ゲスト
(ka0000)
【闇光】守れ、数多の亡者を祓い
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/27 22:00
- 完成日
- 2015/12/10 01:57
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「俺は今動けない。だから、貴様が行くしかない……分かっているな」
椅子に深く腰かけ血走った眼を向けるフリッツ・バウアー。その腕は未だ存在せず、以前の戦闘によるダメージが尾を引いていると見える。その先にいるのは一体の歪虚……かつて第5師団副師団長を務めたレオン・シュナイダーだ。
「敵の搭乗する兵器……CAMだか、魔導アーマー……それらのパイロットを潰していけ」
その言葉に頷くレオン。言葉を話すことは出来ない。フリッツが欲したのは神眼と呼ばれたその類稀な戦闘力……それだけを残した戦場の駒だったからだ。
「そうだ。歩兵は殺すなよ? 援軍としてやってきた魔導アーマーがあっさりと動けなくなる……その様子をたっぷりと見せてやれ」
再度頷くと、レオンはその場を立ち去った。長大なライフルを抱えて。
「……それでいい。そうして帝国の奴らに絶望を与えてやれ……少なくとも俺が全快するまでは、な……」
●
「よし、この辺でいいな」
撤退する帝国軍を支援するため、クロウを始めとしたハンター、帝国兵の混成部隊は最前線の拠点。その先数10m程の地点に構えた。
拠点は現在引き払う最中。だが、その作業はまだ済んでおらず、眼前には大量のスケルトンたちが迫っていた。
「到着が早かったからな……お陰で割と余裕が持てる状況だ」
そんなクロウの背には、6体の魔導アーマーが立つ。右腕に棍棒のような武器を装備した近接仕様。だが、メインとなるのは左腕の装備。
搭載されているのはたった一発……フレアグレネードと呼ばれる武器だ。クロウが開発したこの武器は例えば魔道士の使うファイアーボールなどが近い。着弾地点周辺に爆炎を発生させダメージを与える。仮にダメージに耐えたとしても、フレアグレネードは炎を撒き散らし、範囲内の敵に継続的なダメージを与えることが可能だ。通常のスケルトンなら一発。多少強力なスケルトンだったとしてもそのあとの炎で焼かれ倒せることは間違いない。
「敵でも味方でも関係なしってのが難点だが……とにかくこれで可能な限り敵を焼いて、後は出たとこ勝負だな。頼んだぜお前ら!」
そう言ってクロウは上方へ顔を向ける。
この魔導アーマーに乗り込んでいるのは帝国軍の非覚醒者。魔導アーマーの強みはこの非覚醒者でも覚醒者と肩を並べて戦えるという点だ。そして、肩を並べる覚醒者もハンターズソサエティからやってきたハンターたち。敵軍を撃退し、再侵攻を行う……とまではいかないだろうが、少なくとも敵を抑え拠点の撤退を支援することは十分可能だ。
(勝てる……勝てるはずだ)
すでに目視で確認できる大量のスケルトンを見たクロウ。戦闘が始まる前の緊張感に頬を汗が伝うが、勝てるという確信も同時に持っていた。
「……え?」
その魔導アーマーに乗っていた兵士が、運転席から落ちてくるまでは。
銃声のようなものは聞こえなかった。スケルトンたちの行軍がその音をかき消したのだろうか。だが、どこから撃ってきたのか。周囲に敵はいない。
「……お、おい! 大丈夫か!」
我に返ったクロウはすぐさま兵士に駆け寄る。見ると肩に抉り飛ばされたような穴が開いている。次いで上を見る。この魔導アーマーにはパイロットの生存性を高めるために、強化ガラスを複数枚重ねた防弾仕様の風防が備え付けられている。それが、ものの一発で貫通されている。
「うっそだろおい……非覚醒者は退避させろ! 狙撃されて一方的に殺されるぞ!」
すぐさま、パイロットたちはアーマーを降り、覚醒者の帝国兵に護送され後方……アーマーを輸送してきたトラックまで下がる。
(くそ……風防を避けて撃ってきたわけじゃなく、風防のある方……つまり真正面から撃って、撃ち抜いてきたってのか……!)
それはつまり、今向かってきているスケルトンたちの中にそういう威力を持った銃を持つ敵がいる。そしてその敵は運転席をピンポイントで狙い撃つだけの技術を持っているということでもある。
「スケルトンたちの中に紛れているのか、あるいはそれよりも遠くからこちらを狙っているのか……」
どちらが正解なのか、考えても当然答えは出ない。それに出たとしても最悪なのに変わりはない。
「……とにかく、アーマーを動かさないと話にならねぇか……クソッたれ!!」
毒づきながら、クロウは手に持つ試作型エネルギーキャノンを置いて魔導アーマーの運転席へ向かった。あの狙撃はパイロットを狙ったものだ。非覚醒者ならともかく、覚醒者であれば……多少はその攻撃にも耐えられるはずだ。
ハンターたちを中心とした帝国軍とスケルトンの集団。この2つがぶつかり合うまで、もうそれほどの時間は残されていなかった。
「俺は今動けない。だから、貴様が行くしかない……分かっているな」
椅子に深く腰かけ血走った眼を向けるフリッツ・バウアー。その腕は未だ存在せず、以前の戦闘によるダメージが尾を引いていると見える。その先にいるのは一体の歪虚……かつて第5師団副師団長を務めたレオン・シュナイダーだ。
「敵の搭乗する兵器……CAMだか、魔導アーマー……それらのパイロットを潰していけ」
その言葉に頷くレオン。言葉を話すことは出来ない。フリッツが欲したのは神眼と呼ばれたその類稀な戦闘力……それだけを残した戦場の駒だったからだ。
「そうだ。歩兵は殺すなよ? 援軍としてやってきた魔導アーマーがあっさりと動けなくなる……その様子をたっぷりと見せてやれ」
再度頷くと、レオンはその場を立ち去った。長大なライフルを抱えて。
「……それでいい。そうして帝国の奴らに絶望を与えてやれ……少なくとも俺が全快するまでは、な……」
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「よし、この辺でいいな」
撤退する帝国軍を支援するため、クロウを始めとしたハンター、帝国兵の混成部隊は最前線の拠点。その先数10m程の地点に構えた。
拠点は現在引き払う最中。だが、その作業はまだ済んでおらず、眼前には大量のスケルトンたちが迫っていた。
「到着が早かったからな……お陰で割と余裕が持てる状況だ」
そんなクロウの背には、6体の魔導アーマーが立つ。右腕に棍棒のような武器を装備した近接仕様。だが、メインとなるのは左腕の装備。
搭載されているのはたった一発……フレアグレネードと呼ばれる武器だ。クロウが開発したこの武器は例えば魔道士の使うファイアーボールなどが近い。着弾地点周辺に爆炎を発生させダメージを与える。仮にダメージに耐えたとしても、フレアグレネードは炎を撒き散らし、範囲内の敵に継続的なダメージを与えることが可能だ。通常のスケルトンなら一発。多少強力なスケルトンだったとしてもそのあとの炎で焼かれ倒せることは間違いない。
「敵でも味方でも関係なしってのが難点だが……とにかくこれで可能な限り敵を焼いて、後は出たとこ勝負だな。頼んだぜお前ら!」
そう言ってクロウは上方へ顔を向ける。
この魔導アーマーに乗り込んでいるのは帝国軍の非覚醒者。魔導アーマーの強みはこの非覚醒者でも覚醒者と肩を並べて戦えるという点だ。そして、肩を並べる覚醒者もハンターズソサエティからやってきたハンターたち。敵軍を撃退し、再侵攻を行う……とまではいかないだろうが、少なくとも敵を抑え拠点の撤退を支援することは十分可能だ。
(勝てる……勝てるはずだ)
すでに目視で確認できる大量のスケルトンを見たクロウ。戦闘が始まる前の緊張感に頬を汗が伝うが、勝てるという確信も同時に持っていた。
「……え?」
その魔導アーマーに乗っていた兵士が、運転席から落ちてくるまでは。
銃声のようなものは聞こえなかった。スケルトンたちの行軍がその音をかき消したのだろうか。だが、どこから撃ってきたのか。周囲に敵はいない。
「……お、おい! 大丈夫か!」
我に返ったクロウはすぐさま兵士に駆け寄る。見ると肩に抉り飛ばされたような穴が開いている。次いで上を見る。この魔導アーマーにはパイロットの生存性を高めるために、強化ガラスを複数枚重ねた防弾仕様の風防が備え付けられている。それが、ものの一発で貫通されている。
「うっそだろおい……非覚醒者は退避させろ! 狙撃されて一方的に殺されるぞ!」
すぐさま、パイロットたちはアーマーを降り、覚醒者の帝国兵に護送され後方……アーマーを輸送してきたトラックまで下がる。
(くそ……風防を避けて撃ってきたわけじゃなく、風防のある方……つまり真正面から撃って、撃ち抜いてきたってのか……!)
それはつまり、今向かってきているスケルトンたちの中にそういう威力を持った銃を持つ敵がいる。そしてその敵は運転席をピンポイントで狙い撃つだけの技術を持っているということでもある。
「スケルトンたちの中に紛れているのか、あるいはそれよりも遠くからこちらを狙っているのか……」
どちらが正解なのか、考えても当然答えは出ない。それに出たとしても最悪なのに変わりはない。
「……とにかく、アーマーを動かさないと話にならねぇか……クソッたれ!!」
毒づきながら、クロウは手に持つ試作型エネルギーキャノンを置いて魔導アーマーの運転席へ向かった。あの狙撃はパイロットを狙ったものだ。非覚醒者ならともかく、覚醒者であれば……多少はその攻撃にも耐えられるはずだ。
ハンターたちを中心とした帝国軍とスケルトンの集団。この2つがぶつかり合うまで、もうそれほどの時間は残されていなかった。
リプレイ本文
●
「よし、行ってくれ」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)の言葉に従いイヌワシが舞い上がる。乗せられたのは妖精、それに無線機。上空から偵察を行わせようというのだ。
(場合によっては撃ち落とされることもある。それでも……あの狙撃手を放置してく訳にはいかないから……)
アルトにとっても苦渋の選択だったであろう。イヌワシと妖精も主人の意図を汲んだのだろう。臆せず空を飛ぶ。
その間に接敵したのは榊 兵庫(ka0010)、ユキヤ・S・ディールス(ka0382)、アイビス・グラス(ka2477)の3人。
「不利な戦場に立つのは何時もの事だ」
兵衛は敵の密集地に飛び込むと手に持つ槍を上段に構え薙ぎ払う。
「俺は俺の出来ることをするまでだな」
凄まじい威力だ。一振りで3体のスケルトンを纏めて斬り払う。
さらに続いたユキヤ。
「可能な限り引き付けて……まぁこれだけいるならあまり関係ありませんか」
敵の接近を一拍待ってから、セイクリッドフラッシュを使用するユキヤ。放たれた光はスケルトンたちには高い効果を発揮し、範囲に入っていた敵を瞬時に消滅させる。
「多少の不利は承知の上。でも……」
アイビスは馬で突っ込んでいくと、片手で手綱を、片手で拳を握る。
「これが私なりの戦い方なんだからね!」
衝撃拳による打突。衝撃は頭蓋から全身に駆け抜けスケルトンを崩壊させるに至る。
本来であれば、拳での殴打は馬上からでは現実的ではないだろう。この点では長物を使う兵衛、魔法を使うユキヤの方が理にかなった動きと言える。だが、その威力と精度に関しては二人に勝るとも劣らない。
前線組が前に出ていくのに合わせ、魔導アーマー組は陣形を整えつつ前進を開始。
『あまり突出しないように気を付けるっすよ……出撃っす、魔導機!』
「了解、そっちも気を付けろよ!」
神楽(ka2032)と無線機で連絡をとりつつレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)は最前列にいた一際大きいヒュージスケルトンを狙う。レオーネの手元と連動して駆動音を鳴らすアーマー。ヒュージもレオーネを狙っているようだが、攻撃される前に横から棍棒で殴りつける。倒れるヒュージ。それに巻き込まれ数体のスケルトンが倒れていく。「ダメージ……にはならないだろうけど動きを抑制するには充分だろ」
神楽の方も近接攻撃を仕掛ける。
「ひゃはは! 蹴散らすッす、鉄巨人!」
言葉とともに振るう棍棒、はじけ飛ぶスケルトンたち。それはそうとさっき魔導機と言ってた気もするが、何事もノリだ。
それを援護するのは八代 遥(ka4481)のファイアーボール。
「生者を屍に、屍を塵に。我が理にて歪みを裁く。虚ろなる兵よ、汝ら正しき姿へと還るがいい!!」
詠唱と共に火球が敵に撃ち込まれる。凄まじい威力の魔法……それが複数体を巻き込むように撃ち込まれるのだから敵にしてみればたまったものでは無いだろう。
「まずは上々といったところね」
ロベリア・李(ka4206)は周囲を見渡す。当初ロベリアが想定していたのはレオーネ、神楽の乗る機体が両翼を担い前進。それに帝国兵とクロウ、ロベリアが追従するという形だ。今のところその想定通りの陣形となっているようだ。
「しかし、魔導アーマーに乗ってみると良くわかるわね」
分かるとロベリアが言ったのは敵……その数の膨大さだ。だが、同時にロベリアは悟った。敵の戦闘力は大したことは無いと。中にはスケルトンブレイドと呼ばれるやや強力な個体もいるものの、スケルトンたち自体はそんなに強い相手ではない。
(このまま優勢に運べる……いいえ、それは難しいわね)
そんななか、ハンターたちの誰もが不安要素に上げていた事態が発生する。
「来た!」
ロベリアの横に立つ機体の風防が破壊され、パイロットを務めていた帝国兵が狙撃される。
「大丈夫か!?」
『はい、こちらは問題無し……とは言えませんが、まだやれます!』
レオーネの問いかけに、無線を通じ帝国兵からの声が届く。後方の機導師が防御障壁を使用して防御。さらに風防による衝撃の緩和、パイロットが闘狩人だったこともあり、なんとか耐えきる。当たり所が良かったのもあるか、もう一発ぐらいなら耐えられそうだ。
「よし……狙撃位置からやっぱり敵はスケルトンたちの向こうにいるみたいだぜ!」
パイロット各位が無線機を通じて情報をやりとりする。そして、アルト……
「……分かった。ありがとう」
妖精からの通信だろう。それによると、スケルトン集団を超えた先に大きな銃を構えた人影を見つけたという。
「私が向かう、後は頼んだ!」
アルトはすぐさま動き出す。その行先はまっすぐ狙撃手の方……ではなく、スケルトンたちを割けるように大回り。徒歩で行くならかなりの距離になるだろうが、馬に乗ればそう時間はかからない。
「私も、逆方向から敵へ向かいます」
再度ファイアーボールを撃ち込んだ遥は、アルトを援護するためにこちらは逆方向から移動を開始する。
……だが、この二人の離脱は前衛として敵と戦っていた三名への負荷増大を招くことになった。
●
前線で3人が踏ん張ってくれているおかげでアーマー組への攻勢はそれほどではない。そうなると、視点も高いためか俄然戦況も見やすくなる。
「合わせていくっすよ、狙いが被らないように注意っす!」
『了解!』
神楽は帝国兵と無線でタイミングを合わせフレアグレネード使用。弾頭は山なりに飛び……着弾。同時に爆発が起こり、爆心から半径10m程の範囲が燃える。中央にいたヒュージはその一発で焼却処理される。周辺に群がっていたスケルトンも同様。更に、フレアグレネードがもたらした炎上効果がその周囲を火の海と化し敵を焼いていく。
「ふははは! 圧倒的ではないか我が軍はっす~!」
高笑いを上げる神楽。とはいえ、言うほど余裕を持ってはいられなさそうだ。敵はまだまだ数限りない。
『っ……狙撃手の野郎容赦ねぇな……おい、そろそろ押し時じゃないか?』
「……そうね。なるべくタイミングは合わせて」
その様子を確認したロベリア。狙撃を受けたものの意外とピンピンしているクロウからの連絡もあり、使用タイミングを測る。狙いは敵前方集団の3列目あたり……
「……いいえ、あの辺りは味方もいる、か……射程的には大丈夫だし、もっと奥の敵を狙いましょう」
『了解だ』
後方の敵を狙いロベリアがグレネードを発射。やや遅れてクロウも攻撃を行う。
「しまった!」
頭上で弾頭が飛ぶ最中、馬上から攻撃をしていたアイビス。やはりというか動きに無理が出てくる。敵頭上から拳を振り下ろした際、逆側から攻撃される。すぐさま上体を戻し雅龍で防御を……だが、携帯品を取り出す間もなく、スケルトンの攻撃は馬に当たり、そのまま倒される。
「まだよ!」
だが、転ばされてもただでは起きない。馬の背を利用した立体攻撃によりスケルトンの頭上へ飛びあがり、拳でその頭蓋を粉砕する。
だが、着地直後別のスケルトンが周囲から攻撃してくる。それら全てに対処するのはアイビスといえど難しい。ここにきて広範囲を攻撃する手段を持たないことが仇となってきた。
他方、兵衛は馬の機動力を活かして離脱を図ろうとする際に敵がいない方向へ移動を行う……その方向転換の隙に馬が攻撃され落馬する。
「こう多くてはな……」
もちろん兵衛は槍の間合いを活かして戦うことで懐に入られないよう配慮はしていた。だが、馬上からではどうしても右に槍を振るえば左、左に振るえば右に隙が生まれる。
「……言っても仕方ないか……さぁ来い!」
すでに囲まれている。兵衛は薙ぎ払いでスケルトンを処理していく。
「初手以外は回復を主眼に……なんて考えてたんですけどね」
ユキヤの方ではついに6度目のセイクリッドフラッシュ。自身を中心とした周囲全体に影響するこの魔法で寄ってくるスケルトンを片っ端から撃破していく。グレネードによる物を除けば頭一つ以上抜けた戦果だ。ただ、問題なのはヒールを使う余裕が無いという事。
(アイビスさんの姿が見えない。兵衛さんも。二人とも落馬した? ダメージはどうなってる?)
無線機を使って連絡……いや、そんなことが出来る余裕がお互いにあるはずもない。
一瞬の思考。それが隙となる。味方がいることなどお構いなしに向かってきたヒュージが薙ぎ払うように腕を振るう。避けきれないユキヤ。馬ごと殴り倒され地面を転がる。そこに群がるスケルトンたち。それに対しユキヤはセイクリッドフラッシュを使用。これが最後の一発だ。周囲の敵は一瞬で消滅する。が、その先にはまた新たな敵が待っている。
「ちっ……お前の相手はオレだぁっ!」
ユキヤに攻撃を加えたヒュージに対するためにスケルトンを薙ぎ払いつつ接近していくレオーネ。そこを狙い遠方から狙撃が行われるが、弾道は逸れる。そのままアーマーで体当たりを敢行し、敵を怯ませる。
「よし……って、近寄ってくんじゃねぇよ!」
だが、敵中に突っ込んだためかスケルトンが寄ってくる。それらを振り払いながらも態勢を整え、レオーネはグレネードを使用した。
●
時は少し遡る。
「……あれか」
アルトは馬を駆り大きく右……敵集団からすれば左翼側を迂回していく。その結果多少時間はかかったもののスケルトンの相手をすることなく目標とした敵……やや大きめの岩に腰かけていた狙撃手のもとへとたどり着く。
(特に変わったものはない。大型のライフルを抱えているだけか……)
今迄戦ってきた歪虚、その中の高位歪虚には特殊能力でもって射撃距離や角度を変えるような敵がいた。だが、この敵は違う。あくまでシンプルに狙撃を行う。
「けど、これ以上自由に狙撃は行わせない」
刀……というにはいささか歪とも思われる武器を抜き、歪虚へと向かう。対し歪虚は……ちらりとこちらを見ただけで、すぐに前……仲間たちが戦っている方を向く。
「気にする必要も無いと……? 舐めるな!」
駆け抜け様、刀を振り抜く。敵は軽く上体を反らす。それでも躱し切れず刀は敵の腹部を切り裂く。だが、そのダメージを意に介することも無くそのまま引き金を引く。アルト、ではなく恐らくは遠方のアーマーパイロットに向かって。
「こいつ……!」
『アルトさん! 下がってください!』
無線を通じ声が聞こえる。反対方向から向かってくる遥だ。ファイアーボールを放つ準備をしているようだ。巻き込まれないようにそのまま距離を取るアルト。遥はそのままファイアーボールを敵の頭上へ撃ち込む。爆発した火球は頭上から衝撃でダメージを与えるとともにその動きを抑制する。その攻撃の効果があったのか、敵は腰かけた岩に腕をつく。
「効いた! よし、このまま……」
その時、後方にパッと燃えるような光が発せられる。これで6度目の、アーマーがグレネードを使用した光だろう。それを見た歪虚は不意に立ち上がり、銃を構える。
攻撃の為最接近していたアルトはすぐさま身構える。だが、敵が狙ったのは遥の方。さらに言えば、遥の乗っている馬だった。撃ち抜かれた馬は苦痛に嘶くとその場に倒れる。遥は飛び降り、すぐに態勢を整える。
さらに、攻撃を仕掛けるため接近したアルトの剣戟を腕で受けると、歪虚はライフルで今度はアルトの乗る馬、その足を殴打。歪な方向に足は曲がり転がり倒れる馬。アルトの方は走っていた勢いで前に投げ出される。
「くっ……何を……」
こちらもすぐに態勢を立て直す。だが、投げ出されている間に歪虚はその場を離れ始めている。
「逃がすわけには……」
いかない、と言おうとした遥。だが、敵はすぐにファイアーボールの射程外に出てしまう。馬がいなければかなりの軽装でないと追いつけないだろう。それはアルトにしても同じだ。
「……追っても、無駄か」
此処は敵地だ。この先……あの歪虚が向かう先にはまだ敵の増援がいるかもしれない。
結局、二人は歪虚が逃げていくのを見ていることしかできなかった。ただ、それでも多少の手傷は与えたし、とりあえず狙撃による障害を排除できたのだ。これで良しとしなければいけないだろう。
●
かなりの数を倒してきたが、ダメージ・疲労……それらの蓄積具合もまた半端なものでは無かった。
「く……このぉっ!!」
ブレイドの攻撃を飛び退いて躱すアイビス。だが、後方から接近してきていたブレイドの剣がアイビスを突き刺す。血を吐き、その場に膝を折るアイビス。そこを狙いしましたかのようにヒュージが腕を振り下ろす。
「させるか!」
槍を大きく振るいながら飛び込んできた兵衛。横殴りに渾身撃。ヒュージの腕が吹っ飛ぶ。だが、その兵衛に別の敵が攻撃を仕掛け……
「……ん? これは……」
致命傷を負うかと思われた兵衛。だが、その傷は多少癒えた。ユキヤのヒールだ。
「間に合った……こっちはもう駄目みたいなので……」
その言葉を最後に倒れるユキヤ。背後からブレイドの剣が突き刺さっている。
「くそっ!」
アイビスを抱える兵衛。そこに殺到するスケルトンたち。万事休すか……
「オラァ!」
窮地を救ったのはやはり魔導アーマーだった。棍棒を振りかざし突っ込んでくるレオーネ機。
「狙撃が出来るのはあいつだけじゃねーっす!」
魔導アーマー上から接近する敵を確認していた神楽がライフルを取り出し狙撃。その間にヒュージから魔導アーマーごと殴りつけられる。揺らぐアーマー。だが、倒れない。この4足故の安定性が魔導アーマーの強みかもしれない。乗っていた神楽も一緒にダメージを受けるが、自己治癒1回で回復できる範囲だ。問題ない。
「もっと前に出るぞ!」
『了解したわ』
クロウが指示し、それに従いロベリア……それに帝国兵達もアーマーを前に出す。
その間に兵衛はアイビスをアーマーの後ろに。ユキヤは……パイロットを務めていない帝国兵が連れ出してくれたみたいだ。
前衛が踏ん張ったお陰でアーマーもほとんど損傷を受けておらず、ヒュージには多少手を焼いたがそのまま敵を殲滅することに成功した。
「……よし、大方片付いたみたいだな」
周辺を確認したクロウは無線を通じ後方にいた魔導トラックに連絡する。
「あ、二人が戻ってきたわよ」
アーマーをトラックに乗せている最中、ロベリアが戻ってきたアルトと遥を見つけた。
「すみません、逃げられました」
「気にすんなって。追い返せただけでも上々だろ」
レオーネがそう言って労うと、すぐに撤退作業が再開される。
最終的にハンターたちが相手にしたスケルトンの群れは大小合わせて300に届こうかという数であったが、それらも全て撃破された。
多少被害は出たものの想定範囲には収まっていると思われる。こうして、この方面の帝国軍は無事撤退することに成功し、残された歪虚の残骸はやがて塵となって消えていったのだった。
「よし、行ってくれ」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)の言葉に従いイヌワシが舞い上がる。乗せられたのは妖精、それに無線機。上空から偵察を行わせようというのだ。
(場合によっては撃ち落とされることもある。それでも……あの狙撃手を放置してく訳にはいかないから……)
アルトにとっても苦渋の選択だったであろう。イヌワシと妖精も主人の意図を汲んだのだろう。臆せず空を飛ぶ。
その間に接敵したのは榊 兵庫(ka0010)、ユキヤ・S・ディールス(ka0382)、アイビス・グラス(ka2477)の3人。
「不利な戦場に立つのは何時もの事だ」
兵衛は敵の密集地に飛び込むと手に持つ槍を上段に構え薙ぎ払う。
「俺は俺の出来ることをするまでだな」
凄まじい威力だ。一振りで3体のスケルトンを纏めて斬り払う。
さらに続いたユキヤ。
「可能な限り引き付けて……まぁこれだけいるならあまり関係ありませんか」
敵の接近を一拍待ってから、セイクリッドフラッシュを使用するユキヤ。放たれた光はスケルトンたちには高い効果を発揮し、範囲に入っていた敵を瞬時に消滅させる。
「多少の不利は承知の上。でも……」
アイビスは馬で突っ込んでいくと、片手で手綱を、片手で拳を握る。
「これが私なりの戦い方なんだからね!」
衝撃拳による打突。衝撃は頭蓋から全身に駆け抜けスケルトンを崩壊させるに至る。
本来であれば、拳での殴打は馬上からでは現実的ではないだろう。この点では長物を使う兵衛、魔法を使うユキヤの方が理にかなった動きと言える。だが、その威力と精度に関しては二人に勝るとも劣らない。
前線組が前に出ていくのに合わせ、魔導アーマー組は陣形を整えつつ前進を開始。
『あまり突出しないように気を付けるっすよ……出撃っす、魔導機!』
「了解、そっちも気を付けろよ!」
神楽(ka2032)と無線機で連絡をとりつつレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)は最前列にいた一際大きいヒュージスケルトンを狙う。レオーネの手元と連動して駆動音を鳴らすアーマー。ヒュージもレオーネを狙っているようだが、攻撃される前に横から棍棒で殴りつける。倒れるヒュージ。それに巻き込まれ数体のスケルトンが倒れていく。「ダメージ……にはならないだろうけど動きを抑制するには充分だろ」
神楽の方も近接攻撃を仕掛ける。
「ひゃはは! 蹴散らすッす、鉄巨人!」
言葉とともに振るう棍棒、はじけ飛ぶスケルトンたち。それはそうとさっき魔導機と言ってた気もするが、何事もノリだ。
それを援護するのは八代 遥(ka4481)のファイアーボール。
「生者を屍に、屍を塵に。我が理にて歪みを裁く。虚ろなる兵よ、汝ら正しき姿へと還るがいい!!」
詠唱と共に火球が敵に撃ち込まれる。凄まじい威力の魔法……それが複数体を巻き込むように撃ち込まれるのだから敵にしてみればたまったものでは無いだろう。
「まずは上々といったところね」
ロベリア・李(ka4206)は周囲を見渡す。当初ロベリアが想定していたのはレオーネ、神楽の乗る機体が両翼を担い前進。それに帝国兵とクロウ、ロベリアが追従するという形だ。今のところその想定通りの陣形となっているようだ。
「しかし、魔導アーマーに乗ってみると良くわかるわね」
分かるとロベリアが言ったのは敵……その数の膨大さだ。だが、同時にロベリアは悟った。敵の戦闘力は大したことは無いと。中にはスケルトンブレイドと呼ばれるやや強力な個体もいるものの、スケルトンたち自体はそんなに強い相手ではない。
(このまま優勢に運べる……いいえ、それは難しいわね)
そんななか、ハンターたちの誰もが不安要素に上げていた事態が発生する。
「来た!」
ロベリアの横に立つ機体の風防が破壊され、パイロットを務めていた帝国兵が狙撃される。
「大丈夫か!?」
『はい、こちらは問題無し……とは言えませんが、まだやれます!』
レオーネの問いかけに、無線を通じ帝国兵からの声が届く。後方の機導師が防御障壁を使用して防御。さらに風防による衝撃の緩和、パイロットが闘狩人だったこともあり、なんとか耐えきる。当たり所が良かったのもあるか、もう一発ぐらいなら耐えられそうだ。
「よし……狙撃位置からやっぱり敵はスケルトンたちの向こうにいるみたいだぜ!」
パイロット各位が無線機を通じて情報をやりとりする。そして、アルト……
「……分かった。ありがとう」
妖精からの通信だろう。それによると、スケルトン集団を超えた先に大きな銃を構えた人影を見つけたという。
「私が向かう、後は頼んだ!」
アルトはすぐさま動き出す。その行先はまっすぐ狙撃手の方……ではなく、スケルトンたちを割けるように大回り。徒歩で行くならかなりの距離になるだろうが、馬に乗ればそう時間はかからない。
「私も、逆方向から敵へ向かいます」
再度ファイアーボールを撃ち込んだ遥は、アルトを援護するためにこちらは逆方向から移動を開始する。
……だが、この二人の離脱は前衛として敵と戦っていた三名への負荷増大を招くことになった。
●
前線で3人が踏ん張ってくれているおかげでアーマー組への攻勢はそれほどではない。そうなると、視点も高いためか俄然戦況も見やすくなる。
「合わせていくっすよ、狙いが被らないように注意っす!」
『了解!』
神楽は帝国兵と無線でタイミングを合わせフレアグレネード使用。弾頭は山なりに飛び……着弾。同時に爆発が起こり、爆心から半径10m程の範囲が燃える。中央にいたヒュージはその一発で焼却処理される。周辺に群がっていたスケルトンも同様。更に、フレアグレネードがもたらした炎上効果がその周囲を火の海と化し敵を焼いていく。
「ふははは! 圧倒的ではないか我が軍はっす~!」
高笑いを上げる神楽。とはいえ、言うほど余裕を持ってはいられなさそうだ。敵はまだまだ数限りない。
『っ……狙撃手の野郎容赦ねぇな……おい、そろそろ押し時じゃないか?』
「……そうね。なるべくタイミングは合わせて」
その様子を確認したロベリア。狙撃を受けたものの意外とピンピンしているクロウからの連絡もあり、使用タイミングを測る。狙いは敵前方集団の3列目あたり……
「……いいえ、あの辺りは味方もいる、か……射程的には大丈夫だし、もっと奥の敵を狙いましょう」
『了解だ』
後方の敵を狙いロベリアがグレネードを発射。やや遅れてクロウも攻撃を行う。
「しまった!」
頭上で弾頭が飛ぶ最中、馬上から攻撃をしていたアイビス。やはりというか動きに無理が出てくる。敵頭上から拳を振り下ろした際、逆側から攻撃される。すぐさま上体を戻し雅龍で防御を……だが、携帯品を取り出す間もなく、スケルトンの攻撃は馬に当たり、そのまま倒される。
「まだよ!」
だが、転ばされてもただでは起きない。馬の背を利用した立体攻撃によりスケルトンの頭上へ飛びあがり、拳でその頭蓋を粉砕する。
だが、着地直後別のスケルトンが周囲から攻撃してくる。それら全てに対処するのはアイビスといえど難しい。ここにきて広範囲を攻撃する手段を持たないことが仇となってきた。
他方、兵衛は馬の機動力を活かして離脱を図ろうとする際に敵がいない方向へ移動を行う……その方向転換の隙に馬が攻撃され落馬する。
「こう多くてはな……」
もちろん兵衛は槍の間合いを活かして戦うことで懐に入られないよう配慮はしていた。だが、馬上からではどうしても右に槍を振るえば左、左に振るえば右に隙が生まれる。
「……言っても仕方ないか……さぁ来い!」
すでに囲まれている。兵衛は薙ぎ払いでスケルトンを処理していく。
「初手以外は回復を主眼に……なんて考えてたんですけどね」
ユキヤの方ではついに6度目のセイクリッドフラッシュ。自身を中心とした周囲全体に影響するこの魔法で寄ってくるスケルトンを片っ端から撃破していく。グレネードによる物を除けば頭一つ以上抜けた戦果だ。ただ、問題なのはヒールを使う余裕が無いという事。
(アイビスさんの姿が見えない。兵衛さんも。二人とも落馬した? ダメージはどうなってる?)
無線機を使って連絡……いや、そんなことが出来る余裕がお互いにあるはずもない。
一瞬の思考。それが隙となる。味方がいることなどお構いなしに向かってきたヒュージが薙ぎ払うように腕を振るう。避けきれないユキヤ。馬ごと殴り倒され地面を転がる。そこに群がるスケルトンたち。それに対しユキヤはセイクリッドフラッシュを使用。これが最後の一発だ。周囲の敵は一瞬で消滅する。が、その先にはまた新たな敵が待っている。
「ちっ……お前の相手はオレだぁっ!」
ユキヤに攻撃を加えたヒュージに対するためにスケルトンを薙ぎ払いつつ接近していくレオーネ。そこを狙い遠方から狙撃が行われるが、弾道は逸れる。そのままアーマーで体当たりを敢行し、敵を怯ませる。
「よし……って、近寄ってくんじゃねぇよ!」
だが、敵中に突っ込んだためかスケルトンが寄ってくる。それらを振り払いながらも態勢を整え、レオーネはグレネードを使用した。
●
時は少し遡る。
「……あれか」
アルトは馬を駆り大きく右……敵集団からすれば左翼側を迂回していく。その結果多少時間はかかったもののスケルトンの相手をすることなく目標とした敵……やや大きめの岩に腰かけていた狙撃手のもとへとたどり着く。
(特に変わったものはない。大型のライフルを抱えているだけか……)
今迄戦ってきた歪虚、その中の高位歪虚には特殊能力でもって射撃距離や角度を変えるような敵がいた。だが、この敵は違う。あくまでシンプルに狙撃を行う。
「けど、これ以上自由に狙撃は行わせない」
刀……というにはいささか歪とも思われる武器を抜き、歪虚へと向かう。対し歪虚は……ちらりとこちらを見ただけで、すぐに前……仲間たちが戦っている方を向く。
「気にする必要も無いと……? 舐めるな!」
駆け抜け様、刀を振り抜く。敵は軽く上体を反らす。それでも躱し切れず刀は敵の腹部を切り裂く。だが、そのダメージを意に介することも無くそのまま引き金を引く。アルト、ではなく恐らくは遠方のアーマーパイロットに向かって。
「こいつ……!」
『アルトさん! 下がってください!』
無線を通じ声が聞こえる。反対方向から向かってくる遥だ。ファイアーボールを放つ準備をしているようだ。巻き込まれないようにそのまま距離を取るアルト。遥はそのままファイアーボールを敵の頭上へ撃ち込む。爆発した火球は頭上から衝撃でダメージを与えるとともにその動きを抑制する。その攻撃の効果があったのか、敵は腰かけた岩に腕をつく。
「効いた! よし、このまま……」
その時、後方にパッと燃えるような光が発せられる。これで6度目の、アーマーがグレネードを使用した光だろう。それを見た歪虚は不意に立ち上がり、銃を構える。
攻撃の為最接近していたアルトはすぐさま身構える。だが、敵が狙ったのは遥の方。さらに言えば、遥の乗っている馬だった。撃ち抜かれた馬は苦痛に嘶くとその場に倒れる。遥は飛び降り、すぐに態勢を整える。
さらに、攻撃を仕掛けるため接近したアルトの剣戟を腕で受けると、歪虚はライフルで今度はアルトの乗る馬、その足を殴打。歪な方向に足は曲がり転がり倒れる馬。アルトの方は走っていた勢いで前に投げ出される。
「くっ……何を……」
こちらもすぐに態勢を立て直す。だが、投げ出されている間に歪虚はその場を離れ始めている。
「逃がすわけには……」
いかない、と言おうとした遥。だが、敵はすぐにファイアーボールの射程外に出てしまう。馬がいなければかなりの軽装でないと追いつけないだろう。それはアルトにしても同じだ。
「……追っても、無駄か」
此処は敵地だ。この先……あの歪虚が向かう先にはまだ敵の増援がいるかもしれない。
結局、二人は歪虚が逃げていくのを見ていることしかできなかった。ただ、それでも多少の手傷は与えたし、とりあえず狙撃による障害を排除できたのだ。これで良しとしなければいけないだろう。
●
かなりの数を倒してきたが、ダメージ・疲労……それらの蓄積具合もまた半端なものでは無かった。
「く……このぉっ!!」
ブレイドの攻撃を飛び退いて躱すアイビス。だが、後方から接近してきていたブレイドの剣がアイビスを突き刺す。血を吐き、その場に膝を折るアイビス。そこを狙いしましたかのようにヒュージが腕を振り下ろす。
「させるか!」
槍を大きく振るいながら飛び込んできた兵衛。横殴りに渾身撃。ヒュージの腕が吹っ飛ぶ。だが、その兵衛に別の敵が攻撃を仕掛け……
「……ん? これは……」
致命傷を負うかと思われた兵衛。だが、その傷は多少癒えた。ユキヤのヒールだ。
「間に合った……こっちはもう駄目みたいなので……」
その言葉を最後に倒れるユキヤ。背後からブレイドの剣が突き刺さっている。
「くそっ!」
アイビスを抱える兵衛。そこに殺到するスケルトンたち。万事休すか……
「オラァ!」
窮地を救ったのはやはり魔導アーマーだった。棍棒を振りかざし突っ込んでくるレオーネ機。
「狙撃が出来るのはあいつだけじゃねーっす!」
魔導アーマー上から接近する敵を確認していた神楽がライフルを取り出し狙撃。その間にヒュージから魔導アーマーごと殴りつけられる。揺らぐアーマー。だが、倒れない。この4足故の安定性が魔導アーマーの強みかもしれない。乗っていた神楽も一緒にダメージを受けるが、自己治癒1回で回復できる範囲だ。問題ない。
「もっと前に出るぞ!」
『了解したわ』
クロウが指示し、それに従いロベリア……それに帝国兵達もアーマーを前に出す。
その間に兵衛はアイビスをアーマーの後ろに。ユキヤは……パイロットを務めていない帝国兵が連れ出してくれたみたいだ。
前衛が踏ん張ったお陰でアーマーもほとんど損傷を受けておらず、ヒュージには多少手を焼いたがそのまま敵を殲滅することに成功した。
「……よし、大方片付いたみたいだな」
周辺を確認したクロウは無線を通じ後方にいた魔導トラックに連絡する。
「あ、二人が戻ってきたわよ」
アーマーをトラックに乗せている最中、ロベリアが戻ってきたアルトと遥を見つけた。
「すみません、逃げられました」
「気にすんなって。追い返せただけでも上々だろ」
レオーネがそう言って労うと、すぐに撤退作業が再開される。
最終的にハンターたちが相手にしたスケルトンの群れは大小合わせて300に届こうかという数であったが、それらも全て撃破された。
多少被害は出たものの想定範囲には収まっていると思われる。こうして、この方面の帝国軍は無事撤退することに成功し、残された歪虚の残骸はやがて塵となって消えていったのだった。
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質問卓 ロベリア・李(ka4206) 人間(リアルブルー)|38才|女性|機導師(アルケミスト) |
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相談卓 八代 遥(ka4481) 人間(リアルブルー)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/22 22:03:48 |