ゲスト
(ka0000)
ラズビルナム調査隊(5)
マスター:湖欄黒江

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/22 22:00
- 完成日
- 2015/09/30 11:01
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
『マクベスが打ち負かされることは決してない、
大いなるバーナムの森(ラズビルナム)がダンシネインの丘に至り、かの者へ挑まぬ限りは』
重度汚染区域・ラズビルナム。
先日の第4回現地調査にて、ハンターが区域内から1冊の書物を回収した。
「ロッソの知り合いに訊いて、こいつが『マクベス』のポーランド語訳ってことは確かめた。
研究員エルマー・クレツキが所持していた祖父の形見、地球の書物……」
クリケット(kz0093)は件の本を懐から抜き出すと、
左右に書類がうず高く積み上がったナサニエル・カロッサ(kz0028)の机の上へ、ゆっくりと置いた。
「そして、ラズビルナムの名前の由来だ。
クレツキが研究の中心的地位にあった可能性は高い。何せ名づけ親だからな」
ナサニエルは気のない顔で、差し出された本を手に取り読み始める。
クリケットは、部屋の隅に追いやられていた椅子を取ってきて座ると、
「回収された文書で判読可能なものからは、他の研究員の名もいくつか挙がってる。
が、言った通り、有望なのはクレツキだ。彼の身許を最優先で追うつもりだ……」
「それから?」
本に目を落としたまま、ナサニエルが話の続きを促す。
「しかし俺が確認した限り、クレツキ含め研究員たちについては、
現在の錬魔院に一切記録が残ってない。第一師団にも問い合わせてみたが、
13年前の革命で、追放や処刑をされた訳でもないようだ。
帝都市街戦の戦死者記録にもない。何処行ったんだ、連中は?」
「事故で死んだのでは? 現に、クレツキは汚染区域内でゾンビ化していたそうじゃないですかぁ」
クリケットがにやり、と笑う。病気療養から復帰したばかりで、その顔はまだ少し青白い。
「お為ごかしはなしにしようぜ、院長さんよ。
森の建物に残ってた資料はどれもぼろぼろだ、完全に塵と消えちまったもんもあるかも分からん。
だがそれを差し引いても、文字資料の数がちょいと少な過ぎる。それに」
と、手を伸ばしてナサニエルが読んでいた本を取り上げ、
「こいつが仕舞われてたのは、エクラ教式法儀礼が施された銀製キャビネット。
施設が汚染されることを、前提とした処置だったんじゃないか? 事実、中身はこうして無事だった。
同じ容器に研究資料詰め込んで、抱えたまま雲隠れした連中も居るんじゃないか、と」
ハンターの要請で、周辺地域の開拓記録も調べた。
駐屯基地の兵士から人手を借り、付近の村々で尋ねて回らせたのだが、
「施設や輸送路を作るのに、近隣から労働力の徴発が行われたことはないそうだ。
誰にやらせた? まさか研究員自ら工事やってた訳じゃあるまい、
任されたのは旧軍か、イルリヒトか……ま、そんなとこかと思うんだが」
●
今ひとつ反応の鈍いナサニエルを前に、クリケットはぐっと椅子から身を乗り出した。
「ひとつ確認したい。あんたあの森をどうする気だ?」
「どうする、って」
「あれだけの汚染を引き起こした事故、やたらめったらな秘密主義、行方知れずの関係者。
どうせ穏やかな話じゃなかったんだろ、例の『機導兵器開発』ってのは。
このままだと俺たち、じき核心に至っちまうかも知れんぜ」
またも、クリケットが胸ポケットから何やら取り出してみせた。折り畳まれた地図。
「ハンターが作ってくれた汚染度マップだ。最新のサンプルを元に推測すると……邪魔だな」
「はいはい」
ナサニエルが腕を振るって、卓上からがさっと書類を払い落としてしまう。
そうして空いたスペースに、クリケットが地図を広げた。その1点を指差し、
「森の中心部。サンプルの種類によって多少のばらつきはあるが、
汚染の程度はここへ近づく毎、どんどん強まってる。ここが汚染源だ。
大元は地下かも分からんが……掘削用の道具と、封鎖された地下道も見つかってるしな」
これまでのハンターたちの働き振りからして、
次の第5回調査隊は必ずや、森林の最奥へ辿り着くことだろう。
もし、次回で調査完了を見た場合、錬魔院はその結果にどう対処するのか。
「エルフハイムによる浄化技術開示の動きがあったのは、俺も小耳に入れてる。
いずれあの森を掃除しちまおうってなったとき、後からごたごたすると困るんじゃないか?
何かしら後ろ暗い代物が出てきたら、どう始末する? あんたの腹積もりを聞かせて欲しいな」
「……私としては、もし使えるものが残っているなら、
きちんと回収して未来に遺していくのが人類の為と思う、それだけですねぇ」
「倫理的、人道的にやばいブツだったとしても、か?」
ナサニエルがせせら笑う。
「如何なる経緯で生み出された技術も、錬魔院にとっては財産です。肝心なのは使い方でしょ。
それを使って人が殺せるからと、木こりから斧を取り上げる者がありますか?
猟師から銃を、料理人から包丁を、奪う道理がありますか?」
「あんまり殺し過ぎるよ、あれは」
クリケットが受け取った前回調査の報告書によると、
森の中心に至っては、覚醒者すら次々と体調の異変に見舞われる程の汚染だったようだ。
常人であれば、恐らく命はなかった。
「この際言っておく。俺は地球人で余所者だが、
クリムゾンウェストの人間を犠牲にしてでも歪虚に復讐する、なんてモチベーションはないからな」
「じゃ、貴方この件から外れます? 私が直接指揮するってことにして」
簡単に言ってのけるナサニエルへ、
「冗談じゃない。そりゃ、あんたが命令すりゃそういうことになるだろうが、
俺は続けたい。思い残しを放っておくとろくな目を見ないのは、歪虚CAM事件で経験済みだ。
あんたに調査を止める気がないって聞けたから、それで良いさ。後のこた、後のことだ」
●
話が終わると、ふたり共に院長室を出た。錬魔院の廊下を並んで歩きつつ、ナサニエルが、
「生憎ですが、貴方には次回調査も欠席してもらいましょう。
別に、本気で調査隊から外すって訳じゃないですよぉ? ただ別の仕事があるってだけで」
皇帝ヴィルヘルミナの命令一下に帝国は現在、北狄征伐の軍団を編成中だ。
出立は、いずれ結成されるクリムゾンウェスト連合軍の合流を待つとのことだが、
「当然、我々錬魔院もその役割を果たさねばなりません。北狄侵攻に向けた、種々の兵器の生産と調整……、
魔導型CAM投入はロッソの都合次第なので、今は何とも言えませんけどねぇ」
「また、機械油に塗れてろってか。良いよ、ハンターは前回も上手くやってくれた。
現場で足手まといになるくらいなら……あんたが俺の体調を慮ってくれたと思って、感謝しとく」
こうして、ラズビルナム調査隊第5回は再びクリケット不在で決行される手筈となった。
前回、時間切れで調査できなかったテント群、
それに北側の小道、まさに『魔女の森』の最奥部へ向かう道の先を、確かめねばならない。
『マクベスが打ち負かされることは決してない、
大いなるバーナムの森(ラズビルナム)がダンシネインの丘に至り、かの者へ挑まぬ限りは』
重度汚染区域・ラズビルナム。
先日の第4回現地調査にて、ハンターが区域内から1冊の書物を回収した。
「ロッソの知り合いに訊いて、こいつが『マクベス』のポーランド語訳ってことは確かめた。
研究員エルマー・クレツキが所持していた祖父の形見、地球の書物……」
クリケット(kz0093)は件の本を懐から抜き出すと、
左右に書類がうず高く積み上がったナサニエル・カロッサ(kz0028)の机の上へ、ゆっくりと置いた。
「そして、ラズビルナムの名前の由来だ。
クレツキが研究の中心的地位にあった可能性は高い。何せ名づけ親だからな」
ナサニエルは気のない顔で、差し出された本を手に取り読み始める。
クリケットは、部屋の隅に追いやられていた椅子を取ってきて座ると、
「回収された文書で判読可能なものからは、他の研究員の名もいくつか挙がってる。
が、言った通り、有望なのはクレツキだ。彼の身許を最優先で追うつもりだ……」
「それから?」
本に目を落としたまま、ナサニエルが話の続きを促す。
「しかし俺が確認した限り、クレツキ含め研究員たちについては、
現在の錬魔院に一切記録が残ってない。第一師団にも問い合わせてみたが、
13年前の革命で、追放や処刑をされた訳でもないようだ。
帝都市街戦の戦死者記録にもない。何処行ったんだ、連中は?」
「事故で死んだのでは? 現に、クレツキは汚染区域内でゾンビ化していたそうじゃないですかぁ」
クリケットがにやり、と笑う。病気療養から復帰したばかりで、その顔はまだ少し青白い。
「お為ごかしはなしにしようぜ、院長さんよ。
森の建物に残ってた資料はどれもぼろぼろだ、完全に塵と消えちまったもんもあるかも分からん。
だがそれを差し引いても、文字資料の数がちょいと少な過ぎる。それに」
と、手を伸ばしてナサニエルが読んでいた本を取り上げ、
「こいつが仕舞われてたのは、エクラ教式法儀礼が施された銀製キャビネット。
施設が汚染されることを、前提とした処置だったんじゃないか? 事実、中身はこうして無事だった。
同じ容器に研究資料詰め込んで、抱えたまま雲隠れした連中も居るんじゃないか、と」
ハンターの要請で、周辺地域の開拓記録も調べた。
駐屯基地の兵士から人手を借り、付近の村々で尋ねて回らせたのだが、
「施設や輸送路を作るのに、近隣から労働力の徴発が行われたことはないそうだ。
誰にやらせた? まさか研究員自ら工事やってた訳じゃあるまい、
任されたのは旧軍か、イルリヒトか……ま、そんなとこかと思うんだが」
●
今ひとつ反応の鈍いナサニエルを前に、クリケットはぐっと椅子から身を乗り出した。
「ひとつ確認したい。あんたあの森をどうする気だ?」
「どうする、って」
「あれだけの汚染を引き起こした事故、やたらめったらな秘密主義、行方知れずの関係者。
どうせ穏やかな話じゃなかったんだろ、例の『機導兵器開発』ってのは。
このままだと俺たち、じき核心に至っちまうかも知れんぜ」
またも、クリケットが胸ポケットから何やら取り出してみせた。折り畳まれた地図。
「ハンターが作ってくれた汚染度マップだ。最新のサンプルを元に推測すると……邪魔だな」
「はいはい」
ナサニエルが腕を振るって、卓上からがさっと書類を払い落としてしまう。
そうして空いたスペースに、クリケットが地図を広げた。その1点を指差し、
「森の中心部。サンプルの種類によって多少のばらつきはあるが、
汚染の程度はここへ近づく毎、どんどん強まってる。ここが汚染源だ。
大元は地下かも分からんが……掘削用の道具と、封鎖された地下道も見つかってるしな」
これまでのハンターたちの働き振りからして、
次の第5回調査隊は必ずや、森林の最奥へ辿り着くことだろう。
もし、次回で調査完了を見た場合、錬魔院はその結果にどう対処するのか。
「エルフハイムによる浄化技術開示の動きがあったのは、俺も小耳に入れてる。
いずれあの森を掃除しちまおうってなったとき、後からごたごたすると困るんじゃないか?
何かしら後ろ暗い代物が出てきたら、どう始末する? あんたの腹積もりを聞かせて欲しいな」
「……私としては、もし使えるものが残っているなら、
きちんと回収して未来に遺していくのが人類の為と思う、それだけですねぇ」
「倫理的、人道的にやばいブツだったとしても、か?」
ナサニエルがせせら笑う。
「如何なる経緯で生み出された技術も、錬魔院にとっては財産です。肝心なのは使い方でしょ。
それを使って人が殺せるからと、木こりから斧を取り上げる者がありますか?
猟師から銃を、料理人から包丁を、奪う道理がありますか?」
「あんまり殺し過ぎるよ、あれは」
クリケットが受け取った前回調査の報告書によると、
森の中心に至っては、覚醒者すら次々と体調の異変に見舞われる程の汚染だったようだ。
常人であれば、恐らく命はなかった。
「この際言っておく。俺は地球人で余所者だが、
クリムゾンウェストの人間を犠牲にしてでも歪虚に復讐する、なんてモチベーションはないからな」
「じゃ、貴方この件から外れます? 私が直接指揮するってことにして」
簡単に言ってのけるナサニエルへ、
「冗談じゃない。そりゃ、あんたが命令すりゃそういうことになるだろうが、
俺は続けたい。思い残しを放っておくとろくな目を見ないのは、歪虚CAM事件で経験済みだ。
あんたに調査を止める気がないって聞けたから、それで良いさ。後のこた、後のことだ」
●
話が終わると、ふたり共に院長室を出た。錬魔院の廊下を並んで歩きつつ、ナサニエルが、
「生憎ですが、貴方には次回調査も欠席してもらいましょう。
別に、本気で調査隊から外すって訳じゃないですよぉ? ただ別の仕事があるってだけで」
皇帝ヴィルヘルミナの命令一下に帝国は現在、北狄征伐の軍団を編成中だ。
出立は、いずれ結成されるクリムゾンウェスト連合軍の合流を待つとのことだが、
「当然、我々錬魔院もその役割を果たさねばなりません。北狄侵攻に向けた、種々の兵器の生産と調整……、
魔導型CAM投入はロッソの都合次第なので、今は何とも言えませんけどねぇ」
「また、機械油に塗れてろってか。良いよ、ハンターは前回も上手くやってくれた。
現場で足手まといになるくらいなら……あんたが俺の体調を慮ってくれたと思って、感謝しとく」
こうして、ラズビルナム調査隊第5回は再びクリケット不在で決行される手筈となった。
前回、時間切れで調査できなかったテント群、
それに北側の小道、まさに『魔女の森』の最奥部へ向かう道の先を、確かめねばならない。
リプレイ本文
●
真田 天斗(ka0014)が樹上から見た限り、テント群のゾンビは20体余り。
ぼろぼろの着衣をまとい、草の中を当て所なく彷徨う。
「草が深く、足場は万全とはいかないみたいですね。
ここでBOが起きるのは勘弁してもらいたいですが」
「効率的にやろうぜ。散らばってる敵は一旦集めちまって」
ウィンス・デイランダール(ka0039)が言うと、
「広い場所でまとめて掃除して、調査の時間を稼ぐ!」
「誘導は私が引き受けましたっ」
鹿島 雲雀(ka3706)とリリティア・オルベール(ka3054)、共に意気込んだ。
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)も剣を抜き、戦闘に備えた。
「今回も、大王たるこのボクがいるのだ。天祐は我らにあり、臆せず行くぞ!
……とは言えゾンビの身なりは、駆除中にきちんと記憶しておきたいところだな?」
その言葉に、エリセル・ゼノル・グールドーラ(ka2087)が首肯する。
「この間のゾンビ、旧軍か今の軍か、確認しておけば良かったですぅ。
倒すと消えちゃうのが難ですねぇ……」
「前衛が頼もしいな。私たちの手が空くようなら、調査に時間を割きたいね」
テリア・テルノード(ka4423)が言うと、
「ボクはゾンビ退治のついでで、どれくらい魔法が使えるか確かめるつもりだ。
異変があれば、君の治療に頼るかも」
前回調査のスキル不発を気にするフワ ハヤテ(ka0004)。木を下りた天斗が、
「フーさん?」
「今のところ大丈夫。最悪、こういう手もある」
ハヤテがベストをめくって魔導拳銃を見せると、天斗は黙って頷き、
「他、体調に変化のある方は? ――ないようですね。始めましょう」
テント群調査担当、8人が西向きの小道を分け入っていく。
●
ジェットブーツによる飛行で、キヅカ・リク(ka0038)は行く手に大まかな見当をつけた。
「木に隠れてはっきり見えないけど、開けた場所がある」
「植物は?」
ミューレ(ka4567)が観測機を睨みつつ尋ねると、
「かなり育ってる。他に、何か大きなものがいくつか。雑魔には見えない、錬魔院の遺留物かも」
「当面の障害はBOか」
リュカ(ka3828)が、雑草をそっと手折ってみる。
今いる倉庫兼住居の建物の傍には敵もBOもなく、森は静かなままだった。
夕影 風音(ka0275)とボルディア・コンフラムス(ka0796)が辺りを見回し、
「薄気味悪い雰囲気の癖、道中穏やかだったわね。
けど、これからが本番……所謂女の勘って奴を、びんびんに感じるわ」
「何が起こるか、調査隊常連の俺たちにも分からねぇ。楽しいとこだぜ」
水鉄砲を弄っていた水流崎トミヲ(ka4852)へ、来未 結(ka4610)が問いかける。
「水流崎さん、何を?」
「リク君のアイデアを拝借してね。BOは、正のマテリアルが起こす現象なんだろ?
汚染された水をぶつければ、中和されて現象が収まるんじゃないかと思って」
結はちらと視線を移し、装置を注視したままのミューレを見やる。
正負のマテリアルが入り混じる森の中では、機器の反応を読み取るにもコツが要った。
しばらくしてミューレが顔を上げ、
「道を抜けた辺りでBOの壁にぶつかる筈だけど、
途中も範囲の小さいのが隠れてるかも。充分注意して」
「迂回路はないのかしら?」
風音が言うと、
「道を外れると、木の密集した中を歩かなくちゃなりませんから。
万一BOを踏んだら、避けるのも難しいし……」
結が答えた。雑草は木立の下にも茂っていて、やはりBOが点在することを示していた。
出発を告げるミューレの顔は心なし、前回より落ち着いて見えるが、
果たして彼ら7人の道行きが穏やかに済むかどうかは――
●
テント群のゾンビが侵入を察知、一斉にハンターたちへ向く。
「連中を集めてくれ!」
雲雀はテント群中央、古い焚火の跡が残る小さな広場に陣取った。
ウィンスも脇に控え、仲間がゾンビを呼び寄せるのを待つ。
リリティアが間合いぎりぎりから鞭を振るい、ゾンビの首を巻き取った。
相手は半裸で、下半身を覆うぶかぶかのズボンも穴だらけだ。
(黴は生えてない。例の再生ゾンビじゃない、か)
リリティアが捕まえたゾンビを広場まで引っ張ると、更に2体が後からついてくる。
「そらよっ!」
雲雀が斧を手に駆け込んで、薙ぎ払った。
足首のもげたゾンビ3体が転倒するや、ウィンスと天斗が手分けして止めを刺した。
「こっちも沢山来てますぅ!」
エリセルが拳銃を発砲する。青黴をまとった再生ゾンビ、8体がほうぼうから集まって来た。
ディアドラが突出した1体に斬りかかるが、刀傷は蠢く黴に一瞬で覆い尽され、
「ボクらでは倒しきれない。ヒバリ、急いでくれ!」
「黴でよく分からないけど、このゾンビ、軍服じゃなさそうですぅ!」
ふたり共に広場まで後退すると、ハヤテの魔法がテントの合間を縫って飛んだ。
1体がかまいたちに首を切り飛ばされ、再生せずにそのまま塵と還っていく。
「弱点はやはり頭部のようだね」
「流石です――そうと分かれば!」
先んじて応援に回った天斗が、再生ゾンビの顔面に左フックをぶつける。
拳を受けた顎はいとも簡単に弾け飛び、敵がよろめく。
天斗はさっと雲雀と入れ替わり、彼女の薙ぎ払いに敵を任せた。
集まりつつあったゾンビ、内3体が脚を切断され、ごろごろと倒される。
次々処理されていくゾンビたち。
熟練のハンターたちの前に、最早敵はないと見えた――
と、エリセルの目が、広場の一隅に置かれたテントへ向く。
骨組が折れ、荷物の上へべたっと潰れた小さなテント。微かに動いた気がした。
武器を斬龍刀に持ち替え、残るゾンビの対処へ急ぐリリティアが、その脇を通ろうとする。
「リリティアさん、あのぉ!」
「ふぇっ?」
リリティアが立ち止まると、今度こそ確かにテントが動いた。
エリセルが咄嗟にテントを撃てば、天幕がぐっと盛り上がり、中から巨大な灰色の肉塊が現れる。
(やっぱり、隠れてましたかぁ)
●
小道を抜けた先、一面の草原。
先頭のリュカが小石を投げ入れるなり、草叢から炎の柱が吹き上げた。
「装置はどうだ!?」
2番手のボルディアが振り返り、隊列中央の結に訊く。
「この草原全体に、BOが散らばってます!」
「地雷原って訳ね。抜け道はないの!」
火柱の轟音に負けじと、3番手の風音も怒鳴る。結の後ろにいたミューレが、
「待って、観測範囲を調整……出た。
前方約500メートル、BOらしき反応なし。空白地帯だ」
「そこまで進めばひとまずクリアか。いっそ、一気に飛べれば良かったけど」
大型魔導銃を抱えたリクが、最後尾から言う。
安全な経路の探索が始まった。
ミューレが草叢へ魔法を撃ち、その後ろでトミヲも水鉄砲を噴射する。
水がかかった隊列右前方の地面に電光が走る一方、ミューレが確認した左手は何ごとも起こらず。
それを見たリュカは身を屈め、左斜めに進路を取った。
彼女の銀製の鎖帷子には、道中で手折った枝や葉が差し込まれている。
(エルマー・クレツキの本には、
人の手で木々を運ぶことで、森を『動かして』みせる下りがあるそうだが。
私もこうして森の加護を得、草木の声を聴けはしまいか)
行く手に再び石を投げると、草叢の中で数秒間だけ、小さな光が瞬く。
正体を確かめようと目を凝らしていたリュカが、唐突に覚醒状態へ入った。
全身から植物が芽吹き、やがて1本の『樹』に変貌すると、やおら身を起こす。
「おい、どうした」
ボルディアの問いかけに答えぬまま、リュカは歩き出す。
武器を構えず、握っていた石も捨て、あの光が瞬いたほうへ真っ直ぐに――
●
突如現れた肉塊に、リリティアが後方宙返りで間合いを取る。
敵は何体ものゾンビを飲み込んだ不定形の怪物で、
あちこちに生えた手や足を使い、ずるずると這いずって来た。
「大物が隠れてやがった。カシマ!」
ウィンスが残る再生ゾンビ3体をミラージュグレイブで田楽刺しにすると、
雲雀が横合いに回って斧を一振りし、首をまとめて落としてみせた。
ウィンスは槍を抜いて飛び退きつつ、例の怪物へと向かう。
その彼を天斗が追い越し、先んじて敵の横腹に右ストレートを叩き込む。
肉塊の中からわっと腕が飛び出し、天斗を掴まえようとすると、
「上等だ、代わるぜ」
天斗が退いたところへ、ウィンスが斬りかかった。
グレイブの切っ先で、ばたばたと動く敵の腕数本を切り払った。そして、
(さて、今度もちゃんと発動してくれるかな)
後衛のハヤテが掲げたワンドから、ウィンドスラッシュが再度放たれた。
魔法が肉塊の天辺、飾りのように突き出たゾンビの頭部を切断すれば、
敵は噴水のように黒い腐汁を吹いて、しぼんでいく。
「近場の敵は、これで片づいたな。傷を受けた者はあるか」
ディアドラが問うと、
「申し訳ない、大した怪我ではないと思うのですが」
天斗が右前腕のひっかき傷を見せる。
傷自体は浅いものの、毒の為か、早くも腫れと痺れを感じていた。
「診せてくれ……よし、これくらいならすぐ治せる」
テリアが天斗の腕を取り、治癒の法術をかけた。それから、
「この辺りのテント、先に軽く調べたほうが良いね」
エリセルが棒切れで辺りのテントを突き、隠れた敵を探す。
一方、姿の見える敵は広場を遠巻きに、のろのろとこちらへ歩いてくるところだ。ウィンスが、
「広場の安全確保ができたらまた、ここへ集めて掃除するよう……おおぅっ」
いきなり、背中に柔らかな感触。リリティアが後ろから、どんとぶつかってきた。
「ふっふっふ」
「オルベール、汚染で錯乱したか?」
「そんなんじゃないですよっ」
リリティアが振り返る。広場に転がるゾンビ、ざっと10体ほど。
片づけるのに、ものの3分とかからなかった。強くなっている――調査隊のハンターたち。
「汚染は怖いし、相変わらず何が起こるか分からない場所だけど……、
私たちなら、きっと真実に辿り着けますよね! さっ、バリバリやっつけちゃいましょう!」
●
リュカの目だけに映る、鮮やかな桃色の花吹雪。
彼女を迎え入れるように、草叢から吹き流れてくる。
「リュカ! ……風音、法術を!」
ミューレが叫ぶ。安全を確かめもせず前進していくリュカ。
未確認のBOの影響を受け、混乱しているようだ。
最悪のタイミングで、一行の右手に紫の鬼火がいくつも現れる。
念動力を操る発光体、第2回調査以来の遭遇だ。早速、石のつぶてが7人に降りかかると、
「ちっきしょう!」
武器を手にしたまま立ち往生するボルディア。
発光体の攻撃に反応して、近場のBOが一斉に発動してしまう。
吹き荒れる魔法の炎や雷、かまいたちに、草原は修羅場と化した。
「リリティアちゃん……こんなやばい森、よく今まで平気で歩けたわね!?」
リュカを助けに向かう風音だが、発光体の念力でBOに引きずり込まれそうになる。
ボルディアが割って入り、代わりに引っ張られると、
倒れ込んだ地面から、青白いガスが音を立てて沸き上がる。
咳き込みつつも、間合いに入った紫の光球をハルバードで薙ぎ払った。
高純度のマテリアルを込めた一撃――光球はぶわ、と揺らいで掻き消える。
だが、まだ数個の発光体が一行を狙っている。
ミューレが魔法を撃ち込もうとした矢先、念力で引き倒された。
転んだ先でBOの電撃を受け、ミューレはううっと呻く。
「ミューレさん!」
「BO中和ぁ!」
トミヲが水鉄砲をありったけ浴びせれば、汚染水がBOを中和、一時的に電撃を遮った。
その間に結が飛び出し、ミューレを取り戻す。
「上手く行ったな!」
リクは言いつつ、大型銃から離した片手をかざして機導術・デルタレイを放った。
「だけど今のでタンク一杯、使い切っちゃったよ!」
トミヲも雷撃と火球、2種の魔法に切り替え光球へ応戦する。
●
広場の他のテントに、ゾンビは隠れていなかった。
新たに釣り込んだ敵は15体。再生ゾンビと、軍装のゾンビが入り混じる。
だが不意打ちさえ受けなければ、何体集まろうと然程の脅威ではない。
雲雀が斧で敵を薙ぎ倒せば、
「この分なら、活動限界まで大分余裕あるぜ!」
ウィンスが雲雀の攻撃と被せるようにグレイブを振るい、倒れた敵の首を刎ねていく。
「リリティアさん、フーさん、止めをお願いしました!」
天斗が呼び込んだ群れを、ハヤテが精神統一からのファイアーボールで吹き飛ばす。
火球の炸裂に耐え、辛うじて身体の残った再生ゾンビも、
「調査は兎も角、戦闘では後れを取りませんよー!」
リリティアの斬龍刀で、脳天を真っ二つに割られてしまう。
彼らを援護しつつ、エリセルとディアドラは顔を見合わせる。
「奴らの服装、2種類あるな?」
「ええ、軍服――旧軍の装備だと思いますけどぉ、
それ以外に、作業員っぽい人たちがいたようですねぇ」
群れの大半が倒された後、遅ればせに姿を見せた1体のゾンビ。
その手足には、木板の割れ、金属の錆びついた手枷、足枷の残骸がまとわりついていた。
●
風音はリュカを掴んで振り向かせると、法術の光を浴びせた。
リュカは瞬きした後、正気に戻った顔で辺りを見回す。
発光体の群れはどうにか退け、しかし周囲を未だBOが吹き荒んでいる。かぶりを振り。
「まんまと惑わされたか、済まない……」
「大丈夫、みんな無事よ。早く、安全な場所で落ち着きたいわね」
風音が足下を探して、何か投げるのに手頃なものを見つけようとする。
生憎と、石畳から剥がれたと思しき大きな丸石くらいしかなかったが、
「ふんす!」
発動済みのBOを避け、力任せに両手で投擲した。
「次はあっちね。行けそう?」
「……ああ」
気を取り直し歩き出すリュカに、ボルディアと風音が続いた。
後ろでは、ミューレに結が寄り添い、手当てを施している。それを見た風音は、
(こんな状況でなきゃ、ほのぼのする光景なんだけど……、
鞍馬君と花ちゃんを思い出して、やきもきしちゃうわね)
一方、隊列後方ではトミヲが、
「そこ、ぽーんと3メートルくらいね、飛び越えられるかい!?」
「ああ、やってみる!」
リクがジェットブーツで跳躍し、電撃の走る地面を乗り越える。
鬼火の襲撃で乱れた隊列がようやく戻り、結が言った。
「BOに巻き込まれた方へ、加護の法術を。
切り傷がある方には包帯を巻いておきますね。傷口から汚染されるといけないから……」
●
ゾンビを全滅させ、ようやくテント群の調査が始まる。
迅速な駆除によって、時間にはかなりの余裕ができた。
仲間たちの手当てを終え、テリアも大きなテントから順に調べ始める。
中身は大半が、汚染で劣化した日用品の山。一部に魔導銃等の武器。
それでも、少しでも出所が分かりそうな物品は、スケッチやメモで記録しておく。
外では見張り役の雲雀が、ウィンスとリリティアに絡んでいた。
「闘志があれば、汚染も耐えられる! ハングリー精神が大事なんだ、分かるか?
心が燃え立つようなレッドでホットなチリペッパーを常日頃から追い求める心がな!
だからそのときの私は、士官試験の直前にも関わらず伝説のタコス屋を探す旅に出た訳だ。
何故そんな真似したかって言えばつまり、強い心を持たないとヴォイドに立ち向かえなくて、
心が強ければ汚染も……」
「あー、その話、かれこれ10分くらい同じとこでループしてるんだが」
「せ、戦闘で活躍した分、疲れが出たんでしょうか? テリアさんに治療してもらったほうが」
「ボクは魔法の不発もなく、無事だったんだけどね」
「雑魔も汚染源には違いないから、近接戦闘で影響が出たのか……」
少々様子のおかしい雲雀へ法術を施しつつ、テリアがハヤテに答える。
「私が覗いたテントには、武器弾薬が貯蔵されていた。
軍服のゾンビたちが、生前使っていたのだと思う。部隊の紋章も見つけたよ」
物資豊富な大テントは、主に空地の外側に配置されている。
対して、中心部は小さなテントが主だった。エリセルが、
「旧軍兵士が外側で、内側の作業員のテントを監視してた感じですかねぇ。
査閲の部隊かとも思ったんですけどぉ、機密っぽいものは持ってなかったみたいでぇ」
「銀製の箱は何処にもない。あくまで労働者が寝泊りする為のテントだったらしいね」
「武器になりそうなツルハシやドリルは、東の倉庫に集められている。そして、枷……」
ハヤテと天斗が指摘すると、ディアドラが、
「囚人だな。使い捨ての労働力に囚人を使い、軍人に見張らせていた」
「当時からして、そうして隠す必要のある研究だった」
テリアが言った。
「それは、既に誰もが予測していたことだけど」
●
「――まぁ、想像以上の規模ではあったね」
トミヲが呟く。
リュカが、空白地帯目前に現れた最後の鬼火を槍で払った。
BOを突破し、全ての障害を越えた先に待ち受けていたものは、
直径数百メートル、浅いすり鉢状の露天掘りの跡。
中心の地面には、黒ずんだ金属製の巨大な扉が埋め込まれている。
穴の縁からはトロッコ運搬用のレールが敷かれ、鎖で固く閉ざされた扉へと続いていた。
辺りにはトロッコ、トンネルの内壁と思しき湾曲した壁材、その他建材の山、
残土、紋様が刻まれた岩壁の断片、そして、
「魔導機械?」
穴の縁に埋められた、剣のような大きな突起物をリクが調べた。
機導師が用いるデバイスによく似た、複雑な機構が仕込まれていて、
同じものが計6本、穴を取り囲んで配置されていた。
「使い道、見当つく?」
風音の問いには、
「置き方からして、この穴を守るか封印する為のものじゃないかと思うけど」
「臭いモンには蓋、ってな。何隠してやがったんだか。
扉を破るには時間も準備も足りねぇ。調査隊はまだまだ続行だなァ」
ボルディアが、足下の小さな石を穴へ蹴り込んだ。
結が言った。
「観測機が正しければ、かなりの量の負のマテリアルが、穴の底から湧いています」
「……扉自体は、事故当時から封印されたままなのか」
トミヲがうろうろと縁を歩き回る。
腰に提げた短伝話からは、騒がしくノイズ音が漏れ出ていた。紋様の刻まれた岩を撫で、
「やはり、最初から歪虚そのものがいたとは考えにくい。
古代文明やら亜人やら、その手の遺跡を錬魔院が発見し発掘した。
研究の対象か方法が人目を憚る代物で、だから機密扱いに。人体実験とかね。
結果として生まれた汚染源、歪虚は、未だ地下で活動を続けてる。剣魔……」
短伝話から、不意に人の声がした。仲間からの通信と思い音量を上げると、
ノイズに混じって誰か、性別不明の歌声が流れてくる。
歌詞こそ聞き取れないが、声の節やリズムは確かに歌だった。
調査隊の誰の声とも似ていない。それは、
「誰の歌だ」
リュカはあの花吹雪の中で、同じ歌を聴いていた。
草花が風に揺れながら歌って、彼女を死地へと誘い込んでいた。
信じていた筈の森の心、森に宿りしマテリアルに見放された――
(違う、幻に惑わされるな!)
リュカはヤドリギの槍を地面に突き立てると、目を閉じ、今度こそ耳を澄ます。
(故郷の大樹は、まだ私の心に残っている。精霊の加護も……)
だが故郷を追われ、ひとり『荒野』へ放たれた彼女に、ラズビルナムの森は何も答えない。
そんなリュカの肩に、ミューレがそっと手を置く。
「この森は怒ってるんだ、自分を汚した人間や歪虚に。でも今回で、原因の大きな手がかりは掴めた筈だ」
「だから、きっと取り戻せますよ」
結が言葉を繋ぐ。
「みんなの力があれば……」
それから皆、思いおもいの手がかりと決意を抱えて、道を戻っていく。
軍人と囚人の一団、謎の魔導機械、そして地下遺跡に通じる扉。
『魔女の森』を踏破した今、全ての答えは、1枚の扉の下に見出されつつあった。
真田 天斗(ka0014)が樹上から見た限り、テント群のゾンビは20体余り。
ぼろぼろの着衣をまとい、草の中を当て所なく彷徨う。
「草が深く、足場は万全とはいかないみたいですね。
ここでBOが起きるのは勘弁してもらいたいですが」
「効率的にやろうぜ。散らばってる敵は一旦集めちまって」
ウィンス・デイランダール(ka0039)が言うと、
「広い場所でまとめて掃除して、調査の時間を稼ぐ!」
「誘導は私が引き受けましたっ」
鹿島 雲雀(ka3706)とリリティア・オルベール(ka3054)、共に意気込んだ。
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)も剣を抜き、戦闘に備えた。
「今回も、大王たるこのボクがいるのだ。天祐は我らにあり、臆せず行くぞ!
……とは言えゾンビの身なりは、駆除中にきちんと記憶しておきたいところだな?」
その言葉に、エリセル・ゼノル・グールドーラ(ka2087)が首肯する。
「この間のゾンビ、旧軍か今の軍か、確認しておけば良かったですぅ。
倒すと消えちゃうのが難ですねぇ……」
「前衛が頼もしいな。私たちの手が空くようなら、調査に時間を割きたいね」
テリア・テルノード(ka4423)が言うと、
「ボクはゾンビ退治のついでで、どれくらい魔法が使えるか確かめるつもりだ。
異変があれば、君の治療に頼るかも」
前回調査のスキル不発を気にするフワ ハヤテ(ka0004)。木を下りた天斗が、
「フーさん?」
「今のところ大丈夫。最悪、こういう手もある」
ハヤテがベストをめくって魔導拳銃を見せると、天斗は黙って頷き、
「他、体調に変化のある方は? ――ないようですね。始めましょう」
テント群調査担当、8人が西向きの小道を分け入っていく。
●
ジェットブーツによる飛行で、キヅカ・リク(ka0038)は行く手に大まかな見当をつけた。
「木に隠れてはっきり見えないけど、開けた場所がある」
「植物は?」
ミューレ(ka4567)が観測機を睨みつつ尋ねると、
「かなり育ってる。他に、何か大きなものがいくつか。雑魔には見えない、錬魔院の遺留物かも」
「当面の障害はBOか」
リュカ(ka3828)が、雑草をそっと手折ってみる。
今いる倉庫兼住居の建物の傍には敵もBOもなく、森は静かなままだった。
夕影 風音(ka0275)とボルディア・コンフラムス(ka0796)が辺りを見回し、
「薄気味悪い雰囲気の癖、道中穏やかだったわね。
けど、これからが本番……所謂女の勘って奴を、びんびんに感じるわ」
「何が起こるか、調査隊常連の俺たちにも分からねぇ。楽しいとこだぜ」
水鉄砲を弄っていた水流崎トミヲ(ka4852)へ、来未 結(ka4610)が問いかける。
「水流崎さん、何を?」
「リク君のアイデアを拝借してね。BOは、正のマテリアルが起こす現象なんだろ?
汚染された水をぶつければ、中和されて現象が収まるんじゃないかと思って」
結はちらと視線を移し、装置を注視したままのミューレを見やる。
正負のマテリアルが入り混じる森の中では、機器の反応を読み取るにもコツが要った。
しばらくしてミューレが顔を上げ、
「道を抜けた辺りでBOの壁にぶつかる筈だけど、
途中も範囲の小さいのが隠れてるかも。充分注意して」
「迂回路はないのかしら?」
風音が言うと、
「道を外れると、木の密集した中を歩かなくちゃなりませんから。
万一BOを踏んだら、避けるのも難しいし……」
結が答えた。雑草は木立の下にも茂っていて、やはりBOが点在することを示していた。
出発を告げるミューレの顔は心なし、前回より落ち着いて見えるが、
果たして彼ら7人の道行きが穏やかに済むかどうかは――
●
テント群のゾンビが侵入を察知、一斉にハンターたちへ向く。
「連中を集めてくれ!」
雲雀はテント群中央、古い焚火の跡が残る小さな広場に陣取った。
ウィンスも脇に控え、仲間がゾンビを呼び寄せるのを待つ。
リリティアが間合いぎりぎりから鞭を振るい、ゾンビの首を巻き取った。
相手は半裸で、下半身を覆うぶかぶかのズボンも穴だらけだ。
(黴は生えてない。例の再生ゾンビじゃない、か)
リリティアが捕まえたゾンビを広場まで引っ張ると、更に2体が後からついてくる。
「そらよっ!」
雲雀が斧を手に駆け込んで、薙ぎ払った。
足首のもげたゾンビ3体が転倒するや、ウィンスと天斗が手分けして止めを刺した。
「こっちも沢山来てますぅ!」
エリセルが拳銃を発砲する。青黴をまとった再生ゾンビ、8体がほうぼうから集まって来た。
ディアドラが突出した1体に斬りかかるが、刀傷は蠢く黴に一瞬で覆い尽され、
「ボクらでは倒しきれない。ヒバリ、急いでくれ!」
「黴でよく分からないけど、このゾンビ、軍服じゃなさそうですぅ!」
ふたり共に広場まで後退すると、ハヤテの魔法がテントの合間を縫って飛んだ。
1体がかまいたちに首を切り飛ばされ、再生せずにそのまま塵と還っていく。
「弱点はやはり頭部のようだね」
「流石です――そうと分かれば!」
先んじて応援に回った天斗が、再生ゾンビの顔面に左フックをぶつける。
拳を受けた顎はいとも簡単に弾け飛び、敵がよろめく。
天斗はさっと雲雀と入れ替わり、彼女の薙ぎ払いに敵を任せた。
集まりつつあったゾンビ、内3体が脚を切断され、ごろごろと倒される。
次々処理されていくゾンビたち。
熟練のハンターたちの前に、最早敵はないと見えた――
と、エリセルの目が、広場の一隅に置かれたテントへ向く。
骨組が折れ、荷物の上へべたっと潰れた小さなテント。微かに動いた気がした。
武器を斬龍刀に持ち替え、残るゾンビの対処へ急ぐリリティアが、その脇を通ろうとする。
「リリティアさん、あのぉ!」
「ふぇっ?」
リリティアが立ち止まると、今度こそ確かにテントが動いた。
エリセルが咄嗟にテントを撃てば、天幕がぐっと盛り上がり、中から巨大な灰色の肉塊が現れる。
(やっぱり、隠れてましたかぁ)
●
小道を抜けた先、一面の草原。
先頭のリュカが小石を投げ入れるなり、草叢から炎の柱が吹き上げた。
「装置はどうだ!?」
2番手のボルディアが振り返り、隊列中央の結に訊く。
「この草原全体に、BOが散らばってます!」
「地雷原って訳ね。抜け道はないの!」
火柱の轟音に負けじと、3番手の風音も怒鳴る。結の後ろにいたミューレが、
「待って、観測範囲を調整……出た。
前方約500メートル、BOらしき反応なし。空白地帯だ」
「そこまで進めばひとまずクリアか。いっそ、一気に飛べれば良かったけど」
大型魔導銃を抱えたリクが、最後尾から言う。
安全な経路の探索が始まった。
ミューレが草叢へ魔法を撃ち、その後ろでトミヲも水鉄砲を噴射する。
水がかかった隊列右前方の地面に電光が走る一方、ミューレが確認した左手は何ごとも起こらず。
それを見たリュカは身を屈め、左斜めに進路を取った。
彼女の銀製の鎖帷子には、道中で手折った枝や葉が差し込まれている。
(エルマー・クレツキの本には、
人の手で木々を運ぶことで、森を『動かして』みせる下りがあるそうだが。
私もこうして森の加護を得、草木の声を聴けはしまいか)
行く手に再び石を投げると、草叢の中で数秒間だけ、小さな光が瞬く。
正体を確かめようと目を凝らしていたリュカが、唐突に覚醒状態へ入った。
全身から植物が芽吹き、やがて1本の『樹』に変貌すると、やおら身を起こす。
「おい、どうした」
ボルディアの問いかけに答えぬまま、リュカは歩き出す。
武器を構えず、握っていた石も捨て、あの光が瞬いたほうへ真っ直ぐに――
●
突如現れた肉塊に、リリティアが後方宙返りで間合いを取る。
敵は何体ものゾンビを飲み込んだ不定形の怪物で、
あちこちに生えた手や足を使い、ずるずると這いずって来た。
「大物が隠れてやがった。カシマ!」
ウィンスが残る再生ゾンビ3体をミラージュグレイブで田楽刺しにすると、
雲雀が横合いに回って斧を一振りし、首をまとめて落としてみせた。
ウィンスは槍を抜いて飛び退きつつ、例の怪物へと向かう。
その彼を天斗が追い越し、先んじて敵の横腹に右ストレートを叩き込む。
肉塊の中からわっと腕が飛び出し、天斗を掴まえようとすると、
「上等だ、代わるぜ」
天斗が退いたところへ、ウィンスが斬りかかった。
グレイブの切っ先で、ばたばたと動く敵の腕数本を切り払った。そして、
(さて、今度もちゃんと発動してくれるかな)
後衛のハヤテが掲げたワンドから、ウィンドスラッシュが再度放たれた。
魔法が肉塊の天辺、飾りのように突き出たゾンビの頭部を切断すれば、
敵は噴水のように黒い腐汁を吹いて、しぼんでいく。
「近場の敵は、これで片づいたな。傷を受けた者はあるか」
ディアドラが問うと、
「申し訳ない、大した怪我ではないと思うのですが」
天斗が右前腕のひっかき傷を見せる。
傷自体は浅いものの、毒の為か、早くも腫れと痺れを感じていた。
「診せてくれ……よし、これくらいならすぐ治せる」
テリアが天斗の腕を取り、治癒の法術をかけた。それから、
「この辺りのテント、先に軽く調べたほうが良いね」
エリセルが棒切れで辺りのテントを突き、隠れた敵を探す。
一方、姿の見える敵は広場を遠巻きに、のろのろとこちらへ歩いてくるところだ。ウィンスが、
「広場の安全確保ができたらまた、ここへ集めて掃除するよう……おおぅっ」
いきなり、背中に柔らかな感触。リリティアが後ろから、どんとぶつかってきた。
「ふっふっふ」
「オルベール、汚染で錯乱したか?」
「そんなんじゃないですよっ」
リリティアが振り返る。広場に転がるゾンビ、ざっと10体ほど。
片づけるのに、ものの3分とかからなかった。強くなっている――調査隊のハンターたち。
「汚染は怖いし、相変わらず何が起こるか分からない場所だけど……、
私たちなら、きっと真実に辿り着けますよね! さっ、バリバリやっつけちゃいましょう!」
●
リュカの目だけに映る、鮮やかな桃色の花吹雪。
彼女を迎え入れるように、草叢から吹き流れてくる。
「リュカ! ……風音、法術を!」
ミューレが叫ぶ。安全を確かめもせず前進していくリュカ。
未確認のBOの影響を受け、混乱しているようだ。
最悪のタイミングで、一行の右手に紫の鬼火がいくつも現れる。
念動力を操る発光体、第2回調査以来の遭遇だ。早速、石のつぶてが7人に降りかかると、
「ちっきしょう!」
武器を手にしたまま立ち往生するボルディア。
発光体の攻撃に反応して、近場のBOが一斉に発動してしまう。
吹き荒れる魔法の炎や雷、かまいたちに、草原は修羅場と化した。
「リリティアちゃん……こんなやばい森、よく今まで平気で歩けたわね!?」
リュカを助けに向かう風音だが、発光体の念力でBOに引きずり込まれそうになる。
ボルディアが割って入り、代わりに引っ張られると、
倒れ込んだ地面から、青白いガスが音を立てて沸き上がる。
咳き込みつつも、間合いに入った紫の光球をハルバードで薙ぎ払った。
高純度のマテリアルを込めた一撃――光球はぶわ、と揺らいで掻き消える。
だが、まだ数個の発光体が一行を狙っている。
ミューレが魔法を撃ち込もうとした矢先、念力で引き倒された。
転んだ先でBOの電撃を受け、ミューレはううっと呻く。
「ミューレさん!」
「BO中和ぁ!」
トミヲが水鉄砲をありったけ浴びせれば、汚染水がBOを中和、一時的に電撃を遮った。
その間に結が飛び出し、ミューレを取り戻す。
「上手く行ったな!」
リクは言いつつ、大型銃から離した片手をかざして機導術・デルタレイを放った。
「だけど今のでタンク一杯、使い切っちゃったよ!」
トミヲも雷撃と火球、2種の魔法に切り替え光球へ応戦する。
●
広場の他のテントに、ゾンビは隠れていなかった。
新たに釣り込んだ敵は15体。再生ゾンビと、軍装のゾンビが入り混じる。
だが不意打ちさえ受けなければ、何体集まろうと然程の脅威ではない。
雲雀が斧で敵を薙ぎ倒せば、
「この分なら、活動限界まで大分余裕あるぜ!」
ウィンスが雲雀の攻撃と被せるようにグレイブを振るい、倒れた敵の首を刎ねていく。
「リリティアさん、フーさん、止めをお願いしました!」
天斗が呼び込んだ群れを、ハヤテが精神統一からのファイアーボールで吹き飛ばす。
火球の炸裂に耐え、辛うじて身体の残った再生ゾンビも、
「調査は兎も角、戦闘では後れを取りませんよー!」
リリティアの斬龍刀で、脳天を真っ二つに割られてしまう。
彼らを援護しつつ、エリセルとディアドラは顔を見合わせる。
「奴らの服装、2種類あるな?」
「ええ、軍服――旧軍の装備だと思いますけどぉ、
それ以外に、作業員っぽい人たちがいたようですねぇ」
群れの大半が倒された後、遅ればせに姿を見せた1体のゾンビ。
その手足には、木板の割れ、金属の錆びついた手枷、足枷の残骸がまとわりついていた。
●
風音はリュカを掴んで振り向かせると、法術の光を浴びせた。
リュカは瞬きした後、正気に戻った顔で辺りを見回す。
発光体の群れはどうにか退け、しかし周囲を未だBOが吹き荒んでいる。かぶりを振り。
「まんまと惑わされたか、済まない……」
「大丈夫、みんな無事よ。早く、安全な場所で落ち着きたいわね」
風音が足下を探して、何か投げるのに手頃なものを見つけようとする。
生憎と、石畳から剥がれたと思しき大きな丸石くらいしかなかったが、
「ふんす!」
発動済みのBOを避け、力任せに両手で投擲した。
「次はあっちね。行けそう?」
「……ああ」
気を取り直し歩き出すリュカに、ボルディアと風音が続いた。
後ろでは、ミューレに結が寄り添い、手当てを施している。それを見た風音は、
(こんな状況でなきゃ、ほのぼのする光景なんだけど……、
鞍馬君と花ちゃんを思い出して、やきもきしちゃうわね)
一方、隊列後方ではトミヲが、
「そこ、ぽーんと3メートルくらいね、飛び越えられるかい!?」
「ああ、やってみる!」
リクがジェットブーツで跳躍し、電撃の走る地面を乗り越える。
鬼火の襲撃で乱れた隊列がようやく戻り、結が言った。
「BOに巻き込まれた方へ、加護の法術を。
切り傷がある方には包帯を巻いておきますね。傷口から汚染されるといけないから……」
●
ゾンビを全滅させ、ようやくテント群の調査が始まる。
迅速な駆除によって、時間にはかなりの余裕ができた。
仲間たちの手当てを終え、テリアも大きなテントから順に調べ始める。
中身は大半が、汚染で劣化した日用品の山。一部に魔導銃等の武器。
それでも、少しでも出所が分かりそうな物品は、スケッチやメモで記録しておく。
外では見張り役の雲雀が、ウィンスとリリティアに絡んでいた。
「闘志があれば、汚染も耐えられる! ハングリー精神が大事なんだ、分かるか?
心が燃え立つようなレッドでホットなチリペッパーを常日頃から追い求める心がな!
だからそのときの私は、士官試験の直前にも関わらず伝説のタコス屋を探す旅に出た訳だ。
何故そんな真似したかって言えばつまり、強い心を持たないとヴォイドに立ち向かえなくて、
心が強ければ汚染も……」
「あー、その話、かれこれ10分くらい同じとこでループしてるんだが」
「せ、戦闘で活躍した分、疲れが出たんでしょうか? テリアさんに治療してもらったほうが」
「ボクは魔法の不発もなく、無事だったんだけどね」
「雑魔も汚染源には違いないから、近接戦闘で影響が出たのか……」
少々様子のおかしい雲雀へ法術を施しつつ、テリアがハヤテに答える。
「私が覗いたテントには、武器弾薬が貯蔵されていた。
軍服のゾンビたちが、生前使っていたのだと思う。部隊の紋章も見つけたよ」
物資豊富な大テントは、主に空地の外側に配置されている。
対して、中心部は小さなテントが主だった。エリセルが、
「旧軍兵士が外側で、内側の作業員のテントを監視してた感じですかねぇ。
査閲の部隊かとも思ったんですけどぉ、機密っぽいものは持ってなかったみたいでぇ」
「銀製の箱は何処にもない。あくまで労働者が寝泊りする為のテントだったらしいね」
「武器になりそうなツルハシやドリルは、東の倉庫に集められている。そして、枷……」
ハヤテと天斗が指摘すると、ディアドラが、
「囚人だな。使い捨ての労働力に囚人を使い、軍人に見張らせていた」
「当時からして、そうして隠す必要のある研究だった」
テリアが言った。
「それは、既に誰もが予測していたことだけど」
●
「――まぁ、想像以上の規模ではあったね」
トミヲが呟く。
リュカが、空白地帯目前に現れた最後の鬼火を槍で払った。
BOを突破し、全ての障害を越えた先に待ち受けていたものは、
直径数百メートル、浅いすり鉢状の露天掘りの跡。
中心の地面には、黒ずんだ金属製の巨大な扉が埋め込まれている。
穴の縁からはトロッコ運搬用のレールが敷かれ、鎖で固く閉ざされた扉へと続いていた。
辺りにはトロッコ、トンネルの内壁と思しき湾曲した壁材、その他建材の山、
残土、紋様が刻まれた岩壁の断片、そして、
「魔導機械?」
穴の縁に埋められた、剣のような大きな突起物をリクが調べた。
機導師が用いるデバイスによく似た、複雑な機構が仕込まれていて、
同じものが計6本、穴を取り囲んで配置されていた。
「使い道、見当つく?」
風音の問いには、
「置き方からして、この穴を守るか封印する為のものじゃないかと思うけど」
「臭いモンには蓋、ってな。何隠してやがったんだか。
扉を破るには時間も準備も足りねぇ。調査隊はまだまだ続行だなァ」
ボルディアが、足下の小さな石を穴へ蹴り込んだ。
結が言った。
「観測機が正しければ、かなりの量の負のマテリアルが、穴の底から湧いています」
「……扉自体は、事故当時から封印されたままなのか」
トミヲがうろうろと縁を歩き回る。
腰に提げた短伝話からは、騒がしくノイズ音が漏れ出ていた。紋様の刻まれた岩を撫で、
「やはり、最初から歪虚そのものがいたとは考えにくい。
古代文明やら亜人やら、その手の遺跡を錬魔院が発見し発掘した。
研究の対象か方法が人目を憚る代物で、だから機密扱いに。人体実験とかね。
結果として生まれた汚染源、歪虚は、未だ地下で活動を続けてる。剣魔……」
短伝話から、不意に人の声がした。仲間からの通信と思い音量を上げると、
ノイズに混じって誰か、性別不明の歌声が流れてくる。
歌詞こそ聞き取れないが、声の節やリズムは確かに歌だった。
調査隊の誰の声とも似ていない。それは、
「誰の歌だ」
リュカはあの花吹雪の中で、同じ歌を聴いていた。
草花が風に揺れながら歌って、彼女を死地へと誘い込んでいた。
信じていた筈の森の心、森に宿りしマテリアルに見放された――
(違う、幻に惑わされるな!)
リュカはヤドリギの槍を地面に突き立てると、目を閉じ、今度こそ耳を澄ます。
(故郷の大樹は、まだ私の心に残っている。精霊の加護も……)
だが故郷を追われ、ひとり『荒野』へ放たれた彼女に、ラズビルナムの森は何も答えない。
そんなリュカの肩に、ミューレがそっと手を置く。
「この森は怒ってるんだ、自分を汚した人間や歪虚に。でも今回で、原因の大きな手がかりは掴めた筈だ」
「だから、きっと取り戻せますよ」
結が言葉を繋ぐ。
「みんなの力があれば……」
それから皆、思いおもいの手がかりと決意を抱えて、道を戻っていく。
軍人と囚人の一団、謎の魔導機械、そして地下遺跡に通じる扉。
『魔女の森』を踏破した今、全ての答えは、1枚の扉の下に見出されつつあった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/09/20 22:58:18 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/19 21:05:48 |
|
![]() |
仕事の時間です 真田 天斗(ka0014) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/09/22 21:05:11 |