ゲスト
(ka0000)
誕生!機甲小隊Pクレープ
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/21 22:00
- 完成日
- 2015/09/29 19:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●Pクレープにて
ここは同盟領の都市、ヴァリオスの一角。
「ええと……」
太っちょの青年がクレープ屋台「Pクレープ」で何かを言いよどんでますね。
「ほへ? どうしたの、ポルテさん」
ちょうど、本日の店番をしていた新人ハンターの南那初華(kz0135)が首をかしげます。青年はPクレープの仕入れ業者でオーナーたるポルカ商会のポルテ・ポルカ。家族経営の小さな商会で、ポルテはその一人息子です。
「いやその……初華さんて、強いの?」
「えへ♪」
単刀直入に聞かれ、初華は笑顔でごまかします。
仕方ないですよね。まだこちらに転移してきて間もなくて、リアルブルーでもスケ番張ってたこのウチがいつの間にやらマッポの手先とかいう強そうな存在でもなかったわけですから。
おっと、ここで来客です。
「Pクレープのお姉さん、ジャムのクレープ一つ」
「はい、いらっしゃいませ。ちょっと待っててね」
母親に連れられた娘ににっこり笑顔でこたえて生地を焼き始めます。
しばらくのち。
「お待たせしました。はいどうぞ♪」
「わあっ。ありがとー」
娘はとっても嬉しそうですね。ぱくっと食べたその笑顔に、母親もとっても満足そうです。
「……まあ、初華さん評判いいから強くなくてもいいんだけど」
「う……。わ、私だって一角大蝙蝠倒したりゴブリン倒したりしてるんですからねっ!」
ポルテに言われてツンする初華。いつかの新人依頼のことを言ってるようですね。
「でもどうしたんです、急に」
「実はね」
ポルテの話では、田舎の取引先で「森林狼の群れが村に近寄ってるようだから何とかしてほしい」という困りごとがあるそう。素直にハンターオフィスへ依頼するのを勧めてもいいのですが、そこはそれ、ポルカ商会にお任せあれ、とオフィスへの相談を引き受けたようです。普段オフィスに依頼慣れしてない人は慣れている人に任せたいものですよね。
「なあ、やってるかい?」
ここで新たな客が。
背の高い、渋い傭兵風の男性です。
「あ、はい。いらっしゃいませ。ブランデーフレーバーのジャムクレープはいかが?」
「へぇ……。んじゃ、店員さんの見立てに従うかなぁ。それよりその依頼主、森林狼をどうしたいんだ?」
どうやらお客さん、先の話に興味があるようです。
「え……ええと、村から遠ざけたいみたいです」
「だったら強さはあまり関係ないねぇ……必要なのは装甲と機動力だなぁ。どうしたもんかなぁ」
ポルテ、この男の洞察力に感心し、言い忘れたことを慌てて付け加えます。
「まさにその通りです。だからフマーレで遊んでいた試作の三輪魔導トラック『オート三輪』を用意してくれました」
「なるほどな。じゃ、俺がドラをやろう。お嬢ちゃんはナビか荷台から撃ってればいい。で、村から遠ざかるように走りゃいいだろう?」
ここで男、クレープを焼いてる初華を見ます。
「ほへ? やっつけないの?」
「やっつけてもいいが、狼がいなくなって別の厄介なのがそこを縄張りにしてもなぁ。森林狼ってんだから森が行動圏で、よほどのことがないと村には来ないんだろう?」
初華に聞かれポルカに確認します。
「あ、はい。普段は人里には近寄らないそうです。年によって群れが自然と村近くの森に来て、人に被害が出るくらいで……」
どうやら下手に完全討伐しない方がよさそうです。
「つまり、自然と村に近寄ってしまった狼の群れを適度に刺激しつつ、本来の場所に導いてやりゃいいってわけだ。……悲しいねぇ、本来いるべき場所からはぐれた迷子ってのは」
えらく情緒豊かに独白する男性に、思わず初華は聞いてしまうのです。
「ええと……お客さんは?」
「俺かい? ただの退役軍人、ダイン・グラマン。人は俺を『戦場詩人』と呼ぶねぇ」
実は彼は退役どころか服役すらしてなかったりするのですが。
「とにかくそのオート三輪を軸に機甲小隊を編成して威嚇射撃戦をしたいねぇ。後はバイクなんかあると格好はつくか?」
「あ、そうだ。……は、初華さんも加わって『Pクレープ』の名を上げてくださいっ!」
慌てて付け加えるポルテです。どうやら、「都会で噂の強くて美味しいクレープ屋台」という稀有な位置付けでPクレープの宣伝をして、田舎で別件取引を増やしていきたい考えのようですね。
「うん、うまい。……こりゃあ、名を上げさせてやりたいねぇ」
初華からクレープを受け取ったダインも一口味わい、そんな気になったようです。
というわけで、初華たちと一緒に「機甲小隊Pクレープ」の一員として依頼のあった村に行く人、求ム。
ここは同盟領の都市、ヴァリオスの一角。
「ええと……」
太っちょの青年がクレープ屋台「Pクレープ」で何かを言いよどんでますね。
「ほへ? どうしたの、ポルテさん」
ちょうど、本日の店番をしていた新人ハンターの南那初華(kz0135)が首をかしげます。青年はPクレープの仕入れ業者でオーナーたるポルカ商会のポルテ・ポルカ。家族経営の小さな商会で、ポルテはその一人息子です。
「いやその……初華さんて、強いの?」
「えへ♪」
単刀直入に聞かれ、初華は笑顔でごまかします。
仕方ないですよね。まだこちらに転移してきて間もなくて、リアルブルーでもスケ番張ってたこのウチがいつの間にやらマッポの手先とかいう強そうな存在でもなかったわけですから。
おっと、ここで来客です。
「Pクレープのお姉さん、ジャムのクレープ一つ」
「はい、いらっしゃいませ。ちょっと待っててね」
母親に連れられた娘ににっこり笑顔でこたえて生地を焼き始めます。
しばらくのち。
「お待たせしました。はいどうぞ♪」
「わあっ。ありがとー」
娘はとっても嬉しそうですね。ぱくっと食べたその笑顔に、母親もとっても満足そうです。
「……まあ、初華さん評判いいから強くなくてもいいんだけど」
「う……。わ、私だって一角大蝙蝠倒したりゴブリン倒したりしてるんですからねっ!」
ポルテに言われてツンする初華。いつかの新人依頼のことを言ってるようですね。
「でもどうしたんです、急に」
「実はね」
ポルテの話では、田舎の取引先で「森林狼の群れが村に近寄ってるようだから何とかしてほしい」という困りごとがあるそう。素直にハンターオフィスへ依頼するのを勧めてもいいのですが、そこはそれ、ポルカ商会にお任せあれ、とオフィスへの相談を引き受けたようです。普段オフィスに依頼慣れしてない人は慣れている人に任せたいものですよね。
「なあ、やってるかい?」
ここで新たな客が。
背の高い、渋い傭兵風の男性です。
「あ、はい。いらっしゃいませ。ブランデーフレーバーのジャムクレープはいかが?」
「へぇ……。んじゃ、店員さんの見立てに従うかなぁ。それよりその依頼主、森林狼をどうしたいんだ?」
どうやらお客さん、先の話に興味があるようです。
「え……ええと、村から遠ざけたいみたいです」
「だったら強さはあまり関係ないねぇ……必要なのは装甲と機動力だなぁ。どうしたもんかなぁ」
ポルテ、この男の洞察力に感心し、言い忘れたことを慌てて付け加えます。
「まさにその通りです。だからフマーレで遊んでいた試作の三輪魔導トラック『オート三輪』を用意してくれました」
「なるほどな。じゃ、俺がドラをやろう。お嬢ちゃんはナビか荷台から撃ってればいい。で、村から遠ざかるように走りゃいいだろう?」
ここで男、クレープを焼いてる初華を見ます。
「ほへ? やっつけないの?」
「やっつけてもいいが、狼がいなくなって別の厄介なのがそこを縄張りにしてもなぁ。森林狼ってんだから森が行動圏で、よほどのことがないと村には来ないんだろう?」
初華に聞かれポルカに確認します。
「あ、はい。普段は人里には近寄らないそうです。年によって群れが自然と村近くの森に来て、人に被害が出るくらいで……」
どうやら下手に完全討伐しない方がよさそうです。
「つまり、自然と村に近寄ってしまった狼の群れを適度に刺激しつつ、本来の場所に導いてやりゃいいってわけだ。……悲しいねぇ、本来いるべき場所からはぐれた迷子ってのは」
えらく情緒豊かに独白する男性に、思わず初華は聞いてしまうのです。
「ええと……お客さんは?」
「俺かい? ただの退役軍人、ダイン・グラマン。人は俺を『戦場詩人』と呼ぶねぇ」
実は彼は退役どころか服役すらしてなかったりするのですが。
「とにかくそのオート三輪を軸に機甲小隊を編成して威嚇射撃戦をしたいねぇ。後はバイクなんかあると格好はつくか?」
「あ、そうだ。……は、初華さんも加わって『Pクレープ』の名を上げてくださいっ!」
慌てて付け加えるポルテです。どうやら、「都会で噂の強くて美味しいクレープ屋台」という稀有な位置付けでPクレープの宣伝をして、田舎で別件取引を増やしていきたい考えのようですね。
「うん、うまい。……こりゃあ、名を上げさせてやりたいねぇ」
初華からクレープを受け取ったダインも一口味わい、そんな気になったようです。
というわけで、初華たちと一緒に「機甲小隊Pクレープ」の一員として依頼のあった村に行く人、求ム。
リプレイ本文
●
「機甲小隊!」
出発の村に感極まった声が響いた。
「ほへ?」
南那初華(kz0135)が振り向くとスーズリー・アイアンアックス(ka1687)と目が合った。スーズリー、初華に詰め寄る。
「機甲小隊というからには歩兵を機械化するんでしょ! 大砲を自走砲、歩兵を自動車化、騎兵を戦車とかにして……」
「えー、ちょっと待ってよぅ」
「スーズリー君、こっちの人なのに詳しいね」
初華に詰め寄るスーズリーの横からメル・アイザックス(ka0520)が微笑んだ。
「リアルブルー人からいろいろ聞きかじった。だからこのオート三輪を改造して……」
「あ、改造なら……」
たぎる情熱で身振り手振りを交えるスーズリーに、初華がほら、と指を指す。
そこには。
「え?」
メルクーア(ka4005)が振り返った。
何をしていたかというと……。
「こっそり何してるのかしら?」
東雲 桃華(ka4914)も気付いていたらしく、メルクーアに近寄り問い正す。
「うふ。Pクレープのメニューを書いたポスターをトラックにこっそり貼って宣伝しようかな、と思って」
目立つところにばばんと貼る行為を果たしてこっそりというのか。ともかく皆の視線が集まる。
「……あれ? 宣伝が目的じゃなかったっけ?」
メルクーア、にこぱと憎めない笑顔でごまかしたり。
「目的は狼を村から遠ざけるのでしたね」
ここでエルバッハ・リオン(ka2434)が長い銀髪を肩の後に跳ねのけながら涼しげに登場。先ほど、「機甲小隊Pクレープですか……。まあ、そういうのが依頼人の希望なら愛馬には乗らずに行きましょうか」などとつぶやいていたが、気持ちは切り替わったようで。
「狼さんに宣伝するのかな?」
そして狐中・小鳥(ka5484)も寄って来て、オート三輪に張られたメニューを覗き込んで確認。つれらてエルバッハも確認確認。そのまま二人で指を指しつつ「これはどんな味でしょうか」、「食べてみるのが一番、かな?」とかきゃいきゃい。
ちなみに、小鳥の発言からとんでもない展開となる。
「宣伝相手が狼なら、むしろお嬢さん方に食いつきそうだねぇ?」
運転席から顔を出すダイン・グラマンが桃華と初華を見ながら言う。
「……私より初華の方が危ないわね」
「ちょ……んぢゃ、私は桃華さんとメルクーアさんをセットメニューにして難を逃れるわっ」
話題に呆れる桃華に、さらにわけの分からないことを言う初華。
「じゃ、新メニューに加えとく?」
「ちっと……書き足さないでよ」
メルクーアは動じることなくメニュー表に桃華と自分のセットを書こうとする。さすがに桃華が止めるが。
「そんなことより95式軽戦車ってのがリアルブルーにあったらしくてな。銃と銃弾もセットメニューに……」
「狼用のメニューなら私に準備があるけど……スーズリー君はそっちに食いつく、と」
さらに負けるものかと主張するスーズリーに、秘策有りを口にするメル。
これら全員がメニューの前に集まり覗き込んでお尻を並べてわいわいきゃいきゃいするので遠巻きに見ていた村人も「クレープ屋の店員さんらは新メニュー会議に熱心じゃの」とかすっかり誤解を。
――バルン……。
ここで先行偵察組が返って来た。
「ただいま。……森までの道は問題ないよ」
アルバ・ソル(ka4189)が自前の魔導バイクにまたがったまま報告する。
「狼はまだ村に最接近してないわね……って、どうしたの?」
同行していた七夜・真夕(ka3977)は試作魔導バイク「ナグルファル」から下りて皆の集まるところに近寄ってみる。
すると。
「わお♪ クレープ屋さんするの? クレーブ屋さんなんて久しぶり。終わったらごちそうになりたいわ」
「へえ……初めて聞く名前だね。リアルブルーの菓子なんだろうか?」
上機嫌の真夕に、興味津々のアルバ。
とにかく偵察結果を検討して、いざ出発。
●
ごとんごとん、と魔導トラック「オート三輪」二台が行く。それを取り巻くように魔導バイク四台もうなりを上げ草原を走る。
いや、バイク一台が大きく離れ先回りしたぞ?
真夕だ。
しばらく止まってトラックと森の距離を確認するとトランシーバーを構える。
「こちら真夕。配置についたわ。いつでもどうぞ」
一方、本隊。
アルバがトランシーバーを手にしている。
「了解。……吠えろ」
アクセルを吹かせて先行すると、一気に森に近付いた。
――ガサガサッ……ウォン!
これを見て森林狼たちが森から出てきた。毛並みがやや緑色をしている狼たちだ。
「よし、こっちだ!」
食いついたと見るや、トラックの方へおびき出す。
「よし、村から離れるとするかねぇ」
ダイン、ハンドルを大きく切って森を並走する形で加速する。
「初華さん、そっちで落ちちゃだめだよ~」
もう一台を運転するメルクーアも窓からダイン車の荷台にいる初華に声を掛けつつ追走。
「初華、助手席じゃなかったの?」
同じく荷台で和弓「月乃輪」を構える桃華が聞く。デリンジャーを持った初華は、「だってダインさんが『セットメニューは荷台だろ?』って」とかえぐえぐ。
「セット……。ま、ちょっと危なっかしくて心配だったしちょうど……って、えらく食いつきがいいみたい。撃たないと!」
「う、うんっ!」
追い付いてくる狼たちに当たらないよう、荷台からとにかく二人で撃つ。
こちら、「グローサーベーア」を駆るスーズリー。
「これはバイクの方が危ないか。とはいえこの『グローサーベーア』、トゲの装甲付きで耐久性は……おっと!」
狼に横から煽られたので加速して逃げる。纏いつかれたら一気に群れで押しつぶされそうな勢いだ。
――ぶきゅきゅきゅ……。
ここでメルクーアがオート三輪で強引に割り込む運転。
荷台にいるのは、エルバッハ。
「薔薇に集まりし風よ、舞いなさい」
さらした胸元に薔薇のような紋章が浮かぶと、スタッフ「ケレース」を振るってウインドスラッシュ。狙い通り、先ほどスーズリーを追い立てていた狼近くの地面に命中。狼は驚き速度を落とし、また加速。
おっと、速度を上げて回り込もうとする狼もいるぞ?
――ぬっ。
「こういうのってさ、殺さない方が良いんだろう?」
助手席からメルが顔を出した。
構えるは全長50cmのウォーターガン。不意を突かれて何もできない狼の顔にぴしゃっと命中。きゃいん、と派手に転がる狼。
「当てないと思ったら大間違い。油断してると直撃だからね?」
狼の慌てっぷりを笑いつつ、ひとまず引っ込むメル。水なので敵にダメージはない。
「クーア君、もういいよ」
「了解~♪」
満足して一撃離脱をナビするメル。ドライバーのメルクーア、ぐりんとハンドルを切って森から距離を取る。
「いや~、リアルブルーの機械って面白いよね~。隠密性には欠けるけど。……あとで分解していいかな?」
「ダメだよ、クーア君」
素直な操縦性に満足そうなメルクーアの様子にも、朗らかに笑みをたたえるメルだったり。
そして外のスーズリー。
この隙にアサルトライフルをぶっ放してまた運転に集中していた。
「コツは分かった」
ウオン、と爆音を響かせ加速。
トラックとの誘導と射撃の連携。加速と減速。誘導と離脱。さらに射撃と運転。これらの呼吸をつかんだようだ。
とはいえ……。
「うわっ……。当たるところだった。狼の生きが良すぎる」
行く手に威嚇射撃をしたつもりが敵の加速で危うく当ててしまいそうになったりも。
この時、魔導バイクの小鳥。
「バイクに乗るのなれてないけど頑張って行くんだよー」
実はやや乗り方がぎこちない。
そこへ、狼が近寄って来た。日本刀「石切」を振ってこれをけん制。速度落ちる。
「き、きっと大丈夫」
加速してトラックを追う。
が、また狼が来た。再び寄らば切る、的なスイング。速度落ちる。
「ええと……うん、多分…」
汗たら~しながら走るが、またも狼が来る!
しかもいつの間にか左右から挟み込まれているぞ?
その時!
「ちょっと小鳥、狙われてるわよ!」
ここで真夕の「ナグルファル」がキュキュッと小鳥の左手に割り込み。特に攻撃しなくても相手が引いてしまうようなカットインだ。
真夕、どうやら取りこぼしがないよう、まずは引いて全体を眺めていたようだ。
――グォン……。
そして右手側にはアルバの魔導バイクが付いた。エンブレムナイフを掲げ大外に回り込んだ狼にマジックアロー。もちろん狙ったのは地面だ。
「気付いてUターンしてよかった」
「狼さんも生きるため、という事かな。……今のうちにしっかり対処して近寄らせないようにしないとだね。お互いの為にも」
にこっ、とほほ笑むアルバに小鳥のように首を傾げて子供っぽく心配する小鳥。
「自分が狙われたって自覚が薄いのかしら? でも、取りこぼしないようにまとめられて良かったわ」
ふふ、と微笑し離れる真夕。
「真夕?」
ここでアルバが小鳥を越えて斜行してきた。
「はいはい」
それと分かりアルバを追う狼を遮断するようアルバと狼を結んだ線上をぶった切るように爆走する。
おっと、今度は別の狼が真夕に狙いを定めたぞ?
「お返しだ」
今度は立場を変えてアルバが逃げる真夕を援護。
さすがに戸惑った狼たちには……。
「私はこっちに行くんだよ」
まるで餌をちらつかせるように小鳥がそんな狼たちの真ん中を走っていく。
こうしてトラックからはぐれた狼たちを導いて行くのだった。
そして気付くことになる。
とある小さな変化に。
●
こちら、メルクーアのトラック。
「群れを左右から挑発しようかしらん」
ちら、と楽しそうにダインの車を見る。ダイン、理解したらしく運転席から「いいんじゃね?」とウインク。なぜなら荷台では「こ~な~い~で~!」とか言いながら初華が必死に応戦しているから。全部普通に外れているが。
「……あの射撃を狙ってやっているなら、大した腕と言えるかもしれませんが、ただ命中しないだけのようですね」
メルクーア車の荷台ではエルバッハが冷静に分析しながらウインドスラッシュ。
おっと、初華と目が合った。
「お願いですから味方への誤射はしないでくださいね」
「そ、そりゃもちろ……きゃん!」
ダインとメルクーアが作戦に出たようでハンドルを切り、初華はすってん。はーやれやれと桃華が射撃を二人分、頑張る。
ここで桃華、気付いた。
「……そのうち悟られると思ったけど」
どうやら狼たち、有効打はないと見て大胆に迫って来ているのだ。メルクーアたちの運転もまだ手加減している。これはやばいぞ。
「んあっ! エルバッハさんに狼が跳びかかった!」
初華は起き上がったばかりで声しか間に合わない。
「大丈夫です、初華さん」
エルバッハの声と同時にずずんと地面にアースウォール。狼を飛び跳ね際で防いであっという間に後方に流れていく。
が、これが死角にもなった。別の狼も跳躍していたのだッ!
「仕方ありません!」
さすがにエルバッハの声も大きくなる。
手持ちの杖をかざして防ぐと、そのままうっちゃり流し落とす。慌てることなく対処した。
もちろん桃華の方にも!
「ん……」
桃華、迷った。射撃してももう相討ちにしかならない。
その時!
「させるかっ!」
ヴォン、と横からバイクが加速してきた。
スーズリーだ!
強引に後方から割り込んで間に入るとアサルトライフルの銃底でぶん殴り駆け抜ける。
そして振り向きざまアサルトぶっ放して威嚇し走り去った。
「スーズリーさん!」
「ちょうど乗り回したかったんだ」
名を呼ぶ初華に楽しそうに振り返る。
これで難を逃れ……いや、さらにもう一陣。跳躍を狙っている。
さすがに荷台の三人はもう対応できないぞ!
刹那!
「簡単にはやらせないわよ?」
ぼふん、とスリープクラウド。後方から真夕がギリギリの範囲に巻き込むように使用したのだ。
そして動きの鈍った相手には自らワンドで殴って走り抜ける。寝たとしても目覚めるだろう。
「……遠慮する必要はなさそうですね、真夕さん」
「取りこぼしはないようにするからやっていいわよ、エルバッハ」
というわけでエルバッハも安心して奥の手としてスリープクラウドを使うようになる。
「んあっ! 桃華さん命中させた?」
「弓は銃と違って緩く引いて射れば威力調整できるのよね」
銃の初華は、奥の手として弓で狼の足に威力減で命中させた桃華の技に感心していたり。
そのうち、狼もいい加減諦めてきた。
「……メルさん、何してるの?」
「陸上釣りモドキ、かな?」
運転するメルクーアに聞かれたメル、切った干し肉を縄で縛り棒にくくって助手席から垂らした。ぶらんぶらん、と挑発するように揺れる。
新たな何かに気付いた狼、敢然とこれに襲い掛かる。
「よっ、と」
ジャンプ攻撃を逃れるよう、巧みに干し肉を揺らすメル。楽しそうだ。
おっと。狼の方も楽しそう。ほかの個体もどんどんジャンプしてくる。
「よーし、もうちょっと行くよ~」
メルクーア、アクセルを踏み込んで加速する。
やがて予定地点に到着すると……。
「森とはこれでおさらばだ」
ダインのトラックが森から離れていく。メルクーアのトラックも。
「そっちじゃなく向こうへ行くんだよ。ほら、そっちに行くと怖い目に会うことになるんだからっ」
未練がましく付いてくる狼に、小鳥がしっしっと剣を振るう。
「怖い目も見てもらっておこう」
ようやく森へと戻り始めた狼の近くに、アルバがファイヤーボールどーん。
長く走った競争の最後の合図になった。
●
仕事が終わって、村で。
「はい、アルバさん。お待たせ~」
「ありがとう」
初華が焼きたてクレープをアルバに手渡す。
早速クレープ屋台として機能しているようで。
「うん、おいしい~♪」
真夕はトラックの荷台に腰掛けぱくり。
「どう、スーズリーさん?」
「ああ、うまいな。クレープは大好物なんだ」
メルクーアから手渡されたクレープにがっつくスーズリーも、トラックの荷台に腰掛けて。
「これでもう大丈夫なのかな? また環境の変化とか起きなければいいんだけど……」
小鳥はエプロンを着けて手伝いつつ、そんなことを。
「そうね。……ダインさんもどうぞ。今度はお客様として、Pクレープをよろしくね♪」
「客も何も、すでに村人からは店員として見られてるようだがな」
桃華の言葉に、遠巻きにこちらを見ている村人を指差すダイン。
「……食べてばかりでいいのかしら?」
エルバッハ、赤くなりながら食べていた三角クレープをまじまじと見る。
「じゃ、手伝っちゃうしかないよね!」
メルは早速エプロンを。
「わたしも手伝うぞ」
スーズリーも焼き方に興味津々。
「うふ。にぎやかになりそ♪」
腰を上げて皆を追うメルクーアの横には、トラックに貼ったメニュー表が。「桃クーアセット…時価」、「銃乱射セット…てめぇの命」の欄には大きく×印がついていたが。
「機甲小隊!」
出発の村に感極まった声が響いた。
「ほへ?」
南那初華(kz0135)が振り向くとスーズリー・アイアンアックス(ka1687)と目が合った。スーズリー、初華に詰め寄る。
「機甲小隊というからには歩兵を機械化するんでしょ! 大砲を自走砲、歩兵を自動車化、騎兵を戦車とかにして……」
「えー、ちょっと待ってよぅ」
「スーズリー君、こっちの人なのに詳しいね」
初華に詰め寄るスーズリーの横からメル・アイザックス(ka0520)が微笑んだ。
「リアルブルー人からいろいろ聞きかじった。だからこのオート三輪を改造して……」
「あ、改造なら……」
たぎる情熱で身振り手振りを交えるスーズリーに、初華がほら、と指を指す。
そこには。
「え?」
メルクーア(ka4005)が振り返った。
何をしていたかというと……。
「こっそり何してるのかしら?」
東雲 桃華(ka4914)も気付いていたらしく、メルクーアに近寄り問い正す。
「うふ。Pクレープのメニューを書いたポスターをトラックにこっそり貼って宣伝しようかな、と思って」
目立つところにばばんと貼る行為を果たしてこっそりというのか。ともかく皆の視線が集まる。
「……あれ? 宣伝が目的じゃなかったっけ?」
メルクーア、にこぱと憎めない笑顔でごまかしたり。
「目的は狼を村から遠ざけるのでしたね」
ここでエルバッハ・リオン(ka2434)が長い銀髪を肩の後に跳ねのけながら涼しげに登場。先ほど、「機甲小隊Pクレープですか……。まあ、そういうのが依頼人の希望なら愛馬には乗らずに行きましょうか」などとつぶやいていたが、気持ちは切り替わったようで。
「狼さんに宣伝するのかな?」
そして狐中・小鳥(ka5484)も寄って来て、オート三輪に張られたメニューを覗き込んで確認。つれらてエルバッハも確認確認。そのまま二人で指を指しつつ「これはどんな味でしょうか」、「食べてみるのが一番、かな?」とかきゃいきゃい。
ちなみに、小鳥の発言からとんでもない展開となる。
「宣伝相手が狼なら、むしろお嬢さん方に食いつきそうだねぇ?」
運転席から顔を出すダイン・グラマンが桃華と初華を見ながら言う。
「……私より初華の方が危ないわね」
「ちょ……んぢゃ、私は桃華さんとメルクーアさんをセットメニューにして難を逃れるわっ」
話題に呆れる桃華に、さらにわけの分からないことを言う初華。
「じゃ、新メニューに加えとく?」
「ちっと……書き足さないでよ」
メルクーアは動じることなくメニュー表に桃華と自分のセットを書こうとする。さすがに桃華が止めるが。
「そんなことより95式軽戦車ってのがリアルブルーにあったらしくてな。銃と銃弾もセットメニューに……」
「狼用のメニューなら私に準備があるけど……スーズリー君はそっちに食いつく、と」
さらに負けるものかと主張するスーズリーに、秘策有りを口にするメル。
これら全員がメニューの前に集まり覗き込んでお尻を並べてわいわいきゃいきゃいするので遠巻きに見ていた村人も「クレープ屋の店員さんらは新メニュー会議に熱心じゃの」とかすっかり誤解を。
――バルン……。
ここで先行偵察組が返って来た。
「ただいま。……森までの道は問題ないよ」
アルバ・ソル(ka4189)が自前の魔導バイクにまたがったまま報告する。
「狼はまだ村に最接近してないわね……って、どうしたの?」
同行していた七夜・真夕(ka3977)は試作魔導バイク「ナグルファル」から下りて皆の集まるところに近寄ってみる。
すると。
「わお♪ クレープ屋さんするの? クレーブ屋さんなんて久しぶり。終わったらごちそうになりたいわ」
「へえ……初めて聞く名前だね。リアルブルーの菓子なんだろうか?」
上機嫌の真夕に、興味津々のアルバ。
とにかく偵察結果を検討して、いざ出発。
●
ごとんごとん、と魔導トラック「オート三輪」二台が行く。それを取り巻くように魔導バイク四台もうなりを上げ草原を走る。
いや、バイク一台が大きく離れ先回りしたぞ?
真夕だ。
しばらく止まってトラックと森の距離を確認するとトランシーバーを構える。
「こちら真夕。配置についたわ。いつでもどうぞ」
一方、本隊。
アルバがトランシーバーを手にしている。
「了解。……吠えろ」
アクセルを吹かせて先行すると、一気に森に近付いた。
――ガサガサッ……ウォン!
これを見て森林狼たちが森から出てきた。毛並みがやや緑色をしている狼たちだ。
「よし、こっちだ!」
食いついたと見るや、トラックの方へおびき出す。
「よし、村から離れるとするかねぇ」
ダイン、ハンドルを大きく切って森を並走する形で加速する。
「初華さん、そっちで落ちちゃだめだよ~」
もう一台を運転するメルクーアも窓からダイン車の荷台にいる初華に声を掛けつつ追走。
「初華、助手席じゃなかったの?」
同じく荷台で和弓「月乃輪」を構える桃華が聞く。デリンジャーを持った初華は、「だってダインさんが『セットメニューは荷台だろ?』って」とかえぐえぐ。
「セット……。ま、ちょっと危なっかしくて心配だったしちょうど……って、えらく食いつきがいいみたい。撃たないと!」
「う、うんっ!」
追い付いてくる狼たちに当たらないよう、荷台からとにかく二人で撃つ。
こちら、「グローサーベーア」を駆るスーズリー。
「これはバイクの方が危ないか。とはいえこの『グローサーベーア』、トゲの装甲付きで耐久性は……おっと!」
狼に横から煽られたので加速して逃げる。纏いつかれたら一気に群れで押しつぶされそうな勢いだ。
――ぶきゅきゅきゅ……。
ここでメルクーアがオート三輪で強引に割り込む運転。
荷台にいるのは、エルバッハ。
「薔薇に集まりし風よ、舞いなさい」
さらした胸元に薔薇のような紋章が浮かぶと、スタッフ「ケレース」を振るってウインドスラッシュ。狙い通り、先ほどスーズリーを追い立てていた狼近くの地面に命中。狼は驚き速度を落とし、また加速。
おっと、速度を上げて回り込もうとする狼もいるぞ?
――ぬっ。
「こういうのってさ、殺さない方が良いんだろう?」
助手席からメルが顔を出した。
構えるは全長50cmのウォーターガン。不意を突かれて何もできない狼の顔にぴしゃっと命中。きゃいん、と派手に転がる狼。
「当てないと思ったら大間違い。油断してると直撃だからね?」
狼の慌てっぷりを笑いつつ、ひとまず引っ込むメル。水なので敵にダメージはない。
「クーア君、もういいよ」
「了解~♪」
満足して一撃離脱をナビするメル。ドライバーのメルクーア、ぐりんとハンドルを切って森から距離を取る。
「いや~、リアルブルーの機械って面白いよね~。隠密性には欠けるけど。……あとで分解していいかな?」
「ダメだよ、クーア君」
素直な操縦性に満足そうなメルクーアの様子にも、朗らかに笑みをたたえるメルだったり。
そして外のスーズリー。
この隙にアサルトライフルをぶっ放してまた運転に集中していた。
「コツは分かった」
ウオン、と爆音を響かせ加速。
トラックとの誘導と射撃の連携。加速と減速。誘導と離脱。さらに射撃と運転。これらの呼吸をつかんだようだ。
とはいえ……。
「うわっ……。当たるところだった。狼の生きが良すぎる」
行く手に威嚇射撃をしたつもりが敵の加速で危うく当ててしまいそうになったりも。
この時、魔導バイクの小鳥。
「バイクに乗るのなれてないけど頑張って行くんだよー」
実はやや乗り方がぎこちない。
そこへ、狼が近寄って来た。日本刀「石切」を振ってこれをけん制。速度落ちる。
「き、きっと大丈夫」
加速してトラックを追う。
が、また狼が来た。再び寄らば切る、的なスイング。速度落ちる。
「ええと……うん、多分…」
汗たら~しながら走るが、またも狼が来る!
しかもいつの間にか左右から挟み込まれているぞ?
その時!
「ちょっと小鳥、狙われてるわよ!」
ここで真夕の「ナグルファル」がキュキュッと小鳥の左手に割り込み。特に攻撃しなくても相手が引いてしまうようなカットインだ。
真夕、どうやら取りこぼしがないよう、まずは引いて全体を眺めていたようだ。
――グォン……。
そして右手側にはアルバの魔導バイクが付いた。エンブレムナイフを掲げ大外に回り込んだ狼にマジックアロー。もちろん狙ったのは地面だ。
「気付いてUターンしてよかった」
「狼さんも生きるため、という事かな。……今のうちにしっかり対処して近寄らせないようにしないとだね。お互いの為にも」
にこっ、とほほ笑むアルバに小鳥のように首を傾げて子供っぽく心配する小鳥。
「自分が狙われたって自覚が薄いのかしら? でも、取りこぼしないようにまとめられて良かったわ」
ふふ、と微笑し離れる真夕。
「真夕?」
ここでアルバが小鳥を越えて斜行してきた。
「はいはい」
それと分かりアルバを追う狼を遮断するようアルバと狼を結んだ線上をぶった切るように爆走する。
おっと、今度は別の狼が真夕に狙いを定めたぞ?
「お返しだ」
今度は立場を変えてアルバが逃げる真夕を援護。
さすがに戸惑った狼たちには……。
「私はこっちに行くんだよ」
まるで餌をちらつかせるように小鳥がそんな狼たちの真ん中を走っていく。
こうしてトラックからはぐれた狼たちを導いて行くのだった。
そして気付くことになる。
とある小さな変化に。
●
こちら、メルクーアのトラック。
「群れを左右から挑発しようかしらん」
ちら、と楽しそうにダインの車を見る。ダイン、理解したらしく運転席から「いいんじゃね?」とウインク。なぜなら荷台では「こ~な~い~で~!」とか言いながら初華が必死に応戦しているから。全部普通に外れているが。
「……あの射撃を狙ってやっているなら、大した腕と言えるかもしれませんが、ただ命中しないだけのようですね」
メルクーア車の荷台ではエルバッハが冷静に分析しながらウインドスラッシュ。
おっと、初華と目が合った。
「お願いですから味方への誤射はしないでくださいね」
「そ、そりゃもちろ……きゃん!」
ダインとメルクーアが作戦に出たようでハンドルを切り、初華はすってん。はーやれやれと桃華が射撃を二人分、頑張る。
ここで桃華、気付いた。
「……そのうち悟られると思ったけど」
どうやら狼たち、有効打はないと見て大胆に迫って来ているのだ。メルクーアたちの運転もまだ手加減している。これはやばいぞ。
「んあっ! エルバッハさんに狼が跳びかかった!」
初華は起き上がったばかりで声しか間に合わない。
「大丈夫です、初華さん」
エルバッハの声と同時にずずんと地面にアースウォール。狼を飛び跳ね際で防いであっという間に後方に流れていく。
が、これが死角にもなった。別の狼も跳躍していたのだッ!
「仕方ありません!」
さすがにエルバッハの声も大きくなる。
手持ちの杖をかざして防ぐと、そのままうっちゃり流し落とす。慌てることなく対処した。
もちろん桃華の方にも!
「ん……」
桃華、迷った。射撃してももう相討ちにしかならない。
その時!
「させるかっ!」
ヴォン、と横からバイクが加速してきた。
スーズリーだ!
強引に後方から割り込んで間に入るとアサルトライフルの銃底でぶん殴り駆け抜ける。
そして振り向きざまアサルトぶっ放して威嚇し走り去った。
「スーズリーさん!」
「ちょうど乗り回したかったんだ」
名を呼ぶ初華に楽しそうに振り返る。
これで難を逃れ……いや、さらにもう一陣。跳躍を狙っている。
さすがに荷台の三人はもう対応できないぞ!
刹那!
「簡単にはやらせないわよ?」
ぼふん、とスリープクラウド。後方から真夕がギリギリの範囲に巻き込むように使用したのだ。
そして動きの鈍った相手には自らワンドで殴って走り抜ける。寝たとしても目覚めるだろう。
「……遠慮する必要はなさそうですね、真夕さん」
「取りこぼしはないようにするからやっていいわよ、エルバッハ」
というわけでエルバッハも安心して奥の手としてスリープクラウドを使うようになる。
「んあっ! 桃華さん命中させた?」
「弓は銃と違って緩く引いて射れば威力調整できるのよね」
銃の初華は、奥の手として弓で狼の足に威力減で命中させた桃華の技に感心していたり。
そのうち、狼もいい加減諦めてきた。
「……メルさん、何してるの?」
「陸上釣りモドキ、かな?」
運転するメルクーアに聞かれたメル、切った干し肉を縄で縛り棒にくくって助手席から垂らした。ぶらんぶらん、と挑発するように揺れる。
新たな何かに気付いた狼、敢然とこれに襲い掛かる。
「よっ、と」
ジャンプ攻撃を逃れるよう、巧みに干し肉を揺らすメル。楽しそうだ。
おっと。狼の方も楽しそう。ほかの個体もどんどんジャンプしてくる。
「よーし、もうちょっと行くよ~」
メルクーア、アクセルを踏み込んで加速する。
やがて予定地点に到着すると……。
「森とはこれでおさらばだ」
ダインのトラックが森から離れていく。メルクーアのトラックも。
「そっちじゃなく向こうへ行くんだよ。ほら、そっちに行くと怖い目に会うことになるんだからっ」
未練がましく付いてくる狼に、小鳥がしっしっと剣を振るう。
「怖い目も見てもらっておこう」
ようやく森へと戻り始めた狼の近くに、アルバがファイヤーボールどーん。
長く走った競争の最後の合図になった。
●
仕事が終わって、村で。
「はい、アルバさん。お待たせ~」
「ありがとう」
初華が焼きたてクレープをアルバに手渡す。
早速クレープ屋台として機能しているようで。
「うん、おいしい~♪」
真夕はトラックの荷台に腰掛けぱくり。
「どう、スーズリーさん?」
「ああ、うまいな。クレープは大好物なんだ」
メルクーアから手渡されたクレープにがっつくスーズリーも、トラックの荷台に腰掛けて。
「これでもう大丈夫なのかな? また環境の変化とか起きなければいいんだけど……」
小鳥はエプロンを着けて手伝いつつ、そんなことを。
「そうね。……ダインさんもどうぞ。今度はお客様として、Pクレープをよろしくね♪」
「客も何も、すでに村人からは店員として見られてるようだがな」
桃華の言葉に、遠巻きにこちらを見ている村人を指差すダイン。
「……食べてばかりでいいのかしら?」
エルバッハ、赤くなりながら食べていた三角クレープをまじまじと見る。
「じゃ、手伝っちゃうしかないよね!」
メルは早速エプロンを。
「わたしも手伝うぞ」
スーズリーも焼き方に興味津々。
「うふ。にぎやかになりそ♪」
腰を上げて皆を追うメルクーアの横には、トラックに貼ったメニュー表が。「桃クーアセット…時価」、「銃乱射セット…てめぇの命」の欄には大きく×印がついていたが。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 スーズリー・アイアンアックス(ka1687) ドワーフ|20才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/09/21 21:44:58 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/21 17:49:46 |