ゲスト
(ka0000)
FBO2
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2014/07/29 12:00
- 完成日
- 2014/08/11 23:01
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
辺境のとある草原――。
「やああああああああああっ!!」
少年が咆哮し、跳躍。きつく握り締めた長剣で敵の胴体を大きく斬り上げる。
敵――ラージヴォイドボア、巨大な猪型歪虚は堪らず「ブモォォォッ!?」と悲鳴を上げた。
最後まで斬り上げた後に少年は着地。それと共に巨大な猪は大きな音を立てて地面に倒れ伏し、黒い霧となって散った。
「はぁ……はぁ……」
少年は屈んだ体勢のまま荒い息をつく。
正直……危なかった。たった今倒したラージヴォイドボアは並みのヴォイドボアよりも遥に強い。
生命力が高く、攻撃力もあった。あの巨体から繰り出される突撃を一度でも受けていたら……と思うと肝が冷える。
敵は巨体ゆえに避けるのはそう難しくはなかったが……。
少年は戦闘で負った傷をマテリアルヒーリングで癒す。
童顔で女顔、細身の少年――綾川・琉人は『えらくでかい猪が暴れているので退治してほしい』という依頼を単独で受けていた。
『腕試し!』と意気込んで挑んだ結果がこれである。琉人は人付き合いが少し苦手……そのため単独で挑んだのだが、今回の件で懲りた。
今後は素直に仲間を頼ろうと誓う、一般的に見れば美少年……が回復を終え額の汗を服の袖で拭い、空に目をやると……もう日が暮れ始めていた。
琉人は依頼の報告をするべく、辺境部族集落へ向かった。
***
辺境部族集落――。
琉人は何とか今晩の宿を確保。と言ってもただの民家だが。
「ハンターさん、猪の歪虚を倒していただいて、ありがとうございます。今夜はゆっくりして行ってくださいね」
家の主である二十代後半ほどの美しい女性がぺこりとお辞儀してきた。琉人は「いえ……僕はハンターですから」とだけ返す。
二人は食事を終え、椅子に腰かけテーブルについてお茶を飲む。
「最近はどこも物騒で困ります……。元々、辺境は戦いが絶えませんが……」
女性は神妙な面持ちで視線を下に向ける……。
その表情を読み、琉人はまだ何か問題を抱えているのだろうか? と思う。
そのとき。
「お母さん、誰か来てるの?」
可愛らしい声がした。振り向いてみると、毛布を引きずった幼い少女の姿。
「こら、ダメでしょ。ちゃんと寝てないと」
「お兄ちゃんって……もしかしてハンターさん?」
女性――母親の言葉を聞かず、少女は琉人に話しかけてくる。
「あ、ああ。そうだよ。今日はここに泊めてもらうんだ。お邪魔してごめんね」
……どうやら背中の剣と腕に装備したアルケミストデバイスで気付かれてしまったらしい。
「ううん、お邪魔なんかじゃないよ。ハンターさんかぁ……すごいなあ。お母さん、ずるい。私もお話し……げほっ、げほっ」
急に少女が咳き込む。
「ほらダメじゃない。早く部屋に戻って寝なさい。ちゃんと寝ないと治るものも治らないわよ」
「はぁーい……」
少女は不満げな声を漏らしつつ、母親に連れられて奥の部屋に戻って行った。
しばらくして、母親が戻ってくる。
「すみません。娘が……」
「いえ。僕は全然気にしていませんので」
申し訳なさそうな母親に向かって琉人はぶんぶんと手を振る。
「……娘さん、どこか悪いんですか?」
「はい……あの子は生まれつき身体が弱くて……。でも毎日薬草のスープを飲ませていたら外で遊べるくらい元気になっていたのですが……」
やはり、何か問題がありそうだ。
「詳しく聞かせてください」
琉人は真剣な眼差しで母親の顔を見た。少し置いて、母親は遠慮がちに口を開く。
「最近、その薬草が採れる森に多数の歪虚が出るようになったんです。私の力では歪虚に挑むなんて到底無理で……どうしたら良いか……」
「このまま薬草が採れないとあの子は……」と、母親は両手で顔を覆う。
「僕が行きます。僕がその森に行って歪虚を倒して来ます」
「えっ……? そんな……ハンターさんにはもう大猪を倒していただいたのに……これ以上ご迷惑をかけるわけには……」
母親は顔を上げるが、表情は曇ったままだ。
「ええ、流石に敵が多数となると僕一人ではキツイですね。ハンターズソサエティに依頼します。もちろん僕も同行します」
母親は「でもそんなお金は……」と言う。
「報酬は最低限で構いません。長老さんにもお願いしてみましょう。娘さんをこのままにはしておけない」
「ハンターさん……ありがとうございます……」
「僕、リアルブルーからこの世界に来たんですけど……向こうには妹が居るんです。だから、放ってはおけないんです」
はっきりとした口調で琉人は言った。
長いこと会っていない妹……。妹が幼いころはあの子のようによく熱を出しては寝込んでいた。
ゆえに、あの子と妹が重なって見えた。自分は、この親子の役に立ちたい……! 琉人は強くそう思った。
「あ、そうだ。その薬草ってどんなものなんですか?」
「ええと……特徴的な葉っぱの形をしているのですぐに判ります。確か絵が描かれた本が――」
***
翌日、琉人は早朝に長老の家へ押しかけて話をつけ、一番の馬車でハンターズソサエティのある要塞都市【ノアーラ・クンタウ】へと向かった。
「やああああああああああっ!!」
少年が咆哮し、跳躍。きつく握り締めた長剣で敵の胴体を大きく斬り上げる。
敵――ラージヴォイドボア、巨大な猪型歪虚は堪らず「ブモォォォッ!?」と悲鳴を上げた。
最後まで斬り上げた後に少年は着地。それと共に巨大な猪は大きな音を立てて地面に倒れ伏し、黒い霧となって散った。
「はぁ……はぁ……」
少年は屈んだ体勢のまま荒い息をつく。
正直……危なかった。たった今倒したラージヴォイドボアは並みのヴォイドボアよりも遥に強い。
生命力が高く、攻撃力もあった。あの巨体から繰り出される突撃を一度でも受けていたら……と思うと肝が冷える。
敵は巨体ゆえに避けるのはそう難しくはなかったが……。
少年は戦闘で負った傷をマテリアルヒーリングで癒す。
童顔で女顔、細身の少年――綾川・琉人は『えらくでかい猪が暴れているので退治してほしい』という依頼を単独で受けていた。
『腕試し!』と意気込んで挑んだ結果がこれである。琉人は人付き合いが少し苦手……そのため単独で挑んだのだが、今回の件で懲りた。
今後は素直に仲間を頼ろうと誓う、一般的に見れば美少年……が回復を終え額の汗を服の袖で拭い、空に目をやると……もう日が暮れ始めていた。
琉人は依頼の報告をするべく、辺境部族集落へ向かった。
***
辺境部族集落――。
琉人は何とか今晩の宿を確保。と言ってもただの民家だが。
「ハンターさん、猪の歪虚を倒していただいて、ありがとうございます。今夜はゆっくりして行ってくださいね」
家の主である二十代後半ほどの美しい女性がぺこりとお辞儀してきた。琉人は「いえ……僕はハンターですから」とだけ返す。
二人は食事を終え、椅子に腰かけテーブルについてお茶を飲む。
「最近はどこも物騒で困ります……。元々、辺境は戦いが絶えませんが……」
女性は神妙な面持ちで視線を下に向ける……。
その表情を読み、琉人はまだ何か問題を抱えているのだろうか? と思う。
そのとき。
「お母さん、誰か来てるの?」
可愛らしい声がした。振り向いてみると、毛布を引きずった幼い少女の姿。
「こら、ダメでしょ。ちゃんと寝てないと」
「お兄ちゃんって……もしかしてハンターさん?」
女性――母親の言葉を聞かず、少女は琉人に話しかけてくる。
「あ、ああ。そうだよ。今日はここに泊めてもらうんだ。お邪魔してごめんね」
……どうやら背中の剣と腕に装備したアルケミストデバイスで気付かれてしまったらしい。
「ううん、お邪魔なんかじゃないよ。ハンターさんかぁ……すごいなあ。お母さん、ずるい。私もお話し……げほっ、げほっ」
急に少女が咳き込む。
「ほらダメじゃない。早く部屋に戻って寝なさい。ちゃんと寝ないと治るものも治らないわよ」
「はぁーい……」
少女は不満げな声を漏らしつつ、母親に連れられて奥の部屋に戻って行った。
しばらくして、母親が戻ってくる。
「すみません。娘が……」
「いえ。僕は全然気にしていませんので」
申し訳なさそうな母親に向かって琉人はぶんぶんと手を振る。
「……娘さん、どこか悪いんですか?」
「はい……あの子は生まれつき身体が弱くて……。でも毎日薬草のスープを飲ませていたら外で遊べるくらい元気になっていたのですが……」
やはり、何か問題がありそうだ。
「詳しく聞かせてください」
琉人は真剣な眼差しで母親の顔を見た。少し置いて、母親は遠慮がちに口を開く。
「最近、その薬草が採れる森に多数の歪虚が出るようになったんです。私の力では歪虚に挑むなんて到底無理で……どうしたら良いか……」
「このまま薬草が採れないとあの子は……」と、母親は両手で顔を覆う。
「僕が行きます。僕がその森に行って歪虚を倒して来ます」
「えっ……? そんな……ハンターさんにはもう大猪を倒していただいたのに……これ以上ご迷惑をかけるわけには……」
母親は顔を上げるが、表情は曇ったままだ。
「ええ、流石に敵が多数となると僕一人ではキツイですね。ハンターズソサエティに依頼します。もちろん僕も同行します」
母親は「でもそんなお金は……」と言う。
「報酬は最低限で構いません。長老さんにもお願いしてみましょう。娘さんをこのままにはしておけない」
「ハンターさん……ありがとうございます……」
「僕、リアルブルーからこの世界に来たんですけど……向こうには妹が居るんです。だから、放ってはおけないんです」
はっきりとした口調で琉人は言った。
長いこと会っていない妹……。妹が幼いころはあの子のようによく熱を出しては寝込んでいた。
ゆえに、あの子と妹が重なって見えた。自分は、この親子の役に立ちたい……! 琉人は強くそう思った。
「あ、そうだ。その薬草ってどんなものなんですか?」
「ええと……特徴的な葉っぱの形をしているのですぐに判ります。確か絵が描かれた本が――」
***
翌日、琉人は早朝に長老の家へ押しかけて話をつけ、一番の馬車でハンターズソサエティのある要塞都市【ノアーラ・クンタウ】へと向かった。
リプレイ本文
●植物型歪虚退治
要塞都市【ノアーラ・クンタウ】のハンターズソサエティで依頼を受けた八名のハンター達。
彼らは今回の依頼人代行である、同じくハンターの綾川・琉人と合流後、すぐさま問題の集落へと向かった。
***
暫く馬車に揺られ、付近の森に歪虚が出現したという辺境部族の集落に到着。ハンター達は早速事前準備を開始。
一見気だるそうな様子の赤髪長髪の青年、ヒース・R・ウォーカー(ka0145)。
(作戦領域は広く、敵の数は多く、覚醒時間も限られている。それでも心を乱さず焦らずに、と)
その見た目とは裏腹に、彼は今回の依頼が中々に難しいものであると理解していた。
「基本を忘れず、己を忘れず……さぁ、行こうかぁ」
ヒースは森へ入る前に薬草の絵が描かれた本を借りようとしたが、その本は既に琉人が持っていた。
「女の子に必要な薬草が手に入らないなんて一大事だよ。お母さんが心配しなくて良い様にしないとね!」
ラウリィ・ディバイン(ka0425)――金髪碧眼の陽気なエルフの少年がその様に言った。
「琉人さんも宜しくね。力を合わせて、頑張ろうね」
同じハンターである琉人に挨拶した後、ラウリィは集落の長老にお願いし、薬草が群生する森の大まかな地図を二枚入手。
「シルヴェイラという。宜しく頼む」
依頼の参加者に恭しく挨拶をする銀髪銀目のエルフ、シルヴェイラ(ka0726)。
「ウツボカヅラを殲滅して、薬草の葉を採りに行けば良い訳、か……」
今回の依頼内容は『森に出現した植物型歪虚の完全排除』であるが、ついでに薬草を採取してくるのも効率的と言える。
「で、その葉の形は?」
シルヴェイラは念の為、琉人に確認。琉人は本の薬草の絵が描かれたページを見せる。
「……ふむ、これか。すぐに見つかれば良いんだけどな」
「さぁて、お嬢ちゃんの為だ。頑張らねぇとな」
ナイスミドルな紫月・海斗(ka0788)はカウボーイハットのつばをくいっと。
「少年、琉人だったか。まぁ宜しく。協力ついでに、薬草採取の方法と必要量を聞いておくのはどうだ?」
青髪のメガネ男子、ブラオ・コールマン(ka1131)もシルヴェイラと同じ考えの様である。
琉人は「そのつもりです」と答えた。琉人が一晩世話になった親子はすぐにでも薬草がほしい所だろう。
「上手く事が運んだら軽く摘んで届けてやれば良い。今必要な薬草をわざわざ母親に採りに行かせるのも手間だしな」
「大変な依頼の様ですが……盾となって皆さんを守ります!」
長く綺麗な金髪に緑の瞳、色白の肌をした聖導士の聖盾(ka2154)はやる気満々。
「薬草の群生地、頑張って歪虚から取り返しましょうね!」
「大事な薬草を歪虚の好きにさせる訳にはいきませんねっ。あの家族の為にも頑張りませんと!」
やや幼い、可愛らしい顔つきのプルミエ・サージ(ka2596)。
彼女が気合十分に腕を突き上げると……容姿に不釣り合いな、たわわな二つの果実がぽよんと揺れた。
「ま、こういう坊主は嫌いじゃねえ。ちょいとばかしお手伝いをしてやるとするか」
初見では髭面の渋いおじさん、といった印象を受けるゴロー・S・ホーガン(ka2713)は琉人を待機組へ誘う。
「一人でやれる事の限界、身に染みてんだろ? ここは共同戦線といこうぜ」
今回、ハンター達が立てた作戦では二組に分かれる事になる。
琉人は「分かりました。宜しくお願いします」とゴローに頭を下げる。
ゴローは「ああ、宜しく頼むぜ」と言った後に魔導短電話を取り出し、ヒースを通話者に指定。
他の魔導短電話持ちも作戦通りに通話者を指定。トランシーバー持ちも周波数を設定。
そして海斗とゴローは持参したロープを目印用に染料で赤く塗り、一本を別の組であるヒースに渡した。
事前準備が完了したハンター達はいよいよ植物型歪虚が蔓延る森へ向かう……。
●VSヴォイドネペンテス 前半
歪虚が出るという森へ到着した一行……。
そこは大きな木々が生い茂っており、日の光を覆い隠し薄暗く、少し不気味だった。
さて、ここからは二組に分かれての行動となる。
索敵組は隠密の心得があるヒース、ラウリィ、ブラオの三名。
待機組は上記三名を除く全員……シルヴェイラ、海斗、聖盾、プルミエ、ゴロー。そして琉人。
「作戦通り、まずはボク達索敵組が先行するから待機組はポイントが見つかるまで警戒しつつゆっくり進んで貰えると助かるねぇ」
ヒースの言葉に待機組全員が「了解」と答える。
***
索敵組――。
まずは先行して薬草の分布調査を行う三人。
敵は音に敏感らしいので、なるべく音と立てない様に隠密行動。
ブラオは当初、分散して偵察しようとしたが「単独行動は危険」とラウリィに制止された。
「確かに一人で多数に囲まれたら大ピンチだな。了解した」
ブラオは頷き、不測の事態でもない限り三人一緒に森の中を進む……。
暫くして、索敵組の三人は森の中をぐるっと回り、薬草の分布をほぼ把握。
一周して戻り、森の入り口に近い場所で薬草が生えていないエリアを発見。ここが待機に丁度良さそうだ。
ヒースはすぐに待機組のゴローへ連絡。
「索敵組より待機組へ。適正ポイントを発見。位置を伝える」
そして近くの木に赤く塗ったロープを巻いて目印にした。
「索敵組より待機組へ。こちらは次の段階……敵の把握と待機ポイントへの誘導へ移る」
通話終了。索敵組は再び動き出す。
***
また森を回っている途中、討伐目標である植物型歪虚を発見したがいずれも一体ずつ。戦うべきは今ではない。
もっと纏まっている敵を発見してから誘導するべきだ。
(待機組との合流前に戦うのは得策じゃないし薬草にもよくない)
ラウリィ達は木陰に身を隠し、息を潜めてやり過ごした。
***
待機組――。少し時間を遡る。
こちらは警戒しつつゆっくりと前進。
シルヴェイラは出発前、彼は要塞都市【ノアーラ・クンタウ】内のハンターズソサエティにて、森――
ここに群生する薬草の分布について知っている者が居ないか訊いて回ったが、知る者を見つける事は出来なかった……。
(一ヶ所に集中している、となったら厄介だな)
道端に生えている薬草を見つけた海斗は……
「と、そうだ。今の内に少し採取しておこう。直ぐにでも使いたいだろうからな」
聖盾は大きな音を立てない様に慎重に行動。そして前方を警戒する琉人に提案。
「綾川君、戦闘では前衛をお願いできますか? 大丈夫! 危なくなったら私が守りますから!」
琉人は「分かりました。後ろは頼みます」と頷き、快く引き受けた。
プルミエは這った痕跡が無いか重点的に探す。敵は根っこを足の様に使って移動するらしい。
ゴローは以下の条件で待機ポイントを探していた。
1.薬草が生えていない(最低限少ない場所を選ぶ。群生地から離れていれば尚良し)
2.周囲の敵が多すぎず少なすぎない場所
……と、そんな所で魔導短伝話に着信。ヒースから連絡があった。
「索敵組が待機ポイントを発見したそうだ。すぐに移動しよう」
***
索敵組――。
ヒースは一般スキルを駆使して敵を捜索。
移動中は周辺の地形に気を配り、やはり極力音を立てない様にする。
暫く索敵を続けると、三体の歪虚――ヴォイドネペンテスが纏まって徘徊しているのを発見。
「アレを誘導しよう。待機組に連絡を」
ブラオの言葉にヒースは頷き、魔導短伝話を取り出す。
「索敵組より待機組へ。敵群を発見。とりあえず数は三体。これから待機ポイントへ誘導を開始する。戦闘に備えてくれ」
「よし、それでは始めるぞ。……こっちだ! 植物モドキ! こっちに来い!!」
ブラオは敵に向かって大声を出す。同時に前後左右と上方を警戒。
ラウリィも多方向から敵が出現しないか警戒。
(意図しない所から出てきたらまずいもんね)
大声を上げながら待機ポイントまで後退する三人。作戦通り、ヴォイドネペンテスの誘引に成功。
●VSヴォイドネペンテス 後半
索敵組が敵群を誘引しつつ待機ポイントへ到着。待機班と合流。
「まんまと誘い出されて来たな」
敵を確認したゴローは拳銃を上空へ発砲。更なる誘引を試みる。
……程無く戦闘開始。ゴローの発砲音に誘われたか、後方から更に敵二体が接近。
***
前衛――。
ヒースは太刀を抜き放ち、ヴォイドネペンテスに鋭く重い斬撃を加える。
「流石に一撃とはいかないよねぇ」
積極的に近接戦を仕掛けていく。敵の蔓を鞭とした攻撃は回避に徹する。避け切れない場合は何とか受け止めてみせる。
一体を仕留めれば他の敵の注意を引き付ける様に音を立てて動き、味方の戦闘を援護。
更にヒースは斬撃を叩き込み続ける。敵は中々にタフ。と――敵が口を開き、強酸による範囲攻撃を行ってきた。
ヒースは【マルチステップ】を用いて回避。
敵は強酸攻撃後一瞬硬直するらしく、丁度そこへ後衛の援護射撃が入った。
体勢を崩す敵。その隙を逃さず、【スラッシュエッジ】の斬撃を加え、撃破。
ブラオは攻撃スキルを惜しまず、【スラッシュエッジ】を主体として戦闘。ナイフで敵を斬り刻む。
鞭の様な攻撃を繰り出してくる蔓がどこから伸びているか注視し、主な攻撃手段である蔓をまずは斬り落とす!
もがく敵は強酸による範囲攻撃。ブラオは回避行動。暴れる敵を後衛に向かわせないよう立ち塞がり、
「おいおい、散らかすなよ。植物モドキ」
斬撃。斬撃。斬撃。
「毒草も時に薬になるが、お前達は胃が溶けそうだ」
声を出して敵を引き付け、惑わす。……強酸攻撃は確かに厄介だった。全ては避け切れない。
ブラオは一旦後退し【マテリアルヒーリング】を使用。回復。
その間は琉人が更に前に出て穴を埋めた。
後衛――。
ラウリィは【強撃】を交えながら只管に弓を引く。仲間と連携し、各個撃破に努める。
「敵さんタフだね。……だったら数を叩き込めばOK!」
たまに飛んでくる長い蔓によるダメージはなるべく自前の【マテリアルヒーリング】を用いて回復した。
「アレが今回の目標……植物型歪虚か」
(敵の強酸でダメージを負わせてしまうのは避けたい……)
シルヴェイラは弓を構えながら持ち前の視力で観察を観察。
「これでもエルフ、森の民だ。無意味に森を傷つける事になるのは避けたい」
薬草以外の森の草木も荒されたくない。
状況を整理し、【防性強化】と【運動強化】を使用後、弓にて遠距離攻撃に徹する。
海斗はまず【機導砲】をメインに射撃。
「捉えた――狙い撃つぜ!」
光条が奔りヴォイドネペンテスの表層を焼く。
「ハッ! パーティータイムと洒落込もうじゃねぇか!」
続いて水中用突撃銃を陸上用の弾倉に切り替えてから射撃を開始。
(近付かれる前に仕留めたい所だが……念の為背後と周囲、足元には気を配っておかないとな……)
トリガーに指をかけ、射撃。射撃。射撃。その間も警戒は怠らない。と、前衛の攻撃で敵の身体が揺らいだ。
「隙だらけだぜ?」
照準、射撃。
「大人ってのは子供の為に頑張らなきゃぁいけねぇのさ」
聖盾は戦闘開始直後、前衛三人に【プロテクションを】を使用。防御力を向上させる。
その後はダメージを受けた仲間に【ヒール】を使用して回復させる。
【マテリアルヒーリング】は便利だが使用する際に隙が出来てしまう。ゆえに回復役は重要。
隙を見つければ【ホーリーライト】で前衛の援護も行った。
「聖なる光よ! 歪虚を滅せよ!」
また、彼女は前衛で戦う琉人に対して特に気を配り、大きなダメージを負わぬ様に優先的に支援。
プルミエは後衛から弓を引いて攻撃。
「鞭の様な蔓も厄介ですけど最も警戒すべきは強酸攻撃ですね」
彼女は強酸が詰まっているであろう胴体の部分を集中的に狙って穴を開けられないか試みる。
――だが敵は中々にタフ。そう簡単に穴は開かなかった。
通常攻撃へ切り替え、遠い敵には【遠射】、近い敵には【強弾】と、距離によりスキルを使い分けて対応。
接近されればすぐに距離を取り、敵は仲間と連携。集中攻撃で確実に一体ずつ仕留める。
ゴローは【エイミング】と【強弾】を基本セットにして、弓を引いて交戦。
二体につき一回程度の割合……と考えていたが敵の数が多い為数が減るまで常に使用する。
どうやら最初の発砲による誘引で全ての敵を呼び込んでしまったらしい。
しかし後衛の集中攻撃と前衛の奮戦により、包囲される前に敵を倒す事が出来ていた。
このままなら敵が全滅するのも近いだろう。
程無く集まって来たヴォイドネペンテスの殲滅を完了。各自回復をしっかりしていたのでダメージは軽微で済んだ。
聖盾は無事戦闘を終えた事を神に感謝し、祈りを捧げる。
***
ラウリィは戦闘後、再度森を見回り、残敵が居ないか確認。
全部終わったら、スープに出来るだけの薬草を摘んで、集落に持ち帰る。
海斗は――
「ん、そういえば最近になって歪虚が増えたんだよな? 念の為、原因になりそうな物を探そう。また湧いてこられても困る」
「琉人の坊や、付き合ってくれ」と言うと琉人は頷く。
(他にも余力のある面子にゃ手伝って貰いたいねぇ)
と、仲間をチラ見。
「俺の取り越し苦労なら、まぁ、飯でも奢らせて貰うさ。なに、後の事を考えればこれ位はしといた方が良いだろうよ」
捜索には仲間全員が参加した。が、原因らしき物は発見出来なかった。
プルミエは親子用の薬草を確保。そして土で手を汚しつつ、戦闘の跡をなるべく消した。
「森の荒れてしまった部分は出来るだけ元に戻してあげたいですねっ」
●戦闘後……
一行は無事依頼を完了し、集落へ帰還。長老への報告後、件の親子の元へ皆で向かう事になったのだが……
ブラオはぬいぐるみを集落の雑貨屋で見繕い、自腹で購入。
見舞いの品と称して少女へ届ける様、琉人に押し付けた。
「俺は手間が省ける、少年は喜ばれる。Win-Winだろ?」
「ブラオさんが直接あげればいいじゃないですか」と琉人は言うが、
「子ども? 勿論苦手だ。なぜ手伝ったか? 気分だよ。辺境は俺が落ちてきた場所でもあるし、そういう事だ」
と言い残し、ブラオは一足先に集落を後にした。
***
それから残り全員が親子の待つ家へ向かった。
大半のハンターが薬草を採取して来たのを見て母親は喜び、何度も礼を言い、頭を下げた。
「暫く飲めてないんだよね? お母さん、すぐに作ってあげてね」
(今度会ったら一緒に遊びたいなあ♪)
ラウリィは内心でその様に思う。少女の笑顔はとびきり可愛かった。
***
そして――ヒースは依頼を終えた後、受け取った報酬の半額を村へ『病人の為に』と寄付。
これは決して裕福とは言えない辺境部族の集落にとって大変ありがたい事だった。
「受け取った報酬をどう使うかはボク次第。気まぐれな寄付、ということさぁ」
要塞都市【ノアーラ・クンタウ】のハンターズソサエティで依頼を受けた八名のハンター達。
彼らは今回の依頼人代行である、同じくハンターの綾川・琉人と合流後、すぐさま問題の集落へと向かった。
***
暫く馬車に揺られ、付近の森に歪虚が出現したという辺境部族の集落に到着。ハンター達は早速事前準備を開始。
一見気だるそうな様子の赤髪長髪の青年、ヒース・R・ウォーカー(ka0145)。
(作戦領域は広く、敵の数は多く、覚醒時間も限られている。それでも心を乱さず焦らずに、と)
その見た目とは裏腹に、彼は今回の依頼が中々に難しいものであると理解していた。
「基本を忘れず、己を忘れず……さぁ、行こうかぁ」
ヒースは森へ入る前に薬草の絵が描かれた本を借りようとしたが、その本は既に琉人が持っていた。
「女の子に必要な薬草が手に入らないなんて一大事だよ。お母さんが心配しなくて良い様にしないとね!」
ラウリィ・ディバイン(ka0425)――金髪碧眼の陽気なエルフの少年がその様に言った。
「琉人さんも宜しくね。力を合わせて、頑張ろうね」
同じハンターである琉人に挨拶した後、ラウリィは集落の長老にお願いし、薬草が群生する森の大まかな地図を二枚入手。
「シルヴェイラという。宜しく頼む」
依頼の参加者に恭しく挨拶をする銀髪銀目のエルフ、シルヴェイラ(ka0726)。
「ウツボカヅラを殲滅して、薬草の葉を採りに行けば良い訳、か……」
今回の依頼内容は『森に出現した植物型歪虚の完全排除』であるが、ついでに薬草を採取してくるのも効率的と言える。
「で、その葉の形は?」
シルヴェイラは念の為、琉人に確認。琉人は本の薬草の絵が描かれたページを見せる。
「……ふむ、これか。すぐに見つかれば良いんだけどな」
「さぁて、お嬢ちゃんの為だ。頑張らねぇとな」
ナイスミドルな紫月・海斗(ka0788)はカウボーイハットのつばをくいっと。
「少年、琉人だったか。まぁ宜しく。協力ついでに、薬草採取の方法と必要量を聞いておくのはどうだ?」
青髪のメガネ男子、ブラオ・コールマン(ka1131)もシルヴェイラと同じ考えの様である。
琉人は「そのつもりです」と答えた。琉人が一晩世話になった親子はすぐにでも薬草がほしい所だろう。
「上手く事が運んだら軽く摘んで届けてやれば良い。今必要な薬草をわざわざ母親に採りに行かせるのも手間だしな」
「大変な依頼の様ですが……盾となって皆さんを守ります!」
長く綺麗な金髪に緑の瞳、色白の肌をした聖導士の聖盾(ka2154)はやる気満々。
「薬草の群生地、頑張って歪虚から取り返しましょうね!」
「大事な薬草を歪虚の好きにさせる訳にはいきませんねっ。あの家族の為にも頑張りませんと!」
やや幼い、可愛らしい顔つきのプルミエ・サージ(ka2596)。
彼女が気合十分に腕を突き上げると……容姿に不釣り合いな、たわわな二つの果実がぽよんと揺れた。
「ま、こういう坊主は嫌いじゃねえ。ちょいとばかしお手伝いをしてやるとするか」
初見では髭面の渋いおじさん、といった印象を受けるゴロー・S・ホーガン(ka2713)は琉人を待機組へ誘う。
「一人でやれる事の限界、身に染みてんだろ? ここは共同戦線といこうぜ」
今回、ハンター達が立てた作戦では二組に分かれる事になる。
琉人は「分かりました。宜しくお願いします」とゴローに頭を下げる。
ゴローは「ああ、宜しく頼むぜ」と言った後に魔導短電話を取り出し、ヒースを通話者に指定。
他の魔導短電話持ちも作戦通りに通話者を指定。トランシーバー持ちも周波数を設定。
そして海斗とゴローは持参したロープを目印用に染料で赤く塗り、一本を別の組であるヒースに渡した。
事前準備が完了したハンター達はいよいよ植物型歪虚が蔓延る森へ向かう……。
●VSヴォイドネペンテス 前半
歪虚が出るという森へ到着した一行……。
そこは大きな木々が生い茂っており、日の光を覆い隠し薄暗く、少し不気味だった。
さて、ここからは二組に分かれての行動となる。
索敵組は隠密の心得があるヒース、ラウリィ、ブラオの三名。
待機組は上記三名を除く全員……シルヴェイラ、海斗、聖盾、プルミエ、ゴロー。そして琉人。
「作戦通り、まずはボク達索敵組が先行するから待機組はポイントが見つかるまで警戒しつつゆっくり進んで貰えると助かるねぇ」
ヒースの言葉に待機組全員が「了解」と答える。
***
索敵組――。
まずは先行して薬草の分布調査を行う三人。
敵は音に敏感らしいので、なるべく音と立てない様に隠密行動。
ブラオは当初、分散して偵察しようとしたが「単独行動は危険」とラウリィに制止された。
「確かに一人で多数に囲まれたら大ピンチだな。了解した」
ブラオは頷き、不測の事態でもない限り三人一緒に森の中を進む……。
暫くして、索敵組の三人は森の中をぐるっと回り、薬草の分布をほぼ把握。
一周して戻り、森の入り口に近い場所で薬草が生えていないエリアを発見。ここが待機に丁度良さそうだ。
ヒースはすぐに待機組のゴローへ連絡。
「索敵組より待機組へ。適正ポイントを発見。位置を伝える」
そして近くの木に赤く塗ったロープを巻いて目印にした。
「索敵組より待機組へ。こちらは次の段階……敵の把握と待機ポイントへの誘導へ移る」
通話終了。索敵組は再び動き出す。
***
また森を回っている途中、討伐目標である植物型歪虚を発見したがいずれも一体ずつ。戦うべきは今ではない。
もっと纏まっている敵を発見してから誘導するべきだ。
(待機組との合流前に戦うのは得策じゃないし薬草にもよくない)
ラウリィ達は木陰に身を隠し、息を潜めてやり過ごした。
***
待機組――。少し時間を遡る。
こちらは警戒しつつゆっくりと前進。
シルヴェイラは出発前、彼は要塞都市【ノアーラ・クンタウ】内のハンターズソサエティにて、森――
ここに群生する薬草の分布について知っている者が居ないか訊いて回ったが、知る者を見つける事は出来なかった……。
(一ヶ所に集中している、となったら厄介だな)
道端に生えている薬草を見つけた海斗は……
「と、そうだ。今の内に少し採取しておこう。直ぐにでも使いたいだろうからな」
聖盾は大きな音を立てない様に慎重に行動。そして前方を警戒する琉人に提案。
「綾川君、戦闘では前衛をお願いできますか? 大丈夫! 危なくなったら私が守りますから!」
琉人は「分かりました。後ろは頼みます」と頷き、快く引き受けた。
プルミエは這った痕跡が無いか重点的に探す。敵は根っこを足の様に使って移動するらしい。
ゴローは以下の条件で待機ポイントを探していた。
1.薬草が生えていない(最低限少ない場所を選ぶ。群生地から離れていれば尚良し)
2.周囲の敵が多すぎず少なすぎない場所
……と、そんな所で魔導短伝話に着信。ヒースから連絡があった。
「索敵組が待機ポイントを発見したそうだ。すぐに移動しよう」
***
索敵組――。
ヒースは一般スキルを駆使して敵を捜索。
移動中は周辺の地形に気を配り、やはり極力音を立てない様にする。
暫く索敵を続けると、三体の歪虚――ヴォイドネペンテスが纏まって徘徊しているのを発見。
「アレを誘導しよう。待機組に連絡を」
ブラオの言葉にヒースは頷き、魔導短伝話を取り出す。
「索敵組より待機組へ。敵群を発見。とりあえず数は三体。これから待機ポイントへ誘導を開始する。戦闘に備えてくれ」
「よし、それでは始めるぞ。……こっちだ! 植物モドキ! こっちに来い!!」
ブラオは敵に向かって大声を出す。同時に前後左右と上方を警戒。
ラウリィも多方向から敵が出現しないか警戒。
(意図しない所から出てきたらまずいもんね)
大声を上げながら待機ポイントまで後退する三人。作戦通り、ヴォイドネペンテスの誘引に成功。
●VSヴォイドネペンテス 後半
索敵組が敵群を誘引しつつ待機ポイントへ到着。待機班と合流。
「まんまと誘い出されて来たな」
敵を確認したゴローは拳銃を上空へ発砲。更なる誘引を試みる。
……程無く戦闘開始。ゴローの発砲音に誘われたか、後方から更に敵二体が接近。
***
前衛――。
ヒースは太刀を抜き放ち、ヴォイドネペンテスに鋭く重い斬撃を加える。
「流石に一撃とはいかないよねぇ」
積極的に近接戦を仕掛けていく。敵の蔓を鞭とした攻撃は回避に徹する。避け切れない場合は何とか受け止めてみせる。
一体を仕留めれば他の敵の注意を引き付ける様に音を立てて動き、味方の戦闘を援護。
更にヒースは斬撃を叩き込み続ける。敵は中々にタフ。と――敵が口を開き、強酸による範囲攻撃を行ってきた。
ヒースは【マルチステップ】を用いて回避。
敵は強酸攻撃後一瞬硬直するらしく、丁度そこへ後衛の援護射撃が入った。
体勢を崩す敵。その隙を逃さず、【スラッシュエッジ】の斬撃を加え、撃破。
ブラオは攻撃スキルを惜しまず、【スラッシュエッジ】を主体として戦闘。ナイフで敵を斬り刻む。
鞭の様な攻撃を繰り出してくる蔓がどこから伸びているか注視し、主な攻撃手段である蔓をまずは斬り落とす!
もがく敵は強酸による範囲攻撃。ブラオは回避行動。暴れる敵を後衛に向かわせないよう立ち塞がり、
「おいおい、散らかすなよ。植物モドキ」
斬撃。斬撃。斬撃。
「毒草も時に薬になるが、お前達は胃が溶けそうだ」
声を出して敵を引き付け、惑わす。……強酸攻撃は確かに厄介だった。全ては避け切れない。
ブラオは一旦後退し【マテリアルヒーリング】を使用。回復。
その間は琉人が更に前に出て穴を埋めた。
後衛――。
ラウリィは【強撃】を交えながら只管に弓を引く。仲間と連携し、各個撃破に努める。
「敵さんタフだね。……だったら数を叩き込めばOK!」
たまに飛んでくる長い蔓によるダメージはなるべく自前の【マテリアルヒーリング】を用いて回復した。
「アレが今回の目標……植物型歪虚か」
(敵の強酸でダメージを負わせてしまうのは避けたい……)
シルヴェイラは弓を構えながら持ち前の視力で観察を観察。
「これでもエルフ、森の民だ。無意味に森を傷つける事になるのは避けたい」
薬草以外の森の草木も荒されたくない。
状況を整理し、【防性強化】と【運動強化】を使用後、弓にて遠距離攻撃に徹する。
海斗はまず【機導砲】をメインに射撃。
「捉えた――狙い撃つぜ!」
光条が奔りヴォイドネペンテスの表層を焼く。
「ハッ! パーティータイムと洒落込もうじゃねぇか!」
続いて水中用突撃銃を陸上用の弾倉に切り替えてから射撃を開始。
(近付かれる前に仕留めたい所だが……念の為背後と周囲、足元には気を配っておかないとな……)
トリガーに指をかけ、射撃。射撃。射撃。その間も警戒は怠らない。と、前衛の攻撃で敵の身体が揺らいだ。
「隙だらけだぜ?」
照準、射撃。
「大人ってのは子供の為に頑張らなきゃぁいけねぇのさ」
聖盾は戦闘開始直後、前衛三人に【プロテクションを】を使用。防御力を向上させる。
その後はダメージを受けた仲間に【ヒール】を使用して回復させる。
【マテリアルヒーリング】は便利だが使用する際に隙が出来てしまう。ゆえに回復役は重要。
隙を見つければ【ホーリーライト】で前衛の援護も行った。
「聖なる光よ! 歪虚を滅せよ!」
また、彼女は前衛で戦う琉人に対して特に気を配り、大きなダメージを負わぬ様に優先的に支援。
プルミエは後衛から弓を引いて攻撃。
「鞭の様な蔓も厄介ですけど最も警戒すべきは強酸攻撃ですね」
彼女は強酸が詰まっているであろう胴体の部分を集中的に狙って穴を開けられないか試みる。
――だが敵は中々にタフ。そう簡単に穴は開かなかった。
通常攻撃へ切り替え、遠い敵には【遠射】、近い敵には【強弾】と、距離によりスキルを使い分けて対応。
接近されればすぐに距離を取り、敵は仲間と連携。集中攻撃で確実に一体ずつ仕留める。
ゴローは【エイミング】と【強弾】を基本セットにして、弓を引いて交戦。
二体につき一回程度の割合……と考えていたが敵の数が多い為数が減るまで常に使用する。
どうやら最初の発砲による誘引で全ての敵を呼び込んでしまったらしい。
しかし後衛の集中攻撃と前衛の奮戦により、包囲される前に敵を倒す事が出来ていた。
このままなら敵が全滅するのも近いだろう。
程無く集まって来たヴォイドネペンテスの殲滅を完了。各自回復をしっかりしていたのでダメージは軽微で済んだ。
聖盾は無事戦闘を終えた事を神に感謝し、祈りを捧げる。
***
ラウリィは戦闘後、再度森を見回り、残敵が居ないか確認。
全部終わったら、スープに出来るだけの薬草を摘んで、集落に持ち帰る。
海斗は――
「ん、そういえば最近になって歪虚が増えたんだよな? 念の為、原因になりそうな物を探そう。また湧いてこられても困る」
「琉人の坊や、付き合ってくれ」と言うと琉人は頷く。
(他にも余力のある面子にゃ手伝って貰いたいねぇ)
と、仲間をチラ見。
「俺の取り越し苦労なら、まぁ、飯でも奢らせて貰うさ。なに、後の事を考えればこれ位はしといた方が良いだろうよ」
捜索には仲間全員が参加した。が、原因らしき物は発見出来なかった。
プルミエは親子用の薬草を確保。そして土で手を汚しつつ、戦闘の跡をなるべく消した。
「森の荒れてしまった部分は出来るだけ元に戻してあげたいですねっ」
●戦闘後……
一行は無事依頼を完了し、集落へ帰還。長老への報告後、件の親子の元へ皆で向かう事になったのだが……
ブラオはぬいぐるみを集落の雑貨屋で見繕い、自腹で購入。
見舞いの品と称して少女へ届ける様、琉人に押し付けた。
「俺は手間が省ける、少年は喜ばれる。Win-Winだろ?」
「ブラオさんが直接あげればいいじゃないですか」と琉人は言うが、
「子ども? 勿論苦手だ。なぜ手伝ったか? 気分だよ。辺境は俺が落ちてきた場所でもあるし、そういう事だ」
と言い残し、ブラオは一足先に集落を後にした。
***
それから残り全員が親子の待つ家へ向かった。
大半のハンターが薬草を採取して来たのを見て母親は喜び、何度も礼を言い、頭を下げた。
「暫く飲めてないんだよね? お母さん、すぐに作ってあげてね」
(今度会ったら一緒に遊びたいなあ♪)
ラウリィは内心でその様に思う。少女の笑顔はとびきり可愛かった。
***
そして――ヒースは依頼を終えた後、受け取った報酬の半額を村へ『病人の為に』と寄付。
これは決して裕福とは言えない辺境部族の集落にとって大変ありがたい事だった。
「受け取った報酬をどう使うかはボク次第。気まぐれな寄付、ということさぁ」
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 プルミエ・サージ(ka2596) 人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/07/29 08:27:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/27 00:26:51 |