蒼の不協和音

マスター:紺堂 カヤ

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/10/22 09:00
完成日
2015/10/28 01:35

みんなの思い出

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オープニング

 その洞窟は暗い中にも、不思議な蒼い光がぼんやりと反射する、幻想的な空間であった。
「すごい……」
 噂にたがわぬ、いや、噂以上に優美なその光景に、十歳の少年は目を奪われた。三日三晩歩き通しだった足の痛みも忘れていた。
 誘われるようにふらふらと洞窟の中へ入ると、デコボコした洞内の地面にたちまち転びそうになる。ハッと頭を振って、気を引き締めた。少年──、アレンはこの美しい光景を見るために、はるばるやって来たわけではない。
 アレンは、ひんやりした洞窟の壁に手をついて体を支えながら、よろよろと進んだ。奥深くなればなるほど、洞窟の中へ差し込む日の光は薄くなるはずなのに、この洞窟は奥へ行けば行くほど、蒼い光が強くなっていった。
 そうして、自分の体も、吐く息ですらも、蒼く染まってしまうのではないかと思うほど深くへたどり着いたとき、アレンは、目的のものを見つけた。
 洞窟の最奥に、何本も垂れ下がる鍾乳石。そこから、ぽたり、ぽたり、滴り落ちる雫。この雫こそが、アレンがぼろぼろになりながらこの洞窟へやってきた理由だった。この洞窟の鍾乳石から滴り落ちる水は、どんな病にも効果のある、万能薬になるという。
「これで、母さんの病気を……!」
 鍾乳石の下には、同じく薬を手に入れようとしている人々が置いて行ったらしい壺がいくつも置かれていた。一滴落ちるごとに、ひたり、ぴたり、と涼やかな音がして、あちこちで共鳴し合うように洞窟に響いていた。その中で、アレンは下に何も受けとめる物の置かれていない鍾乳石をなんとか見つけ、大事に背負ってきた赤銅の壺をそっと置いた。パン、ピン、と、ひときわ華やかな音が、蒼き洞窟に響き始めた。



 それから、三日が過ぎた。
 壺ひとつがいっぱいになるには、最低でも五日間はかかると聞いていたアレンは、洞窟からしばらく歩いたところにある村の宿屋で旅の疲れを癒していた。
 宿屋の食堂で朝食を食べていると、ひとりの若い猟師が、両脇を支えられてやってきた。食堂は、にわかに騒がしくなった。
「どうだった」
「いや、ダメだ、下手に近付くとこっちの命が危ない」
「そんなに凶暴化しているのか、熊のやつは」
「ああ、冬眠空けの母熊よりも気が荒くなっている。これはもう、ハンターに頼まなければダメだ」
 漏れ聞こえる会話から、熊が人里近くまで下りてきて暴れているらしいことがわかった。
「いったい、なんだってこんなことに」
「どうにも暴れ方がおかしいんだ。何かに、酔っているような、乱されているような」
「もしかして、あれじゃないのか。洞窟の、音」
「音? ああ、そういえば、ここ三日くらい奇妙な響き方をしていたな」
「俺たちでさえ、長く聞いていると気持ちが悪くなりそうな音だった、熊ならもっとだろうなあ」

「まさか、洞窟に、陶器の壺以外のものを置いたヤツがいるんじゃないのか……?」

 誰かの、その一言に、アレンの血の気が引いた。
 知らなかった。
 陶器の壺でなくてはならなかったなんて。
 アレンが赤銅の壺を持ってきたのは、道中で割れてしまっては困る、と思ってのことだった。
「なんにせよ、熊をどうにかしないことには、洞窟にも近付けないしなあ」
 まさか、こんなことになるなんて。
 アレンは、朝食を食べかけのまま、ふらふらと立ち上がった。
「おい、坊主、どうしたんだ?」
 宿屋の主人が声をかけると、アレンの目からぼろぼろと涙があふれた。
「僕は、母さんの病気を治したかっただけなんです……!!!」
 アレンの頭の中でも、ぐらぐらと不協和音が響き出した。

リプレイ本文

 ひどい貧血に悩まされているのだ、とアレンは涙ながらに話してくれた。彼自身のことではない。病んで寝付いている母親のことだ。症状の原因は不明で、医者もさじを投げたという。
(それは万能薬に頼りたくもなるというもんか……)
 シン・コウガ(ka0344)は打ちひしがれているアレンをそっと見やった。アレンに寄り添うようにして話を聞いているのは、リラ(ka5679)だ。
「泣かないで。私達がなんとかするから」
 アレンの事情を聞いて、優しげな微笑みでそう励ますと、赤銅の壺の特徴や、置いてきた場所について細かく質問を始めた。
 そのすぐそばで、レイ・T・ベッドフォード(ka2398)が村の人々に洞窟までの道のりについて聴取をしていた。レイの実に折り目正しい言動に、村人はいたく感心している様子だった。アレンに対して含みのある態度を取る者はいない。不穏な空気であるようなら、アレンにそっと注意を促すつもりでいたシンであったが、ひとまずその心配はなさそうだと判断した。
「情報が揃ったようでございますね。では、参りましょうか」
 華のある微笑みで、メリル・E・ベッドフォード(ka2399)が出発を宣言した。



 洞窟までの道のりは、細く険しい。獣道同然である上に、水気が多い岩場で滑りやすいため、無理せず一列になって進む方が良い……、というのが、レイの仕入れてきた情報の主な内容であった。それを聞いたケイ・R・シュトルツェ(ka0242)が、艶然と微笑んだ。
「それじゃ、あたしは獣道に沿った、樹上を少し先に行くわ」
「ケイ様、あたしも一緒に行きますっ」
 そう身を乗り出したのは岩波レイナ(ka3178)だ。彼女は、心の底からケイに惚れ込んでいた。憧れの存在と行動を共にする初の任務であることから、気合の入り方も並大抵のものではない。
「レイナは道をいらっしゃい。ふたりで樹上に上がるのは得策とは言えないわ。心配しなくても大丈夫。熊を見つけたら、銃声で知らせるわ」
 レイナの健気な様子に目を細め、ケイはゆったりと余裕を見せた。レイナが素直にうなずくと、いいコね、と色気たっぷりに囁き、しなやかな身のこなしであっという間に樹上へ姿を消した。
「では、この道を進みましょう。当然、先頭がもっとも危険を伴うわけですけれど……、レイ、あなた、壁になってもいいんですよ?」
「はい、姉上。お任せください」
 姉であるメリルが可愛らしく言った過酷なセリフに、微塵も臆することなくレイが応じる。そのまま、盾を手にして先頭へ立った。
「えっ、レイさん、私も前へ出ますよ」
 慌ててリラが後を追う。
「いいえ、どうぞ私にお任せください。私、肉壁は慣れておりますから」
 爽やかな笑顔でとんでもないことを言うレイにぎこちなく頷いて、リラはそのまま二番手を歩き出した。シンもその後に続こうとして、いまだ、ケイの去った方向にうっとりとした眼差しを向けているレイナに気が付いた。
「おい、行くぞ」
 ぶっきらぼうに声をかけ、レイナの背を押しつつ進む。その後ろ、つまりは、しんがりをメリルが務めた。
 村で聞いてきたとおり、道は道と呼ぶのも躊躇われるほどの「隙間」でしかなく、腰のあたりまで生い茂った草は露を含んで重たくのしかかってきた。一歩ずつ足場を確認しつつ、レイが盾で道を押し広げ、リラは周囲の物音に注意を払いつつ進んだ。レイが押し出し切れなかった草木を、レイナが薙ぎ払う。さすがにもう、うっとりした状態からは回復していた。
「この道を、ひとりで進んだのか、アレンは」
 シンが、ぽつりと呟いた。独り言のつもりだったが、誰もが周囲の様子に気を配っている中、それははっきりと全員の耳に届いた。
「……十全に、回収したいですね」
 先頭を行く、レイの静かな言葉に、全員が頷いた。そのとき。
 パァン。
「銃声!」
 前方から響いてきた高らかな破裂音は、間違いなく銃声であった。
「ケイ様!!」
「待て待て!」
 すぐにでも飛び出して行こうとするレイナを、シンが止める。その後ろから、メリルが冷静に判断を述べた。
「銃声は一発。ということは、交戦の銃声ではなく、合図としての銃声だとみてまず間違いないですわね。音のした方角はこの道の先と一致しますし、このまま進んで問題ないのではないでしょうか? レイ、少しペースを上げなさいな」
「はい、姉上」
 熊の居場所をケイがマークしているのならば、周囲に気遣いながら進む必要はない。一行のペースは格段に上がった。ほどなくして、熊を見失わないようにしつつ引き返してくれたらしいケイが、樹の上に上がったまま声をかけてきた。
「熊は、洞窟の入り口付近に来ているわ。さっきの銃声に驚いていたようだから、すぐにこっちへやって来ることはないでしょうけど、急いだ方がいいわね。予想以上に凶暴化しているみたい。こんな細い道で戦うとなると面倒だわ。あたしがもう一度戻って足止めするわね。レイナ、今度は一緒にいらっしゃい。足止めを手伝ってくれるかしら」
「もちろんです、ケイ様! あたしが必ず、お守りします!」
 レイナは素早く樹に上がると、まず、ケイに攻性強化を使用した。皆が合流する前にも戦闘になることを予測しての備えである。レイナの気遣いにケイは優しく微笑むと、先導して、やってきた方向へととって返し、共に洞窟の入り口へ向かった。
 残された四人は、先を急ぎつつ、熊との戦闘方法について打ち合わせた。
「おクマ様に非はないはずでございますから、お可哀想ですけれど、仕方がありませんわね」
 メリルはそっとため息をついてから、このたびの戦闘の基本的な姿勢を提案した。
「万能薬が手に入る、美しい蒼い洞窟。この洞窟の保全も考えなければならないと思いますの。おクマ様を洞窟に立ち入らせないように戦うべきではございませんでしょうか」
「さようでございますね、姉上。では私が洞窟の入り口にて肉壁となりまして防がせていただきます」
「わ、私も、レイさんをお手伝い致します!」
 またもや、さらりと己の身を投げ出すような発言をしたレイに、リラが力添えを申し出た。すかさず、シンも自分の立ち位置を宣言する。
「俺はふたりのすぐ後ろに控えて、ライフルで援護することにしよう」
「では私はその隙に、洞窟内へ入ることに致します」
 メリルの役割も決まったところで、獣道同然であった狭い視界が、急に開けた。
 ぽっかりと口を開けている、洞窟。その入り口から少し離れたところに、グルルルルルル、と低いうなり声を響かせる熊の巨体があった。おそらく、ケイがレイターコールドショットを使用したのであろう、動きは鈍い。だが、その鈍い動きであっても獰猛さは抑えきれておらず、鋭い爪と牙からは殺意がみなぎっていた。
「今のうちよ!」
 熊と対角線に位置する樹の上から、ケイの声が降る。
「いきますっ!」
 リラの声で、合流した四人が飛び出した。洞窟の入り口前を塞ぐ位置に素早く陣取ったレイ、リラ、シンの後ろを、流れるようにメリルが駆け抜けてゆく。洞窟の中へ入ったのを確認してから、シンが叫んだ。
「ケイ! レイナ! 熊の気を散らしつつこっちへ来てくれ! メリルを追って、洞窟へ!」
「わかったわ!」
 ケイは良く通る声で返事を寄越すと、ひらりと樹から降り立った。その間、レイナが樹上から威嚇射撃にて熊の動きを牽制する。ケイが地上で体勢を整えたとわかると、今度はレイナが樹から飛び降り、ケイが威嚇射撃で熊の動きを封じた。一連の動きは実に見事な連携プレーであった。
 熊は、その巨体を動きにくそうによじらせていたが、次第に順応を見せ、俊敏さが取り戻されつつあった。
「もう一度、動きを封じるわ!」
 ケイが放ったレイターコールドショットは、見事に熊の動きを鈍らせた。だが。動きにくくなった自分の身体に苛立ったのだろうか、熊は今までとはまったく違う、調子の外れた踊りのような動作でケイに向かって来たのである。
「何!?」
 予測のつかない動きに、ケイの射撃は的外れな方へ大きくそれた。
「ケイ様、危ないっ!」
 ケイに抱きつくようにして熊から遠ざけたのは、レイナであった。直撃は免れたものの、熊の爪が、レイナの左腕をかすめた。
「レイナ!!」
 ケイがすぐに体勢を整え、自分をかばってくれたレイナを支えた。
「お怪我はありませんか、ケイ様」
「あたしは平気……、それよりレイナが怪我を」
「大丈夫です、かすり傷です。良かった、ケイ様にお怪我がなくて……」
 心底ほっとしたように可愛らしい笑顔をケイに向けるレイナは、自分の怪我などなんとも思ってはいないようだ。それでも彼女の申告通り、怪我はかすり傷程度で、腕の動きにも戦闘にも支障はないようであった。
「おふたりとも、早くこちらへ!」
 リラの声に導かれて、ケイとレイナは急いで熊から離れた。熊の足元へタァン、タァン、とシンの威嚇射撃が浴びせられ、ふたりの方から熊の気をそらすことに成功した。
 寄り添うようにしてケイとレイナが合流すると、熊の動きに合わせて盾を向けていたレイが、ちらりと洞窟に目線を流す。
「ケイ様、レイナ様、そしてリラ様、先に洞窟の中へ入って、姉上に合流してください」
「えっ、私もですか?」
 洞窟の入り口を守るつもりでいたリラが驚くと、レイはこんな時でも丁寧な、控えめな調子で説明を加えた。
「アレン様から壺の位置を正確に伺っていらしたのは、リラ様でござましたよね。僭越ながら、リラ様が共に参られた方が迅速に壺を回収できるものと思う次第でございます。お願いできないでしょうか」
「なるほど、わかりました」
 リラは力強く頷くと、ケイ、レイナと共に洞窟の中へ入って行った。
「ということは、こいつは俺たちでなんとかしないといけないわけだな」
 ライフルを構え、シンは相変わらずのぶっきらぼうな様子で言う。
「熊は意外とタフだからな……、最初は怯みなんか期待できないんだが、これだけ振り回されたんだ、そろそろ疲れが出てきているようだな」
 さすが軍にいたことのある者だ、というべきであろう。シンは敵の様子を冷静に観察し、判断を下す。レイが、斧を持つ手に力をこめた。
「それでは、私が正面から攻撃に出ても良いということでございましょうか」
「そうだな、一気にカタをつけようぜ。俺が後ろから援護射撃をする」
「ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます」
 レイが丁寧に頭を下げた。一見、正反対の性質のふたりだが、どちらも動きに迷いがなく、意外にも相性が良いようであった。
 盾に身を隠しながら、レイは熊との距離を詰めてゆく。熊の方も、じりじりと近付いてくるレイを敵と定めたようで、鈍い動きながら重い攻撃を、盾にぶつけてきた。レイは斧の攻撃を何度か空振り、そのたびに擦り傷を作ったが、横薙ぎにした一撃が熊の脚を捉えると、形勢は一気に、レイとシンの方へ傾いた。
 グァアア、と鳴いて歩みを止めた一瞬を、シンは見逃さなかった。
「レイ、もう少し体低くしろ!」
 その言葉通り、レイが腰を折ると、シンのライフルから吐き出された弾が熊の眉間を貫いた。ガァ、と大きく鳴いて仰向けに倒れた熊に、レイはすぐさま、とどめの一撃を与えた。長く苦しませては、可哀想だ。
「……貴方には罪はありません。が、此度がそういう巡り合わせだったのですね」
 レイの静かな呟きが、森の王者の亡骸を包んだ。



 真っ先に洞窟の中へ入ったメリルは、目の前に広がる壮麗な蒼さに目を奪われていた。この光景を見ることを、密かに楽しみにしていたメリルは、一瞬、任務を忘れ、見惚れた。
「さて。足元に注意しなければなりませんね」
 濡れた石質の地面は滑りやすい。慎重に歩き出してからすぐ、メリルは問題の「音」に気が付いた。
 ひたり、ぴたり、という柔らかい音に混じって、ぴん、ぱん、と、華やかな音が混じってくる。それだけを聴いていれば涼やかな音色ではあるが、ひたり、ぴたり、という音に混じって、奇妙な不協和音をつくり出していた。これが、熊を狂わせた原因だというのも、頷ける響き方であった。
「メリルさん!」
 かなり奥まで進んでから、リラ、ケイ、レイナの三人が合流を果たした。
「アレンさんが壺を置いたというのは、一番奥の、一番大きな鍾乳石を目印に、左へ三本目の、真下だそうです」
 リラの説明に従って四人で壺を探す。見つけたのは、レイナであった。
「これじゃない? 水……じゃなくて薬? たまってるわね、一応」
 満タン、とまでいかないまでも、充分な量の雫が、赤銅の壺にたまっていた。これで、アレンは万能薬としてこれを母親に持ち帰ることができるだろう。
「壺、回収できたのですね。ありがとうございます」
 熊の退治を成功させたレイと、シンも洞窟の奥へやってきた。
「軍に居た頃はこういう景色は縁が無かった……、目移りするな」
 シンが洞窟の蒼さをしみじみと眺め、それなりに重さのある赤銅の壺を、レイナからさりげなく引き取った。
「本当に、美しく、不思議な場所。ね、そう思わない? レイナ」
「ええ、ケイ様!」
 目を輝かせて頷くレイナに微笑んで、ケイは蒼き洞窟を歩みながら、静かではあるが心を打つ歌声を響かせた。それは、この洞窟を出た先に倒れているはずの、熊の命を弔う歌であった。



 薬をためた壺を受け取り、アレンは再び、涙を流した。手渡したのは、メリルであった。
「この過ちを、嘆き過ぎないでください」
 メリルの隣で、弟たるレイが、そっと声をかける。メリルはそれに頷いて、柔らかな言葉をかけた。罪の意識にさいなまれ、手元に薬があることを素直に喜べないでいる、この目の前の少年に。
「貴方様がされたこと、この優しさは責められるものではありません。ですが、一つ、私からおせっかいを申し上げますと、“もっと、周りを頼ってもいいんです”よ。知らないことが罪なのではなく、知ろうとしないことが罪だと、私は思う次第です。さ、元気を出してくださいませ。お母様のご病気が、快方に向かうこと、お祈り申し上げます」
 メリルのその言葉に呼応するように、皆微笑んだ。村の人々も、温かい笑顔をアレンに向けた。
「あんたのその思いやりは……、い、良いとおもう……わよっ」
 不器用ながらにも励まそうとするレイナに、アレンが微笑みを浮かべる。
「ありがとう、ございますっ!」
 微笑みながらも、アレンの目から、更に涙があふれた。
「ほら、泣く暇があったらさっさと帰って母親を安心させろ。家族の元気な姿が最高の薬って言うしな……」
 いつまでも泣いているアレンの背を、シンが叩いた。
「はい!」
 アレンは、しっかりと頷くと、薬の壺を抱えて駆け出して行った。
 それを見送る六人の眼差しは、蒼き洞窟の美しさにも負けぬほどの、綺麗な和音を奏でた。

依頼結果

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MVP一覧

  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォードka2398

重体一覧

参加者一覧

  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
    人間(蒼)|21才|女性|猟撃士
  • 山猫団を更生させる者
    シン・コウガ(ka0344
    人間(蒼)|18才|男性|猟撃士
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 闊叡の蒼星
    メリル・E・ベッドフォード(ka2399
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • 歌姫の大ファン
    岩波レイナ(ka3178
    人間(蒼)|16才|女性|機導師
  • 想いの奏で手
    リラ(ka5679
    人間(紅)|16才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン (・(ェ)・)
レイ・T・ベッドフォード(ka2398
人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/10/21 22:20:09
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/10/21 21:04:46