ゲスト
(ka0000)
ハンターVSゴムいが栗のバトル?
マスター:星群彩佳

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/18 19:00
- 完成日
- 2015/12/01 03:59
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
晴れた秋の昼下がり、ウィクトーリア家の庭でルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)とフェイト・アルテミス(kz0134)は緊張した面持ちで、向かい合いながら立っている。
そんな二人を心配そうに見つめているのは、男性使用人のカル・ジョセフ・ケインの三人だ。
「ルサリィお嬢様、覚悟はできましたか?」
「ええ。もう大丈夫よ」
二人は頷き合うと、カルが両手で持っている木のザルへ視線を向ける。
ザルにはウィクトーリア家が所有している山で採れた栗がのっているのだが、まだいが栗の状態だ。
しかしルサリィとフェイトは臆することなく、素手でいが栗を一つ掴んで上げる。
「おっお二人とも、大丈夫ですか?」
十八歳のカルがビクビクしながら尋ねると、二人は複雑な表情を浮かべながらもいが栗を揉む。
「……妙な感覚ね。本来ならいが栗って、触るだけでも痛いものなのに」
「魔法がかかっていますからね。このいが栗は」
フェイトはルサリィから距離を取ると、いが栗を地面へ向けて投げ付けた。するといが栗はゴムボールのようにポーンッと飛び跳ねて、離れた場所にいた二十一歳のジョセフの額にヒットする。
「あいたっ!」
しかしいが栗がぶつかっても額は軽く赤くなるだけで、トゲだらけの栗がぶつかったとは思えない痕だ。
「魔術師養成学校の生徒達に毎年あの山で栗拾いを体験させているけど、まさかこんな反則魔法をかけるとは思わなかったわ」
ルサリィの言う通り、毎年秋になると魔術師養成学校の生徒達には私有地にある山で、栗拾いをさせていた。
だがトゲだらけの栗を拾うことを一部の生徒が嫌がり、こっそり魔法をかけて拾いやすくしようとしたのだが……。
「かけた魔法の種類が悪かったですね。『硬いものを柔らかくする魔法』というところは良いですけど、『ゴム』というのは選択を間違えたと思います」
ルサリィの近くに戻ってきたフェイトは、二十三歳のケインからジョセフに当たったいが栗を受け取る。
「木になっているこのいが栗、地面に落ちるととんでもなく跳ね上がるのよね。そのせいであっちこっちに飛んで、栗拾いどころじゃなくなっちゃったし」
いがの部分がゴムのように柔らかくなったのだが、硬いものにぶつかると勢いよく跳ね上がるようになってしまったのだ。
「挙句には『大きな栗が食べたい』という子供ならではの発想から、巨大なゴムいが栗もできてしまいましたしね」
栗好きの子供達が一部の木に、一メートル近くにもなる巨大な栗になる魔法をかけてしまった。
しかし一本の木からできる栗の数は決まっており、巨大な栗は一本の木に三個から五個ほどなっている程度だ。
「私有地の山にあるいが栗は、全てゴムになっちゃったのよね。でもまあ中身が無事なのは良かったわ」
栗はいがの部分がゴムになろうが巨大化しようが、味は変わらず美味しい。しかし跳ねるせいで、収穫しづらくなっている。
「ハンター達には、収穫の道具を渡してあるのよね?」
「はい。魔法がかかったこの栗は、ハンター達が使うスキルと相性が悪いらしいので……」
収穫方法を探っている途中で分かったことだが、どうやらハンター達が使うスキルをいが栗にかけると味が落ちてしまうらしい。
「まあ元はといえば生徒達にも責任はあることだし、味が多少落ちても我慢してもらいましょう。今はとりあえず、栗を全て収穫することが最優先よ」
「了解いたしました」
そしてルサリィとフェイトは、屋敷に向かって歩き出す。
残ったケインはため息を吐くと、腕を組んで顔をしかめた。
「ルサリィ様、口ではああ言っておられるが、本当は生徒達に美味しい栗を食べてほしいんだろうな」
「まあそうじゃなきゃ、道具なんて用意しないだろう。あー、いて」
額をさすりながら、ジョセフも二人の後姿を見つめる。
「でっでも流石に一メートルもある巨大ゴムいが栗相手じゃ、ね」
カルは巨大化したいが栗を想像して、顔色を悪くした。
「ゴムボールのようになったいが栗相手では重傷は負わないだろうが、それでも痛い思いをしたくないのは生き物として当たり前の本能だしな。……けれどスキルを使わずに収穫できるなら、それに越したことはない」
「ケインは優しいのかクールなのか、分かりづらいな」
「けっケインさんは良い人ですよ」
「……お前ら、人の話聞いているのか?」
後輩達が好き勝手に話し始めるのを見て、ケインは重い溜息を吐きながら、今頃いが栗と向き合っているハンター達に思いをはせる。
「できれば美味い栗を、多めに収穫してくれると良いな」
そんな二人を心配そうに見つめているのは、男性使用人のカル・ジョセフ・ケインの三人だ。
「ルサリィお嬢様、覚悟はできましたか?」
「ええ。もう大丈夫よ」
二人は頷き合うと、カルが両手で持っている木のザルへ視線を向ける。
ザルにはウィクトーリア家が所有している山で採れた栗がのっているのだが、まだいが栗の状態だ。
しかしルサリィとフェイトは臆することなく、素手でいが栗を一つ掴んで上げる。
「おっお二人とも、大丈夫ですか?」
十八歳のカルがビクビクしながら尋ねると、二人は複雑な表情を浮かべながらもいが栗を揉む。
「……妙な感覚ね。本来ならいが栗って、触るだけでも痛いものなのに」
「魔法がかかっていますからね。このいが栗は」
フェイトはルサリィから距離を取ると、いが栗を地面へ向けて投げ付けた。するといが栗はゴムボールのようにポーンッと飛び跳ねて、離れた場所にいた二十一歳のジョセフの額にヒットする。
「あいたっ!」
しかしいが栗がぶつかっても額は軽く赤くなるだけで、トゲだらけの栗がぶつかったとは思えない痕だ。
「魔術師養成学校の生徒達に毎年あの山で栗拾いを体験させているけど、まさかこんな反則魔法をかけるとは思わなかったわ」
ルサリィの言う通り、毎年秋になると魔術師養成学校の生徒達には私有地にある山で、栗拾いをさせていた。
だがトゲだらけの栗を拾うことを一部の生徒が嫌がり、こっそり魔法をかけて拾いやすくしようとしたのだが……。
「かけた魔法の種類が悪かったですね。『硬いものを柔らかくする魔法』というところは良いですけど、『ゴム』というのは選択を間違えたと思います」
ルサリィの近くに戻ってきたフェイトは、二十三歳のケインからジョセフに当たったいが栗を受け取る。
「木になっているこのいが栗、地面に落ちるととんでもなく跳ね上がるのよね。そのせいであっちこっちに飛んで、栗拾いどころじゃなくなっちゃったし」
いがの部分がゴムのように柔らかくなったのだが、硬いものにぶつかると勢いよく跳ね上がるようになってしまったのだ。
「挙句には『大きな栗が食べたい』という子供ならではの発想から、巨大なゴムいが栗もできてしまいましたしね」
栗好きの子供達が一部の木に、一メートル近くにもなる巨大な栗になる魔法をかけてしまった。
しかし一本の木からできる栗の数は決まっており、巨大な栗は一本の木に三個から五個ほどなっている程度だ。
「私有地の山にあるいが栗は、全てゴムになっちゃったのよね。でもまあ中身が無事なのは良かったわ」
栗はいがの部分がゴムになろうが巨大化しようが、味は変わらず美味しい。しかし跳ねるせいで、収穫しづらくなっている。
「ハンター達には、収穫の道具を渡してあるのよね?」
「はい。魔法がかかったこの栗は、ハンター達が使うスキルと相性が悪いらしいので……」
収穫方法を探っている途中で分かったことだが、どうやらハンター達が使うスキルをいが栗にかけると味が落ちてしまうらしい。
「まあ元はといえば生徒達にも責任はあることだし、味が多少落ちても我慢してもらいましょう。今はとりあえず、栗を全て収穫することが最優先よ」
「了解いたしました」
そしてルサリィとフェイトは、屋敷に向かって歩き出す。
残ったケインはため息を吐くと、腕を組んで顔をしかめた。
「ルサリィ様、口ではああ言っておられるが、本当は生徒達に美味しい栗を食べてほしいんだろうな」
「まあそうじゃなきゃ、道具なんて用意しないだろう。あー、いて」
額をさすりながら、ジョセフも二人の後姿を見つめる。
「でっでも流石に一メートルもある巨大ゴムいが栗相手じゃ、ね」
カルは巨大化したいが栗を想像して、顔色を悪くした。
「ゴムボールのようになったいが栗相手では重傷は負わないだろうが、それでも痛い思いをしたくないのは生き物として当たり前の本能だしな。……けれどスキルを使わずに収穫できるなら、それに越したことはない」
「ケインは優しいのかクールなのか、分かりづらいな」
「けっケインさんは良い人ですよ」
「……お前ら、人の話聞いているのか?」
後輩達が好き勝手に話し始めるのを見て、ケインは重い溜息を吐きながら、今頃いが栗と向き合っているハンター達に思いをはせる。
「できれば美味い栗を、多めに収穫してくれると良いな」
リプレイ本文
○ハンター達に襲い掛かるゴムいが栗!
「……こりゃまた、とんでもねーことになっているな」
現場に到着した龍崎・カズマ(ka0178)の眼に映るのは、茶色のいが栗が数多く飛び跳ねる光景だ。
枝から落ちたいが栗は地面で飛び跳ねて、木や岩にぶつかっては他のいが栗に当たって落としていく。
ビュンッビュンッと音を立てながら飛び回るいが栗を、生まれてはじめて見たカズマは大きな溜息を吐いた。
「まっ、俺はガキ共が仕出かしたことに、いちいち目くじらを立てるほど大人げねーこともない。ここは大人のハンターとして、事態を収拾するか」
全身甲冑・ファーヴニルを身に着けているカズマは、いが栗が飛び跳ねる中を歩き始める。
ボコッボコッと体にいが栗が当たる音がするものの、甲冑のおかげで負傷はしない。
「さて、俺の相手は巨大化したいが栗だ。確か小高い場所にあると聞いていたが……」
歩いて数分後、小高い場所にカズマは到着するも……。
「……デカ過ぎねーか?」
前もって聞いていた通り、いが栗の『実』の部分は約一メートルほどだが、ゴムトゲの部分を含めると一メートル五十センチはある。
「こんなのが転がってきちゃあエライことになる。とっとと収穫するか」
カズマは神槍・ブリューナクを持ち構えると、巨大いが栗と枝の部分を切り離す。巨大いが栗が地面に落ちる前に、漁業用の網を広げて捕獲した。
そして再びブリューナクを振るうといが栗の実を取り出して、背負っている籠の中へ入れる。
「よし、この方法ならイケるな。さっさと全部、収穫しちまおう」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)は目の前を横切ったいが栗を一つ、素早く掴んだ。
「ふむ、よく飛び跳ねるいが栗じゃ。こういう玩具で、遊んだことがあるようなないような……。とりあえず、投げてみるかの」
レーヴェは数メートル先にある幹に、狙いを定める。
「もやーっと!」
謎の叫びを上げながら投げたいが栗は、見事に幹に当たった。
「うむ、何かスッキリした気がするのじゃ。良いストレス解消に……いや、ストレスなぞ無いがの」
いが栗がぶつかった木はグラグラッと揺れ動き、次々にいが栗を落としていく。跳ねて飛んでくるいが栗を、レーヴェは虫取り網で収穫する。
「はっはっは! まるで金魚すくいならぬ、栗すくいなのじゃ! 頭は武者兜をかぶっておるから安全じゃし、良い運動になるのう!」
楽しそうに笑いながら、レーヴェは栗すくいを続けた。
そんなレーヴェの姿を、少し離れた場所から見ていた超級まりお(ka0824)はクスクスと笑う。
「やっぱり依頼は楽しまなきゃ損だよね。それに相手が『魔法がかかっている栗』ならば、なおさら楽しまなくちゃ。……やっぱりここは、実際に体験してみたいよね。スキルや特殊能力があるアイテムを使って収穫した栗が、どんな味になるのか……」
「やるのは構わんが、自己責任じゃぞ?」
いが栗を追ってきたレーヴェはまりおの独り言を聞いて、すぐに注意する。
するとまりおは、レーヴェにニッコリ微笑んで見せた。
「分かっているよ。実は僕、球技が苦手なの。この状況は球技にとてもよく似ているから、みんなと同じ方法でいが栗を収穫することはできないと思うんだよね。もちろん僕が収穫した栗は責任をもって、自分で全て食べるから」
「……なら良いがの」
レーヴェは何とも言えない複雑な表情を浮かべたものの、その場から離れる。
まりおはレーヴェの姿が見えなくなると、いが栗が飛び回る領域に足を踏み入れた。
「狙うのはやっぱり、巨大いが栗だよね」
試作型パリィグローブをはめている手を握ったり開いたりしながら、まりおは小高い場所を目指すも……。
「あっ、地面に落ちた巨大いが栗がこっちへ向かって転がって来たよ。――ちょうど良かった。アクティブスキルのフェイントアタックを繰り出しつつ、飛燕で受け止めようっと」
そしてまりおは言った通りの行動をして、巨大いが栗を受け止めた。
「フェイントアタックを四回も使ったし、ちゃんと巨大いが栗を受け止められて良かったよ。さて、どんな味になったのかな?」
好奇心から眼を輝かせるまりおを見て、同じく巨大いが栗を収穫していたカズマはふと声をかける。
「あのな、まりお。その手に着けている装備品とアクティブスキルの飛燕はともかく、フェイントアタックは栗相手に意味無くねーか?」
「んー、まあホントはそうなんだけどね。でも今回はとりあえず、栗にスキルをかけたかっただけだから意味はあるよ」
「……そうか」
無邪気にニコッと笑うまりおを見て、カズマは肩を竦めるしかない。
「まずは料理の前に、材料を収穫しないとな」
ザレム・アズール(ka0878)は虫取り網に薙刀・巴を重ね合わせて、紐で結んでいる。
「よしっ! コレでいが栗を落とさずに収穫できる」
ザレムはいが栗が生っている木に近付くと、特製の収穫棒を伸ばす。そして薙刀の刃の部分で枝を切ると、落ちたいが栗はそのまま虫取り網の中へ入った。
「この方法なら栗を傷付けず、静かに収穫することができるな。どんどん収穫して、美味しい栗料理を……」
「やっべぇ!」
「アララ。巨大いが栗が一つ、転がっていくよ」
「……おい、まさか」
カズマとまりおの声を聞いたザレムが振り返ると、上の方向からゴロゴロッと巨大いが栗がこちらへ向かって転がってくるのが眼に映った。
「おいおいっ! ウソだろ!」
ザレムは驚きながらも収穫棒を地面に置いて、代わりに竹刀を手に持つ。そして竹刀にアクティブスキルのアルケミックパワーと超重練成をかけて、向かってきた巨大いが栗へ振り下ろした。
「とりゃあっ!」
そして巨大いが栗は真っ二つに割れて、動きを停止する。
「……あっ、しまった。つい……」
スキルは使うまいと心に決めていたザレムだったが、咄嗟に身を守ることを優先してしまった。
「う~ん……。やはりハンターといえども、自分の身に危険が迫ると我を忘れてしまいますね。収穫を始める前に、自分自身にアクティブスキルをかけておいた方が良さそうです」
ザレムが項垂れる姿を見て、エルバッハ・リオン(ka2434)は自分自身にウィンドガストをかける。
「しかし魔術師養成学校の生徒達は、はた迷惑な魔法を使いましたね。でもまあ美味しい栗を後で食べられることですし、依頼として受けた以上、頑張って収穫しましょう」
エルバッハはウィクトーリア家から渡された軍手を両手につけて、籠を背負う。そして木製のトングを持って、いが栗が飛び交う中に足を踏み入れた。
「おおっ、結構飛んできますね」
回避力を上昇させたエルバッハは飛んでくるいが栗をヒョイヒョイと避けながらも、トングで器用にキャッチしては籠へ入れていく。
まるで白銀の蝶々が舞うような姿に、カズマとまりお、そしてザレムは一瞬目を奪われる。
「さすがエルフだな。幻想的で優雅な動きをする」
「そうだね。それに比べてドワーフの彼女は……」
「まるで夏休みの子供だな」
三人の視線が移動した先には、虫取り網ではしゃぎながらいが栗を収穫しているレーヴェがいた。
「わーはっはっは! 楽しいのぅ♪」
レーヴェの笑い声を聞きながら、黒燿(ka5677)は大きく息を吐く。
「はぁー。ゴムボールと化してしまったいが栗なんて、当たったら痛そうですねぇ。しかしコレもお仕事です! 何より収穫後に美味しい栗を食べる為にも、気合を入れて頑張りましょう!」
黒燿はグッと虫取り網を握り締めて、歩き進む。
「でも私は皆様のように、戦いながらの収穫はできません。しかし当たりたくはないので、防御はします」
黒燿はいが栗が飛び跳ねる中、背負っていた籠を外して、自分の前に斜めにして置く。そして籠の後ろで、前腕部に取り付けたディーラーシールドを構える。
そして屈みながら虫取り網を振るっていが栗を収穫し、籠の中へ入れた。ぶつかりそうになれば、ヒョイっと避ける。
だが突然、猛スピードで真正面から飛んでくるいが栗を避けることができず、咄嗟にディーラーシールドの後ろに隠れた。
いが栗はディーラーシールドに当たると、ポーンッと天高く舞い上がる。
「……これはいろんな意味で、マズイですね」
飛んで行った先を見ていると、いが栗は一度地面に落ちてエルバッハの顔へ向かったが、彼女は「おっと、危ないですね」とサッと身を引いて避けた。
そしていが栗は幹にぶつかり跳ねて、次にザレム目掛けて飛んでいくも、「何の!」と竹刀でカッコーンと打たれる。
いが栗は弧を描きながらレーヴェへ向かったが、「むっ! 殺気じゃ!」と勘付かれて虫取り網の柄の部分でパッカーンッと打たれた。
すると小高い場所へと大きく飛んでいき、まりおは当たりそうになったいが栗を、持ち前の運動神経の良さで「ホイッ」と叫ぶと同時にスッと避ける。
最後にいが栗はカズマの甲冑に包まれた後頭部にガッコンと当たり、背負っていた籠にボトッと落ちた。
「いってぇー! 何だ、今のはっ!」
様々な方法で飛んできたいが栗はかなり威力があったらしく、カズマは涙目になりながら周囲をキョロキョロと見回す。
いが栗の動きを全て見ていた黒燿は、何とも言えない複雑な表情を浮かべる。
「……私が謝りに行った方が、いいのでしょうか?」
「飛び跳ねるゴムいが栗か……。下手に迎え撃つと大変なことになりそうだ……と言うより、もうすでになったな」
鞍馬真(ka5819)は仲間達の奇妙な連続プレーを一部始終見て、眼を細めた。
「とりあえず私は一般スキルの立体感覚を使っていが栗の位置を把握しつつ、虫取り網で収穫するか」
真は自分へ向かってきたいが栗を虫取り網でとっては、背負った籠へ入れていく――という動きを繰り返す。
そして真の眼に巨大いが栗の実がなる木が映った時、ある事に気付く。
「んっ? ……いが栗が揺れ動いている」
ただでさえいが栗が飛び回り、至る所にぶつかっているせいで、木には絶えず衝撃が与えられている状態である。そうなれば、巨大化したいが栗は落ちやすくなってしまう。
「……準備をしておいた方が良さそうだ」
真は離れた場所に籠を置いて、中から漁業用の網を取り出す。
そして巨大いが栗が転がってきそうな場所へ移動して、網を広げた。
「さあ、来い!」
揺れ動いていた巨大いが栗は、ブツッと枝から離れて地面に落ちる。数回軽く跳ねながら、ゴロゴロッと転がりだす。
その先には真がいて、栗へ向かって網を投げた。網に絡まり勢いを僅かに失った巨大いが栗は、そのまま真に正面からぶつかる。
「くっ……!」
真は両足に力を込めて踏ん張り、巨大いが栗を受け止めた。
「……ふぅ。転がりだした時ならば、勢いはあまりない。それに網を絡ませて失速させれば、こうやって体で受け止めることも可能だな」
ほっと安堵の溜息を吐いた真は、体を張って止めたいが栗をポンポンと叩く。
「何よりトゲがゴムになっているのが、助かったな。もし本物のトゲだったら……いや、考えるのは止そう」
真は青ざめた顔で、首を横に振る。
「わーいっ! 栗がたっくさんあるよ! お腹いっぱい、タダで栗料理が食べられる♪」
リュミア・ルクス(ka5783)は大量のいが栗が飛び跳ねているのを見て、表情を輝かせた。
「あたしはこの虫取り網で、バンバンとっちゃうよ! 巨大いが栗も収穫しちゃうのだ! 小高い場所目指して、いざ邁進!」
リュミアは恐れることなく、いが栗が飛び交う中を走り出す。
「そーれそれっ!」
向かってくるいが栗をかわしつつも虫取り網を振るって収穫して、背中の籠へ入れていく。
「依頼人さんの希望は、『栗を全て収穫することが最優先』! それなら木になっているいが栗も、落とさなきゃね!」
リュミアはいが栗を虫取り網の柄の部分で叩き落として、籠に入れる。
「たーのしぃなぁ♪ おっ、目標発見!」
目的地に到着する前に、巨大いが栗がリュミア目掛けて転がってきた。
しかしここでリュミアは「フム……」と考える。
「ここはやっぱり、動きが止まったところを収穫した方が安全かな?」
背後に視線を向けると、高さがかなりある山の壁が近くにあった。
リュミアはその場から離れて、籠と虫取り網を地面に置く。そして籠の中から漁業用の網を取り出し、準備をする。
そして巨大いが栗はリュミアにぶつかることなく、真っすぐに山の壁にぶつかった。
「よしっ、狙い通り……って、アレレ?」
巨大いが栗が山の壁にぶつかり、停止したところを収穫しようと出てきたリュミアの眼に映ったのは予想もできない事だ。
巨大いが栗は壁にぶつかると跳ね返り、物凄い勢いでリュミア目掛けて逆走してきた。
「あうっ!」
そしてリュミアは巨大いが栗にプチッと押し潰されてしまい、地面にめり込んだ。
「うふふ♪ 秋の味覚と言えば、やっぱり栗ですね。今回はいが栗が相手とのことで、『いが』とは忍者の名でもあります。ならば私のカードの力とルンルン忍法を使って、いが栗をたっくさん収穫しちゃいます! これも修行の一つです! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法花占いによると、今日は晴れ時々いが栗が降ってきます!」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はワクワクしながら、いが栗へ向かって行く。
「ふむ、なかなか素早い動きですね。ですが素早い身のこなしは、忍者がもっとも得意とするところです! しかし普通の栗には興味ありません! 今回の私の狙いは、巨大いが栗なのですから!」
ルンルンは素早く移動して巨大いが栗の木がある場所を見つけるが、しかしすぐには向かわず、大きな岩の後ろに隠れる。
「巨大いが栗を収穫する前に、アクティブスキルの占術と一般スキルの占いを使って、動きを調べましょう」
真剣な表情で占いをしたルンルンは、結果が出るとパアッと眼を輝かせた。
「なるほど! では早速罠の準備をいたしましょう!」
ルンルンは籠の中から漁業用の網を取り出し、岩の後ろから出る。
そして木と木の間に網を張り、その時をじっと待つ――。
すると重いものが転がってくる気配と音がどんどん近付き、やがてルンルンが張った網に巨大いが栗がかかった。
「やりました! 今日も占いは絶好調です♪」
ルンルンは片方の木に結んだ紐を解き、もう片方の木に紐を結びつけて巨大いが栗を固定する。
「これで巨大いが栗はどこにも行きません。さて、他の栗もさっさと収穫しちゃいましょう」
上機嫌で鼻歌を歌いながらルンルンは籠を取りに岩の所へ戻ろうとしたが、ついさっき巨大いが栗を捕獲した場所に到着した途端、ギョッと眼を見開く。
「ふえっ!? また転がってきましたー!」
同じ場所で二つめの巨大いが栗が転がってきて、ルンルンは逃げる間もなくブチッと押し潰された。だがすぐに、地面にめり込んだ顔を上げる。
「……ぷはぁっ! 美味しい栗料理を食べる前に、くたばってたまるかです!」
栗料理への愛の為に、ルンルンはすぐさま復活した。
「ひゃう~! いくらアクティブスキルのプロテクションを使って防御力を上げているとはいえ、当たると痛いの~!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は涙目で、跳んできたいが栗に当たった腕を手でさする。
「ううっ……! でも美味しい栗料理を食べる為に、頑張るのです! 労力を惜しむ気はないのですが……、やっぱり痛いものは痛いの~。ぐっすん」
できるだけいが栗が物にぶつからないような平坦な場所へ移動したのだが、それでも予測不可能な動きには翻弄されてしまう。
傷をマテリアルヒーリングで癒した後、ディーナは涙を指でぬぐった。
「けれど私には癒しのスキルがあるし、重傷を負うことはないと思うけど……。他のみなさんは大丈夫かなぁ?」
背負った籠を揺らしながら、ディーナはいが栗がある別の場所へと移動する。籠の中には、大量のいが栗が入っていた。
「この栗、とっても美味しそうなの。魔術師養成学校の生徒さん達には、ぜひ味わってもらいたいな。どんなお料理が一番喜ばれ……え?」
集中力が切れていたディーナの耳に、何かが転がってくる音が聞こえてくる。
「はうっ!?」
そして猛スピードで転がってきた巨大いが栗に、押し潰されてしまった。
背負っていた籠はディーナの体から離れてポーンッと飛び上がったものの、背中の上にドスッと落ちてくる。
「ゆっ油断大敵……なの」
フラフラしながら立ち上がったディーナは、打ち身だらけの体を再びマテリアルヒーリングで癒す。
そこへ漁業用の網に、たくさんの巨大いが栗を収穫した真がやって来た。
「ああ、ディーナ。きみは確か、癒しのスキルを使えるんだったな」
「あっ、はい。そうですけど……、どこかお怪我をなさったんですか?」
「いや、私ではなく彼女達だ」
真が指さす先には、地面にめり込みながらも何とか体を起こそうと頑張っているリュミアと、土だらけでフラフラしているルンルンがいる。
「彼女達もきみと同じく、巨大いが栗に押し潰されてしまったらしい。あとカズマも飛んできたいが栗が頭にぶつかったから、癒してやってくれ」
「はわわっ!? みなさん、今ヒールをかけますからね!」
○ハンター達が作る栗料理
栗を全て収穫し終えた後、ハンター達はウィクトーリア家の屋敷に帰ってきた。
そして中庭で、収穫してきた栗といがを分ける作業を始める。
「スキルをかけちまった栗と、特殊能力があるアイテムを使って収穫した栗は、きっちり分けろよ?」
カズマの厳しい視線の先には、笑顔のまりおと気まずい表情を浮かべるザレムがいた。
「分かっているよ」
「ちゃんと自分で責任は取る」
「まっ、マズイ栗を子供達に食べさせるわけにはいかんからのぅ」
レーヴェはいが栗を掴むとナイフで切り込みを入れて、実を取り出す作業を繰り返している。
「でも空腹状態で食べると、何でも美味しく感じられるそうですよ?」
「それならペロッと全部、食べられるんじゃないでしょうか?」
エルバッハと黒燿のピリッとした意見で、その場の空気が僅かに冷えた。
「ふんふ~んっ♪ 動き回ってスッゴクお腹が空いているし、栗料理をいっぱい食べられるなんて幸せなの♪」
そんな中、リュミアは空になったいがをまとめてゴミ袋に入れながら、ウキウキしている。
「やっぱり栗料理の代表と言えば、栗ご飯ですよね! 出来上がるのが楽しみです♪」
ルンルンはいがから出した栗の実を、籠の中に入れて屋敷の中へ運んで行く。
「焼き栗も美味いぞ。さっき庭にバーベキュー用の調理器具を出してもらったから、そこで作るつもりだ。できたら中へ持っていくからな」
真は茶色の栗の実がたくさん入った籠を持って、調理器具が置かれた場所へ向かう。
「栗ご飯に焼き栗、美味しそうなの~。ハッ! その前にいがと栗を分けますね!」
ディーナはうっとりしかけたものの、すぐに我に返って作業を続けた。
ある程度、栗の実を取り出すと、カズマとレーヴェ、そしてザレムは裏口から厨房へ入る。
カズマはジャガイモを手に取ると、ナイフで皮をむきだす。
「俺は栗入りコロッケを作るぞ。普通のコロッケの材料に、栗を入れるんだ。レシピは紙に書いてシェフに渡してあるから、後で子供達も食べられる。そんで渋皮付きの栗を、高温の油で揚げるかな。塩を振って食えば、甘さが増すってもんだ。外に調理器具が用意されてんなら、揚げ栗はそっちで作るか。油や栗が飛び跳ねるとあぶねーしな」
「私は少々時間がかかるが、栗の甘露煮を作るのじゃ。渋皮をも剥いた栗を灰汁が出なくなるまで茹で、新たな湯に黒砂糖と少々の塩を入れて煮詰める。更に甘さと風味を増す為に、まあ今回はハンターのみの会食ということでブランデーも入れるのじゃ。甘さ控えめのクッキーと生クリームも作り、コーヒーも準備できたら完璧よのぉ」
大きな鍋に水を入れながら、レーヴェは調理の順番を思い浮かべる。
「俺はリクエストに応えて、栗ご飯を作るか。後は栗きんとんにマロンプリン、マロンケーキも良いな。秋ならではのデザートは食が進むし、たくさん作ろう」
ザレムは楽しそうに、栗の皮をナイフで剥きだした。
――本来ならば収穫したばかりの栗の皮は分厚く硬く、普通の人間ならば一時間から一晩ほど水に漬けて皮を柔らかくしてから剥く。
しかしハンターとして鍛えた手の力を持っている三人は、平然と栗の皮を剥いていった。
そして数時間後、ダイニングルームに全員が集まり、テーブルの上には様々な栗料理が並べられる。
カズマは自分で作った栗入りコロッケと揚げ栗を食べて、驚き眼を丸くした。
「こりゃ良い栗だ。ほっこり甘くて、コロッケによく合う。それに塩を振った揚げ栗も、美味い」
「栗の甘露煮も良く出来たのじゃ♪ 素材の味がよう生かされておるのう」
レーヴェも栗の美味さに、思わず破顔する。
エルバッハはザレムが作ったマロンプリンとマロンケーキを食べると、ニッコリ満面の笑みを浮かべた。
「ザレムさんの作ったお菓子、美味しいですね♪ それに労働の後ですから、よりいっそう美味しく感じられます」
「栗きんとんも良いお味です。これならお腹いっぱい食べられますね」
黒燿もザレムが作った栗きんとんを食べて、うっとりしている。
「ん~♪ やっぱり栗ご飯は最高だよ! 久し振りにまともな食事ができたし、何より余った栗を持って帰って良いなんて……! 明日も食べようっと!」
「私はこの栗ご飯の為に、頑張ったのです……!」
リュミアとルンルンは栗ご飯を食べて感動し、涙ぐんでいた。
真は自分が作った焼き栗の皮を剥きながら、少しだけ苦く笑う。
「焼いている途中で栗が飛び跳ねて、少し大変だった。破裂防止の為に栗の皮に切れ目を入れてても、多少は跳ねるからな。でもディーナのスキルで、火傷を癒してもらって助かった」
「私は戦うよりも、癒す方が得意ですから。それにこの焼き栗、とっても美味しいです♪」
ディーナはニコニコしながら焼き栗の皮を剥き、次々と口の中に入れる。
穏やかな空気が流れているものの、まりおとザレムは微妙な雰囲気になっていた。
「そろそろ食べようかな。どんな味になっているのか、楽しみだよ」
「はあ……。覚悟を決めて、食べるしかないか」
二人は栗の味が落ちる収穫方法をやってしまったので、責任をもって食べることになっている。
調理方法は味がよく分かるように、そして簡単に食べられる茹で栗にした。
仲間達が見ている中、まりおとザレムは茹で栗の皮を剥く。そして同時に栗を口の中に入れると、眼を大きく見開いて椅子の上で飛び上がる。
「しっ渋いっ! 舌が痺れるぐらい渋いよぉ!」
「『味が落ちる』と言うのは、『渋くなる』と言う意味だったのか!」
悶絶する二人を見て、仲間達は静かに両手を合わせた。
<終わり>
「……こりゃまた、とんでもねーことになっているな」
現場に到着した龍崎・カズマ(ka0178)の眼に映るのは、茶色のいが栗が数多く飛び跳ねる光景だ。
枝から落ちたいが栗は地面で飛び跳ねて、木や岩にぶつかっては他のいが栗に当たって落としていく。
ビュンッビュンッと音を立てながら飛び回るいが栗を、生まれてはじめて見たカズマは大きな溜息を吐いた。
「まっ、俺はガキ共が仕出かしたことに、いちいち目くじらを立てるほど大人げねーこともない。ここは大人のハンターとして、事態を収拾するか」
全身甲冑・ファーヴニルを身に着けているカズマは、いが栗が飛び跳ねる中を歩き始める。
ボコッボコッと体にいが栗が当たる音がするものの、甲冑のおかげで負傷はしない。
「さて、俺の相手は巨大化したいが栗だ。確か小高い場所にあると聞いていたが……」
歩いて数分後、小高い場所にカズマは到着するも……。
「……デカ過ぎねーか?」
前もって聞いていた通り、いが栗の『実』の部分は約一メートルほどだが、ゴムトゲの部分を含めると一メートル五十センチはある。
「こんなのが転がってきちゃあエライことになる。とっとと収穫するか」
カズマは神槍・ブリューナクを持ち構えると、巨大いが栗と枝の部分を切り離す。巨大いが栗が地面に落ちる前に、漁業用の網を広げて捕獲した。
そして再びブリューナクを振るうといが栗の実を取り出して、背負っている籠の中へ入れる。
「よし、この方法ならイケるな。さっさと全部、収穫しちまおう」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)は目の前を横切ったいが栗を一つ、素早く掴んだ。
「ふむ、よく飛び跳ねるいが栗じゃ。こういう玩具で、遊んだことがあるようなないような……。とりあえず、投げてみるかの」
レーヴェは数メートル先にある幹に、狙いを定める。
「もやーっと!」
謎の叫びを上げながら投げたいが栗は、見事に幹に当たった。
「うむ、何かスッキリした気がするのじゃ。良いストレス解消に……いや、ストレスなぞ無いがの」
いが栗がぶつかった木はグラグラッと揺れ動き、次々にいが栗を落としていく。跳ねて飛んでくるいが栗を、レーヴェは虫取り網で収穫する。
「はっはっは! まるで金魚すくいならぬ、栗すくいなのじゃ! 頭は武者兜をかぶっておるから安全じゃし、良い運動になるのう!」
楽しそうに笑いながら、レーヴェは栗すくいを続けた。
そんなレーヴェの姿を、少し離れた場所から見ていた超級まりお(ka0824)はクスクスと笑う。
「やっぱり依頼は楽しまなきゃ損だよね。それに相手が『魔法がかかっている栗』ならば、なおさら楽しまなくちゃ。……やっぱりここは、実際に体験してみたいよね。スキルや特殊能力があるアイテムを使って収穫した栗が、どんな味になるのか……」
「やるのは構わんが、自己責任じゃぞ?」
いが栗を追ってきたレーヴェはまりおの独り言を聞いて、すぐに注意する。
するとまりおは、レーヴェにニッコリ微笑んで見せた。
「分かっているよ。実は僕、球技が苦手なの。この状況は球技にとてもよく似ているから、みんなと同じ方法でいが栗を収穫することはできないと思うんだよね。もちろん僕が収穫した栗は責任をもって、自分で全て食べるから」
「……なら良いがの」
レーヴェは何とも言えない複雑な表情を浮かべたものの、その場から離れる。
まりおはレーヴェの姿が見えなくなると、いが栗が飛び回る領域に足を踏み入れた。
「狙うのはやっぱり、巨大いが栗だよね」
試作型パリィグローブをはめている手を握ったり開いたりしながら、まりおは小高い場所を目指すも……。
「あっ、地面に落ちた巨大いが栗がこっちへ向かって転がって来たよ。――ちょうど良かった。アクティブスキルのフェイントアタックを繰り出しつつ、飛燕で受け止めようっと」
そしてまりおは言った通りの行動をして、巨大いが栗を受け止めた。
「フェイントアタックを四回も使ったし、ちゃんと巨大いが栗を受け止められて良かったよ。さて、どんな味になったのかな?」
好奇心から眼を輝かせるまりおを見て、同じく巨大いが栗を収穫していたカズマはふと声をかける。
「あのな、まりお。その手に着けている装備品とアクティブスキルの飛燕はともかく、フェイントアタックは栗相手に意味無くねーか?」
「んー、まあホントはそうなんだけどね。でも今回はとりあえず、栗にスキルをかけたかっただけだから意味はあるよ」
「……そうか」
無邪気にニコッと笑うまりおを見て、カズマは肩を竦めるしかない。
「まずは料理の前に、材料を収穫しないとな」
ザレム・アズール(ka0878)は虫取り網に薙刀・巴を重ね合わせて、紐で結んでいる。
「よしっ! コレでいが栗を落とさずに収穫できる」
ザレムはいが栗が生っている木に近付くと、特製の収穫棒を伸ばす。そして薙刀の刃の部分で枝を切ると、落ちたいが栗はそのまま虫取り網の中へ入った。
「この方法なら栗を傷付けず、静かに収穫することができるな。どんどん収穫して、美味しい栗料理を……」
「やっべぇ!」
「アララ。巨大いが栗が一つ、転がっていくよ」
「……おい、まさか」
カズマとまりおの声を聞いたザレムが振り返ると、上の方向からゴロゴロッと巨大いが栗がこちらへ向かって転がってくるのが眼に映った。
「おいおいっ! ウソだろ!」
ザレムは驚きながらも収穫棒を地面に置いて、代わりに竹刀を手に持つ。そして竹刀にアクティブスキルのアルケミックパワーと超重練成をかけて、向かってきた巨大いが栗へ振り下ろした。
「とりゃあっ!」
そして巨大いが栗は真っ二つに割れて、動きを停止する。
「……あっ、しまった。つい……」
スキルは使うまいと心に決めていたザレムだったが、咄嗟に身を守ることを優先してしまった。
「う~ん……。やはりハンターといえども、自分の身に危険が迫ると我を忘れてしまいますね。収穫を始める前に、自分自身にアクティブスキルをかけておいた方が良さそうです」
ザレムが項垂れる姿を見て、エルバッハ・リオン(ka2434)は自分自身にウィンドガストをかける。
「しかし魔術師養成学校の生徒達は、はた迷惑な魔法を使いましたね。でもまあ美味しい栗を後で食べられることですし、依頼として受けた以上、頑張って収穫しましょう」
エルバッハはウィクトーリア家から渡された軍手を両手につけて、籠を背負う。そして木製のトングを持って、いが栗が飛び交う中に足を踏み入れた。
「おおっ、結構飛んできますね」
回避力を上昇させたエルバッハは飛んでくるいが栗をヒョイヒョイと避けながらも、トングで器用にキャッチしては籠へ入れていく。
まるで白銀の蝶々が舞うような姿に、カズマとまりお、そしてザレムは一瞬目を奪われる。
「さすがエルフだな。幻想的で優雅な動きをする」
「そうだね。それに比べてドワーフの彼女は……」
「まるで夏休みの子供だな」
三人の視線が移動した先には、虫取り網ではしゃぎながらいが栗を収穫しているレーヴェがいた。
「わーはっはっは! 楽しいのぅ♪」
レーヴェの笑い声を聞きながら、黒燿(ka5677)は大きく息を吐く。
「はぁー。ゴムボールと化してしまったいが栗なんて、当たったら痛そうですねぇ。しかしコレもお仕事です! 何より収穫後に美味しい栗を食べる為にも、気合を入れて頑張りましょう!」
黒燿はグッと虫取り網を握り締めて、歩き進む。
「でも私は皆様のように、戦いながらの収穫はできません。しかし当たりたくはないので、防御はします」
黒燿はいが栗が飛び跳ねる中、背負っていた籠を外して、自分の前に斜めにして置く。そして籠の後ろで、前腕部に取り付けたディーラーシールドを構える。
そして屈みながら虫取り網を振るっていが栗を収穫し、籠の中へ入れた。ぶつかりそうになれば、ヒョイっと避ける。
だが突然、猛スピードで真正面から飛んでくるいが栗を避けることができず、咄嗟にディーラーシールドの後ろに隠れた。
いが栗はディーラーシールドに当たると、ポーンッと天高く舞い上がる。
「……これはいろんな意味で、マズイですね」
飛んで行った先を見ていると、いが栗は一度地面に落ちてエルバッハの顔へ向かったが、彼女は「おっと、危ないですね」とサッと身を引いて避けた。
そしていが栗は幹にぶつかり跳ねて、次にザレム目掛けて飛んでいくも、「何の!」と竹刀でカッコーンと打たれる。
いが栗は弧を描きながらレーヴェへ向かったが、「むっ! 殺気じゃ!」と勘付かれて虫取り網の柄の部分でパッカーンッと打たれた。
すると小高い場所へと大きく飛んでいき、まりおは当たりそうになったいが栗を、持ち前の運動神経の良さで「ホイッ」と叫ぶと同時にスッと避ける。
最後にいが栗はカズマの甲冑に包まれた後頭部にガッコンと当たり、背負っていた籠にボトッと落ちた。
「いってぇー! 何だ、今のはっ!」
様々な方法で飛んできたいが栗はかなり威力があったらしく、カズマは涙目になりながら周囲をキョロキョロと見回す。
いが栗の動きを全て見ていた黒燿は、何とも言えない複雑な表情を浮かべる。
「……私が謝りに行った方が、いいのでしょうか?」
「飛び跳ねるゴムいが栗か……。下手に迎え撃つと大変なことになりそうだ……と言うより、もうすでになったな」
鞍馬真(ka5819)は仲間達の奇妙な連続プレーを一部始終見て、眼を細めた。
「とりあえず私は一般スキルの立体感覚を使っていが栗の位置を把握しつつ、虫取り網で収穫するか」
真は自分へ向かってきたいが栗を虫取り網でとっては、背負った籠へ入れていく――という動きを繰り返す。
そして真の眼に巨大いが栗の実がなる木が映った時、ある事に気付く。
「んっ? ……いが栗が揺れ動いている」
ただでさえいが栗が飛び回り、至る所にぶつかっているせいで、木には絶えず衝撃が与えられている状態である。そうなれば、巨大化したいが栗は落ちやすくなってしまう。
「……準備をしておいた方が良さそうだ」
真は離れた場所に籠を置いて、中から漁業用の網を取り出す。
そして巨大いが栗が転がってきそうな場所へ移動して、網を広げた。
「さあ、来い!」
揺れ動いていた巨大いが栗は、ブツッと枝から離れて地面に落ちる。数回軽く跳ねながら、ゴロゴロッと転がりだす。
その先には真がいて、栗へ向かって網を投げた。網に絡まり勢いを僅かに失った巨大いが栗は、そのまま真に正面からぶつかる。
「くっ……!」
真は両足に力を込めて踏ん張り、巨大いが栗を受け止めた。
「……ふぅ。転がりだした時ならば、勢いはあまりない。それに網を絡ませて失速させれば、こうやって体で受け止めることも可能だな」
ほっと安堵の溜息を吐いた真は、体を張って止めたいが栗をポンポンと叩く。
「何よりトゲがゴムになっているのが、助かったな。もし本物のトゲだったら……いや、考えるのは止そう」
真は青ざめた顔で、首を横に振る。
「わーいっ! 栗がたっくさんあるよ! お腹いっぱい、タダで栗料理が食べられる♪」
リュミア・ルクス(ka5783)は大量のいが栗が飛び跳ねているのを見て、表情を輝かせた。
「あたしはこの虫取り網で、バンバンとっちゃうよ! 巨大いが栗も収穫しちゃうのだ! 小高い場所目指して、いざ邁進!」
リュミアは恐れることなく、いが栗が飛び交う中を走り出す。
「そーれそれっ!」
向かってくるいが栗をかわしつつも虫取り網を振るって収穫して、背中の籠へ入れていく。
「依頼人さんの希望は、『栗を全て収穫することが最優先』! それなら木になっているいが栗も、落とさなきゃね!」
リュミアはいが栗を虫取り網の柄の部分で叩き落として、籠に入れる。
「たーのしぃなぁ♪ おっ、目標発見!」
目的地に到着する前に、巨大いが栗がリュミア目掛けて転がってきた。
しかしここでリュミアは「フム……」と考える。
「ここはやっぱり、動きが止まったところを収穫した方が安全かな?」
背後に視線を向けると、高さがかなりある山の壁が近くにあった。
リュミアはその場から離れて、籠と虫取り網を地面に置く。そして籠の中から漁業用の網を取り出し、準備をする。
そして巨大いが栗はリュミアにぶつかることなく、真っすぐに山の壁にぶつかった。
「よしっ、狙い通り……って、アレレ?」
巨大いが栗が山の壁にぶつかり、停止したところを収穫しようと出てきたリュミアの眼に映ったのは予想もできない事だ。
巨大いが栗は壁にぶつかると跳ね返り、物凄い勢いでリュミア目掛けて逆走してきた。
「あうっ!」
そしてリュミアは巨大いが栗にプチッと押し潰されてしまい、地面にめり込んだ。
「うふふ♪ 秋の味覚と言えば、やっぱり栗ですね。今回はいが栗が相手とのことで、『いが』とは忍者の名でもあります。ならば私のカードの力とルンルン忍法を使って、いが栗をたっくさん収穫しちゃいます! これも修行の一つです! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法花占いによると、今日は晴れ時々いが栗が降ってきます!」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はワクワクしながら、いが栗へ向かって行く。
「ふむ、なかなか素早い動きですね。ですが素早い身のこなしは、忍者がもっとも得意とするところです! しかし普通の栗には興味ありません! 今回の私の狙いは、巨大いが栗なのですから!」
ルンルンは素早く移動して巨大いが栗の木がある場所を見つけるが、しかしすぐには向かわず、大きな岩の後ろに隠れる。
「巨大いが栗を収穫する前に、アクティブスキルの占術と一般スキルの占いを使って、動きを調べましょう」
真剣な表情で占いをしたルンルンは、結果が出るとパアッと眼を輝かせた。
「なるほど! では早速罠の準備をいたしましょう!」
ルンルンは籠の中から漁業用の網を取り出し、岩の後ろから出る。
そして木と木の間に網を張り、その時をじっと待つ――。
すると重いものが転がってくる気配と音がどんどん近付き、やがてルンルンが張った網に巨大いが栗がかかった。
「やりました! 今日も占いは絶好調です♪」
ルンルンは片方の木に結んだ紐を解き、もう片方の木に紐を結びつけて巨大いが栗を固定する。
「これで巨大いが栗はどこにも行きません。さて、他の栗もさっさと収穫しちゃいましょう」
上機嫌で鼻歌を歌いながらルンルンは籠を取りに岩の所へ戻ろうとしたが、ついさっき巨大いが栗を捕獲した場所に到着した途端、ギョッと眼を見開く。
「ふえっ!? また転がってきましたー!」
同じ場所で二つめの巨大いが栗が転がってきて、ルンルンは逃げる間もなくブチッと押し潰された。だがすぐに、地面にめり込んだ顔を上げる。
「……ぷはぁっ! 美味しい栗料理を食べる前に、くたばってたまるかです!」
栗料理への愛の為に、ルンルンはすぐさま復活した。
「ひゃう~! いくらアクティブスキルのプロテクションを使って防御力を上げているとはいえ、当たると痛いの~!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は涙目で、跳んできたいが栗に当たった腕を手でさする。
「ううっ……! でも美味しい栗料理を食べる為に、頑張るのです! 労力を惜しむ気はないのですが……、やっぱり痛いものは痛いの~。ぐっすん」
できるだけいが栗が物にぶつからないような平坦な場所へ移動したのだが、それでも予測不可能な動きには翻弄されてしまう。
傷をマテリアルヒーリングで癒した後、ディーナは涙を指でぬぐった。
「けれど私には癒しのスキルがあるし、重傷を負うことはないと思うけど……。他のみなさんは大丈夫かなぁ?」
背負った籠を揺らしながら、ディーナはいが栗がある別の場所へと移動する。籠の中には、大量のいが栗が入っていた。
「この栗、とっても美味しそうなの。魔術師養成学校の生徒さん達には、ぜひ味わってもらいたいな。どんなお料理が一番喜ばれ……え?」
集中力が切れていたディーナの耳に、何かが転がってくる音が聞こえてくる。
「はうっ!?」
そして猛スピードで転がってきた巨大いが栗に、押し潰されてしまった。
背負っていた籠はディーナの体から離れてポーンッと飛び上がったものの、背中の上にドスッと落ちてくる。
「ゆっ油断大敵……なの」
フラフラしながら立ち上がったディーナは、打ち身だらけの体を再びマテリアルヒーリングで癒す。
そこへ漁業用の網に、たくさんの巨大いが栗を収穫した真がやって来た。
「ああ、ディーナ。きみは確か、癒しのスキルを使えるんだったな」
「あっ、はい。そうですけど……、どこかお怪我をなさったんですか?」
「いや、私ではなく彼女達だ」
真が指さす先には、地面にめり込みながらも何とか体を起こそうと頑張っているリュミアと、土だらけでフラフラしているルンルンがいる。
「彼女達もきみと同じく、巨大いが栗に押し潰されてしまったらしい。あとカズマも飛んできたいが栗が頭にぶつかったから、癒してやってくれ」
「はわわっ!? みなさん、今ヒールをかけますからね!」
○ハンター達が作る栗料理
栗を全て収穫し終えた後、ハンター達はウィクトーリア家の屋敷に帰ってきた。
そして中庭で、収穫してきた栗といがを分ける作業を始める。
「スキルをかけちまった栗と、特殊能力があるアイテムを使って収穫した栗は、きっちり分けろよ?」
カズマの厳しい視線の先には、笑顔のまりおと気まずい表情を浮かべるザレムがいた。
「分かっているよ」
「ちゃんと自分で責任は取る」
「まっ、マズイ栗を子供達に食べさせるわけにはいかんからのぅ」
レーヴェはいが栗を掴むとナイフで切り込みを入れて、実を取り出す作業を繰り返している。
「でも空腹状態で食べると、何でも美味しく感じられるそうですよ?」
「それならペロッと全部、食べられるんじゃないでしょうか?」
エルバッハと黒燿のピリッとした意見で、その場の空気が僅かに冷えた。
「ふんふ~んっ♪ 動き回ってスッゴクお腹が空いているし、栗料理をいっぱい食べられるなんて幸せなの♪」
そんな中、リュミアは空になったいがをまとめてゴミ袋に入れながら、ウキウキしている。
「やっぱり栗料理の代表と言えば、栗ご飯ですよね! 出来上がるのが楽しみです♪」
ルンルンはいがから出した栗の実を、籠の中に入れて屋敷の中へ運んで行く。
「焼き栗も美味いぞ。さっき庭にバーベキュー用の調理器具を出してもらったから、そこで作るつもりだ。できたら中へ持っていくからな」
真は茶色の栗の実がたくさん入った籠を持って、調理器具が置かれた場所へ向かう。
「栗ご飯に焼き栗、美味しそうなの~。ハッ! その前にいがと栗を分けますね!」
ディーナはうっとりしかけたものの、すぐに我に返って作業を続けた。
ある程度、栗の実を取り出すと、カズマとレーヴェ、そしてザレムは裏口から厨房へ入る。
カズマはジャガイモを手に取ると、ナイフで皮をむきだす。
「俺は栗入りコロッケを作るぞ。普通のコロッケの材料に、栗を入れるんだ。レシピは紙に書いてシェフに渡してあるから、後で子供達も食べられる。そんで渋皮付きの栗を、高温の油で揚げるかな。塩を振って食えば、甘さが増すってもんだ。外に調理器具が用意されてんなら、揚げ栗はそっちで作るか。油や栗が飛び跳ねるとあぶねーしな」
「私は少々時間がかかるが、栗の甘露煮を作るのじゃ。渋皮をも剥いた栗を灰汁が出なくなるまで茹で、新たな湯に黒砂糖と少々の塩を入れて煮詰める。更に甘さと風味を増す為に、まあ今回はハンターのみの会食ということでブランデーも入れるのじゃ。甘さ控えめのクッキーと生クリームも作り、コーヒーも準備できたら完璧よのぉ」
大きな鍋に水を入れながら、レーヴェは調理の順番を思い浮かべる。
「俺はリクエストに応えて、栗ご飯を作るか。後は栗きんとんにマロンプリン、マロンケーキも良いな。秋ならではのデザートは食が進むし、たくさん作ろう」
ザレムは楽しそうに、栗の皮をナイフで剥きだした。
――本来ならば収穫したばかりの栗の皮は分厚く硬く、普通の人間ならば一時間から一晩ほど水に漬けて皮を柔らかくしてから剥く。
しかしハンターとして鍛えた手の力を持っている三人は、平然と栗の皮を剥いていった。
そして数時間後、ダイニングルームに全員が集まり、テーブルの上には様々な栗料理が並べられる。
カズマは自分で作った栗入りコロッケと揚げ栗を食べて、驚き眼を丸くした。
「こりゃ良い栗だ。ほっこり甘くて、コロッケによく合う。それに塩を振った揚げ栗も、美味い」
「栗の甘露煮も良く出来たのじゃ♪ 素材の味がよう生かされておるのう」
レーヴェも栗の美味さに、思わず破顔する。
エルバッハはザレムが作ったマロンプリンとマロンケーキを食べると、ニッコリ満面の笑みを浮かべた。
「ザレムさんの作ったお菓子、美味しいですね♪ それに労働の後ですから、よりいっそう美味しく感じられます」
「栗きんとんも良いお味です。これならお腹いっぱい食べられますね」
黒燿もザレムが作った栗きんとんを食べて、うっとりしている。
「ん~♪ やっぱり栗ご飯は最高だよ! 久し振りにまともな食事ができたし、何より余った栗を持って帰って良いなんて……! 明日も食べようっと!」
「私はこの栗ご飯の為に、頑張ったのです……!」
リュミアとルンルンは栗ご飯を食べて感動し、涙ぐんでいた。
真は自分が作った焼き栗の皮を剥きながら、少しだけ苦く笑う。
「焼いている途中で栗が飛び跳ねて、少し大変だった。破裂防止の為に栗の皮に切れ目を入れてても、多少は跳ねるからな。でもディーナのスキルで、火傷を癒してもらって助かった」
「私は戦うよりも、癒す方が得意ですから。それにこの焼き栗、とっても美味しいです♪」
ディーナはニコニコしながら焼き栗の皮を剥き、次々と口の中に入れる。
穏やかな空気が流れているものの、まりおとザレムは微妙な雰囲気になっていた。
「そろそろ食べようかな。どんな味になっているのか、楽しみだよ」
「はあ……。覚悟を決めて、食べるしかないか」
二人は栗の味が落ちる収穫方法をやってしまったので、責任をもって食べることになっている。
調理方法は味がよく分かるように、そして簡単に食べられる茹で栗にした。
仲間達が見ている中、まりおとザレムは茹で栗の皮を剥く。そして同時に栗を口の中に入れると、眼を大きく見開いて椅子の上で飛び上がる。
「しっ渋いっ! 舌が痺れるぐらい渋いよぉ!」
「『味が落ちる』と言うのは、『渋くなる』と言う意味だったのか!」
悶絶する二人を見て、仲間達は静かに両手を合わせた。
<終わり>
依頼結果
依頼成功度 | 普通 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/18 18:34:07 |