ゲスト
(ka0000)
街角メルヘン~占い小路夜話
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/10/06 22:00
- 完成日
- 2015/10/15 02:43
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●大工のおじいさん宅で
ここは同盟領の都市ヴァリオスの、住宅街の外れ。
とある大工のおじいさん宅の庭先でのことです。
「おじいさん、お茶にしましょう」
パルムハウスの簡素化及び量産化に没頭しているおじいさんに、ポットを運ぶおばあさんが声を掛けます。
「初華さんも、どうぞ」
おや。
ハンターでPクレープ店員の南那初華(kz0135)も今日はここにいるようです。
「ん。初華、一休みしよう」
「うんっ」
声を掛け合う二人。午後のお茶会です。
「パルムハウス、売り物にできそうですか?」
迎えて紅茶を淹れるおばあさんが聞きます。
「うむ。塗装は気に入らんかったのでしばらく放っておいたが、初華のおかげでやる気になった」
「木目の良さとか木の温もりとかは失われちゃうけど、それはパルムにとっては逆に珍しくないのかも。それに、節の残った二級品が使えて安価になるもんね」
老夫婦の会話を聞いて、にっこり笑顔の初華。
「家具ならそんなことはできんが、おもちゃと割り切ればの」
前回パルムハウスをハンター仲間と試作したときの最後のアイデアは、パルムに受けが良かったものの職人としてはやや気が進まなかったようです。で、そんな気分だからそのままだったのですが、初華が仲間の真意を説明したことで誤解も解けたようです。
「それはともかく、また初華さんの作った『お好み焼き』を食べてみたいわ」
「そうじゃの。お前さんがここに遊びに来るようになってから珍しいことばかり」
老夫婦に褒められて照れてしまう初華。どうやらこちらの世界で手に入る材料で「お好み焼き」を焼いてあげたことがあるようです。かん水を加えた麺もしくは塩を加えて手打ちした麺がないので関西風のようですが。
「うん。今度また材料持ってくるね」
「それより初華さん、お願いがあるんだけど」
「ほへ?」
どうやらおばあさん、知り合いの占い師の困りごとを相談したようです。
内容は、「占い師の集まる『占い小路』で、占い師たちの夜食を作ってほしい」ということらしいです。
「いいんだけど……」
あれ。
初華、言い淀みましたよ?
というのも、初華の立場は第一にハンターです。Pクレープ屋台の店員もしていますが、それはあくまで副業扱いでハンター仕事がないとき、ということ。Pクレープ店員もソサエティーからはあまり推奨されてないので、ここでまた頼まれごとを引き受ける訳にはいかないのです。
「そう。占い小路で強盗殺人事件があって、ハンターさんにも警備を頼むらしいんだけどいつもより夜食がいるだろうからって……」
「そんなの、お前さんがハンターとしてその警備仕事受ければいいだけじゃろ?」
「ほへ?」
初華、間抜けな声を出します。おじいさんの言ったことが理解できないようですね。
「おじいさん……」
おばあさんは理解しました。期待を込めて初華を見ます。
で、ようやく初華も気付きました。
「あ、そっか。……うんっ、依頼受けて頑張ってくるね!」
というわけで、夜になると各種占い師多数がテーブルを出して一定の距離を置いて並ぶ薄暗くて入り組んだ石畳の裏路地「占い小路」を警備してくれる人、求ム。
ここは同盟領の都市ヴァリオスの、住宅街の外れ。
とある大工のおじいさん宅の庭先でのことです。
「おじいさん、お茶にしましょう」
パルムハウスの簡素化及び量産化に没頭しているおじいさんに、ポットを運ぶおばあさんが声を掛けます。
「初華さんも、どうぞ」
おや。
ハンターでPクレープ店員の南那初華(kz0135)も今日はここにいるようです。
「ん。初華、一休みしよう」
「うんっ」
声を掛け合う二人。午後のお茶会です。
「パルムハウス、売り物にできそうですか?」
迎えて紅茶を淹れるおばあさんが聞きます。
「うむ。塗装は気に入らんかったのでしばらく放っておいたが、初華のおかげでやる気になった」
「木目の良さとか木の温もりとかは失われちゃうけど、それはパルムにとっては逆に珍しくないのかも。それに、節の残った二級品が使えて安価になるもんね」
老夫婦の会話を聞いて、にっこり笑顔の初華。
「家具ならそんなことはできんが、おもちゃと割り切ればの」
前回パルムハウスをハンター仲間と試作したときの最後のアイデアは、パルムに受けが良かったものの職人としてはやや気が進まなかったようです。で、そんな気分だからそのままだったのですが、初華が仲間の真意を説明したことで誤解も解けたようです。
「それはともかく、また初華さんの作った『お好み焼き』を食べてみたいわ」
「そうじゃの。お前さんがここに遊びに来るようになってから珍しいことばかり」
老夫婦に褒められて照れてしまう初華。どうやらこちらの世界で手に入る材料で「お好み焼き」を焼いてあげたことがあるようです。かん水を加えた麺もしくは塩を加えて手打ちした麺がないので関西風のようですが。
「うん。今度また材料持ってくるね」
「それより初華さん、お願いがあるんだけど」
「ほへ?」
どうやらおばあさん、知り合いの占い師の困りごとを相談したようです。
内容は、「占い師の集まる『占い小路』で、占い師たちの夜食を作ってほしい」ということらしいです。
「いいんだけど……」
あれ。
初華、言い淀みましたよ?
というのも、初華の立場は第一にハンターです。Pクレープ屋台の店員もしていますが、それはあくまで副業扱いでハンター仕事がないとき、ということ。Pクレープ店員もソサエティーからはあまり推奨されてないので、ここでまた頼まれごとを引き受ける訳にはいかないのです。
「そう。占い小路で強盗殺人事件があって、ハンターさんにも警備を頼むらしいんだけどいつもより夜食がいるだろうからって……」
「そんなの、お前さんがハンターとしてその警備仕事受ければいいだけじゃろ?」
「ほへ?」
初華、間抜けな声を出します。おじいさんの言ったことが理解できないようですね。
「おじいさん……」
おばあさんは理解しました。期待を込めて初華を見ます。
で、ようやく初華も気付きました。
「あ、そっか。……うんっ、依頼受けて頑張ってくるね!」
というわけで、夜になると各種占い師多数がテーブルを出して一定の距離を置いて並ぶ薄暗くて入り組んだ石畳の裏路地「占い小路」を警備してくれる人、求ム。
リプレイ本文
●
「ふむ。ヘキサグラムの彫刻のある壁が目印、だったな」
黄昏時の街の大通りに、一人の女性が立っています。目の前には、六芒星の描かれた石壁があります。
「見つけにくいし幅も狭くはあるが……この模様がトラップなどということはないだろうな?」
袖のない白の上下服に、マリアヴェールで顔をそこはかとなく隠したこの女性は、エメラルド・シルフィユ(ka4678)といいます。口ではそう言ってますが、すたすたと路地に入って行く様子は堂々としたものです。
エメラルド、建物の隙間とも言うべき細い路地を抜けて息を飲み立ち止まりました。
目の前に狭いながらもやや広くなった裏通りが広がっているのです。
「なるほど。一歩入ってしまうと別世界ということか」
ここは狭くて暗がりで、いかにも裏世界というたたずまいがあります。
人は少なくこそこそと。横切る猫ですら何かに怯えているようです。
「ま、いい」
「あ、あのっ」
さあ、仕事だとエメラルドが一歩踏み出した時、背後から呼び止められました。
振り返ると、茶色いメイド服の娘がいます。
「仕事を請け負ったハンターさん、ですよね?」
声を掛けたのは、同じ依頼を受けている南那初華(kz0135)でした。
「そうだが……なぜ分かる?」
「……だって、人生に迷って占いに来るって感じじゃないから」
背筋を伸ばし腰に手を当て首をひねるエメラルドは、堂々としたものです。
「そういうおまえだって一見びくびくしているがこんなところで社交的に声を掛けるなんて場違いなこと甚だしいではないか」
「えー。でも、私は占い師さんとかハンターさんにお夜食作る係で雇われたんだもん~」
「でももだもんもない。……とにかく、クルセイダーのエメラルドだ。まだまだ駆け出しの身だがよろしく」
「私、南那初華っていいます。よろしくね、エメさん」
ここで、足元で小石が跳ねました。
周りを見ると、卓を出している占い師がそっぽを向きました。
「んあっ! うるさいってことね。……とにかく行きましょう」
「ああ……あと私をエメと呼ぶな」
初華とエメラルド、通りの闇に並んで消えていきます。
●
二人は初華の手にした地図を頼りに占い小路を進みます。
やがて、小さな扉を発見。
「ここが占い師さんの合同の休憩場所なんだって。着替えもできるらしいよ」
初華、そう言って入ると早速用意してもらっていた鉄板を確認し炭火を準備します。
エメラルドの方は、部屋の奥から聞こえる声に気付き近寄りました。
そちらのカーテンの奥からは……。
「占いは雰囲気が大事ですよねー」
するするという衣擦れの音とそんな声。
薄手のカーテンには、万歳をして上着を脱ぐ影とそれを手伝っている影が踊っています。
「んしょ……」
「紫のフードに、神秘的な風に見える薄手の上着とかにして……」
どうやら着替えの最中のようです。
おや。
エメラルド、つかつかとそっちに行きましたよ?
「はわゎ。ど、どうでしょう。似合っていますか? リナ姉さん」
「神秘的でぴったりですよー」
「おい」
ここでエメラルド、容赦なくばさーっとカーテンを開きます。
中にいた一人は、カティス・ノート(ka2486)でした。鏡の前でくるんと一回転して薄い布地で肌面積の多いひらひらした衣装を着た姿を確認し表情を緩め、褒められて頬を染めていたのですが……。
「きゃっ!」
突然の出来事に大きな眼鏡の奥の瞳を見開き、身を縮めながらしゃがみ込むのです。控えめに染まっていた頬は羞恥で真っ赤っかです。
「エメさん相変わらずですねー」
もう一人のおっきな眼鏡を掛けている女性は、リディア・ノート(ka4027)。カティスの姉で、エメラルドとは友人のようです。
「う……すまん。着替えは終わったものだと……」
「終わってますが……あ、エメさんの服装いいですね。お金が無い感じで! とりあえず雰囲気を出さないといけないですよねー」
エメラルド、一瞬でもうろたえたのが運の尽き。リディアに衣装を脱がされます。
「リナ姉さん……どうしてそんなにミステリアスコーディネートが上手なんです?」
カティス、すっかり感心。エメラルドが自分より薄手で肌の出る衣装になった様子を見て恥ずかしさが和らいだようですね。
「木を隠すには森の中、ですよ」
「確かにそういう占い師はいたが……というか、私をエメと呼ぶな」
とりあえず、準備完了。占いの卓を立てに出発です。
●
時は若干遡り、占い小路。
「ふぅん……」
落ち着いた様子の男が一人歩いています。
「おっ、と」
周りを見回していましたが、急にやめました。
どうやら路傍の占い師から鋭い視線を浴びたようです。
「一目で雇ったハンターって見破られたのかな?」
そう。
彼は依頼で雇われた、アルバ・ソル(ka4189)です。占い師も基本的に人を見る職業なので、敏感なようですね。
「どこまで溶け込めるか、なんだよな……」
ふう、と頭をかき目立ち過ぎないように一計を案じます。
「そうだな……訳ありの人探しを装うか」
実際に、依頼で雇われたほかのハンターとも一度は合流しておきたいのであながち間違いではありません。先ほどよりがらっと雰囲気が変わり、思い詰めたような表情になりました。
そして気付くのです。
「繁華街ならこの時分、酒を飲んだあとって感じの人だらけなのに……」
ここで、近くに卓を立てる占い師からちょいちょいと手招きされました。素直に近寄ってみます。
「……飲食なら別の場所。占いには暗示のためアルコールを使うことも香料や香炉を使うこともある。だからここには飲食店はないんだよ」
「ありがとう」
「ハンターさんだろ? もしも夜食が欲しいならここが賄いだよ」
素直に礼を言うと、占い師から紙切れを渡されました。簡単な地図が書いてあるみたいですね。
「一回り警備したら行ってみるよ」
会釈して紙を掲げるアルバです。
しばらくアルバが歩くと、周りとちょっと違う占い卓を発見しました。
「ここなら全体を見渡せることができるのですよ♪」
「ティスちゃんの見立てはさすがですよねー。他の占い師の邪魔にならないしー」
どうやらカティスとリディアのようです。
「それはいいがリディア、どうしておまえの服装はその……私たちと違ってひらひらしてないのだ?」
エメラルドも一緒です。
「占い師はちゃんと占い師らしくしないとですよー。わたしは護衛ですし。それよりどうして周りに屋台とか立ってないのでしょうか?」
「おい、カティスはともかく私は占い師では……」
エメラルドが異議を唱えた時でした。
「占いに影響があるかららしいね」
アルバ、さっき仕入れた情報をリディアに話しつつ、仲間と合流です。
「そうなのですか。良いにおいがしてきたらついつい釣られてふらふらと立ち寄ってしまうぐらいに……いやいや、それよりアルバ君も服装をもうちょっと工夫すると雰囲気が……」
「君はしゃべらない方がいい。その方が雰囲気出るから」
立て続けにリディアから飛んでくる言葉にアルバ、苦笑しながら釘を刺しておくのです。
●
というわけでリディア、静かに無言で占い卓に座るカティスの横に立っています。
おや。
いま、通り掛かった男性と目が合いましたよ。割と美男子かもしれません。
「ああ、あの人から美味しそうなにおいがしてきたらよだれ垂らしてがっついて……」
「ぷ、く……」
リディアが務めてそんな想像をしてこっそり怪しげな雰囲気に浸るものだから、隣のカティスはフードを深く被って笑いを隠すしかありませんね。
でもって、この様子が傍から見るととても常軌を逸したミステリアス加減で。
カティスの様子に気付き、これはまずい、と一歩リディアが引くと、それが絶妙なゼスチャーになりました。美男子、吸い寄せられるように卓に座りましたよ。
「その……お願いします」
「あ、あの……えと。よ、ようこそなのです。今日はどんな悩みを解きほぐしましょうか♪」
カティス、緊張した堅い声を出しつつも笑顔で会釈します。
「じゃあ……僕、いま二人の女性に言い寄られてるんですが……」
ぴく。
隣に控えていたリディアが身じろぎしました。相当興味がありそうです。
「ふんふん、ありますよねー」
カティスは相槌を打ちながら悩みをじっくりと聞く姿勢。
どうやら好意を持ってくれる女友達と、親の勧める女性がいるようですが……。
「えと。あなたは大変慎重な方のようなのです。悪く言えば臆病とも言えるでしょうか。臆病は悪い事ではないのですよ♪」
ある程度聞いて初めて、カティスはフードで隠した面を上げました。
これが切っ掛けでした。
「ごめんなさい」
美男子は謝りました。
訳を聞くと……。
「本当は、その二人より幼馴染の娘の方が気になって……でも、その娘に脈があるか分からないし、二人とも僕に好意を持ってくれるし……」
真摯に聞くうち、ついに真の悩みが出たようです。
「わかったのです♪ それでは、占いってみるのですよ♪」
カティス、にっこりほほ笑むと古びた雰囲気の眼鏡「クリスタルナイツ」を外し息を吹きかけて眼鏡拭きでキレイにするのです。
そしてじっくりその磨き具合を見て……。
「『案ずるより産むが易し』という言葉もある様に、案外すんなりと事が運ぶかもしれないのです♪」
つまり、杞憂。
「大丈夫なのですよ。ただキッカケを掴むのが苦手なだけなのです♪」
「キッカケを作ればいいんですね。可憐な占い師さん、ありがとうございました」
美男子は心から喜んでお代を多めに置いて行くのでした。
●
さて、初華といえば。
「はい、占いお疲れ様です。熱いうちに食べてくださいね」
じゅうじゅうと焼いたお好み焼きを、小休止に訪れる占い師たちに振舞っています。
「しかし、初華は警備しなくていいのか?」
おや。エメラルド、戻って来てますね。
「うん。私は別の人を通じてここでお好み焼きを焼くよう頼まれたから。それよりエメさん、戻って来てばかりでいいの?」
「う……仕方ないだろう。ここに来る占い師を護衛しようとしてだな……というか、ここに来る占い師が多すぎないか? いつもこうなのか?」
「どうかな? それより、どう?」
「夜食は……その……ま、まあ起きているのだから問題はないかもな、うん」
小さくなってお好み焼きを受け取るエメラルドです。
その時、アルバが入ってきました。
「あれ? やあ、クレープ屋さん。こんばんわ」
「あ、アルバさん。今日はPクレープじゃないけどね」
てへ、と迎える初華。エメラルドは傍で「ふうん。美味いな」と密かに味わい中。
「それにしても……人に歴史あり、じゃなく暮らしあり、だね」
アルバ、席に着きつつそんなことを。
「ほへ? どしたの」
「いやね。周りを見てきたけど、ここは既に一つの社会形態として完成してる。いまさら誰かが下手に手を出す意味も無い」
出されたお冷を飲みつつ、しみじみと言うのです。
その瞬間でした。
――がたがた……。
「な、なんだ」
エメラルドが驚くのは無理ありません。
それまで散り散りに座って食べていた占い師たちが、椅子を持って集まって来たのです。
「……ここだけの話じゃが」
「ここはもともと犯罪が多かった」
「じゃから、脛に傷のある者や叩けば埃の出るような者が集まった」
「じゃが、そんな奴らも普通の生活はするもんじゃ」
「荒事も多かったが、官憲が入ってそいつらは出て行った」
「残ったのは、日陰者ばかり。目立ちたくなく、波風を嫌う者じゃ」
「また官憲が入れば、そんな者もいられなくなる」
「日陰は必要じゃ」
「日陰は、そっとな」
気難しい占い小路の住民たちに受け入れられた瞬間です。
「お好み焼き、うまかったよ」
いつもより、ここに来る占い師も多いようで。
●
その後、巡回に出たエメラルド。
こっそりと占い卓に着いているではないですか。
「占いは……どうだろう……将来の事とか…」
真っ赤になって横を向きながら占い師に伝えます。前も向かずにえいやっと卓を決めて座ったようですね。
「司祭とかになれればいいなあとは思っている。勤勉あるのみではあるが……勿論剣の腕も磨かなければな」
占い師に聞かれると、前を向いて胸を弾ませて答えます。
「む……占いっぽくないかな? ででででは恋愛……とか……」
根は純真なエメラルド、占い師が聞き手に徹しているとどんどん真面目に心の中の宝石箱にしまっている自己矛盾を打ち明けるのです。
「いいいいや私は神に仕える身であるから決してそのような……」
おや。
この時、占い師の隣に立っていた護衛がぷるぷる震えましたよ?
気付いてまさか、と思うエメラルド。
いやしかし、あのコンビは別の場所にいたし雰囲気は逆のような、とか思った瞬間でした!
「エメさん、ごめんなさい。気付いてくれないから……」
「あまりしゃべるなって言ったのはアルバ君だからねー」
「ぐぐぐ……」
実は、リディアとカティスが占い師と護衛の立場を交代して別の場所で卓を立てていたのでした。
「まあ、占い師さんここに多くいて今日は卓が少なかったみたいだし」
戻った三人にお好み焼きを出しながら初華は苦笑。
「まったく!」
「はっ。がっついてるのは余裕が無い演技ですよ! ほんとですよ?」
「うふふ……」
ご機嫌斜めのエメラルドはお好み焼きで少し機嫌を直していたり。一心不乱だったリディアはようやく我に返ってお好み焼きにかじりついたままそんな言い訳を。カティスはそんな二人を見て幸せそうです。
「それはいいけど、クレープ屋さん?」
「あん、初華って呼んでよ」
同じく戻っているアルバが改めて初華に聞くのです。
「人がいいなあ……ここでのお手伝いといい」
「でも、みんなに喜んでもらったから幸せよ?」
「一応、ハンターオフィスの依頼の手前、警備もしておいた方がいいよ。行こう」
「うん、分かった」
そんなこんなで、アルバと初華が最後に見回り。
二人で歩く占い小路は、暗くて雰囲気があって。
暗いね、と初華が言ったとき、アルバが初華に向き直ります。
「帰りがもし一人なら、わたしめにエスコートさせてくださいませんか? レディ」
茶目っ気を出しつつ、騎士の礼。
「あんもう、私なんかにそんなことしちゃダメだよぅ」
「そう? レディへの礼儀だよ」
くるっと回る初華に、ではとダンスのように隣に位置し手を添えるアルバ。ひらりとかわす様子はありません。「じゃ、お願い」と引いた初華の顎。
「占いも一緒にどう」
そんな誘いの声が風に乗り、後方の三人に。
「回り込んで卓を立てないのか?」
「ダメですよー」
エメラルドの言葉ににこにことカティス。
「エメさんじゃないし、気付くでしょー。……まあ、何も無くて何より。ハンターは暇なのが一番いいんですよー」
リディアは後ろ手に組んで空を見上げ、帰路に就くのです。
「ふむ。ヘキサグラムの彫刻のある壁が目印、だったな」
黄昏時の街の大通りに、一人の女性が立っています。目の前には、六芒星の描かれた石壁があります。
「見つけにくいし幅も狭くはあるが……この模様がトラップなどということはないだろうな?」
袖のない白の上下服に、マリアヴェールで顔をそこはかとなく隠したこの女性は、エメラルド・シルフィユ(ka4678)といいます。口ではそう言ってますが、すたすたと路地に入って行く様子は堂々としたものです。
エメラルド、建物の隙間とも言うべき細い路地を抜けて息を飲み立ち止まりました。
目の前に狭いながらもやや広くなった裏通りが広がっているのです。
「なるほど。一歩入ってしまうと別世界ということか」
ここは狭くて暗がりで、いかにも裏世界というたたずまいがあります。
人は少なくこそこそと。横切る猫ですら何かに怯えているようです。
「ま、いい」
「あ、あのっ」
さあ、仕事だとエメラルドが一歩踏み出した時、背後から呼び止められました。
振り返ると、茶色いメイド服の娘がいます。
「仕事を請け負ったハンターさん、ですよね?」
声を掛けたのは、同じ依頼を受けている南那初華(kz0135)でした。
「そうだが……なぜ分かる?」
「……だって、人生に迷って占いに来るって感じじゃないから」
背筋を伸ばし腰に手を当て首をひねるエメラルドは、堂々としたものです。
「そういうおまえだって一見びくびくしているがこんなところで社交的に声を掛けるなんて場違いなこと甚だしいではないか」
「えー。でも、私は占い師さんとかハンターさんにお夜食作る係で雇われたんだもん~」
「でももだもんもない。……とにかく、クルセイダーのエメラルドだ。まだまだ駆け出しの身だがよろしく」
「私、南那初華っていいます。よろしくね、エメさん」
ここで、足元で小石が跳ねました。
周りを見ると、卓を出している占い師がそっぽを向きました。
「んあっ! うるさいってことね。……とにかく行きましょう」
「ああ……あと私をエメと呼ぶな」
初華とエメラルド、通りの闇に並んで消えていきます。
●
二人は初華の手にした地図を頼りに占い小路を進みます。
やがて、小さな扉を発見。
「ここが占い師さんの合同の休憩場所なんだって。着替えもできるらしいよ」
初華、そう言って入ると早速用意してもらっていた鉄板を確認し炭火を準備します。
エメラルドの方は、部屋の奥から聞こえる声に気付き近寄りました。
そちらのカーテンの奥からは……。
「占いは雰囲気が大事ですよねー」
するするという衣擦れの音とそんな声。
薄手のカーテンには、万歳をして上着を脱ぐ影とそれを手伝っている影が踊っています。
「んしょ……」
「紫のフードに、神秘的な風に見える薄手の上着とかにして……」
どうやら着替えの最中のようです。
おや。
エメラルド、つかつかとそっちに行きましたよ?
「はわゎ。ど、どうでしょう。似合っていますか? リナ姉さん」
「神秘的でぴったりですよー」
「おい」
ここでエメラルド、容赦なくばさーっとカーテンを開きます。
中にいた一人は、カティス・ノート(ka2486)でした。鏡の前でくるんと一回転して薄い布地で肌面積の多いひらひらした衣装を着た姿を確認し表情を緩め、褒められて頬を染めていたのですが……。
「きゃっ!」
突然の出来事に大きな眼鏡の奥の瞳を見開き、身を縮めながらしゃがみ込むのです。控えめに染まっていた頬は羞恥で真っ赤っかです。
「エメさん相変わらずですねー」
もう一人のおっきな眼鏡を掛けている女性は、リディア・ノート(ka4027)。カティスの姉で、エメラルドとは友人のようです。
「う……すまん。着替えは終わったものだと……」
「終わってますが……あ、エメさんの服装いいですね。お金が無い感じで! とりあえず雰囲気を出さないといけないですよねー」
エメラルド、一瞬でもうろたえたのが運の尽き。リディアに衣装を脱がされます。
「リナ姉さん……どうしてそんなにミステリアスコーディネートが上手なんです?」
カティス、すっかり感心。エメラルドが自分より薄手で肌の出る衣装になった様子を見て恥ずかしさが和らいだようですね。
「木を隠すには森の中、ですよ」
「確かにそういう占い師はいたが……というか、私をエメと呼ぶな」
とりあえず、準備完了。占いの卓を立てに出発です。
●
時は若干遡り、占い小路。
「ふぅん……」
落ち着いた様子の男が一人歩いています。
「おっ、と」
周りを見回していましたが、急にやめました。
どうやら路傍の占い師から鋭い視線を浴びたようです。
「一目で雇ったハンターって見破られたのかな?」
そう。
彼は依頼で雇われた、アルバ・ソル(ka4189)です。占い師も基本的に人を見る職業なので、敏感なようですね。
「どこまで溶け込めるか、なんだよな……」
ふう、と頭をかき目立ち過ぎないように一計を案じます。
「そうだな……訳ありの人探しを装うか」
実際に、依頼で雇われたほかのハンターとも一度は合流しておきたいのであながち間違いではありません。先ほどよりがらっと雰囲気が変わり、思い詰めたような表情になりました。
そして気付くのです。
「繁華街ならこの時分、酒を飲んだあとって感じの人だらけなのに……」
ここで、近くに卓を立てる占い師からちょいちょいと手招きされました。素直に近寄ってみます。
「……飲食なら別の場所。占いには暗示のためアルコールを使うことも香料や香炉を使うこともある。だからここには飲食店はないんだよ」
「ありがとう」
「ハンターさんだろ? もしも夜食が欲しいならここが賄いだよ」
素直に礼を言うと、占い師から紙切れを渡されました。簡単な地図が書いてあるみたいですね。
「一回り警備したら行ってみるよ」
会釈して紙を掲げるアルバです。
しばらくアルバが歩くと、周りとちょっと違う占い卓を発見しました。
「ここなら全体を見渡せることができるのですよ♪」
「ティスちゃんの見立てはさすがですよねー。他の占い師の邪魔にならないしー」
どうやらカティスとリディアのようです。
「それはいいがリディア、どうしておまえの服装はその……私たちと違ってひらひらしてないのだ?」
エメラルドも一緒です。
「占い師はちゃんと占い師らしくしないとですよー。わたしは護衛ですし。それよりどうして周りに屋台とか立ってないのでしょうか?」
「おい、カティスはともかく私は占い師では……」
エメラルドが異議を唱えた時でした。
「占いに影響があるかららしいね」
アルバ、さっき仕入れた情報をリディアに話しつつ、仲間と合流です。
「そうなのですか。良いにおいがしてきたらついつい釣られてふらふらと立ち寄ってしまうぐらいに……いやいや、それよりアルバ君も服装をもうちょっと工夫すると雰囲気が……」
「君はしゃべらない方がいい。その方が雰囲気出るから」
立て続けにリディアから飛んでくる言葉にアルバ、苦笑しながら釘を刺しておくのです。
●
というわけでリディア、静かに無言で占い卓に座るカティスの横に立っています。
おや。
いま、通り掛かった男性と目が合いましたよ。割と美男子かもしれません。
「ああ、あの人から美味しそうなにおいがしてきたらよだれ垂らしてがっついて……」
「ぷ、く……」
リディアが務めてそんな想像をしてこっそり怪しげな雰囲気に浸るものだから、隣のカティスはフードを深く被って笑いを隠すしかありませんね。
でもって、この様子が傍から見るととても常軌を逸したミステリアス加減で。
カティスの様子に気付き、これはまずい、と一歩リディアが引くと、それが絶妙なゼスチャーになりました。美男子、吸い寄せられるように卓に座りましたよ。
「その……お願いします」
「あ、あの……えと。よ、ようこそなのです。今日はどんな悩みを解きほぐしましょうか♪」
カティス、緊張した堅い声を出しつつも笑顔で会釈します。
「じゃあ……僕、いま二人の女性に言い寄られてるんですが……」
ぴく。
隣に控えていたリディアが身じろぎしました。相当興味がありそうです。
「ふんふん、ありますよねー」
カティスは相槌を打ちながら悩みをじっくりと聞く姿勢。
どうやら好意を持ってくれる女友達と、親の勧める女性がいるようですが……。
「えと。あなたは大変慎重な方のようなのです。悪く言えば臆病とも言えるでしょうか。臆病は悪い事ではないのですよ♪」
ある程度聞いて初めて、カティスはフードで隠した面を上げました。
これが切っ掛けでした。
「ごめんなさい」
美男子は謝りました。
訳を聞くと……。
「本当は、その二人より幼馴染の娘の方が気になって……でも、その娘に脈があるか分からないし、二人とも僕に好意を持ってくれるし……」
真摯に聞くうち、ついに真の悩みが出たようです。
「わかったのです♪ それでは、占いってみるのですよ♪」
カティス、にっこりほほ笑むと古びた雰囲気の眼鏡「クリスタルナイツ」を外し息を吹きかけて眼鏡拭きでキレイにするのです。
そしてじっくりその磨き具合を見て……。
「『案ずるより産むが易し』という言葉もある様に、案外すんなりと事が運ぶかもしれないのです♪」
つまり、杞憂。
「大丈夫なのですよ。ただキッカケを掴むのが苦手なだけなのです♪」
「キッカケを作ればいいんですね。可憐な占い師さん、ありがとうございました」
美男子は心から喜んでお代を多めに置いて行くのでした。
●
さて、初華といえば。
「はい、占いお疲れ様です。熱いうちに食べてくださいね」
じゅうじゅうと焼いたお好み焼きを、小休止に訪れる占い師たちに振舞っています。
「しかし、初華は警備しなくていいのか?」
おや。エメラルド、戻って来てますね。
「うん。私は別の人を通じてここでお好み焼きを焼くよう頼まれたから。それよりエメさん、戻って来てばかりでいいの?」
「う……仕方ないだろう。ここに来る占い師を護衛しようとしてだな……というか、ここに来る占い師が多すぎないか? いつもこうなのか?」
「どうかな? それより、どう?」
「夜食は……その……ま、まあ起きているのだから問題はないかもな、うん」
小さくなってお好み焼きを受け取るエメラルドです。
その時、アルバが入ってきました。
「あれ? やあ、クレープ屋さん。こんばんわ」
「あ、アルバさん。今日はPクレープじゃないけどね」
てへ、と迎える初華。エメラルドは傍で「ふうん。美味いな」と密かに味わい中。
「それにしても……人に歴史あり、じゃなく暮らしあり、だね」
アルバ、席に着きつつそんなことを。
「ほへ? どしたの」
「いやね。周りを見てきたけど、ここは既に一つの社会形態として完成してる。いまさら誰かが下手に手を出す意味も無い」
出されたお冷を飲みつつ、しみじみと言うのです。
その瞬間でした。
――がたがた……。
「な、なんだ」
エメラルドが驚くのは無理ありません。
それまで散り散りに座って食べていた占い師たちが、椅子を持って集まって来たのです。
「……ここだけの話じゃが」
「ここはもともと犯罪が多かった」
「じゃから、脛に傷のある者や叩けば埃の出るような者が集まった」
「じゃが、そんな奴らも普通の生活はするもんじゃ」
「荒事も多かったが、官憲が入ってそいつらは出て行った」
「残ったのは、日陰者ばかり。目立ちたくなく、波風を嫌う者じゃ」
「また官憲が入れば、そんな者もいられなくなる」
「日陰は必要じゃ」
「日陰は、そっとな」
気難しい占い小路の住民たちに受け入れられた瞬間です。
「お好み焼き、うまかったよ」
いつもより、ここに来る占い師も多いようで。
●
その後、巡回に出たエメラルド。
こっそりと占い卓に着いているではないですか。
「占いは……どうだろう……将来の事とか…」
真っ赤になって横を向きながら占い師に伝えます。前も向かずにえいやっと卓を決めて座ったようですね。
「司祭とかになれればいいなあとは思っている。勤勉あるのみではあるが……勿論剣の腕も磨かなければな」
占い師に聞かれると、前を向いて胸を弾ませて答えます。
「む……占いっぽくないかな? ででででは恋愛……とか……」
根は純真なエメラルド、占い師が聞き手に徹しているとどんどん真面目に心の中の宝石箱にしまっている自己矛盾を打ち明けるのです。
「いいいいや私は神に仕える身であるから決してそのような……」
おや。
この時、占い師の隣に立っていた護衛がぷるぷる震えましたよ?
気付いてまさか、と思うエメラルド。
いやしかし、あのコンビは別の場所にいたし雰囲気は逆のような、とか思った瞬間でした!
「エメさん、ごめんなさい。気付いてくれないから……」
「あまりしゃべるなって言ったのはアルバ君だからねー」
「ぐぐぐ……」
実は、リディアとカティスが占い師と護衛の立場を交代して別の場所で卓を立てていたのでした。
「まあ、占い師さんここに多くいて今日は卓が少なかったみたいだし」
戻った三人にお好み焼きを出しながら初華は苦笑。
「まったく!」
「はっ。がっついてるのは余裕が無い演技ですよ! ほんとですよ?」
「うふふ……」
ご機嫌斜めのエメラルドはお好み焼きで少し機嫌を直していたり。一心不乱だったリディアはようやく我に返ってお好み焼きにかじりついたままそんな言い訳を。カティスはそんな二人を見て幸せそうです。
「それはいいけど、クレープ屋さん?」
「あん、初華って呼んでよ」
同じく戻っているアルバが改めて初華に聞くのです。
「人がいいなあ……ここでのお手伝いといい」
「でも、みんなに喜んでもらったから幸せよ?」
「一応、ハンターオフィスの依頼の手前、警備もしておいた方がいいよ。行こう」
「うん、分かった」
そんなこんなで、アルバと初華が最後に見回り。
二人で歩く占い小路は、暗くて雰囲気があって。
暗いね、と初華が言ったとき、アルバが初華に向き直ります。
「帰りがもし一人なら、わたしめにエスコートさせてくださいませんか? レディ」
茶目っ気を出しつつ、騎士の礼。
「あんもう、私なんかにそんなことしちゃダメだよぅ」
「そう? レディへの礼儀だよ」
くるっと回る初華に、ではとダンスのように隣に位置し手を添えるアルバ。ひらりとかわす様子はありません。「じゃ、お願い」と引いた初華の顎。
「占いも一緒にどう」
そんな誘いの声が風に乗り、後方の三人に。
「回り込んで卓を立てないのか?」
「ダメですよー」
エメラルドの言葉ににこにことカティス。
「エメさんじゃないし、気付くでしょー。……まあ、何も無くて何より。ハンターは暇なのが一番いいんですよー」
リディアは後ろ手に組んで空を見上げ、帰路に就くのです。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/06 20:51:18 |
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雑談卓 エメラルド・シルフィユ(ka4678) 人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/10/06 22:04:57 |