ゲスト
(ka0000)
乙女、父の無事の帰りを祈る
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/24 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/12/03 12:00
オープニング
●父の帰り
イノア・クリシスは鏡になっている窓を見つめた。鼻から口を手で隠し、目が目立つようにする。
しばらくいろんな表情をしてから止め、溜息をもらして顔を逸らした。
「お兄様の年齢を超えた私。目の色は同じでも、やはり……柔らかい光を持った優しい青いにはならないわ……」
ただ優しいだけの嫡男は領主には向かない。王都の学校にでも入れば変わるかもしれないが、いじめられていじけた性格になっているか、運よくまっすぐ伸びて兄があこがれていた人物みたいになる欠片を見出しているかと想像する。
死人には未来がない……記憶の中で生き延びるのみ。
「ああ、駄目、これでは! お父様みたいだわ」
父親みたいになりたくはない。
「お母様だってあの時、死んだ……あえて言わないのは、私をかばって死んだから思い出させたくないかも知れないわ……」
溜息をもらす。そう考えると、父も優しい。もともと父は優しいが、兄が欲していたことを気付けなかった。
「そのせいで北部に兵を派遣したり、足りないから自分で領内を動き回ったり……」
無論、国の事を考えれば重要なことであるが、自分の足元も考えないと結局無意味にも思える。
領内を見るのは良き領主として重要ではある。連絡を取り合っているとはいえ、ここひとつき帰ってこないのは異常にも思える。
「……突然、若い女性を連れて来て『母と思え』と言われたらどうしましょう」
民衆に悪影響がなければ、良いのかもしれないとイノアは苦笑する。素晴らしい女性だったら受け入れる気はある、姉として……たぶん、若いだろうから。
同じ考えをして、自分を見守ってくれる人が欲しいと不意に思う。
「それにしても、お父様たち遅い……」
先日の連絡では昨日には帰宅しているはずだったのだ。
「何かあったのかしら?」
ベルを鳴らし、執事を呼ぶ。その地域の情報を集めて来るようにと頼んだ。
●領主の意地
この村に何があるのか、と勘繰りたくなるほど、ゴブリンが押し寄せていた。
元々野生動物との区切りもあって居住地区は柵で囲まれていたため、防御はしやすかった。戦力と人数を考えると、籠城しかできない。
亜人たちが諦めてくれればいいが、領内の不和をまくような真似もできない。倒せるのが一番いい。
「お館さま、このままでは食料も尽きます」
領主ウィリアム・クリシスに長く仕えるウルス・モースは苦しい表情で淡々と事実を告げる。
「で、どうしたい?」
「道は開きますので、お館さまだけでも逃げてください」
「無理だ、出来るわけない」
「やっていただきます」
「ここの住民を見捨てることになる」
「お館さま!」
ウルスはいさめるように言う。
ウィリアムはうなだれる。年上のウルスには相談もする気心の知れぬ仲で、彼が領主である自分を考えているのも理解する。
「もう、私は逃げたくはない」
「ここで命を落とす方が愚かです。私の後は息子が継ぎますが、あなたの後は……イノア様はしっかりしていますが、まだ十五歳ですよ」
「……ニコラスがいたら……」
「お館さまっ!」
ウルスの声は荒げられる。領主が死んだ子息の名を上げれば、それに付随して護衛であった彼の息子も思い出さざるを得ない。
「すまない……」
「いえ。わたくしこそ声を荒げて」
「さてと、生き残るすべを見つけなければ」
ウィリアムは鏡のように写る窓を見た。茶色の髪は白い物が混じり始めている、あれからたったの五年くらいだというのに。
(息子に父だとわかってもらえないのではないかな)
ウィリアムは考えたことに苦笑した。
●依頼
イノア・クリシスからの依頼を見て、職員は「至急」の印を依頼書に付けた。依頼の多くは至急かもしれないが、「特に」「緊急」とか最上級にしたいと職員は強く思った。
領主が滞在しているはずの村にゴブリンの群れが押し寄せていると言う。
「北部の余波?」
そうであろうが、なかろうが、領主も村人も助けないとならない。
イノア側が集めた情報に、ソサエティに集まった情報も職員は合わせる。
「……数が多い……かもしれませんが……」
状況は実際分かっていない。そこに領主がいるのかも分からないため、ハンターには慎重な行動が求めらえると考えた。
イノア・クリシスは鏡になっている窓を見つめた。鼻から口を手で隠し、目が目立つようにする。
しばらくいろんな表情をしてから止め、溜息をもらして顔を逸らした。
「お兄様の年齢を超えた私。目の色は同じでも、やはり……柔らかい光を持った優しい青いにはならないわ……」
ただ優しいだけの嫡男は領主には向かない。王都の学校にでも入れば変わるかもしれないが、いじめられていじけた性格になっているか、運よくまっすぐ伸びて兄があこがれていた人物みたいになる欠片を見出しているかと想像する。
死人には未来がない……記憶の中で生き延びるのみ。
「ああ、駄目、これでは! お父様みたいだわ」
父親みたいになりたくはない。
「お母様だってあの時、死んだ……あえて言わないのは、私をかばって死んだから思い出させたくないかも知れないわ……」
溜息をもらす。そう考えると、父も優しい。もともと父は優しいが、兄が欲していたことを気付けなかった。
「そのせいで北部に兵を派遣したり、足りないから自分で領内を動き回ったり……」
無論、国の事を考えれば重要なことであるが、自分の足元も考えないと結局無意味にも思える。
領内を見るのは良き領主として重要ではある。連絡を取り合っているとはいえ、ここひとつき帰ってこないのは異常にも思える。
「……突然、若い女性を連れて来て『母と思え』と言われたらどうしましょう」
民衆に悪影響がなければ、良いのかもしれないとイノアは苦笑する。素晴らしい女性だったら受け入れる気はある、姉として……たぶん、若いだろうから。
同じ考えをして、自分を見守ってくれる人が欲しいと不意に思う。
「それにしても、お父様たち遅い……」
先日の連絡では昨日には帰宅しているはずだったのだ。
「何かあったのかしら?」
ベルを鳴らし、執事を呼ぶ。その地域の情報を集めて来るようにと頼んだ。
●領主の意地
この村に何があるのか、と勘繰りたくなるほど、ゴブリンが押し寄せていた。
元々野生動物との区切りもあって居住地区は柵で囲まれていたため、防御はしやすかった。戦力と人数を考えると、籠城しかできない。
亜人たちが諦めてくれればいいが、領内の不和をまくような真似もできない。倒せるのが一番いい。
「お館さま、このままでは食料も尽きます」
領主ウィリアム・クリシスに長く仕えるウルス・モースは苦しい表情で淡々と事実を告げる。
「で、どうしたい?」
「道は開きますので、お館さまだけでも逃げてください」
「無理だ、出来るわけない」
「やっていただきます」
「ここの住民を見捨てることになる」
「お館さま!」
ウルスはいさめるように言う。
ウィリアムはうなだれる。年上のウルスには相談もする気心の知れぬ仲で、彼が領主である自分を考えているのも理解する。
「もう、私は逃げたくはない」
「ここで命を落とす方が愚かです。私の後は息子が継ぎますが、あなたの後は……イノア様はしっかりしていますが、まだ十五歳ですよ」
「……ニコラスがいたら……」
「お館さまっ!」
ウルスの声は荒げられる。領主が死んだ子息の名を上げれば、それに付随して護衛であった彼の息子も思い出さざるを得ない。
「すまない……」
「いえ。わたくしこそ声を荒げて」
「さてと、生き残るすべを見つけなければ」
ウィリアムは鏡のように写る窓を見た。茶色の髪は白い物が混じり始めている、あれからたったの五年くらいだというのに。
(息子に父だとわかってもらえないのではないかな)
ウィリアムは考えたことに苦笑した。
●依頼
イノア・クリシスからの依頼を見て、職員は「至急」の印を依頼書に付けた。依頼の多くは至急かもしれないが、「特に」「緊急」とか最上級にしたいと職員は強く思った。
領主が滞在しているはずの村にゴブリンの群れが押し寄せていると言う。
「北部の余波?」
そうであろうが、なかろうが、領主も村人も助けないとならない。
イノア側が集めた情報に、ソサエティに集まった情報も職員は合わせる。
「……数が多い……かもしれませんが……」
状況は実際分かっていない。そこに領主がいるのかも分からないため、ハンターには慎重な行動が求めらえると考えた。
解説
ウィリアム・クリシスの救出。
村人の救出。
●地理
ハンターズソサエティの支部がある町から離れており、到着には二日かかります。
丘陵を背に畑と人家があります。大型の獣が逃げてくることもあり、畑と人家は切り離して作ってあります。
畑を囲う柵、人家のまとまりを囲う塀という二重構造です。
以下、PL情報。
到着した時には塀も突破されています。
領主と村人たちは村で一番丈夫な建物である教会に逃げています。ただ、窓もあったり、戦える人間ばかりではないため、落ちるのは時間の問題です。
教会の大きな出入り口は礼拝堂の観音開きの扉は封鎖してあります。
裏手に居住用のスペースがあり、そちらも扉と窓があります。バリケードを作ったりしていますが、ゴブリン達に侵入されています。
礼拝堂と居住区はひな壇の左右にある扉(2か所)でつながっています。そこが主戦場となっています。
村人は礼拝堂に生き延びているものは全員います。
●敵勢力
・コボルド×15 死体も転がっている。ゴブリンと共に見回りをしている物が多い。
・ゴブリン×20 半分はコボルドを連れて村の中を見回っている。
・ゴブリンソルジャー(斧など近接武器を所持)×10 戦いに慣れている。
・ゴブリンメイジ×4 魔法使える。
・ゴブリンナイト×4 リトルラプターに騎乗している。
●NPC
イノア・クリシス 15歳、女。領主代行として執務に当たるしっかりしたお嬢様。
ウィリアム・クリシス 40歳くらい男。イノアの父親で領主。領民の為と思い頑張るいい人。
ウルス・モース 50歳くらい男。武人らしいしっかりした体格の人。
なお、領主が連れている兵は10いますが、動けますが負傷しています。
村人の救出。
●地理
ハンターズソサエティの支部がある町から離れており、到着には二日かかります。
丘陵を背に畑と人家があります。大型の獣が逃げてくることもあり、畑と人家は切り離して作ってあります。
畑を囲う柵、人家のまとまりを囲う塀という二重構造です。
以下、PL情報。
到着した時には塀も突破されています。
領主と村人たちは村で一番丈夫な建物である教会に逃げています。ただ、窓もあったり、戦える人間ばかりではないため、落ちるのは時間の問題です。
教会の大きな出入り口は礼拝堂の観音開きの扉は封鎖してあります。
裏手に居住用のスペースがあり、そちらも扉と窓があります。バリケードを作ったりしていますが、ゴブリン達に侵入されています。
礼拝堂と居住区はひな壇の左右にある扉(2か所)でつながっています。そこが主戦場となっています。
村人は礼拝堂に生き延びているものは全員います。
●敵勢力
・コボルド×15 死体も転がっている。ゴブリンと共に見回りをしている物が多い。
・ゴブリン×20 半分はコボルドを連れて村の中を見回っている。
・ゴブリンソルジャー(斧など近接武器を所持)×10 戦いに慣れている。
・ゴブリンメイジ×4 魔法使える。
・ゴブリンナイト×4 リトルラプターに騎乗している。
●NPC
イノア・クリシス 15歳、女。領主代行として執務に当たるしっかりしたお嬢様。
ウィリアム・クリシス 40歳くらい男。イノアの父親で領主。領民の為と思い頑張るいい人。
ウルス・モース 50歳くらい男。武人らしいしっかりした体格の人。
なお、領主が連れている兵は10いますが、動けますが負傷しています。
マスターより
こんにちは。寒くなってきましたがいかがお過ごしでしょうか?
わらわら出しました。
「乙女悩ます、収穫と栗のランタン」において不在だったイノアの父親が登場です。
よろしくお願いします。
わらわら出しました。
「乙女悩ます、収穫と栗のランタン」において不在だったイノアの父親が登場です。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/11/30 02:09
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 カイン・A・A・カーナボン(ka5336) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/11/24 01:37:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/21 23:29:52 |