ゲスト
(ka0000)
【郷祭】秋のリンゴが空を飛ぶ
マスター:紡花雪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/14 22:00
- 完成日
- 2015/11/22 22:03
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●リンゴ異変
風が、秋の香りを運んでくる。
収穫の季節を迎えた同盟領農耕推進地域「ジェオルジ」は、郷祭の楽しげな声で賑わっていた。
その祝いの季節に、この村では甘く爽やかな香りが広がっている。そう、この村で育てているのは、リンゴである。リンゴとひとくくりに言っても、その収穫時期は品種によって夏から冬までとばらつきがあるのだが、この村で秋に旬を迎える品種は、艶やかな赤色で蜜を多く含む「秋紅」と爽やかな甘さで果汁の多い「太陽リンゴ」のふたつだ。
だが、その収穫時期を迎えたリンゴに、異変が起こっていたのである。
「な、な、何なんだぁ……!?」
「オレたちのリンゴがぁぁっ……!」
「誰かっ、止めてくれぇぇっ!」
――ビュンッ! シャリッ! バチンッ!
リンゴ畑の一角に不穏な音が繰り返し響き、辺りには噎せ返るほど甘い香りが飛び散っていた――。
●村からの手紙
「リンゴの争い……?」
手紙の内容に、銀林檎館のメイド、レイメ・ルアンスール(kz0151)はそっと眉根を寄せた。
銀林檎館ではジェオルジのとある村と契約をして美味しいリンゴを入荷しているのだが、この数日その入荷が遅れぎみで数も揃っていないことが続いていた。そこでこちらから手紙で状況を確認した結果、状況伝える返信があったのだ。
「不作や天候不良でもありませんし、『リンゴの争い』とは一体……」
銀林檎館の女主人が不在であるため留守を任された彼女が手紙を検めたのだが、契約先の村では通常では考えられない事態が起こっているようだ。
いわく、「秋紅」と「太陽リンゴ」が喧嘩をしている、とのことだ。
その村のリンゴ果樹には、品種ごとに親株が存在する。そして、その「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株が、まるで縄張り争いでもするかのように、互いのリンゴの果実を投げ飛ばしてぶつけあっているというのだ。現状、互いの樹木に攻撃をしあっているだけで、人を狙って襲ってくるようなことはないようだが、止めに入った農家の男性が軽い打撲の怪我を負っているらしい。
「歪虚化、でしょうか」
奇しくも今ジェオルジは、秋の郷祭の真っ最中。その村ももちろん、リンゴの菓子を振る舞うティーパーティーを企画しており、銀林檎館がレシピを提供するという形で協力をしている。もし果樹が雑魔と化しているというのならば、それが広がらないうちに、果樹雑魔が人を襲わないうちに、対処しなければならない。
手紙の末尾には、村では対処しきれないため、手助けを求める旨が記されていた。
「わたし一人では対処できそうにありませんし、ハンターオフィスに相談したほうが良さそうですね」
ハンターに協力を仰ぐため、レイメは手紙を手に急ぎ足でハンターオフィスへと向かった。
風が、秋の香りを運んでくる。
収穫の季節を迎えた同盟領農耕推進地域「ジェオルジ」は、郷祭の楽しげな声で賑わっていた。
その祝いの季節に、この村では甘く爽やかな香りが広がっている。そう、この村で育てているのは、リンゴである。リンゴとひとくくりに言っても、その収穫時期は品種によって夏から冬までとばらつきがあるのだが、この村で秋に旬を迎える品種は、艶やかな赤色で蜜を多く含む「秋紅」と爽やかな甘さで果汁の多い「太陽リンゴ」のふたつだ。
だが、その収穫時期を迎えたリンゴに、異変が起こっていたのである。
「な、な、何なんだぁ……!?」
「オレたちのリンゴがぁぁっ……!」
「誰かっ、止めてくれぇぇっ!」
――ビュンッ! シャリッ! バチンッ!
リンゴ畑の一角に不穏な音が繰り返し響き、辺りには噎せ返るほど甘い香りが飛び散っていた――。
●村からの手紙
「リンゴの争い……?」
手紙の内容に、銀林檎館のメイド、レイメ・ルアンスール(kz0151)はそっと眉根を寄せた。
銀林檎館ではジェオルジのとある村と契約をして美味しいリンゴを入荷しているのだが、この数日その入荷が遅れぎみで数も揃っていないことが続いていた。そこでこちらから手紙で状況を確認した結果、状況伝える返信があったのだ。
「不作や天候不良でもありませんし、『リンゴの争い』とは一体……」
銀林檎館の女主人が不在であるため留守を任された彼女が手紙を検めたのだが、契約先の村では通常では考えられない事態が起こっているようだ。
いわく、「秋紅」と「太陽リンゴ」が喧嘩をしている、とのことだ。
その村のリンゴ果樹には、品種ごとに親株が存在する。そして、その「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株が、まるで縄張り争いでもするかのように、互いのリンゴの果実を投げ飛ばしてぶつけあっているというのだ。現状、互いの樹木に攻撃をしあっているだけで、人を狙って襲ってくるようなことはないようだが、止めに入った農家の男性が軽い打撲の怪我を負っているらしい。
「歪虚化、でしょうか」
奇しくも今ジェオルジは、秋の郷祭の真っ最中。その村ももちろん、リンゴの菓子を振る舞うティーパーティーを企画しており、銀林檎館がレシピを提供するという形で協力をしている。もし果樹が雑魔と化しているというのならば、それが広がらないうちに、果樹雑魔が人を襲わないうちに、対処しなければならない。
手紙の末尾には、村では対処しきれないため、手助けを求める旨が記されていた。
「わたし一人では対処できそうにありませんし、ハンターオフィスに相談したほうが良さそうですね」
ハンターに協力を仰ぐため、レイメは手紙を手に急ぎ足でハンターオフィスへと向かった。
リプレイ本文
●甘い香りと飛ぶリンゴ
青空の下に広がるのは、甘く爽やかな香りだ。
そして――ヒュンッ! ドカッ! グシャッ!
リンゴ農園の一角、秋に収穫を迎える「秋紅」と「太陽リンゴ」の果樹畑で、不穏極まりない音が鳴り響いている。
ハンターオフィスで依頼を受領したハンターたちは、すっかり疲れ果てた様子の村人たちの前に立ち、果樹に閉ざされた視界のずっと向こうで飛び舞うリンゴを見ることとなった。
「これはまた、いろいろなところに迷惑をかける歪虚が出てきましたね。まあ、これくらいなら、個人的には驚くような相手ではないですが」
空を見上げて呟いたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)である。彼女が思い出しているのは、過去に戦った風変わりな歪虚のことだ。さまざまな戦闘経験があるからこそ、リンゴが空を飛んだくらいでは驚かないのだろう。
「なるほど。聞いていたように、リンゴ同士で争っているのだな。この大王たるボクが成敗してくれようぞ」
銀髪の少女が、威厳をにじませる様子で歩み出る。ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)だ。自ら大王の生まれ変わりを称する彼女には、食糧であるリンゴが争いの道具になっていることを許し難く感じているらしい。
そしてハンターたちは、リンゴ果樹園の農道へと踏み入っていく。すると、空をヒュンヒュンと飛び交うリンゴが次第に大きく見えてきた。
「あの木かの?」
前方を指差して果樹を確認しているのは、魔術師の少年、ディヤー・A・バトロス(ka5743)である。
「先に調査してきてよいかの?」
樹木が歪虚の本体であるのか、樹木に何ものかが取り憑いているのか、ディヤーはそれを確認したいのだ。
「ディヤーさま、充分ご注意くださいね」
ハンターたちの後方に同行していたレイメ・ルアンスール(kz0151)がそっと声をかけ、ディヤーは問題の「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株果樹のある方向へと歩いていく。
「いつ頃から親株はこんな調子なのでしょう……」
誰にともなく呟いたのは、セレナ・デュヴァル(ka0206)である。リンゴ果樹が争いを始めて数日、そうレイメから返答があったが、セレナの意識はすでに周囲の甘い香りに向いており、事態を早急に収拾してリンゴを味わうことを考えていた。
親株に近づくにつれ、その全容が明らかになっていく。果樹の枝葉の間から覗き見ると、青々とした葉に真っ赤な果実をどっさりと抱えた頑丈そうな幹が二株見えた。その親株は、どこか薄暗い影をまとっているようだ。まるで意思があるかのように幹を震わせ、枝葉をぐりんと振り回す。すると、ブンッと空気を裂く音とともに複数の真っ赤なリンゴ弾丸が発射され、放物線を描いて農道の反対側へと着弾する。辺りには、酸味を含んだ甘い香りが濃く漂っている。
「……なんだこりゃァ……歪虚だろ? 人類滅ぼせよ……?」
現状を目の当たりにした万歳丸(ka5665)が、呆然と呟いた。至極もっともな意見である。だが彼は呆然と立ち尽くしているだけではなく、近くで様子を観察しているディヤーと親株の間でバットを振るうセレナを見て、にわかに目を輝かせていた。
「それは……楽しそうだな!」
制止する間もなく、彼もまたリンゴ飛び交う親株の間に飛び込んで行った。
「うんうん。こういうの知ってるぞ」
飛び交うリンゴとそれを回避したり打ち返したりする仲間を見て、フルルカ(ka5839)が感慨深げに呟く。いつかの冬に近所の子供達と雪玉を投げ合って遊んだことを思い出していたのだ。そして符術師であり占い好きの彼女は、傍に落ちていたリンゴを拾い、本日の首尾を占っていた。
「ちちんぷいぷい、リンゴ占い~♪――むむっ、この亀裂の入り方は……!」
3人のハンターが親株の間に割って入ったことで、飛び交うリンゴの軌道が変わりつつあった。親株の近くにいる3人にだけではなく、少し離れて柵の近くにいる4人のところまで、流れリンゴ弾が飛んでくるようになっていた。
柵や地面にぶつかった果実が、クシャリと潰れて果汁がプシュッと散る。装備や服を甘い果汁で濡らしたハンターたちは、早急な事件解決の意思を固めたのである。
●避けろ! 撃て! 防御せよ!
ハンターたちの士気の高まりにつられるように、「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株果樹が幹を大きく揺らしてリンゴをハンターたちに投げつけてきた。
まず、複雑な模様が描かれた陰陽護符を取り出して魔法を発動させたのは、フルルカだ。あらゆる方向から飛んでくるリンゴ弾を回避し、反撃を仕掛けるのは容易ではない。それなので、彼女自身の回避と抵抗力を底上げし、戦機を見出して仲間たちを援護するのだ。
「さぁ雑魔よ、そなたらの魔球、がっちりキャッチしてやるぞー!」
グローブを構えるや否や、彼女に向かって飛び込んできた「秋紅」をしっかり掴んで、ひょいと収穫籠に収める。実に、流れるような動きだ。
エルバッハは、ひらりひらりとリンゴの弾丸をかわしながら、そのリンゴが周囲の果樹や果実に被害を及ぼしていないかが気にかかっていた。それならばと、睡眠の魔法で沈黙させることにした。効果範囲を考えると一度に二株の果樹雑魔を眠らせることは難しい。まずは、果実が重い「太陽リンゴ」の親株の周囲に、青白い眠りの雲を巡らせた。果樹も生物に違いなく、「太陽リンゴ」の親株は、ばさりと大きく葉を揺らしたかと思うと、枝をだらりと下げてその動きを休めた。
その動きを見て、ディアドラとセレナが「太陽リンゴ」の果樹雑魔に向かい、ディヤーと万歳丸が「秋紅」へと向き合った。連携同時攻撃の構えである。
まずディアドラは大きく踏み込んで、騎士剣「ローレ・ライン」で「太陽リンゴ」の幹を刺し貫いた。勝利と栄光の象徴である月桂樹の名を持ち、月桂樹の葉を模した飾りが施された長剣がきらめき、「太陽リンゴ」の太く厚い樹皮を抉る。眠りに落ちて沈黙していた「太陽リンゴ」も、これではひとたまりもないだろう。
それと同時に、背後にある「秋紅」の反撃から身を守るための壁をセレナが生み出していた。地の精霊の力を借りた土の壁は、人間一人をゆうに覆い隠せる大きさがある。上部から落下してくるリンゴは自力で回避しなければならないが、それでも強い勢いで直線的に投げつけられるリンゴを受け止める盾ができた意味は大きい。
そして、今もハンターと「太陽リンゴ」にリンゴ弾丸で猛攻を仕掛けている「秋紅」と戯れているのは、ディヤーと万歳丸だ。
「はっは。当たると思ったより痛いのう!」
「ハハハハハハハハッ!!」
踊るように軽やかで派手な動きで回避に勤しむディヤーと万歳丸は、緩やかに飛んできたリンゴをさっと掴んで味見をするのを忘れない。「秋紅」は小玉だが甘みが凝縮された濃い味をしている。果実に瘴気が詰まっている様子はないので、歪虚の本体は樹木だろう。
ディヤーは魔法を発動させ、今にもリンゴを投げようと振りかぶった枝を目がけ、鋭い風で切り裂く一撃を放った。ざっくりと綺麗に剪定された枝は、地面に落ちると同時に黒い霧が弾けるようにして消滅した。あとには果実が残っているだけだ。
そして万歳丸は、可能な限り歪虚に汚染されていない部分を残すように、活発に動いている枝に狙いを定め、マテリアルを螺旋状にまとった拳を叩き込んだ。波打つようなマテリアルが乾いた樹皮を伝って一気に送り込まれる。するとその枝は、内側から破裂するようにして霧散した。
頼れるハンターたちの最後方に控えたレイメは、ランアウトで素早くリンゴを受け止め、ハンターたちへの直撃を防ぐよう動いていた。
瘴気の詰まった枝を切り落とされた「秋紅」は、すでに威力と動きを鈍らせている。だが、ハンターの攻撃を受けて眠りから覚めた「太陽リンゴ」は、まさしく再登板である。争っていたはずの二品種が、まるで共闘するかのようにハンターたちに向かっていた。
●そして――畳み掛けろ!
靴も手も頭部も、いつの間にか果汁でベタベタに濡れていた。なまじ果汁たっぷりの良品種リンゴなだけはある。
縄張り争いはどこへやら、二品種の親株は歪虚を討伐しようとするハンターたちを敵と見なし、完全に攻撃の矛先を変えていた。特に、まだ損害の少ない「太陽リンゴ」は、大玉の重い果実を容赦なくハンターにぶつけている。
エルバッハは、果実を投げつけてくる「太陽リンゴ」の枝を狙って、風の魔法で鋭く切り落とす。どうやら枝に歪虚の瘴気が詰まっている可能性が高いこの状況では、狙った部位を切り裂けるウィンドスラッシュでの攻撃が適しているようだ。
同じく「太陽リンゴ」に向き合っていたディアドラは、続けざまに飛んでくるリンゴとそれを投げてきた枝をまとめて薙ぎ払っていく。グラズヘイム王国騎士団御用達の銘品である長剣は、確実に侵食された果樹の枝を切り落とした。
「ふむ、そこか」
「秋紅」の枝に歪虚を見出したディヤーは、果樹の幹を傷付けないよう、魔力で水を球体に凝縮して撃ちつけた。衝撃で枝が折れ、水が弾けて消えるとともにその枝も消失する。
最期の力を振り絞るように、枝葉を大きく弓なりにしならせて果実を射出する「太陽リンゴ」に、セレナが風で切りつける。彼女は、少しでも多く無事なリンゴを残したいと願っていた。風で切り裂かれた枝は、またもや果実をボトボトと地面に落としてから消失する。
「秋紅」も「太陽リンゴ」も、もはや枝葉や果実が重く持ち上がらないといった様子で、枝を離れるリンゴも、投げられて飛んでくるといった様子ではなく、震える枝から重力に従って転がり落ちているようだった。
万歳丸が「秋紅」、フルルカが「太陽リンゴ」と向き合う。万歳丸は体内のマテリアルを集めて爆発的な力に練り上げていく。フルルカもまた、陰陽勾玉巴が描かれた護符で蝶のような光弾を呼び出す。
「呵々ッ! 喧嘩両成敗、ってなァ!」
「――全力投球!」
万歳丸の気合が、フルルカの掛け声が、農園の空気を震わせた。
万歳丸は、わずかに抵抗を見せていた最後の「秋紅」の枝を見逃さずに掌からマテリアルを叩き込む。
フルルカは、風もないのにゆらゆら揺れる「太陽リンゴ」の枝に、光弾の蝶を撃ち当てる。
一際、強い光がその場に奔った気がした。
「――終わった、のか……?」
誰かが呟いた。
「……ええ、そのようです」
レイメが、「秋紅」と「太陽リンゴ」の様子を確認して返答する。
すうっと波が引いたかのように、それまで騒がしかった親株果樹は完全に動きを止め、ただ静かに秋の風に揺れているだけだった――。
●リンゴの命は
斯くして、「秋紅」品種と「太陽リンゴ」品種間の争いに幕が降ろされた。
ふたつの親株果樹を駆り立てていた歪虚は、果樹そのものではなく、一部の枝葉を汚染する形で取り憑いていたようだ。汚染を受けたのが太く丈夫な親株であったことが幸いし、枝の多くを失っても、幹は多少の傷が付いた程度で済んだ。今年は親株から果実を収穫することは不可能だが、村のリンゴ農家が力を合わせて樹木保護と治療をしていけば、数年後にはまた果実をつけてくれるだろう。
戦闘を終えて一息つくと、ハンターたちは村人とともにティーパーティーの準備をすることとなった。
エルバッハは、自ら申し出て荒れてしまった果樹園の掃除や後片付けを手伝い、万歳丸も地面に落ちたリンゴで食用に耐えうるものを拾い集めていた。出荷できなくとも、果汁を搾る分には問題ない。
ディヤーは折れてしまった枝を拾い、燻製用のチップにできないかと村人に相談している。
セレナは親株や周囲の果樹を心配しており、樹木学に覚えのある村人と今後の果樹生育について話していた。
そしてディアドラとフルルカは、村の女性たちに混ざって、パーティー料理を盛り付けたり運んだりしながら楽しそうに談笑をしていた。
「――さあ、ハンターの皆様。お待たせしました!」
村の奥様方の声がハンターたちに掛けられ、果樹園を臨む小高い丘の上でのティーパーティーが始まる。
「今回のお菓子や料理は、僭越ながら銀林檎館が監修させていただきました。皆さま、どうぞ存分にお楽しみください」
ハンターたちの前に立ったレイメが恭しく一礼をすると、続いて村のまとめ役の男が開宴の声を上げた。
「――たんと召し上がれ!」
アップルティーや搾りたてのリンゴジュースがテーブルに置かれている。
運ばれてきたのは、アップルパイとアップルタルト。小玉のリンゴを串に刺して飴をかけて固めた菓子まである。
「なかなか美味しいですね。機会があれば、この村のリンゴを買ってみるのもいいかもしれませんね」
アップルパイを口に運びながら、エルバッハが呟く。すると、近くにいた奥方が気を良くして、他の菓子もどうかとエルバッハに勧め始めた。
「やはり大王たるもの、ケーキは欠かせないな!」
ディアドラの前には、「秋紅」で作ったタルトと「太陽リンゴ」で作ったタルトが並ぶ。彼女は、このふたつを食べ比べるのだ。アップルティーも忘れてはいけない。
「おーおー、どんどん持ってきてくれ。どんどん食べるからの!」
ディヤーはテーブルに並んだ料理や菓子を夢中で食べている。そして、料理好きな姉弟子のためにレシピを知りたいと村の奥方に頼むと、「簡単なアップルパイの作り方」を教えてくれた。
セレナは、見たことがないほど豊富なリンゴ料理や菓子を、喜んで頬張っている。
「……あ、おかわりください」
リンゴを守るために力を尽くしていた彼女は、食べるときも全力だ。
西方の風習に疎いという万歳丸だが、美味なるものには人一倍に敏感なようだ。
「これは……甘く芳醇である中に、スパイスがまるで木漏れ日のようなぬくもりを持って――」
まるで詩を紡ぐような味わい方に、村人が感嘆の声を上げていた。
フルルカは、リンゴに飴を絡めた「リンゴ飴」を手に取っていた。彼女の知るところでは、これが祭の定番菓子のようだ。
「あー! そのアップルパイはわたしの!!」
アップルパイが取り分けられていくのを発見し、フルルカは立ち上がる勢いで主張した。もちろん、皆で仲良く分けて食べるのだ。
村人たちが、楽しそうに笑っている。銀林檎館のメイドであるレイメも、寛いだ様子を見せていた。
たとえ一時的に「秋紅」と「太陽リンゴ」の収穫量が落ちたとしても、この村の生活と平和が守られたことに変わりはない。
「――リンゴの命は、俺たち農家の愛情よ!」
精魂を込めて、愛情をかけて育てることこそ、美味しいリンゴの命。村人の言葉に、喝采が湧いた。
ハンターが守ったこの村では、今日も、これからも、真っ赤なリンゴが太陽のように輝いている――。
青空の下に広がるのは、甘く爽やかな香りだ。
そして――ヒュンッ! ドカッ! グシャッ!
リンゴ農園の一角、秋に収穫を迎える「秋紅」と「太陽リンゴ」の果樹畑で、不穏極まりない音が鳴り響いている。
ハンターオフィスで依頼を受領したハンターたちは、すっかり疲れ果てた様子の村人たちの前に立ち、果樹に閉ざされた視界のずっと向こうで飛び舞うリンゴを見ることとなった。
「これはまた、いろいろなところに迷惑をかける歪虚が出てきましたね。まあ、これくらいなら、個人的には驚くような相手ではないですが」
空を見上げて呟いたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)である。彼女が思い出しているのは、過去に戦った風変わりな歪虚のことだ。さまざまな戦闘経験があるからこそ、リンゴが空を飛んだくらいでは驚かないのだろう。
「なるほど。聞いていたように、リンゴ同士で争っているのだな。この大王たるボクが成敗してくれようぞ」
銀髪の少女が、威厳をにじませる様子で歩み出る。ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)だ。自ら大王の生まれ変わりを称する彼女には、食糧であるリンゴが争いの道具になっていることを許し難く感じているらしい。
そしてハンターたちは、リンゴ果樹園の農道へと踏み入っていく。すると、空をヒュンヒュンと飛び交うリンゴが次第に大きく見えてきた。
「あの木かの?」
前方を指差して果樹を確認しているのは、魔術師の少年、ディヤー・A・バトロス(ka5743)である。
「先に調査してきてよいかの?」
樹木が歪虚の本体であるのか、樹木に何ものかが取り憑いているのか、ディヤーはそれを確認したいのだ。
「ディヤーさま、充分ご注意くださいね」
ハンターたちの後方に同行していたレイメ・ルアンスール(kz0151)がそっと声をかけ、ディヤーは問題の「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株果樹のある方向へと歩いていく。
「いつ頃から親株はこんな調子なのでしょう……」
誰にともなく呟いたのは、セレナ・デュヴァル(ka0206)である。リンゴ果樹が争いを始めて数日、そうレイメから返答があったが、セレナの意識はすでに周囲の甘い香りに向いており、事態を早急に収拾してリンゴを味わうことを考えていた。
親株に近づくにつれ、その全容が明らかになっていく。果樹の枝葉の間から覗き見ると、青々とした葉に真っ赤な果実をどっさりと抱えた頑丈そうな幹が二株見えた。その親株は、どこか薄暗い影をまとっているようだ。まるで意思があるかのように幹を震わせ、枝葉をぐりんと振り回す。すると、ブンッと空気を裂く音とともに複数の真っ赤なリンゴ弾丸が発射され、放物線を描いて農道の反対側へと着弾する。辺りには、酸味を含んだ甘い香りが濃く漂っている。
「……なんだこりゃァ……歪虚だろ? 人類滅ぼせよ……?」
現状を目の当たりにした万歳丸(ka5665)が、呆然と呟いた。至極もっともな意見である。だが彼は呆然と立ち尽くしているだけではなく、近くで様子を観察しているディヤーと親株の間でバットを振るうセレナを見て、にわかに目を輝かせていた。
「それは……楽しそうだな!」
制止する間もなく、彼もまたリンゴ飛び交う親株の間に飛び込んで行った。
「うんうん。こういうの知ってるぞ」
飛び交うリンゴとそれを回避したり打ち返したりする仲間を見て、フルルカ(ka5839)が感慨深げに呟く。いつかの冬に近所の子供達と雪玉を投げ合って遊んだことを思い出していたのだ。そして符術師であり占い好きの彼女は、傍に落ちていたリンゴを拾い、本日の首尾を占っていた。
「ちちんぷいぷい、リンゴ占い~♪――むむっ、この亀裂の入り方は……!」
3人のハンターが親株の間に割って入ったことで、飛び交うリンゴの軌道が変わりつつあった。親株の近くにいる3人にだけではなく、少し離れて柵の近くにいる4人のところまで、流れリンゴ弾が飛んでくるようになっていた。
柵や地面にぶつかった果実が、クシャリと潰れて果汁がプシュッと散る。装備や服を甘い果汁で濡らしたハンターたちは、早急な事件解決の意思を固めたのである。
●避けろ! 撃て! 防御せよ!
ハンターたちの士気の高まりにつられるように、「秋紅」と「太陽リンゴ」の親株果樹が幹を大きく揺らしてリンゴをハンターたちに投げつけてきた。
まず、複雑な模様が描かれた陰陽護符を取り出して魔法を発動させたのは、フルルカだ。あらゆる方向から飛んでくるリンゴ弾を回避し、反撃を仕掛けるのは容易ではない。それなので、彼女自身の回避と抵抗力を底上げし、戦機を見出して仲間たちを援護するのだ。
「さぁ雑魔よ、そなたらの魔球、がっちりキャッチしてやるぞー!」
グローブを構えるや否や、彼女に向かって飛び込んできた「秋紅」をしっかり掴んで、ひょいと収穫籠に収める。実に、流れるような動きだ。
エルバッハは、ひらりひらりとリンゴの弾丸をかわしながら、そのリンゴが周囲の果樹や果実に被害を及ぼしていないかが気にかかっていた。それならばと、睡眠の魔法で沈黙させることにした。効果範囲を考えると一度に二株の果樹雑魔を眠らせることは難しい。まずは、果実が重い「太陽リンゴ」の親株の周囲に、青白い眠りの雲を巡らせた。果樹も生物に違いなく、「太陽リンゴ」の親株は、ばさりと大きく葉を揺らしたかと思うと、枝をだらりと下げてその動きを休めた。
その動きを見て、ディアドラとセレナが「太陽リンゴ」の果樹雑魔に向かい、ディヤーと万歳丸が「秋紅」へと向き合った。連携同時攻撃の構えである。
まずディアドラは大きく踏み込んで、騎士剣「ローレ・ライン」で「太陽リンゴ」の幹を刺し貫いた。勝利と栄光の象徴である月桂樹の名を持ち、月桂樹の葉を模した飾りが施された長剣がきらめき、「太陽リンゴ」の太く厚い樹皮を抉る。眠りに落ちて沈黙していた「太陽リンゴ」も、これではひとたまりもないだろう。
それと同時に、背後にある「秋紅」の反撃から身を守るための壁をセレナが生み出していた。地の精霊の力を借りた土の壁は、人間一人をゆうに覆い隠せる大きさがある。上部から落下してくるリンゴは自力で回避しなければならないが、それでも強い勢いで直線的に投げつけられるリンゴを受け止める盾ができた意味は大きい。
そして、今もハンターと「太陽リンゴ」にリンゴ弾丸で猛攻を仕掛けている「秋紅」と戯れているのは、ディヤーと万歳丸だ。
「はっは。当たると思ったより痛いのう!」
「ハハハハハハハハッ!!」
踊るように軽やかで派手な動きで回避に勤しむディヤーと万歳丸は、緩やかに飛んできたリンゴをさっと掴んで味見をするのを忘れない。「秋紅」は小玉だが甘みが凝縮された濃い味をしている。果実に瘴気が詰まっている様子はないので、歪虚の本体は樹木だろう。
ディヤーは魔法を発動させ、今にもリンゴを投げようと振りかぶった枝を目がけ、鋭い風で切り裂く一撃を放った。ざっくりと綺麗に剪定された枝は、地面に落ちると同時に黒い霧が弾けるようにして消滅した。あとには果実が残っているだけだ。
そして万歳丸は、可能な限り歪虚に汚染されていない部分を残すように、活発に動いている枝に狙いを定め、マテリアルを螺旋状にまとった拳を叩き込んだ。波打つようなマテリアルが乾いた樹皮を伝って一気に送り込まれる。するとその枝は、内側から破裂するようにして霧散した。
頼れるハンターたちの最後方に控えたレイメは、ランアウトで素早くリンゴを受け止め、ハンターたちへの直撃を防ぐよう動いていた。
瘴気の詰まった枝を切り落とされた「秋紅」は、すでに威力と動きを鈍らせている。だが、ハンターの攻撃を受けて眠りから覚めた「太陽リンゴ」は、まさしく再登板である。争っていたはずの二品種が、まるで共闘するかのようにハンターたちに向かっていた。
●そして――畳み掛けろ!
靴も手も頭部も、いつの間にか果汁でベタベタに濡れていた。なまじ果汁たっぷりの良品種リンゴなだけはある。
縄張り争いはどこへやら、二品種の親株は歪虚を討伐しようとするハンターたちを敵と見なし、完全に攻撃の矛先を変えていた。特に、まだ損害の少ない「太陽リンゴ」は、大玉の重い果実を容赦なくハンターにぶつけている。
エルバッハは、果実を投げつけてくる「太陽リンゴ」の枝を狙って、風の魔法で鋭く切り落とす。どうやら枝に歪虚の瘴気が詰まっている可能性が高いこの状況では、狙った部位を切り裂けるウィンドスラッシュでの攻撃が適しているようだ。
同じく「太陽リンゴ」に向き合っていたディアドラは、続けざまに飛んでくるリンゴとそれを投げてきた枝をまとめて薙ぎ払っていく。グラズヘイム王国騎士団御用達の銘品である長剣は、確実に侵食された果樹の枝を切り落とした。
「ふむ、そこか」
「秋紅」の枝に歪虚を見出したディヤーは、果樹の幹を傷付けないよう、魔力で水を球体に凝縮して撃ちつけた。衝撃で枝が折れ、水が弾けて消えるとともにその枝も消失する。
最期の力を振り絞るように、枝葉を大きく弓なりにしならせて果実を射出する「太陽リンゴ」に、セレナが風で切りつける。彼女は、少しでも多く無事なリンゴを残したいと願っていた。風で切り裂かれた枝は、またもや果実をボトボトと地面に落としてから消失する。
「秋紅」も「太陽リンゴ」も、もはや枝葉や果実が重く持ち上がらないといった様子で、枝を離れるリンゴも、投げられて飛んでくるといった様子ではなく、震える枝から重力に従って転がり落ちているようだった。
万歳丸が「秋紅」、フルルカが「太陽リンゴ」と向き合う。万歳丸は体内のマテリアルを集めて爆発的な力に練り上げていく。フルルカもまた、陰陽勾玉巴が描かれた護符で蝶のような光弾を呼び出す。
「呵々ッ! 喧嘩両成敗、ってなァ!」
「――全力投球!」
万歳丸の気合が、フルルカの掛け声が、農園の空気を震わせた。
万歳丸は、わずかに抵抗を見せていた最後の「秋紅」の枝を見逃さずに掌からマテリアルを叩き込む。
フルルカは、風もないのにゆらゆら揺れる「太陽リンゴ」の枝に、光弾の蝶を撃ち当てる。
一際、強い光がその場に奔った気がした。
「――終わった、のか……?」
誰かが呟いた。
「……ええ、そのようです」
レイメが、「秋紅」と「太陽リンゴ」の様子を確認して返答する。
すうっと波が引いたかのように、それまで騒がしかった親株果樹は完全に動きを止め、ただ静かに秋の風に揺れているだけだった――。
●リンゴの命は
斯くして、「秋紅」品種と「太陽リンゴ」品種間の争いに幕が降ろされた。
ふたつの親株果樹を駆り立てていた歪虚は、果樹そのものではなく、一部の枝葉を汚染する形で取り憑いていたようだ。汚染を受けたのが太く丈夫な親株であったことが幸いし、枝の多くを失っても、幹は多少の傷が付いた程度で済んだ。今年は親株から果実を収穫することは不可能だが、村のリンゴ農家が力を合わせて樹木保護と治療をしていけば、数年後にはまた果実をつけてくれるだろう。
戦闘を終えて一息つくと、ハンターたちは村人とともにティーパーティーの準備をすることとなった。
エルバッハは、自ら申し出て荒れてしまった果樹園の掃除や後片付けを手伝い、万歳丸も地面に落ちたリンゴで食用に耐えうるものを拾い集めていた。出荷できなくとも、果汁を搾る分には問題ない。
ディヤーは折れてしまった枝を拾い、燻製用のチップにできないかと村人に相談している。
セレナは親株や周囲の果樹を心配しており、樹木学に覚えのある村人と今後の果樹生育について話していた。
そしてディアドラとフルルカは、村の女性たちに混ざって、パーティー料理を盛り付けたり運んだりしながら楽しそうに談笑をしていた。
「――さあ、ハンターの皆様。お待たせしました!」
村の奥様方の声がハンターたちに掛けられ、果樹園を臨む小高い丘の上でのティーパーティーが始まる。
「今回のお菓子や料理は、僭越ながら銀林檎館が監修させていただきました。皆さま、どうぞ存分にお楽しみください」
ハンターたちの前に立ったレイメが恭しく一礼をすると、続いて村のまとめ役の男が開宴の声を上げた。
「――たんと召し上がれ!」
アップルティーや搾りたてのリンゴジュースがテーブルに置かれている。
運ばれてきたのは、アップルパイとアップルタルト。小玉のリンゴを串に刺して飴をかけて固めた菓子まである。
「なかなか美味しいですね。機会があれば、この村のリンゴを買ってみるのもいいかもしれませんね」
アップルパイを口に運びながら、エルバッハが呟く。すると、近くにいた奥方が気を良くして、他の菓子もどうかとエルバッハに勧め始めた。
「やはり大王たるもの、ケーキは欠かせないな!」
ディアドラの前には、「秋紅」で作ったタルトと「太陽リンゴ」で作ったタルトが並ぶ。彼女は、このふたつを食べ比べるのだ。アップルティーも忘れてはいけない。
「おーおー、どんどん持ってきてくれ。どんどん食べるからの!」
ディヤーはテーブルに並んだ料理や菓子を夢中で食べている。そして、料理好きな姉弟子のためにレシピを知りたいと村の奥方に頼むと、「簡単なアップルパイの作り方」を教えてくれた。
セレナは、見たことがないほど豊富なリンゴ料理や菓子を、喜んで頬張っている。
「……あ、おかわりください」
リンゴを守るために力を尽くしていた彼女は、食べるときも全力だ。
西方の風習に疎いという万歳丸だが、美味なるものには人一倍に敏感なようだ。
「これは……甘く芳醇である中に、スパイスがまるで木漏れ日のようなぬくもりを持って――」
まるで詩を紡ぐような味わい方に、村人が感嘆の声を上げていた。
フルルカは、リンゴに飴を絡めた「リンゴ飴」を手に取っていた。彼女の知るところでは、これが祭の定番菓子のようだ。
「あー! そのアップルパイはわたしの!!」
アップルパイが取り分けられていくのを発見し、フルルカは立ち上がる勢いで主張した。もちろん、皆で仲良く分けて食べるのだ。
村人たちが、楽しそうに笑っている。銀林檎館のメイドであるレイメも、寛いだ様子を見せていた。
たとえ一時的に「秋紅」と「太陽リンゴ」の収穫量が落ちたとしても、この村の生活と平和が守られたことに変わりはない。
「――リンゴの命は、俺たち農家の愛情よ!」
精魂を込めて、愛情をかけて育てることこそ、美味しいリンゴの命。村人の言葉に、喝采が湧いた。
ハンターが守ったこの村では、今日も、これからも、真っ赤なリンゴが太陽のように輝いている――。
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さてさて、どうしようかの? ディヤー・A・バトロス(ka5743) 人間(クリムゾンウェスト)|11才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/11/14 11:34:04 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/14 11:31:35 |