ゲスト
(ka0000)
ドワーフ王の土産?
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/23 19:00
- 完成日
- 2015/09/28 22:12
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
晩夏も終わりつつあろう辺境要塞に一人の旅姿の青年が現れた。
とりあえず、ハンターオフィスに足を向けて、目的の場所を尋ねると、受付員は丁寧に道を教えてくれる。
「ありがとうごぜぇやす」
頭を下げた青年は要塞の街並みに少し圧倒されながらも歩みを進めた。
それなりに賑やかな街を見ていたいと後ろ髪を引かれながらも向かうはドワーフ工房。
衛兵に目的を素直に伝えた。
「オラは三吉といいます。『エリート』戦士の超ドワーフ、ヨアキム様に会いに東方から来ましたんでぇ」
話を聞いた衛兵はこいつ、何を言ってるんだと思ったが、当の三吉は真面目そのもの。
東方で解放作戦が行われたのは聞いているし、ヨアキムも行った話も聞いている。
とりあえず、話を回す事にした。
「俺かよ」
「私もよ」
ヨアキムの代理をしている工房管理官アルフェッカとエテルタリーダーのカペラとフェルツのリーダーから代わりを頼まれたフォニケが面倒くさそうに歩いている。
ヨアキム絡みで話がわかる人という事でアルフェッカへとよく話が回ってくる。
「しかし、東方か……」
「いい話、聞けるといいわね」
東方にはこちらにはない技術があると聞く。
その辺りも知る者である事を祈るばかり。
三吉はとりあえず、部屋に通してもらって、お茶を飲んでいた。
自分が住んでいた東方で飲んでいたお茶とは違う味がしたが、これはこれで許容範囲。
「お待たせした」
アルフェッカがフォニケを連れて部屋に入ると、こちらでは見かけない顔立ちの青年が少し緊張した面持ちでこちらを見ていた。
「三吉殿、よくいらした。私はアルフェッカ・ユヴェーレン。ドワーフ工房の管理を任されている。こちらは技師のフォニケ」
「よ、よろしくおねげぇします」
ヨアキム不在の旨を伝えると、三吉は少し残念そうであったが、ドワーフ工房の話はかいつまんで聞いているようだった。
三吉が東方の製鉄技能を持つ事を知ったアルフェッカとフォニケは心中でガッツポーズを決める。
「東方では製鉄方法が違うって聞いたけど」
「へぇ」
三吉がざっくりと製鉄方法を言えば、アルフェッカはフォニケに投げ、フォニケは眩暈がしそうだった。
「……ちょっと、来て!」
しかし、探究心が全てを凌駕したフォニケが三吉の手を掴んでクレムトの工房へと駆け出す。
「ちょっと! 東方の鍛冶師がきたわよーーーー! 炉を見せてあげてーー!!」
轟音にも負けないフォニケの声が響くと、全員の手が止まった。
「フォニケ、本当か」
「本当よ!」
クレムトのリーダーが言えば、三吉が前に出る。
「オラは三吉といいます。超ドワーフのヨアキム様と、ハンターの皆さんに助けてもらった者です。どうか、この工房の炉を見せてくだせぇ」
腰を落として声を出す三吉にクレムトのリーダーは「見せてやれ」と言う。
炉を確認した三吉は困ったような顔をした。
「これでは玉鋼はできやせん」
何故かというと、火力や材料の違いを丁寧に三吉は技師達に伝える。
技師達もまた、東方の技術に言葉を失っているのが現状。
「でも、あなた達が使ってる炉はここでも作れる?」
「炭も作ったほうがいいと思いやす」
どうやら、炭もまた、東方とは違う製法のようだ。
「その炉を作れば、東方の鋼は作れるのか」
クレムトの技師が言えば、三吉は頷いた。
「作れるのか。それは作りたい。しかし、フォニケよ。人が足りないぞ」
クレムトのリーダーの言葉はもっとも。先日、ハンター達にテストして改良した散弾銃が出来上がって、別な発注等も重なり、炉を作るには人手が足りない。
「……そうね。足りない人員はハンターの助けを借りましょう」
「再び、ハンターの皆さまに会えるのか……」
三吉もまた、ハンターに会える事が嬉しい模様。
ドワーフ工房が作る炉がどこまで再現できるか分からないが、炉と炭を作る事は確定した。
とりあえず、ハンターオフィスに足を向けて、目的の場所を尋ねると、受付員は丁寧に道を教えてくれる。
「ありがとうごぜぇやす」
頭を下げた青年は要塞の街並みに少し圧倒されながらも歩みを進めた。
それなりに賑やかな街を見ていたいと後ろ髪を引かれながらも向かうはドワーフ工房。
衛兵に目的を素直に伝えた。
「オラは三吉といいます。『エリート』戦士の超ドワーフ、ヨアキム様に会いに東方から来ましたんでぇ」
話を聞いた衛兵はこいつ、何を言ってるんだと思ったが、当の三吉は真面目そのもの。
東方で解放作戦が行われたのは聞いているし、ヨアキムも行った話も聞いている。
とりあえず、話を回す事にした。
「俺かよ」
「私もよ」
ヨアキムの代理をしている工房管理官アルフェッカとエテルタリーダーのカペラとフェルツのリーダーから代わりを頼まれたフォニケが面倒くさそうに歩いている。
ヨアキム絡みで話がわかる人という事でアルフェッカへとよく話が回ってくる。
「しかし、東方か……」
「いい話、聞けるといいわね」
東方にはこちらにはない技術があると聞く。
その辺りも知る者である事を祈るばかり。
三吉はとりあえず、部屋に通してもらって、お茶を飲んでいた。
自分が住んでいた東方で飲んでいたお茶とは違う味がしたが、これはこれで許容範囲。
「お待たせした」
アルフェッカがフォニケを連れて部屋に入ると、こちらでは見かけない顔立ちの青年が少し緊張した面持ちでこちらを見ていた。
「三吉殿、よくいらした。私はアルフェッカ・ユヴェーレン。ドワーフ工房の管理を任されている。こちらは技師のフォニケ」
「よ、よろしくおねげぇします」
ヨアキム不在の旨を伝えると、三吉は少し残念そうであったが、ドワーフ工房の話はかいつまんで聞いているようだった。
三吉が東方の製鉄技能を持つ事を知ったアルフェッカとフォニケは心中でガッツポーズを決める。
「東方では製鉄方法が違うって聞いたけど」
「へぇ」
三吉がざっくりと製鉄方法を言えば、アルフェッカはフォニケに投げ、フォニケは眩暈がしそうだった。
「……ちょっと、来て!」
しかし、探究心が全てを凌駕したフォニケが三吉の手を掴んでクレムトの工房へと駆け出す。
「ちょっと! 東方の鍛冶師がきたわよーーーー! 炉を見せてあげてーー!!」
轟音にも負けないフォニケの声が響くと、全員の手が止まった。
「フォニケ、本当か」
「本当よ!」
クレムトのリーダーが言えば、三吉が前に出る。
「オラは三吉といいます。超ドワーフのヨアキム様と、ハンターの皆さんに助けてもらった者です。どうか、この工房の炉を見せてくだせぇ」
腰を落として声を出す三吉にクレムトのリーダーは「見せてやれ」と言う。
炉を確認した三吉は困ったような顔をした。
「これでは玉鋼はできやせん」
何故かというと、火力や材料の違いを丁寧に三吉は技師達に伝える。
技師達もまた、東方の技術に言葉を失っているのが現状。
「でも、あなた達が使ってる炉はここでも作れる?」
「炭も作ったほうがいいと思いやす」
どうやら、炭もまた、東方とは違う製法のようだ。
「その炉を作れば、東方の鋼は作れるのか」
クレムトの技師が言えば、三吉は頷いた。
「作れるのか。それは作りたい。しかし、フォニケよ。人が足りないぞ」
クレムトのリーダーの言葉はもっとも。先日、ハンター達にテストして改良した散弾銃が出来上がって、別な発注等も重なり、炉を作るには人手が足りない。
「……そうね。足りない人員はハンターの助けを借りましょう」
「再び、ハンターの皆さまに会えるのか……」
三吉もまた、ハンターに会える事が嬉しい模様。
ドワーフ工房が作る炉がどこまで再現できるか分からないが、炉と炭を作る事は確定した。
リプレイ本文
季節が移り変わり、要塞も秋へと進んでいた。
ドワーフ工房に着いたハンター達は建設予定地へと足を向けた。
しっかり片付けられた予定地にロニ・カルディス(ka0551)は周囲を見回す。
「十分な敷地でありますな」
満足そうに頷いたのは弥栄(ka4950)だ。
「ハンター方べですか?」
「相違なく」
外に出てきた三吉はここではあまり見ない風貌の弥栄に声をかけた。
ホームシックというわけではないが、同じ地方から出てきた弥栄に三吉はほっとした様子を見せてしまう。
「ここの工房の職人達が皆様をお待ちしてますだ」
三吉が言えば、二階の窓から作業着を着た女性が手を振っている。
二階の部屋には設計室なのか、大判の製図机が置いてあり、フォニケとカペラ、シェダルがいた。
「お久しぶり、カペラちゃん」
「元気そうで何よりだわ」
「フォニケとまた会えて嬉しい。こっちはボクのイトコのエミリオだよ」
エミリオ・ブラックウェル(ka3840)とアルカ・ブラックウェル(ka0790)が顔馴染みを見つけて笑顔となり、再会を喜ぶ見た目女子達。
「他の職人達は……」
ロニが言えばシェダルがそれはと口を開く。
「昨日まで片づけをしてて、細かいことは任せると言って、やるときまで仕事してる」
ドワーフの性質上、確かにと全員が納得した。
「とりあえず、東方の炉についてお話を聞きたいわ」
「わかりやした」
エミリオが言えば、三吉が説明を始めた。
東方で作られる鉄を精製する炉は掘削をし、その穴の中で砂利や粘土を敷き詰めて構築していくもの。
高熱にしないと良質の鉄が出来なく、こちらの炉では温度が低すぎると三吉は言う。
「どうやって高熱にするのだ」
ロニの言葉に返したのは弥栄。
「あの広さであれば、天秤鞴というものが御座いまする。板を踏み、その風の力で炉内に空気を送り火力を上げる装置と聞いておりまする」
「弥栄様の言う通りだべ。おらが勧めようとしたのもそれになるだ」
他にも水力を使って火力を上げるという事もあるが、要塞内の地下にはドワーフの抜け道があり、水路工事が面倒という事で風力を使うようだ。
「血の気ある連中だし、風力でいいよねって話なの」
フォニケが言うと、三吉は更に話を進る。
「天秤鞴は炉を挟むように二基作る。長い炉を作って風を吹き入れて、温度を上昇させるべ」
「風力を使って火力を上げるのはわかったが、どれくらいかかるのだ」
「操業開始から終了まで約三昼夜だべか」
ロニの言葉に三吉は即座に返す。
製鉄方法も種類があり、今回使用するのはケラ押しと呼ばれる製法だった。
真砂砂鉄を原料とするものであり、木炭で加熱、燃焼させる方法。
「結構大きそうな炉よね。材料はどれぐらいかしら」
エミリオが尋ねると三吉は真砂も木炭も大体九十石と答えた。
あまり聞いたことがない単位で、弥栄がわかりやすく説明をしてくれて、リアルブルーでいうところの、十三トンで、三人は目を丸くした。
「じゃぁ、どれくらいの鉄が出来るの?」
「大体二十石だったべか。更に、刀に使われる鉄はその半分以下だ」
「えぇええええ!」
目を丸くするアルカにフォニケはその気持凄くわかると言わんばかりに頷く。
「刀に使われる鉄は玉鋼と言ってな。東方における玉とは貴重なものいう意味だべ。たくさんの資材を使ってそれだけしか出来ないから貴重なモンだ」
「今回はその半分以下で作るわ」
三吉の話にカペラが付け加える。
「作るにも設計図が必要よね。書き出ししてもらえる?」
エミリオ言葉に、もう出来ていると三吉が言えば、フォニケが取り出した。
広げられたのは二枚の設計図。天秤鞴と炉の設計図がそれぞれある。
「……結構、穴を掘るのだな」
「大体、炉の三倍の深さと聞いたことがありまする」
唸るロニに弥栄が補足してくれた。
「設計図を見るとわかりやすいな。まずは掘削だな」
見やすい設計図でロニはイメージが思い浮かんでいる。
「そンだ。言い忘てた。焼成が完了すっと、炉だけは潰すから」
さらっと三吉が言えば、弥栄以外のハンター達は絶句した。
永代もいいが、今後を考えてもまずは一代の炉でやろうということになった。当然のことながら、ドワーフ工房の皆も同じ反応であった。
作業が始まり、ロニの指揮の下で行われた。
掘削作業用は三脚櫓を使って丸太棒を十字に組み、万力のような金具で金棒に接続したものを人力というか、ドワーフの力で高さを上げて金棒を地に落として穴を開けていく作業が始まる。
人間で十人以上は必要とするが、ドワーフは八人ほどでやっていた。
弥栄が土を掃けつつ、猫車を使って隅に寄せていた。
「豪快で御座いますなぁ」
勇壮な光景に弥栄は笑顔となる。
敷地の隅では炭窯の掘削をやっており、こちらはスコップとツルハシで行っている。
ある程度穴があけてきたら、スコップで土を掘り出して人が入れるスペースを広げ、シェダルがツルハシで削り、カペラがスコップで土を出す。
「シェダル殿。代わります」
「おう」
汗を拭いつつ、シェダルが弥栄の言葉に甘える。次に弥栄がツルハシを持って土を
掘る。
更に穴が広がると、シェダルも入って、弥栄と二人で土を掘ってかきだしていく。
「粘土質の土で御座いますな」
「これ、とっておいて粘土打ちに使うぞ」
スコップに切り替えて二人が粘土を取り除く。
一方、アルカとエミリオはフォニケと共にまかないを作っていた。
主にエミリオの指示でアルカとフォニケがお手伝いしている状態。
主食はピタパンサンド。自分で好きに具を挟むようにするため、カゴにパンだけを山盛りに詰める。
おかずにはヒヨコ豆のファラフェル。ヒヨコ豆と香味系野菜を混ぜて攪拌したものを丸めて油で揚げたもの。
ピタパンサンドの具はアルカとフォニケが手分けして焼く。
「炭を作るって滅多にないし、自分達で作った炭でお肉焼きたいね!」
「それいいかも!」
肉食女子がはしゃぐ声を聞きつつ、エミリオがファラフェルを揚げていく。
「エミリオ、お肉どうかな!」
キリがいいところでエミリオがアルカの隣に立ち、肉と野菜の確認をする。
「いい感じよ。お肉を切っていってね」
「フォニケ、エミリオの料理はおいしいんだよ」
「そうなのね」
輝く笑顔のアルカにフォニケも嬉しそうだ。一番喜んでいるのはエミリオだ。なにせ、アルカに期待されるのは嬉しい。
「アルカちゃんが喜ぶなら、美味しいもの作るわよ♪」
「やったー! 他の皆も喜ぶよ!」
しっかりアピールするエミリオであるが、アルカは気づかない。
フォニケは可哀想に……と涙した。
まかないは好評であり、エミリオも喜んでいた。
炭の土壌は一日で済んだが、炉の方はまだかかる。
ドワーフ工房では宿泊できるようになっており、皆でそこに詰めることになった。
「お香のいい匂いがする!」
女子部屋は工房の女性陣が内装まで手がけており、下手な宿泊施設より良い作りの四人部屋。
男子部屋は質素なつくりであるが、女子部屋同様に気密が高く、特に冬は暖かい。換気もとてもいい。
「アルカちゃん、いなかったらエミリオ君こっちだったんだけどね」
「流石にね」
はしゃぐアルカを眺めつつ、察する二人はエミリオを応援したい気持ちにはなる。
「エミリオ殿、具の様子を確認願いたいのですが」
「今行くわ」
弥栄が朝食用のスープの鍋をかき混ぜつつ、エミリオを呼ぶ。
「パンが焼けた!」
「火傷しないようにね」
ミトンを嵌めてアルカがパンを取り出す。
朝食を三人が作っている中、ロニやシェダル達は設計図を見ながら作業の打ち合わせを始める。
作業は開始より日を重ねて順調であり、炭窯は完成して今日は試運転だ。
炉は砂利の敷き詰めが終わり、今日は小舟や炭を入れる部屋を確立させ、天秤鞴の建築を始めたいとロニが意見を言う。
「賛成だ」
シェダルがいえば、他のメンバーも頷く。
「皆の働きがよく、予測よりも二日ほど早い」
ロニが工程表と結果日報を確認しつつ言えば、シェダルが木の運搬役にアルカと弥栄を指名する。
「弥栄さんは働き者だから、気分転換に違う作業に入ってもらうのもいいわね」
フォニケが言えば、ロニがメモをする。エミリオは工房に詰めてもらう。
食事は士気に関るという理由から。
皆で朝食をとっている時、カペラが提案を出した。
「最終的に私達で鍛えた刀はテストでハンターの皆に使って貰うわ。出来がどうなるかわからないけど」
「それでも、どこまでやれるか確かめたいから、付き合ってほしいわ」
肩を竦めるカペラにフォニケが続ける。
「それは興味が御座います」
弥栄もまた、気になる様子。
「この事も念頭に入れてほしいわ」
最後にフォニケが締めると、仕事が始まる。
弥栄とアルカはイオタに連れられて荷馬車に乗って木材の買い付けに行った。
沢山の木炭が必要だが、何度かに分けて持っていくという話。
「今回、製鉄には間に合わないから、試運転の炭少し使ってお肉を焼くんだって!」
「アルカ殿は肉好きで御座いますゆえ」
「とっても楽しみ!」
荷台の上でアルカと弥栄が会話をしていると、ドワーフの集落が見えてきた。
木材を皆で運び込み、エミリオのお弁当を食べながら工房へと戻る。
炉の掘削作業が終わると、炉の周辺に建物を建てていた。炭窯は外に設置する事になっている。
外からでも木が打ち込まれる音がし、天秤鞴の設置が進んでいるようだ。
「お疲れ。少し休むといい、休む事も大事だ」
ロニが木材運びを手伝いながら、声をかける。
「そう致します。休憩終わり次第、木材を窯へ入れます」
「木材はちゃんとまっすぐにしてくれたんだ。三吉も誉めてたよ!」
木材に歪みなどがないように鉈等で削ってくれたようだ。端材も燃料として必要なので一緒に持って来ている。
「そうか、ならば仕事が早く済む」
アルカの報告にロニが頷く。
休憩の後、三吉の指示の下で炭焼きがはじまった。
「わー! 白い煙が出てる!」
「さぁ、アルカ殿。火を絶やさぬよう、大きい薪を足します」
「うん!」
弥栄とアルカで薪が絶えないようにくべていく。
「中ではどんな作業をやってるんだろう」
「そろそろテスト操業するって聞いたぞ」
ひょっこりとイオタが声をかけると、アルカは大きな声を上げる。
「いいな! ボクもやりたい!」
「ははは。俺と替わろう」
薪を抱えて飛び跳ねるアルカにイオタと弥栄が行っておいでと送り出してくれた。
中では皆で柱を支えて固定している。
「板の端の補強は終わったか?」
ロニが声をかけると、大きな板をドワーフ数名で持ってきた。端は折れないように補強されていた。
板がそれぞれの鞴に取り付けられると、エミリオとカペラが右側の鞴のそれぞれの端へ軽やかに飛び上がって動きの確認をする。
「カペラちゃん、行くわよ」
「こっちもよ!」
「遊び道具じゃねぇぞ」
はしゃぐ二人にシェダルが注意して皆が笑う。
「ボクもやる!」
話を聞きつけたアルカが駆け寄り、ロニが「はじめるぞ」と声をかけて改めてテスト操業を行った。
炭焼きには時間がかかり、ここから数人体制で火の守りをつける。
窯の天井や壁に燃焼によって起こるひび割れが生じた場合の修繕を兼ねていた。
天秤鞴も出来上がり、後は炉を作り、鞴と炉を接続させる仕事が残っている。
「そういえば、砂鉄は?」
思い出したように弥栄が尋ねると、それはもう用意してあるとカペラが言った。
「こっちの製鉄も砂鉄メインでやってるし、三吉さんの確認も終わっているわ。今回は炭作りが間に合ってないから、ハンターの皆に鞴を踏んでもらうまでは行かなかったけど」
「それは致し方ない。完成品の刀、心待ちにしてます」
「待っててね!」
弥栄の期待にカペラが笑顔で頷く。
工程表と結果報告書を確認していたロニとシェダルと三吉は思ったより早く終わりそうでほっとしている。
「いい仕事をしてるべ」
「後は運転してどれだけの成果が上げられるか」
「その時はその時」
心配をするロニにシェダルが返す。
必要な炭の量が期間内には出来上がらないので、今回はこれで終了と皆が確認しあう。
炉と鞴の接続も終わり、炭の焼成後の精煉へと入っていた。
窯口を徐々に開けて空気を送ることで樹皮を燃やして白熱状態にさせる工程がある。
「あと二日ぐらいだべか」
三吉が言えば、アルカは待ちきれない様子。
「ならば、また木材を運んで参りましょう」
弥栄が言えば、アルカが頷く。
「じゃぁ、アタシも……」
「エミリオは待ってて」
アルカと一緒に行こうとしたエミリオだが、アルカのストップが入る。
「帰ってきたとき、晩御飯の時間だよ。ボク、エミリオのごはんが好きだから」
「あ、そうね……」
弥栄とイオタを連れてアルカは元気よく行った。
察しのいい連中はエミリオに同情するしかない。
二日後、無事に炭が仕上がり、皆で少しずつ取り出していく。
暑さというよりかは息苦しさ。皆は鼻と口を布で覆っている。
「金属で切ると……よっ」
取り出した木炭を三吉が鉈で叩いてカットする。
「光沢が出るのだな」
三吉が見せた切り口には見事な光沢が出ており、ロニが感心していた。
消火をして釜の中を清掃して再び釜へ木材を入れる。
炉は出来上がっており、後は原料待ちという状態。
「早く良い仕事で完成したのは皆のおかげ。今日はたくさん食べて飲んでね!」
カペラが言えば、全員が大喜びだ。
エミリオの指示のもと、皆で肉を焼いて酒を浴びるように飲む。
今日の主役は頑張ってくれたハンター達。
二回目の炭の火の番はシェダルとフォニケが交代でやってくれることになった。
「こちらでしたか」
弥栄が籠に食べ物を入れて炭窯のところへ行けば、見慣れない顔があった。
蜂蜜のような金色の髪の優男がフォニケとシェダルと共にいた。服装は士官服なので、帝国の者と思われる。
「いいの? 抜け出して」
「差し入れを」
弥栄が差し出した籠に焼いた肉があってフォニケが狂喜する。
「俺はアルフェッカ。ヨアキム殿の代理で工房の管理をする者だ。君達の働きは他の皆から聞いている。君は東方出身でもあるからパイプ役のようでとても助かったよ」
「東方を知ってもらい、親しんでほしい故で御座います」
アルフェッカが言えば、弥栄は笑む。
「シェダル殿、酒が抜ければ、ロニ殿も見張りを手伝うと仰って御座います」
「おう」
パンを飲み込んで、シェダルが頷く。
「刀、楽しみ」
フォニケが顔を上げると、細い三日月が輝いていた。
ドワーフ工房に着いたハンター達は建設予定地へと足を向けた。
しっかり片付けられた予定地にロニ・カルディス(ka0551)は周囲を見回す。
「十分な敷地でありますな」
満足そうに頷いたのは弥栄(ka4950)だ。
「ハンター方べですか?」
「相違なく」
外に出てきた三吉はここではあまり見ない風貌の弥栄に声をかけた。
ホームシックというわけではないが、同じ地方から出てきた弥栄に三吉はほっとした様子を見せてしまう。
「ここの工房の職人達が皆様をお待ちしてますだ」
三吉が言えば、二階の窓から作業着を着た女性が手を振っている。
二階の部屋には設計室なのか、大判の製図机が置いてあり、フォニケとカペラ、シェダルがいた。
「お久しぶり、カペラちゃん」
「元気そうで何よりだわ」
「フォニケとまた会えて嬉しい。こっちはボクのイトコのエミリオだよ」
エミリオ・ブラックウェル(ka3840)とアルカ・ブラックウェル(ka0790)が顔馴染みを見つけて笑顔となり、再会を喜ぶ見た目女子達。
「他の職人達は……」
ロニが言えばシェダルがそれはと口を開く。
「昨日まで片づけをしてて、細かいことは任せると言って、やるときまで仕事してる」
ドワーフの性質上、確かにと全員が納得した。
「とりあえず、東方の炉についてお話を聞きたいわ」
「わかりやした」
エミリオが言えば、三吉が説明を始めた。
東方で作られる鉄を精製する炉は掘削をし、その穴の中で砂利や粘土を敷き詰めて構築していくもの。
高熱にしないと良質の鉄が出来なく、こちらの炉では温度が低すぎると三吉は言う。
「どうやって高熱にするのだ」
ロニの言葉に返したのは弥栄。
「あの広さであれば、天秤鞴というものが御座いまする。板を踏み、その風の力で炉内に空気を送り火力を上げる装置と聞いておりまする」
「弥栄様の言う通りだべ。おらが勧めようとしたのもそれになるだ」
他にも水力を使って火力を上げるという事もあるが、要塞内の地下にはドワーフの抜け道があり、水路工事が面倒という事で風力を使うようだ。
「血の気ある連中だし、風力でいいよねって話なの」
フォニケが言うと、三吉は更に話を進る。
「天秤鞴は炉を挟むように二基作る。長い炉を作って風を吹き入れて、温度を上昇させるべ」
「風力を使って火力を上げるのはわかったが、どれくらいかかるのだ」
「操業開始から終了まで約三昼夜だべか」
ロニの言葉に三吉は即座に返す。
製鉄方法も種類があり、今回使用するのはケラ押しと呼ばれる製法だった。
真砂砂鉄を原料とするものであり、木炭で加熱、燃焼させる方法。
「結構大きそうな炉よね。材料はどれぐらいかしら」
エミリオが尋ねると三吉は真砂も木炭も大体九十石と答えた。
あまり聞いたことがない単位で、弥栄がわかりやすく説明をしてくれて、リアルブルーでいうところの、十三トンで、三人は目を丸くした。
「じゃぁ、どれくらいの鉄が出来るの?」
「大体二十石だったべか。更に、刀に使われる鉄はその半分以下だ」
「えぇええええ!」
目を丸くするアルカにフォニケはその気持凄くわかると言わんばかりに頷く。
「刀に使われる鉄は玉鋼と言ってな。東方における玉とは貴重なものいう意味だべ。たくさんの資材を使ってそれだけしか出来ないから貴重なモンだ」
「今回はその半分以下で作るわ」
三吉の話にカペラが付け加える。
「作るにも設計図が必要よね。書き出ししてもらえる?」
エミリオ言葉に、もう出来ていると三吉が言えば、フォニケが取り出した。
広げられたのは二枚の設計図。天秤鞴と炉の設計図がそれぞれある。
「……結構、穴を掘るのだな」
「大体、炉の三倍の深さと聞いたことがありまする」
唸るロニに弥栄が補足してくれた。
「設計図を見るとわかりやすいな。まずは掘削だな」
見やすい設計図でロニはイメージが思い浮かんでいる。
「そンだ。言い忘てた。焼成が完了すっと、炉だけは潰すから」
さらっと三吉が言えば、弥栄以外のハンター達は絶句した。
永代もいいが、今後を考えてもまずは一代の炉でやろうということになった。当然のことながら、ドワーフ工房の皆も同じ反応であった。
作業が始まり、ロニの指揮の下で行われた。
掘削作業用は三脚櫓を使って丸太棒を十字に組み、万力のような金具で金棒に接続したものを人力というか、ドワーフの力で高さを上げて金棒を地に落として穴を開けていく作業が始まる。
人間で十人以上は必要とするが、ドワーフは八人ほどでやっていた。
弥栄が土を掃けつつ、猫車を使って隅に寄せていた。
「豪快で御座いますなぁ」
勇壮な光景に弥栄は笑顔となる。
敷地の隅では炭窯の掘削をやっており、こちらはスコップとツルハシで行っている。
ある程度穴があけてきたら、スコップで土を掘り出して人が入れるスペースを広げ、シェダルがツルハシで削り、カペラがスコップで土を出す。
「シェダル殿。代わります」
「おう」
汗を拭いつつ、シェダルが弥栄の言葉に甘える。次に弥栄がツルハシを持って土を
掘る。
更に穴が広がると、シェダルも入って、弥栄と二人で土を掘ってかきだしていく。
「粘土質の土で御座いますな」
「これ、とっておいて粘土打ちに使うぞ」
スコップに切り替えて二人が粘土を取り除く。
一方、アルカとエミリオはフォニケと共にまかないを作っていた。
主にエミリオの指示でアルカとフォニケがお手伝いしている状態。
主食はピタパンサンド。自分で好きに具を挟むようにするため、カゴにパンだけを山盛りに詰める。
おかずにはヒヨコ豆のファラフェル。ヒヨコ豆と香味系野菜を混ぜて攪拌したものを丸めて油で揚げたもの。
ピタパンサンドの具はアルカとフォニケが手分けして焼く。
「炭を作るって滅多にないし、自分達で作った炭でお肉焼きたいね!」
「それいいかも!」
肉食女子がはしゃぐ声を聞きつつ、エミリオがファラフェルを揚げていく。
「エミリオ、お肉どうかな!」
キリがいいところでエミリオがアルカの隣に立ち、肉と野菜の確認をする。
「いい感じよ。お肉を切っていってね」
「フォニケ、エミリオの料理はおいしいんだよ」
「そうなのね」
輝く笑顔のアルカにフォニケも嬉しそうだ。一番喜んでいるのはエミリオだ。なにせ、アルカに期待されるのは嬉しい。
「アルカちゃんが喜ぶなら、美味しいもの作るわよ♪」
「やったー! 他の皆も喜ぶよ!」
しっかりアピールするエミリオであるが、アルカは気づかない。
フォニケは可哀想に……と涙した。
まかないは好評であり、エミリオも喜んでいた。
炭の土壌は一日で済んだが、炉の方はまだかかる。
ドワーフ工房では宿泊できるようになっており、皆でそこに詰めることになった。
「お香のいい匂いがする!」
女子部屋は工房の女性陣が内装まで手がけており、下手な宿泊施設より良い作りの四人部屋。
男子部屋は質素なつくりであるが、女子部屋同様に気密が高く、特に冬は暖かい。換気もとてもいい。
「アルカちゃん、いなかったらエミリオ君こっちだったんだけどね」
「流石にね」
はしゃぐアルカを眺めつつ、察する二人はエミリオを応援したい気持ちにはなる。
「エミリオ殿、具の様子を確認願いたいのですが」
「今行くわ」
弥栄が朝食用のスープの鍋をかき混ぜつつ、エミリオを呼ぶ。
「パンが焼けた!」
「火傷しないようにね」
ミトンを嵌めてアルカがパンを取り出す。
朝食を三人が作っている中、ロニやシェダル達は設計図を見ながら作業の打ち合わせを始める。
作業は開始より日を重ねて順調であり、炭窯は完成して今日は試運転だ。
炉は砂利の敷き詰めが終わり、今日は小舟や炭を入れる部屋を確立させ、天秤鞴の建築を始めたいとロニが意見を言う。
「賛成だ」
シェダルがいえば、他のメンバーも頷く。
「皆の働きがよく、予測よりも二日ほど早い」
ロニが工程表と結果日報を確認しつつ言えば、シェダルが木の運搬役にアルカと弥栄を指名する。
「弥栄さんは働き者だから、気分転換に違う作業に入ってもらうのもいいわね」
フォニケが言えば、ロニがメモをする。エミリオは工房に詰めてもらう。
食事は士気に関るという理由から。
皆で朝食をとっている時、カペラが提案を出した。
「最終的に私達で鍛えた刀はテストでハンターの皆に使って貰うわ。出来がどうなるかわからないけど」
「それでも、どこまでやれるか確かめたいから、付き合ってほしいわ」
肩を竦めるカペラにフォニケが続ける。
「それは興味が御座います」
弥栄もまた、気になる様子。
「この事も念頭に入れてほしいわ」
最後にフォニケが締めると、仕事が始まる。
弥栄とアルカはイオタに連れられて荷馬車に乗って木材の買い付けに行った。
沢山の木炭が必要だが、何度かに分けて持っていくという話。
「今回、製鉄には間に合わないから、試運転の炭少し使ってお肉を焼くんだって!」
「アルカ殿は肉好きで御座いますゆえ」
「とっても楽しみ!」
荷台の上でアルカと弥栄が会話をしていると、ドワーフの集落が見えてきた。
木材を皆で運び込み、エミリオのお弁当を食べながら工房へと戻る。
炉の掘削作業が終わると、炉の周辺に建物を建てていた。炭窯は外に設置する事になっている。
外からでも木が打ち込まれる音がし、天秤鞴の設置が進んでいるようだ。
「お疲れ。少し休むといい、休む事も大事だ」
ロニが木材運びを手伝いながら、声をかける。
「そう致します。休憩終わり次第、木材を窯へ入れます」
「木材はちゃんとまっすぐにしてくれたんだ。三吉も誉めてたよ!」
木材に歪みなどがないように鉈等で削ってくれたようだ。端材も燃料として必要なので一緒に持って来ている。
「そうか、ならば仕事が早く済む」
アルカの報告にロニが頷く。
休憩の後、三吉の指示の下で炭焼きがはじまった。
「わー! 白い煙が出てる!」
「さぁ、アルカ殿。火を絶やさぬよう、大きい薪を足します」
「うん!」
弥栄とアルカで薪が絶えないようにくべていく。
「中ではどんな作業をやってるんだろう」
「そろそろテスト操業するって聞いたぞ」
ひょっこりとイオタが声をかけると、アルカは大きな声を上げる。
「いいな! ボクもやりたい!」
「ははは。俺と替わろう」
薪を抱えて飛び跳ねるアルカにイオタと弥栄が行っておいでと送り出してくれた。
中では皆で柱を支えて固定している。
「板の端の補強は終わったか?」
ロニが声をかけると、大きな板をドワーフ数名で持ってきた。端は折れないように補強されていた。
板がそれぞれの鞴に取り付けられると、エミリオとカペラが右側の鞴のそれぞれの端へ軽やかに飛び上がって動きの確認をする。
「カペラちゃん、行くわよ」
「こっちもよ!」
「遊び道具じゃねぇぞ」
はしゃぐ二人にシェダルが注意して皆が笑う。
「ボクもやる!」
話を聞きつけたアルカが駆け寄り、ロニが「はじめるぞ」と声をかけて改めてテスト操業を行った。
炭焼きには時間がかかり、ここから数人体制で火の守りをつける。
窯の天井や壁に燃焼によって起こるひび割れが生じた場合の修繕を兼ねていた。
天秤鞴も出来上がり、後は炉を作り、鞴と炉を接続させる仕事が残っている。
「そういえば、砂鉄は?」
思い出したように弥栄が尋ねると、それはもう用意してあるとカペラが言った。
「こっちの製鉄も砂鉄メインでやってるし、三吉さんの確認も終わっているわ。今回は炭作りが間に合ってないから、ハンターの皆に鞴を踏んでもらうまでは行かなかったけど」
「それは致し方ない。完成品の刀、心待ちにしてます」
「待っててね!」
弥栄の期待にカペラが笑顔で頷く。
工程表と結果報告書を確認していたロニとシェダルと三吉は思ったより早く終わりそうでほっとしている。
「いい仕事をしてるべ」
「後は運転してどれだけの成果が上げられるか」
「その時はその時」
心配をするロニにシェダルが返す。
必要な炭の量が期間内には出来上がらないので、今回はこれで終了と皆が確認しあう。
炉と鞴の接続も終わり、炭の焼成後の精煉へと入っていた。
窯口を徐々に開けて空気を送ることで樹皮を燃やして白熱状態にさせる工程がある。
「あと二日ぐらいだべか」
三吉が言えば、アルカは待ちきれない様子。
「ならば、また木材を運んで参りましょう」
弥栄が言えば、アルカが頷く。
「じゃぁ、アタシも……」
「エミリオは待ってて」
アルカと一緒に行こうとしたエミリオだが、アルカのストップが入る。
「帰ってきたとき、晩御飯の時間だよ。ボク、エミリオのごはんが好きだから」
「あ、そうね……」
弥栄とイオタを連れてアルカは元気よく行った。
察しのいい連中はエミリオに同情するしかない。
二日後、無事に炭が仕上がり、皆で少しずつ取り出していく。
暑さというよりかは息苦しさ。皆は鼻と口を布で覆っている。
「金属で切ると……よっ」
取り出した木炭を三吉が鉈で叩いてカットする。
「光沢が出るのだな」
三吉が見せた切り口には見事な光沢が出ており、ロニが感心していた。
消火をして釜の中を清掃して再び釜へ木材を入れる。
炉は出来上がっており、後は原料待ちという状態。
「早く良い仕事で完成したのは皆のおかげ。今日はたくさん食べて飲んでね!」
カペラが言えば、全員が大喜びだ。
エミリオの指示のもと、皆で肉を焼いて酒を浴びるように飲む。
今日の主役は頑張ってくれたハンター達。
二回目の炭の火の番はシェダルとフォニケが交代でやってくれることになった。
「こちらでしたか」
弥栄が籠に食べ物を入れて炭窯のところへ行けば、見慣れない顔があった。
蜂蜜のような金色の髪の優男がフォニケとシェダルと共にいた。服装は士官服なので、帝国の者と思われる。
「いいの? 抜け出して」
「差し入れを」
弥栄が差し出した籠に焼いた肉があってフォニケが狂喜する。
「俺はアルフェッカ。ヨアキム殿の代理で工房の管理をする者だ。君達の働きは他の皆から聞いている。君は東方出身でもあるからパイプ役のようでとても助かったよ」
「東方を知ってもらい、親しんでほしい故で御座います」
アルフェッカが言えば、弥栄は笑む。
「シェダル殿、酒が抜ければ、ロニ殿も見張りを手伝うと仰って御座います」
「おう」
パンを飲み込んで、シェダルが頷く。
「刀、楽しみ」
フォニケが顔を上げると、細い三日月が輝いていた。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/22 19:25:27 |
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相談卓 弥栄(ka4950) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/09/23 00:20:32 |