• 闇光

【闇光】小さな戦場

マスター:T谷

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/11/21 22:00
完成日
2015/11/29 05:30

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 アニタ・カーマイン(kz0005)はいつものように、とあるハンターオフィスを訪れていた。
 軽い依頼をこなした帰り道だ。背負う大きな袋の中には、依頼主からお礼にと渡された野菜がこれでもかと詰まっている。わざわざオフィスに寄ったのも、一人では食べきれないこの野菜を、顔見知りのオフィス職員にお裾分けしようと考えたからだった。
「あ! アニタさん良いところに!」
「ん? 何だい、そんなに慌てて。またでかい虫でも出たのか?」
 扉を潜った彼女の姿を認めた途端に、わたわたと机の上を物色し始める受付嬢にからかうように声を掛け、アニタは担いできた袋をカウンターに上げる。
「それが、あの連合軍の司令官さんから、アニタさん宛にお手紙が来ててですね!」
 返ってきた言葉は、思いがけないものだった。
「……連合軍? あたしにか?」
 各国の連携をより密にし、迫る歪虚の脅威に立ち向かうための組織。その連合軍の総司令官が選出されたことは、最近割と世俗から離れていたアニタの耳にも入ってきている。
 だが、そこから手紙を貰う心当たりなど少しもない。
 悪いことも良いことも、取り立てて何かをした覚えもない。ただ日々の食い扶持を戦場に求め、ハンターとして細々と生活していただけだ。一年以上も艦から離れて、既にアニタは、リアルブルーとの繋がりも自然消滅したような、そんな感覚さえ持っていた。
「アニタさんを、連合軍の隊長さんとして迎え入れたい。だそうです!」
 キラキラとした受付嬢の視線を真っ正面から受け止めて、アニタは苦笑いと共に小さくため息をついた。
「隊長、ねぇ」
 どうやら彼女の平穏な日常は、今日で終わりを迎えるようだ。そしてそれを、嫌とは思っていない自分もいる。
 分の悪い戦場を前につい気分が高まってしまう癖は、未だ治っていないらしかった。


 銃を分解し、清掃し、結合する。指は流れるように動き、瞬く間に無数の部品に別れ、集まり、再び元の姿を取り戻す。
 かつてリアルブルーで戦場を駆け回っていた頃から毎日のように続けている一連の動作は、覚醒者となった今、タイムアタックで半分の記録を叩き出すまでになっていた。
「……これだけは、極めたと思ってたんだけどねぇ」
 アニタは苦笑し、銃の精度を確認すると防寒用の手袋を着け直す。北荻の地の強い寒気にも負けず指先がしっかり動いてくれるのも、精霊とやらのおかげなのだろうか。
 丘の中腹に掘った雪洞に潜むこと数日、アニタはすっかりこの環境にも慣れてしまっていた。元々は主戦場を目指して戦域外を迂回していたのだが、その途中、全軍撤退の知らせが入ったために作戦が変更になったのだ。
「お、来てくれたか。よろしくな」
 アニタからの依頼を受けたハンター達が合流し、改めて彼女は地図に目を落とす。
 彼女の任務は要撃だ。
 ここを通って撤退する帝国軍部隊を、彼らを追撃する歪虚の群れから遠ざけ無事に主力部隊と合流させる。丘の上に陣取っているのも、歪虚へと奇襲をかけるためだ。
 今のところ、計画に狂いはない。もうすぐ、丘の下を帝国軍が通過するはずだ。
 雪洞から出て丘を登り、アニタは双眼鏡で眼下を見やる。
「あれか、思ったよりも規模が小さいようだが……」
 長い下り坂の下を、列になった兵士達が進んでいた。
 聞いていたよりも人数が少ない。思いがけず、消耗が激しいようだ。それに合わせて歩みが遅いのが気に掛かる。
 とはいえ、今は待つしかない。絶好の機会が訪れるまで、ひたすら雪の中に身を潜める。
 数分が経ち、数十分が経ち、
「……来たぞ」
 猛烈な勢いで雪煙を上げる歪虚の群れが、北から現れた。
「んー部隊まで二キロってとこか。あたしらが下手打てば、今日中にあいつらも化け物のおやつって訳だ」
 楽しそうに笑って、アニタは銃を背負う。
「それじゃ、隊長としての初仕事、楽しんでいこうじゃないか!」
 そしてハンター達に先んじて勢いよく、雪に覆われた斜面を滑るように降りていった。

リプレイ本文

 重苦しく澱んだ空の下、延々と続く雪原に汚らしい黄ばんだ白が無数に蠢く。
「見事な敵数ですね」
 丘を滑り降りながら、ユキヤ・S・ディールス(ka0382)は眼下のスケルトンの群れを見下ろした。
「思いっ切り暴れてやんな!」
 先に降りていたアニタを追い越しその声を背中に受け、ユキヤに次いで和泉 澪(ka4070)、J(ka3142)が雪面を下る。
「敵は多いですが、頑張って食い止めていきましょう!」
「ええ、敵の追撃能力はできる限り、奪っておきたいところですね」
 目算で百余りの敵を前に、しかしハンター達は冷静に分析する。
 剣を持った個体、弓、無手は魔法などを操るかもしれない。大型の個体はのしのしと、群れの中で分散して歩いている。武器などは持っていないようだが、その質量がそのまま武器となるだろう。
「女のケツ追っかけてきたら、面白いところに着いたな……。ま、遊び相手には丁度良い」
 先陣を切った味方を見送り、アーヴィン(ka3383)は丘の中腹から銃の照準を覗く。
 それに並びフラン・レンナルツ(ka0170)は、前衛の接敵の瞬間を静かに待つ。
「うん、まだ気付いていないみたいだ。随分鈍いね」
 既にそれなりの音と、もしかすれば雪の欠片なども飛んでいるかもしれないが、それでも骨達は一心に南を向いて進んでいる。
「鈍いで済ませて良いのものか、判断に困るな」
 丘の上部で腹ばいになり、双眼鏡を覗き込んで近衛 惣助(ka0510)が呟く。
 とはいえ、所詮骨だけの存在に過ぎない。そして今回の目的は、先の部隊を安全に危険域から脱出させることだ。
「よし、これより制圧射撃を開始する」
 トランシーバーに向け宣言すると、惣助はマテリアルを込めて引き金を引いた。


 ぐるりと、伽藍堂の目が一斉にこちら向いた。無数の黒く輝く眼窩に見つめられ、得も言われぬ寒気が走る。
 だが次の瞬間、フランと惣助の放った弾雨がスケルトンを叩く。突然の頭上からの攻撃に訳も分からず骨を震わせて叫ぶスケルトンはしかし、面を制圧する弾雨に僅かの間、身動きを制限される。
 そして、
「帝国軍撤退までの時間、確り稼がせて貰いますね」
 その群れの中に、ユキヤが飛び込んだ。
 二人の支援によってスケルトンの反応が一歩遅れる。ゆっくりと振り上げられる剣先を一瞬だけ眺め、ユキヤは微笑を浮かべた。
「全力で行きますよ」
 手に持った杖に向かい、マテリアルが集中する。そして瞬きの間を置いて、光の波動が迸った。
 ユキヤを中心に放射状に放たれた波濤が、群れに纏めて強烈な一撃を叩き込む。
「続きますっ、ここから先は行かせません!」
 次いで澪は矢のように、敵陣へ向け地面を蹴った。
 マテリアルを込めた移動術。ユキヤの奇襲によって虚を突かれた群れの隙間に、澪は躊躇うことなく体をねじ込む。
「鳴隼一刀流・抜刀術、蒼隼疾風!」
 動きを阻害されたスケルトンを狙って、澪は居合いを放つ。その場に留まらず、風のように合間を吹き抜けながら無数の骨を切り裂いていく。
「穿て、瞬光」
 その頭上を、Jの放った三本の光条が貫いた。光が、離れて矢を番えようとしていた三体を同時に狙撃しその動きを止める。
 彼女が狙うのは、騒ぎに気付き後方へ下がろうとしている敵の遠距離個体だ。攻撃するにも撤退するにも、これらの存在が厄介になるのは間違いない。
 そして空を焼く光線は、未だにこちらの動きを察知してない敵からすれば未知のものだ。混乱を助長し、慌てたようにカタカタ動くスケルトン同士がぶつかり合って体勢を崩す。
「狙わなくても当たりそうだな、くそったれめ」
 相手がこちらに気付いていないなら、アーヴィンの射撃はそうそう外れるものではない。
 高低差を利用して敵の位置を正確に測り、射程ギリギリから銃火を浴びせる。狙うのは遠距離個体、特に無手のスケルトンだ。
「……思った通りか」
 照準の先で口を大きく開いた無手のそれの鼻先に、黒い光球が現れる。明らかに魔法だ。
「敵が前衛と後衛に別れつつある……思ったよりも復帰が早いな、敵の魔法に気をつけてくれ」
 惣助の声がトランシーバーから響くと同時に、いくつもの光球が群れから放たれる。雪に突き刺さった光球が炸裂し、至る所で黒と白の花が咲く。しかし狙いは全く正確でなく、威嚇の域を出ない。
「一度下がります」
「了解、援護するよ」
 前衛のスケルトンは、目の前のユキヤに向けて、というよりも出鱈目に、刃こぼれの激しい剣を振り回していた。身を屈めてそれを躱し、ユキヤは包囲を警戒して開けた場所へと転がり出る。中衛後衛からの援護射撃によりそれは容易だったが、
「そのまま伏せてください」
 背後に迫っていた巨人が大きく腕を振り上げる。その胸元に、Jの作り出した龍を模すエネルギー体が叩き付けられる。
 鈍い音と共に巨人がたたらを踏み、その攻撃が空を切る。
「なるほど、アレが指揮官……ってよりも、御山の大将ってとこか」
 巨人がユキヤに向かったと同時にその周りのスケルトン達が、一斉にユキヤに目を向け剣を振り上げていた。離れた場所では弓と魔法が、またそちらに狙いを定める素振りを見せる。
 敵の遠距離を、特に魔法型を狙ってアーヴィンとアニタが援護射撃に徹する。それによって軌道の逸れた黒い光球が、こちらに被害を出すことなく飛び散っていく。
「ユキヤさんばかりに気を取られていると、危ないですよ、っと」
 スケルトンの背後を突いて、澪が斬撃を加えていく。その先には巨人が、腕を振り抜いて体勢を崩していた。
 その姿を認めると、澪は強く地面を蹴って跳び上がる。そして進路上のスケルトンの頭を二つ踏んで更に勢いをつけ、より大きく跳躍すると、
「司令官のような役割があるのなら! 鳴隼一刀流、隼旋斬!」
 一抱えもある巨大な頭蓋骨に向けて、空中で体を水平に回転させ、膂力に遠心力を加えた一撃をすれ違い様に叩き込んだ。
「討伐できるなら、するべきですね」
 雪を払い、立ち上がると同時にユキヤは杖を構えていた。既にその先端には、光の球が渦巻いている。
 投げられた光球が巨人の胸元で強烈に炸裂し、巨人は完全に体勢を崩して他のスケルトン数体を巻き込みながら尻餅をつく。
「良い格好だ、狙い易いな」
 同時に、惣助が冷気を纏う弾丸を放っていた。弾は的確に間接部を穿ち、その動きを確実に止めていく。
 追従するように、フランの獲物を白銀のアタッチメントの幻影が覆っていた。大型化した銃を構え、フランは銃弾にマテリアルを込める。視線の先にはがりがりと、凍った関節を力任せに解こうとしている巨大な骨の姿。
「残念だけど、速やかに退場願うよ」
 砲火と共に白冷の尾を引いて、冷気を孕んだ弾丸が再び巨人に突き刺さる。着弾と同時に広がった強烈な冷気が、更に巨人の動きを止める。
 空気を震わす咆吼が上がった。二重の凍結の効果は大きく、しばらく巨人は起き上がれそうにない。
「まずは一体、ですね」
 そして、それを待つはずもなく。Jが再び、龍を模した光を放った。
 鈍い音と、今度は確実に破砕音が響く。巨大な白骨が砕け、力を失っていく音だった。


「敵集団に包囲の動きあり、前衛は急ぎ後退してくれ」
 スケルトンの動きが活発化していく。混乱から立ち直り、誰が敵で、どこにいるかをようやく認識し始めたようだ。
 巨人を倒しても、指揮系統が崩れるなどという自体は起こらないらしい。あるいは全ての巨人を倒せば何か変わるのかもしれないが。
 惣助の言葉に、前衛の三人が素早く距離を取る。そこに雪崩のように、剣を構えたスケルトンが殺到すると同時、三人のいた場所に数十本の矢が降り注ぐ。
 敵の魔法が狙うのは丘に陣取る中衛の三人だ。それでも距離がある分、飛来する光球を躱すのはそれほど難しいことではない。足下の悪さに辟易することもあるが、無理な回避を取らない限り問題はないようだ。
「回復します、集合を」
 ユキヤのマテリアルが周囲を包み、Jと澪の傷を癒やしていく。
 敵単体は決して強くはない。剣筋は力任せで、飛んでくる矢の狙いも甘い。しかし、やはり数の差というのは大きく、無傷という訳にはいかなかった。
 回復をさせまいと、そう考える頭があるのか分からないが、十体近いスケルトンが剣を構えて迫り来る。
「させませんよ!」
 澪がユキヤの前に躍り出る。振り下ろされた剣先を躱し、受け流し、返す刀で斬りつける。
 一つ後ろの敵の剣が、澪を狙って肋骨の隙間から飛び出した。
 盾を構えたJが割り込み、その切っ先を逸らす。そのまま前のスケルトンごと強く押し込み距離を取ると、杖の先から迸った三本の光が骨を抉り穿った。
「キリがないですが……時間稼ぎの方は、順調ですね」
 見える限り全てのスケルトンが、既に先の部隊の存在など忘れたかのようにこちらに牙を剥いている。そのことにJは安堵し、しかしより敵の追撃能力を削ぐべく再びマテリアルを杖に込めた。
 剣を持ったスケルトンの猛攻が続く。
「本当に、キリがないね」
 前衛が押し込まれる事を危惧し、フランが拳銃片手に盾を構えて彼らに走り寄った。小気味良く発砲音が響く度に、前衛の死角から迫っていたスケルトンの頭蓋が砕けていく。
「巨人が倒されてから、あっちも慎重になってるのか。くそったれめ」
「脳みそが詰まってるようには見えないんだけどねえ」
 絶え間なく引き金を引きながら吐き捨てるアーヴィン。その横でアニタもまた、苦笑しため息をつく。
「左翼が手薄だ、そちらに抜けよう。攻撃準備を頼む」
「了解です。では射撃の出来る方はそちらに集中攻撃を、その隙にこじ開けましょう」
「そちらに行けば、やっと向こうの後衛にも攻撃が通りそうですね……!」
 惣助の提案にJが即座に応答し、肩で息をする澪がそれを聞いて刀の柄を握り直した。
 前衛の壁に阻まれ後ろからちくちくと攻撃が飛んでくる状況は、近接攻撃しか手段を持たない彼女にとって、もどかしいものだった。
「では、僕が先頭を勤めます」
 そう言うが早いか、ユキヤが一番に飛び出した。進路上で斬りかかってくるスケルトンに至近距離から光球を叩き付け吹き飛ばす。
「そろそろ時間も十分だ。次の攻撃を最後にして、そのまま撤退に移行する。無理はするんじゃないよ!」
 アニタの声を聞き届け、惣助が面に向け弾丸の雨を降らせ、アーヴィンは銃弾を加速させユキヤに向かうスケルトンを撃ち抜く。
 Jはユキヤと澪の後ろから、幾度目かの光条を放って敵の動きを牽制。フランは拳銃の引き金を連続で引き、弾幕を張ることで敵の接近を未然に防ぐ。
 そして敵の列に到達したユキヤがそこに飛び込み、敵陣の中でまた光の波動を辺りに叩き付けた。
 衝撃が吹き荒れ、列が崩れる。
 余韻が消え去るのを待っている時間はない。澪は光波の残滓に頭から飛び込み、刀を振るう。
 確実な手応え。同時に掠れたような骨の悲鳴が耳朶を叩いた。
「よし、駆け抜けよう」
「撤収路を確保します。丘陵の谷間へ後退しましょう」
 明らかな隊列の乱れ。四人がスケルトンの合間を抜ける。
 その瞬間に、正面から矢と魔法が迫った。合わせてJが前に出て、それらを盾で受け止める。
 断続する小さくない衝撃。それらを撥ね除け、Jは白色の炎へと変換したマテリアルを目の前一帯に浴びせかけた。
 悲鳴が上がり、敵の攻撃が緩くなる。
「最後に、もういっちょ喰らっとけ」
 次いでアーヴィンの銃撃が、さらに敵を阻害する。撤退のため移動しながらの射撃だったが、それでも正確にスケルトンの頭を撃ち抜いて黒い光球を四散させていった。
「援護を続ける。安心して下がってくれ」
 惣助、アニタも移動を始め、少しずつ後退しながら攻撃を加える。狙うのは、前衛を背後から狙うスケルトンだ。
「後ろの方が危ないかな」
 正面は任せ、フランが背後を振り返る。剣を持ったスケルトンが、巨人型が、逃がしてなるものかと、これだけの損害を与えておいて逃げるのかと、責めるように拳を振り上げていた。
「さて、最後の大仕事だ」
 背負ったライフルを構え、フランは全弾を群れに向けて叩き込んだ。ダメージよりも足止めを重視し、後退しながら銃口を振って弾幕を張る。吹き付けるような弾丸の壁に、スケルトンは思ったように足を進めなくなり、そして、
「全軍、撤退!」
 ハンター達は一気に駆け出す。
 十分に時間は稼いだ。後は自分達が無事に生きて帰るだけだ。


 そうしてどれだけ走ったのか。背後を見れば、既にスケルトン達は影も形も見当たらなかった。
 嘘のように雪原は静まりかえり、ハンター達の息づかいだけが響く。
「どうにか、撒けたでしょうか」
 額の汗を拭いながら、ユキヤが息をついた。
「ふぅ、これで時間は稼げたでしょうか。彼らも、無事に撤退出来ていれば良いのですが」
 澪は心配そうに、帝国軍の撤退した方角に目をやり呟く。
「ああ、これだけやれば十分だ。帝国軍も、あんな奴らのディナーにならないよう必死で逃げただろうさ」
 そんなユキヤと澪の肩を叩き、アニタがにやりと笑う。
「ま、暇つぶしにはなったな。――ところでアニタ、ここで会ったのも何かの縁だ。お近づきの印に、帰ったらどうだい一緒に酒でも。好みの酒はあるかい? 良い店に案内するぜ」
「……口説くなら、もっと良い場所にしたらどうかな」
「フランも来るか? 俺は大歓迎だぜ、Jと澪もどうだ?」
「あら、良い蒸留酒はあるのかしら」
 下心丸出しなアーヴィンの調子に、一同は苦笑とも呆れとも取れる声を上げる。
「いやー、最近缶ビールばっかりだから美味い酒は魅力的なんだけどねえ……隊長なんてものになっちまったから、これから忙しくなりそうだ」
 そしてアニタは頬を掻き、本当に残念そうにそう言った。
「なるほど、ならこれから顔を合わせる機会も増えそうだな。無人島調査が懐かしい。またよろしく、カーマイン隊長」
「ああ。お互い折角生き延びたんだ、詰まらん死に方だけはしないようにな」
 惣助の差し出した手を、にやりと笑んでアニタが力強く握る。

 しばらくして、アニタの無線に連絡が入った。帝国軍部隊は無事に逃げ切り、本隊との合流に成功したらしい。
 その報を聞き、ハンター達はようやく本当に胸を撫で下ろした。

依頼結果

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MVP一覧

  • 遙けき蒼空に心乗せて
    ユキヤ・S・ディールスka0382
  • 双璧の盾
    近衛 惣助ka0510

重体一覧

参加者一覧


  • フラン・レンナルツ(ka0170
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 遙けき蒼空に心乗せて
    ユキヤ・S・ディールス(ka0382
    人間(蒼)|16才|男性|聖導士
  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師

  • アーヴィン(ka3383
    人間(紅)|21才|男性|猟撃士
  • Centuria
    和泉 澪(ka4070
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
人間(リアルブルー)|30才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/11/21 12:48:16
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/11/16 20:53:53