オルソンの飯屋

マスター:鳴海惣流

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/08/30 12:00
完成日
2015/09/05 19:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 飯屋をやろう。
 二十代後半の青年、オルソンは決めた。とにかく決めた。
 元手はあまりない。
 料理はすべて自己流。
 両親や友人は美味しいと言ってくれたが、料理を提供して金銭を得た経験は一度もない。
 夢というほどではないが、昔から飯屋の主人みたいなのに憧れていた。
 生まれ故郷であるグラズヘイム王国のとある田舎町で、飯屋を開店できそうな物件を探してみた。
 案の定というか、大抵の街には評判で人気の飯屋もしくは食事を提供する宿屋というものがある。新規に開店しても、軌道に乗せるのは時間がかかりそうだ。
 しかし、長い目で見てられるような金銭的な余裕はない。街中で営業するなら、開店するなり収入がある状況じゃないと破産してしまう。
 開店にあまり金がかからず、土地を格安で借りられる。そして何より、競合相手がいない。
 頭の中に浮かんだ、条件に合う場所があるだろうか。

 悩んだ末に、オルソンはひとつの答えに辿り着く。
 そうだ、遺跡に行こう。
 遺跡といえば宝探し。
 宝探しといえばハンターや冒険者。
 人が集まれば、飯屋は大儲かり。誰だって味気ないような携帯食よりも、その場で提供される手料理を選ぶはずだ。
 寂れた遺跡内であれば、さすがに競合相手はいないだろう。領主に申請すれば、格安で土地を借りれそうだし、営業許可も貰えそうだ。
 遺跡内の石や岩を使って、個性溢れる店を作るのも独特でいいじゃないか。
 満面の笑みを浮かべたオルソンは、痩せ型の体を揺らして生まれ故郷の近くを探し回った。
 見つけられたのは遺跡……ではなく洞窟だった。

「遺跡じゃないが、贅沢は言ってられないよな。それに、洞窟の中からいいにおいが漂ってくれば、旅人が立ち寄ってくれるはずだ」

 遺跡ほどレア感はないが、それなりの規模の洞窟なので店をやるには十分だ。
 これだけの洞窟なら、何らかの依頼を受けたハンターもやってくるに違いない。

「ハンター相手に、飯を販売すれば……見えたぜ! 俺のサクセスロード!」

 楽天的すぎるオルソンは、早くもガッツポーズをする。
 調理器具はフライパンや鍋でいい。岩場があるのだから、木などを使えば火もつけられる。
 開店するのによさげなスペースも見つけた。
 あとは許可を――。
 途中でオルソンが思考を中断させる。
 ちょろちょろ動く影を視界に捉えたからだ。

「あれは……コボルドか。今すぐ退治したいところだが、武器も持たない俺が挑んでも返り討ちにあうな。とりあえず放置しとくか」

 向こうもオルソンを警戒しているのか、なかなかこちらへ近づいてこようとしない。
 ダッシュで逃げようとすれば、追いかけてくるかもしれない。あえて堂々とした態度で洞窟を出る。
 その際に、もう一匹のコボルドも発見した。

「コボルドが二匹か。今度来る時に、ハンターに同行してもらおう」


 色々な準備が終わり、店を出す予定の洞窟へオルソンが再び向かえるようになったのは一ヶ月後だった。
 ハンターオフィスへ立ち寄り、同行とコボルドの退治を依頼する。

「これからは店のある洞窟で暮らすんだ。コボルドがいたら大変だろ。コボルドを退治してほしい。見かけたのは二匹だけだから、そんなに難しくないはずだ」

 話を聞いた受付の若い男性は、軽くこめかみを押さえた。

「本当に、その洞窟で一ヶ月前にコボルドを見つけたんですか? だとしたら、今頃はかなり増えていますよ」
「そうなのか? だったら、なおさら頼む。俺が一人の時に襲われないように、一匹残らず始末してくれ。飯屋をやってみたいんだよ!」

 コボルドの文化というべきかどうかは不明だが、連中は産めや増やせやで数を増殖させる。
 いまだ問題になっていないのは、洞窟内のコボルドが誰にも発見されてないからだろう。
 そうでなければ、領主が私兵なりを派遣して退治する。
 もしくは、退治の依頼がハンターズソサエティに入っているはずだ。
 オルソンにハンターを同行させて、洞窟内の様子を確認しておくのもいいかもしれない。
 そこまで考えたあとで、受付の男性はふと思った。
 増殖するコボルドを一般人に発見すらされない洞窟で、飯屋を営業してお客さんが来るのだろうか。
 依頼人の仕事を心配しすぎても仕方ないので、受付の男性はとりあえず依頼を受理する旨だけを告げたのだった。

リプレイ本文


「本当は遺跡がよかったんだが、結局は洞窟に落ち着いたんだ。似たようなもんだし、いいかなと思ってさ」

 オルソンが話しかけたのは、彼に同行中のハンターたちだった。

「洞窟の飲食店。衛生面から食べたくないですね……」

 呟くようにぼそりと言ったのは、リーリア・バックフィード(ka0873)だ。
 洞窟内で飯屋を営業中のオルソンを想像したのか、表情が引きつり気味だったりする。

「はあ、洞窟内で食堂ですか。料理とお酒の匂いが篭って結構大変なことになりそうな気もしますけれど。ともあれ、それは置いておいて依頼を果たすことにしましょう」

 アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)の言葉に、オルソンがニヤリとした。

「だからこそ、美味しそうだと人が集まりそうじゃないか。俺の未来は明るいぞ」

 そうこうしてるうちに、目的地の洞窟前に到着した。
 町からそこそこ離れており、人通りも少ない場所に目的の洞窟はあった。

「なんでこんな場所に……交通の便は……? あ、こっちの世界じゃ交通の便とかないんですかね……? 余計ダメですけど……。でもコンセプト自体は珍しいし話題のお店になって人が来るといいですねー」

 心配よりも励ますような感じで、アメリア・フォーサイス(ka4111)はオルソンを見た。

「営業してしまえば、なんとでもなる」

 洞窟へ入る前に、リーリアが周辺の地形を調べる。

「あら、見張りも居ないとは迂闊ですね……」

 見張りの有無を確認後、出入口を事前に対処しようという話になる。

「敵の逃亡を防ぐ為に、洞窟へ侵入前に封鎖しておくべきだ」

 榊 兵庫(ka0010)の発言に、ほぼ全員が頷く。
 ウィンス・デイランダール(ka0039)がオルソンに調理器具一式と適当な食材を持たせていたのもあり、荷車で廃材も多少運べていた。

「封鎖するための材料が足りなければ、手近な岩や木々を使いましょう。無ければ削って作り出せば良いのですよ」

 アメリアの言葉に、アデリシアが礼儀正しい動作でスッと前に出た。

「荷車を借りだして、入口を埋めるものを積み込んできました。岩とか斬った木辺りです」

 事前に材料を多少なりとも揃えられていたのもあって、仕掛けを作るのを優先する。
 まずはカイン・マッコール(ka5336)が、尖らせた樹の枝を一本のロープに何本もくりつけた。有刺鉄線のようなものを3本ほど作っておき、ソレをコボルトの喉、胴体脚辺りに引っかかるようにする。あとはV字状に設置し、先端部分は人が一人通れるくらいに開けておく。
 一連の作業をクオン・サガラ(ka0018)も支援する。おかげで、予定よりも早く準備が完了した。

「とりあえずはコレでいいかな?」

 カインが腰を上げる。すぐ近くではリーリアが、李 香月(ka3948)に手伝ってもらって、即席のワイヤートラップを幾重にも作っていた。
 ワイヤー前に引いて、二重トラップも用意する。アメリアやアデリシアも手を貸したので、こちらも予定より早く設置が完了する。

「罠を仕掛けましたので転倒に注意して下さい」

 リーリアが味方に罠の位置を教える。これで絶対に逃げられなくなったわけではないが、少なくともコボルドへの牽制にはなる。
 準備が終わるなり、待ってましたとばかりにオルソンが駆け出した。早く中の様子を確認したくて、たまらなかったのである。


 オルソンを追い、洞窟へ入ったハンターたちが見たのは、うじゃうじゃと生息するコボルドだった。
 この短期間で、こんなにも増えるのか。
 呆然とするオルソンの前に、ハンターたちが進み出る。依頼主である以上、間違っても怪我させることはできない。
 安全の為、迂闊に敵へ近づかないように、リーリアがオルソンへ注意を促す。
 すぐにでも襲ってくるかと思ったが、コボルド連中はハンターの様子を窺うようにじっとしている。
 だからといって放置はできない。目的はあくまでもコボルドの排除なのである。

「逃走する可能性が……面倒なコボルドですが生きる為には仕方ないのかもしれません。でも、退治しないと増えられるので……頑張りましょう」

 飄々としてるようでいながら、クオンは武器を持つ両手にしっかり力を込めた。
 近くではカインが、洞窟内とコボルドの様子をじっくり確認中だ。
 洞窟か普段なら仕事やりやすいんだけどな。松脂と硫黄燃やした煙を充満させたり、水や油を流し込んだり、生き埋めにしたり。戦わずに亜人を殺すには最適なんだけど、飯屋を開くとなるとそれも出来ないか衛生的に。
 ひととおり頭の中で考えをまとめたあと、カインはふうと小さく息を吐き出した。

「まあいい決まってる僕はコボルトを殺すだけだ」

 兵庫が前方に陣取るコボルドを見る。

「……コボルドは放っておくと簡単に数を増やすからな。駆除する機会があるのならば、積極的に駆除しておくべきだろう。オルソンの夢の為に協力させて貰おう」

 愛想はあまりよくないが、人情味があるのは台詞の内容からもわかる。
 兵庫だけでなく、全員がオルソンの夢のためにもコボルドをきっちり殲滅するつもりだった。
 ヒトの都合で住処を追われ、挙げ句皆殺しの憂き目に遭う。
 中世的な顔立ちのウィンスが、頭の中で呟いた。他のハンターと同じく、三十匹ほどにも増えたコボルドを見据える。

「……同情するが仕事だ。そしてあんたらは野生を生き抜く戦士だ」

 両手に持つ武器を構え、すぐにでも突撃できる準備を整える。
 側で戦闘態勢をとる香月が、緊張の汗を頬にひと筋だけ流した。

「難しい戦闘アル……」

 言いながら香月は、状況の把握に務める。
 コボルドは三匹で連携を仕掛けてくる。数が減るまでは逃げないが、数が減れば一気に逃げ出してしまう……さてどうしよう。
 悩んだのは少しの間だけ、すぐにやや右の前方にいるコボルドを標的にする。三体で一組になっている連中は明らかに何かを狙っている。連携されての攻撃を避けるためにも、まずは一体だけを先に仕留めようと考えた。
 接近した香月は猛虎硬爬山を放ち、狙った一体を絶命させる。数こそ多いものの、コボルドはコボルド。まともに戦えば、ハンターの敵ではない。問題は、一匹も逃がしてはならないという点だった。
 そこでハンターたちは、左右に分かれて行動することにした。
 右側を攻めるのをA班。左側をB班とする。A班にはリーリア、兵庫、アデリシア。B班にはウィンス、アメリア。オルソンの護衛はカインが務める。
 すでに敵へ向かった香月と、クオンは近くにいるコボルドを標的にし、減らしすぎない程度に数を減らしていく。
 A班である兵庫とアデリシア、それにリーリアが右側にいるコボルドの視界へ入るように移動する。正面やや右にいるのも含めて、三組のコボルドが同時に敵意に満ちた視線を向ける。
 B班となったウィンスは、入口付近にいるコボルド三組の真ん中に立ち挑発する。

「見せてみな。あんたらの意地を」

 敢えて包囲される事で臆病な敵に攻勢の切欠を与えるつもりだったが、反応したのは正面やや右と左側にいる二組だけだった。
 同じくB班のアメリアは射程の長さを活かし、味方の援護と依頼人の護衛も行う。オルソンの左側へ素早く移動し、両手に持つライフルを放つタイミングを待つ。
 一方で近くの敵から狙っていくクオンは、オルソンの右へ移動して正面やや右の、香月が一体減らしたコボルドたちを弓で狙う。

「此処が最後の盾なので、うっかり前に出て余計な集団を刺激したり、逃走して来る集団を打ち漏らさない様に注意しなければいけませんね」

 残っていた二体のうちの一体へ攻撃を命中させるも、絶命するまでのダメージを与えないように注意する。
 護衛担当のカインが、オルソンの前に立つ。構えた短弓で、正面やや右のコボルドを攻撃する。銃声による聴覚へのダメージを配慮していた。

「弓自体は苦手だけど、こういった時は仕方ないか」

 敵の統制や士気を削ぐため、意図的に死ににくい足や腹部などを弓で射抜いていく。
 コボルドの悲鳴が洞窟内へ響く。怒りを募らせたコボルドたちが、視界に映るハンターを狙う。
 リーリアに接近した一組が、三位一体で攻撃する。クリティカルな一撃が、リーリアの腕に命中する。
 同じく三位一体を使われた兵庫は、なんとか回避した。

「この程度では俺にダメージを与えることはできない」

 余裕の態度で、三匹のコボルドを睨みつける。
 正面やや右のコボルドから狙われた香月も、素早い動きで攻撃をかわしていた。

「残念。こっちアルよ」

 敵の挑発を行ったウィンスに向かってきたのは、正面から少し左側の位置に立っていたコボルド一組だった。
 攻撃を回避せず、仕掛けられた攻撃を防具で受け止める。

「……上等じゃねーか」

 ダメージは負わなくとも、三位一体で繰り出された攻撃の重さにニヤリとする。
 コボルドに恨みなどなく、戦場に立った時点で同じ立場の戦士だと考えているからである。脆弱なコボルドが相手でも、ウィンスなりに戦士としての敬意を表しているのだ。
 コボルドたちの動きを見ながら、アデリシアが右側から敵を引きつけようとする。

「2・3グループ程度は引き寄せたいところですが、相手がある程度固まるまでは防御を固めて、出来る限りダメージを減らしておくべきですね」

 敵の位置を確認しながら呟いたアデリシアだけでなく、兵庫やリーリアもコボルドの注意を引こうとする。
 左側ではウィンスが敵の攻撃を引き受けながら、徐々に奥の方へ移動する。おかげで洞窟の左側にいた大半のコボルドの視線を集めるのに成功した。
 不利になれば一斉に逃げだしかねないコボルドの数を減らしすぎないようにしつつ、三匹で行動するコボルドのうちの一匹を倒す。三位一体のスキルを使用させないようにするためでもある。
 作戦は順調に思われたが、問題も発生する。洞窟内のコボルドが、奥へ向かうハンターを追う一団と、入口へ引きつけられていく一団にほぼ分かれてしまったのだ。
 奥へ向かうコボルドの方が多いものの、出入口付近でオルソンを守るハンターへ狙いを定めるのも出てくる。

「こうなりましたか。まあ、戦況や火力・コボルトの動きが中々読みにくいので、そうそう上手くとは思いませんでしたけどね」

 不測の事態も想定していたクオンが、両手に持つ弓で三体揃ってるコボルドのうちの一体を狙う。各組を二体ずつにさせられれば、脅威は確実に減る。
 正面から奥に向かっていた香月も、さして慌てもせずに奥のコボルドたちの囮になろうとする。

「出口のガードをしたいけれど、仕方ないアルね。臨機応変さも必要アル」

 不規則な行動をとろうとするコボルドには、狙い澄ましたアメリアの制圧射撃が命中する。

「群れから離れようとしたら駄目ですよ。いい子にしていてくださいね」

 すぐに数を減らされていかないので、勝てると思ったのか、コボルドたちはハンターへの攻撃を緩めない。
 襲いくるコボルドの攻撃を回避したり受けながら、兵庫は奥まで誘き出す。
 香月が正面から奥まで移動し、ウィンスは左側の敵を引きつける。
 七組が奥へ移動するハンターを追ってきたところで、兵庫は声を張り上げて味方と連携を取る。
 まずは出入口付近に二組のコボルドを引きつけたアデリシアが、武器をワンドに持ち替える。
 魔法防御に劣るコボルドを、セイクリッドフラッシュの連発で一気に殲滅させる。

「移動阻止の切り札はエレクトリック・ショックと通路を塞げるショットアンカーでしたが……使う前に仕留められそうですね」

 出入口の左側角にいたコボルドの数を、クオンが着実に減らす。
 とどめはこちらも弓で攻撃を続けるカインだ。

「逃すつもりはない、生き残りは強くなる、それにコレは戦争だ」

 ここでコボルドの残数が当初の半数以下になる。
 不利だと悟ったコボルド連中は統制も連携もなく、一目散に出入口を目指す。
 コボルドの逃走はハンターも想定済み。慌てたりはしない。

「逃げる敵は良い的です。足掻くことも許しません」

 逃げる敵の背後から急襲したあと、瞬脚でコボルドの前へ回り込む。
 洞窟の正面奥では両手武器の刀に持ち替えた香月が、逃走を始めたコボルドたちを一刀両断にしている最中だった。

「妾から逃げられると思ったら、大間違いアル!」

 洞窟の右側からは、兵庫がコボルドを殲滅するために両手で槍を振るう。
 薙ぎ払いで数体のコボルドの胴体が真っ二つにされる。
 急に攻勢へ転じたハンターに恐れをなし、コボルドたちはますます戦闘意欲を消失する。
 だが出入口では、オルソンを守るためにカイン、クオン、アメリアの三人が立ち塞がる。
 カインとクオンが弓でしっかり敵の足を射抜き、飛び出そうとするコボルドがいれば、アメリアがすかさず制圧射撃で行動を封じる。
 洞窟左側からはウィンスがコボルドを追い詰める。範囲内の味方へ伏せるよう指示を出しながら、薙ぎ払いで複数のコボルドを物言わぬ躯に変えた。
 洞窟奥にいたコボルドたちがすべて倒れる頃には、入口付近のコボルドも息をしなくなっていた。
 多少の時間はかかったものの、ハンターたちはコボルドの殲滅に成功した。


 戦闘終了後、ハンターたちはコボルドの遺体を洞窟の外へ運び出した。
 洞窟の外に穴を掘ったカインが、そこにコボルドの死体を入れて燃やしていく。

「……俺達が出来る手助けはここまでだ。あとは自分の夢の為にがんばってくれ」

 洞窟内へ戻った兵庫が、オルソンへ声をかけた。
 直後にアデリシアが、呟くように言う。

「さて、結局開店したとしてどうなるんでしょうね」

 どう考えても、流行りそうには思えない。
 他のハンターも同様の印象を抱いてるみたいだが、オルソンだけは希望に満ち溢れた顔をしている。
 そんなに自信があるならと、アメリアがオルソンに料理を食べさせてもらえないかお願いする。
 快諾したオルソンが手早く料理を作る。簡単な野菜炒めに独自のソースをかけたものだ。
 見た目が普通でにおいも香ばしい。完成した料理をまずはアメリアがひと口食べる。

「そこそこの味ならまぁ……美味しいのに越した事はないですけど妥協点……?」

 満面の笑みとはならなかったアメリアが、道沿いへの案内板の設置を提案する。
 同じように試食をしていたウィンスは、食べ終わるなり頷いて「酒場はどうだ」と言った。
 料理の腕は普通程度だが、ハンター相手に商売をしたいなら、主役を酒にしてしまえばいいと考えたのだ。

「この依頼ほど、成功を保障できるわけじゃねーけどな……」

 あくまでも大丈夫だと笑うオルソンに、最後に声をかけたのはリーリアだった。

「開店頑張って下さい。私は絶対に来店しませんけど」

 こうして前途多難なオルソン飯店が、営業を開始することになった。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 魂の反逆
    ウィンス・デイランダール(ka0039
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • ノブリスオブリージュ
    リーリア・バックフィード(ka0873
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • ピットファイター
    李 香月(ka3948
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • イコニアの夫
    カイン・A・A・カーナボン(ka5336
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/27 19:51:09
アイコン 相談卓ですね
リーリア・バックフィード(ka0873
人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/08/30 10:03:22