ゲスト
(ka0000)
霧の島で海賊退治
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/10 12:00
- 完成日
- 2015/09/18 18:57
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「お、戻ってたのか」
「ええ、昨日ね」
南部国境要塞。哨戒から戻ってきたオットー・アルトリンゲン兵長は師団長の執務室へ向かう途中サラ・グリューネマン兵長と出くわした。
「私を東方に追いやってる間に、色々あったみたいね」
「おいおい、団長は別にそういうつもりで送ったわけじゃないだろうに……」
そんな話をしながら二人は肩を並べ歩いていく。目的地は一緒のようだ。
「……そういえば、ブラウヒッチ兵長は? 姿を見ていないけれど」
「おっさんなら団長から調査を任されててよ」
「調査?」
「あぁ。もう1か月以上帰ってきてないぜ」
「1か月……それだけの期間で成果が上がってないの? 時間の無駄ね」
予想通りの反応。実際オットーもそう思わないではなかったのだが……
「でも、なんか進捗があったみたいな話を聞いたぜ」
「あらそうなの……一体何があったのやら……」
両名とも、その進捗に関して情報を聞かされてはいない。だが、知ればさすがに驚かざるを得ないだろう。
何しろ、見つかったのはグリフォンの新たな群生地かもしれないのだから。
●
「早く本格的に調査を行いたいが……」
海上に浮かぶ大型船では第5師団兵長のウェルナー・ブラウヒッチは今後の方策について悩んでいた。具体的には島に潜伏していた海賊たちへの対処に関して。
問題なのは場所。下手に大立ち回りをしては島にいるグリフォンを刺激してしまう。
「島からグリフォンが逃げ出す……ぐらいならまだいい。こちらを敵として認識して襲われると困るか……」
そう考えるとグリフォンを利用した電撃作戦も避けた方が無難かもしれない。
「となると海戦……しかしなぁ……」
通常の操船はともかく、戦闘となると現在大型船に乗り込んでいる船員レベルでは厳しい。
では、どうするのか……
「……直接乗り込むしかないか」
水中から船に近づき乗り込み、船を出される前に直接叩く。現状これがベストだろう。
「……また、ハンターに力を借りないといけないか」
敵の戦力確認や隠密行動での接近、襲撃。やることは多い。
ウェルナーはさっそく依頼を行うためグリフォンに飛び乗った。
「お、戻ってたのか」
「ええ、昨日ね」
南部国境要塞。哨戒から戻ってきたオットー・アルトリンゲン兵長は師団長の執務室へ向かう途中サラ・グリューネマン兵長と出くわした。
「私を東方に追いやってる間に、色々あったみたいね」
「おいおい、団長は別にそういうつもりで送ったわけじゃないだろうに……」
そんな話をしながら二人は肩を並べ歩いていく。目的地は一緒のようだ。
「……そういえば、ブラウヒッチ兵長は? 姿を見ていないけれど」
「おっさんなら団長から調査を任されててよ」
「調査?」
「あぁ。もう1か月以上帰ってきてないぜ」
「1か月……それだけの期間で成果が上がってないの? 時間の無駄ね」
予想通りの反応。実際オットーもそう思わないではなかったのだが……
「でも、なんか進捗があったみたいな話を聞いたぜ」
「あらそうなの……一体何があったのやら……」
両名とも、その進捗に関して情報を聞かされてはいない。だが、知ればさすがに驚かざるを得ないだろう。
何しろ、見つかったのはグリフォンの新たな群生地かもしれないのだから。
●
「早く本格的に調査を行いたいが……」
海上に浮かぶ大型船では第5師団兵長のウェルナー・ブラウヒッチは今後の方策について悩んでいた。具体的には島に潜伏していた海賊たちへの対処に関して。
問題なのは場所。下手に大立ち回りをしては島にいるグリフォンを刺激してしまう。
「島からグリフォンが逃げ出す……ぐらいならまだいい。こちらを敵として認識して襲われると困るか……」
そう考えるとグリフォンを利用した電撃作戦も避けた方が無難かもしれない。
「となると海戦……しかしなぁ……」
通常の操船はともかく、戦闘となると現在大型船に乗り込んでいる船員レベルでは厳しい。
では、どうするのか……
「……直接乗り込むしかないか」
水中から船に近づき乗り込み、船を出される前に直接叩く。現状これがベストだろう。
「……また、ハンターに力を借りないといけないか」
敵の戦力確認や隠密行動での接近、襲撃。やることは多い。
ウェルナーはさっそく依頼を行うためグリフォンに飛び乗った。
リプレイ本文
●
「幽霊船の次は海賊退治とはねぇ……最近海に縁があるわぁ」
拠点となる大型船上で呟く沢城 葵(ka3114)。幽霊船よりは海賊船の方は実体がある分まだマシとも考えられるだろうか。
「海賊の退治デスか……無暗矢鱈に殺すようなコトはしませんが……」
コチラに害を為そうなら痛い目を見せる必要がある。と、ヒズミ・クロフォード(ka4246)は銃を手に思う。
何しろ今回重要なのは敵の制圧もそうだが、この島の……グリフォンの生息地と考えられるこの場所の情報を外部に漏らさないようにすることだからだ。
「せっかく島を見つけたと思ったら、まさか先客がいるとはな……」
「だな。見た感じ海賊連中はオレたちと同じ来訪者ってとこだろ」
「となると、海賊が此処に居座る理由は何かな」
柊 真司(ka0705)の言葉に同意するレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)と水流崎トミヲ(ka4852)。海賊たちは何のためにこの島にやってきたのか。絶壁の上を飛ぶグリフォン達か、それともそれ以外の何かがここにあるのか。それとも全く関係が無いのか……こればっかりは直接聞いてみるしかないだろう。
「ここがグリフォンの生息地? 興味深いお話ダネ。イズレ僕達もグリフォンに乗れる日が来たりスルのカナ?」
「グリフォンであるか。それがし寡聞ながら乗ったことはないが、使役できるとあれば良き戦友となろう」
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)に彼の信頼する友人であるダリオ・パステリ(ka2363)が続く。ともあれ、それらも全て今回の依頼をこなさないことには始まらない。
「捕マエレバイインダロウ?」
船の上で寝転がっているゴンザレス=T=アルマ(ka2575)。どこかやる気なさげ……というかがっかりしているような雰囲気が漂う。この理由が仲間側にタイプがいないからだと知ったら皆どういう反応を返すだろうか。尤も、それじゃ仕事はしないのかというとそうではないことは発言から分かる。
「そう言う事だな……調査を進めるためにも、海賊どもには大人しくお縄についてもらうとしよう」
真司の言葉に従い、ハンターたちは海賊退治の相談を始めたのだった。
●
「それじゃ、そういう感じで頼む」
真司は船員と打ち合わせを行う。万が一海に飛び込むなどして海賊が逃げようとした場合の対応についての話だ。
その間に他のハンターたちは海賊の偵察を行っている。
「単独行動してる迂闊な奴を捕まえたりできれば最高だけど……」
「俺も出来ればそうしたいデスネ……逃がさなければ問題ないとも思うんデスガ‥‥」
双眼鏡で様子を見ながらレオーネに応えるように呟く。確かに、捕まえて情報を手に入れられればそれに越したことはない。だが、偵察に向かう前に葵やアルヴィンが言っていた。
『海賊と接触しないのは厳守で頼むわね』
『ソウダネ。コチラの存在知られて引き上げられても厄介だからネ』
と。
言葉通り、仮にこのタイミングで1人2人捕まえたとして、それが元で海賊たちに外敵がいることを察知されてしまったらどうなるか。偵察、制圧と作戦を2段に分けた意味が無い。葵が偵察に同行しないのも大人数で接近し海賊たちに存在がばれることを防ぐためだ。
「……となると、声が聞こえる距離まで近づくのは厳しいかな」
「そうデスネ。肝心なのは敵の存在に気づかれぬままという状況の維持デスから」
あるいは電源を入れたトランシーバーを一つ隠しておこうかともレオーネは考えたが、そこまで接近するには結局やはり相応に近づく必要がある。それで見つかっては元も子もない。断念せざるを得なかった。
「上陸できそうな場所は無いようだな」
ダリオの言うとおり、洞窟の入り口周辺は足場になるようなものなどない。ただ岩壁が続くのみだ。海からの海水が浸食して出来たようで、周辺に脇道の類はない。
「奥には何かがある……と思うんだけどね」
トミヲは奥を気にしているが、泳いで先に行くのは躊躇われる。海賊船のマスト上には常に誰かがいて下方を眺めている。一応の見張りという事なのだろう。奥を確認するために頭を出したら見つかるかもしれない。
「そこまで近づくと見つかる危険性が高まるか……この辺りで妥協せざるをえんな」
ダリオもまた葵からの言葉を思い出し、トミヲとともに深入りを避ける。
「……触リニ行キタカッタンダケドナ」
海賊船に乗り込んで宝でも物色しながら潜伏しよう等と考えていたゴンザレスもそれを断念する。
結局、偵察で確認できたのは簡単な地形と海賊たちの総数。その数は30。
ハンターたちに対し数は3倍以上。だが、これが一般人だけなら対処は難しくない。
だが、偵察中みかけた海賊の中には他と装備の違う海賊がいた。
「……まぁ一般人ダケで居座るトモ考え辛いネ」
アルヴィンの言葉は、暗に覚醒者の存在を示唆していた。
●戦闘
夜も深くなった頃……ハンターたちは洞窟入口近くまで小船を進める。そこから泳いで海賊船へ向かう。
「時間も時間だ。あまり騒がしくなる前に終わらせよう」
海賊船に取りついた真司は、すぐさまジェットブーツを使用。一気に船上へ跳び上がる。
「おっと」
すぐさま回避行動。集中射撃が真司のいた場所を撃ち抜く。
ジェットブーツによるジャンプは言うまでも無く大きい音を立てて行われる。気付いて下さいと言っているようなものだ。
「迂闊だったかな。まぁいいさ」
どちらにせよ、戦闘は避けられなかっただろう。タイミングが早いか遅いかの違いだけだ。そう断じて真司は手近な海賊に接近。胸ぐらをつかむとそのまま船体に叩きつける。昔軍で習っていたというCQC、いわゆる近接格闘術を活かし気絶させ、制圧していこうというつもりだ。
「全く、せっかちねぇ……」
やれやれと言った表情を浮かべる葵。できれば隠密裏にことを進めたかったが、こうなっては仕方ない。
「こうなれば隠れる必要なし。いざ!」
後続の為に鉤付きのロープを縁に引っかけたダリオが続いて船上へ。そのまま銃撃を躱しつつ回り込むような動きを見せる。
これは後続の魔術師の援護が目的。葵は船上へ来ると打ち合わせ通りスリープクラウドを使用。ダリオはその範囲に可能な限り海賊たちを収めるためにそういう動きを取っていたのだ。
だが、敵は一般人の海賊ばかりではない。スリープクラウドで眠らなかった男が1人。ナイフを持った男はすぐさま眠った海賊に平手打ちをくらわせたたき起こす。
「やっぱり覚醒者も居たネ」
続いて上がってきたアルヴィン。他の海賊を起こそうとした者の足を銃で撃ち動きを止める。
普通なら相手が覚醒者であると知ったら萎縮して動けなくなりそうなものだが、この辺り荒くれ者の海賊だからであろうか。撃たれた仲間をやや気にしながらも銃を構え、撃つ。狙われたのはタイミングよく船に乗り込んできたゴンザレス。回避行動をとった真司やダリオと違い、甲冑に身を包んだ重厚な印象通り動きは鈍いか。だが、その分堅い。攻撃を避けず受け止める。
「痛い! 気持ちいい!!!」
……発言に関してはあまり気にしてはいけない。とにかく、ゴンザレスが身を挺して盾になってくれたおかげでその後ろに着くハンターたちは安心して攻撃が出来る。
「あれは、猟撃士デスネ……撃ち落とします!」
高所から銃弾が降る。マスト上の見張り……猟撃士のようだ。それに対しヒズミが遠射を併用しつつ反撃。
猟撃士同士の撃ち合いの最中、数人がさらに船内から出てくる。その中には大剣を持つ男が2人。闘狩人か。
「まずは敵の母数を減らさないとね」
だが、出てきた海賊たち。その出入り口は一つしかなく、丁度一塊になっている。そこにトミヲがスリープクラウドを使用。闘狩人1人を含む大多数が寝入ってしまう。
残った一人がすぐさま起こそうとするが、その一瞬が隙となった。
「眠ってろ!」
真司がエレクトリックショックを使用。放たれた雷撃が闘狩人の身体をマヒさせる。さらに、続けざまにダリオが後頭部に当身。これで闘狩人は2人とも行動不能となった。
「くそっ!」
疾影士と残った海賊は船から飛び降りて逃げようと縁に近づく。
「逃がすか!」
だが、そうはさせまいとレオーネが機杖を海賊に向ける。そこから光線が放たれる。光線は途中で3方向に分岐し、それぞれ海賊を撃ち抜く。悲鳴とともに2人の海賊が倒れる。逃がさないことが前提。手加減の余裕は無い。
(一番大事なのは情報が漏れないようにする事ダカラネ……)
敵を逃がすぐらいなら口を封じることもやむを得ない。とはいえ、アルヴィンは聖導師。回復の手段を持っている。
「……まだ間に合いそうダネ」
倒れた海賊たちの様子を確認したアルヴィンはヒールで応急処置を行いつつ捕縛する。
疾影士の方はさすがに一発喰らっただけでは倒れないが、そこはトミヲがライトニングボルトを使用して追撃。さらに頭を掠めるように葵のストーンバレットが撃ち込まれる。
「逃げたら次、当てるわよぉ」
これで疾影士は戦意を喪失しその場にへたり込む。
「1、2……28人。ほとんど船に残ってたみたいだね。残りは2人かな?」
「いえ、1人デスネ」
ヒズミの言葉と共に、マストから猟撃士が落ちてくる。アルヴィンからの援護もあり、無事銃撃戦を制することが出来たようだ。
「となると、後1人はどこに……」
ハンターたちは船内などの捜索に向かう。
……その様子を隠れて窺っている最後の疾影士の姿が。
「なんだってハンターが……このまま逃げるか? けど……」
疾影士が思案している最中、その後ろに人影が。
「ソウ言エバ、オ前マダオ触リシテナカッタナ」
「ヒィッ!?」
逃げ出した疾影士は悲鳴を上げ逃げ出そうとするが、ゴンザレスにガッシリと肩を掴まれている。
「……逃がさんよ」
洞窟内に更なる絶叫が響く。その声が、全ての海賊たちが捕えられたことをハンターたちに教えてくれた。
●
「……特に何も無し、か……」
海賊たちを捉えた後、レオーネは海賊が拠点にしていた小屋を調べていた。が、特に変わったものなどは何もない。比較的最近建てられた感じだ。
「奥の方も特に無しデスネ」
ヒズミは洞窟の奥に隠れた抜け道がありそうな気がすると確認しに行ったが、すぐ行き止まりになっていたためその予想は外れた。レオーネの方ではあるいは小屋の中に秘密の入り口のようなものがあるのかとも思ったが、そういうものも見受けられない。
「後は海賊たちが島について何か知っていることが無いか、か……」
呟きながら、それでももしかしたら見落としがあるのかもしれないと、2人は捜索を続ける。
「その……何してんだ?」
「エッ? 数珠繋ギッテイウカ緊縛繋ギ出来ルカ試シテルンダヨ」
「……普通に縛ろう」
捕縛された海賊たちは大型船に連れて行かれ、真司とゴンザレスによって再度縛り上げられている。すでに話を聞けるものからは話を聞いており、後は海賊たちを連れて港に向かうだけだ。
当初は話を聞くのも難航するだろうと思われていたが海賊たちは意外と素直だった。アルヴィンの回復魔法のお陰で仲間が死なずに済んだ。その恩を返すとのことだった。
「と言っても、大した話は聞けなかったネ」
「あぁ……分かったことと言えば彼らがこの島のことを全く分からないということぐらいか」
アルヴィンとダリオが話した通り、海賊たちはこの島を単に人の寄りつかない、隠れるのにもってこいの島という程度の認識しかなかったらしい。グリフォンの事も知らなかった。
(結界の主らしき海賊はいないみたいだな)
トミヲは腕を組みながら海賊たちの話を反芻し、考える。
この海賊たちの存在に結界の主が気づいていないはずはないが、ではなぜ彼らはこの島まで来られたのか。
「海賊たちが言うには、霧の中を歪虚と戦い逃げていたら、いつのまにかたどり着いていたってことみたいだけどねぇ」
島を見つけるのには相応の苦労をしていたのに、海賊たちがその程度のことであっさり見つけられたのは不思議ではあると、葵も首をかしげる。
「歪虚に追われていたことと、島を探していたわけではないということ」
自分たちと海賊たちの違いはこの2つ……あるいはこれらがキーワードなのかもしれない。そうトミヲは考える。尤も、答えを教えてくれる相手はここにはいないが。
「――君達を害する意思が無い事、どうしたら伝わるかな」
霧は外敵を意識していたものだ。ならば、敵意が無いことがわかればあるいは……しかし、この問いに答える者もやはりいない。
「さて、これから島の調査か? 手伝うぜ」
真司としてもこの島に外敵が侵入してこないような霧を発生させていたものが誰なのか、あるいは何なのかが気がかりだった。早く調査に移りたいという気持ちが見て取れる。
そんな真司の提案に対し、ウェルナーは静かに首を振る。
「すぐ、というわけにはいかないな。海賊の引き渡しもあるし、装備などを準備してからだな」
こうして、ハンターたちは無事に海賊を制圧、拿捕することが出来た。双方多少の被害が出たものの治療によって大事には至らなかった。これなら作戦は成功したと考えてよいだろう。
「幽霊船の次は海賊退治とはねぇ……最近海に縁があるわぁ」
拠点となる大型船上で呟く沢城 葵(ka3114)。幽霊船よりは海賊船の方は実体がある分まだマシとも考えられるだろうか。
「海賊の退治デスか……無暗矢鱈に殺すようなコトはしませんが……」
コチラに害を為そうなら痛い目を見せる必要がある。と、ヒズミ・クロフォード(ka4246)は銃を手に思う。
何しろ今回重要なのは敵の制圧もそうだが、この島の……グリフォンの生息地と考えられるこの場所の情報を外部に漏らさないようにすることだからだ。
「せっかく島を見つけたと思ったら、まさか先客がいるとはな……」
「だな。見た感じ海賊連中はオレたちと同じ来訪者ってとこだろ」
「となると、海賊が此処に居座る理由は何かな」
柊 真司(ka0705)の言葉に同意するレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)と水流崎トミヲ(ka4852)。海賊たちは何のためにこの島にやってきたのか。絶壁の上を飛ぶグリフォン達か、それともそれ以外の何かがここにあるのか。それとも全く関係が無いのか……こればっかりは直接聞いてみるしかないだろう。
「ここがグリフォンの生息地? 興味深いお話ダネ。イズレ僕達もグリフォンに乗れる日が来たりスルのカナ?」
「グリフォンであるか。それがし寡聞ながら乗ったことはないが、使役できるとあれば良き戦友となろう」
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)に彼の信頼する友人であるダリオ・パステリ(ka2363)が続く。ともあれ、それらも全て今回の依頼をこなさないことには始まらない。
「捕マエレバイインダロウ?」
船の上で寝転がっているゴンザレス=T=アルマ(ka2575)。どこかやる気なさげ……というかがっかりしているような雰囲気が漂う。この理由が仲間側にタイプがいないからだと知ったら皆どういう反応を返すだろうか。尤も、それじゃ仕事はしないのかというとそうではないことは発言から分かる。
「そう言う事だな……調査を進めるためにも、海賊どもには大人しくお縄についてもらうとしよう」
真司の言葉に従い、ハンターたちは海賊退治の相談を始めたのだった。
●
「それじゃ、そういう感じで頼む」
真司は船員と打ち合わせを行う。万が一海に飛び込むなどして海賊が逃げようとした場合の対応についての話だ。
その間に他のハンターたちは海賊の偵察を行っている。
「単独行動してる迂闊な奴を捕まえたりできれば最高だけど……」
「俺も出来ればそうしたいデスネ……逃がさなければ問題ないとも思うんデスガ‥‥」
双眼鏡で様子を見ながらレオーネに応えるように呟く。確かに、捕まえて情報を手に入れられればそれに越したことはない。だが、偵察に向かう前に葵やアルヴィンが言っていた。
『海賊と接触しないのは厳守で頼むわね』
『ソウダネ。コチラの存在知られて引き上げられても厄介だからネ』
と。
言葉通り、仮にこのタイミングで1人2人捕まえたとして、それが元で海賊たちに外敵がいることを察知されてしまったらどうなるか。偵察、制圧と作戦を2段に分けた意味が無い。葵が偵察に同行しないのも大人数で接近し海賊たちに存在がばれることを防ぐためだ。
「……となると、声が聞こえる距離まで近づくのは厳しいかな」
「そうデスネ。肝心なのは敵の存在に気づかれぬままという状況の維持デスから」
あるいは電源を入れたトランシーバーを一つ隠しておこうかともレオーネは考えたが、そこまで接近するには結局やはり相応に近づく必要がある。それで見つかっては元も子もない。断念せざるを得なかった。
「上陸できそうな場所は無いようだな」
ダリオの言うとおり、洞窟の入り口周辺は足場になるようなものなどない。ただ岩壁が続くのみだ。海からの海水が浸食して出来たようで、周辺に脇道の類はない。
「奥には何かがある……と思うんだけどね」
トミヲは奥を気にしているが、泳いで先に行くのは躊躇われる。海賊船のマスト上には常に誰かがいて下方を眺めている。一応の見張りという事なのだろう。奥を確認するために頭を出したら見つかるかもしれない。
「そこまで近づくと見つかる危険性が高まるか……この辺りで妥協せざるをえんな」
ダリオもまた葵からの言葉を思い出し、トミヲとともに深入りを避ける。
「……触リニ行キタカッタンダケドナ」
海賊船に乗り込んで宝でも物色しながら潜伏しよう等と考えていたゴンザレスもそれを断念する。
結局、偵察で確認できたのは簡単な地形と海賊たちの総数。その数は30。
ハンターたちに対し数は3倍以上。だが、これが一般人だけなら対処は難しくない。
だが、偵察中みかけた海賊の中には他と装備の違う海賊がいた。
「……まぁ一般人ダケで居座るトモ考え辛いネ」
アルヴィンの言葉は、暗に覚醒者の存在を示唆していた。
●戦闘
夜も深くなった頃……ハンターたちは洞窟入口近くまで小船を進める。そこから泳いで海賊船へ向かう。
「時間も時間だ。あまり騒がしくなる前に終わらせよう」
海賊船に取りついた真司は、すぐさまジェットブーツを使用。一気に船上へ跳び上がる。
「おっと」
すぐさま回避行動。集中射撃が真司のいた場所を撃ち抜く。
ジェットブーツによるジャンプは言うまでも無く大きい音を立てて行われる。気付いて下さいと言っているようなものだ。
「迂闊だったかな。まぁいいさ」
どちらにせよ、戦闘は避けられなかっただろう。タイミングが早いか遅いかの違いだけだ。そう断じて真司は手近な海賊に接近。胸ぐらをつかむとそのまま船体に叩きつける。昔軍で習っていたというCQC、いわゆる近接格闘術を活かし気絶させ、制圧していこうというつもりだ。
「全く、せっかちねぇ……」
やれやれと言った表情を浮かべる葵。できれば隠密裏にことを進めたかったが、こうなっては仕方ない。
「こうなれば隠れる必要なし。いざ!」
後続の為に鉤付きのロープを縁に引っかけたダリオが続いて船上へ。そのまま銃撃を躱しつつ回り込むような動きを見せる。
これは後続の魔術師の援護が目的。葵は船上へ来ると打ち合わせ通りスリープクラウドを使用。ダリオはその範囲に可能な限り海賊たちを収めるためにそういう動きを取っていたのだ。
だが、敵は一般人の海賊ばかりではない。スリープクラウドで眠らなかった男が1人。ナイフを持った男はすぐさま眠った海賊に平手打ちをくらわせたたき起こす。
「やっぱり覚醒者も居たネ」
続いて上がってきたアルヴィン。他の海賊を起こそうとした者の足を銃で撃ち動きを止める。
普通なら相手が覚醒者であると知ったら萎縮して動けなくなりそうなものだが、この辺り荒くれ者の海賊だからであろうか。撃たれた仲間をやや気にしながらも銃を構え、撃つ。狙われたのはタイミングよく船に乗り込んできたゴンザレス。回避行動をとった真司やダリオと違い、甲冑に身を包んだ重厚な印象通り動きは鈍いか。だが、その分堅い。攻撃を避けず受け止める。
「痛い! 気持ちいい!!!」
……発言に関してはあまり気にしてはいけない。とにかく、ゴンザレスが身を挺して盾になってくれたおかげでその後ろに着くハンターたちは安心して攻撃が出来る。
「あれは、猟撃士デスネ……撃ち落とします!」
高所から銃弾が降る。マスト上の見張り……猟撃士のようだ。それに対しヒズミが遠射を併用しつつ反撃。
猟撃士同士の撃ち合いの最中、数人がさらに船内から出てくる。その中には大剣を持つ男が2人。闘狩人か。
「まずは敵の母数を減らさないとね」
だが、出てきた海賊たち。その出入り口は一つしかなく、丁度一塊になっている。そこにトミヲがスリープクラウドを使用。闘狩人1人を含む大多数が寝入ってしまう。
残った一人がすぐさま起こそうとするが、その一瞬が隙となった。
「眠ってろ!」
真司がエレクトリックショックを使用。放たれた雷撃が闘狩人の身体をマヒさせる。さらに、続けざまにダリオが後頭部に当身。これで闘狩人は2人とも行動不能となった。
「くそっ!」
疾影士と残った海賊は船から飛び降りて逃げようと縁に近づく。
「逃がすか!」
だが、そうはさせまいとレオーネが機杖を海賊に向ける。そこから光線が放たれる。光線は途中で3方向に分岐し、それぞれ海賊を撃ち抜く。悲鳴とともに2人の海賊が倒れる。逃がさないことが前提。手加減の余裕は無い。
(一番大事なのは情報が漏れないようにする事ダカラネ……)
敵を逃がすぐらいなら口を封じることもやむを得ない。とはいえ、アルヴィンは聖導師。回復の手段を持っている。
「……まだ間に合いそうダネ」
倒れた海賊たちの様子を確認したアルヴィンはヒールで応急処置を行いつつ捕縛する。
疾影士の方はさすがに一発喰らっただけでは倒れないが、そこはトミヲがライトニングボルトを使用して追撃。さらに頭を掠めるように葵のストーンバレットが撃ち込まれる。
「逃げたら次、当てるわよぉ」
これで疾影士は戦意を喪失しその場にへたり込む。
「1、2……28人。ほとんど船に残ってたみたいだね。残りは2人かな?」
「いえ、1人デスネ」
ヒズミの言葉と共に、マストから猟撃士が落ちてくる。アルヴィンからの援護もあり、無事銃撃戦を制することが出来たようだ。
「となると、後1人はどこに……」
ハンターたちは船内などの捜索に向かう。
……その様子を隠れて窺っている最後の疾影士の姿が。
「なんだってハンターが……このまま逃げるか? けど……」
疾影士が思案している最中、その後ろに人影が。
「ソウ言エバ、オ前マダオ触リシテナカッタナ」
「ヒィッ!?」
逃げ出した疾影士は悲鳴を上げ逃げ出そうとするが、ゴンザレスにガッシリと肩を掴まれている。
「……逃がさんよ」
洞窟内に更なる絶叫が響く。その声が、全ての海賊たちが捕えられたことをハンターたちに教えてくれた。
●
「……特に何も無し、か……」
海賊たちを捉えた後、レオーネは海賊が拠点にしていた小屋を調べていた。が、特に変わったものなどは何もない。比較的最近建てられた感じだ。
「奥の方も特に無しデスネ」
ヒズミは洞窟の奥に隠れた抜け道がありそうな気がすると確認しに行ったが、すぐ行き止まりになっていたためその予想は外れた。レオーネの方ではあるいは小屋の中に秘密の入り口のようなものがあるのかとも思ったが、そういうものも見受けられない。
「後は海賊たちが島について何か知っていることが無いか、か……」
呟きながら、それでももしかしたら見落としがあるのかもしれないと、2人は捜索を続ける。
「その……何してんだ?」
「エッ? 数珠繋ギッテイウカ緊縛繋ギ出来ルカ試シテルンダヨ」
「……普通に縛ろう」
捕縛された海賊たちは大型船に連れて行かれ、真司とゴンザレスによって再度縛り上げられている。すでに話を聞けるものからは話を聞いており、後は海賊たちを連れて港に向かうだけだ。
当初は話を聞くのも難航するだろうと思われていたが海賊たちは意外と素直だった。アルヴィンの回復魔法のお陰で仲間が死なずに済んだ。その恩を返すとのことだった。
「と言っても、大した話は聞けなかったネ」
「あぁ……分かったことと言えば彼らがこの島のことを全く分からないということぐらいか」
アルヴィンとダリオが話した通り、海賊たちはこの島を単に人の寄りつかない、隠れるのにもってこいの島という程度の認識しかなかったらしい。グリフォンの事も知らなかった。
(結界の主らしき海賊はいないみたいだな)
トミヲは腕を組みながら海賊たちの話を反芻し、考える。
この海賊たちの存在に結界の主が気づいていないはずはないが、ではなぜ彼らはこの島まで来られたのか。
「海賊たちが言うには、霧の中を歪虚と戦い逃げていたら、いつのまにかたどり着いていたってことみたいだけどねぇ」
島を見つけるのには相応の苦労をしていたのに、海賊たちがその程度のことであっさり見つけられたのは不思議ではあると、葵も首をかしげる。
「歪虚に追われていたことと、島を探していたわけではないということ」
自分たちと海賊たちの違いはこの2つ……あるいはこれらがキーワードなのかもしれない。そうトミヲは考える。尤も、答えを教えてくれる相手はここにはいないが。
「――君達を害する意思が無い事、どうしたら伝わるかな」
霧は外敵を意識していたものだ。ならば、敵意が無いことがわかればあるいは……しかし、この問いに答える者もやはりいない。
「さて、これから島の調査か? 手伝うぜ」
真司としてもこの島に外敵が侵入してこないような霧を発生させていたものが誰なのか、あるいは何なのかが気がかりだった。早く調査に移りたいという気持ちが見て取れる。
そんな真司の提案に対し、ウェルナーは静かに首を振る。
「すぐ、というわけにはいかないな。海賊の引き渡しもあるし、装備などを準備してからだな」
こうして、ハンターたちは無事に海賊を制圧、拿捕することが出来た。双方多少の被害が出たものの治療によって大事には至らなかった。これなら作戦は成功したと考えてよいだろう。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 6人 |
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- 嗤ウ観察者
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/30 17:56:02 |
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いざ、海賊退治! アルヴィン = オールドリッチ(ka2378) エルフ|26才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/09/10 00:54:07 |