ゲスト
(ka0000)
乙女悩ます、収穫と栗のランタン
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/13 12:00
- 完成日
- 2015/10/18 17:14
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●魔法公害
グラズヘイム王国のとある領地。
領主の長女であり、今年15歳を迎えたイノア・クリシスは、緩やかなウェーブを描く髪を背にまとめ、書類に目を通していた。もともとこういった仕事に親和性があり、鬼籍に入っていた兄より領主としての手腕があると言われていた。
(……兄が生きていたら……どんなになっていたのかしら?)
イノアは時々思わなくはない。イノアの兄は文武両道で美少年、歌がうまい、優しいと領内の民には慕われていたが、貴族として政治をやるとなると不安この上ない存在だった。
イノアの自慢の兄であり、不満が溜まる兄だった。死んでしまっては何も言えない。
(そうなのよね。お兄様がいたら、お父様について北部でゴブリンと戦っていたかもしれない。宗教家になっていたかもしれない……とはいえ、あの優柔不断さは何をするにも問題だったと思うわ)
イノアは溜息と共に、父親の執務室に飾られている昔の家族の肖像画を見た。兄と母もいた平穏な時の。
「戻れないのは分かっているけれども……」
つぶやいたとき、扉がノックされた。入ってきた執事が来客を告げる。
イノアの表情に嫌悪が浮かんだ。過去にその商人は魔法生物や道具を扱っていたらしく、過去に魔法公害を発生させ、領主ともめた。その際に逃げ出した生き物が兄を殺し、イノアをかばった母の命を奪ったとされる。イノアは父に聞かされた言葉しか知らない、途中で意識を失ったから。
「とはいえ……兄のことは……」
首を横にふってイノアは領主の代わりなのだと、表情を正した。
応接間に向かい、商人と対峙する。商人は事件の直後ちらりと見た時とちっとも変っていない。白く、丸いという形が。あの時は神妙は表情であり、今は冷や汗をかいた焦り顔だ。
「お嬢様、一段と美しくおなりになられて」
「お世辞はいらないわ。ところで何かあったのですか?」
「……実は……機導関係の実験の処理をし損ね……魔法公害を発生させてしまいました」
イノアは眉をひそめる。この商人と領主が交わしている約束事を思い出す。魔法に関する物品は扱うことは許すが、万が一のことが起こった場合の罰則を強化したもの。それ以来、5年近く事件は起こっていなかったので、商人は守ってきていたはずだ。
「でも、もう片付けたのではないのですか?」
「片づけました……片づけましたが」
発生した生き物が逃げてしまったとのこと。
「ハンターに依頼を出しておりまして、捜索する段にはなっております」
「分かりました。ハンターズソサエティには情報をうかがってきます」
信用いないわけではないが、確実に商人が動いたかということを確認するのに第三者は重要だった。
「で、どんな生物なんですか?」
「ジャック・オ・ランタン……の栗版です」
「……小さいですね」
「いいえ、それがそこそこ大きくなています。そして、痛いです」
「魔法生物ですからね」
「いえ……それが、とがってますから、見るからに」
栗のイガの棘より鋭くなっているという商人に、イノアは溜息を洩らした。
●栗
栗を収穫していた農家の夫妻は今年、奇妙なことが多いことに気付いた。
少し離れたところで落ち葉をたき火していたところ、栗がはじけて飛んできた。それもイガ付きで驚いたが、幸い当たらなかったが当たっていたら刺さっていただろう。
いつ落ちたのが入ったのか不思議に思う。これは幸いにして一度しか起こっていない。
時々起った不思議なことは、栗が頭の上に落ちてきたこと。偶然にしては妙に回数が多かった。それに、帽子をかぶっていないときに多い。わざとかぶっていないときを狙っているのかもしれない、と夫妻は冗談を言っていた。
もう一つは畑の中央にある巨大な栗。気付けばその大きさになっており、この日、困惑を持って見つめていた。
「このあたりでよく栗が頭に落ちてたような気もする」
「これが重くて周りのを落としていたのかしら」
夫婦は小さく笑って、枝が折れないうちに巨大栗を落とそうとした。
ピシッ。
「きゃあ」
「うわあ」
針を飛ばしてきたのだった。
梯子に乗っていた夫はとっさによけようとして転落し、妻は夫の下敷になって倒れた。その上に、栗が落ちてきた。
「ぎゃああ」
「あなたっ!」
妻は夫の断末魔に近い悲鳴を聞きながらも、夫の下からはい出るのが精いっぱいだった。
栗は元の所に戻っているが、夫は上半身に刺さった針を抜こうと必死にうめいている。妻は彼を引きずりながら急いで逃げた。
グラズヘイム王国のとある領地。
領主の長女であり、今年15歳を迎えたイノア・クリシスは、緩やかなウェーブを描く髪を背にまとめ、書類に目を通していた。もともとこういった仕事に親和性があり、鬼籍に入っていた兄より領主としての手腕があると言われていた。
(……兄が生きていたら……どんなになっていたのかしら?)
イノアは時々思わなくはない。イノアの兄は文武両道で美少年、歌がうまい、優しいと領内の民には慕われていたが、貴族として政治をやるとなると不安この上ない存在だった。
イノアの自慢の兄であり、不満が溜まる兄だった。死んでしまっては何も言えない。
(そうなのよね。お兄様がいたら、お父様について北部でゴブリンと戦っていたかもしれない。宗教家になっていたかもしれない……とはいえ、あの優柔不断さは何をするにも問題だったと思うわ)
イノアは溜息と共に、父親の執務室に飾られている昔の家族の肖像画を見た。兄と母もいた平穏な時の。
「戻れないのは分かっているけれども……」
つぶやいたとき、扉がノックされた。入ってきた執事が来客を告げる。
イノアの表情に嫌悪が浮かんだ。過去にその商人は魔法生物や道具を扱っていたらしく、過去に魔法公害を発生させ、領主ともめた。その際に逃げ出した生き物が兄を殺し、イノアをかばった母の命を奪ったとされる。イノアは父に聞かされた言葉しか知らない、途中で意識を失ったから。
「とはいえ……兄のことは……」
首を横にふってイノアは領主の代わりなのだと、表情を正した。
応接間に向かい、商人と対峙する。商人は事件の直後ちらりと見た時とちっとも変っていない。白く、丸いという形が。あの時は神妙は表情であり、今は冷や汗をかいた焦り顔だ。
「お嬢様、一段と美しくおなりになられて」
「お世辞はいらないわ。ところで何かあったのですか?」
「……実は……機導関係の実験の処理をし損ね……魔法公害を発生させてしまいました」
イノアは眉をひそめる。この商人と領主が交わしている約束事を思い出す。魔法に関する物品は扱うことは許すが、万が一のことが起こった場合の罰則を強化したもの。それ以来、5年近く事件は起こっていなかったので、商人は守ってきていたはずだ。
「でも、もう片付けたのではないのですか?」
「片づけました……片づけましたが」
発生した生き物が逃げてしまったとのこと。
「ハンターに依頼を出しておりまして、捜索する段にはなっております」
「分かりました。ハンターズソサエティには情報をうかがってきます」
信用いないわけではないが、確実に商人が動いたかということを確認するのに第三者は重要だった。
「で、どんな生物なんですか?」
「ジャック・オ・ランタン……の栗版です」
「……小さいですね」
「いいえ、それがそこそこ大きくなています。そして、痛いです」
「魔法生物ですからね」
「いえ……それが、とがってますから、見るからに」
栗のイガの棘より鋭くなっているという商人に、イノアは溜息を洩らした。
●栗
栗を収穫していた農家の夫妻は今年、奇妙なことが多いことに気付いた。
少し離れたところで落ち葉をたき火していたところ、栗がはじけて飛んできた。それもイガ付きで驚いたが、幸い当たらなかったが当たっていたら刺さっていただろう。
いつ落ちたのが入ったのか不思議に思う。これは幸いにして一度しか起こっていない。
時々起った不思議なことは、栗が頭の上に落ちてきたこと。偶然にしては妙に回数が多かった。それに、帽子をかぶっていないときに多い。わざとかぶっていないときを狙っているのかもしれない、と夫妻は冗談を言っていた。
もう一つは畑の中央にある巨大な栗。気付けばその大きさになっており、この日、困惑を持って見つめていた。
「このあたりでよく栗が頭に落ちてたような気もする」
「これが重くて周りのを落としていたのかしら」
夫婦は小さく笑って、枝が折れないうちに巨大栗を落とそうとした。
ピシッ。
「きゃあ」
「うわあ」
針を飛ばしてきたのだった。
梯子に乗っていた夫はとっさによけようとして転落し、妻は夫の下敷になって倒れた。その上に、栗が落ちてきた。
「ぎゃああ」
「あなたっ!」
妻は夫の断末魔に近い悲鳴を聞きながらも、夫の下からはい出るのが精いっぱいだった。
栗は元の所に戻っているが、夫は上半身に刺さった針を抜こうと必死にうめいている。妻は彼を引きずりながら急いで逃げた。
リプレイ本文
●えっ!
ハンターたちは栗畑の入口に立つ。
「巨大栗か。立派秋の味覚の一つなのだがな。だが、民に手を出す栗は許されんな! 大王直々に懲らしめてくれよう」
古の大王を自称するディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)がさわやかで愛らしく、神々しくさえ感じられる笑顔で告げる。
「……普通の栗は人を襲いません」
立ち会うために来ていたイノアは真顔で突っ込みを入れた。
「でかい栗か……もしそれを火の中に突っ込んだら」
弾けて飛んだところを想像し、相当痛いだろうとレイオス・アクアウォーカー(ka1990)は過去にやったことを思いだし身震いする。
「大層立派な栗らしィが……妖怪、じゃねェ、歪虚の類は食ねェンだったか……まァ、人を襲ったァていうからには、キッカリシッカリ落とし前つけなくちゃなァ」
万歳丸(ka5665)が悔しがり、義憤に震える。
イノアは初めて見る鬼に驚きながら、不調法とはいえども観察してしまう。
「さっさと退治して、農家の方に食べられる栗を要求しましょう!」
最上 風(ka0891)は拳を突き上げた。
ハンターの首が縦に動き、同意を示しているようにイノアと商人には見えた。
「……そうです、栗はおいしいですから……ええ、美味しいですから」
セレナ・デュヴァル(ka0206)は静かに告げ、視線の先は普通の栗とイノアと商人をうろうろとしていた。
「それに、リアルブルーには秋の風物詩として『焼き芋』と言うのもあるらしい」
「芋と落ち葉があればできますよ? なかなかやる機会はありませんね」
並木 怜(ka3388)が懐かしむようにディアドラに答えた後、依頼人たちを見る。
「そうですね……成果によっては考慮いたします」
イノアはちらりと商人を見る。
商人は脳内でソロバンをはじき、期待に満ちた視線を浴びることとなった。
●上っ!
まずは木に隠れている栗な雑魔たちを倒すことにする。
「目視」
セレナと風が術具・法具を持って上を見る。
「木を軽く蹴る」
雑魔は無防備な頭を狙ってくると言われているため、レイオスは兜をかぶらずフラワーサークレットをはめている。手に持つ盾でいざとなったら栗から身を守るつもりで。
怜も頷きながら、頭頂部を完全には覆わない猫耳カチューシャをはめる。
「木に変な傷がねェか見ながら行く」
「松明に反応を示すかもしれぬ」
万歳丸とディアドラが意見を出し終え、一行は相談する。
適度な距離を置きつつ、中央の巨大栗を避け一通り見てみることとなる。それでも駄目なら火を使い刺激を与える。
適宜距離を取りつつレイオス、ディアドラ、怜そして万歳丸が進み、少し遅れてセレナと風がついていく。
最初に一度、レイオスが盾で頭をかばいながら木を蹴る。ポテポテと落ちかけていた栗は降ってきた。
「……結構ありますし、後衛、一応帽子かぶってます」
セレナがポツリ言った、等間隔に並ぶ木を指さしながら。本当に危険ならば、そこでまた別に考えればよいだろう。
「お、おう」
そして、じわりじわりと一行は進む。
ガサガサ……ポテッ。
レイオスとディアドラが盾を構えて振り返り、怜は回避も考え目標物を見る。
誰にとでもなく降って来たらしい雑魔は、一行に気付かれていたため、間近だった万歳丸が盾で受けた。
地面に転げ落ちた栗雑魔は栗のふりをしているのか静かだ。
万歳丸が叩き潰すように足を振り下ろすと、回避するようなそぶりを見せたがよけきれなかったようでぐちゃりとつぶれて消えた。
複数近くにいるということも意識はしていただろうが、その雑魔に気を取られていたのは否めない。
ポテッ。
「きゃああ」
怜の上の栗雑魔が降ってきた。怜から転げ落ちが栗雑魔はそのまま、飛び跳ねるように怜を攻撃する。
とっさに【ムーバブルシールド】を展開して回避した。
レイオスとディアドラが続けて攻撃をするが、雑魔はコロリコロリと回避する。
風は魔法を使うか様子を見つつ、周りに目を配る。味方には余裕があるため、不意打ちが得意な雑魔がいつ来るか分からないし注意を払うのが良い。
セレナからアースバレットが飛び、命中した。直後には雑魔が倒れて消えていた。
「すばしっこいな、当てることができれば倒せるわけだが」
ディアドラが木を見上げる。
「回復と防御の魔法はいりますかー? 有料で!」
風の本気か冗談か計りかねる言葉に怜は、自分の頭の傷を確認する。
(まだ、問題ないし、マテリアルヒーリングあるし)
「無理しなくていいですよー」
「無理していないですよ」
ニコリと笑いながら怜は風を回避した。
体勢を整え、一行は再び進む。
角を曲がり、中央を避けて奥に向かう。中央がちらりと見えるところで覗くが、さすがによくは分からない。倒れた梯子や荒れた木肌が見え何かいることをうかがわせた。
前衛が角を曲がったところで栗雑魔に気づく。
「おっ、先の木に変なのがいる?」
「ふむ、いるな」
レイオスとディアドラが話している中、怜も気づいてうなずく。
「レイオスさん、上ですっ!」
皆が見ているところとは別に雑魔がいるのを風が気付き、声を掛けた。栗が飛び降りてきた、前衛たちが通り過ぎた横の木から。
雑魔はレイオスの後頭部に体当たりを食らわせた。
「うわあ」
レイオスは振り返りざまに試作電撃刀を叩きつけた。回避はされなかったが栗雑魔は動いていた。
小さいから当てにくい上に、避けられなかなか攻撃が当たらない。
怜は雑魔に体当たりをされたが、間一髪で避けた。
再び互いに攻撃を当てられない状況があり、ようやくレイオスが倒した。
「ちィーせー」
万歳丸は下を見続けたため凝る肩を鳴らした。
「人間である私達が相手でも小さいです」
セレナが言ったのを身長が低いディアドラと風も頷いていた。
「次は居場所分かっているんだ」
気を取り直してレイオスは武器を構える。
「魔法で叩き落とします」
セレナが放つファイアアローが真っ直ぐ飛び、命中した。
栗はポーンと飛び、その先の木の上に落ちるくらいに消えた。
「……消えたのでしょうか」
「……よく見えない」
セレナに対してディアドラが上を見つつ答え、身長が高い者たちに意見を求める。
「たぶん、やったと思う」
レイオスは雑魔がやられたときの感じと似ていたと経験則から考えた。試にもともと雑魔がいた木と隣の木をゆすってみる。
「物はためしだ」
松明に火をつけてディアドラが煽ってみる。
いずれも反応は特になかった。しかし、雑魔が存在しないと言う証拠ではなかった。
進もうとしたときだった。
「レイオスさん、上!」
怜が声を上げてレイオスを突き飛ばす。
「なんで、オレばかり!」
「まずは退ける! 破ッ」
空中にいる間の雑魔を万歳丸が気合のこもった攻撃をし、見事に粉砕した。
「……ふむ、身長か」
前衛で歩いているメンバーはディアドラより全員背が高かった。偶然か防御が薄すそうなところを狙っているのか、分からないのは事実。
「頭の防御の強さ……と身長……」
怜はどちらも当てはまるとうなずく。わざわざ試す必要もない、答えは不要かも知れない。
「有料で回復しますよー。拳で栗なんて痛いでしょー」
全員「まだ問題ない」と言葉を返した。
スタート地点に戻り、そこから中央の巨大栗に向かって移動をすることにした。
●針っ!
巨大栗がいる木を囲むように、木に隠れて一行は様子をうかがう。
そこには主のようにいる栗の雑魔が一つ。
「あれが食べられる栗でしたら、どんな味がするんでしょうか」
「大味かもしれねェぞ?」
「大きいだけに?」
風が面白くなかったと言う顔で万歳丸を見上げた。
「殻は固そうだな」
「そうだな……殻を破ったら栗の雑魔が飛び出してきて……とか」
「……あるのか」
ディアドラが「倒すのみだ」とレイオスと確認し合う。考えておけば不測の事態にはならないで済むだろう。
「どうやって落とすかですね」
「そうですね、魔法で叩き落とせますか」
「魔法で一撃で倒れてくれるってことはないでしょうね」
セレナと怜は首をひねった。
「ゆすってくる」
考えも仕方がないとレイオスが様子を見ながら歩み寄る。
「はい、はーい、援護しますよー有料で!」
「……プロテクションを一つ」
さすがにレイオスは風に魔法をかけてもらうことにした。
落ちてきたら狙えるように、ディアドラと怜、万歳丸が構える。セレナはアースウォールを掛けて遮蔽物を少しでも増やした。
近寄ったら降ってくる可能性もあるため盾を持ち、かばう用意をしてレイオスは進む。
落ちては来なかった。
木をゆすった。ゆらゆらとしばらく揺らした。
プロテクションが切れたころ雑魔は動いた。枝だと枝の隙間が広がったのか降ってきたのだ。
とっさに回避をするも、レイオスの上に栗の雑魔は落ちてきた。
ボデリ。
栗にあるまじき音がした。話通り大きく、農家の夫妻の怪我を思った。
「注射でもないのにそうそう刺されてたまるかっ!」
攻撃するためにマテリアルを込めて攻撃を叩きこむが、雑魔が転がって避けた。
「ためしに攻撃してみよう」
カウンター攻撃も視野に入れているがどのような強さなのか見てみることにする。ディアドラの鋭い攻撃は命中し、小さい栗とは異なる手ごたえを感じた。
「もう一度、かけておきますねー」
風はレイオスにプロテクションを掛け、心の中で金額を追加しておく。
セレナから魔法の石つぶてが飛び雑魔を攻撃し、怜の剣が栗を突く。
「羅羅羅羅ァ」
万歳丸はマテリアルめぐらせ、栗の雑魔を掴んで投げ倒した。木に刺さればいいとも思ったがそこは外れてしまった。
ゴロン。
取り合えず雑魔は転がり、もぞもぞと動き、角度が変わった。
「天と地があるってェことか?」
まさに起き上がったという雰囲気であったから。
この隙を見逃さす攻撃を叩きこむハンターたち。
そして、この雑魔は針を飛ばすと言う話もあったがそのような隙もなく、叩き割られ、塵へと還った。
「はいはいーい、怪我治しますよ、集まってくださいねー」
風の言葉に有料でという言葉がないが、負傷があったレイオスと怜は「自力で」という返答しようとした。その前に祈りによる奇跡が起こる。
ふわりと広がるマテリアルの中、無数の注射器が現れ、レイオスと怜を襲った。いや、傷を治すために突き刺さる。
「う、うわあああ」
「きゃあああああ」
レイオスと怜の悲鳴が上がる中、傷は治っているようだった。
怪我を治すのに針の山に突撃されるとは、なんという惨劇だろうか。
前衛で幸いけがをしなかったディアドラと万歳丸の表情は何とも言えないモノだったと、セレナは分析していた。怪我をしていれば、あれを浴びていたのだから。いや、それは後衛とて同じだとセレナは気づかないふりをした。
●栗っ!
「無事終わりましたよ」
さ、栗をくださいと続きそうないい笑顔で風が告げる。
イノアは疲労をしているらしいレイオスと怜を見つつ、怪我は大したことがなさそうだが大変だったのだろうと理解した。
「……農家の人にあいさつをしたいです。もう、脅威は去ったと教えたいのです」
セレナの言葉にイノアはうなずいた。
「家は近くだそうですので、そちらで……栗も……」
ちらりとイノアは商人を見た。商人はうなずく。
農家にたどり着くと、ベッドに横になっている夫妻がいた。妻の方は怪我と共に精神的に参っており、夫の方は命こそ助かったが怪我がひどく動けない。
「もう、栗の雑魔はいません」
セレナの言葉に農家の夫婦は安堵を見せ、領主の代理であるイノアに頭を下げる。
「いえ、結局は魔法公害を起こしたラプティス殿がいけないのですから」
雑魔が湧いた原因を睨まれ商人は冷や汗をかく。
ハンターたちの無言の声、栗をクリ……。
「医療費やその間の栗の収穫にかかる費用……等々こちらで持ちます」
商人はうなだれた。これで済むのだから、実際は安いもの。
茹でた栗、蒸した栗、焼き栗……収穫済みと合わせ栗拾いもしてハンターはいただく。
「おしいですよー、さすがです」
風は満足した様子で口に頬張る。
「荷物には空がありますので、何でしたらお持ち帰り用の、栗とか包んでくれても良いのですよー?」
「さすがにそれはまずいだろう……」
レイオスの言葉に風はむっとした様子を見せ、笑顔で手を出す。
「なら、ここでレイオスさんと怜さんが食べようとしてる栗をいただきたいですねー。ほら、助けましたし」
それは自分たちが払ったことになるのか否か、良くわからないが、レイオスと怜は手元にあった栗を渡した。
「本人が満足すればいいのか」
「そうですね……。それにしても、栗おいしいですね。蒸し栗はまた一味違っておいしいです」
レイオスはあきれ、怜は苦笑しながら自分自身も栗を食べる。
「……」
無言でセレナは食べている。表情がないようにも見えるが、美味しい物を食べているというオーラは浮かんでいた。
「うまいもんは久々だ」
万歳丸が食べると大きめの栗も大して効果はない。
「ふむ、焼き芋ができないのは寂しいが仕方がない。しかし、栗は焼いても煮ても蒸してもおいしい」
ディアドラが笑った。
喜んでくれることはいいことだとイノアは微笑んだ。民に安心を、それを考えればハンターも民には違いなかった。
風のあの小さい体のどこに入ったのか、用意された栗は消えていた。
「今度はメロンやスイカ農家に現れませんかねー」
「季節が廻らないと難しいですよ」
風に怜は困ったように答えた。
「困ったらまた呼んでくれや。この……未来の大英雄を、な!」
事件も解決され満悦な万歳丸が手を振る。
「大王たるボクも解決できてよかったぞ」
ディアドラの笑顔に、イノアはうなずいた。
「栗もおいしかった……」
「秋の味覚だな、やっぱり」
セレナとレイオスが賛辞して立ち去った。
見送るイノアは強く明るい彼らをうらやましいと思う。
ふとしたきっかけで兄のことは考える。死んだ頃の年齢の少年少女や生きていればの年齢の男性がいると。
夢には生きられない、現実を見ないといけない。
「ラプティス殿、農家の人は頼みますよ?」
「はい、お嬢様」
「父にはわたくしから報告はしておきますから」
商人は頭を下げた。
ハンターたちは栗畑の入口に立つ。
「巨大栗か。立派秋の味覚の一つなのだがな。だが、民に手を出す栗は許されんな! 大王直々に懲らしめてくれよう」
古の大王を自称するディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)がさわやかで愛らしく、神々しくさえ感じられる笑顔で告げる。
「……普通の栗は人を襲いません」
立ち会うために来ていたイノアは真顔で突っ込みを入れた。
「でかい栗か……もしそれを火の中に突っ込んだら」
弾けて飛んだところを想像し、相当痛いだろうとレイオス・アクアウォーカー(ka1990)は過去にやったことを思いだし身震いする。
「大層立派な栗らしィが……妖怪、じゃねェ、歪虚の類は食ねェンだったか……まァ、人を襲ったァていうからには、キッカリシッカリ落とし前つけなくちゃなァ」
万歳丸(ka5665)が悔しがり、義憤に震える。
イノアは初めて見る鬼に驚きながら、不調法とはいえども観察してしまう。
「さっさと退治して、農家の方に食べられる栗を要求しましょう!」
最上 風(ka0891)は拳を突き上げた。
ハンターの首が縦に動き、同意を示しているようにイノアと商人には見えた。
「……そうです、栗はおいしいですから……ええ、美味しいですから」
セレナ・デュヴァル(ka0206)は静かに告げ、視線の先は普通の栗とイノアと商人をうろうろとしていた。
「それに、リアルブルーには秋の風物詩として『焼き芋』と言うのもあるらしい」
「芋と落ち葉があればできますよ? なかなかやる機会はありませんね」
並木 怜(ka3388)が懐かしむようにディアドラに答えた後、依頼人たちを見る。
「そうですね……成果によっては考慮いたします」
イノアはちらりと商人を見る。
商人は脳内でソロバンをはじき、期待に満ちた視線を浴びることとなった。
●上っ!
まずは木に隠れている栗な雑魔たちを倒すことにする。
「目視」
セレナと風が術具・法具を持って上を見る。
「木を軽く蹴る」
雑魔は無防備な頭を狙ってくると言われているため、レイオスは兜をかぶらずフラワーサークレットをはめている。手に持つ盾でいざとなったら栗から身を守るつもりで。
怜も頷きながら、頭頂部を完全には覆わない猫耳カチューシャをはめる。
「木に変な傷がねェか見ながら行く」
「松明に反応を示すかもしれぬ」
万歳丸とディアドラが意見を出し終え、一行は相談する。
適度な距離を置きつつ、中央の巨大栗を避け一通り見てみることとなる。それでも駄目なら火を使い刺激を与える。
適宜距離を取りつつレイオス、ディアドラ、怜そして万歳丸が進み、少し遅れてセレナと風がついていく。
最初に一度、レイオスが盾で頭をかばいながら木を蹴る。ポテポテと落ちかけていた栗は降ってきた。
「……結構ありますし、後衛、一応帽子かぶってます」
セレナがポツリ言った、等間隔に並ぶ木を指さしながら。本当に危険ならば、そこでまた別に考えればよいだろう。
「お、おう」
そして、じわりじわりと一行は進む。
ガサガサ……ポテッ。
レイオスとディアドラが盾を構えて振り返り、怜は回避も考え目標物を見る。
誰にとでもなく降って来たらしい雑魔は、一行に気付かれていたため、間近だった万歳丸が盾で受けた。
地面に転げ落ちた栗雑魔は栗のふりをしているのか静かだ。
万歳丸が叩き潰すように足を振り下ろすと、回避するようなそぶりを見せたがよけきれなかったようでぐちゃりとつぶれて消えた。
複数近くにいるということも意識はしていただろうが、その雑魔に気を取られていたのは否めない。
ポテッ。
「きゃああ」
怜の上の栗雑魔が降ってきた。怜から転げ落ちが栗雑魔はそのまま、飛び跳ねるように怜を攻撃する。
とっさに【ムーバブルシールド】を展開して回避した。
レイオスとディアドラが続けて攻撃をするが、雑魔はコロリコロリと回避する。
風は魔法を使うか様子を見つつ、周りに目を配る。味方には余裕があるため、不意打ちが得意な雑魔がいつ来るか分からないし注意を払うのが良い。
セレナからアースバレットが飛び、命中した。直後には雑魔が倒れて消えていた。
「すばしっこいな、当てることができれば倒せるわけだが」
ディアドラが木を見上げる。
「回復と防御の魔法はいりますかー? 有料で!」
風の本気か冗談か計りかねる言葉に怜は、自分の頭の傷を確認する。
(まだ、問題ないし、マテリアルヒーリングあるし)
「無理しなくていいですよー」
「無理していないですよ」
ニコリと笑いながら怜は風を回避した。
体勢を整え、一行は再び進む。
角を曲がり、中央を避けて奥に向かう。中央がちらりと見えるところで覗くが、さすがによくは分からない。倒れた梯子や荒れた木肌が見え何かいることをうかがわせた。
前衛が角を曲がったところで栗雑魔に気づく。
「おっ、先の木に変なのがいる?」
「ふむ、いるな」
レイオスとディアドラが話している中、怜も気づいてうなずく。
「レイオスさん、上ですっ!」
皆が見ているところとは別に雑魔がいるのを風が気付き、声を掛けた。栗が飛び降りてきた、前衛たちが通り過ぎた横の木から。
雑魔はレイオスの後頭部に体当たりを食らわせた。
「うわあ」
レイオスは振り返りざまに試作電撃刀を叩きつけた。回避はされなかったが栗雑魔は動いていた。
小さいから当てにくい上に、避けられなかなか攻撃が当たらない。
怜は雑魔に体当たりをされたが、間一髪で避けた。
再び互いに攻撃を当てられない状況があり、ようやくレイオスが倒した。
「ちィーせー」
万歳丸は下を見続けたため凝る肩を鳴らした。
「人間である私達が相手でも小さいです」
セレナが言ったのを身長が低いディアドラと風も頷いていた。
「次は居場所分かっているんだ」
気を取り直してレイオスは武器を構える。
「魔法で叩き落とします」
セレナが放つファイアアローが真っ直ぐ飛び、命中した。
栗はポーンと飛び、その先の木の上に落ちるくらいに消えた。
「……消えたのでしょうか」
「……よく見えない」
セレナに対してディアドラが上を見つつ答え、身長が高い者たちに意見を求める。
「たぶん、やったと思う」
レイオスは雑魔がやられたときの感じと似ていたと経験則から考えた。試にもともと雑魔がいた木と隣の木をゆすってみる。
「物はためしだ」
松明に火をつけてディアドラが煽ってみる。
いずれも反応は特になかった。しかし、雑魔が存在しないと言う証拠ではなかった。
進もうとしたときだった。
「レイオスさん、上!」
怜が声を上げてレイオスを突き飛ばす。
「なんで、オレばかり!」
「まずは退ける! 破ッ」
空中にいる間の雑魔を万歳丸が気合のこもった攻撃をし、見事に粉砕した。
「……ふむ、身長か」
前衛で歩いているメンバーはディアドラより全員背が高かった。偶然か防御が薄すそうなところを狙っているのか、分からないのは事実。
「頭の防御の強さ……と身長……」
怜はどちらも当てはまるとうなずく。わざわざ試す必要もない、答えは不要かも知れない。
「有料で回復しますよー。拳で栗なんて痛いでしょー」
全員「まだ問題ない」と言葉を返した。
スタート地点に戻り、そこから中央の巨大栗に向かって移動をすることにした。
●針っ!
巨大栗がいる木を囲むように、木に隠れて一行は様子をうかがう。
そこには主のようにいる栗の雑魔が一つ。
「あれが食べられる栗でしたら、どんな味がするんでしょうか」
「大味かもしれねェぞ?」
「大きいだけに?」
風が面白くなかったと言う顔で万歳丸を見上げた。
「殻は固そうだな」
「そうだな……殻を破ったら栗の雑魔が飛び出してきて……とか」
「……あるのか」
ディアドラが「倒すのみだ」とレイオスと確認し合う。考えておけば不測の事態にはならないで済むだろう。
「どうやって落とすかですね」
「そうですね、魔法で叩き落とせますか」
「魔法で一撃で倒れてくれるってことはないでしょうね」
セレナと怜は首をひねった。
「ゆすってくる」
考えも仕方がないとレイオスが様子を見ながら歩み寄る。
「はい、はーい、援護しますよー有料で!」
「……プロテクションを一つ」
さすがにレイオスは風に魔法をかけてもらうことにした。
落ちてきたら狙えるように、ディアドラと怜、万歳丸が構える。セレナはアースウォールを掛けて遮蔽物を少しでも増やした。
近寄ったら降ってくる可能性もあるため盾を持ち、かばう用意をしてレイオスは進む。
落ちては来なかった。
木をゆすった。ゆらゆらとしばらく揺らした。
プロテクションが切れたころ雑魔は動いた。枝だと枝の隙間が広がったのか降ってきたのだ。
とっさに回避をするも、レイオスの上に栗の雑魔は落ちてきた。
ボデリ。
栗にあるまじき音がした。話通り大きく、農家の夫妻の怪我を思った。
「注射でもないのにそうそう刺されてたまるかっ!」
攻撃するためにマテリアルを込めて攻撃を叩きこむが、雑魔が転がって避けた。
「ためしに攻撃してみよう」
カウンター攻撃も視野に入れているがどのような強さなのか見てみることにする。ディアドラの鋭い攻撃は命中し、小さい栗とは異なる手ごたえを感じた。
「もう一度、かけておきますねー」
風はレイオスにプロテクションを掛け、心の中で金額を追加しておく。
セレナから魔法の石つぶてが飛び雑魔を攻撃し、怜の剣が栗を突く。
「羅羅羅羅ァ」
万歳丸はマテリアルめぐらせ、栗の雑魔を掴んで投げ倒した。木に刺さればいいとも思ったがそこは外れてしまった。
ゴロン。
取り合えず雑魔は転がり、もぞもぞと動き、角度が変わった。
「天と地があるってェことか?」
まさに起き上がったという雰囲気であったから。
この隙を見逃さす攻撃を叩きこむハンターたち。
そして、この雑魔は針を飛ばすと言う話もあったがそのような隙もなく、叩き割られ、塵へと還った。
「はいはいーい、怪我治しますよ、集まってくださいねー」
風の言葉に有料でという言葉がないが、負傷があったレイオスと怜は「自力で」という返答しようとした。その前に祈りによる奇跡が起こる。
ふわりと広がるマテリアルの中、無数の注射器が現れ、レイオスと怜を襲った。いや、傷を治すために突き刺さる。
「う、うわあああ」
「きゃあああああ」
レイオスと怜の悲鳴が上がる中、傷は治っているようだった。
怪我を治すのに針の山に突撃されるとは、なんという惨劇だろうか。
前衛で幸いけがをしなかったディアドラと万歳丸の表情は何とも言えないモノだったと、セレナは分析していた。怪我をしていれば、あれを浴びていたのだから。いや、それは後衛とて同じだとセレナは気づかないふりをした。
●栗っ!
「無事終わりましたよ」
さ、栗をくださいと続きそうないい笑顔で風が告げる。
イノアは疲労をしているらしいレイオスと怜を見つつ、怪我は大したことがなさそうだが大変だったのだろうと理解した。
「……農家の人にあいさつをしたいです。もう、脅威は去ったと教えたいのです」
セレナの言葉にイノアはうなずいた。
「家は近くだそうですので、そちらで……栗も……」
ちらりとイノアは商人を見た。商人はうなずく。
農家にたどり着くと、ベッドに横になっている夫妻がいた。妻の方は怪我と共に精神的に参っており、夫の方は命こそ助かったが怪我がひどく動けない。
「もう、栗の雑魔はいません」
セレナの言葉に農家の夫婦は安堵を見せ、領主の代理であるイノアに頭を下げる。
「いえ、結局は魔法公害を起こしたラプティス殿がいけないのですから」
雑魔が湧いた原因を睨まれ商人は冷や汗をかく。
ハンターたちの無言の声、栗をクリ……。
「医療費やその間の栗の収穫にかかる費用……等々こちらで持ちます」
商人はうなだれた。これで済むのだから、実際は安いもの。
茹でた栗、蒸した栗、焼き栗……収穫済みと合わせ栗拾いもしてハンターはいただく。
「おしいですよー、さすがです」
風は満足した様子で口に頬張る。
「荷物には空がありますので、何でしたらお持ち帰り用の、栗とか包んでくれても良いのですよー?」
「さすがにそれはまずいだろう……」
レイオスの言葉に風はむっとした様子を見せ、笑顔で手を出す。
「なら、ここでレイオスさんと怜さんが食べようとしてる栗をいただきたいですねー。ほら、助けましたし」
それは自分たちが払ったことになるのか否か、良くわからないが、レイオスと怜は手元にあった栗を渡した。
「本人が満足すればいいのか」
「そうですね……。それにしても、栗おいしいですね。蒸し栗はまた一味違っておいしいです」
レイオスはあきれ、怜は苦笑しながら自分自身も栗を食べる。
「……」
無言でセレナは食べている。表情がないようにも見えるが、美味しい物を食べているというオーラは浮かんでいた。
「うまいもんは久々だ」
万歳丸が食べると大きめの栗も大して効果はない。
「ふむ、焼き芋ができないのは寂しいが仕方がない。しかし、栗は焼いても煮ても蒸してもおいしい」
ディアドラが笑った。
喜んでくれることはいいことだとイノアは微笑んだ。民に安心を、それを考えればハンターも民には違いなかった。
風のあの小さい体のどこに入ったのか、用意された栗は消えていた。
「今度はメロンやスイカ農家に現れませんかねー」
「季節が廻らないと難しいですよ」
風に怜は困ったように答えた。
「困ったらまた呼んでくれや。この……未来の大英雄を、な!」
事件も解決され満悦な万歳丸が手を振る。
「大王たるボクも解決できてよかったぞ」
ディアドラの笑顔に、イノアはうなずいた。
「栗もおいしかった……」
「秋の味覚だな、やっぱり」
セレナとレイオスが賛辞して立ち去った。
見送るイノアは強く明るい彼らをうらやましいと思う。
ふとしたきっかけで兄のことは考える。死んだ頃の年齢の少年少女や生きていればの年齢の男性がいると。
夢には生きられない、現実を見ないといけない。
「ラプティス殿、農家の人は頼みますよ?」
「はい、お嬢様」
「父にはわたくしから報告はしておきますから」
商人は頭を下げた。
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栗拾い?相談卓 レイオス・アクアウォーカー(ka1990) 人間(リアルブルー)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/10/13 09:44:02 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/12 08:56:29 |