地である。領主の代わりに代官と呼ばれる者が領地経営を行う、その制度の歴史は王国の半島統一時代まで遡るともいう。
●ある村のお話
「今年も、この季節がやって来たのじゃ」
長老が集まった村人達に宣言する。
年に一度の収穫祭に向けての準備だ。
「昨年は、ハンターの力でいつになく大盛況だった。今年も大いに盛り上がらせたい」
村に現れた雑魔をハンターに倒してもらい、その戦い振りを劇の内容に活かして、とても好評だった。
代官も喜び、同盟領までの街道の整備を約束してくれた。
「では、本題じゃが、本年の祭りのメインを決めたいのじゃ。テーマは、『食』じゃ」
ガヤガヤと村人達が騒ぎ出す。
「やっぱり、アレしかねぇよな」
「こんなの出来レースじゃんか」
「オレ、嫌いなんだよな。旨いけど、見た目がよ」
村人達の反応はどれも似た様な反応だった。
黒光りするその生物は、もともと、この村では食事に用いられていなかった。
だが、数年前に訪れた旅人の中に、リアルブルーからの転移者がおり、その者が振舞ったのが始まりになったのだ。
今では、ある程度の規模の養殖場を設ける事にもなり、外への出荷も少しずつ行われている。なので、同盟領への街道整備は、村にとって嬉しい話しなのだ。
「長老! やはり、アレしかありません!」
1人の村人が挙手した。
「やはり、アレか……我が村のグルメ料理」
長老は村人全員を見渡した。
全員が頷いている。満場一致だ。
こうして、この村の収穫祭の目玉が決まった。ところがである……。
●二度ある事は三度ある
ある村人が養殖場を点検していた。
「収穫祭と、このグルメ、関係ないんじゃないかなと思うんだけど、おめぇーはどう思う?」
話しかけているが、人も向かって話してはいない。
養殖場の中にいる、黒光りのソレに向かっての独り言だ。
「ふつー、収穫祭といったら、秋の恵みだろっつのに」
強い日差しが痛かった。
止む事のない日光に、村人の独り言も続く。
「去年はよ、ゴキブリやらムカデの雑魔に出くわして、マジやばかったぜ」
二度も雑魔と遭遇して無事なので、運が良いのか悪いのか。
「……そういや、お前も黒光りしてる、な……」
作業する手を休めて、養殖場を見る。
大きな人工の池。村人が作業していたのは、養殖に必要な設備だ。わざわざ帝国から取り寄せた魔導装置である。
突然、その魔導装置がうなる。同時に静まる辺り。
「な……なん……だよ……」
急に怖くなって周囲を見渡す村人。
その時、養殖場の中で大きくなにかが揺れた。
「ひ、ひぃ!」
村人は見た。
黒光りするソレが、養殖場の中でそびえ立つ所を。
なんと――黒々しい事か!
なんと――立派な大きさか!
なんと――適度な弾力か!
「で、でたぁぁぁ!」
村人は必死の思いで駆けだしたのであった。
●とあるハンターオフィス
「最近、私の出番少ないし、扱いがザツって言ってやったのよー!」
受付嬢ミノリが愚痴をこぼしながらカウンターに肘ついていた。
聞かされている同僚は興味が無さそうで、適当にウンウンと頷いている。
「で、この依頼よ! おかしいわよ! セクハラよ!」
資料を引っ掴んで叫ぶ受付嬢。
ちゃんと真面目に仕事しろという心の声がオフィス内に静かに響いた――気がする。
「く、黒光りして、大きくて、適度な弾力なんて!」
顔を真っ赤にして声を大にするミノリを見ている方が逆に恥ずかしくなる。
「ただの雑魔退治の依頼の説明だと思ったら、これよ!」
ちゃんと正しく説明するのが受付嬢の仕事なのだが、これでは、説明を受ける方も受けたくなくなるものだ。
「黒光りして、大きくて、適度な弾力なんて!」
二度も言うなというツッコミの空気が、どこともなくオフィス内に広がった。
1人のハンターが呆れて立ち去っていく。
モニターには、その依頼の討伐対象が映し出されていた。
それは――巨大なウナギの様な姿をしていた。
リプレイ本文
●養殖場にて
夏特有の強い日差し。
「く、こんな依頼だったなんて……ですが、村人が困ってるのは事実ですし、何とかしないとですね……」
白い三角ビキニ姿のサクラ・エルフリード(ka2598)が足を交差させ、腕で胸元を隠しながら、顔を真っ赤にしていた。
「知合いに水着を貰ったのはいいですが、流石に恥ずかしい気がします……」
身体を捻じりながら辺りを見渡す動きが、逆に色気を増している事には気がついていないようだ。
とりあえず、雑魔退治の仕事。困っている村人の為にも頑張ろうと……心の中で気合いを入れる。
その隣で薄い布地の湯浴み着を水着の上に羽織っているのは、舞花(ka4794)だった。村人から渡された物だ。
舞花は養殖場の縁に威風堂々と仁王立ちして名乗りを上げている。
「人は誰も呼ばないけれど、自称して愛と正義の小悪魔――リトルデビル――。舞花とはわたしの事」
小太刀をビシビシっと養殖場の中に向けた。
「ああ、覚える必要はないわ、だって、これからわたしの舞闘――ダンスマカブル――で、切り刻まれるんですもの」
その台詞に様子を見守っている村人達がヒソヒソとなにか囁き合っている。
『大丈夫か、あの娘?』やら『ああいう年頃なんじゃろ』などと言っているような気もするが、本人には聞こえていないようだ。舞花にとっては戦闘前に大事な儀式なのだ。
その時、雑魔が一瞬、姿を持ち上げた。受付嬢が言った通り、黒くて大きくて適度な弾力がありそうだ。
(それにしても、他に言いようは無かったのかしらね……)
そんな事を思いながら、アルラウネ(ka4841)が現れた雑魔を注意深く観察した。
雑魔は水の中に戻って行く。養殖場の中には生存している鰻も存在する。ハンター達は水質を汚染させない為、水着で戦う事を条件つけられていた。
アルラウネが肩紐のない、シンプルな黄緑色のバンドゥビキニ姿であるのはそういう理由だからだ。
(衣服を着ないで活動する事にそれなりに慣れてるから、特に気にはならないわね)
人目を気にせず豊満なそれを揺らした。
反応がそれぞれ違う女性ハンター達の姿にクィーロ・ヴェリル(ka4122)は若干、困惑気味の表情を浮かべていた。
「水中戦……でいいのかな……? まさか水着だけにされるとは思わなかったな……」
困惑しているのは、戦闘内容に対しての様だが……。
トランクス型の水着姿で日本刀を持つ姿はある意味清々しい程の勇姿ではある。
「それで、シュヴァンツさん。僕になにか用なのかな?」
「ここにもウナギが……いや、なんでもねぇよぉ」
クィーロのある一点を凝視していたディック・シュヴァンツ(ka3904)が薄ら笑いを浮かべながら視線を養殖場に向き直した。
普段から脱がせてもらえない拘束服を依頼の為に外されたのだ。依頼が始まる前からフリーダムな状況を自ら閉じる事はない。ここは諸々、グッと堪えた。
「俺様、女の子の前で下品な露出とかしたくねーからぁ? 紳士の嗜みっつーかぁ??」
海パンとパーカー姿はパッと見、『まとも』なのだが、全身から発せられる雰囲気は狂人にも似た空気を漂わせていた。
特に、ウナギに向ける視線が怖い。
個性的な仲間達の姿を絵に残し、画材を一時片付けたのは、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)だった。
(この村、やけに雑魔に好かれてるのね)
彼女がそう思うのも無理はない。エヴァは昨年、この村で発生した雑魔絡みの依頼に参加していた。村人は「虹の天使の再来だ」とか盛り上がっていた様子で戦いが終わってないのにも関わらず、鰻料理を作り始めていた。
(ここでの仕事は久々だし、頑張ろうかしら)
美味しい物も出るらしいし、なにより、また、ここで絵が描けるのだからとエヴァは思うのであった。
●アレ
「暴食の泉より出でし漆黒の魔の化身よ、覚悟しなさい」
威勢良く養殖場の中に飛び込む舞花。『暴食』――フェレライ――ではなく、養殖されている鰻を差しているのかどうかは、この台詞を言った本人しかわからない事ではあるが。
漆黒の魔の化身である――鰻の形をした雑魔が、養殖場に侵入してきたハンター達に反応して、そびえ立つ。
堂々と、そびえ立つ!
「さっさと倒してしまえばいいのですよね……。って、あれが目標……。す、凄く……大きいです……」
思わず生唾を飲み込むサクラ。そのビクビクした動きがナニかを連想させた。太刀を構える。あれは、雑魔なのだから。
その横に並んだクィーロが不敵な笑みを浮かべていた。
「ははは! 鰻だってなら捌いてやるよ!」
血気盛んな言葉に反応してか、雑魔が巨大な身体を震わせた。
宙で、黒いソレが薙ぎ払うようにぶぅんと回る。
「いいぜぇ、そのうねり……命の危機に瀕して一層漲ってんだろ? そうだろ?」
ディックが雑魔の攻撃を避けながら、拳を構えて突貫した。
雑魔が持ち上げた先端部がぬるぬると光で反射する。なにか……出てきそうな勢いだ。
「これはちょっと怖いかも……」
その様子を見てアルラウネがそんな言葉を呟いた。
ただの雑魔ではあるのだが、ナニかを連想させるその挙動が怪しい。
エヴァが水面に『立って』いる。水面の上に立つ魔法を使用しているからであるが、仲間にかけなかったのは、彼女なりの気遣いの為なのかもしれない。
【打ちます】
と書かれたカードを一瞬掲げ、エヴァが電撃の魔法を使用した。
広範囲に影響を及ぼす魔法だが、水中を走らなければ養殖場や養殖鰻に損害が出ないという説明に村人達が使用を許可したからだ。
予想外の攻撃に驚いた雑魔がビクビクと身体を震わすと、先端部のぬるぬるがより一層増してきた。
(サービスショット、という物を求められているのかしら)
遠巻きに戦闘の様子を見守っている村人達からの視線と歓声に、ふと、そんな事を思った。
なら……ピンチの仲間を敢えて助けない方がいいのかなと心に決める。
先端をヌルヌルと濡らす雑魔が身体を震わせた。
「うひひひ! どんどん、よがれよ! 俺様の拳でよ!」
理解するには意味不明な叫び声と共に涎を撒き散らしながら、ディックが嬉々としている。戦意は相当に上がっている様だ。
クィーロも戦闘状態に入った事でテンションが上がっていた。
雑魔を捌く様に連続で斬りつける。しかし、反撃らしい反撃はなく、ただ、先端からぬるぬるとした体液が出てくるだけだ。まるで……ナニかを我慢しているように。
「ちっ……こいつじゃ、面白みがねぇな……もっと俺を熱くさせろよ!」
その言葉が合図になったのかどうかはわからないが、突如、雑魔が先端部の口から多量の体液を噴き出した。
それも、一度ではなく、二度、三度とビクビクと肉身を振るわせて。
「ちょ…っ!? こんなの、聞いてな……いっ!」
アルラウネが驚きの声を発した。
雑魔のヌルヌルっとして、ヌメヌメっとした体液が雨の如く降りかかる。
「小さい鰻の雑魔ですか!?」
ぬるぬるっとした感触の中に、一際、ぞくぞくっと身体を駆けて行ったモノを目撃して、サクラが叫ぶ。
体液と一緒に、小さい鰻の形をした雑魔が居た様だ。噛みつくという事はないが、身体を這ってくる。
「本体を倒せば、こんな小さな鰻の雑魔くらいどうという事は……ん、ひゃ……!? ちょ、どこに入って来てるんですかっ!?」
強気だったサクラは、一転、慌てた様子で水着を抑える。
胸の水着の中に、子雑魔が侵入したからだ。
「ちょ、どこ、触って……ふぁ! ダ、ダメ!」
水着の中に侵入を許したのは、舞花も同じだった。さらに彼女にとって不幸だったのは、湯浴み着を身につけていた事だった。思うように、子雑魔を抑える事ができない。
「ぬるぬるで……う、うまく取れないぃ。……って、だ、だから! そこは、弱いから、ダメだってぇ!!」
全身を這う刺激に舞花は武器を落とした。もはや、戦いどころではない。段々と上気していく頬。漏れる吐息が甘くなっていく……きっと、この炎天下もあって、熱中症になりかけてきたのかもしれない。
「これは、キリがないわね」
アルラウネは身体を這う子雑魔を相手にするのは、早々に諦めた。水着を取り外すと、何事も無かったかのように大太刀を振りかぶった。色々と揺れている。
ビュオっと雑魔が尻尾を水中から突き立てて来たが、それを円を描く軌道で避けながら受け流すと刀先を雑魔に突き立てた。
「私も、この、程度でっ!」
サクラが水着の中に入っている子雑魔を強引に掴み外す。その過程で、水着がズレたが、集中している為か、気がついていない様子だ。
「はぁはぁ……。もう一回、同じ事をされるまえに、一気に倒さないと……! 光の剣よ!」
彼女が持つ太刀が白く光だす。光の精霊力を付与する事で武器を強化する魔法だ。
クィーロもひたすら刀を振りまわしていた。全身がヌルヌルだが、戦いに支障は無かった。それでか、冴えない表情を彼は浮かべていた。命の危険を感じられない程、手応えが無い。トランクス型の水着の中を子雑魔が這いまわっていても、気にもならない。
「うっ! おぉ!」
突如、クィーロは目を輝かせた。子雑魔の意外な動きに燃え上がった様だ。
水着の中に手を突っ込むと、叫び声と共に子雑魔を引っ張り出したのだ。そいつは……クィーロの体内に侵入しようとしていた。
「……んっ、はぁ……はぁ……いいぜ……これだ……こういうのを……待ってた……んだよ!」
雑魔の攻撃を避けながら、水着の中に手を入れて、残りの子雑魔を掴み取るクィーロ。
水着の中に子雑魔が入り込んでいる状況は、ディックも同様だ。這いあがってくる子雑魔を払っていたが、追いつかず、ついに、水着の中に侵入を許してしまう。
ぬるぬるぬめぬめとした感触が水着の中で広がった。
「だぁー! そこ、お前らの穴じゃねーから!! 100万ゴールドの美ケツに気安く触んなってのなぁ!!」
物凄く慌てた様子で、ディックも水着の中に手を突っ込む。
そして、雑魔の攻撃を避けつつ、子雑魔を掴んでは、外へ放り投げた。
雑魔の目の前で水着に手を入れたまま身体を捩りながら攻撃を避ける野郎が2人。可笑しな光景だが、エヴァは敢えて……電撃の魔法を継続していた。
【頑張って】
と、カードだけを掲げているが、誰も見ていないのは明らかだ。
エヴァの魔法によりダメージが蓄積されてきたのか、苦しそうに悶える雑魔。ついで言うと、子雑魔のナニかで舞花も悶えていた。
薄い湯浴み着越しに、子雑魔が這っているのが見えるのが生々しい。
「ん……やっ……も、もう、らめぇぇ!」
大きく叫んだ舞花の口の中に、別の子雑魔が侵入してきた。
「んぐぅ! んー! んぅぅー!!」
全身ぬるぬるぬめぬめで子雑魔に這いまわされていた彼女は水の中に沈んで行った。
「ちょっと、きみ、ここで落ちたら、水死するわよ」
慌ててアルラウネが柔らかいソレを揺らしながら駆け付けると、舞花を救出した。
舞花の体内に入り込んでいる子雑魔を引き抜く。
その時、背後で雑魔と戦うディックの声が響いた。
「俺様の黒ウナギだって負けちゃいねぇ! むしろ、お前らの黒ウナギなんか、足元にも及ばねぇ!!」
叩きつける様に繰り出した強力な一撃で、雑魔が沈む。
「何故かって? 俺様、《ディック》様だからですぅうぅー!」
その上に馬乗りになる。
直後、雑魔が先端を上げた……その結果……。
ディックの股からそそり立つ黒く太いアレ。
「もらったぜぇ!」
好機と見たクィーロが横から刀を振り落とした。その一撃は、雑魔の胴体を輪切りにしたのであった。
村人達の歓声が上がった。……が、どうも、何人かは、崩れ去って行く雑魔ではなく、サクラの胸元に視線が集まっている。
「☆□△☆□△!!」
サクラが、水着を直しながら、声にならない叫び声をあげた。
●戦闘後
鰻のKABAYAKIとやらがハンター達に振舞われていた。
「う、鰻に……鰻に……」
舞花が半泣きになりながらも、それを頬張っていた。
色々とショックな様子だが……鰻料理を食べられるぐらいだから、大丈夫なのだろう。
「きょ、今日は、普通に依頼が終わった……。そう、何事もなく『普通に』終わったのです……。ああ、KABAYAKIが美味しいです……」
顔を真っ赤にしながらサクラもKABAYAKIを口に運んでいた。
そう……戦闘後、水着が外れていたという事実はないのだ。そんな事実は忘れた。ある事は、無事に討伐して今、美味しいKABAYAKIが食べられるという事。
アルラウネは初めて食す鰻を特に物怖じせずに食べている。口の中に広がる独特のタレの味と食感が美味しい。
「また、この鰻を脅かす雑魔が出た時は是非呼んでください!」
あまりにも美味しかったのか、おかわりを持ってきた村人に思わず声をかけていた。村人から見たら、もう、二度と雑魔には、出て欲しくない事だろうが……。
「何だろう……ひどい有様というべきだったが……」
戦闘の様子を振り返りクィーロが苦笑いを浮かべながら呟いた。
手元に置かれたKABAYAKIに箸を伸ばし……それを口に運んだ。
「これは……食べたことがある味だね……記憶は無くても舌は覚えていたのかな……」
転移の際に記憶を失った彼は、KABAYAKIの味に少し懐かしさを覚えていた。
故郷から遠く離れたこの異世界でも、感じられる懐かしさに、クィーロは口元を緩めた。
「うめーなぁ! これ!」
感傷にひたっている人の真横でディックが叫ぶ。ディックは初めて食べるKABAYAKIが気に召した様子だ。
「『カバ』って肉『も』硬いと思ってたんだがなぁ!」
色々と台無しの発言だが、誰もツッコミは入れなかった。
これが、先程まで死闘を繰り広げていた雑魔に良く似ている生物の肉だと知ったら、余計な事になりそうだという雰囲気が漂っていたからだ。
『修正いれなきゃいけない? 宗教絵とかにはいくらでものってるじゃない? ……鰻が』
スケッチブックに書かれた文章を、村長に向けるエヴァ。
「いや、さすがに、鰻は描かれていませんが……と、とにかく、このままは……」
村長が懇願するように答える。
エヴァはKABAYAKIを味わいながら、戦闘の様子を画に残していた……つまり、大惨事を、だ。
仕方なく、モザイクを入れようとするが……。
(ほぼ全面に修正を入れないと、ダメね)
悩んだ挙句、エヴァは、そびえ立つ黒光りして大きくて適度な弾力の雑魔を中央に大きく描き直し、その脇に「いらっしゃい!」と文字を添えてみた。そして、
【完成】【できました】【OK】
等々と複数の文字カードを画にポンっとエヴァは張り付けた。
……カードの下にハンター達の過激な絵が描かれたままなのを知るのは……今は、エヴァだけが知っている事であった。
おしまい。
夏特有の強い日差し。
「く、こんな依頼だったなんて……ですが、村人が困ってるのは事実ですし、何とかしないとですね……」
白い三角ビキニ姿のサクラ・エルフリード(ka2598)が足を交差させ、腕で胸元を隠しながら、顔を真っ赤にしていた。
「知合いに水着を貰ったのはいいですが、流石に恥ずかしい気がします……」
身体を捻じりながら辺りを見渡す動きが、逆に色気を増している事には気がついていないようだ。
とりあえず、雑魔退治の仕事。困っている村人の為にも頑張ろうと……心の中で気合いを入れる。
その隣で薄い布地の湯浴み着を水着の上に羽織っているのは、舞花(ka4794)だった。村人から渡された物だ。
舞花は養殖場の縁に威風堂々と仁王立ちして名乗りを上げている。
「人は誰も呼ばないけれど、自称して愛と正義の小悪魔――リトルデビル――。舞花とはわたしの事」
小太刀をビシビシっと養殖場の中に向けた。
「ああ、覚える必要はないわ、だって、これからわたしの舞闘――ダンスマカブル――で、切り刻まれるんですもの」
その台詞に様子を見守っている村人達がヒソヒソとなにか囁き合っている。
『大丈夫か、あの娘?』やら『ああいう年頃なんじゃろ』などと言っているような気もするが、本人には聞こえていないようだ。舞花にとっては戦闘前に大事な儀式なのだ。
その時、雑魔が一瞬、姿を持ち上げた。受付嬢が言った通り、黒くて大きくて適度な弾力がありそうだ。
(それにしても、他に言いようは無かったのかしらね……)
そんな事を思いながら、アルラウネ(ka4841)が現れた雑魔を注意深く観察した。
雑魔は水の中に戻って行く。養殖場の中には生存している鰻も存在する。ハンター達は水質を汚染させない為、水着で戦う事を条件つけられていた。
アルラウネが肩紐のない、シンプルな黄緑色のバンドゥビキニ姿であるのはそういう理由だからだ。
(衣服を着ないで活動する事にそれなりに慣れてるから、特に気にはならないわね)
人目を気にせず豊満なそれを揺らした。
反応がそれぞれ違う女性ハンター達の姿にクィーロ・ヴェリル(ka4122)は若干、困惑気味の表情を浮かべていた。
「水中戦……でいいのかな……? まさか水着だけにされるとは思わなかったな……」
困惑しているのは、戦闘内容に対しての様だが……。
トランクス型の水着姿で日本刀を持つ姿はある意味清々しい程の勇姿ではある。
「それで、シュヴァンツさん。僕になにか用なのかな?」
「ここにもウナギが……いや、なんでもねぇよぉ」
クィーロのある一点を凝視していたディック・シュヴァンツ(ka3904)が薄ら笑いを浮かべながら視線を養殖場に向き直した。
普段から脱がせてもらえない拘束服を依頼の為に外されたのだ。依頼が始まる前からフリーダムな状況を自ら閉じる事はない。ここは諸々、グッと堪えた。
「俺様、女の子の前で下品な露出とかしたくねーからぁ? 紳士の嗜みっつーかぁ??」
海パンとパーカー姿はパッと見、『まとも』なのだが、全身から発せられる雰囲気は狂人にも似た空気を漂わせていた。
特に、ウナギに向ける視線が怖い。
個性的な仲間達の姿を絵に残し、画材を一時片付けたのは、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)だった。
(この村、やけに雑魔に好かれてるのね)
彼女がそう思うのも無理はない。エヴァは昨年、この村で発生した雑魔絡みの依頼に参加していた。村人は「虹の天使の再来だ」とか盛り上がっていた様子で戦いが終わってないのにも関わらず、鰻料理を作り始めていた。
(ここでの仕事は久々だし、頑張ろうかしら)
美味しい物も出るらしいし、なにより、また、ここで絵が描けるのだからとエヴァは思うのであった。
●アレ
「暴食の泉より出でし漆黒の魔の化身よ、覚悟しなさい」
威勢良く養殖場の中に飛び込む舞花。『暴食』――フェレライ――ではなく、養殖されている鰻を差しているのかどうかは、この台詞を言った本人しかわからない事ではあるが。
漆黒の魔の化身である――鰻の形をした雑魔が、養殖場に侵入してきたハンター達に反応して、そびえ立つ。
堂々と、そびえ立つ!
「さっさと倒してしまえばいいのですよね……。って、あれが目標……。す、凄く……大きいです……」
思わず生唾を飲み込むサクラ。そのビクビクした動きがナニかを連想させた。太刀を構える。あれは、雑魔なのだから。
その横に並んだクィーロが不敵な笑みを浮かべていた。
「ははは! 鰻だってなら捌いてやるよ!」
血気盛んな言葉に反応してか、雑魔が巨大な身体を震わせた。
宙で、黒いソレが薙ぎ払うようにぶぅんと回る。
「いいぜぇ、そのうねり……命の危機に瀕して一層漲ってんだろ? そうだろ?」
ディックが雑魔の攻撃を避けながら、拳を構えて突貫した。
雑魔が持ち上げた先端部がぬるぬると光で反射する。なにか……出てきそうな勢いだ。
「これはちょっと怖いかも……」
その様子を見てアルラウネがそんな言葉を呟いた。
ただの雑魔ではあるのだが、ナニかを連想させるその挙動が怪しい。
エヴァが水面に『立って』いる。水面の上に立つ魔法を使用しているからであるが、仲間にかけなかったのは、彼女なりの気遣いの為なのかもしれない。
【打ちます】
と書かれたカードを一瞬掲げ、エヴァが電撃の魔法を使用した。
広範囲に影響を及ぼす魔法だが、水中を走らなければ養殖場や養殖鰻に損害が出ないという説明に村人達が使用を許可したからだ。
予想外の攻撃に驚いた雑魔がビクビクと身体を震わすと、先端部のぬるぬるがより一層増してきた。
(サービスショット、という物を求められているのかしら)
遠巻きに戦闘の様子を見守っている村人達からの視線と歓声に、ふと、そんな事を思った。
なら……ピンチの仲間を敢えて助けない方がいいのかなと心に決める。
先端をヌルヌルと濡らす雑魔が身体を震わせた。
「うひひひ! どんどん、よがれよ! 俺様の拳でよ!」
理解するには意味不明な叫び声と共に涎を撒き散らしながら、ディックが嬉々としている。戦意は相当に上がっている様だ。
クィーロも戦闘状態に入った事でテンションが上がっていた。
雑魔を捌く様に連続で斬りつける。しかし、反撃らしい反撃はなく、ただ、先端からぬるぬるとした体液が出てくるだけだ。まるで……ナニかを我慢しているように。
「ちっ……こいつじゃ、面白みがねぇな……もっと俺を熱くさせろよ!」
その言葉が合図になったのかどうかはわからないが、突如、雑魔が先端部の口から多量の体液を噴き出した。
それも、一度ではなく、二度、三度とビクビクと肉身を振るわせて。
「ちょ…っ!? こんなの、聞いてな……いっ!」
アルラウネが驚きの声を発した。
雑魔のヌルヌルっとして、ヌメヌメっとした体液が雨の如く降りかかる。
「小さい鰻の雑魔ですか!?」
ぬるぬるっとした感触の中に、一際、ぞくぞくっと身体を駆けて行ったモノを目撃して、サクラが叫ぶ。
体液と一緒に、小さい鰻の形をした雑魔が居た様だ。噛みつくという事はないが、身体を這ってくる。
「本体を倒せば、こんな小さな鰻の雑魔くらいどうという事は……ん、ひゃ……!? ちょ、どこに入って来てるんですかっ!?」
強気だったサクラは、一転、慌てた様子で水着を抑える。
胸の水着の中に、子雑魔が侵入したからだ。
「ちょ、どこ、触って……ふぁ! ダ、ダメ!」
水着の中に侵入を許したのは、舞花も同じだった。さらに彼女にとって不幸だったのは、湯浴み着を身につけていた事だった。思うように、子雑魔を抑える事ができない。
「ぬるぬるで……う、うまく取れないぃ。……って、だ、だから! そこは、弱いから、ダメだってぇ!!」
全身を這う刺激に舞花は武器を落とした。もはや、戦いどころではない。段々と上気していく頬。漏れる吐息が甘くなっていく……きっと、この炎天下もあって、熱中症になりかけてきたのかもしれない。
「これは、キリがないわね」
アルラウネは身体を這う子雑魔を相手にするのは、早々に諦めた。水着を取り外すと、何事も無かったかのように大太刀を振りかぶった。色々と揺れている。
ビュオっと雑魔が尻尾を水中から突き立てて来たが、それを円を描く軌道で避けながら受け流すと刀先を雑魔に突き立てた。
「私も、この、程度でっ!」
サクラが水着の中に入っている子雑魔を強引に掴み外す。その過程で、水着がズレたが、集中している為か、気がついていない様子だ。
「はぁはぁ……。もう一回、同じ事をされるまえに、一気に倒さないと……! 光の剣よ!」
彼女が持つ太刀が白く光だす。光の精霊力を付与する事で武器を強化する魔法だ。
クィーロもひたすら刀を振りまわしていた。全身がヌルヌルだが、戦いに支障は無かった。それでか、冴えない表情を彼は浮かべていた。命の危険を感じられない程、手応えが無い。トランクス型の水着の中を子雑魔が這いまわっていても、気にもならない。
「うっ! おぉ!」
突如、クィーロは目を輝かせた。子雑魔の意外な動きに燃え上がった様だ。
水着の中に手を突っ込むと、叫び声と共に子雑魔を引っ張り出したのだ。そいつは……クィーロの体内に侵入しようとしていた。
「……んっ、はぁ……はぁ……いいぜ……これだ……こういうのを……待ってた……んだよ!」
雑魔の攻撃を避けながら、水着の中に手を入れて、残りの子雑魔を掴み取るクィーロ。
水着の中に子雑魔が入り込んでいる状況は、ディックも同様だ。這いあがってくる子雑魔を払っていたが、追いつかず、ついに、水着の中に侵入を許してしまう。
ぬるぬるぬめぬめとした感触が水着の中で広がった。
「だぁー! そこ、お前らの穴じゃねーから!! 100万ゴールドの美ケツに気安く触んなってのなぁ!!」
物凄く慌てた様子で、ディックも水着の中に手を突っ込む。
そして、雑魔の攻撃を避けつつ、子雑魔を掴んでは、外へ放り投げた。
雑魔の目の前で水着に手を入れたまま身体を捩りながら攻撃を避ける野郎が2人。可笑しな光景だが、エヴァは敢えて……電撃の魔法を継続していた。
【頑張って】
と、カードだけを掲げているが、誰も見ていないのは明らかだ。
エヴァの魔法によりダメージが蓄積されてきたのか、苦しそうに悶える雑魔。ついで言うと、子雑魔のナニかで舞花も悶えていた。
薄い湯浴み着越しに、子雑魔が這っているのが見えるのが生々しい。
「ん……やっ……も、もう、らめぇぇ!」
大きく叫んだ舞花の口の中に、別の子雑魔が侵入してきた。
「んぐぅ! んー! んぅぅー!!」
全身ぬるぬるぬめぬめで子雑魔に這いまわされていた彼女は水の中に沈んで行った。
「ちょっと、きみ、ここで落ちたら、水死するわよ」
慌ててアルラウネが柔らかいソレを揺らしながら駆け付けると、舞花を救出した。
舞花の体内に入り込んでいる子雑魔を引き抜く。
その時、背後で雑魔と戦うディックの声が響いた。
「俺様の黒ウナギだって負けちゃいねぇ! むしろ、お前らの黒ウナギなんか、足元にも及ばねぇ!!」
叩きつける様に繰り出した強力な一撃で、雑魔が沈む。
「何故かって? 俺様、《ディック》様だからですぅうぅー!」
その上に馬乗りになる。
直後、雑魔が先端を上げた……その結果……。
ディックの股からそそり立つ黒く太いアレ。
「もらったぜぇ!」
好機と見たクィーロが横から刀を振り落とした。その一撃は、雑魔の胴体を輪切りにしたのであった。
村人達の歓声が上がった。……が、どうも、何人かは、崩れ去って行く雑魔ではなく、サクラの胸元に視線が集まっている。
「☆□△☆□△!!」
サクラが、水着を直しながら、声にならない叫び声をあげた。
●戦闘後
鰻のKABAYAKIとやらがハンター達に振舞われていた。
「う、鰻に……鰻に……」
舞花が半泣きになりながらも、それを頬張っていた。
色々とショックな様子だが……鰻料理を食べられるぐらいだから、大丈夫なのだろう。
「きょ、今日は、普通に依頼が終わった……。そう、何事もなく『普通に』終わったのです……。ああ、KABAYAKIが美味しいです……」
顔を真っ赤にしながらサクラもKABAYAKIを口に運んでいた。
そう……戦闘後、水着が外れていたという事実はないのだ。そんな事実は忘れた。ある事は、無事に討伐して今、美味しいKABAYAKIが食べられるという事。
アルラウネは初めて食す鰻を特に物怖じせずに食べている。口の中に広がる独特のタレの味と食感が美味しい。
「また、この鰻を脅かす雑魔が出た時は是非呼んでください!」
あまりにも美味しかったのか、おかわりを持ってきた村人に思わず声をかけていた。村人から見たら、もう、二度と雑魔には、出て欲しくない事だろうが……。
「何だろう……ひどい有様というべきだったが……」
戦闘の様子を振り返りクィーロが苦笑いを浮かべながら呟いた。
手元に置かれたKABAYAKIに箸を伸ばし……それを口に運んだ。
「これは……食べたことがある味だね……記憶は無くても舌は覚えていたのかな……」
転移の際に記憶を失った彼は、KABAYAKIの味に少し懐かしさを覚えていた。
故郷から遠く離れたこの異世界でも、感じられる懐かしさに、クィーロは口元を緩めた。
「うめーなぁ! これ!」
感傷にひたっている人の真横でディックが叫ぶ。ディックは初めて食べるKABAYAKIが気に召した様子だ。
「『カバ』って肉『も』硬いと思ってたんだがなぁ!」
色々と台無しの発言だが、誰もツッコミは入れなかった。
これが、先程まで死闘を繰り広げていた雑魔に良く似ている生物の肉だと知ったら、余計な事になりそうだという雰囲気が漂っていたからだ。
『修正いれなきゃいけない? 宗教絵とかにはいくらでものってるじゃない? ……鰻が』
スケッチブックに書かれた文章を、村長に向けるエヴァ。
「いや、さすがに、鰻は描かれていませんが……と、とにかく、このままは……」
村長が懇願するように答える。
エヴァはKABAYAKIを味わいながら、戦闘の様子を画に残していた……つまり、大惨事を、だ。
仕方なく、モザイクを入れようとするが……。
(ほぼ全面に修正を入れないと、ダメね)
悩んだ挙句、エヴァは、そびえ立つ黒光りして大きくて適度な弾力の雑魔を中央に大きく描き直し、その脇に「いらっしゃい!」と文字を添えてみた。そして、
【完成】【できました】【OK】
等々と複数の文字カードを画にポンっとエヴァは張り付けた。
……カードの下にハンター達の過激な絵が描かれたままなのを知るのは……今は、エヴァだけが知っている事であった。
おしまい。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 クィーロ・ヴェリル(ka4122) 人間(リアルブルー)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/08/17 21:40:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/18 06:25:14 |