ゲスト
(ka0000)
【聖呪】魔導銃、咆哮す
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/07 07:30
- 完成日
- 2015/11/14 21:44
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「敵の本命の軍勢は北門のあたりのようだぞ」
「じゃ、じゃあ、俺たちは『茨風景』ってのとはやりあわずにすむのか?」
「ああ、多分な」
友人の同意の言葉に自分の不安が払拭されるのを感じ、甲冑に身を固めた男はホッとひと息ついた。
ここは古都アークエルスからやや東に位置する平原地帯だ。南下してくる亜人の部隊に備え、グラズヘイム王国軍の部隊が駐屯していた。とはいえ、配置されている数はそれほど多くなく、彼らの顔には怯えの色が見え隠れしていた。
先ほど兵士達の会話にあったように、激戦の地となるのはアークエルスの北側と予測されていた。王国軍も近況の戦いで大きな被害を受けており、ベテランの兵士達も数多命を落としている。配属される兵士の中に新米の顔が増えていくのは仕方の無いことであった。
先ほどの会話を発端に、兵士達の間を安堵の雰囲気が連鎖していく。むろん、彼らとて戦わなければならないことは分かっている。
しかし、やはりゴブリンと剣を交えるのは怖い。それが『茨風景』などという訳の分からない力を使う連中とあってはなおのことだ。
――できることなら、そんなおっかない敵と自分達が関わることなく戦いが終わって欲しい。
これが、新米兵士達の偽らざる気持ちであった。
天はその願いを叶えてくれたのか、彼らがゴブリンロード直属の部隊と戦うことはなかった。しかし……。
「て、敵襲ーーーーーっ!! 魔導銃を持ったゴブリン達がこちらに向かってるぞ!」
その願いが完全に叶うこともなかった。
彼らは『秩序の禍』デルギンが率いる部隊の襲撃を受けたのである。
●
「シシシシシ……どうやら、この地にいるのは大した錬度もない連中のようだな! わざわざこちら側に抜けてきて正解であったわ!」
歴戦の将は、相手の陣形を見るだけでどれほどの敵であるのかが理解できるという。幾度もの戦いを潜り抜けてきたデルギンには、眼前の部隊の力量が手に取るように分かった。
アークエルスの北側は先ほど兵士達が話していたように、ゴブリンの王が直々に攻めている。それならばとデルギンは東側を大きく迂回し、手薄そうな場所を探してここにたどり着いたのだが……彼の目論見は当たったらしい。
デルギンの視線の先で、魔導銃を持ったラプター部隊が兵士達を蹴散らしていくのが目に見える。それはまさに船の舳先が水面を割って進むかのように鮮やかな光景であった。
デルギンは自分も騎乗するラプターを走らせ、口を歪めて笑う。彼が先日受けた傷ももはや完治していた。
「シシシ……アークエルスとかいう街はこの先か。あの王を名乗るゴブリンよりも先に、ワシが一番乗りをしてくれるわ!」
グラズヘイム王国の兵士達を指揮する部隊長達はさすがにある程度の実戦経験はある。しかし、それも魔導銃の一斉射撃で黙らせればすむことだ。後に残るのは烏合の衆でしかない。
デルギンとその配下が放つ銃弾に、指揮者を失った兵士達も次々と倒れていく。デルギン直属のラプター部隊が撃ち漏らした敵は、後に続く徒歩のゴブリン達が白兵戦でしとめていった。
実はデルギンの部隊もここ数日の戦いで消耗し、以前ほどの頭数は無かった。それでもこの戦場を突破するだけなら十分だというのがデルギンの見込みだ。
しかし、この地にいたのは王国軍だけではなかった。万一に備え、アークエルスで集められたハンター達がこの軍勢の中に数名配置されていた。
ハンター達は武器を手にそれぞれ戦場の中央へと集まってくる。
――これもまた、天の計らいだったのかもしれない。
「敵の本命の軍勢は北門のあたりのようだぞ」
「じゃ、じゃあ、俺たちは『茨風景』ってのとはやりあわずにすむのか?」
「ああ、多分な」
友人の同意の言葉に自分の不安が払拭されるのを感じ、甲冑に身を固めた男はホッとひと息ついた。
ここは古都アークエルスからやや東に位置する平原地帯だ。南下してくる亜人の部隊に備え、グラズヘイム王国軍の部隊が駐屯していた。とはいえ、配置されている数はそれほど多くなく、彼らの顔には怯えの色が見え隠れしていた。
先ほど兵士達の会話にあったように、激戦の地となるのはアークエルスの北側と予測されていた。王国軍も近況の戦いで大きな被害を受けており、ベテランの兵士達も数多命を落としている。配属される兵士の中に新米の顔が増えていくのは仕方の無いことであった。
先ほどの会話を発端に、兵士達の間を安堵の雰囲気が連鎖していく。むろん、彼らとて戦わなければならないことは分かっている。
しかし、やはりゴブリンと剣を交えるのは怖い。それが『茨風景』などという訳の分からない力を使う連中とあってはなおのことだ。
――できることなら、そんなおっかない敵と自分達が関わることなく戦いが終わって欲しい。
これが、新米兵士達の偽らざる気持ちであった。
天はその願いを叶えてくれたのか、彼らがゴブリンロード直属の部隊と戦うことはなかった。しかし……。
「て、敵襲ーーーーーっ!! 魔導銃を持ったゴブリン達がこちらに向かってるぞ!」
その願いが完全に叶うこともなかった。
彼らは『秩序の禍』デルギンが率いる部隊の襲撃を受けたのである。
●
「シシシシシ……どうやら、この地にいるのは大した錬度もない連中のようだな! わざわざこちら側に抜けてきて正解であったわ!」
歴戦の将は、相手の陣形を見るだけでどれほどの敵であるのかが理解できるという。幾度もの戦いを潜り抜けてきたデルギンには、眼前の部隊の力量が手に取るように分かった。
アークエルスの北側は先ほど兵士達が話していたように、ゴブリンの王が直々に攻めている。それならばとデルギンは東側を大きく迂回し、手薄そうな場所を探してここにたどり着いたのだが……彼の目論見は当たったらしい。
デルギンの視線の先で、魔導銃を持ったラプター部隊が兵士達を蹴散らしていくのが目に見える。それはまさに船の舳先が水面を割って進むかのように鮮やかな光景であった。
デルギンは自分も騎乗するラプターを走らせ、口を歪めて笑う。彼が先日受けた傷ももはや完治していた。
「シシシ……アークエルスとかいう街はこの先か。あの王を名乗るゴブリンよりも先に、ワシが一番乗りをしてくれるわ!」
グラズヘイム王国の兵士達を指揮する部隊長達はさすがにある程度の実戦経験はある。しかし、それも魔導銃の一斉射撃で黙らせればすむことだ。後に残るのは烏合の衆でしかない。
デルギンとその配下が放つ銃弾に、指揮者を失った兵士達も次々と倒れていく。デルギン直属のラプター部隊が撃ち漏らした敵は、後に続く徒歩のゴブリン達が白兵戦でしとめていった。
実はデルギンの部隊もここ数日の戦いで消耗し、以前ほどの頭数は無かった。それでもこの戦場を突破するだけなら十分だというのがデルギンの見込みだ。
しかし、この地にいたのは王国軍だけではなかった。万一に備え、アークエルスで集められたハンター達がこの軍勢の中に数名配置されていた。
ハンター達は武器を手にそれぞれ戦場の中央へと集まってくる。
――これもまた、天の計らいだったのかもしれない。
リプレイ本文
●
「うわーこれちょっとしたRTSだよな、数が違うけど」
敵襲から逃げ惑う王国軍の兵士の中、ジュン・トウガ(ka2966)は流れに逆らって走る。
「守りの弱い箇所を狙ってきた、か……相っ変わらず小賢しいことをしますネー。ワタシ、そういうの嫌いデス。正面から打ち破る自信が無いって吹聴したいんですかネ?」
ジュンと共に敵陣目指して駆けるクロード・N・シックス(ka4741)。ついに彼女達が敵前に踊り出た時、視界に広がっていたのは惨憺たる光景であった。王国軍の兵士達は倒れ、大地は赤く染まっている。その上を我が物顔で走るのは武装したゴブリン達。ラプターに騎乗する亜人の手には魔導銃が握られている。
「Oh my...予想はしてましたケド、見事にやられまくってますネー。指揮官のマネゴトなんて得意じゃないデスが……そうも言ってられない状況ですカ。OK, 彼らの混乱を収拾しまショウ! 共闘できる状態に回復させますヨ!」
ジュンとクロードは揃って左右の格闘武器を構えた。その後ろから駆けつけてきたのはクルス(ka3922)である。
「どこもかしこも好き勝手大乱闘しやがって……誰が治すんだよおい」
そう愚痴を言いながらも、彼は倒れている兵士達の傷を治さんがため、すぐにヒーリングスフィアの行使に入る。
クルスから生まれた光が広がり、倒れている兵士達はうめきながらもその手を少しだけ動かした。
遠くに見える『秩序の禍』デルギンの軍勢。ミオレスカ(ka3496)は馬上で魔導拳銃「エア・スティーラー」を構える。
「敵が退いたところで、戦禍は終わらない、ということですね。できるだけ撃退、全滅を狙って行きましょう。そのためには、兵士の皆さんにも、ひとがんばりしてもらわないと、いけませんね」
しかし、今はこちらに逃げてくる王国軍の兵士と、それを追うゴブリンの群れに対処するのが先だ。
「皆さんの希望に、なれれば」
ミオレスカはトリガーを立て続けに引いた。たちまち放たれた弾丸の雨がゴブリン達に襲い掛かる。スキル、フォールシュートの効果である。
逃げていた兵士達は背後から迫っていた殺気が霧消したことに気付き、疲れ果てたように倒れ込むと、こわごわと振り向いた。彼らの視線の先には、ミオレスカが放った弾丸のシャワーを浴びて崩れ落ちるゴブリン達の姿があった。
銃弾は彼女の予想以上の威力を発揮した。射撃を終えた銃口からあがる煙が、とある人物の吐き出す紫煙のようにミオレスカには思えた。
「一緒に戦ってくれませんか? ここを切り抜ければ、英雄として迎えられるかもしれませんよ」
まだ呆然としたままの兵士達に声をかけるミオレスカ。彼らは首をぎくしゃくと動かして、言葉の主を見上げた。
そんな兵士達を柔らかい光が覆い、彼らの傷がたちまち癒された。兵士達は、光を発した者の方を振り向く。
「僕達は、戦います。王国兵の皆さんも、帰って来る事を信じ、願っている人が居るはず。無事で帰りましょう。そう、皆で」
兵士達の視線の先で微笑を浮かべるユキヤ・S・ディールス(ka0382)。先ほど癒しの力を放ったのは彼であった。
そのままゴースロンで亜人の群れへと一直線に駆けていくユキヤ。自分目掛けて迫る敵をセイクリッドフラッシュで迎え撃つ。光の波動がゴブリン達を吹き飛ばした。
ミオレスカも銃を手に馬を走らせ、混沌とする戦場へと赴く。後には顔を見合わせる兵士達が残った。
「すごい大軍だ……おれにできることは……」
フリルワンピースを着たメイド、エスクラーヴ(ka5688)。
外見は明らかに非戦闘員だったが、そんな自分だからこそやれる事があると彼女は考えていた。烏合の衆となってしまった兵士達の心に火をつけるのだ。
ワンピースの裾をひるがえらせ、エスクラーヴは剣戟の舞台へと走った。
ゴブリンが乗るラプターに対抗するため、試作魔導バイク「ナグルファル」を操るのはルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。
「これ以上兵士さん達に犠牲は出させません、だって私ニンジャでチャンピオンだもの! 私もバイクでライドデュエルスタンバイ!」
バイクを走らせながら彼女が取り出したのはカード……いや、符であった。彼女は符術師をプロカードゲーマーと勘違いしてハンターになったほどの、筋金入りのカードゲーマーらしい。もちろんリアルブルーからの転移者だ。
彼女達とは逆に、敵から逃れてくる兵士達。皆、満身創痍だ。そんな彼らの視線の先に、ほどよく隠れられそうな土の壁が突如生まれた。
「一先ずこんなものかな?」
それはフワ ハヤテ(ka0004)が作った負傷避難用のアースウォール。傷ついていた兵士はよろめき、その壁の後ろに転がり込んだ。
ハヤテはそれを見届ける間もなくファイアーボールの行使に入る。狙いは遠くに見えるラプター部隊。そんな彼を狙って、ゴブリンの一体が手に持つ槍を投げた。それはハヤテからそれ、彼が作った土の壁へと突き刺さる。しかし、亜人の投げ槍程度で破壊されるほど魔法の壁はやわではない。
彼がファイアーボールを解き放つと、ラプターの一団は混乱の極みに陥った。しかし、まだ倒すには至らない。
やがて負傷した兵士達が戦場に生まれた土の壁を目印に三々五々集まってきた。クルスが負傷者達に、この壁を目印に一旦下がるようにと指示を出したのだ。そして彼らはクルスからある頼みを受けていた。動ける人間を編成し、5人一組となって戦線を維持してくれと。そして可能なら負傷者を助け、同じように小さな集団を編成してくれと。
●
「みんな見ててくれ! おれも直接戦えるんだ! 負け戦じゃない!」
フリルワンピースを着た少女がそう声を張り上げながら、ゴブリンの懐へと踏み込んだ。
「うおおおおおお!」
格闘士であるエスクラーヴの一撃がゴブリンを吹き飛ばす。
基本はボクシングスタイルで敵を殴り、時折カポエラスタイルも織り交ぜてゴブリン達の中で乱舞した。
「さてと、どんどん殴り潰していくか」
ジュンもゴブリンが繰り出した槍を左手の試作型パリィグローブで受け流し、お返しとばかりに右手のナックル「メテオブレイカー」を叩き込む。
「シンプルイズベスト、技なんざ実戦で使えるのは1個か2個ぐらいのもんだからな、数が多いなら尚更だ」
背後に回ったゴブリン目掛けてバックブローを繰り出すジュン。鼻面を打たれ、倒れる亜人。
「敵の数は多ければ多いほど燃えますネー! 東方武人の本領発揮デス!! ジュン、クルス、気張っていきますヨ!!」
旋棍「光輝燦然」と烈光旋棍を自在に操り、眼前の敵を思い切り強打するクロード。ふっとぶゴブリンを尻目に新たな亜人が挑んできたが、それも瞬く間に殴り倒した。
「このワタシ、双旋棍のクロードをッ! 簡単に止められると思うなァッ!!」
恐慌状態の兵士達にまだ負けていないことを伝えるため、クロードも叫んだ。
兵士達は心奪われたようにハンター達を見つめていた。しかし、まだ動けない。彼らの視界に今度は自在に走り回るバイクの姿が入って来た。搭乗者は秋桜だ。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法大撹乱。ここですかさず胡蝶の舞!」
彼女が投げた符から生まれた光る蝶が空を舞い、ゴブリンを襲った。符術を行使し終えた彼女の目に、騎乗するゴブリンが魔導銃の銃口を仲間に向けているのが見える。
「シュリケーン☆」
秋桜は手裏剣「八握剣」を素早く放ち、亜人の狙いを妨害した。
まだ数の多いゴブリン達の中に、ミオレスカはまたも弾丸の雨を降らした。混乱する亜人の群れ。
「ええい、慌てるな! 下僕ども!」
デルギンは舌打ち交じりに叫び、魔導銃でハンターを狙い撃つ。ジュンへと向けられたそれは彼女の纏う防具をも貫き、その肌を穿つ。ジュンは痛みをこらえ、デルギンを睨みつけた。
デルギンの叱咤に応えるかのように、直属の部下たちが一斉に射撃した。火線上にいた者たちは痛みにうめき、あるいは倒れた。
勝ち誇るデルギンを見てクロードは熱り立つ。
しかし、まだ彼我の距離は遠い。被弾を覚悟しつつも距離を詰めようとするクロード。そこに殺到する徒歩のゴブリン達。クロードはそれを殴り飛ばすが押し通るには難しい。
ユキヤはセイクリッドフラッシュで辺り一帯を吹き飛ばす。その間にクルスはヒーリングスフィアを用い、仲間のハンターと王国軍の兵士達とをまとめて癒した。
ハヤテは騎乗するゴブリンを狙い、ウィンドスラッシュを撃つ。
鋭い風がゴブリンを切り刻み、亜人は血を撒き散らしながらラプターの上から落ちた。仲間のゴブリンが魔法の主を撃とうとするが……敵味方入り乱れる中ではそれも難しい。ゴブリンはろくに狙いもつけずに王国軍へと発砲したがさしたる効果はなかった。
「程よく乱戦地帯に紛れ、敵銃弾の盾とする……はは、肉盾って、素晴らしいと思わないかい?」
ハヤテはそう呟きながら、次のターゲットを探した。
デルギンは乱戦の中、戦況の確認と次の獲物を求めて首を巡らせていたが……。
「あっ、分かっちゃいました! 弱いから王様に一緒に連れて行ってもらえなくて、それで腹いせにここでもっと弱い物いじめを……最低なのです」
デルギン軍を見ていて閃いたのか、秋桜が突然大きな声で叫ぶ。
「な、なんだと!?」
顔を真っ赤にしたデルギンは彼女を狙って撃つが、残念ながらバイクで走り回る彼女の側をかすめただけだった。歯噛みするデルギン。
ユキヤは今がチャンスと、やや突出していたデルギンの体を鞭で絡み取ってラプターから引きずり落とそうと試みる。しかしデルギンは素早く彼から間合いを取った。
さすがにそれ以上深追いすることはしないデルギン。しかし、あの女を含めたこの場の者達を生かしておくまいと心に決めた。
●
当初隆盛を誇っていたゴブリン達も今ではさほどの数ではないが、まだデルギンとその主力部隊はほとんどが健在だった。しかし、ハンター達は少しずつ主力部隊に肉薄することに成功していた。
「家賃のためだ! 全力で稼ぐ!」
ジュンはラプターを狙い、アッパーカットを繰り出した。クロードも近衛兵らしき敵を殴りつける。クロードの後ろに回ろうとした相手はジュンが遮り、彼女へと手を出させない。ハヤテはウィンドスラッシュでデルギンの取り巻きの一体を始末する。
弾丸のリロードを終えたミオレスカもやはりデルギンの直属の部隊を狙っていた。
なお、ミオレスカはこの時すでに馬を降りていた。先ほど、重傷を負った兵士が戦場を離れるために貸し与えたのだ。
――ハニーマーブル号は、大事な愛馬ですので、ちゃんと無事に帰還して、返してくださいね。
とは、その時の彼女の言葉。
動きを止めているミオレスカを狙い、敵の魔導銃が火を吹く。彼女を衝撃が襲うが、やってきた痛みはそれほどではなかった。ミオレスカの脳裏に、自分の無事を祈るある少女の笑顔が思い浮かんだ。
ミオレスカは必ず帰るという強い意志と共にトリガーを引く。
彼女のフォールシュートは自分を狙ったゴブリンもろとも敵の一団に風穴を開けた。
「補助してくれればいい、手をかしてくれ!」
エスクラーヴはトリッキーな動きでゴブリンに蹴りを入れつつ、ここぞとばかりに周囲の王国軍兵士達へと助力を求めた。
敵陣を突き崩していくハンター達の動きが、兵士達の士気をいつの間にか奮い起こさせていた。彼らはそれぞれの武器を持ち、徒歩のゴブリンへと挑みかかる。
さらに5人一組となった弓兵がゴブリン達へと矢を降らせる。彼らはクルスの働きがけで組んだ即席のメンバーだったが、狙い過たず矢尻が突き刺さった亜人は悲鳴をあげた。
もちろんゴブリン達も王国軍に負けじと剣を振るうのだが、兵士達が受けた傷はクルスが瞬く間に癒していく。
ジュンはデルギンへの道を切り開くため、彼の直属の配下へと挑みかかる。ナックル「メテオブレイカー」がラプターの胴体を叩くがまだトカゲは倒れない。お返しと向けられた魔導銃が彼女を撃つ。しかし、デルギンへと続くわずかな道が開かれた!
それを見逃さなかったのはクロードだ。
「いい加減、互いを見飽きた頃合いデス! ここらで決着といきまショウ! デルギン!!」
即座に間合いをつめ、デルギンへと飛び掛るクロード。デルギンはうなる白銀のトンファーをぎりぎりのところで回避した。ほっとするデルギンだったが……。
彼女の一撃にタイミングを合わせて放たれたハヤテのウィンドスラッシュが彼のラプターを切り裂いた。大トカゲは苦痛に身をよじらせる。ユキヤのホーリーライトもデルギンを襲い、衝撃で彼を痛めつける。
ミオレスカのレイターコールドショットがラプターの脚を撃ち、ついに彼の乗物はその動きをとめ、その場にうずくまった。デルギンは振り落とされまいとラプターにしがみ付く。
「クッ……下僕ども、ワシを……!!」
デルギンは周囲を見回し、声を張り上げ……。
しかし、言葉を途中で飲み込んだ。
彼は今になってやっと気付いたのである。直属の部隊が彼を除いて壊滅していたことを。徒歩のゴブリン達も立ち直った王国軍によって次々に仕留められていた。
「その首、ここで貰い受けマス!!」
もう一度、クロードがデルギンへとトンファーを繰り出した。我に返ったデルギンはさせるものかとその軌道を見切ろうとする。
「ここで伏せたカードのニンジャトラップ発動……ルンルン忍法桜吹雪!」
その時、秋桜が咄嗟に放ったトラップカード……いや、桜幕符によって生まれた桜吹雪がデルギンの視界を奪った。幻惑され、デルギンは混乱の極みに陥った。
そこに風を切って迫るはクロードの旋棍「光輝燦然」。
ついに彼女の執念がデルギンを捉えた。マテリアルの込められた、全身全霊の一撃が亜人の頭を強かに打つ。たまらずラプターの上から弾き飛ばされ、デルギンは高く高く宙を舞う。
(馬鹿な……! こんなところでワシが……!)
長いようで短い時間の後、デルギンは不吉な音と共に大地へと落下した。自分の首の骨が折れる音を彼が今わの際に聞けたかどうかは定かではない。
デルギンはぴくりとも動かない。彼が引き連れてきたラプターも、地面を埋め尽くすゴブリンの一団も、もはや微動だにしない。戦場は一瞬静寂につつまれる。
当のクロードも、仲間のハンター達も、王国軍の兵士達も、皆、しばらく一言も言葉を発しない。しかし、やがてクロードが元気一杯の雄たけびと共にトンファーを高く突き上げた。
それを見たハンター達、そしてグラズヘイム王国軍……それぞれが勝利を理解し、歓声をあげた。
彼らが受けた被害は決して小さなものではなかったが、それでも見事に『秩序の禍』デルギンとその軍団を撃ち果たしたのだった。
「うわーこれちょっとしたRTSだよな、数が違うけど」
敵襲から逃げ惑う王国軍の兵士の中、ジュン・トウガ(ka2966)は流れに逆らって走る。
「守りの弱い箇所を狙ってきた、か……相っ変わらず小賢しいことをしますネー。ワタシ、そういうの嫌いデス。正面から打ち破る自信が無いって吹聴したいんですかネ?」
ジュンと共に敵陣目指して駆けるクロード・N・シックス(ka4741)。ついに彼女達が敵前に踊り出た時、視界に広がっていたのは惨憺たる光景であった。王国軍の兵士達は倒れ、大地は赤く染まっている。その上を我が物顔で走るのは武装したゴブリン達。ラプターに騎乗する亜人の手には魔導銃が握られている。
「Oh my...予想はしてましたケド、見事にやられまくってますネー。指揮官のマネゴトなんて得意じゃないデスが……そうも言ってられない状況ですカ。OK, 彼らの混乱を収拾しまショウ! 共闘できる状態に回復させますヨ!」
ジュンとクロードは揃って左右の格闘武器を構えた。その後ろから駆けつけてきたのはクルス(ka3922)である。
「どこもかしこも好き勝手大乱闘しやがって……誰が治すんだよおい」
そう愚痴を言いながらも、彼は倒れている兵士達の傷を治さんがため、すぐにヒーリングスフィアの行使に入る。
クルスから生まれた光が広がり、倒れている兵士達はうめきながらもその手を少しだけ動かした。
遠くに見える『秩序の禍』デルギンの軍勢。ミオレスカ(ka3496)は馬上で魔導拳銃「エア・スティーラー」を構える。
「敵が退いたところで、戦禍は終わらない、ということですね。できるだけ撃退、全滅を狙って行きましょう。そのためには、兵士の皆さんにも、ひとがんばりしてもらわないと、いけませんね」
しかし、今はこちらに逃げてくる王国軍の兵士と、それを追うゴブリンの群れに対処するのが先だ。
「皆さんの希望に、なれれば」
ミオレスカはトリガーを立て続けに引いた。たちまち放たれた弾丸の雨がゴブリン達に襲い掛かる。スキル、フォールシュートの効果である。
逃げていた兵士達は背後から迫っていた殺気が霧消したことに気付き、疲れ果てたように倒れ込むと、こわごわと振り向いた。彼らの視線の先には、ミオレスカが放った弾丸のシャワーを浴びて崩れ落ちるゴブリン達の姿があった。
銃弾は彼女の予想以上の威力を発揮した。射撃を終えた銃口からあがる煙が、とある人物の吐き出す紫煙のようにミオレスカには思えた。
「一緒に戦ってくれませんか? ここを切り抜ければ、英雄として迎えられるかもしれませんよ」
まだ呆然としたままの兵士達に声をかけるミオレスカ。彼らは首をぎくしゃくと動かして、言葉の主を見上げた。
そんな兵士達を柔らかい光が覆い、彼らの傷がたちまち癒された。兵士達は、光を発した者の方を振り向く。
「僕達は、戦います。王国兵の皆さんも、帰って来る事を信じ、願っている人が居るはず。無事で帰りましょう。そう、皆で」
兵士達の視線の先で微笑を浮かべるユキヤ・S・ディールス(ka0382)。先ほど癒しの力を放ったのは彼であった。
そのままゴースロンで亜人の群れへと一直線に駆けていくユキヤ。自分目掛けて迫る敵をセイクリッドフラッシュで迎え撃つ。光の波動がゴブリン達を吹き飛ばした。
ミオレスカも銃を手に馬を走らせ、混沌とする戦場へと赴く。後には顔を見合わせる兵士達が残った。
「すごい大軍だ……おれにできることは……」
フリルワンピースを着たメイド、エスクラーヴ(ka5688)。
外見は明らかに非戦闘員だったが、そんな自分だからこそやれる事があると彼女は考えていた。烏合の衆となってしまった兵士達の心に火をつけるのだ。
ワンピースの裾をひるがえらせ、エスクラーヴは剣戟の舞台へと走った。
ゴブリンが乗るラプターに対抗するため、試作魔導バイク「ナグルファル」を操るのはルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。
「これ以上兵士さん達に犠牲は出させません、だって私ニンジャでチャンピオンだもの! 私もバイクでライドデュエルスタンバイ!」
バイクを走らせながら彼女が取り出したのはカード……いや、符であった。彼女は符術師をプロカードゲーマーと勘違いしてハンターになったほどの、筋金入りのカードゲーマーらしい。もちろんリアルブルーからの転移者だ。
彼女達とは逆に、敵から逃れてくる兵士達。皆、満身創痍だ。そんな彼らの視線の先に、ほどよく隠れられそうな土の壁が突如生まれた。
「一先ずこんなものかな?」
それはフワ ハヤテ(ka0004)が作った負傷避難用のアースウォール。傷ついていた兵士はよろめき、その壁の後ろに転がり込んだ。
ハヤテはそれを見届ける間もなくファイアーボールの行使に入る。狙いは遠くに見えるラプター部隊。そんな彼を狙って、ゴブリンの一体が手に持つ槍を投げた。それはハヤテからそれ、彼が作った土の壁へと突き刺さる。しかし、亜人の投げ槍程度で破壊されるほど魔法の壁はやわではない。
彼がファイアーボールを解き放つと、ラプターの一団は混乱の極みに陥った。しかし、まだ倒すには至らない。
やがて負傷した兵士達が戦場に生まれた土の壁を目印に三々五々集まってきた。クルスが負傷者達に、この壁を目印に一旦下がるようにと指示を出したのだ。そして彼らはクルスからある頼みを受けていた。動ける人間を編成し、5人一組となって戦線を維持してくれと。そして可能なら負傷者を助け、同じように小さな集団を編成してくれと。
●
「みんな見ててくれ! おれも直接戦えるんだ! 負け戦じゃない!」
フリルワンピースを着た少女がそう声を張り上げながら、ゴブリンの懐へと踏み込んだ。
「うおおおおおお!」
格闘士であるエスクラーヴの一撃がゴブリンを吹き飛ばす。
基本はボクシングスタイルで敵を殴り、時折カポエラスタイルも織り交ぜてゴブリン達の中で乱舞した。
「さてと、どんどん殴り潰していくか」
ジュンもゴブリンが繰り出した槍を左手の試作型パリィグローブで受け流し、お返しとばかりに右手のナックル「メテオブレイカー」を叩き込む。
「シンプルイズベスト、技なんざ実戦で使えるのは1個か2個ぐらいのもんだからな、数が多いなら尚更だ」
背後に回ったゴブリン目掛けてバックブローを繰り出すジュン。鼻面を打たれ、倒れる亜人。
「敵の数は多ければ多いほど燃えますネー! 東方武人の本領発揮デス!! ジュン、クルス、気張っていきますヨ!!」
旋棍「光輝燦然」と烈光旋棍を自在に操り、眼前の敵を思い切り強打するクロード。ふっとぶゴブリンを尻目に新たな亜人が挑んできたが、それも瞬く間に殴り倒した。
「このワタシ、双旋棍のクロードをッ! 簡単に止められると思うなァッ!!」
恐慌状態の兵士達にまだ負けていないことを伝えるため、クロードも叫んだ。
兵士達は心奪われたようにハンター達を見つめていた。しかし、まだ動けない。彼らの視界に今度は自在に走り回るバイクの姿が入って来た。搭乗者は秋桜だ。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法大撹乱。ここですかさず胡蝶の舞!」
彼女が投げた符から生まれた光る蝶が空を舞い、ゴブリンを襲った。符術を行使し終えた彼女の目に、騎乗するゴブリンが魔導銃の銃口を仲間に向けているのが見える。
「シュリケーン☆」
秋桜は手裏剣「八握剣」を素早く放ち、亜人の狙いを妨害した。
まだ数の多いゴブリン達の中に、ミオレスカはまたも弾丸の雨を降らした。混乱する亜人の群れ。
「ええい、慌てるな! 下僕ども!」
デルギンは舌打ち交じりに叫び、魔導銃でハンターを狙い撃つ。ジュンへと向けられたそれは彼女の纏う防具をも貫き、その肌を穿つ。ジュンは痛みをこらえ、デルギンを睨みつけた。
デルギンの叱咤に応えるかのように、直属の部下たちが一斉に射撃した。火線上にいた者たちは痛みにうめき、あるいは倒れた。
勝ち誇るデルギンを見てクロードは熱り立つ。
しかし、まだ彼我の距離は遠い。被弾を覚悟しつつも距離を詰めようとするクロード。そこに殺到する徒歩のゴブリン達。クロードはそれを殴り飛ばすが押し通るには難しい。
ユキヤはセイクリッドフラッシュで辺り一帯を吹き飛ばす。その間にクルスはヒーリングスフィアを用い、仲間のハンターと王国軍の兵士達とをまとめて癒した。
ハヤテは騎乗するゴブリンを狙い、ウィンドスラッシュを撃つ。
鋭い風がゴブリンを切り刻み、亜人は血を撒き散らしながらラプターの上から落ちた。仲間のゴブリンが魔法の主を撃とうとするが……敵味方入り乱れる中ではそれも難しい。ゴブリンはろくに狙いもつけずに王国軍へと発砲したがさしたる効果はなかった。
「程よく乱戦地帯に紛れ、敵銃弾の盾とする……はは、肉盾って、素晴らしいと思わないかい?」
ハヤテはそう呟きながら、次のターゲットを探した。
デルギンは乱戦の中、戦況の確認と次の獲物を求めて首を巡らせていたが……。
「あっ、分かっちゃいました! 弱いから王様に一緒に連れて行ってもらえなくて、それで腹いせにここでもっと弱い物いじめを……最低なのです」
デルギン軍を見ていて閃いたのか、秋桜が突然大きな声で叫ぶ。
「な、なんだと!?」
顔を真っ赤にしたデルギンは彼女を狙って撃つが、残念ながらバイクで走り回る彼女の側をかすめただけだった。歯噛みするデルギン。
ユキヤは今がチャンスと、やや突出していたデルギンの体を鞭で絡み取ってラプターから引きずり落とそうと試みる。しかしデルギンは素早く彼から間合いを取った。
さすがにそれ以上深追いすることはしないデルギン。しかし、あの女を含めたこの場の者達を生かしておくまいと心に決めた。
●
当初隆盛を誇っていたゴブリン達も今ではさほどの数ではないが、まだデルギンとその主力部隊はほとんどが健在だった。しかし、ハンター達は少しずつ主力部隊に肉薄することに成功していた。
「家賃のためだ! 全力で稼ぐ!」
ジュンはラプターを狙い、アッパーカットを繰り出した。クロードも近衛兵らしき敵を殴りつける。クロードの後ろに回ろうとした相手はジュンが遮り、彼女へと手を出させない。ハヤテはウィンドスラッシュでデルギンの取り巻きの一体を始末する。
弾丸のリロードを終えたミオレスカもやはりデルギンの直属の部隊を狙っていた。
なお、ミオレスカはこの時すでに馬を降りていた。先ほど、重傷を負った兵士が戦場を離れるために貸し与えたのだ。
――ハニーマーブル号は、大事な愛馬ですので、ちゃんと無事に帰還して、返してくださいね。
とは、その時の彼女の言葉。
動きを止めているミオレスカを狙い、敵の魔導銃が火を吹く。彼女を衝撃が襲うが、やってきた痛みはそれほどではなかった。ミオレスカの脳裏に、自分の無事を祈るある少女の笑顔が思い浮かんだ。
ミオレスカは必ず帰るという強い意志と共にトリガーを引く。
彼女のフォールシュートは自分を狙ったゴブリンもろとも敵の一団に風穴を開けた。
「補助してくれればいい、手をかしてくれ!」
エスクラーヴはトリッキーな動きでゴブリンに蹴りを入れつつ、ここぞとばかりに周囲の王国軍兵士達へと助力を求めた。
敵陣を突き崩していくハンター達の動きが、兵士達の士気をいつの間にか奮い起こさせていた。彼らはそれぞれの武器を持ち、徒歩のゴブリンへと挑みかかる。
さらに5人一組となった弓兵がゴブリン達へと矢を降らせる。彼らはクルスの働きがけで組んだ即席のメンバーだったが、狙い過たず矢尻が突き刺さった亜人は悲鳴をあげた。
もちろんゴブリン達も王国軍に負けじと剣を振るうのだが、兵士達が受けた傷はクルスが瞬く間に癒していく。
ジュンはデルギンへの道を切り開くため、彼の直属の配下へと挑みかかる。ナックル「メテオブレイカー」がラプターの胴体を叩くがまだトカゲは倒れない。お返しと向けられた魔導銃が彼女を撃つ。しかし、デルギンへと続くわずかな道が開かれた!
それを見逃さなかったのはクロードだ。
「いい加減、互いを見飽きた頃合いデス! ここらで決着といきまショウ! デルギン!!」
即座に間合いをつめ、デルギンへと飛び掛るクロード。デルギンはうなる白銀のトンファーをぎりぎりのところで回避した。ほっとするデルギンだったが……。
彼女の一撃にタイミングを合わせて放たれたハヤテのウィンドスラッシュが彼のラプターを切り裂いた。大トカゲは苦痛に身をよじらせる。ユキヤのホーリーライトもデルギンを襲い、衝撃で彼を痛めつける。
ミオレスカのレイターコールドショットがラプターの脚を撃ち、ついに彼の乗物はその動きをとめ、その場にうずくまった。デルギンは振り落とされまいとラプターにしがみ付く。
「クッ……下僕ども、ワシを……!!」
デルギンは周囲を見回し、声を張り上げ……。
しかし、言葉を途中で飲み込んだ。
彼は今になってやっと気付いたのである。直属の部隊が彼を除いて壊滅していたことを。徒歩のゴブリン達も立ち直った王国軍によって次々に仕留められていた。
「その首、ここで貰い受けマス!!」
もう一度、クロードがデルギンへとトンファーを繰り出した。我に返ったデルギンはさせるものかとその軌道を見切ろうとする。
「ここで伏せたカードのニンジャトラップ発動……ルンルン忍法桜吹雪!」
その時、秋桜が咄嗟に放ったトラップカード……いや、桜幕符によって生まれた桜吹雪がデルギンの視界を奪った。幻惑され、デルギンは混乱の極みに陥った。
そこに風を切って迫るはクロードの旋棍「光輝燦然」。
ついに彼女の執念がデルギンを捉えた。マテリアルの込められた、全身全霊の一撃が亜人の頭を強かに打つ。たまらずラプターの上から弾き飛ばされ、デルギンは高く高く宙を舞う。
(馬鹿な……! こんなところでワシが……!)
長いようで短い時間の後、デルギンは不吉な音と共に大地へと落下した。自分の首の骨が折れる音を彼が今わの際に聞けたかどうかは定かではない。
デルギンはぴくりとも動かない。彼が引き連れてきたラプターも、地面を埋め尽くすゴブリンの一団も、もはや微動だにしない。戦場は一瞬静寂につつまれる。
当のクロードも、仲間のハンター達も、王国軍の兵士達も、皆、しばらく一言も言葉を発しない。しかし、やがてクロードが元気一杯の雄たけびと共にトンファーを高く突き上げた。
それを見たハンター達、そしてグラズヘイム王国軍……それぞれが勝利を理解し、歓声をあげた。
彼らが受けた被害は決して小さなものではなかったが、それでも見事に『秩序の禍』デルギンとその軍団を撃ち果たしたのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ジュン・トウガ(ka2966) 人間(リアルブルー)|13才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/11/06 00:37:51 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/04 01:05:40 |