ゲスト
(ka0000)
【東征】隠の吹上/死地三刀
マスター:剣崎宗二

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 7日
- 締切
- 2015/10/02 09:00
- 完成日
- 2015/10/08 20:19
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
九本の刀に囲まれた、その中央にて。
――男は、鎮座していた。
見えぬその目を閉じ、彼は静かに、頭を垂れた。
「――油断と慢心が、御座いましたか」
主たる九尾の歪虚は、既に死した。主なら敗北する事は無かろうと、油断し、ハンターたちを通してしまった。
あの時死力を尽くし、相打ちを狙いハンターたちを滅していたのならば。
刀の全損を覚悟で、ハンターたちの狙いに乗り――『刀気開放』をしていれば。
主の戦場に馳せ参じ、全ての刀の力を解放していれば。
――或いは、主の戦況に一石投じられたかも知れない。
●刀散~無数たる者~
「あら」「あらぁ」「吹上じゃん」「吹上じゃん」
まるで、ロボットが歩いてくるが如く、そんな感覚。
視覚が存在しない男には、そう感じた。
「何用でしょうか?」
穏やかに、表情一つ変えずに、吹上九弦は――歩み寄る者に問いかけた。
「ちょっと遠出しようと」「しようと」「思うんだ」「思うんだ」
ニコニコ笑って、目の前の者は歩み寄る。けれども剣の円の中には入ろうとはしない。戦いに来たのではないから。
「護身用の武器でしょうか。――良いでしょう」
頷く九弦。
「じゃあ」「じゃあ」「遠慮なく」「遠慮なくぅ」「いただくよ」
『うーん、どれがいいかな』との声と共に、拾い上げるは、無数のヒビが入った刀と、異様に背が反った奇妙な曲刀。
「『散解』『虚月』――良いでしょう。どうせ今の私には用の無い物です」
「やった!」「やった」
本来なら、彼、彼女もまた九尾の敗北の一端を担っている。それは憎むべき対象であるべきだろうが。自らの心にも悔いがある九弦が、その事に気づく事は無く。
●刀散~書き作る者~
「おやまぁ、これまた……」
白面の、燕尾服の男は、杖で地を突く。
「どうせ用のない物です。必要なら持ち去ってください。さもなくば…この場を離れるべきです」
「いえいえ、寧ろ私が興味があるのは、貴方ですが」
杖が一直線に指すのは、九弦本人。
「悔恨、思念、憎悪…面白い脚本が書けそうです」
「もう一度言いましょう。用が無いのでしたら、去ってください」
周りの刀剣が、ガチャガチャと騒ぎ出す。
「おお。怖い。――では、本題を済ませて、帰らせていただきましょう」
拾い上げたのは、二本の刀。
「『龍鳴』『心神』。――まぁ、良いでしょう」
●刀散~友に縛られし者~
刀は既に、残るは半分ほど。
やってきたのは、白衣をだらしなく着こなしていた、不精髭の男。
「――考え直せないのか。九弦。せめておっさんが助力を――」
「貴方の方が、良くご存知でしょう。――譲れぬ物の意味を」
「憎むべきは人の方。その怒りは――」
「人の怒りはそれぞれです。そして私は…自分を、赦せません。あの局面で、彼らを軽視した私自身が」
「――そうか。それならば、最早止めはしない」
深く溜息をつき、白衣の男――アレクサンドルは、振り向いた。
「だが、せめて…見届けさせてもらうとしよう。九弦、お前の戦いを」
「――左の二本、お譲り致します」
「いいのか?」
「どうせ、死者には用のない物です。…ならば、友の為に役立てるべきでしょう」
「――感謝する」
拾い上げたのは、二本の刀。『天問』『破刃』。
●望まれた強襲
数日後、ハンターオフィスに依頼が届く事となる。
出現した堕落者――御庭番衆の生き残り、『九刀冥奏』吹上九弦の討伐の依頼が。
目撃場所の付近に集落もある事から、その危険性を考慮した軍による、緊急性の高い依頼だ。
「さぁ……私に。死に場所を」
正座の構えを取ったまま。周囲に三本の奇怪な刀を浮かべる。
炎が如き赤き刀身を持つ物。
中央が分かれ、音叉の如き刃を持つ物。
そして、木の枝が如き不規則な刃を持つ物。
それらは、九弦を中心に、ゆっくりと回転を始めた。
――男は、鎮座していた。
見えぬその目を閉じ、彼は静かに、頭を垂れた。
「――油断と慢心が、御座いましたか」
主たる九尾の歪虚は、既に死した。主なら敗北する事は無かろうと、油断し、ハンターたちを通してしまった。
あの時死力を尽くし、相打ちを狙いハンターたちを滅していたのならば。
刀の全損を覚悟で、ハンターたちの狙いに乗り――『刀気開放』をしていれば。
主の戦場に馳せ参じ、全ての刀の力を解放していれば。
――或いは、主の戦況に一石投じられたかも知れない。
●刀散~無数たる者~
「あら」「あらぁ」「吹上じゃん」「吹上じゃん」
まるで、ロボットが歩いてくるが如く、そんな感覚。
視覚が存在しない男には、そう感じた。
「何用でしょうか?」
穏やかに、表情一つ変えずに、吹上九弦は――歩み寄る者に問いかけた。
「ちょっと遠出しようと」「しようと」「思うんだ」「思うんだ」
ニコニコ笑って、目の前の者は歩み寄る。けれども剣の円の中には入ろうとはしない。戦いに来たのではないから。
「護身用の武器でしょうか。――良いでしょう」
頷く九弦。
「じゃあ」「じゃあ」「遠慮なく」「遠慮なくぅ」「いただくよ」
『うーん、どれがいいかな』との声と共に、拾い上げるは、無数のヒビが入った刀と、異様に背が反った奇妙な曲刀。
「『散解』『虚月』――良いでしょう。どうせ今の私には用の無い物です」
「やった!」「やった」
本来なら、彼、彼女もまた九尾の敗北の一端を担っている。それは憎むべき対象であるべきだろうが。自らの心にも悔いがある九弦が、その事に気づく事は無く。
●刀散~書き作る者~
「おやまぁ、これまた……」
白面の、燕尾服の男は、杖で地を突く。
「どうせ用のない物です。必要なら持ち去ってください。さもなくば…この場を離れるべきです」
「いえいえ、寧ろ私が興味があるのは、貴方ですが」
杖が一直線に指すのは、九弦本人。
「悔恨、思念、憎悪…面白い脚本が書けそうです」
「もう一度言いましょう。用が無いのでしたら、去ってください」
周りの刀剣が、ガチャガチャと騒ぎ出す。
「おお。怖い。――では、本題を済ませて、帰らせていただきましょう」
拾い上げたのは、二本の刀。
「『龍鳴』『心神』。――まぁ、良いでしょう」
●刀散~友に縛られし者~
刀は既に、残るは半分ほど。
やってきたのは、白衣をだらしなく着こなしていた、不精髭の男。
「――考え直せないのか。九弦。せめておっさんが助力を――」
「貴方の方が、良くご存知でしょう。――譲れぬ物の意味を」
「憎むべきは人の方。その怒りは――」
「人の怒りはそれぞれです。そして私は…自分を、赦せません。あの局面で、彼らを軽視した私自身が」
「――そうか。それならば、最早止めはしない」
深く溜息をつき、白衣の男――アレクサンドルは、振り向いた。
「だが、せめて…見届けさせてもらうとしよう。九弦、お前の戦いを」
「――左の二本、お譲り致します」
「いいのか?」
「どうせ、死者には用のない物です。…ならば、友の為に役立てるべきでしょう」
「――感謝する」
拾い上げたのは、二本の刀。『天問』『破刃』。
●望まれた強襲
数日後、ハンターオフィスに依頼が届く事となる。
出現した堕落者――御庭番衆の生き残り、『九刀冥奏』吹上九弦の討伐の依頼が。
目撃場所の付近に集落もある事から、その危険性を考慮した軍による、緊急性の高い依頼だ。
「さぁ……私に。死に場所を」
正座の構えを取ったまま。周囲に三本の奇怪な刀を浮かべる。
炎が如き赤き刀身を持つ物。
中央が分かれ、音叉の如き刃を持つ物。
そして、木の枝が如き不規則な刃を持つ物。
それらは、九弦を中心に、ゆっくりと回転を始めた。
リプレイ本文
●死出の道
「死に場所を求めて来た、と言う訳ですか…それなら、自害でもすれば良さそうな物ですが」
「勘違いしないでください。…確かに私は自身が赦せません。…しかしそれは…主を討った貴方たちに対してもまた、同じ事です」
軽く溜息をついたマッシュ・アクラシス(ka0771)に、感情のない平坦な声で、九弦は答える。
「そうか…それならいいぜ」
獰猛な笑みを浮かべ、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)が、振動刀を抜き放つ。
――若しも、本当に九弦が『己を殺してもらう』だけに出てきたのならば、全力で罵倒した筈だ。『本気で、人間を殺すつもりで来い』なり『憎悪をぶつけてみろ』なりと。
だが、既に相手にその心構えあらば、言葉は不要。後は全力でその憤怒を受け止め――そして、叩き潰すのみ。
「――見せるまでも無いと言われればそれまでだが…『九刀冥奏』、その神髄を見せてもらえないのか?」
「貴方たちに三刀で勝てなければ――私はそれまでであった、と言う事です。故に三刀でお相手いたします。…それとも、三刀では力不足だとお思いですか?」
膨れ上がったその殺気に、真剣な面持ちでヴァイス(ka0364)もまた武器である長槍を構える。
「そうか、そいつは失礼した。――なら、こちらも手加減はしない。全力で…お相手しよう!!」
●Rush n Beat
先陣を切ったのは、ジャック、そしてヴァイス。共に、上段からの一撃。
「――上からの攻撃は確かに威力を高めるには最適です。故に――避けやすいですけれどもね」
体を屈め、正座の体勢のまま、地を滑るように。全身のバネを乗せた上段からの強烈な一撃がその身を叩き割るよりも先に、九弦はヴァイスの懐へと滑り込む。
その刀は、一条の焔と化し、直接ヴァイスの心臓を狙うが――
「…へぇ、意外と速いんですね」
後詰めとして、一歩遅れて出たマッシュが、盾で体当たりするように、その突きを受け止める。
華奢な見た目とは裏腹に九弦の一撃もまた重かったが、マッシュの腕力とて負けてはいない。故に拮抗状態となる。直後、九弦が振るう逆手の刀は、然しクローディオ・シャール(ka0030)の盾に受け止められる。
「…通してもらおうか」
そのまま、盾を持つ手に、全身の力を込め――一気に押し込む!
「むぅっ!?」
クローディオの一押しが僅かに九弦の体勢を崩し、隙を作る。そこを狙って、盾の裏からサーベルを抜刀。マッシュの一閃が、九弦の肩口を掠める。浅かったのには理由がある。正座の状態戦う九弦は重心が低く安定しており、クローディオの一撃は彼を押し返すのみで完全に転倒させるには至らなかったのだ。故に、即座に建て直され、距離を離される。
「ーー~ー~~~~ー♪」
神秘的な歌声と共に、魔力が集結する。
集めた魔力で空気を揺らし、風の刃と化し。メトロノーム・ソングライト(ka1267)は、その風を九弦に向かって、一気に解き放つ!
「む…!」
風切り音を敏感に察し、即座に『焔界』を手放し、空中にある『分水』に手を伸ばす。そしてその手に掴んだ刀で、風の刃を一閃、両断する!
「――やはりか」
「予想通りだぜ」
お互い顔を見合わせ、頷くヴァイスとジャック。
チュイン。
放たれた弾が付近の石に弾かれ、九弦の方へと向かっていく。
「っ……」
背を反らして回避するが、それでも弾は頬を掠めていた。
「そう簡単には予測できませんよね?」
狙撃を放ったのは、アメリア・フォーサイス(ka4111)。
続けざまに、放たれるアメリアの弾丸とメトロノームの風刃のコンビネーション。
風刃を『分水』で断ち切り、不規則な動きを描く弾丸を――
「確かに正確な位置を判断するのは難しいでしょう。ですが――」
『命樹』を地面に突き立てる。即座に、蔦が生え茂り、壁となってその方向から飛来した弾丸を受け止める。
――点を防ぐのが困難ならば、面を丸ごと防いでしまえば良いのだ。
「なら!」
正面からの銃撃。然し、銃のトリガーを引いた瞬間、既に『命樹』が地に突き立てられており、生えた蔦が、弾道を全て覆い尽くす。
「銃口がどちらを向いているかさえ分かれば、何をするかは分かりますよ」
――九弦に視覚はない。だが、刀から放たれる音波が、その代わりを果たしている。故に、銃口の向き程度は探知できる。
アメリアの跳弾は、そんな彼に防御させ、予測能力を疲弊させる狙いもあったのだが――九弦にはそれに付き合う義理はない。簡単な方法で『面』を塞ぎ、防いでしまえばいいのだ。
メトロノームの歌と共に、放たれる次の風刃。それを再度、九弦は『分水』で断つ。
だが、今回は、少しばかり状況が違った。――風の刃が断ち切られた瞬間、ヴァイスとジャックが、九弦に肉薄していたのだ。
「だァァァりゃァァ!」
突進の勢いを乗せた、全力での叩きつけ。二人によって同時に行われたそれの狙いは、九弦ではなく、彼の持つ、その刀。
「砕けやがれぇぇぇ!」
更に一層、ジャックが刀に力を込めると――終に、『分水』に、ヒビが入り始める!
「なら…こうだ!」
更に、抜き放った振動刀をヴァイスが叩きつけると、刀は粉々に砕け散る!
――その瞬間、九弦の顔に浮かんだ表情は、焦りではなく、笑み。
己の仕掛けが上手く行ったと確信したような、そんな笑み。
●Soul of a Blade
「刀気開放――分水・封冥――!」
刀の破片が、一斉に更に砕け散る。それは、周囲の空気を、異様な物に変えた。
「なんだ……?」
警戒し、盾を構えるクローディオ。だが、その異様な空気は、ハンターたちの体に何かしら影響を及ぼした様子はない。
「次はてめぇだ!」
バックステップし、突進と共に再度接近するジャック。振りかぶる刀を、浮いていた『焔界』を掴んだ九弦が、刀を交差させ正面から受け止める。
「掛かったなぁ!」
剣の先から、放たれる衝撃波。それは刀の防御を貫き、九弦の体を正面から切る。
「そちらも同じですけれどもね…!」
同時に、『焔界』の刀身からも爆焔が沸き上がり、衝撃と共にジャックの体を焼いた。
痛み分けの一合。ジャックの傷を癒そうと、魔力を練り、癒しの魔力を放つクローディオだが――
「なんだ――!?」
癒しの光は放たれず。まるで何かに吸われるかの様に、霧散する。
その隙に更に刀を構え接近する九弦に、密かに集中して練りこんだ魔力を、雷光として放ち迎撃しようとするメトロノーム。
「っ!?」
だが、彼女もまた、魔術が発動しない事に驚愕する。
「――そういう事、ですか」
状況をいち早く理解していたのは、マッシュであった。
「想定よりもずっと――凶悪ですね」
刀気開放。――それは、刀が砕かれる時に周囲に放出される、刀に込められていた魔力を爆発させる事によって、その刀の持っていた能力を一時的に極大、広域化させる、所謂九弦の持つ刀の『断末魔』とも言える秘儀。
刀が半壊し、その術のコアとして残っていれば、其れを破壊すればよいとマッシュは思っていた。だが、現実は――刀は粉砕され、その場に残るは刀に篭った魔力のみ。故に破壊する物はなく、発動後に阻止する事は不可能。
「前回貴方たちと相対する時に使う覚悟が、私はありませんでした。『焔界』を砕けば、貴方たちを退ける事は難しくはありませんでした。……刀が惜しかったが為に、私は主様の死を招きました。ですが――!」
迅速に、両刀を構えたまま、ジャックへ接近する九弦。
「させん…!」
盾でその行く道を阻むクローディオ。
「邪魔ですよ」
『命樹』を地面に突き刺すと、クローディオの足元から巨大な木が生え、その勢いが彼を空中に突き飛ばす。咄嗟に盾を地面に向けたが故に、串刺しにされる事は避けたが――大きく、九弦からは引き離される事となった。
即座に反対の手にある『焼界』を振るう。炎の波が、一斉にハンターたちの方へと押し寄せる。
盾を構えた突進。強硬に炎の海を突破し、マッシュが九弦を狙う。だが、体当たりは誰も居ない空間をすり抜ける。
――九弦もまた、マッシュと同じ事を考えていた。炎の壁を目潰しとして使い、彼が近づいていたのは――火炎の力を持つ盾で炎を防いだ、ジャック。
炎は防げた。傷はほぼ負っていない。だが、続く九弦の双刀による強襲が、ジャックの首を狙う。
「が…っ、てめぇ」
両刀が、彼の首を鋏のように挟みこむ。断頭を免れるべく、振動刀で頭部を猛打する。然し、既に命を捨てる覚悟にある九弦が、その刀を緩める事はない。
「離れろ――!」
落下から体勢を立て直したクローディオが、猛然とタックルを仕掛ける。盾を使った其れにも、然し九弦は動じない。更にマッシュが同じようにタックルして初めて、彼とジャックの距離は離される。
「そこっ!」
追撃として放たれる三発の弾丸。アメリアが射出したそれらは、真ん中の一発を除いて跳弾し、それぞれ違う方向から九弦へと向かう。
「燃え尽きなさい…!」
振るう刃に焔を纏う。広がる炎の壁が、弾丸を飲み込むと共に前衛のハンターたちを狙う。
アメリアの弾丸を無理に、精密に迎撃する必要は無い。広範囲の防御を張れば良いだけの事。
咄嗟に前衛の3名は、後衛の者たちを守る為盾を広げる。だが――
「くそが――ッ――」
倒れたのは、ジャック。
既に先程の押し合いで余りにもその体が傷ついていた。幾ら使用する盾が耐火の魔力を秘めていたとは言え、首の傷からその熱が体内に入れば――唯ではすまないのだ。
「…覚えているかはどうでもいいですが、どこぞかで落とされた間の抜けた方の御礼参りでして」
炎の壁を割るが如く、盾を前にして、マッシュが突進する。
タックルで今度こそ、完全に九弦の体勢を崩した。
「っ…!」
杖のように『命樹』を地面に突き刺す。蔦がマッシュを捉えると共に、炎を纏った刃がその腹部を一突き。燃え上がる蔦が彼の体を蝕む。然し、その蔦を飛び越えるように、ヴァイスが上段に振動刀を構えていた。
――よく見れば、彼の槍は、マッシュを捕らえた蔦に突き刺さっている。マッシュを狙った蔦に進路を阻まれたが、それに槍を突き立て棒高跳びのように空中に舞い上がり、槍を手放し刀に武器を切り替えたのだ。
「一人で全員を相手に、良くもここまで…!」
僅かな感嘆と尊敬はあるも、目の前の者は飽くまでも倒すべき『敵』。
全体重を乗せ、上段から落下の勢いそのままに、ヴァイスが九弦を一閃する!
「っ――ぐっ…!!!」
噴出する、夥しい量の返り血が、ヴァイスの全身を紅に染める。それは、如何に九弦が死に近づいていたかを示していた。
「まだ…まだです…!!」
だが、それだけの傷を受けながらも、九弦は尚も、刀を握り締める。即座に横にヴァイスが薙ぎ払う刀を、燃える刀が受け止める。
既に踏ん張る事すらままならず、吹き飛ばされる九弦。その場で地面に突き立てられる『命樹』。それは根となり、巨大な木槌が如き切り株を、ヴァイスの後方に生み出す。
「うぉっ!?」
成長するそれに突き飛ばされるように、ヴァイスが僅かに前につんのめり、体勢を崩す。そしてその隙を逃す程、九弦も優しくはない。構えた『焼界』が、そのまま木槌と挟みこむ様に、ヴァイスの体を横一文字に切り裂いた。
●幻の終わり
――分水の破壊により作られた封魔の結界により、メトロノームは歯がゆい思いを強制されていた。
仲間たちが傷つき、苦戦しているのに、自身には何も出来ない。それが如何に苦しい事か。
「――壊れなさい!」
渾身の魔力を注ぎ込んだ、風の魔法。
先程の状況がまるで嘘であるかのように、風の刃が、急速に形成されていく。
――『分水』の刀気開放の効果が、終に切れたのだ。
「解放します!」
その風の刃を、メトロノームは先ず仲間の救助に向けた。蔦が切り裂かれ、マッシュが解放される。
即座に同じく魔術が使用可能になったクローディオのヒールが、多大なる熱傷を受けた彼を回復させる。
そのマッシュにトドメを刺すべく、アメリアの連射を掻い潜りながらマッシュに正座のまま接近する九弦。だが、ヴァイスの一撃は既に彼に深手を負わせており、その動きは精彩を欠く。
「やらせん」
『焔界』の一撃は軽々と間に入ったクローディオに防がれ、続く雷光が、メトロノームの指から放たれ、今度こそ九弦を貫通する。
「――少し意趣を変えてみました、どうでしょうか?」
アメリアの声と共に放たれる、高速の一撃。
今までにない、九弦の反応を超える速度で弾丸が飛来し――その体を貫いた。
「――ああ…私の…負け、のようですね……」
刀を両方とも地に突き刺し、辛うじて体を支える九弦。
「これが……油断で、主を死なせた者の末路……でしょう」
その表情は、然しどこか満足げで。
「――後は任せましたよ、友よ――」
その言葉と共に、最後に残った二本の刀を鞘にしまい、空中に投げ上げると共に、彼は倒れる。
――かくしてここに。堕落者、『九刀冥奏』吹上 九弦の討伐は――成ったのである。
「しかと承った、九弦」
ハンターたちが、その刀に向かうよりも先に。空中でアレクサンドルが、投げられた二本の刀――『命樹』『焔界』を受け止める。抜刀と共に、炎の壁を自分や九弦とハンターたちの間に作り出す。
「こちらとしても、いまここで戦うつもりはない」
確かな戦意を持って睨みつけてきたクローディオの視線を、アレクサンドルは受け流した。
「だが……友はしかと葬ってやらねばな」
「中々殊勝ですね」
アメリアの言葉に、苦笑いするアレクサンドル。
「――刀気開放。命樹・森来」
鋼鉄の拳に刀を叩きつけ砕くと、周囲から一斉に木々が生えていく。瞬く間に周囲は小さな林となり、九弦の体のあった場所を覆い隠した。
その真中に、『焔界』を突き立て、アレクサンドルは跳び上がり、林から出る。
「我が友の墓場を荒らすならば――相応の代償を覚悟する事だ」
その際、コートの間から僅かに見える二本の刀――『天問』『破刀』の形状を、メトロノームは記憶する。何れこの情報も、役に立つかもしれない――そう思って。
――かくして、吹上九弦は、ハンターたちの手によって葬られた。
だが、その際に散らばった、彼が所有する数々の刀が、更なる災厄を呼ぶ事は――この時はまだ、誰も知る由がなかったのである。
「死に場所を求めて来た、と言う訳ですか…それなら、自害でもすれば良さそうな物ですが」
「勘違いしないでください。…確かに私は自身が赦せません。…しかしそれは…主を討った貴方たちに対してもまた、同じ事です」
軽く溜息をついたマッシュ・アクラシス(ka0771)に、感情のない平坦な声で、九弦は答える。
「そうか…それならいいぜ」
獰猛な笑みを浮かべ、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)が、振動刀を抜き放つ。
――若しも、本当に九弦が『己を殺してもらう』だけに出てきたのならば、全力で罵倒した筈だ。『本気で、人間を殺すつもりで来い』なり『憎悪をぶつけてみろ』なりと。
だが、既に相手にその心構えあらば、言葉は不要。後は全力でその憤怒を受け止め――そして、叩き潰すのみ。
「――見せるまでも無いと言われればそれまでだが…『九刀冥奏』、その神髄を見せてもらえないのか?」
「貴方たちに三刀で勝てなければ――私はそれまでであった、と言う事です。故に三刀でお相手いたします。…それとも、三刀では力不足だとお思いですか?」
膨れ上がったその殺気に、真剣な面持ちでヴァイス(ka0364)もまた武器である長槍を構える。
「そうか、そいつは失礼した。――なら、こちらも手加減はしない。全力で…お相手しよう!!」
●Rush n Beat
先陣を切ったのは、ジャック、そしてヴァイス。共に、上段からの一撃。
「――上からの攻撃は確かに威力を高めるには最適です。故に――避けやすいですけれどもね」
体を屈め、正座の体勢のまま、地を滑るように。全身のバネを乗せた上段からの強烈な一撃がその身を叩き割るよりも先に、九弦はヴァイスの懐へと滑り込む。
その刀は、一条の焔と化し、直接ヴァイスの心臓を狙うが――
「…へぇ、意外と速いんですね」
後詰めとして、一歩遅れて出たマッシュが、盾で体当たりするように、その突きを受け止める。
華奢な見た目とは裏腹に九弦の一撃もまた重かったが、マッシュの腕力とて負けてはいない。故に拮抗状態となる。直後、九弦が振るう逆手の刀は、然しクローディオ・シャール(ka0030)の盾に受け止められる。
「…通してもらおうか」
そのまま、盾を持つ手に、全身の力を込め――一気に押し込む!
「むぅっ!?」
クローディオの一押しが僅かに九弦の体勢を崩し、隙を作る。そこを狙って、盾の裏からサーベルを抜刀。マッシュの一閃が、九弦の肩口を掠める。浅かったのには理由がある。正座の状態戦う九弦は重心が低く安定しており、クローディオの一撃は彼を押し返すのみで完全に転倒させるには至らなかったのだ。故に、即座に建て直され、距離を離される。
「ーー~ー~~~~ー♪」
神秘的な歌声と共に、魔力が集結する。
集めた魔力で空気を揺らし、風の刃と化し。メトロノーム・ソングライト(ka1267)は、その風を九弦に向かって、一気に解き放つ!
「む…!」
風切り音を敏感に察し、即座に『焔界』を手放し、空中にある『分水』に手を伸ばす。そしてその手に掴んだ刀で、風の刃を一閃、両断する!
「――やはりか」
「予想通りだぜ」
お互い顔を見合わせ、頷くヴァイスとジャック。
チュイン。
放たれた弾が付近の石に弾かれ、九弦の方へと向かっていく。
「っ……」
背を反らして回避するが、それでも弾は頬を掠めていた。
「そう簡単には予測できませんよね?」
狙撃を放ったのは、アメリア・フォーサイス(ka4111)。
続けざまに、放たれるアメリアの弾丸とメトロノームの風刃のコンビネーション。
風刃を『分水』で断ち切り、不規則な動きを描く弾丸を――
「確かに正確な位置を判断するのは難しいでしょう。ですが――」
『命樹』を地面に突き立てる。即座に、蔦が生え茂り、壁となってその方向から飛来した弾丸を受け止める。
――点を防ぐのが困難ならば、面を丸ごと防いでしまえば良いのだ。
「なら!」
正面からの銃撃。然し、銃のトリガーを引いた瞬間、既に『命樹』が地に突き立てられており、生えた蔦が、弾道を全て覆い尽くす。
「銃口がどちらを向いているかさえ分かれば、何をするかは分かりますよ」
――九弦に視覚はない。だが、刀から放たれる音波が、その代わりを果たしている。故に、銃口の向き程度は探知できる。
アメリアの跳弾は、そんな彼に防御させ、予測能力を疲弊させる狙いもあったのだが――九弦にはそれに付き合う義理はない。簡単な方法で『面』を塞ぎ、防いでしまえばいいのだ。
メトロノームの歌と共に、放たれる次の風刃。それを再度、九弦は『分水』で断つ。
だが、今回は、少しばかり状況が違った。――風の刃が断ち切られた瞬間、ヴァイスとジャックが、九弦に肉薄していたのだ。
「だァァァりゃァァ!」
突進の勢いを乗せた、全力での叩きつけ。二人によって同時に行われたそれの狙いは、九弦ではなく、彼の持つ、その刀。
「砕けやがれぇぇぇ!」
更に一層、ジャックが刀に力を込めると――終に、『分水』に、ヒビが入り始める!
「なら…こうだ!」
更に、抜き放った振動刀をヴァイスが叩きつけると、刀は粉々に砕け散る!
――その瞬間、九弦の顔に浮かんだ表情は、焦りではなく、笑み。
己の仕掛けが上手く行ったと確信したような、そんな笑み。
●Soul of a Blade
「刀気開放――分水・封冥――!」
刀の破片が、一斉に更に砕け散る。それは、周囲の空気を、異様な物に変えた。
「なんだ……?」
警戒し、盾を構えるクローディオ。だが、その異様な空気は、ハンターたちの体に何かしら影響を及ぼした様子はない。
「次はてめぇだ!」
バックステップし、突進と共に再度接近するジャック。振りかぶる刀を、浮いていた『焔界』を掴んだ九弦が、刀を交差させ正面から受け止める。
「掛かったなぁ!」
剣の先から、放たれる衝撃波。それは刀の防御を貫き、九弦の体を正面から切る。
「そちらも同じですけれどもね…!」
同時に、『焔界』の刀身からも爆焔が沸き上がり、衝撃と共にジャックの体を焼いた。
痛み分けの一合。ジャックの傷を癒そうと、魔力を練り、癒しの魔力を放つクローディオだが――
「なんだ――!?」
癒しの光は放たれず。まるで何かに吸われるかの様に、霧散する。
その隙に更に刀を構え接近する九弦に、密かに集中して練りこんだ魔力を、雷光として放ち迎撃しようとするメトロノーム。
「っ!?」
だが、彼女もまた、魔術が発動しない事に驚愕する。
「――そういう事、ですか」
状況をいち早く理解していたのは、マッシュであった。
「想定よりもずっと――凶悪ですね」
刀気開放。――それは、刀が砕かれる時に周囲に放出される、刀に込められていた魔力を爆発させる事によって、その刀の持っていた能力を一時的に極大、広域化させる、所謂九弦の持つ刀の『断末魔』とも言える秘儀。
刀が半壊し、その術のコアとして残っていれば、其れを破壊すればよいとマッシュは思っていた。だが、現実は――刀は粉砕され、その場に残るは刀に篭った魔力のみ。故に破壊する物はなく、発動後に阻止する事は不可能。
「前回貴方たちと相対する時に使う覚悟が、私はありませんでした。『焔界』を砕けば、貴方たちを退ける事は難しくはありませんでした。……刀が惜しかったが為に、私は主様の死を招きました。ですが――!」
迅速に、両刀を構えたまま、ジャックへ接近する九弦。
「させん…!」
盾でその行く道を阻むクローディオ。
「邪魔ですよ」
『命樹』を地面に突き刺すと、クローディオの足元から巨大な木が生え、その勢いが彼を空中に突き飛ばす。咄嗟に盾を地面に向けたが故に、串刺しにされる事は避けたが――大きく、九弦からは引き離される事となった。
即座に反対の手にある『焼界』を振るう。炎の波が、一斉にハンターたちの方へと押し寄せる。
盾を構えた突進。強硬に炎の海を突破し、マッシュが九弦を狙う。だが、体当たりは誰も居ない空間をすり抜ける。
――九弦もまた、マッシュと同じ事を考えていた。炎の壁を目潰しとして使い、彼が近づいていたのは――火炎の力を持つ盾で炎を防いだ、ジャック。
炎は防げた。傷はほぼ負っていない。だが、続く九弦の双刀による強襲が、ジャックの首を狙う。
「が…っ、てめぇ」
両刀が、彼の首を鋏のように挟みこむ。断頭を免れるべく、振動刀で頭部を猛打する。然し、既に命を捨てる覚悟にある九弦が、その刀を緩める事はない。
「離れろ――!」
落下から体勢を立て直したクローディオが、猛然とタックルを仕掛ける。盾を使った其れにも、然し九弦は動じない。更にマッシュが同じようにタックルして初めて、彼とジャックの距離は離される。
「そこっ!」
追撃として放たれる三発の弾丸。アメリアが射出したそれらは、真ん中の一発を除いて跳弾し、それぞれ違う方向から九弦へと向かう。
「燃え尽きなさい…!」
振るう刃に焔を纏う。広がる炎の壁が、弾丸を飲み込むと共に前衛のハンターたちを狙う。
アメリアの弾丸を無理に、精密に迎撃する必要は無い。広範囲の防御を張れば良いだけの事。
咄嗟に前衛の3名は、後衛の者たちを守る為盾を広げる。だが――
「くそが――ッ――」
倒れたのは、ジャック。
既に先程の押し合いで余りにもその体が傷ついていた。幾ら使用する盾が耐火の魔力を秘めていたとは言え、首の傷からその熱が体内に入れば――唯ではすまないのだ。
「…覚えているかはどうでもいいですが、どこぞかで落とされた間の抜けた方の御礼参りでして」
炎の壁を割るが如く、盾を前にして、マッシュが突進する。
タックルで今度こそ、完全に九弦の体勢を崩した。
「っ…!」
杖のように『命樹』を地面に突き刺す。蔦がマッシュを捉えると共に、炎を纏った刃がその腹部を一突き。燃え上がる蔦が彼の体を蝕む。然し、その蔦を飛び越えるように、ヴァイスが上段に振動刀を構えていた。
――よく見れば、彼の槍は、マッシュを捕らえた蔦に突き刺さっている。マッシュを狙った蔦に進路を阻まれたが、それに槍を突き立て棒高跳びのように空中に舞い上がり、槍を手放し刀に武器を切り替えたのだ。
「一人で全員を相手に、良くもここまで…!」
僅かな感嘆と尊敬はあるも、目の前の者は飽くまでも倒すべき『敵』。
全体重を乗せ、上段から落下の勢いそのままに、ヴァイスが九弦を一閃する!
「っ――ぐっ…!!!」
噴出する、夥しい量の返り血が、ヴァイスの全身を紅に染める。それは、如何に九弦が死に近づいていたかを示していた。
「まだ…まだです…!!」
だが、それだけの傷を受けながらも、九弦は尚も、刀を握り締める。即座に横にヴァイスが薙ぎ払う刀を、燃える刀が受け止める。
既に踏ん張る事すらままならず、吹き飛ばされる九弦。その場で地面に突き立てられる『命樹』。それは根となり、巨大な木槌が如き切り株を、ヴァイスの後方に生み出す。
「うぉっ!?」
成長するそれに突き飛ばされるように、ヴァイスが僅かに前につんのめり、体勢を崩す。そしてその隙を逃す程、九弦も優しくはない。構えた『焼界』が、そのまま木槌と挟みこむ様に、ヴァイスの体を横一文字に切り裂いた。
●幻の終わり
――分水の破壊により作られた封魔の結界により、メトロノームは歯がゆい思いを強制されていた。
仲間たちが傷つき、苦戦しているのに、自身には何も出来ない。それが如何に苦しい事か。
「――壊れなさい!」
渾身の魔力を注ぎ込んだ、風の魔法。
先程の状況がまるで嘘であるかのように、風の刃が、急速に形成されていく。
――『分水』の刀気開放の効果が、終に切れたのだ。
「解放します!」
その風の刃を、メトロノームは先ず仲間の救助に向けた。蔦が切り裂かれ、マッシュが解放される。
即座に同じく魔術が使用可能になったクローディオのヒールが、多大なる熱傷を受けた彼を回復させる。
そのマッシュにトドメを刺すべく、アメリアの連射を掻い潜りながらマッシュに正座のまま接近する九弦。だが、ヴァイスの一撃は既に彼に深手を負わせており、その動きは精彩を欠く。
「やらせん」
『焔界』の一撃は軽々と間に入ったクローディオに防がれ、続く雷光が、メトロノームの指から放たれ、今度こそ九弦を貫通する。
「――少し意趣を変えてみました、どうでしょうか?」
アメリアの声と共に放たれる、高速の一撃。
今までにない、九弦の反応を超える速度で弾丸が飛来し――その体を貫いた。
「――ああ…私の…負け、のようですね……」
刀を両方とも地に突き刺し、辛うじて体を支える九弦。
「これが……油断で、主を死なせた者の末路……でしょう」
その表情は、然しどこか満足げで。
「――後は任せましたよ、友よ――」
その言葉と共に、最後に残った二本の刀を鞘にしまい、空中に投げ上げると共に、彼は倒れる。
――かくしてここに。堕落者、『九刀冥奏』吹上 九弦の討伐は――成ったのである。
「しかと承った、九弦」
ハンターたちが、その刀に向かうよりも先に。空中でアレクサンドルが、投げられた二本の刀――『命樹』『焔界』を受け止める。抜刀と共に、炎の壁を自分や九弦とハンターたちの間に作り出す。
「こちらとしても、いまここで戦うつもりはない」
確かな戦意を持って睨みつけてきたクローディオの視線を、アレクサンドルは受け流した。
「だが……友はしかと葬ってやらねばな」
「中々殊勝ですね」
アメリアの言葉に、苦笑いするアレクサンドル。
「――刀気開放。命樹・森来」
鋼鉄の拳に刀を叩きつけ砕くと、周囲から一斉に木々が生えていく。瞬く間に周囲は小さな林となり、九弦の体のあった場所を覆い隠した。
その真中に、『焔界』を突き立て、アレクサンドルは跳び上がり、林から出る。
「我が友の墓場を荒らすならば――相応の代償を覚悟する事だ」
その際、コートの間から僅かに見える二本の刀――『天問』『破刀』の形状を、メトロノームは記憶する。何れこの情報も、役に立つかもしれない――そう思って。
――かくして、吹上九弦は、ハンターたちの手によって葬られた。
だが、その際に散らばった、彼が所有する数々の刀が、更なる災厄を呼ぶ事は――この時はまだ、誰も知る由がなかったのである。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/10/02 00:25:04 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/26 01:45:58 |