ゲスト
(ka0000)
メンドクセ
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2015/11/04 19:00
- 完成日
- 2015/11/11 00:57
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
-------------------
出現場所は工房跡の空き地。
数は1匹。人型。大きさ2メートル弱。
武器などは所有しておらず。座り込んでじっとしている。歪虚なのか精霊なのか今一つ解せず。
正体確認のため、至急ハンターを1名送られたし。
-------------------
新米ハンターのカチャが以上の依頼を引き受け、現場に向かって丸一日――。
「えっ、彼女まだ戻ってきてないんですか?」
「ええ……任務を完遂したかどうかの報告もなくて……何度も連絡してみたのですが、全く応答なしでして……」
それってかなりまずい事態なのではないだろうか、とハンターたちは思った。
ハンター世界の常識に照らしてみれば『帰還しない』イコール『帰還出来ない』、『連絡がない』イコール『連絡が出来ない』である。
もしかして重症でも負っているのではないだろうか 。下手したら死んでいるのではないだろうか。
ともあれハンター支部受付のお姉さんは、続けて彼らにこう言った。
「とにかく報告が入っておりませんので、この依頼は引き続き解決出来ていないものと見なされます。従ってハンター募集もそのまま続行されることになるわけですが……皆様お受けになりますか?」
もちろん。
歪虚は倒さなければいけないし、カチャのことも心配だ。
報告にある正体不明なものが精霊なら、音信不通になどならないはず……。
●
その空き地は絵にかいたような空き地だった。一面ぺんぺん草が生え、一角に土管が積まれており、雑な鉄条網で囲まれている。立ち入り禁止の看板に子供が落書きしているのはお約束だ。
カチャは――その土管の上に寝そべっていた。
怪我をしているとか具合が悪いとかそういうことでは一切ない。ぱりぱりポテトチップスを食べながら漫画を読み、一人笑いしているのだから。
「あはは、うける~」
心配した分腹が立ってこないでもない一同。
彼女から漫画本を取り上げ詰問する。
「おい、一体全体何してんだ。歪虚退治はどうしたんだ。終わったのか」
カチャは起き上がりもせず、間延びした声で答えた。
「いいえ~~全然~~」
「全然って、どういうことだ。お前はそのために依頼を受けたんだろ!」
「あ~~最初はそうだったんですけど~~なんか~~よく考えたらめんどくさいなって~~というより~~なんで働かなきゃいけないのかな~~って~~思って~~ほら私まだ13ですし~~別に自宅警備員でもいいんじゃないかって~~思えてきたし~~大体資本主義に毒されたこの世の中で~~働いた方が負けですよね~~死ぬまで生きられたら~~それでいいんじゃないかな~~」
この言い分に皆は愕然とした。
どうしたんだカチャ。いつもの頑張り屋さんなお前はどこに行ったんだ。すっかりダメな子になってるじゃないか。
「お前はローンがあるんだろ! それを返さなくちゃいけないんだろ!」
「あるけど~~別に私一人が代金踏み倒したって~~ショップは潰れたりしないし~~」
どろんとした目で得手勝手なことを言いまくるカチャ。
その時皆は気づいた。彼女が寝ていた土管の後ろ側から、毛に覆われた丸い頭が出ているのを。
すごく不審だったので前に回ってみたら、巨大なミツユビナマケモノ――にそっくりな歪虚が座っていた。
体に対して長い手足を投げ出し、間の抜けた微笑みを浮かべている。
……そうだ、そもそも歪虚を退治しに来たんだと誰しも思い出すが、そのためのアクションを取る気には、全然なれなかった。
プスーという音がした。
歪虚が屁をこいたのだ。
別に臭くはないがとことん気が抜ける。
めんどくせ、という感情がひたひた全身を侵して行く。
ハンターたちの顔は、だんだんこんな感じになってきた。
('A`)
出現場所は工房跡の空き地。
数は1匹。人型。大きさ2メートル弱。
武器などは所有しておらず。座り込んでじっとしている。歪虚なのか精霊なのか今一つ解せず。
正体確認のため、至急ハンターを1名送られたし。
-------------------
新米ハンターのカチャが以上の依頼を引き受け、現場に向かって丸一日――。
「えっ、彼女まだ戻ってきてないんですか?」
「ええ……任務を完遂したかどうかの報告もなくて……何度も連絡してみたのですが、全く応答なしでして……」
それってかなりまずい事態なのではないだろうか、とハンターたちは思った。
ハンター世界の常識に照らしてみれば『帰還しない』イコール『帰還出来ない』、『連絡がない』イコール『連絡が出来ない』である。
もしかして重症でも負っているのではないだろうか 。下手したら死んでいるのではないだろうか。
ともあれハンター支部受付のお姉さんは、続けて彼らにこう言った。
「とにかく報告が入っておりませんので、この依頼は引き続き解決出来ていないものと見なされます。従ってハンター募集もそのまま続行されることになるわけですが……皆様お受けになりますか?」
もちろん。
歪虚は倒さなければいけないし、カチャのことも心配だ。
報告にある正体不明なものが精霊なら、音信不通になどならないはず……。
●
その空き地は絵にかいたような空き地だった。一面ぺんぺん草が生え、一角に土管が積まれており、雑な鉄条網で囲まれている。立ち入り禁止の看板に子供が落書きしているのはお約束だ。
カチャは――その土管の上に寝そべっていた。
怪我をしているとか具合が悪いとかそういうことでは一切ない。ぱりぱりポテトチップスを食べながら漫画を読み、一人笑いしているのだから。
「あはは、うける~」
心配した分腹が立ってこないでもない一同。
彼女から漫画本を取り上げ詰問する。
「おい、一体全体何してんだ。歪虚退治はどうしたんだ。終わったのか」
カチャは起き上がりもせず、間延びした声で答えた。
「いいえ~~全然~~」
「全然って、どういうことだ。お前はそのために依頼を受けたんだろ!」
「あ~~最初はそうだったんですけど~~なんか~~よく考えたらめんどくさいなって~~というより~~なんで働かなきゃいけないのかな~~って~~思って~~ほら私まだ13ですし~~別に自宅警備員でもいいんじゃないかって~~思えてきたし~~大体資本主義に毒されたこの世の中で~~働いた方が負けですよね~~死ぬまで生きられたら~~それでいいんじゃないかな~~」
この言い分に皆は愕然とした。
どうしたんだカチャ。いつもの頑張り屋さんなお前はどこに行ったんだ。すっかりダメな子になってるじゃないか。
「お前はローンがあるんだろ! それを返さなくちゃいけないんだろ!」
「あるけど~~別に私一人が代金踏み倒したって~~ショップは潰れたりしないし~~」
どろんとした目で得手勝手なことを言いまくるカチャ。
その時皆は気づいた。彼女が寝ていた土管の後ろ側から、毛に覆われた丸い頭が出ているのを。
すごく不審だったので前に回ってみたら、巨大なミツユビナマケモノ――にそっくりな歪虚が座っていた。
体に対して長い手足を投げ出し、間の抜けた微笑みを浮かべている。
……そうだ、そもそも歪虚を退治しに来たんだと誰しも思い出すが、そのためのアクションを取る気には、全然なれなかった。
プスーという音がした。
歪虚が屁をこいたのだ。
別に臭くはないがとことん気が抜ける。
めんどくせ、という感情がひたひた全身を侵して行く。
ハンターたちの顔は、だんだんこんな感じになってきた。
('A`)
リプレイ本文
新米とはいえ派遣されたハンターを1人返り討ちにしている。警戒はしなければなるまい。
そう思っていたJ・D(ka3351)は、いざ目の当たりにした歪虚の姿に戸惑っている。
「……サテ、こいつは困っちまった。どうにも気が乗ってきやがらねえ。この歪虚……歪虚なんだろうが……」
気の抜けた面を拝んでいると戦る気がどこまでも吸い取られて行く――何を隠そうこれがこの歪虚の力。
「一寸そこのアンタ! 確りしなさいよね! 見たトコ敵は一体。然も動いてないなんて、飛んで火に入る何とやらよ。全員で包囲して集中攻撃よ!!」
とカチャの襟首を掴み怒鳴っていた岩波レイナ(ka3178)の目も、たちまちどんより。
「……あーでも、ちょっと、ちょっとだけ面倒ね。敵は逃げる素振もないし、もう、このままでも良いんじゃないかしら。だって、人畜無害っぽいしさ……あー良い天気! こんな時に大好きな、憧れの歌姫の歌があれば、此処は天国かも知れないわね」
草の上に寝転がり、ポテトチップばりばり。
ディヤー・A・バトロス(ka5743)が抜刀した。ナマケモノに向かって一直線に走って行く。
「臭い匂いはもとから絶つ! 受けてみよこの刃!」
ぷすう
ナマケモノがまた屁をこいた。臭くはない。臭くはないが妙に生暖かい風圧。
その直撃を受けたディヤーは剣を振り下ろす前に、足を止めてしまった。
「うぬぅ、不覚……なまら働きたくない気持ちなのじゃ……あーあーあー全くカチャ殿の言うとおりよのー働いたって搾取されるだけなのじゃーワシはこれから労働者としてー無期限1人ストライキを敢行するのじゃー」
とのたまい耳ホジしつつ、ごろり。
琴平 詩音(ka5217)はそんな彼を乗り越えナマケモノに近づき、顔をじっと見た。
――どう頑張っても戦意が全然わいてこない。
「まがいものだから、顔張らないといけないんだけど……、どうでも良さそうな気がしてきた……」
古川 舞踊(ka1777)は、対象から距離をとることにする。近づきすぎると即堕落してしまうらしいので。
「それにしても、例えようもない馬鹿面ですわね。この世に存在している理由が果たしてあるのですかしら」
穏やかにして辛辣な批評も意に介せず、微動だにしないナマケモノ。脇腹をぼりぼり掻く。
「早く帰ってのんびりしたいところですが……いえいえ、早く倒してしまえば済む話です、気を引き締めてまいりましょう……いっそこのままエスケープしてしまいましょうか……いえいえそれはいけませんお嬢様の名を辱めることに……」
一方詩音は、どんどん怠惰の海に溺れて行く。
「何だか行動を描くのがめんどうくさく……かんじかくのもめんどうくさくなってきた……」
わけのわからないことを呟きながら横になり、あくびをする。
「なんだかめんどうくさくなったから、みんなでそのへんでねよー……みんにゃでねりゅのがいちばん……おやすみー……」
本当に寝てしまった。
次々落ちて行く仲間の姿に、ヴィルマ・ネーベル(ka2549)は危機感を抱く。
「面倒くさくなる前になんとかしたいのじゃ……我が我を保っておられるうちに」
急速に膨れ上がってくるダルダル気分に活を入れ、手初めに寝転がったディヤーを引っ張り立たせようとするが、相手に全然立つ気がないのでどうにもならない。
「しっかりするのじゃよ。気をしっかり持てばなんとかなるのじゃ、気合いじゃよ気合い!」
「……んなもん無理に決まっておろう。なんといったってワシは最強じゃからな!」
これは自分一人の手に負えない。ならば鵤(ka3319)に協力させようとそちらを見たら、率先して土管の上に寝転がっていた。腐った鯖みたいな目をして。
「あーだっるぅーマジだっるぅー。もうなぁ~んにもしたくねえわぁーなんちってあっひゃっひゃっひゃ!………ハァ。だるぅー」
……正直自分だけ張り切っているのが馬鹿らしくなってきた。もうやめちゃおうかな。
「いやいやそんなことではいかぬ! 歪虚を倒さねば!」
気を引き締めてナマケモノに向き直れば、確実に何も考えていない微笑み。
心身ともに力が抜ける。
気力を無くすと同時に、素の後ろ向思考へ陥ってしまう。
「あ、あの、なんじゃ……この虚脱感……わた……私……なんでここに……いるんだろう……何がしたいんだろう……なんで必死になって戦ってるんだろう……教えて……誰か……」
カイン・マッコール(ka5336)は、そもそも討伐対象が歪虚である時点で、やる気が半減していた。彼にとって倒すべきは一に亜人で二に亜人、三、四がなくて五に亜人。雑魔は仕事の範疇外、という意識が強い。
そこにナマケモノの怠惰オーラを浴びて、ますますモチベーションが下がる次第。
「でもまあ契約は契約だからちゃんとやらなきゃならない。味方の救助だって大事なことだ。やらなければ。めんどくさいけど。ゴブリンでもないしなあ、面倒くさい。面倒くさいだから、しっかりやらないと」
口ではそう言いながらエスプレッソマシーンに豆を入れ水を入れスイッチを入れ、身じろぎもせず湯が沸いて行くのを見守る次第。
鵤は相変わらずの与太りぶり。
「え、おっさん? やーおっさんもほらぁ、マジ怠惰ってるっつーの? もう働く気力一ミリもない的な? まあ元からなかったわけですけどぉ。あーまじダルいわぁー」
J・Dは、確信した。この歪虚の持っている能力が怠惰そのものだということを。
(……クソッタレな兄貴分の鵤はいつも通りだとしたって、ヴィルマや、他の奴等も腑抜けになっていやがる……)
ディヤーに至っては大事な剣を草の上に転がし日なたでごろごろ、カチャの漫画をのぞき込んでいる。
「おおお~、いいのう、このなーんにもしたくない感じ~。何を読んでおるのじゃ~?」
「くっつかないでよ~読みにくい~さっきからなんなの~」
「名づけて~、兎罠に死して二狼骸を競い合うの計じゃ~はよ続きをめくってたも~」
近くにはレイナも寝転がり、ポテチの油とカスがついた指で芸能雑誌をめくっている。
「あー美味しい……外で何か食べたり飲んだりすると、気分が違って、美味しさも変わるから不思議よね。ああ、折角だから、飲み物も用意しておけば良かったわ。抜かったわね。誰かジュース買ってきてー誰かー」
自分では1ミリも動くつもりがないらしい。
(周りがこうなら仕方がねえ。変に気張ってねえで、俺も……)
安きに流れようとするJ・D。しかし彼はすんでの所で踏みとどまった。
(いや待て。俺までコイツに呑まれちまったら、誰があの歪虚を始末するンでえ)
視線の先にあるのは鼻毛を抜いている鵤の姿。
自分がこのレベルに落ちたら後々この男にどんな面で何を言われるか――たやすく想像できる。
「気合を入れろ歯ァ食いしばれ! マトモ系の意地を見せてみやがれ、畜生め!」
己で己に往復ビンタを入れ正気づけたJ・Dは、ヴィルマの姿が見えなくなっていることに気づく。
探してみれば、土管の中に閉じこもっていた。体育座りでガクブルしている。
「よう」
呼びかけても目を合わせてこない。
「な……なんで皆さん目の前に歪虚がいるのにそ……そんなのんきに……怖い怖い怖い怖い倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ。歪虚は生かして……おけない……私が……魔法で……倒さなきゃいけないのに……」
怠惰が過ぎて己を演じる気力も喪失した揚げ句、戦意喪失したらしい。
酔ったときの彼女そっくりだと思いつつ、ヴィルマは、青い髪に手を置いた。
「おっかねえなら隠れておきな。ここは俺が……何とか、してやる」
●
詩音は夢を見ていた。自分と仲間たちがいる。
どこからともなくバスケットボールが転がってきたので、手に取る。
「ちょうどいいや、皆でバスケしよう!」
そう言った瞬間周囲が試合会場になっていた。観客席は大入り満員。歓声が上がる。
「さあ、試合開始だ!」
全員お揃いのユニフォームを着ている。何故かナマケモノも同様の格好をし交じっている。
敵チームは皆顔が適当なへのへのもへじだ。
詩音は走りだした。ドリブルしつつ小回りをきかせディフェンスを翻弄。
「ヘイヘイヘイヘイ! どうしたどうした!」
走ると見せかけフェイント、コートの中でだれて転がっているナマケモノの顔面に。
「パァスッ!」
●
「うわぁめっちゃ顔面めりこんだっ!?」
大きな寝言を上げている詩音。
それを顧みもせずカインは、したたり落ちてくるエスプレッソを眺めている。
たださえ苦みの強い豆を大量投入し濃縮した結果、黒というより暗黒色。匂いを嗅ぐだけで口の中が苦くなってくる有り様。
ぼんやりと彼は思う。なんていい小春日和だろう。戦いを忘れることも悪く無いか、亞人の事も今日は忘れて……
「駄目だ! 僕は亞人を殺すために生きている。奴らを殺さなきゃ……畜生僕の生き方を面倒くさいと思わせるなんて、あの歪嘘! 絶対にぶっ殺してやる!」
まんまと敵の手に落ちそうになったことに歯噛みしたカインは、己を覚醒させるため、手の甲を血が出るほど噛んだ。
それから抽出したばかりの『熱くて苦くて濃ゆいドロドロとした液体』を手に、うだうだやっているカチャへ、大股で歩み寄る。
「オラァ! こぼすんじゃねえぞ! しっかり飲み干しやがれ! お前がマジメになるんだよ!」
「あっづあづあづあづぐぎゃあああー!」
乙女とも思えない声を上げるカチャ。
続いてカインの攻撃対象はレイナに移った。
「お前も飲めおらぁ!」
「ぎぃええええええ!」
こちらも乙女とは思えない声。
ちなみにディヤーはいち早く危険を察し、場から転がり逃げている。
「ま~、あとは味方に期待するだけじゃ~」
●
詩音は銃眼をナマケモノに合わせ静止していた。静止していることに気づいて頭を降り引き金をひこうとすると思考があさっての方向に流れて行きそうになり、また首を振る。
「面倒ですわね……」
呟いたところ、似たような鵤の呟きが聞こえた。
「……ああ、面倒だな」
彼は殺し屋のように無駄のない動きで、何の前触れもなくナマケモノの額を撃った。
ナマケモノはふわああと手を持ち上げかけ、またふわああと戻し、脇腹をかく。なんかされたから攻撃しようかなと思ったけど面倒臭いから止めとく――そんな動きであった。
舞踊とJ・Dは彼に続き同じ箇所を撃ってみる。額の穴が大きくなった。向こうの景色が見えるほどに。
しかしナマケモノの表情には何らの変化もない。
舞踊は笑顔を絶やさず言った。
「頭がなくても生きていられそうですね、この歪虚」
「それはそれで怖えぜ……」
●
詩音は急に目を覚まし起き上がった。
「あれ? ボールは?」
ナマケモノの鼻の穴から無尽蔵に続々出てくるボールを使って仲間とドッジボールをしていたはずなのだが、とはっきりしない頭で訝しむ。
彼女の横でカインが、倒れているレイナとカチャにこう言っている。
「仕事を再開しましょうか、アレはぶっ殺さないと気が済まないので」
レイナが起き上がり、まだ倒れているカチャの後頭部をハリセンではたいた。
「そ、そうよ! 依頼だわ! ちょっと、皆! 確りするのよ!! サクッと敵を倒して、そこの馬鹿っぽい娘も何とかするわよ!」
「無理ですうう~~口の中火傷してるんですよ~~」
「曲りなりにもハンターの端くれでしょ! 一人サボるのは許さないわよ! 大体火傷ならあたしだってしてるわよ! 何ならサボり役変わるから確りしなさいよ!」
そのやり取りを耳に、詩音はやっと当初の目的を思い出した。
「……あ、遊んでる場合じゃないや」
周囲を見回し歪虚を探せば、始めと全く変わらない位置に全く変わらない姿勢で座っていた。額に穴が空いて妙に風通しがよさそうだ。
「まがいものを倒さなくちゃ!」
ロッドを手に彼女は、ナマケモノに躍りかかる。
「てやああああ……」
ナマケモの頭は殴られるたび首振り人形のようによよよと揺れた。ダメージがあるんだかないんだか。
「あー、いっぱい働いた! 今日はこれで終了だね!」
4、5発殴りつけた後、またまた寝始める詩音。
ナマケモノの影響力は弱まりはしてもまだ消えてない。近づくのはやはり剣呑。
なのでレイナは、魔導拳銃での攻撃を選択した。
「ささっと終わらせるわよ!」
銃弾はナマケモノの体に無数の穴をあけたが、苦しがるような様子は一向にない。鼻水など垂らしている。
そういう性質の歪虚だと分かっていても、脱力感を禁じ得ないレイナ。
だが己の誇りを傷つけられたカインにとって、相手の間抜け振りなどどうでもいいことだった。
グレートソードを手に全力を込め、ものも言わずタコ殴りにかかる。
激しい打撃にバウンドしまくるナマケモノの頭。
カチャも手持ちの竹刀で一応参戦。
「えいや~~」
ここに至ってまだ覚め切っていない彼女の頭を冷ましたのは、至近距離をかすめる鵤の銃弾であった。
バン。バン。バン。
「ちょっと何してんですか当たったら危ないじゃないですかっ!!」
当然の抗議に対し鵤は、無表情に答える。
「避けろよ」
土管に潜むヴィルマはその冷徹ぶりに身震いした。
「……やっぱり底が見えない」
ともあれナマケモノのやる気なしオーラは薄れてきているらしい。彼女にも、やる気が幾らか戻ってきた。
「そ、そうだ……私も戦わないと……逃げちゃ駄目なのじゃ!」
決死の思いで土管から飛び出し、ゴールデンバウをかざす。
「ライトニングボルトー!」
怖さのあまり目をつむっていたのが悪かったのだろう。雷撃があさってにそれJ・Dに当たった。
「す、すまぬジェイ! 今度こそっ!」
ミスに焦ったのが悪かったのだろう。またそれた。
「今度こそ! 今度こそ当てるのじゃー!」
さんざん間違えた揚げ句、ようやくナマケモノに攻撃が命中した。
その瞬間ナマケモノは爆発した。強烈な熱波と暴風が噴煙つきでハンターたちを飲み込んだ……いち早く空き地から逃げ塀の後ろに隠れていたディヤーを除いて。
●
「いやー、仕事の後の一服に勝るもんはねえなぁー」
缶ビール片手に紙巻きタバコをふかす鵤の頭はアフロ。
「皆さん、仕事収めに一杯どうぞ」
通常濃度のコーヒーを皆に配って回るカインの頭もアフロ。
「あら、おいしいですわね」
それを受け取り微笑む舞踊の頭もアフロ。
「ごめん、あたしはもうコーヒーいいわ……」
と言っているレイナの頭もアフロ。
詩音もアフロ。
J・Dもアフロ。
ヴィルマもアフロ。
「うーん、苦い。ついでに甘いもの乾しいなー」
「ジェイ、あいすまぬ……悪気はなかったのじゃよ」
「いや、気にすんな。よくあることだからよ」
アフロのカチャは、疑わしそうにディヤーを見た。
「なんであなただけ無事なの?」
ディヤーはさらさら髪を指で漉く。
「まーなんというか、ワシ、最強じゃから?」
そう思っていたJ・D(ka3351)は、いざ目の当たりにした歪虚の姿に戸惑っている。
「……サテ、こいつは困っちまった。どうにも気が乗ってきやがらねえ。この歪虚……歪虚なんだろうが……」
気の抜けた面を拝んでいると戦る気がどこまでも吸い取られて行く――何を隠そうこれがこの歪虚の力。
「一寸そこのアンタ! 確りしなさいよね! 見たトコ敵は一体。然も動いてないなんて、飛んで火に入る何とやらよ。全員で包囲して集中攻撃よ!!」
とカチャの襟首を掴み怒鳴っていた岩波レイナ(ka3178)の目も、たちまちどんより。
「……あーでも、ちょっと、ちょっとだけ面倒ね。敵は逃げる素振もないし、もう、このままでも良いんじゃないかしら。だって、人畜無害っぽいしさ……あー良い天気! こんな時に大好きな、憧れの歌姫の歌があれば、此処は天国かも知れないわね」
草の上に寝転がり、ポテトチップばりばり。
ディヤー・A・バトロス(ka5743)が抜刀した。ナマケモノに向かって一直線に走って行く。
「臭い匂いはもとから絶つ! 受けてみよこの刃!」
ぷすう
ナマケモノがまた屁をこいた。臭くはない。臭くはないが妙に生暖かい風圧。
その直撃を受けたディヤーは剣を振り下ろす前に、足を止めてしまった。
「うぬぅ、不覚……なまら働きたくない気持ちなのじゃ……あーあーあー全くカチャ殿の言うとおりよのー働いたって搾取されるだけなのじゃーワシはこれから労働者としてー無期限1人ストライキを敢行するのじゃー」
とのたまい耳ホジしつつ、ごろり。
琴平 詩音(ka5217)はそんな彼を乗り越えナマケモノに近づき、顔をじっと見た。
――どう頑張っても戦意が全然わいてこない。
「まがいものだから、顔張らないといけないんだけど……、どうでも良さそうな気がしてきた……」
古川 舞踊(ka1777)は、対象から距離をとることにする。近づきすぎると即堕落してしまうらしいので。
「それにしても、例えようもない馬鹿面ですわね。この世に存在している理由が果たしてあるのですかしら」
穏やかにして辛辣な批評も意に介せず、微動だにしないナマケモノ。脇腹をぼりぼり掻く。
「早く帰ってのんびりしたいところですが……いえいえ、早く倒してしまえば済む話です、気を引き締めてまいりましょう……いっそこのままエスケープしてしまいましょうか……いえいえそれはいけませんお嬢様の名を辱めることに……」
一方詩音は、どんどん怠惰の海に溺れて行く。
「何だか行動を描くのがめんどうくさく……かんじかくのもめんどうくさくなってきた……」
わけのわからないことを呟きながら横になり、あくびをする。
「なんだかめんどうくさくなったから、みんなでそのへんでねよー……みんにゃでねりゅのがいちばん……おやすみー……」
本当に寝てしまった。
次々落ちて行く仲間の姿に、ヴィルマ・ネーベル(ka2549)は危機感を抱く。
「面倒くさくなる前になんとかしたいのじゃ……我が我を保っておられるうちに」
急速に膨れ上がってくるダルダル気分に活を入れ、手初めに寝転がったディヤーを引っ張り立たせようとするが、相手に全然立つ気がないのでどうにもならない。
「しっかりするのじゃよ。気をしっかり持てばなんとかなるのじゃ、気合いじゃよ気合い!」
「……んなもん無理に決まっておろう。なんといったってワシは最強じゃからな!」
これは自分一人の手に負えない。ならば鵤(ka3319)に協力させようとそちらを見たら、率先して土管の上に寝転がっていた。腐った鯖みたいな目をして。
「あーだっるぅーマジだっるぅー。もうなぁ~んにもしたくねえわぁーなんちってあっひゃっひゃっひゃ!………ハァ。だるぅー」
……正直自分だけ張り切っているのが馬鹿らしくなってきた。もうやめちゃおうかな。
「いやいやそんなことではいかぬ! 歪虚を倒さねば!」
気を引き締めてナマケモノに向き直れば、確実に何も考えていない微笑み。
心身ともに力が抜ける。
気力を無くすと同時に、素の後ろ向思考へ陥ってしまう。
「あ、あの、なんじゃ……この虚脱感……わた……私……なんでここに……いるんだろう……何がしたいんだろう……なんで必死になって戦ってるんだろう……教えて……誰か……」
カイン・マッコール(ka5336)は、そもそも討伐対象が歪虚である時点で、やる気が半減していた。彼にとって倒すべきは一に亜人で二に亜人、三、四がなくて五に亜人。雑魔は仕事の範疇外、という意識が強い。
そこにナマケモノの怠惰オーラを浴びて、ますますモチベーションが下がる次第。
「でもまあ契約は契約だからちゃんとやらなきゃならない。味方の救助だって大事なことだ。やらなければ。めんどくさいけど。ゴブリンでもないしなあ、面倒くさい。面倒くさいだから、しっかりやらないと」
口ではそう言いながらエスプレッソマシーンに豆を入れ水を入れスイッチを入れ、身じろぎもせず湯が沸いて行くのを見守る次第。
鵤は相変わらずの与太りぶり。
「え、おっさん? やーおっさんもほらぁ、マジ怠惰ってるっつーの? もう働く気力一ミリもない的な? まあ元からなかったわけですけどぉ。あーまじダルいわぁー」
J・Dは、確信した。この歪虚の持っている能力が怠惰そのものだということを。
(……クソッタレな兄貴分の鵤はいつも通りだとしたって、ヴィルマや、他の奴等も腑抜けになっていやがる……)
ディヤーに至っては大事な剣を草の上に転がし日なたでごろごろ、カチャの漫画をのぞき込んでいる。
「おおお~、いいのう、このなーんにもしたくない感じ~。何を読んでおるのじゃ~?」
「くっつかないでよ~読みにくい~さっきからなんなの~」
「名づけて~、兎罠に死して二狼骸を競い合うの計じゃ~はよ続きをめくってたも~」
近くにはレイナも寝転がり、ポテチの油とカスがついた指で芸能雑誌をめくっている。
「あー美味しい……外で何か食べたり飲んだりすると、気分が違って、美味しさも変わるから不思議よね。ああ、折角だから、飲み物も用意しておけば良かったわ。抜かったわね。誰かジュース買ってきてー誰かー」
自分では1ミリも動くつもりがないらしい。
(周りがこうなら仕方がねえ。変に気張ってねえで、俺も……)
安きに流れようとするJ・D。しかし彼はすんでの所で踏みとどまった。
(いや待て。俺までコイツに呑まれちまったら、誰があの歪虚を始末するンでえ)
視線の先にあるのは鼻毛を抜いている鵤の姿。
自分がこのレベルに落ちたら後々この男にどんな面で何を言われるか――たやすく想像できる。
「気合を入れろ歯ァ食いしばれ! マトモ系の意地を見せてみやがれ、畜生め!」
己で己に往復ビンタを入れ正気づけたJ・Dは、ヴィルマの姿が見えなくなっていることに気づく。
探してみれば、土管の中に閉じこもっていた。体育座りでガクブルしている。
「よう」
呼びかけても目を合わせてこない。
「な……なんで皆さん目の前に歪虚がいるのにそ……そんなのんきに……怖い怖い怖い怖い倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ。歪虚は生かして……おけない……私が……魔法で……倒さなきゃいけないのに……」
怠惰が過ぎて己を演じる気力も喪失した揚げ句、戦意喪失したらしい。
酔ったときの彼女そっくりだと思いつつ、ヴィルマは、青い髪に手を置いた。
「おっかねえなら隠れておきな。ここは俺が……何とか、してやる」
●
詩音は夢を見ていた。自分と仲間たちがいる。
どこからともなくバスケットボールが転がってきたので、手に取る。
「ちょうどいいや、皆でバスケしよう!」
そう言った瞬間周囲が試合会場になっていた。観客席は大入り満員。歓声が上がる。
「さあ、試合開始だ!」
全員お揃いのユニフォームを着ている。何故かナマケモノも同様の格好をし交じっている。
敵チームは皆顔が適当なへのへのもへじだ。
詩音は走りだした。ドリブルしつつ小回りをきかせディフェンスを翻弄。
「ヘイヘイヘイヘイ! どうしたどうした!」
走ると見せかけフェイント、コートの中でだれて転がっているナマケモノの顔面に。
「パァスッ!」
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「うわぁめっちゃ顔面めりこんだっ!?」
大きな寝言を上げている詩音。
それを顧みもせずカインは、したたり落ちてくるエスプレッソを眺めている。
たださえ苦みの強い豆を大量投入し濃縮した結果、黒というより暗黒色。匂いを嗅ぐだけで口の中が苦くなってくる有り様。
ぼんやりと彼は思う。なんていい小春日和だろう。戦いを忘れることも悪く無いか、亞人の事も今日は忘れて……
「駄目だ! 僕は亞人を殺すために生きている。奴らを殺さなきゃ……畜生僕の生き方を面倒くさいと思わせるなんて、あの歪嘘! 絶対にぶっ殺してやる!」
まんまと敵の手に落ちそうになったことに歯噛みしたカインは、己を覚醒させるため、手の甲を血が出るほど噛んだ。
それから抽出したばかりの『熱くて苦くて濃ゆいドロドロとした液体』を手に、うだうだやっているカチャへ、大股で歩み寄る。
「オラァ! こぼすんじゃねえぞ! しっかり飲み干しやがれ! お前がマジメになるんだよ!」
「あっづあづあづあづぐぎゃあああー!」
乙女とも思えない声を上げるカチャ。
続いてカインの攻撃対象はレイナに移った。
「お前も飲めおらぁ!」
「ぎぃええええええ!」
こちらも乙女とは思えない声。
ちなみにディヤーはいち早く危険を察し、場から転がり逃げている。
「ま~、あとは味方に期待するだけじゃ~」
●
詩音は銃眼をナマケモノに合わせ静止していた。静止していることに気づいて頭を降り引き金をひこうとすると思考があさっての方向に流れて行きそうになり、また首を振る。
「面倒ですわね……」
呟いたところ、似たような鵤の呟きが聞こえた。
「……ああ、面倒だな」
彼は殺し屋のように無駄のない動きで、何の前触れもなくナマケモノの額を撃った。
ナマケモノはふわああと手を持ち上げかけ、またふわああと戻し、脇腹をかく。なんかされたから攻撃しようかなと思ったけど面倒臭いから止めとく――そんな動きであった。
舞踊とJ・Dは彼に続き同じ箇所を撃ってみる。額の穴が大きくなった。向こうの景色が見えるほどに。
しかしナマケモノの表情には何らの変化もない。
舞踊は笑顔を絶やさず言った。
「頭がなくても生きていられそうですね、この歪虚」
「それはそれで怖えぜ……」
●
詩音は急に目を覚まし起き上がった。
「あれ? ボールは?」
ナマケモノの鼻の穴から無尽蔵に続々出てくるボールを使って仲間とドッジボールをしていたはずなのだが、とはっきりしない頭で訝しむ。
彼女の横でカインが、倒れているレイナとカチャにこう言っている。
「仕事を再開しましょうか、アレはぶっ殺さないと気が済まないので」
レイナが起き上がり、まだ倒れているカチャの後頭部をハリセンではたいた。
「そ、そうよ! 依頼だわ! ちょっと、皆! 確りするのよ!! サクッと敵を倒して、そこの馬鹿っぽい娘も何とかするわよ!」
「無理ですうう~~口の中火傷してるんですよ~~」
「曲りなりにもハンターの端くれでしょ! 一人サボるのは許さないわよ! 大体火傷ならあたしだってしてるわよ! 何ならサボり役変わるから確りしなさいよ!」
そのやり取りを耳に、詩音はやっと当初の目的を思い出した。
「……あ、遊んでる場合じゃないや」
周囲を見回し歪虚を探せば、始めと全く変わらない位置に全く変わらない姿勢で座っていた。額に穴が空いて妙に風通しがよさそうだ。
「まがいものを倒さなくちゃ!」
ロッドを手に彼女は、ナマケモノに躍りかかる。
「てやああああ……」
ナマケモの頭は殴られるたび首振り人形のようによよよと揺れた。ダメージがあるんだかないんだか。
「あー、いっぱい働いた! 今日はこれで終了だね!」
4、5発殴りつけた後、またまた寝始める詩音。
ナマケモノの影響力は弱まりはしてもまだ消えてない。近づくのはやはり剣呑。
なのでレイナは、魔導拳銃での攻撃を選択した。
「ささっと終わらせるわよ!」
銃弾はナマケモノの体に無数の穴をあけたが、苦しがるような様子は一向にない。鼻水など垂らしている。
そういう性質の歪虚だと分かっていても、脱力感を禁じ得ないレイナ。
だが己の誇りを傷つけられたカインにとって、相手の間抜け振りなどどうでもいいことだった。
グレートソードを手に全力を込め、ものも言わずタコ殴りにかかる。
激しい打撃にバウンドしまくるナマケモノの頭。
カチャも手持ちの竹刀で一応参戦。
「えいや~~」
ここに至ってまだ覚め切っていない彼女の頭を冷ましたのは、至近距離をかすめる鵤の銃弾であった。
バン。バン。バン。
「ちょっと何してんですか当たったら危ないじゃないですかっ!!」
当然の抗議に対し鵤は、無表情に答える。
「避けろよ」
土管に潜むヴィルマはその冷徹ぶりに身震いした。
「……やっぱり底が見えない」
ともあれナマケモノのやる気なしオーラは薄れてきているらしい。彼女にも、やる気が幾らか戻ってきた。
「そ、そうだ……私も戦わないと……逃げちゃ駄目なのじゃ!」
決死の思いで土管から飛び出し、ゴールデンバウをかざす。
「ライトニングボルトー!」
怖さのあまり目をつむっていたのが悪かったのだろう。雷撃があさってにそれJ・Dに当たった。
「す、すまぬジェイ! 今度こそっ!」
ミスに焦ったのが悪かったのだろう。またそれた。
「今度こそ! 今度こそ当てるのじゃー!」
さんざん間違えた揚げ句、ようやくナマケモノに攻撃が命中した。
その瞬間ナマケモノは爆発した。強烈な熱波と暴風が噴煙つきでハンターたちを飲み込んだ……いち早く空き地から逃げ塀の後ろに隠れていたディヤーを除いて。
●
「いやー、仕事の後の一服に勝るもんはねえなぁー」
缶ビール片手に紙巻きタバコをふかす鵤の頭はアフロ。
「皆さん、仕事収めに一杯どうぞ」
通常濃度のコーヒーを皆に配って回るカインの頭もアフロ。
「あら、おいしいですわね」
それを受け取り微笑む舞踊の頭もアフロ。
「ごめん、あたしはもうコーヒーいいわ……」
と言っているレイナの頭もアフロ。
詩音もアフロ。
J・Dもアフロ。
ヴィルマもアフロ。
「うーん、苦い。ついでに甘いもの乾しいなー」
「ジェイ、あいすまぬ……悪気はなかったのじゃよ」
「いや、気にすんな。よくあることだからよ」
アフロのカチャは、疑わしそうにディヤーを見た。
「なんであなただけ無事なの?」
ディヤーはさらさら髪を指で漉く。
「まーなんというか、ワシ、最強じゃから?」
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相談卓 ~新米戦線やる急なし~ J・D(ka3351) エルフ|26才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/11/01 17:14:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/30 23:19:06 |