ゲスト
(ka0000)
マヨヒガの葡萄園
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/13 12:00
- 完成日
- 2015/09/19 03:24
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「こんなはずじゃなかった」
誰かがそう呟く。ここはグラズヘイム王国東部森林地帯……のはず。
ハンター一行が森に入って八日が過ぎ去っていた。
依頼は王都に住むエルフから受けたもの。森の奥に住んでいるドワーフに手紙と荷物を届けるといった簡単なものだった。
しかし渡された地図が間違いだらけで道に迷ってしまう。森の中でも村や集落を繋ぐ街道もどきや獣道は存在する。それらを辿っていくうちに自分達がどこにいるのか、さっぱりわからなくなってしまった。
地元の住人と出会えれば何とかなるのだろうが六日に渡って誰一人も見かけていない。もちろん村や集落にも辿り着けていなかった。
食料はとっくに切れて狩りで凌いでいる。ただ水はもう残り少なかった。昨日降った雨水を溜めた分だけになっている。
このままでは命が危ない。そんなことを考えながら重たい足を動かす。
朝から歩き始めて三時間が過ぎ去った。そろそろ休憩をと思い始めたところで、川のせせらぎが耳に届いた。
一行は互いに顔を見合わせて茂みの中を駆け抜ける。鼻腔をくすぐるよい香りまで辺りに漂っているような幻想に陥りつつも一行は辿り着く。
目の前には小川と葡萄畑が広がっていた。
ひとまず掌で水を掬って喉を潤す。葡萄も食べたかったが泥棒はしたくはない。どう見ても手入れがされている。
誰かいないか声をあげてみると少年と少女姿のパルム五体がやって来た。
葡萄を買いたいと頼んでみるとただで一房ずつくれる。葡萄酒用の葡萄なので甘さはぞれなりといわれたがとても美味しかった。
ハンターの一人がここは村なのかと訊ねるとパルム達が笑う。ここは精霊の土地で本来ならば人が踏み入れることはできない土地のようだ。リアルブルーのジャパンでいうところのマヨヒガ。辺境の地に迷い込んだ際、本来ならばあり得ない住居などに遭遇することを指す。他の国にも似たような伝説はたくさんあるらしい。
よく見れば神霊樹の分樹も遠くに見えた。
事情を話すと丸太小屋を提供してくれる。ここに泊まって身体を回復させればよいと。
パルム達は果物や野菜を持ってきてくれた。食べる分の肉は狩りで得ても構わないという。
自分達で調理をして存分に腹を満たす。緊張がほぐれたのか夜もぐっすりと眠れた。
そして二日目の昼頃、光に包まれた女性のような精霊『キリカ』が丸太小屋にやって来る。
「この地は重石のようなものなのです。歪虚の出口を抑え込んでいます」
キリカ曰く、消滅までかなりの年月がかかる歪虚の空間が存在する。このマヨヒガはそれの蓋のような役目を担っているとのことだ。
具体的には北東方面からマヨヒガに侵入しようとしている雑魔を抑え込んでいる。その数が増えすぎてしまい、現在難儀しているという。
「わざと結界を弛めて雑魔をこの地の端に侵入させます。皆さんのお力で倒しては頂けませんでしょうか?」
一行はキリカとパルム達に雑魔退治を頼まれる。
恩義を感じていた一行は快諾。さっそく戦闘の準備に取りかかるのだった。
誰かがそう呟く。ここはグラズヘイム王国東部森林地帯……のはず。
ハンター一行が森に入って八日が過ぎ去っていた。
依頼は王都に住むエルフから受けたもの。森の奥に住んでいるドワーフに手紙と荷物を届けるといった簡単なものだった。
しかし渡された地図が間違いだらけで道に迷ってしまう。森の中でも村や集落を繋ぐ街道もどきや獣道は存在する。それらを辿っていくうちに自分達がどこにいるのか、さっぱりわからなくなってしまった。
地元の住人と出会えれば何とかなるのだろうが六日に渡って誰一人も見かけていない。もちろん村や集落にも辿り着けていなかった。
食料はとっくに切れて狩りで凌いでいる。ただ水はもう残り少なかった。昨日降った雨水を溜めた分だけになっている。
このままでは命が危ない。そんなことを考えながら重たい足を動かす。
朝から歩き始めて三時間が過ぎ去った。そろそろ休憩をと思い始めたところで、川のせせらぎが耳に届いた。
一行は互いに顔を見合わせて茂みの中を駆け抜ける。鼻腔をくすぐるよい香りまで辺りに漂っているような幻想に陥りつつも一行は辿り着く。
目の前には小川と葡萄畑が広がっていた。
ひとまず掌で水を掬って喉を潤す。葡萄も食べたかったが泥棒はしたくはない。どう見ても手入れがされている。
誰かいないか声をあげてみると少年と少女姿のパルム五体がやって来た。
葡萄を買いたいと頼んでみるとただで一房ずつくれる。葡萄酒用の葡萄なので甘さはぞれなりといわれたがとても美味しかった。
ハンターの一人がここは村なのかと訊ねるとパルム達が笑う。ここは精霊の土地で本来ならば人が踏み入れることはできない土地のようだ。リアルブルーのジャパンでいうところのマヨヒガ。辺境の地に迷い込んだ際、本来ならばあり得ない住居などに遭遇することを指す。他の国にも似たような伝説はたくさんあるらしい。
よく見れば神霊樹の分樹も遠くに見えた。
事情を話すと丸太小屋を提供してくれる。ここに泊まって身体を回復させればよいと。
パルム達は果物や野菜を持ってきてくれた。食べる分の肉は狩りで得ても構わないという。
自分達で調理をして存分に腹を満たす。緊張がほぐれたのか夜もぐっすりと眠れた。
そして二日目の昼頃、光に包まれた女性のような精霊『キリカ』が丸太小屋にやって来る。
「この地は重石のようなものなのです。歪虚の出口を抑え込んでいます」
キリカ曰く、消滅までかなりの年月がかかる歪虚の空間が存在する。このマヨヒガはそれの蓋のような役目を担っているとのことだ。
具体的には北東方面からマヨヒガに侵入しようとしている雑魔を抑え込んでいる。その数が増えすぎてしまい、現在難儀しているという。
「わざと結界を弛めて雑魔をこの地の端に侵入させます。皆さんのお力で倒しては頂けませんでしょうか?」
一行はキリカとパルム達に雑魔退治を頼まれる。
恩義を感じていた一行は快諾。さっそく戦闘の準備に取りかかるのだった。
リプレイ本文
●
「森で迷ったときはマジ死ぬかと思ったからなっ! あのとき食べた葡萄はすげぇうまかったぜ!」
「マタトドケルノデ、アリンス」
マヨヒガの小道。鳴沢 礼(ka4771)がご機嫌な様子で女の子パルムと並んで歩く。
「昨晩の葡萄酒も美味しかったわ。飲み放題なんて最高ね。えっ、雑魔退治? ……やぁね、忘れるわけないじゃない」
ケイ(ka4032)はじっと見上げる男の子パルムの頭をぽんぽんと軽く触る。
ハンター一行はパルム達に導かれてマヨヒガの北東方面へと向かっていた。
「ここの葡萄酒はうまいからな。んま、その分くらいは働くとするかねぇ」
劉 厳靖(ka4574)が後方のケイに振り返りながら葡萄酒の味を思いだす。
清涼な葡萄の香りと軽い飲み応えが特徴の葡萄酒だった。しっかりと酔えるがたくさん飲んでも二日酔いにならず、目覚めはすっきり。今晩の酒盛りも楽しみである。
「しかしまあ、今更なんだが、道に迷ったものが異世界に存在する家に辿り着く。遠野物語がマヨヒガの伝承そのままじゃないか」
「マヨヒガ……普通には、来れへんところ……迷ってしもたんは……困ってたけど……変わりに、ここに来れたんは……幸運、やったのかも……」
久延毘 大二郎(ka1771)と浅黄 小夜(ka3062)の興味は尽きない。
葡萄園も含めて一見普通に見えるが、ふんわりと輝いているような幻想的な雰囲気が感じられた。試しに外へ出ようとしても元の場所へ戻ってしまう。精霊キリカの意思が働いているらしい。
「タタカイハ、コノヘンデ、オネガイシマス。キョウカイセンハ、アソコ」
先頭の男の子パルムが立ち止まり、木々の向こう側に広がる三十M先の拓けた土地を指さす。境界線といわれた辺りは景色が微妙に歪んでいた。
「恩義を受けた以上、断るなんて論外ですから。わたしはわたしの力の及ぶ限りで進んで協力させて頂きますね」
日下 菜摘(ka0881)は回復役として後方に留まる。
「はやてにおまかせですの!」
八劒 颯(ka1804)は肩に担いでいた魔導ドリルを構えて大樹の裏へと隠れた。
「こんなに美しい場所が歪虚を押さえている要だなんて。確かに必要でしょうけれど……出来るならその負担を軽減して差し上げたいですわ」
跳ねて枝に掴まったロジー・ビィ(ka0296)は逆上がりをしつつ、烏鷺に爪先を引っかける。瞬く間に大樹の高い位置まで登って境界線付近を上から眺めた。
いつの間にかパルム達の側に精霊のキリカの姿があった。
「では」
全員の覚醒を確認したキリカが手を翳すと境目付近が光と闇に包まれる。晴れた瞬間、黒と紫色の鎧を纏った厳つい鎧雑魔五体が現れた。
ロジーが放った矢を肩に突き刺したまま鎧雑魔・1が樹木の根元まで駆け寄る。残る四体のうち二体も似た行動を起こす。ロジーは枝から枝へと移りながら矢を射つ。
久延毘は前衛が飛びだす前にスリープクラウドの霧で鎧雑魔五体を包み込んだ。眠りに誘われて敵に隙が生まれる。
浅黄小夜がすかさず放ったファイアーボールの火球が爆散した。同時にケイによるフォールシュートの銃弾の雨も敵に深手を負わせる。
久延毘が追い打ち。一列に並んだ鎧雑魔の2と3をライトニングボルトの雷走りが貫いた。
「雷撃を受けた二体は瀕死ですよ!」
日下菜摘はホーリーパニッシャーの先で指し示しつつ、敵側の動きを仲間達に報せる。
「ほれ、オメェらの相手は俺だっての」
劉厳靖は鎧雑魔・2が浅黄小夜に放った盾を堅守で受けきった。次にフラメアの穂先で脇と鎧の隙間を突いてやる。
「ほいっと!」
3の始末は鳴沢礼が担当。劉厳靖の背後から飛びだすと疾風剣であっと言う間に間合いを詰めた。日本刀「虎徹」で深く喉を突く。
動きが極端に鈍った2と3を倒すのは造作も無い。
着地したロジーは握っていたグラディウスで1の背後に回った。冑と鎧の隙間を狙って刃を滑り込めませる。踏み込んで柄の部分まで突き刺してから抜き去ると、散り散りになって消えていく。
八劒颯は恰幅のよい鎧雑魔・4と対峙した。
見かけよりも素速い動きで振るわれた剣筋をすべて避けきる。一撃だけシールドで受け止めて、その隙に間合いを詰めた。
「びりびり電撃どりる!!!!」
八劒颯の魔導ドリルによって4の土手っ腹に穴が空く。エレクトリックショックの追撃によって反撃できずに立ち尽くすだけ。二撃、三撃と穴だらけにしてしまう。
そして鎧雑魔・5を仕留めたのがケイだ。
(スレッジハンマー、激重)
岩に身体を添わせてリボルバー「スレッジハンマーSS」の銃口を5に向ける。
改心の銃撃によって胴正面部分の鎧に大穴が空いた。中身は真っ黒。まるで闇が人を象ったような雑魔である。弱点が露わなら後は簡単。二発撃ち込んで完全に仕留めきった。
「怪我はほんの少しだけど、次の敵が強かったら大変だから前回させておきますね」
戦闘後、日下菜摘がヒーリングスフィアで仲間を全快にする。
覚醒の残り時間は三十分以上。そこですぐにもう一戦して無事に終了。一行はキリカやパルム達に感謝されるのだった。
●
雑魔退治後、ハンター達は食事の用意に取りかかる。
「これ……精霊さんに、聞いたら教えてくれて……」
「頭の上に毬栗が落ちてきて、ちょっとだけ大変だったのよ」
籠を抱えた浅黄小夜とケイが水汲み途中の久延毘に声を掛ける。
「栗、美味しそうだな」
米があれば栗御飯といきたいところだがさすがにそれはない。三人で丸太小屋へと帰ると八劒颯と鳴沢礼の姿があった。
「パルムさん達に教えてもらった罠で獲れた鴨です。すぐに使えますよ」
八劒颯が掲げた鴨はすでに羽根が毟られている。
「パルムに教えてもらったところで釣り竿垂らしていたら、ほらっ。鮎っぽい魚がたくさん釣れたんだぜっ!」
鳴沢礼が持っていた魚籠には十匹以上の魚が納まっていた。
鴨は晩御飯の食材に使われる。鮎っぽい魚は今晩の酒盛り用だ。
「見目も鮮やかでアグレッシヴ。今晩もアバンギャルドなお料理で、皆さんを楽しませて差し上げますわ♪」
ロジーは今日も張り切って包丁を手に取る。
「この果物。この野菜。このコ(素材)達を更に鮮やかに! 果物を野菜で包むOR刳り貫いた野菜に果物を挟み、更に果汁で煮ますわ」
タクトを振るように包丁を扱うロジー。
「このお肉、切り分けてもらえますか?」
「わかった。これぐらいは任せてくれ」
調理場には久延毘の姿があった。
そしてもう一人、日下菜摘はこれまでロジーの調理にさりげなく静止の言葉をかけてきた。おかげで食材が無駄になったことはない。但し、美味しいかと問われれば口ごもってしまう出来だったのは間違いなかった。
(いい感じかも)
ところがである。本日のロジーの手さばきには淀みがなかった。
「でも……少し寂しいですわね。そうですわっ! このお肉をミンチボール状にして……出来たお料理の上にクロカンブッシュ宜しく、積み上げてみたらどうでしょう?」
皿に盛っている途中でロジーは野外へ。野花を摘んで戻ってくる。
「お花をぶっ刺して華やかに! さぁ、皆さん、召し上がれ」
夕食時、卓に並んだ料理を眺めた一同が眉をひそめた。
「うむ。うまいな!」
劉厳靖が最初に口にしたのは日下菜摘が作った鴨肉の赤葡萄酒煮である。他の仲間達も葡萄酒煮から食べ始めた。とはいえ微笑みのロジーを無視することなどできるはずがない。
(うむ、若いものに任せよう)
劉厳靖はロジーの作った料理の皿を手の甲で遠ざけておく。
「えーえっとっ?」
間近までロジーに顔を近づけられた日下菜摘が冷や汗を垂らす。彼女がいいたいことはわかっていた。
それに一縷の望みに似た期待もある。一口食べてみた日下菜摘は眼鏡のブリッジに人差し指を当てて位置を直す。
「美味しい……です。果物の甘味と酸味が合わさって、そこに程よい脂身が混ぜられた肉が合わさり」
日下菜摘の説明にロジーが笑みを輝かす。
仲間も一口だけといいながら摘まんで表情を変える。各自の取り皿へアバンギャルド料理が盛られた。誰一人残さずに平らげる。それから二時間ほど経ってから葡萄酒での酒盛りが始まった。
「うへへ、なんかちょーいい気分! えへへへ、ここいい場所っすよね!」
「鳴沢のお兄はんの……お魚……美味しいですっ」
鳴沢礼は焼き魚を肴に葡萄酒でほろ酔い気分だ。浅黄小夜は彼の隣の席で焼き魚の身を頂く。
「これなっ。すごい入れ食いだったんだぜっ!」
「……見学しに、行こぉかな……」
「いいぜっ!」
二人は約束を交わす。霧に覆われた翌朝、浅黄小夜は鳴沢礼の魚釣りに同行させてもらって楽しい時間を過ごすこととなる。
「とても美味しいですわ。きっと育てている方々が大切に育て、ワインにしたから……ですわね」
葡萄酒でほろ酔いしたロジーが膝の上に竪琴を乗せて奏でる。その調べを耳にしたパルム達が月夜の野外で踊りだす。
「……歳を重ねたものも良いですが、こういう若いワインもまた格別なものがありますね。これだけでもここに来て良かったと思います」
「マヨヒガにあった物を持ち帰る事が出来れば、長者となれるという伝承が、我が国にある。得られる富になぞ微塵も興味は無い、だがその伝承は真実であるかどうか……」
日下菜摘と久延毘は互いの杯に葡萄酒を注ぎ合った。
(二日酔いで雑魔退治に支障を出さないようにしないといけません)
そう思いながら八劒颯も葡萄酒を味わう。赤だけでなく白もあった。パルムによると白葡萄酒は醸造が難しいようだ。
「程よい甘味で……うん美味しいわ」
ケイは焼き栗を肴にして葡萄酒を呷る。
「さあ、飲め飲め! 運動の後に飯にうまい酒ってのは最高だねぇ」
劉厳靖は空いたケイの杯に葡萄酒を注ぐ。自らも串に刺さった焼き魚を頬張り、葡萄酒をがぶ飲みした。あまりの美味さについつい膝を叩いてしまう。
「まだまだこれからよ」
今度はケイが劉厳靖に葡萄酒を注いでくれる。
たっぷりの葡萄酒を飲み干したところでお開きの時間となる。寝床に潜り込んだハンター達は笑顔を浮かべて吐息を立てるのだった。
●
雑魔退治は順調に進み、三日目の通算五度目の戦いとなる。
「みなさんお気を付けて!」
結界が開かれた瞬間、これまで一度も声を荒らげたことがないキリカが叫んだ。
狭間の闇が晴れたとき、ハンターの誰もが視線をあげる。全長五Mを越える巨体鎧雑魔が聳えていたからだ。他にはこれまで対処してきたと同等の鎧雑魔三体がいる。
久延毘と浅黄小夜が立て続けにスリープクラウドを使う。敵すべてを霧で包み込んだが巨体鎧雑魔には効果がなかった。
ロジーが放った矢を盾よりも大きい掌で受け止める巨体鎧雑魔。踏みだした一歩によって大地がかすかに揺れる。
「足止めは私に任せて。少しならやりようがあるから。その間に他のを頼んだわよ」
ケイのスレッジハンマーSSからレイターコールドショットが撃たれる。銃創から広がった冷気が巨体鎧雑魔を包み込んだ。行動を起こそうとする度に冷気の銃弾によって停止させて、行動の選択を澱ませていく。
スリープクラウドが止んだ瞬間、前衛達が敵目がけて大地を駆け抜けた。
八劒颯のドリルが地面に伏せていた鎧雑魔・21の背中に突き刺さる。超重練成によって巨大化したそれは一気に消滅へと導いた。
久延毘は火弾「八尺瓊勾玉」を当てることで巨体鎧雑魔の意識がケイとロジーに向かないように気遣う。掌による盾は三人の攻撃を阻止し続けた。
劉厳靖が大きく振りかぶってフラメアを叩きつける。それによって頭部が吹き飛んだ鎧雑魔・22だが、闇雲な攻撃を繰り返す。
「邪魔だ!」
体勢を立て直した劉厳靖が22に止めを刺した。
鳴沢礼は浅黄小夜がアースウォールで作りだした土壁の裏側に身を隠していた。鎧雑魔・23が背中を向けた瞬間に跳びだし、腰辺りの鎧の隙間に日本刀「虎徹」を差し込む。
反撃を凌ぎつつ一旦退いてもう一度。瀕死まで追い込んでから完全に仕留めきった。
「回復です! 少し寄って下さいね」
日下菜摘は仲間達が鎧雑魔三体を倒したところでヒーリングスフィアを施す。巨体鎧雑魔を倒すためには万全の準備が必要。負った傷を全回復させた。
全員での巨体鎧雑魔退治が始まる。
劉厳靖が右の太腿に刃を突き立てた瞬間、遠くまで蹴飛ばされた。彼の背後に隠れるように迫った鳴沢礼は左の踵に一撃を食らわせてから地面に転がされる。
ケイと久延毘は遠隔攻撃を巨体鎧雑魔の顔に集中させていた。
ロジーが樹木の枝から巨体鎧雑魔のうなじ目がけて飛び降りる。グラディウスを突き立てて落下の勢いのまま斬り裂いた。縄のような紐が千切れて鎧の一部が地面へと突き刺さった。
それまでヒールで仲間を回復させていた日下菜摘も参戦。デリンジャー「プルンブム」で頭部を狙う。
久延毘が放った最後の火弾を機にして巨体鎧雑魔の右手甲にヒビが入る。銃撃によって広がり、掌は砕け落ちた。反対の腕は剣を握っているために防御には使えない。遠隔攻撃が容易に頭部へと当たるようになる。
暴れ狂う巨体鎧雑魔が背負っていた盾を飛ばす。発生した暴風に巻き込まれてもハンター達はすぐさま立ち上がった。
八劒颯が当てた回転するドリルが巨体鎧雑魔右足首をついに穿つ。
浅黄小夜の土壁が巨体鎧雑魔の蹴りを防いだ。裏側に隠れていたおかげで仲間が命拾いをする。
「ったく、いい加減おとなしくしろってんだ!」
マテリアルヒーリングで自らを癒やしつつ劉厳靖が叫ぶ。
ついに巨体鎧雑魔の視覚を奪うことに成功した。全力で攻撃していくと鎧が剥がれ落ちて真っ黒な巨人が姿を現す。やがて大地へと膝を落とした。
巨体鎧雑魔は自ら巻き上げた土煙にまみれながら、塵と化すように消えていくのだった。
●
一行は休憩をとった後で戦闘を再開させた。残りの鎧雑魔六体を殲滅。こうしてキリカとの約束通りに合計三十体を倒しきる。
「ありがとうございます。おかげでこれから余計な力を使わずに過ごせるようになります」
帰路に就く早朝、キリカはハンター全員に葡萄酒を贈った。森の道案内として二体のパルムも同行させる。今度は迷うことなくドワーフの住処に辿り着いて依頼を果たす。
パルム達と別れて森を離れる。王都の支部へ立ち寄った際、口頭で簡単な報告を行うこととなった。
「ありのまま起こったことをお話します。はやては森へのお届け物の依頼を受けたと思っていたら葡萄園で雑魔退治に参加していました。なにを言っているか――」
八劒颯の説明に支部職員達が一斉に首を傾げる。仲間達は笑うのを必死に堪えるのだった。
「森で迷ったときはマジ死ぬかと思ったからなっ! あのとき食べた葡萄はすげぇうまかったぜ!」
「マタトドケルノデ、アリンス」
マヨヒガの小道。鳴沢 礼(ka4771)がご機嫌な様子で女の子パルムと並んで歩く。
「昨晩の葡萄酒も美味しかったわ。飲み放題なんて最高ね。えっ、雑魔退治? ……やぁね、忘れるわけないじゃない」
ケイ(ka4032)はじっと見上げる男の子パルムの頭をぽんぽんと軽く触る。
ハンター一行はパルム達に導かれてマヨヒガの北東方面へと向かっていた。
「ここの葡萄酒はうまいからな。んま、その分くらいは働くとするかねぇ」
劉 厳靖(ka4574)が後方のケイに振り返りながら葡萄酒の味を思いだす。
清涼な葡萄の香りと軽い飲み応えが特徴の葡萄酒だった。しっかりと酔えるがたくさん飲んでも二日酔いにならず、目覚めはすっきり。今晩の酒盛りも楽しみである。
「しかしまあ、今更なんだが、道に迷ったものが異世界に存在する家に辿り着く。遠野物語がマヨヒガの伝承そのままじゃないか」
「マヨヒガ……普通には、来れへんところ……迷ってしもたんは……困ってたけど……変わりに、ここに来れたんは……幸運、やったのかも……」
久延毘 大二郎(ka1771)と浅黄 小夜(ka3062)の興味は尽きない。
葡萄園も含めて一見普通に見えるが、ふんわりと輝いているような幻想的な雰囲気が感じられた。試しに外へ出ようとしても元の場所へ戻ってしまう。精霊キリカの意思が働いているらしい。
「タタカイハ、コノヘンデ、オネガイシマス。キョウカイセンハ、アソコ」
先頭の男の子パルムが立ち止まり、木々の向こう側に広がる三十M先の拓けた土地を指さす。境界線といわれた辺りは景色が微妙に歪んでいた。
「恩義を受けた以上、断るなんて論外ですから。わたしはわたしの力の及ぶ限りで進んで協力させて頂きますね」
日下 菜摘(ka0881)は回復役として後方に留まる。
「はやてにおまかせですの!」
八劒 颯(ka1804)は肩に担いでいた魔導ドリルを構えて大樹の裏へと隠れた。
「こんなに美しい場所が歪虚を押さえている要だなんて。確かに必要でしょうけれど……出来るならその負担を軽減して差し上げたいですわ」
跳ねて枝に掴まったロジー・ビィ(ka0296)は逆上がりをしつつ、烏鷺に爪先を引っかける。瞬く間に大樹の高い位置まで登って境界線付近を上から眺めた。
いつの間にかパルム達の側に精霊のキリカの姿があった。
「では」
全員の覚醒を確認したキリカが手を翳すと境目付近が光と闇に包まれる。晴れた瞬間、黒と紫色の鎧を纏った厳つい鎧雑魔五体が現れた。
ロジーが放った矢を肩に突き刺したまま鎧雑魔・1が樹木の根元まで駆け寄る。残る四体のうち二体も似た行動を起こす。ロジーは枝から枝へと移りながら矢を射つ。
久延毘は前衛が飛びだす前にスリープクラウドの霧で鎧雑魔五体を包み込んだ。眠りに誘われて敵に隙が生まれる。
浅黄小夜がすかさず放ったファイアーボールの火球が爆散した。同時にケイによるフォールシュートの銃弾の雨も敵に深手を負わせる。
久延毘が追い打ち。一列に並んだ鎧雑魔の2と3をライトニングボルトの雷走りが貫いた。
「雷撃を受けた二体は瀕死ですよ!」
日下菜摘はホーリーパニッシャーの先で指し示しつつ、敵側の動きを仲間達に報せる。
「ほれ、オメェらの相手は俺だっての」
劉厳靖は鎧雑魔・2が浅黄小夜に放った盾を堅守で受けきった。次にフラメアの穂先で脇と鎧の隙間を突いてやる。
「ほいっと!」
3の始末は鳴沢礼が担当。劉厳靖の背後から飛びだすと疾風剣であっと言う間に間合いを詰めた。日本刀「虎徹」で深く喉を突く。
動きが極端に鈍った2と3を倒すのは造作も無い。
着地したロジーは握っていたグラディウスで1の背後に回った。冑と鎧の隙間を狙って刃を滑り込めませる。踏み込んで柄の部分まで突き刺してから抜き去ると、散り散りになって消えていく。
八劒颯は恰幅のよい鎧雑魔・4と対峙した。
見かけよりも素速い動きで振るわれた剣筋をすべて避けきる。一撃だけシールドで受け止めて、その隙に間合いを詰めた。
「びりびり電撃どりる!!!!」
八劒颯の魔導ドリルによって4の土手っ腹に穴が空く。エレクトリックショックの追撃によって反撃できずに立ち尽くすだけ。二撃、三撃と穴だらけにしてしまう。
そして鎧雑魔・5を仕留めたのがケイだ。
(スレッジハンマー、激重)
岩に身体を添わせてリボルバー「スレッジハンマーSS」の銃口を5に向ける。
改心の銃撃によって胴正面部分の鎧に大穴が空いた。中身は真っ黒。まるで闇が人を象ったような雑魔である。弱点が露わなら後は簡単。二発撃ち込んで完全に仕留めきった。
「怪我はほんの少しだけど、次の敵が強かったら大変だから前回させておきますね」
戦闘後、日下菜摘がヒーリングスフィアで仲間を全快にする。
覚醒の残り時間は三十分以上。そこですぐにもう一戦して無事に終了。一行はキリカやパルム達に感謝されるのだった。
●
雑魔退治後、ハンター達は食事の用意に取りかかる。
「これ……精霊さんに、聞いたら教えてくれて……」
「頭の上に毬栗が落ちてきて、ちょっとだけ大変だったのよ」
籠を抱えた浅黄小夜とケイが水汲み途中の久延毘に声を掛ける。
「栗、美味しそうだな」
米があれば栗御飯といきたいところだがさすがにそれはない。三人で丸太小屋へと帰ると八劒颯と鳴沢礼の姿があった。
「パルムさん達に教えてもらった罠で獲れた鴨です。すぐに使えますよ」
八劒颯が掲げた鴨はすでに羽根が毟られている。
「パルムに教えてもらったところで釣り竿垂らしていたら、ほらっ。鮎っぽい魚がたくさん釣れたんだぜっ!」
鳴沢礼が持っていた魚籠には十匹以上の魚が納まっていた。
鴨は晩御飯の食材に使われる。鮎っぽい魚は今晩の酒盛り用だ。
「見目も鮮やかでアグレッシヴ。今晩もアバンギャルドなお料理で、皆さんを楽しませて差し上げますわ♪」
ロジーは今日も張り切って包丁を手に取る。
「この果物。この野菜。このコ(素材)達を更に鮮やかに! 果物を野菜で包むOR刳り貫いた野菜に果物を挟み、更に果汁で煮ますわ」
タクトを振るように包丁を扱うロジー。
「このお肉、切り分けてもらえますか?」
「わかった。これぐらいは任せてくれ」
調理場には久延毘の姿があった。
そしてもう一人、日下菜摘はこれまでロジーの調理にさりげなく静止の言葉をかけてきた。おかげで食材が無駄になったことはない。但し、美味しいかと問われれば口ごもってしまう出来だったのは間違いなかった。
(いい感じかも)
ところがである。本日のロジーの手さばきには淀みがなかった。
「でも……少し寂しいですわね。そうですわっ! このお肉をミンチボール状にして……出来たお料理の上にクロカンブッシュ宜しく、積み上げてみたらどうでしょう?」
皿に盛っている途中でロジーは野外へ。野花を摘んで戻ってくる。
「お花をぶっ刺して華やかに! さぁ、皆さん、召し上がれ」
夕食時、卓に並んだ料理を眺めた一同が眉をひそめた。
「うむ。うまいな!」
劉厳靖が最初に口にしたのは日下菜摘が作った鴨肉の赤葡萄酒煮である。他の仲間達も葡萄酒煮から食べ始めた。とはいえ微笑みのロジーを無視することなどできるはずがない。
(うむ、若いものに任せよう)
劉厳靖はロジーの作った料理の皿を手の甲で遠ざけておく。
「えーえっとっ?」
間近までロジーに顔を近づけられた日下菜摘が冷や汗を垂らす。彼女がいいたいことはわかっていた。
それに一縷の望みに似た期待もある。一口食べてみた日下菜摘は眼鏡のブリッジに人差し指を当てて位置を直す。
「美味しい……です。果物の甘味と酸味が合わさって、そこに程よい脂身が混ぜられた肉が合わさり」
日下菜摘の説明にロジーが笑みを輝かす。
仲間も一口だけといいながら摘まんで表情を変える。各自の取り皿へアバンギャルド料理が盛られた。誰一人残さずに平らげる。それから二時間ほど経ってから葡萄酒での酒盛りが始まった。
「うへへ、なんかちょーいい気分! えへへへ、ここいい場所っすよね!」
「鳴沢のお兄はんの……お魚……美味しいですっ」
鳴沢礼は焼き魚を肴に葡萄酒でほろ酔い気分だ。浅黄小夜は彼の隣の席で焼き魚の身を頂く。
「これなっ。すごい入れ食いだったんだぜっ!」
「……見学しに、行こぉかな……」
「いいぜっ!」
二人は約束を交わす。霧に覆われた翌朝、浅黄小夜は鳴沢礼の魚釣りに同行させてもらって楽しい時間を過ごすこととなる。
「とても美味しいですわ。きっと育てている方々が大切に育て、ワインにしたから……ですわね」
葡萄酒でほろ酔いしたロジーが膝の上に竪琴を乗せて奏でる。その調べを耳にしたパルム達が月夜の野外で踊りだす。
「……歳を重ねたものも良いですが、こういう若いワインもまた格別なものがありますね。これだけでもここに来て良かったと思います」
「マヨヒガにあった物を持ち帰る事が出来れば、長者となれるという伝承が、我が国にある。得られる富になぞ微塵も興味は無い、だがその伝承は真実であるかどうか……」
日下菜摘と久延毘は互いの杯に葡萄酒を注ぎ合った。
(二日酔いで雑魔退治に支障を出さないようにしないといけません)
そう思いながら八劒颯も葡萄酒を味わう。赤だけでなく白もあった。パルムによると白葡萄酒は醸造が難しいようだ。
「程よい甘味で……うん美味しいわ」
ケイは焼き栗を肴にして葡萄酒を呷る。
「さあ、飲め飲め! 運動の後に飯にうまい酒ってのは最高だねぇ」
劉厳靖は空いたケイの杯に葡萄酒を注ぐ。自らも串に刺さった焼き魚を頬張り、葡萄酒をがぶ飲みした。あまりの美味さについつい膝を叩いてしまう。
「まだまだこれからよ」
今度はケイが劉厳靖に葡萄酒を注いでくれる。
たっぷりの葡萄酒を飲み干したところでお開きの時間となる。寝床に潜り込んだハンター達は笑顔を浮かべて吐息を立てるのだった。
●
雑魔退治は順調に進み、三日目の通算五度目の戦いとなる。
「みなさんお気を付けて!」
結界が開かれた瞬間、これまで一度も声を荒らげたことがないキリカが叫んだ。
狭間の闇が晴れたとき、ハンターの誰もが視線をあげる。全長五Mを越える巨体鎧雑魔が聳えていたからだ。他にはこれまで対処してきたと同等の鎧雑魔三体がいる。
久延毘と浅黄小夜が立て続けにスリープクラウドを使う。敵すべてを霧で包み込んだが巨体鎧雑魔には効果がなかった。
ロジーが放った矢を盾よりも大きい掌で受け止める巨体鎧雑魔。踏みだした一歩によって大地がかすかに揺れる。
「足止めは私に任せて。少しならやりようがあるから。その間に他のを頼んだわよ」
ケイのスレッジハンマーSSからレイターコールドショットが撃たれる。銃創から広がった冷気が巨体鎧雑魔を包み込んだ。行動を起こそうとする度に冷気の銃弾によって停止させて、行動の選択を澱ませていく。
スリープクラウドが止んだ瞬間、前衛達が敵目がけて大地を駆け抜けた。
八劒颯のドリルが地面に伏せていた鎧雑魔・21の背中に突き刺さる。超重練成によって巨大化したそれは一気に消滅へと導いた。
久延毘は火弾「八尺瓊勾玉」を当てることで巨体鎧雑魔の意識がケイとロジーに向かないように気遣う。掌による盾は三人の攻撃を阻止し続けた。
劉厳靖が大きく振りかぶってフラメアを叩きつける。それによって頭部が吹き飛んだ鎧雑魔・22だが、闇雲な攻撃を繰り返す。
「邪魔だ!」
体勢を立て直した劉厳靖が22に止めを刺した。
鳴沢礼は浅黄小夜がアースウォールで作りだした土壁の裏側に身を隠していた。鎧雑魔・23が背中を向けた瞬間に跳びだし、腰辺りの鎧の隙間に日本刀「虎徹」を差し込む。
反撃を凌ぎつつ一旦退いてもう一度。瀕死まで追い込んでから完全に仕留めきった。
「回復です! 少し寄って下さいね」
日下菜摘は仲間達が鎧雑魔三体を倒したところでヒーリングスフィアを施す。巨体鎧雑魔を倒すためには万全の準備が必要。負った傷を全回復させた。
全員での巨体鎧雑魔退治が始まる。
劉厳靖が右の太腿に刃を突き立てた瞬間、遠くまで蹴飛ばされた。彼の背後に隠れるように迫った鳴沢礼は左の踵に一撃を食らわせてから地面に転がされる。
ケイと久延毘は遠隔攻撃を巨体鎧雑魔の顔に集中させていた。
ロジーが樹木の枝から巨体鎧雑魔のうなじ目がけて飛び降りる。グラディウスを突き立てて落下の勢いのまま斬り裂いた。縄のような紐が千切れて鎧の一部が地面へと突き刺さった。
それまでヒールで仲間を回復させていた日下菜摘も参戦。デリンジャー「プルンブム」で頭部を狙う。
久延毘が放った最後の火弾を機にして巨体鎧雑魔の右手甲にヒビが入る。銃撃によって広がり、掌は砕け落ちた。反対の腕は剣を握っているために防御には使えない。遠隔攻撃が容易に頭部へと当たるようになる。
暴れ狂う巨体鎧雑魔が背負っていた盾を飛ばす。発生した暴風に巻き込まれてもハンター達はすぐさま立ち上がった。
八劒颯が当てた回転するドリルが巨体鎧雑魔右足首をついに穿つ。
浅黄小夜の土壁が巨体鎧雑魔の蹴りを防いだ。裏側に隠れていたおかげで仲間が命拾いをする。
「ったく、いい加減おとなしくしろってんだ!」
マテリアルヒーリングで自らを癒やしつつ劉厳靖が叫ぶ。
ついに巨体鎧雑魔の視覚を奪うことに成功した。全力で攻撃していくと鎧が剥がれ落ちて真っ黒な巨人が姿を現す。やがて大地へと膝を落とした。
巨体鎧雑魔は自ら巻き上げた土煙にまみれながら、塵と化すように消えていくのだった。
●
一行は休憩をとった後で戦闘を再開させた。残りの鎧雑魔六体を殲滅。こうしてキリカとの約束通りに合計三十体を倒しきる。
「ありがとうございます。おかげでこれから余計な力を使わずに過ごせるようになります」
帰路に就く早朝、キリカはハンター全員に葡萄酒を贈った。森の道案内として二体のパルムも同行させる。今度は迷うことなくドワーフの住処に辿り着いて依頼を果たす。
パルム達と別れて森を離れる。王都の支部へ立ち寄った際、口頭で簡単な報告を行うこととなった。
「ありのまま起こったことをお話します。はやては森へのお届け物の依頼を受けたと思っていたら葡萄園で雑魔退治に参加していました。なにを言っているか――」
八劒颯の説明に支部職員達が一斉に首を傾げる。仲間達は笑うのを必死に堪えるのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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面白かった! | 5人 |
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MVP一覧
- 蒼き星雲に祈りを込めて
鳴沢 礼(ka4771)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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打ち合わせ 劉 厳靖(ka4574) 人間(クリムゾンウェスト)|36才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/09/12 19:34:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/08 21:17:45 |
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フミナさんに質問! 鳴沢 礼(ka4771) 人間(リアルブルー)|15才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/09/10 21:13:59 |