ゲスト
(ka0000)
乙女、父の無事の帰りを祈る
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/24 12:00
- 完成日
- 2015/11/30 02:09
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●父の帰り
イノア・クリシスは鏡になっている窓を見つめた。鼻から口を手で隠し、目が目立つようにする。
しばらくいろんな表情をしてから止め、溜息をもらして顔を逸らした。
「お兄様の年齢を超えた私。目の色は同じでも、やはり……柔らかい光を持った優しい青いにはならないわ……」
ただ優しいだけの嫡男は領主には向かない。王都の学校にでも入れば変わるかもしれないが、いじめられていじけた性格になっているか、運よくまっすぐ伸びて兄があこがれていた人物みたいになる欠片を見出しているかと想像する。
死人には未来がない……記憶の中で生き延びるのみ。
「ああ、駄目、これでは! お父様みたいだわ」
父親みたいになりたくはない。
「お母様だってあの時、死んだ……あえて言わないのは、私をかばって死んだから思い出させたくないかも知れないわ……」
溜息をもらす。そう考えると、父も優しい。もともと父は優しいが、兄が欲していたことを気付けなかった。
「そのせいで北部に兵を派遣したり、足りないから自分で領内を動き回ったり……」
無論、国の事を考えれば重要なことであるが、自分の足元も考えないと結局無意味にも思える。
領内を見るのは良き領主として重要ではある。連絡を取り合っているとはいえ、ここひとつき帰ってこないのは異常にも思える。
「……突然、若い女性を連れて来て『母と思え』と言われたらどうしましょう」
民衆に悪影響がなければ、良いのかもしれないとイノアは苦笑する。素晴らしい女性だったら受け入れる気はある、姉として……たぶん、若いだろうから。
同じ考えをして、自分を見守ってくれる人が欲しいと不意に思う。
「それにしても、お父様たち遅い……」
先日の連絡では昨日には帰宅しているはずだったのだ。
「何かあったのかしら?」
ベルを鳴らし、執事を呼ぶ。その地域の情報を集めて来るようにと頼んだ。
●領主の意地
この村に何があるのか、と勘繰りたくなるほど、ゴブリンが押し寄せていた。
元々野生動物との区切りもあって居住地区は柵で囲まれていたため、防御はしやすかった。戦力と人数を考えると、籠城しかできない。
亜人たちが諦めてくれればいいが、領内の不和をまくような真似もできない。倒せるのが一番いい。
「お館さま、このままでは食料も尽きます」
領主ウィリアム・クリシスに長く仕えるウルス・モースは苦しい表情で淡々と事実を告げる。
「で、どうしたい?」
「道は開きますので、お館さまだけでも逃げてください」
「無理だ、出来るわけない」
「やっていただきます」
「ここの住民を見捨てることになる」
「お館さま!」
ウルスはいさめるように言う。
ウィリアムはうなだれる。年上のウルスには相談もする気心の知れぬ仲で、彼が領主である自分を考えているのも理解する。
「もう、私は逃げたくはない」
「ここで命を落とす方が愚かです。私の後は息子が継ぎますが、あなたの後は……イノア様はしっかりしていますが、まだ十五歳ですよ」
「……ニコラスがいたら……」
「お館さまっ!」
ウルスの声は荒げられる。領主が死んだ子息の名を上げれば、それに付随して護衛であった彼の息子も思い出さざるを得ない。
「すまない……」
「いえ。わたくしこそ声を荒げて」
「さてと、生き残るすべを見つけなければ」
ウィリアムは鏡のように写る窓を見た。茶色の髪は白い物が混じり始めている、あれからたったの五年くらいだというのに。
(息子に父だとわかってもらえないのではないかな)
ウィリアムは考えたことに苦笑した。
●依頼
イノア・クリシスからの依頼を見て、職員は「至急」の印を依頼書に付けた。依頼の多くは至急かもしれないが、「特に」「緊急」とか最上級にしたいと職員は強く思った。
領主が滞在しているはずの村にゴブリンの群れが押し寄せていると言う。
「北部の余波?」
そうであろうが、なかろうが、領主も村人も助けないとならない。
イノア側が集めた情報に、ソサエティに集まった情報も職員は合わせる。
「……数が多い……かもしれませんが……」
状況は実際分かっていない。そこに領主がいるのかも分からないため、ハンターには慎重な行動が求めらえると考えた。
イノア・クリシスは鏡になっている窓を見つめた。鼻から口を手で隠し、目が目立つようにする。
しばらくいろんな表情をしてから止め、溜息をもらして顔を逸らした。
「お兄様の年齢を超えた私。目の色は同じでも、やはり……柔らかい光を持った優しい青いにはならないわ……」
ただ優しいだけの嫡男は領主には向かない。王都の学校にでも入れば変わるかもしれないが、いじめられていじけた性格になっているか、運よくまっすぐ伸びて兄があこがれていた人物みたいになる欠片を見出しているかと想像する。
死人には未来がない……記憶の中で生き延びるのみ。
「ああ、駄目、これでは! お父様みたいだわ」
父親みたいになりたくはない。
「お母様だってあの時、死んだ……あえて言わないのは、私をかばって死んだから思い出させたくないかも知れないわ……」
溜息をもらす。そう考えると、父も優しい。もともと父は優しいが、兄が欲していたことを気付けなかった。
「そのせいで北部に兵を派遣したり、足りないから自分で領内を動き回ったり……」
無論、国の事を考えれば重要なことであるが、自分の足元も考えないと結局無意味にも思える。
領内を見るのは良き領主として重要ではある。連絡を取り合っているとはいえ、ここひとつき帰ってこないのは異常にも思える。
「……突然、若い女性を連れて来て『母と思え』と言われたらどうしましょう」
民衆に悪影響がなければ、良いのかもしれないとイノアは苦笑する。素晴らしい女性だったら受け入れる気はある、姉として……たぶん、若いだろうから。
同じ考えをして、自分を見守ってくれる人が欲しいと不意に思う。
「それにしても、お父様たち遅い……」
先日の連絡では昨日には帰宅しているはずだったのだ。
「何かあったのかしら?」
ベルを鳴らし、執事を呼ぶ。その地域の情報を集めて来るようにと頼んだ。
●領主の意地
この村に何があるのか、と勘繰りたくなるほど、ゴブリンが押し寄せていた。
元々野生動物との区切りもあって居住地区は柵で囲まれていたため、防御はしやすかった。戦力と人数を考えると、籠城しかできない。
亜人たちが諦めてくれればいいが、領内の不和をまくような真似もできない。倒せるのが一番いい。
「お館さま、このままでは食料も尽きます」
領主ウィリアム・クリシスに長く仕えるウルス・モースは苦しい表情で淡々と事実を告げる。
「で、どうしたい?」
「道は開きますので、お館さまだけでも逃げてください」
「無理だ、出来るわけない」
「やっていただきます」
「ここの住民を見捨てることになる」
「お館さま!」
ウルスはいさめるように言う。
ウィリアムはうなだれる。年上のウルスには相談もする気心の知れぬ仲で、彼が領主である自分を考えているのも理解する。
「もう、私は逃げたくはない」
「ここで命を落とす方が愚かです。私の後は息子が継ぎますが、あなたの後は……イノア様はしっかりしていますが、まだ十五歳ですよ」
「……ニコラスがいたら……」
「お館さまっ!」
ウルスの声は荒げられる。領主が死んだ子息の名を上げれば、それに付随して護衛であった彼の息子も思い出さざるを得ない。
「すまない……」
「いえ。わたくしこそ声を荒げて」
「さてと、生き残るすべを見つけなければ」
ウィリアムは鏡のように写る窓を見た。茶色の髪は白い物が混じり始めている、あれからたったの五年くらいだというのに。
(息子に父だとわかってもらえないのではないかな)
ウィリアムは考えたことに苦笑した。
●依頼
イノア・クリシスからの依頼を見て、職員は「至急」の印を依頼書に付けた。依頼の多くは至急かもしれないが、「特に」「緊急」とか最上級にしたいと職員は強く思った。
領主が滞在しているはずの村にゴブリンの群れが押し寄せていると言う。
「北部の余波?」
そうであろうが、なかろうが、領主も村人も助けないとならない。
イノア側が集めた情報に、ソサエティに集まった情報も職員は合わせる。
「……数が多い……かもしれませんが……」
状況は実際分かっていない。そこに領主がいるのかも分からないため、ハンターには慎重な行動が求めらえると考えた。
リプレイ本文
●村
一行は事前に地理や避難しているならどこか等の情報を集め、急いで村に向かう。
「それにしてもその村に何があるんだろうねぇ?」
フォークス(ka0570)は眉をしかめてつぶやく。聞いたことろ、ゴブリンが大挙するような魅力はうかがえなかった。
「うん、気になるけど、安全確保してからだよね……」
リュミア・ルクス(ka5783)は自分に言い聞かせるように声を出した。
「まずは危機に陥っている人たちの救出だよ!」
時音 ざくろ(ka1250)は焦る気持ちを抑え、前を見る。
「北の騒動がひと段落してきたとはいえ、まだ気は抜けないですね」
ナナセ・ウルヴァナ(ka5497)はグラズヘイム王国で今夏の事件を脳裏に浮かべる。
(あの時の僕じゃない、力をつけたし、一人ではない)
亜人ハンターの二つ名を持つカイン・マッコール(ka5336)は、かつて滅ぼされた自分の村を思い出す。ゴブリンを憎悪するとともに、その災いから人を救いたいと焦燥する。
(弱き者を守ろうとする領主か……)
スティード・バック(ka4930)は見ぬ領主の事を考える。話を聞く限りでは領民に慕われているため、守ろうとしたに違いないと想像に難くない。ならば、その思いにこたえ、彼自身も力弱き者の為に力を振るい領主を助けようとここに加わった。
街道からそれて進む道には人がいない。丘の間を縫うような道を進み、人工的な土地が広がるところに出た。村が近いことは明らかであり、敵意あるモノがいつ現れてもおかしくないと、ハンターたちは警戒して急いだ。
荒らされた畑や壊された柵に塀が見えてくると、人間や亜人の死体が散見されるようになる。
「くそっ、村の中までゴブが入ってやがる!」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)が歯噛みする。
「時間との勝負だな」
ロニ・カルディス(ka0551)の言葉は、ハンターたちの行動の合図となった。
すでに大よその作戦は決めていたのだから。
●陽動
陽動と救出に分かれて行動をとるが、救出班は一直線に教会に向かう。建物が頑丈な場所だろう教会に避難している人が多いだろうと、目星を付けておいたから。
ロニ、カインとリュミアとナナセは陽動の為、村に足を踏み入れる。効率を考え、彼らは別れて行動をとる。
ナナセは援護射撃も考え、少々高い土地を探すが距離を考えると難しかった。塀に沿って馬を歩ませる。避難所に関しては推測であるため、何かあったら臨機応変に動かねばならない。
「二人ともよろしくお願いしますね」
他の仲間と離れる為、相棒である桜型妖精「アリス」とグレイハウンドに声をかけた。アリスは周囲を見に空に舞い、グレイハウンドはナナセの側で警戒する。
矢をつがえる準備をしつつ、ナナセは敵を探しているとアリスが声を上げた。
リュミアは適度に村の中に進み、登れそうな民家の前で深呼吸をする。
「諸君らゴブリンは完全に包囲されているー、武器を捨てておとなしく投降しなさーい!」
彼女の周りだけに沈黙が下りた。もともと静かなところに声を張り上げたため、元に戻っただけである。
「きいいいいいいいやあああああああああああああああああ!!!」
リュミアは「来いや」という怒りにも悲鳴にも似た声を上げた。
ゴブリンとコボルドがやってきた。
「良かった……アースウォール、カモン!」
来てくれなければ陽動として寂しかったため、安堵しつつ次の作戦に移る。
リュミアの声を聞き、ロニは苦笑を漏らした。
「あの声で行かないとなると、よほど用心深いゴブリンとなるな」
「用心深いと偵察には行っても、正面切って行かないということもある」
カインはゴブリンを揺さぶるには十分ではないのかと考える。陽動班はゴブリンの数を減らすことと、行動を乱すことにあるから。
救出班とは別に回り込むように彼らは教会に向かう。戦いの音が教会がある方向からしているし、救出班の者から何か連絡も来ないため、そこが主戦場となると判断できる。
「いたっ」
カインはゴブリンとコボルドに対してアサルトライフルの引き金をかける。
ロニは挟撃されることを避ける為、周囲の警戒に入る。彼自身が武器を振るうにはやや困難が付きまとう通路だったが、進む先を決める意義もあった。
●救援
教会が避難所になっているかはともかく、ハンターたちの行動の目印として程よい。
作戦開始直後にバイクを駆り飛び出したスティードは、耳を澄ませて戦いの音がする方に向かう。推測通り、教会の方から音がしている。教会が頑丈にできているとしても、攻められた場合に籠城に向かないことは想像に難くない。
続いてフォークスは進む、銃で援護するために。スピードを大事にし、敵を無力化することを考える。
ざくろは少しスピードを落として進む。避難所確定を少しでも確実なものにするため、足跡を観察する。村の中心に向かって足跡は増え過ぎて分からないが、死体が増える。
レイオスは途中にいるコボルドと目が遭ってしまったため、対処した後、教会に向かった。
スティードは教会に一直線にたどり着くが、礼拝堂の扉は固く閉ざされて誰もいない。
バイクの音を聞きつけ裏手から人語ではない声が響く。
「裏手に回るぞ」
仲間に聞こえるように声を張り上げる。
近寄ってきたコボルドの上にバイクを乗り上げるように引く。建物を見ると、ゴブリンが壊して出入りしている窓があった。
バイクを降りてからそこから侵入することとした。
スティードが建物に入ったのを見て外から援護する。周りに目を光らせ、建物の中から来るモノも行か付いてくるモノも撃つために。
教会の反対側や村の建物の方からやってくるゴブリンがいる。
「戦闘開始だねぇ」
銃弾が吐き出される音や矢が横切るような鋭い音もしていている。そこに、彼女の銃撃も加わった。
ざくろとレイオスはスティードが向かったのとは反対側から回り込んでいく。
建物の入口にはゴブリンたちがたむろしている。もちろんただいるだけではなく、中にいる人間を殺そうとし、新たな敵に対処しようとしているのだ。
「お待たせ、もう大丈夫、助けに来たよ! ゴブリン、お前の相手はざくろ達だ」
建物の中に届くように大きな声を張り上げてから、ざくろは入口にたむろするゴブリンに向けてデルタレイを放つ。
「救援に来たハンターだ! ゴブリンどもはオレたちがなんとかする! 少しの間だけ守りを固めて待っていてくれ」
レイオスも声を張り上げ、デルタレイから逃れた敵を含め、大きく試作電撃刀で薙ぎ払った。
外の音が響く。
かすかに聞こえたハンターの名乗りに、兵士や村人たちは顔を上気させ喜ぶ。希望がつながれ、未来の足音がしているのだと。
「もしこれが歪虚の策略ならば……喜んだところを落とすに違いない」
ウィリアムは唇を噛む。
「奴らなら亜人を殺すことくらい何もないだろう……しかし……」
藁にもすがりたいのはウィリアム自身だった。
「お館さま、ここはひとまず信じましょう」
ウルスが耳打ちした。
ウィリアムの心の中の事は、傷ついてもついてきてくれている兵士や守るべき民に聞かせられないものだ。
(そうだ……奴が……奴が私から引き起こせる悲劇など……たかが知れている)
ウィリアムは苦笑して、ハンターに答えるべく声を張り上げた。
「頼むっ、民のために」
●戦い
ナナセは馬上から矢を二本つがえゴブリンを射る。彼女が会得した【双頭蛇】という技であり、避けられなければ確実にゴブリンを射抜いていく。
ゴブリンの中に機動力が高いナイトや魔法を使えるメイジがいれば狙うつもりではあるが、目視範囲に入ってこない。
「わおん!」
グレイハウンドが警告後、威嚇を始める。
戦いに集中している間にゴブリンとコボルドがすりぬけて近寄ってきていた。
飛んできた石が当たるが、ナナセはより接近される前に馬を反転させ距離を作ると矢をつがえて射抜いた。
「よし、これでいけるよね! うりゃあ」
リュミアは屋根の上から大きな剣を手に、やってきたゴブリンやコボルドを狙う。こまごまと動き回るコボルドを先に狙い、数を減らす。
ひゅん。
何かが飛んでくる。
ゴブリン達は屋根の上に登ろうとはせず、落ちている石を投げ始めたのだった。
「い、意外と賢いのね」
石が防具で一番薄い所に当たったため悲鳴を上げると、怒ったミリュアはそのまま攻撃魔法を放つことを選択した。
建物の陰から弾丸を避けるようにゴブリンらはやってきている。
「一旦別行動をとる。回り込んだ先で合流しよう」
ロニはカインに声をかける。
「分かった」
カインが返事したのを聞いて、ロニは通路を走っていく。
ゴブリン達はどちらを狙うか考える。弾丸を放たなかったロニを追うモノと、ダガーに持ち替えたのをチャンスだと思って近づくモノとに分かれた。
ロニはやや広い所に出た。
背後からゴブリンが迫る中、前方にリトルラプターに乗ったゴブリンが現れた。機動力があるため、状況を確認しに来たのかもしれない。
「数の上では不利、いや、一気に仕留めねばなるまい」
神に祈り、マテリアルを練り上げて行きながら、巨大な鎌をくるりと回し、石突きで地面を付いた。彼を中心に祝福の光が広がり、敵を撃ち滅ぼす刃となり走り去った。
カインは焦らず、きちんと攻撃を考えていく。
銃弾を縫って来た敵にアサルトライフルは不利だっだ。ダガーに切り替え、個別に対処する。狭い道では有効な手段。
コボルドは小柄なため間隙をぬって攻撃してくる。それをしのいでダガーで突き、斬る。
「つっ」
鎧の隙間をコボルドの攻撃が通った。痛みは大きくないが、怪我は集中や動揺を呼ぶ。
「油断はしていないが……」
より戦闘に集中し攻撃を叩きこむ。
カインは周りにいた物を倒し切り、教会の方面に向かって走って行った。
スティードは拳で語る。
ゴブリン達は必死に抵抗してくる。狭い通路であるため、一気に互いに攻撃はできない。
それでもゴブリン側には魔法を使う物もおり、侵入者に気付いて魔法を放つ。手前にいるゴブリンたちもスティードに武器を上げる。
「後一息だ、村の者よ!」
スティードはゴブリン達の猛攻をものともせず、マテリアルを活性化させ突き進む。進めばそれだけゴブリン達は葬り去られる。
フォークスは教会の外で迎撃する、距離を考え二挺の銃を切り替えて。
教会の中は狙えないが、それでも相当の数は撃ちぬいた。その中でも狙うべきは魔法を使えるメイジと機動力を持つナイトだ。
撃っている間に近づいてくる物もあり、攻撃を幾度と受ける。メイジも出てきて魔法を放ってきた。
それを避け、射撃している間に、近寄ったゴブリに攻撃を受けた。
武器は落とさなかったが、腕に受けた痛みは大きかった。
「次はあんただよ」
銃口を向けた。
裏手口から入ったレイオスとざくろは、二人並べても武器を振るうのは難しいと判断した。
それでも連携を取ってゴブリン達を葬っていく。
「今から逆転の時間だ。ここからはお前達ゴブリンが狩られる番だ!」
挑発の言葉の後、レイオスは気合と共にマテリアルのこもった技を繰り出す。
その鋭い突きを縫うようにざくろは機導を使い跳び、壁に一瞬立つ。
「ざくろはこっちだ!」
魔法剣を振り下ろした。
反対側はスティードがいるため、ゴブリン達の逃げ場はなかった。
「そこを退け! 輝きで道を切り開け、光の剣!」
ざくろが気迫のこもった攻撃を繰り出す。
「これで終わりだっ」
レイオスが扉の前で反撃しようとしてたゴブリンにとどめを刺した。
●かがり火
ウィリアムは入ってきたハンターたちを見て、助けだった理解した。張りつめた気が切れ、膝をつく。
「お館さま」
ウルスが支える。
ハンターを見て村人たちは歓声と悦びの涙をこぼした。
礼拝堂の大きな扉に作ったバリケードを外した瞬間、中に太陽の光が差し込んだ。
「怪我している者の手当を」
ロニが兵士や村人たちに神の奇跡を借り癒していく。怪我が治ると、ひれ伏さんばかりにお礼を言ってくる。
「いや……耐えたからこそこうしていられる」
もちろん死者も多くあるのは悔しいが、ロニが見ると領主であるウィリアムは険しい表情である。
「力ある者の責務を全うしようとするその生き様は感じ入った」
スティードが自信ありげな声、神がかりにも思える威厳のある声音でウィリアムに告げる。
「唯一惜しむべきは、その責務を分かち合わず、独り占めしている点だろうかな」
ウィリアムは何のことかとスティードを見つめる。心にある引っ掛かりがあるが何か気付けない。
「戻るんだろう? 領主代行が心配して依頼を出してきたんだし」
レイオスが笑顔で話しかける。
「そうか……イノアが……」
ウィリアムの表情が少し和らいだ。
「領主代行には美味しい栗もらったし、送るところまでサービスするぞ」
ウィリアムはレイオスの善意が身に染みた。帰るついでに一緒にという言葉よりも、イノアが頑張っているからこうして良き人たちに会えるという連鎖も感じ、胸が熱くなる。
「村で直すべきところもあるし、人員が来るまで私を好きに使えばいい」
スティードは告げる、さも当然のように。
「……ふふっ、そうか……私は背負いすぎていたのか」
ウィリアムは口の中でつぶやく。
(ニコラスと妻が死んだあとから、失いたくないと言う気持ちが強くなっていた。ウルスにも申し訳ないことをしていると思ってはいた)
「ウルス、すまなかったな」
「……いきなりなんですか? 気持ちが悪いです、奴を呼びそうで」
「ふふっ」
狼狽するウルスにウィリアムはいたずらをした子供のように小さく笑った。
「ただいまー」
リュミアの元気な声が響く。どこかつまらなそうな、ふて腐れた感じも聴き取れそうだが。
「結局、何かあるってわけではないようだねぇ」
「うん、せいぜい、収穫された食料位かな」
見回ってきたフォークスとリュミアが仲間に告げた。
「寒くなってきますし、追われた結果、適度でここに集まったのかもしれませんよ」
ナナセはゴブリン達にとって狙いやすかったのだと考えた。偶然目をつけられえて崩壊した日常に胸が痛む。
「守れて良かった」
カインは己の手を見て、握りしめる。彼自身がやってきた後に人間の命が消えなかったらしいため喜ばしいことである。
「そうだよ、守れたんだよ。まずは炊き出し? 今日は夜が迫っているし、ざくろも手伝うよ」
ざくろは領主に向かって告げ、視線は村人を巡る。
村人たちは手分けをして倉庫の確認、建物の状況などを始めた。どこに亜人が潜んでいるか分からない恐怖はまだあるため、ハンターも行動することとなる。
夜に備えるための大きなかがり火に、生き延びた村人も領主たちも大きく息を吐いた。
一行は事前に地理や避難しているならどこか等の情報を集め、急いで村に向かう。
「それにしてもその村に何があるんだろうねぇ?」
フォークス(ka0570)は眉をしかめてつぶやく。聞いたことろ、ゴブリンが大挙するような魅力はうかがえなかった。
「うん、気になるけど、安全確保してからだよね……」
リュミア・ルクス(ka5783)は自分に言い聞かせるように声を出した。
「まずは危機に陥っている人たちの救出だよ!」
時音 ざくろ(ka1250)は焦る気持ちを抑え、前を見る。
「北の騒動がひと段落してきたとはいえ、まだ気は抜けないですね」
ナナセ・ウルヴァナ(ka5497)はグラズヘイム王国で今夏の事件を脳裏に浮かべる。
(あの時の僕じゃない、力をつけたし、一人ではない)
亜人ハンターの二つ名を持つカイン・マッコール(ka5336)は、かつて滅ぼされた自分の村を思い出す。ゴブリンを憎悪するとともに、その災いから人を救いたいと焦燥する。
(弱き者を守ろうとする領主か……)
スティード・バック(ka4930)は見ぬ領主の事を考える。話を聞く限りでは領民に慕われているため、守ろうとしたに違いないと想像に難くない。ならば、その思いにこたえ、彼自身も力弱き者の為に力を振るい領主を助けようとここに加わった。
街道からそれて進む道には人がいない。丘の間を縫うような道を進み、人工的な土地が広がるところに出た。村が近いことは明らかであり、敵意あるモノがいつ現れてもおかしくないと、ハンターたちは警戒して急いだ。
荒らされた畑や壊された柵に塀が見えてくると、人間や亜人の死体が散見されるようになる。
「くそっ、村の中までゴブが入ってやがる!」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)が歯噛みする。
「時間との勝負だな」
ロニ・カルディス(ka0551)の言葉は、ハンターたちの行動の合図となった。
すでに大よその作戦は決めていたのだから。
●陽動
陽動と救出に分かれて行動をとるが、救出班は一直線に教会に向かう。建物が頑丈な場所だろう教会に避難している人が多いだろうと、目星を付けておいたから。
ロニ、カインとリュミアとナナセは陽動の為、村に足を踏み入れる。効率を考え、彼らは別れて行動をとる。
ナナセは援護射撃も考え、少々高い土地を探すが距離を考えると難しかった。塀に沿って馬を歩ませる。避難所に関しては推測であるため、何かあったら臨機応変に動かねばならない。
「二人ともよろしくお願いしますね」
他の仲間と離れる為、相棒である桜型妖精「アリス」とグレイハウンドに声をかけた。アリスは周囲を見に空に舞い、グレイハウンドはナナセの側で警戒する。
矢をつがえる準備をしつつ、ナナセは敵を探しているとアリスが声を上げた。
リュミアは適度に村の中に進み、登れそうな民家の前で深呼吸をする。
「諸君らゴブリンは完全に包囲されているー、武器を捨てておとなしく投降しなさーい!」
彼女の周りだけに沈黙が下りた。もともと静かなところに声を張り上げたため、元に戻っただけである。
「きいいいいいいいやあああああああああああああああああ!!!」
リュミアは「来いや」という怒りにも悲鳴にも似た声を上げた。
ゴブリンとコボルドがやってきた。
「良かった……アースウォール、カモン!」
来てくれなければ陽動として寂しかったため、安堵しつつ次の作戦に移る。
リュミアの声を聞き、ロニは苦笑を漏らした。
「あの声で行かないとなると、よほど用心深いゴブリンとなるな」
「用心深いと偵察には行っても、正面切って行かないということもある」
カインはゴブリンを揺さぶるには十分ではないのかと考える。陽動班はゴブリンの数を減らすことと、行動を乱すことにあるから。
救出班とは別に回り込むように彼らは教会に向かう。戦いの音が教会がある方向からしているし、救出班の者から何か連絡も来ないため、そこが主戦場となると判断できる。
「いたっ」
カインはゴブリンとコボルドに対してアサルトライフルの引き金をかける。
ロニは挟撃されることを避ける為、周囲の警戒に入る。彼自身が武器を振るうにはやや困難が付きまとう通路だったが、進む先を決める意義もあった。
●救援
教会が避難所になっているかはともかく、ハンターたちの行動の目印として程よい。
作戦開始直後にバイクを駆り飛び出したスティードは、耳を澄ませて戦いの音がする方に向かう。推測通り、教会の方から音がしている。教会が頑丈にできているとしても、攻められた場合に籠城に向かないことは想像に難くない。
続いてフォークスは進む、銃で援護するために。スピードを大事にし、敵を無力化することを考える。
ざくろは少しスピードを落として進む。避難所確定を少しでも確実なものにするため、足跡を観察する。村の中心に向かって足跡は増え過ぎて分からないが、死体が増える。
レイオスは途中にいるコボルドと目が遭ってしまったため、対処した後、教会に向かった。
スティードは教会に一直線にたどり着くが、礼拝堂の扉は固く閉ざされて誰もいない。
バイクの音を聞きつけ裏手から人語ではない声が響く。
「裏手に回るぞ」
仲間に聞こえるように声を張り上げる。
近寄ってきたコボルドの上にバイクを乗り上げるように引く。建物を見ると、ゴブリンが壊して出入りしている窓があった。
バイクを降りてからそこから侵入することとした。
スティードが建物に入ったのを見て外から援護する。周りに目を光らせ、建物の中から来るモノも行か付いてくるモノも撃つために。
教会の反対側や村の建物の方からやってくるゴブリンがいる。
「戦闘開始だねぇ」
銃弾が吐き出される音や矢が横切るような鋭い音もしていている。そこに、彼女の銃撃も加わった。
ざくろとレイオスはスティードが向かったのとは反対側から回り込んでいく。
建物の入口にはゴブリンたちがたむろしている。もちろんただいるだけではなく、中にいる人間を殺そうとし、新たな敵に対処しようとしているのだ。
「お待たせ、もう大丈夫、助けに来たよ! ゴブリン、お前の相手はざくろ達だ」
建物の中に届くように大きな声を張り上げてから、ざくろは入口にたむろするゴブリンに向けてデルタレイを放つ。
「救援に来たハンターだ! ゴブリンどもはオレたちがなんとかする! 少しの間だけ守りを固めて待っていてくれ」
レイオスも声を張り上げ、デルタレイから逃れた敵を含め、大きく試作電撃刀で薙ぎ払った。
外の音が響く。
かすかに聞こえたハンターの名乗りに、兵士や村人たちは顔を上気させ喜ぶ。希望がつながれ、未来の足音がしているのだと。
「もしこれが歪虚の策略ならば……喜んだところを落とすに違いない」
ウィリアムは唇を噛む。
「奴らなら亜人を殺すことくらい何もないだろう……しかし……」
藁にもすがりたいのはウィリアム自身だった。
「お館さま、ここはひとまず信じましょう」
ウルスが耳打ちした。
ウィリアムの心の中の事は、傷ついてもついてきてくれている兵士や守るべき民に聞かせられないものだ。
(そうだ……奴が……奴が私から引き起こせる悲劇など……たかが知れている)
ウィリアムは苦笑して、ハンターに答えるべく声を張り上げた。
「頼むっ、民のために」
●戦い
ナナセは馬上から矢を二本つがえゴブリンを射る。彼女が会得した【双頭蛇】という技であり、避けられなければ確実にゴブリンを射抜いていく。
ゴブリンの中に機動力が高いナイトや魔法を使えるメイジがいれば狙うつもりではあるが、目視範囲に入ってこない。
「わおん!」
グレイハウンドが警告後、威嚇を始める。
戦いに集中している間にゴブリンとコボルドがすりぬけて近寄ってきていた。
飛んできた石が当たるが、ナナセはより接近される前に馬を反転させ距離を作ると矢をつがえて射抜いた。
「よし、これでいけるよね! うりゃあ」
リュミアは屋根の上から大きな剣を手に、やってきたゴブリンやコボルドを狙う。こまごまと動き回るコボルドを先に狙い、数を減らす。
ひゅん。
何かが飛んでくる。
ゴブリン達は屋根の上に登ろうとはせず、落ちている石を投げ始めたのだった。
「い、意外と賢いのね」
石が防具で一番薄い所に当たったため悲鳴を上げると、怒ったミリュアはそのまま攻撃魔法を放つことを選択した。
建物の陰から弾丸を避けるようにゴブリンらはやってきている。
「一旦別行動をとる。回り込んだ先で合流しよう」
ロニはカインに声をかける。
「分かった」
カインが返事したのを聞いて、ロニは通路を走っていく。
ゴブリン達はどちらを狙うか考える。弾丸を放たなかったロニを追うモノと、ダガーに持ち替えたのをチャンスだと思って近づくモノとに分かれた。
ロニはやや広い所に出た。
背後からゴブリンが迫る中、前方にリトルラプターに乗ったゴブリンが現れた。機動力があるため、状況を確認しに来たのかもしれない。
「数の上では不利、いや、一気に仕留めねばなるまい」
神に祈り、マテリアルを練り上げて行きながら、巨大な鎌をくるりと回し、石突きで地面を付いた。彼を中心に祝福の光が広がり、敵を撃ち滅ぼす刃となり走り去った。
カインは焦らず、きちんと攻撃を考えていく。
銃弾を縫って来た敵にアサルトライフルは不利だっだ。ダガーに切り替え、個別に対処する。狭い道では有効な手段。
コボルドは小柄なため間隙をぬって攻撃してくる。それをしのいでダガーで突き、斬る。
「つっ」
鎧の隙間をコボルドの攻撃が通った。痛みは大きくないが、怪我は集中や動揺を呼ぶ。
「油断はしていないが……」
より戦闘に集中し攻撃を叩きこむ。
カインは周りにいた物を倒し切り、教会の方面に向かって走って行った。
スティードは拳で語る。
ゴブリン達は必死に抵抗してくる。狭い通路であるため、一気に互いに攻撃はできない。
それでもゴブリン側には魔法を使う物もおり、侵入者に気付いて魔法を放つ。手前にいるゴブリンたちもスティードに武器を上げる。
「後一息だ、村の者よ!」
スティードはゴブリン達の猛攻をものともせず、マテリアルを活性化させ突き進む。進めばそれだけゴブリン達は葬り去られる。
フォークスは教会の外で迎撃する、距離を考え二挺の銃を切り替えて。
教会の中は狙えないが、それでも相当の数は撃ちぬいた。その中でも狙うべきは魔法を使えるメイジと機動力を持つナイトだ。
撃っている間に近づいてくる物もあり、攻撃を幾度と受ける。メイジも出てきて魔法を放ってきた。
それを避け、射撃している間に、近寄ったゴブリに攻撃を受けた。
武器は落とさなかったが、腕に受けた痛みは大きかった。
「次はあんただよ」
銃口を向けた。
裏手口から入ったレイオスとざくろは、二人並べても武器を振るうのは難しいと判断した。
それでも連携を取ってゴブリン達を葬っていく。
「今から逆転の時間だ。ここからはお前達ゴブリンが狩られる番だ!」
挑発の言葉の後、レイオスは気合と共にマテリアルのこもった技を繰り出す。
その鋭い突きを縫うようにざくろは機導を使い跳び、壁に一瞬立つ。
「ざくろはこっちだ!」
魔法剣を振り下ろした。
反対側はスティードがいるため、ゴブリン達の逃げ場はなかった。
「そこを退け! 輝きで道を切り開け、光の剣!」
ざくろが気迫のこもった攻撃を繰り出す。
「これで終わりだっ」
レイオスが扉の前で反撃しようとしてたゴブリンにとどめを刺した。
●かがり火
ウィリアムは入ってきたハンターたちを見て、助けだった理解した。張りつめた気が切れ、膝をつく。
「お館さま」
ウルスが支える。
ハンターを見て村人たちは歓声と悦びの涙をこぼした。
礼拝堂の大きな扉に作ったバリケードを外した瞬間、中に太陽の光が差し込んだ。
「怪我している者の手当を」
ロニが兵士や村人たちに神の奇跡を借り癒していく。怪我が治ると、ひれ伏さんばかりにお礼を言ってくる。
「いや……耐えたからこそこうしていられる」
もちろん死者も多くあるのは悔しいが、ロニが見ると領主であるウィリアムは険しい表情である。
「力ある者の責務を全うしようとするその生き様は感じ入った」
スティードが自信ありげな声、神がかりにも思える威厳のある声音でウィリアムに告げる。
「唯一惜しむべきは、その責務を分かち合わず、独り占めしている点だろうかな」
ウィリアムは何のことかとスティードを見つめる。心にある引っ掛かりがあるが何か気付けない。
「戻るんだろう? 領主代行が心配して依頼を出してきたんだし」
レイオスが笑顔で話しかける。
「そうか……イノアが……」
ウィリアムの表情が少し和らいだ。
「領主代行には美味しい栗もらったし、送るところまでサービスするぞ」
ウィリアムはレイオスの善意が身に染みた。帰るついでに一緒にという言葉よりも、イノアが頑張っているからこうして良き人たちに会えるという連鎖も感じ、胸が熱くなる。
「村で直すべきところもあるし、人員が来るまで私を好きに使えばいい」
スティードは告げる、さも当然のように。
「……ふふっ、そうか……私は背負いすぎていたのか」
ウィリアムは口の中でつぶやく。
(ニコラスと妻が死んだあとから、失いたくないと言う気持ちが強くなっていた。ウルスにも申し訳ないことをしていると思ってはいた)
「ウルス、すまなかったな」
「……いきなりなんですか? 気持ちが悪いです、奴を呼びそうで」
「ふふっ」
狼狽するウルスにウィリアムはいたずらをした子供のように小さく笑った。
「ただいまー」
リュミアの元気な声が響く。どこかつまらなそうな、ふて腐れた感じも聴き取れそうだが。
「結局、何かあるってわけではないようだねぇ」
「うん、せいぜい、収穫された食料位かな」
見回ってきたフォークスとリュミアが仲間に告げた。
「寒くなってきますし、追われた結果、適度でここに集まったのかもしれませんよ」
ナナセはゴブリン達にとって狙いやすかったのだと考えた。偶然目をつけられえて崩壊した日常に胸が痛む。
「守れて良かった」
カインは己の手を見て、握りしめる。彼自身がやってきた後に人間の命が消えなかったらしいため喜ばしいことである。
「そうだよ、守れたんだよ。まずは炊き出し? 今日は夜が迫っているし、ざくろも手伝うよ」
ざくろは領主に向かって告げ、視線は村人を巡る。
村人たちは手分けをして倉庫の確認、建物の状況などを始めた。どこに亜人が潜んでいるか分からない恐怖はまだあるため、ハンターも行動することとなる。
夜に備えるための大きなかがり火に、生き延びた村人も領主たちも大きく息を吐いた。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 カイン・A・A・カーナボン(ka5336) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/11/24 01:37:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/21 23:29:52 |