ゲスト
(ka0000)
焼き栗と妖精
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/29 09:00
- 完成日
- 2015/11/05 22:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ここはグラズヘイム王国。王都【イルダーナ】の通称『第七街区』。
「リンダールの森産の焼き栗はとっても甘くて美味しいよ!」
二十歳の女性ミランダは今日も街角で焼き栗を売っていた。変わった形の挟みで栗に斬り込みを入れ、小さめの穴がたくさん空いた専用鉄鍋で煎っていく。
「はい。おまけしちゃうからね。これからもご贔屓よろしく!」
日が暮れる頃には店仕舞い。道具をすべて荷車に載せて引っ張り、住処を目指す。
(今日の売り上げは少なかったね。もう少し寒くなれば売れ行きもよくなるさ)
パンを途中で買って部屋に戻り、売れ残りの焼き栗と一緒に食べた。
「ま、明日から頑張りましょう」
それでも空腹は収まらず、とっておきのエールに手を付ける。
天井から吊した薄暗いランタンの下で窓から夜空を眺めていた。すると流れ星が。
「えっ?!」
ぼうっと眺めているとそれはどんどんと迫ってくる。輝きは窓を通り抜けてベッド上に激突。衝撃でベッド全体が高く跳ね上がった。
「うるせぇぞ!」
「すみません」
壁越しに聞こえてきた隣部屋からの文句に応えつつ、床に落ちた毛布を捲ってみる。
「妖精……?」
毛布に包まっていたのは背中に羽根を生やした身長三十センチ弱の小さな女の子だった。噂でしか知らないが妖精で間違いない。どうしたものかと悩んでいると気絶していた妖精が目を覚ます。
「あたし、メメっていうの。よろしくね♪」
「はぁ……。私はミランダだけど」
起き上がった妖精メメによる一方的なお喋りが始まった。
彼女はリンダールの森から来たという。馬車の屋根で休んでいるうちにいつの間にか王都近くに辿り着いてしまったようだ。元々は古都【アークエルス】を目指していたらしい。
「お世話になっている集落が大変なの。トカゲのような雑魔に囲まれてどうしようもなくて。助けてあげて欲しいの」
「そういわれてもね。私、騎士でも戦士でも、ましてや覚醒者でもないしね」
「たしかハンタアなんとかってところへ行けばいいって。そうだ。これ預かってきたの。これが重くて重くて墜落しちゃって。でもいい人に会えてよかったの」
「いい人かどうかはわかんないよ。これ、金貨よね」
「助けてくれたらもっとあげられるって、鍛冶屋のドッドさんがいってたよ」
「そうねぇ……」
ミランダはハンターズソサエティーを教えて上げようかと悩んだ。だが妖精の依頼を引き受けてくれるかどうか疑わしい。ミランダが代理で依頼するとしても金貨一枚では依頼金として不十分。稀に格安で引き受けてくれるときもあるようだが、それでは心苦しかった。後払いで頼んだとしても、もし妖精メメのいうことが嘘だったら自分に借金がのし掛かってくる。
(確かに可哀想なんだけど……)
ミランダがふとメメに視線をやるとテーブル上の焼き栗に興味を示していた。
「食べる?」
「うん!」
集落周辺ではよく栗が穫れるという。メメも集落の人々に焼き栗のお裾分けをもらって食べていたそうだ。
「……わかった。私が商売している栗を、集落のみなさんが穫っていたかも知れないからね」
「ありがとう!」
翌朝、ミランダはメメを連れてハンターズソサエティー支部を訪ねる。依頼金の不足分は身銭を切った。
「ま、たまにはいいか」
迷子属性のメメに集落まで案内させるのは不安がある。ミランダもハンター一行と一緒に現地へ向かうことにした。
「リンダールの森産の焼き栗はとっても甘くて美味しいよ!」
二十歳の女性ミランダは今日も街角で焼き栗を売っていた。変わった形の挟みで栗に斬り込みを入れ、小さめの穴がたくさん空いた専用鉄鍋で煎っていく。
「はい。おまけしちゃうからね。これからもご贔屓よろしく!」
日が暮れる頃には店仕舞い。道具をすべて荷車に載せて引っ張り、住処を目指す。
(今日の売り上げは少なかったね。もう少し寒くなれば売れ行きもよくなるさ)
パンを途中で買って部屋に戻り、売れ残りの焼き栗と一緒に食べた。
「ま、明日から頑張りましょう」
それでも空腹は収まらず、とっておきのエールに手を付ける。
天井から吊した薄暗いランタンの下で窓から夜空を眺めていた。すると流れ星が。
「えっ?!」
ぼうっと眺めているとそれはどんどんと迫ってくる。輝きは窓を通り抜けてベッド上に激突。衝撃でベッド全体が高く跳ね上がった。
「うるせぇぞ!」
「すみません」
壁越しに聞こえてきた隣部屋からの文句に応えつつ、床に落ちた毛布を捲ってみる。
「妖精……?」
毛布に包まっていたのは背中に羽根を生やした身長三十センチ弱の小さな女の子だった。噂でしか知らないが妖精で間違いない。どうしたものかと悩んでいると気絶していた妖精が目を覚ます。
「あたし、メメっていうの。よろしくね♪」
「はぁ……。私はミランダだけど」
起き上がった妖精メメによる一方的なお喋りが始まった。
彼女はリンダールの森から来たという。馬車の屋根で休んでいるうちにいつの間にか王都近くに辿り着いてしまったようだ。元々は古都【アークエルス】を目指していたらしい。
「お世話になっている集落が大変なの。トカゲのような雑魔に囲まれてどうしようもなくて。助けてあげて欲しいの」
「そういわれてもね。私、騎士でも戦士でも、ましてや覚醒者でもないしね」
「たしかハンタアなんとかってところへ行けばいいって。そうだ。これ預かってきたの。これが重くて重くて墜落しちゃって。でもいい人に会えてよかったの」
「いい人かどうかはわかんないよ。これ、金貨よね」
「助けてくれたらもっとあげられるって、鍛冶屋のドッドさんがいってたよ」
「そうねぇ……」
ミランダはハンターズソサエティーを教えて上げようかと悩んだ。だが妖精の依頼を引き受けてくれるかどうか疑わしい。ミランダが代理で依頼するとしても金貨一枚では依頼金として不十分。稀に格安で引き受けてくれるときもあるようだが、それでは心苦しかった。後払いで頼んだとしても、もし妖精メメのいうことが嘘だったら自分に借金がのし掛かってくる。
(確かに可哀想なんだけど……)
ミランダがふとメメに視線をやるとテーブル上の焼き栗に興味を示していた。
「食べる?」
「うん!」
集落周辺ではよく栗が穫れるという。メメも集落の人々に焼き栗のお裾分けをもらって食べていたそうだ。
「……わかった。私が商売している栗を、集落のみなさんが穫っていたかも知れないからね」
「ありがとう!」
翌朝、ミランダはメメを連れてハンターズソサエティー支部を訪ねる。依頼金の不足分は身銭を切った。
「ま、たまにはいいか」
迷子属性のメメに集落まで案内させるのは不安がある。ミランダもハンター一行と一緒に現地へ向かうことにした。
リプレイ本文
●
深き森の道を馬車一両と護衛の乗馬者一名が駆け抜けていく。依頼者とハンターの一行である。
「走りだしてかなり経つよね」
「集落はもうすぐだよ」
御者として手綱を握っていたのは依頼者ミランダである。妖精メメが座っていたのは彼女の目の前にある風よけの上だ。
「メメさん、こっち来てもらえる? 確認してもらいたいことがあるのよね」
「は~い♪」
旅の間に仲良くなったミラ・ユスティース(ka5631)に呼ばれてメメが車内へ。メメの証言を元にして作られた集落周辺の地形地図を参考にして作戦の最終確認が行われる。
車内から御者台へ身を乗りだした陶 凛華(ka5636)がミランダに何かを渡そうとしていた。
「これ忘れないうちにね。私も持っているから、判ったことがあったら教えてね」
「はい!」
陶凛華からミランダが受け取ったのは無線機である。
「わたくしも持っていますのよ。高見から状況を報告してもらえると助かりますわ」
「メメにも協力してくれるのでお役に立てると思います」
アリエスタ(ka4140)は陶凛華の後ろからミランダに自分の無線機を見せた。
多数のトカゲ雑魔が集落を取り囲んでいる状況は変わらないと想定する。ミランダは木に登り、退治が終わるまでやり過ごす手筈になっていた。
(メメさんが集落を発ってからどれくらい経っているのかはわからないけれど……)
愛馬で護衛するティス・フュラー(ka3006)の脳裏に嫌な予感が過ぎる。道の一部にトカゲ雑魔がつけたと思われるたくさんの足跡が残っていた。
(もうすぐ初の戦闘ですわね……)
エレンジア・アーヴァイン(ka5584)は車内の席に座りながらぎゅっと両の拳を握りしめる。俯いていた顔をあげるとシャルル=L=カリラ(ka4262)の目と目が合った。
「大丈夫。メメの話だと躾のなってないトカゲのようだけどネ。まぁ、トカゲに躾とか無い……カナ?」
シャルルの冗談にエレンジアがくすりと笑う。
相談が終わったメメは窓枠に座る。そして落ち着きがないエスクラーヴ(ka5688)の様子に首を傾げた。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
「あのね……みんなを助けてくれるために、ここまで来てくれてありがと」
「そ、そんなことないぞ。トカゲをぶっ叩きたかっただけだ」
メメはミランダからもらった焼き栗をエスクラーヴにもあげる。彼女がそれを食べ終わった頃に馬車が停まった。
目的の集落まで一kmを切る。馬車は馬ごと茂みに隠して徒歩で向かう。
まもなく集落が見えてきた。メメのいうとおり、トカゲ雑魔の群れに囲まれていた。これまで持ち越えたようだが、塀の一部が集中攻撃を受けて突破されかけている。
ハンター達は一斉に覚醒。取り返しが付かなくなる前に動きだした。
●
「無線のスイッチを入れてと」
ミランダは急いで近くの大樹へと登り、幹が二股に分かれてるところへ腰かける。メメは自らの羽根でミランダの側へ。ここからなら直径百五十m円の集落が一望できた。
「範囲攻撃のときには、声を掛けてね。急いで範囲外に退避するとか、邪魔にならないようにするから」
ミラに頷いたティスが茂みから立ち上がる。
(あの辺りが一番密集しているわよね)
構えたティスのワンド「ゴールデン・バウ」の先端が青白く輝いた。刹那、ライトニングボルトによる一条の雷撃がトカゲ雑魔をまとめて貫き通す。
群れの間に一筋の道ができあがった瞬間、シャルルが大地を蹴って走りだした。道が再びトカゲ雑魔で埋もれてしまう前にジェットブーツを発動させる。
「これは絶景ダネ!」
高く宙に舞い上がったシャルルは崩壊寸前の柵を越えて集落の中へ飛び込んだ。彼の動きに多くのトカゲ雑魔が気を取られて背後への注意を怠る。
ティスによる二撃目の雷撃によってもう一度群れの中に道が拓けた。今度はすでに密集度が下がっていたおかげでしばらく持ちそうな状況。この機会を逃すまいとハンターの多くが集落内を目指す。
外縁の森に残った陶凛華が援護する。コンポジットボウで狙い澄まし、仲間へ襲いかかろうとする敵を射つ。
(これなら大丈夫そうね。私も力の限りお手伝いするわ)
射程距離のことを気にしていた陶凛華だが今のところは充分に届いた。ここぞというときのために遠射はとっておかれる。
「もうすぐよ!」
ランアウトによる突進力で先駈けていたのがミラだ。ツヴァイシュトースツァーンと呼ばれる斧で邪魔なトカゲ雑魔を次々に塵と化す。
「ミランダさまから無線連絡。ティスさまが予定外の雷撃を放つようですわ。集落に向かって右に注意よ!」
アリエスタはホーリーメイス「ギデオン」をトカゲ雑魔の腹部にめり込ませて声を張り上げる。それから十数秒後、状況を鑑みての雷撃が新たな道を作り上げた。
ミラがドッジダッシュで敵の攻撃を躱しつつ新たな道へと移る。後続の仲間達も続く。
「失敗しましたの。最初はマジックアローで攻撃するつもりでしたのに」
エレンジアはスキルのセットを忘れていた。迫るトカゲ雑魔を蹴飛ばし、ワンドを振り回す。
「こいつめっ! よしっ!」
エスクラーヴは拳にはめたヴァリアブル・デバイドでトカゲ雑魔と戦っていた。撓る尻を避けて拳を呻らせる。獣の顎のような刃で敵を削いでいく。
「さあ、キミたち、待っていたヨ!」
集落に到達済みのシャルルがエレクトリックショックで敵の動きを止めてくれる。このとき塀の一部はもう崩れていた。ハンターの多くが身を屈めて集落内へ飛び込み、即座に身を翻す。
さらに崩れていく丸太と泥で建てられた塀。幅十数メートルに渡って集落と外部の境がなくなるのだった。
●
「集落を囲んでいたトカゲが次々と壊れた塀のところへ集まっているからね」
「だよ~」
木登り中のミランダとメメが外側から眺めた集落の状況を無線で伝える。それを聞いた陶凛華は集落内のアリエスタに連絡した。
「南の塀に向かうのでよろしくね」
「わかったわ。集落のみなさんに頼んでおくから大丈夫」
陶凛華は集落内を目指す。十分弱後、彼女は南方の塀に垂らされた縄を伝って集落内に辿り着くことになる。
「さて」
ティスが集落外縁に留まったのは森の道に残っていたトカゲ雑魔の足跡が気になったからだ。ミランダとは別の大樹に登って監視していると、暗い森の茂みからトカゲ雑魔が現れた。一体、また一体と。
(やっぱり増援がいたのね)
わずかな間に二十数体まで増大。今のうちなら処理できると判断してファイアーボールを詠唱した。飛んでいった小さな火種が敵の中心で弾ける。業火は一瞬のうちに大きく膨らんで二十体前後を塵と化す。範囲から外れた三体は冷静に魔導拳銃で撃ち仕留めた。
ミランダによってその様子も集落内のアリエスタに伝えられる。
「敵の増援が来ているみたいですわよ」
大声で教えるアリエスタ。そしてこれまで戦ってきた集落の大人達を下がらせた。
「妖精さんから事情は聞いていますのよ。安心して怪我の治療をなさってくださいね。あ、そこの子、ダメだから、ね?」
両手でナタを握りしめて走りだそうとしていた男の子を後ろから抱きかかえる。言い聞かせてからアリエスタも戦線に復帰。背後から仲間を狙うトカゲ雑魔にシャドウブリットの黒塊をぶつけた。
シャルルは遠隔攻撃主体で奮闘していたが、混戦故に直前まで近づかれてしまうときもある。そうしたときは足元を蹴飛ばし、トカゲ雑魔の顔へ土塊を飛ばす。一瞬怯んだ隙にデルタレイを発動させ、周辺の敵二体と共にこの世から消し去った。
「あ。何かミランダとティス……樹上だと攻撃されて……ナイ?」
外縁にいる味方の様子を確認したシャルルが集落民に伝令を頼んだ。トカゲ雑魔は塀を越えられなかったように登るのが不得意。女性や子供は樹木や屋根の上に登っておくのが安全だと。
前線に立つエスクラーヴはステップを踏みながら敵に拳を叩きつける。一撃でトカゲ雑魔が消え去る感覚はとても清々しかった。そうして倒していくうちに前へとですぎてしまう。
「数が多すぎる、無理無理! だずげでえ!」
大急ぎで集落へ戻ろうとするエスクラーヴ。追いかけてきたトカゲ雑魔が口を大きくあけた。ダメかと思ったが、飛んできた矢が敵の額に命中して消滅していく。
「間に合ったようね。ここから先は行かせはしないわ」
それは集落内の陶凛華が放った矢。他の個体も弓撃によって次々と倒れていった。
「もう大丈夫、だからあたいの背中を守っていてね」
駆けつけたミラが振り上げた斧で迫る敵の頭蓋を叩き割る。軸足を中心にして左右のトカゲ雑魔も斧刃の餌食に。
「よ、よしっ!」
落ち着きを取り戻したエスクラーヴがフックでトカゲ雑魔の横っ面を張り倒す。
「どうにも数が多いですね……」
敵の多さにうんざりしながら戦っていたエレンジアが見かけた。森の茂みから新たなトカゲ雑魔の群れがやって来るのを。
ティスのファイアーボールが敵数をかなり減らしてくれる。それでも三十前後はトカゲ雑魔が追加された。
「もぞもぞしているよ!」
「生き残ったトカゲが一斉に霧を吐いているから注意して!」
メメとミランダからの無線連絡を聞いた陶凛華が大きく息を吸い込む。
「急いで下がって! 霧がこっち流れてくるわよ!」
そして大声を張り上げた。耳にした味方が大急ぎで塀の内側へと身を隠す。
漂う霧によって塀の表側が腐食していく。害がなくなるまで薄まるのにかかった時間は三十秒ほど。その間、集落に踏み込んできたトカゲ雑魔を銃や弓矢、魔法のみで倒していった。
無線の伝達によってティス最後のファイアーボール使用宣言が行われる。それから十数秒後、敵の群れの中心で火球が炸裂。こうしてトカゲ雑魔数十がまとめて屠られる。
劣勢に右往左往し始めるトカゲ雑魔の群れ。好機を見逃さずにハンター達は一気に攻めたてた。
残る術のすべてを惜しみなく使う。貫くライトニングボルトに跳ねる聖銀の水弾。黒い塊のシャドウブリット。足止めのエレクトリックショックに三条光のデルタレイ。ランアウトとドッジダッシュを織り交ぜた霍乱攻撃。遠射とターゲッティングによって逃さず敵に命中。練気、震撃を織り交ぜた拳撃を見舞った。
通常攻撃も織り交ぜてトカゲ雑魔を倒していく。
ついに数が十数にまで減ったとき、残存のトカゲ雑魔が敗走する。一体たりとも逃がすまいとハンター達は追撃を仕掛けた。
「ここは通さないわよね」
ティスが魔導拳銃「マーキナ」で茂みに潜り込もうとする個体へ銃弾を叩き込む。
「憂いは絶たないと」
陶凛華がトカゲ雑魔の頭部を弓撃で貫く。仰向けでじたばたしている間に息絶えて散っていった。
「わたしの仕事はこれで最後かしら」
エレンジアはトカゲ雑魔に追いついて倒しきる。取りだしたハンカチーフで頬の汗を拭う。
「こら! 逃げるなっ!」
エスクラーヴが逃げ道を塞いだ上でストレートを食らわした。トカゲ雑魔の頭部がねじ曲がると少しずつ全身が消えていく。
「絶対に逃がさないヨ」
「もう少しね」
シャルルは最後のジェットブーツで森の茂みまでひとっ飛び。ティスに加勢し、デリンジャーの銃弾で敗残のトカゲ雑魔を歓迎する。
「みなさん、大丈夫?」
アリエスタは周辺の敵を倒しきった後は仲間達の傷を癒やす。煌めくキュアで腐食を止めてからヒールで体力を回復させる。これまでもハンター達が全力で戦えたのはアリエスタの気遣いのおかげだ。
「これで最後みたいだね」
ミラが振るった斧の刃がトカゲ雑魔を両断。目障りなすべてが一掃される。
「みんな、げんき? けがしてない?」
「おお、メメ! お前が力強い味方を連れてきてくれて助かったよ!」
メメはようやく集落の人々と再会を果たす。だが大いに喜び合う前にやることがある。妖精仲間と森を含めて広範囲に探索。宵の口まで探したがトカゲ雑魔は一体も残っていなかった。
●
誰もが疲れていた。一行は非常食で空腹を満たし、急遽用意された寝床でぐっすりと休む。翌朝、集落の人々とあらためて挨拶を交わした。
「メメからいろいろと聞きました。ミランダさん、メメに力を貸してくれてありがとうございます。ハンターの皆様、あんなにたくさんの雑魔トカゲを倒してくれて助かりました。ありがとうございます!」
集落の全員が一行に感謝する。夕食の卓にはご馳走として鴨のローストが並べられた。
「美味しい料理のお礼に一曲弾こうカナ」
「とても聴きたいですわ」
シャルルはエレンジアに頷きつつクラッシックギターを取りだす。そしてお疲れ様と平穏の訪れを込めて優しいメロディを奏でる。
「みんな助かってよかったね」
「うん♪ でももうすぐお別れかあ……」
ミランダとメメが演奏に合わせて身体を揺らす。こうして食事と音楽の楽しい時間が過ぎていく。
もしもの警戒と身体を休めるためにもう一日留まった。その際、集落周辺で穫れた栗を味わう機会がある。
「私に任せて!」
ミランダが焼いた栗は好評を博した。彼女が焼き栗で生計を立てているのを知ると集落の人々はお土産にたくさんの栗を持たせてくれる。
そして一行は馬車と馬で帰路に就く。
「この栗、飽きないわね」
馬上のティスが剥いてある焼き栗を頬張る。
「二つも食べて大丈夫なの?」
「平気だよ~♪」
車内のアリエスタはメメの大食いにびっくりしていた。
ただメメが馬車に乗っていたのは食べ終わるまで。
「みんなありがとう。ミランダ、さよなら~」
見送りのメメは最後に別れの言葉を全員にかけて飛び立つ。名残惜しそうに何度も振り返りながら遠ざかっていく。
(別れはどうしてもね)
ミラは瞳を涙で潤ませていたミランダの代わりに馬車の御者を代わってあげる。
「さよなら可愛いメッセンジャー……あれ? 忘れ物なの?」
手を振っていた陶凛華が首を傾げた。メメが思いっきり羽ばたかせて馬車まで戻ってきたからである。
「やっぱりあたし、ミランダのとこにいていい?」
「うん……」
「集落のみんなにあいさつしてくるね。待っててね」
「う……」
メメの言葉に涙目のミランダが何度も頷く。馬車は停車する。メメは集落へ飛んでいき、三十分ほどで再び現れた。
「ほら、ここだ」
「ありがと♪」
エスクラーヴがぶっきらぼうな態度でメメに席を譲って御者台へと移っていく。メメはミランダと並んで座る。
数日後、馬車は無事に王都へと辿り着く。
「焼き栗だよ!」
「おいしいよ~♪」
それから第七街区のある焼き栗屋台では妖精が呼び込みをしていると評判になる。ハンター達も王都を訪ねた際には立ち寄って美味しい焼き栗を味わうのだった。
深き森の道を馬車一両と護衛の乗馬者一名が駆け抜けていく。依頼者とハンターの一行である。
「走りだしてかなり経つよね」
「集落はもうすぐだよ」
御者として手綱を握っていたのは依頼者ミランダである。妖精メメが座っていたのは彼女の目の前にある風よけの上だ。
「メメさん、こっち来てもらえる? 確認してもらいたいことがあるのよね」
「は~い♪」
旅の間に仲良くなったミラ・ユスティース(ka5631)に呼ばれてメメが車内へ。メメの証言を元にして作られた集落周辺の地形地図を参考にして作戦の最終確認が行われる。
車内から御者台へ身を乗りだした陶 凛華(ka5636)がミランダに何かを渡そうとしていた。
「これ忘れないうちにね。私も持っているから、判ったことがあったら教えてね」
「はい!」
陶凛華からミランダが受け取ったのは無線機である。
「わたくしも持っていますのよ。高見から状況を報告してもらえると助かりますわ」
「メメにも協力してくれるのでお役に立てると思います」
アリエスタ(ka4140)は陶凛華の後ろからミランダに自分の無線機を見せた。
多数のトカゲ雑魔が集落を取り囲んでいる状況は変わらないと想定する。ミランダは木に登り、退治が終わるまでやり過ごす手筈になっていた。
(メメさんが集落を発ってからどれくらい経っているのかはわからないけれど……)
愛馬で護衛するティス・フュラー(ka3006)の脳裏に嫌な予感が過ぎる。道の一部にトカゲ雑魔がつけたと思われるたくさんの足跡が残っていた。
(もうすぐ初の戦闘ですわね……)
エレンジア・アーヴァイン(ka5584)は車内の席に座りながらぎゅっと両の拳を握りしめる。俯いていた顔をあげるとシャルル=L=カリラ(ka4262)の目と目が合った。
「大丈夫。メメの話だと躾のなってないトカゲのようだけどネ。まぁ、トカゲに躾とか無い……カナ?」
シャルルの冗談にエレンジアがくすりと笑う。
相談が終わったメメは窓枠に座る。そして落ち着きがないエスクラーヴ(ka5688)の様子に首を傾げた。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
「あのね……みんなを助けてくれるために、ここまで来てくれてありがと」
「そ、そんなことないぞ。トカゲをぶっ叩きたかっただけだ」
メメはミランダからもらった焼き栗をエスクラーヴにもあげる。彼女がそれを食べ終わった頃に馬車が停まった。
目的の集落まで一kmを切る。馬車は馬ごと茂みに隠して徒歩で向かう。
まもなく集落が見えてきた。メメのいうとおり、トカゲ雑魔の群れに囲まれていた。これまで持ち越えたようだが、塀の一部が集中攻撃を受けて突破されかけている。
ハンター達は一斉に覚醒。取り返しが付かなくなる前に動きだした。
●
「無線のスイッチを入れてと」
ミランダは急いで近くの大樹へと登り、幹が二股に分かれてるところへ腰かける。メメは自らの羽根でミランダの側へ。ここからなら直径百五十m円の集落が一望できた。
「範囲攻撃のときには、声を掛けてね。急いで範囲外に退避するとか、邪魔にならないようにするから」
ミラに頷いたティスが茂みから立ち上がる。
(あの辺りが一番密集しているわよね)
構えたティスのワンド「ゴールデン・バウ」の先端が青白く輝いた。刹那、ライトニングボルトによる一条の雷撃がトカゲ雑魔をまとめて貫き通す。
群れの間に一筋の道ができあがった瞬間、シャルルが大地を蹴って走りだした。道が再びトカゲ雑魔で埋もれてしまう前にジェットブーツを発動させる。
「これは絶景ダネ!」
高く宙に舞い上がったシャルルは崩壊寸前の柵を越えて集落の中へ飛び込んだ。彼の動きに多くのトカゲ雑魔が気を取られて背後への注意を怠る。
ティスによる二撃目の雷撃によってもう一度群れの中に道が拓けた。今度はすでに密集度が下がっていたおかげでしばらく持ちそうな状況。この機会を逃すまいとハンターの多くが集落内を目指す。
外縁の森に残った陶凛華が援護する。コンポジットボウで狙い澄まし、仲間へ襲いかかろうとする敵を射つ。
(これなら大丈夫そうね。私も力の限りお手伝いするわ)
射程距離のことを気にしていた陶凛華だが今のところは充分に届いた。ここぞというときのために遠射はとっておかれる。
「もうすぐよ!」
ランアウトによる突進力で先駈けていたのがミラだ。ツヴァイシュトースツァーンと呼ばれる斧で邪魔なトカゲ雑魔を次々に塵と化す。
「ミランダさまから無線連絡。ティスさまが予定外の雷撃を放つようですわ。集落に向かって右に注意よ!」
アリエスタはホーリーメイス「ギデオン」をトカゲ雑魔の腹部にめり込ませて声を張り上げる。それから十数秒後、状況を鑑みての雷撃が新たな道を作り上げた。
ミラがドッジダッシュで敵の攻撃を躱しつつ新たな道へと移る。後続の仲間達も続く。
「失敗しましたの。最初はマジックアローで攻撃するつもりでしたのに」
エレンジアはスキルのセットを忘れていた。迫るトカゲ雑魔を蹴飛ばし、ワンドを振り回す。
「こいつめっ! よしっ!」
エスクラーヴは拳にはめたヴァリアブル・デバイドでトカゲ雑魔と戦っていた。撓る尻を避けて拳を呻らせる。獣の顎のような刃で敵を削いでいく。
「さあ、キミたち、待っていたヨ!」
集落に到達済みのシャルルがエレクトリックショックで敵の動きを止めてくれる。このとき塀の一部はもう崩れていた。ハンターの多くが身を屈めて集落内へ飛び込み、即座に身を翻す。
さらに崩れていく丸太と泥で建てられた塀。幅十数メートルに渡って集落と外部の境がなくなるのだった。
●
「集落を囲んでいたトカゲが次々と壊れた塀のところへ集まっているからね」
「だよ~」
木登り中のミランダとメメが外側から眺めた集落の状況を無線で伝える。それを聞いた陶凛華は集落内のアリエスタに連絡した。
「南の塀に向かうのでよろしくね」
「わかったわ。集落のみなさんに頼んでおくから大丈夫」
陶凛華は集落内を目指す。十分弱後、彼女は南方の塀に垂らされた縄を伝って集落内に辿り着くことになる。
「さて」
ティスが集落外縁に留まったのは森の道に残っていたトカゲ雑魔の足跡が気になったからだ。ミランダとは別の大樹に登って監視していると、暗い森の茂みからトカゲ雑魔が現れた。一体、また一体と。
(やっぱり増援がいたのね)
わずかな間に二十数体まで増大。今のうちなら処理できると判断してファイアーボールを詠唱した。飛んでいった小さな火種が敵の中心で弾ける。業火は一瞬のうちに大きく膨らんで二十体前後を塵と化す。範囲から外れた三体は冷静に魔導拳銃で撃ち仕留めた。
ミランダによってその様子も集落内のアリエスタに伝えられる。
「敵の増援が来ているみたいですわよ」
大声で教えるアリエスタ。そしてこれまで戦ってきた集落の大人達を下がらせた。
「妖精さんから事情は聞いていますのよ。安心して怪我の治療をなさってくださいね。あ、そこの子、ダメだから、ね?」
両手でナタを握りしめて走りだそうとしていた男の子を後ろから抱きかかえる。言い聞かせてからアリエスタも戦線に復帰。背後から仲間を狙うトカゲ雑魔にシャドウブリットの黒塊をぶつけた。
シャルルは遠隔攻撃主体で奮闘していたが、混戦故に直前まで近づかれてしまうときもある。そうしたときは足元を蹴飛ばし、トカゲ雑魔の顔へ土塊を飛ばす。一瞬怯んだ隙にデルタレイを発動させ、周辺の敵二体と共にこの世から消し去った。
「あ。何かミランダとティス……樹上だと攻撃されて……ナイ?」
外縁にいる味方の様子を確認したシャルルが集落民に伝令を頼んだ。トカゲ雑魔は塀を越えられなかったように登るのが不得意。女性や子供は樹木や屋根の上に登っておくのが安全だと。
前線に立つエスクラーヴはステップを踏みながら敵に拳を叩きつける。一撃でトカゲ雑魔が消え去る感覚はとても清々しかった。そうして倒していくうちに前へとですぎてしまう。
「数が多すぎる、無理無理! だずげでえ!」
大急ぎで集落へ戻ろうとするエスクラーヴ。追いかけてきたトカゲ雑魔が口を大きくあけた。ダメかと思ったが、飛んできた矢が敵の額に命中して消滅していく。
「間に合ったようね。ここから先は行かせはしないわ」
それは集落内の陶凛華が放った矢。他の個体も弓撃によって次々と倒れていった。
「もう大丈夫、だからあたいの背中を守っていてね」
駆けつけたミラが振り上げた斧で迫る敵の頭蓋を叩き割る。軸足を中心にして左右のトカゲ雑魔も斧刃の餌食に。
「よ、よしっ!」
落ち着きを取り戻したエスクラーヴがフックでトカゲ雑魔の横っ面を張り倒す。
「どうにも数が多いですね……」
敵の多さにうんざりしながら戦っていたエレンジアが見かけた。森の茂みから新たなトカゲ雑魔の群れがやって来るのを。
ティスのファイアーボールが敵数をかなり減らしてくれる。それでも三十前後はトカゲ雑魔が追加された。
「もぞもぞしているよ!」
「生き残ったトカゲが一斉に霧を吐いているから注意して!」
メメとミランダからの無線連絡を聞いた陶凛華が大きく息を吸い込む。
「急いで下がって! 霧がこっち流れてくるわよ!」
そして大声を張り上げた。耳にした味方が大急ぎで塀の内側へと身を隠す。
漂う霧によって塀の表側が腐食していく。害がなくなるまで薄まるのにかかった時間は三十秒ほど。その間、集落に踏み込んできたトカゲ雑魔を銃や弓矢、魔法のみで倒していった。
無線の伝達によってティス最後のファイアーボール使用宣言が行われる。それから十数秒後、敵の群れの中心で火球が炸裂。こうしてトカゲ雑魔数十がまとめて屠られる。
劣勢に右往左往し始めるトカゲ雑魔の群れ。好機を見逃さずにハンター達は一気に攻めたてた。
残る術のすべてを惜しみなく使う。貫くライトニングボルトに跳ねる聖銀の水弾。黒い塊のシャドウブリット。足止めのエレクトリックショックに三条光のデルタレイ。ランアウトとドッジダッシュを織り交ぜた霍乱攻撃。遠射とターゲッティングによって逃さず敵に命中。練気、震撃を織り交ぜた拳撃を見舞った。
通常攻撃も織り交ぜてトカゲ雑魔を倒していく。
ついに数が十数にまで減ったとき、残存のトカゲ雑魔が敗走する。一体たりとも逃がすまいとハンター達は追撃を仕掛けた。
「ここは通さないわよね」
ティスが魔導拳銃「マーキナ」で茂みに潜り込もうとする個体へ銃弾を叩き込む。
「憂いは絶たないと」
陶凛華がトカゲ雑魔の頭部を弓撃で貫く。仰向けでじたばたしている間に息絶えて散っていった。
「わたしの仕事はこれで最後かしら」
エレンジアはトカゲ雑魔に追いついて倒しきる。取りだしたハンカチーフで頬の汗を拭う。
「こら! 逃げるなっ!」
エスクラーヴが逃げ道を塞いだ上でストレートを食らわした。トカゲ雑魔の頭部がねじ曲がると少しずつ全身が消えていく。
「絶対に逃がさないヨ」
「もう少しね」
シャルルは最後のジェットブーツで森の茂みまでひとっ飛び。ティスに加勢し、デリンジャーの銃弾で敗残のトカゲ雑魔を歓迎する。
「みなさん、大丈夫?」
アリエスタは周辺の敵を倒しきった後は仲間達の傷を癒やす。煌めくキュアで腐食を止めてからヒールで体力を回復させる。これまでもハンター達が全力で戦えたのはアリエスタの気遣いのおかげだ。
「これで最後みたいだね」
ミラが振るった斧の刃がトカゲ雑魔を両断。目障りなすべてが一掃される。
「みんな、げんき? けがしてない?」
「おお、メメ! お前が力強い味方を連れてきてくれて助かったよ!」
メメはようやく集落の人々と再会を果たす。だが大いに喜び合う前にやることがある。妖精仲間と森を含めて広範囲に探索。宵の口まで探したがトカゲ雑魔は一体も残っていなかった。
●
誰もが疲れていた。一行は非常食で空腹を満たし、急遽用意された寝床でぐっすりと休む。翌朝、集落の人々とあらためて挨拶を交わした。
「メメからいろいろと聞きました。ミランダさん、メメに力を貸してくれてありがとうございます。ハンターの皆様、あんなにたくさんの雑魔トカゲを倒してくれて助かりました。ありがとうございます!」
集落の全員が一行に感謝する。夕食の卓にはご馳走として鴨のローストが並べられた。
「美味しい料理のお礼に一曲弾こうカナ」
「とても聴きたいですわ」
シャルルはエレンジアに頷きつつクラッシックギターを取りだす。そしてお疲れ様と平穏の訪れを込めて優しいメロディを奏でる。
「みんな助かってよかったね」
「うん♪ でももうすぐお別れかあ……」
ミランダとメメが演奏に合わせて身体を揺らす。こうして食事と音楽の楽しい時間が過ぎていく。
もしもの警戒と身体を休めるためにもう一日留まった。その際、集落周辺で穫れた栗を味わう機会がある。
「私に任せて!」
ミランダが焼いた栗は好評を博した。彼女が焼き栗で生計を立てているのを知ると集落の人々はお土産にたくさんの栗を持たせてくれる。
そして一行は馬車と馬で帰路に就く。
「この栗、飽きないわね」
馬上のティスが剥いてある焼き栗を頬張る。
「二つも食べて大丈夫なの?」
「平気だよ~♪」
車内のアリエスタはメメの大食いにびっくりしていた。
ただメメが馬車に乗っていたのは食べ終わるまで。
「みんなありがとう。ミランダ、さよなら~」
見送りのメメは最後に別れの言葉を全員にかけて飛び立つ。名残惜しそうに何度も振り返りながら遠ざかっていく。
(別れはどうしてもね)
ミラは瞳を涙で潤ませていたミランダの代わりに馬車の御者を代わってあげる。
「さよなら可愛いメッセンジャー……あれ? 忘れ物なの?」
手を振っていた陶凛華が首を傾げた。メメが思いっきり羽ばたかせて馬車まで戻ってきたからである。
「やっぱりあたし、ミランダのとこにいていい?」
「うん……」
「集落のみんなにあいさつしてくるね。待っててね」
「う……」
メメの言葉に涙目のミランダが何度も頷く。馬車は停車する。メメは集落へ飛んでいき、三十分ほどで再び現れた。
「ほら、ここだ」
「ありがと♪」
エスクラーヴがぶっきらぼうな態度でメメに席を譲って御者台へと移っていく。メメはミランダと並んで座る。
数日後、馬車は無事に王都へと辿り着く。
「焼き栗だよ!」
「おいしいよ~♪」
それから第七街区のある焼き栗屋台では妖精が呼び込みをしていると評判になる。ハンター達も王都を訪ねた際には立ち寄って美味しい焼き栗を味わうのだった。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 エレンジア・アーヴァイン(ka5584) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/10/29 06:57:51 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/25 19:06:25 |