ゲスト
(ka0000)
サワガニは作画崩壊しません
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/09 22:00
- 完成日
- 2014/08/12 11:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「カニが食べたい」
ぼそりと領主がつぶやいた一言で、コックの表情が凍りついた。
長年側仕えをしている執事も、ビクッと肩を震わせた。
この領主、人徳もあれば良識もあり、使用人にとってありがたい存在ではあった。たいていのワガママや思いつきも押し通したりすることなく、寝れば忘れるのだ。
しかし、食に関してだけは執拗な思いを持っているのだった。
すぐさまコックは領主へと近づき、頭を下げつつ伺う。
「領主様、カニというのは海から取り寄せるカニのことでよろしいでしょうか?」
コックがわざわざ確認するように、領主へ下でに出たのにはわけがあった。嫌な予感がひしひしとするのだ。そして、予感はすぐに的中する。
領主は、クビを横にふった。
それだけで、コックは泣きそうになるし執事は天井を見上げて、目から光を失う。簡潔に言えば、材料の調達についての困難をあれこれと考えているのだ。
「それでは、もしかすると、もしかすればですが……」
言葉を選び、コックが困惑しているのを見かね、領主が先に告げる。
「最近領内で噂の、超巨大沢ガニだよ」
「なるほど……」
「困難なのはわかっている! でもね、食べてみたくなるじゃない!?」
コックの裾を掴み、涙ながらに訴えるヒゲおやじ。領主も欲望の前には、ただの人である。
ぐらぐらと体を揺らされながら、コックはあーうーと唸る。
「何とかしましょう。できるね?」
見るに見かねて執事が、仲裁に入る。
解放されたコックは、執事の問いかけにすぐには答えられない。領主がどうなのっと子供のような眼差しで見つめてくる。
「で、き、る、ね?」
重ねて執事は問いかけた。その声には、逃げだところで回り込まれるのだろうと想像できる何かが含まれていた。
コックは観念し、思わず頷いてしまう。
その途端、領主は目を輝かせて、
「本当か? 本当に食べれるのか!?」
と大喜びだ。
これには、コックと執事は苦笑いを浮かべつつ頷くしかなかった。
領主が去った後、コックは執事に泣き迫る。
「どうするんですか!?」
「どうもこうもなかろう。こんな時にこそ頼むべきところがある」
泣き叫ぶコックをなだめながら、執事は屋敷の予算を思い浮かべる。
「それに、領内の異変なのだからいずれは対処が必要であったしな」
必要経費という言葉が、何度も頭を行き交う。
そう、必要経費、必要経費なのだ。
「さて、依頼を出すとしよう」
執事は使いの者を呼び出すと、早速ハンターオフィスへ向かわせるのだった。
●
「ポキッ、ジュワっ、ちゅるるん!」
カニを食べるような仕草をしながら、オフィススタッフは依頼書を示す。
「失礼。思わず、食べたくなりました。カニです」
どうやらカニには魔力でもあるのだろうか。
「依頼内容は、雑魔とおぼしき巨大ガニの討伐とその身体の確保です。要は食べたいので取って来いとのことですね。食欲旺盛なのはいいことです」
恨めしそうな顔で依頼書を見るスタッフである。
仕切りなおすように咳払いをし、雑魔について説明を加える。
「この領内にある沢で度々の目撃情報がありますね。どうやら一目見ただけで巨大だとわかる大きさのようです。ハサミが強力で、時折試し切りをするように周囲の木々を切っているとか。凶暴性は高いと思われ、沢のある森は封鎖している状態にあるとのこと。一匹だと思いたいですが、複数いるかもという話もあります」
食べるのに関係なく、早めの対処が必要そうですねとスタッフは結ぶ。
「攻撃手段は、ハサミ以外は未確定です。ただ、遠方から見ていた自警団員が泡のようなものを吐いているのを見たとのこと。注意してください」
そんなところでしょうか、とスタッフはいう。
「あ、領主の計らいで無事に確保できたら一緒に食べていいらしいですよ。羨ましいですね、畜生」
心の声をダダ漏れである。
「さて、どうします? 受けますか?」
そして、あなたたちに問いかけるのだった。
「カニが食べたい」
ぼそりと領主がつぶやいた一言で、コックの表情が凍りついた。
長年側仕えをしている執事も、ビクッと肩を震わせた。
この領主、人徳もあれば良識もあり、使用人にとってありがたい存在ではあった。たいていのワガママや思いつきも押し通したりすることなく、寝れば忘れるのだ。
しかし、食に関してだけは執拗な思いを持っているのだった。
すぐさまコックは領主へと近づき、頭を下げつつ伺う。
「領主様、カニというのは海から取り寄せるカニのことでよろしいでしょうか?」
コックがわざわざ確認するように、領主へ下でに出たのにはわけがあった。嫌な予感がひしひしとするのだ。そして、予感はすぐに的中する。
領主は、クビを横にふった。
それだけで、コックは泣きそうになるし執事は天井を見上げて、目から光を失う。簡潔に言えば、材料の調達についての困難をあれこれと考えているのだ。
「それでは、もしかすると、もしかすればですが……」
言葉を選び、コックが困惑しているのを見かね、領主が先に告げる。
「最近領内で噂の、超巨大沢ガニだよ」
「なるほど……」
「困難なのはわかっている! でもね、食べてみたくなるじゃない!?」
コックの裾を掴み、涙ながらに訴えるヒゲおやじ。領主も欲望の前には、ただの人である。
ぐらぐらと体を揺らされながら、コックはあーうーと唸る。
「何とかしましょう。できるね?」
見るに見かねて執事が、仲裁に入る。
解放されたコックは、執事の問いかけにすぐには答えられない。領主がどうなのっと子供のような眼差しで見つめてくる。
「で、き、る、ね?」
重ねて執事は問いかけた。その声には、逃げだところで回り込まれるのだろうと想像できる何かが含まれていた。
コックは観念し、思わず頷いてしまう。
その途端、領主は目を輝かせて、
「本当か? 本当に食べれるのか!?」
と大喜びだ。
これには、コックと執事は苦笑いを浮かべつつ頷くしかなかった。
領主が去った後、コックは執事に泣き迫る。
「どうするんですか!?」
「どうもこうもなかろう。こんな時にこそ頼むべきところがある」
泣き叫ぶコックをなだめながら、執事は屋敷の予算を思い浮かべる。
「それに、領内の異変なのだからいずれは対処が必要であったしな」
必要経費という言葉が、何度も頭を行き交う。
そう、必要経費、必要経費なのだ。
「さて、依頼を出すとしよう」
執事は使いの者を呼び出すと、早速ハンターオフィスへ向かわせるのだった。
●
「ポキッ、ジュワっ、ちゅるるん!」
カニを食べるような仕草をしながら、オフィススタッフは依頼書を示す。
「失礼。思わず、食べたくなりました。カニです」
どうやらカニには魔力でもあるのだろうか。
「依頼内容は、雑魔とおぼしき巨大ガニの討伐とその身体の確保です。要は食べたいので取って来いとのことですね。食欲旺盛なのはいいことです」
恨めしそうな顔で依頼書を見るスタッフである。
仕切りなおすように咳払いをし、雑魔について説明を加える。
「この領内にある沢で度々の目撃情報がありますね。どうやら一目見ただけで巨大だとわかる大きさのようです。ハサミが強力で、時折試し切りをするように周囲の木々を切っているとか。凶暴性は高いと思われ、沢のある森は封鎖している状態にあるとのこと。一匹だと思いたいですが、複数いるかもという話もあります」
食べるのに関係なく、早めの対処が必要そうですねとスタッフは結ぶ。
「攻撃手段は、ハサミ以外は未確定です。ただ、遠方から見ていた自警団員が泡のようなものを吐いているのを見たとのこと。注意してください」
そんなところでしょうか、とスタッフはいう。
「あ、領主の計らいで無事に確保できたら一緒に食べていいらしいですよ。羨ましいですね、畜生」
心の声をダダ漏れである。
「さて、どうします? 受けますか?」
そして、あなたたちに問いかけるのだった。
リプレイ本文
●
「カニって、猟師が狩るモノでしたっけ?」
沢を目指す道中、不知火陽炎(ka0460)はそんな疑問を口にする。
「まぁまぁ、ドカン! と殴ってガツン! といっちゃおうか!」
アーシェ・ネイラス(ka1066)は回転ノコギリの魔導機械を構え、意気込みを語る。
大きい敵とやりあえるということが、アーシェは楽しみだった。
「仕事ですし、しっかりとこなしますよ」
アーシェほどではないにせよ、陽炎も気を持ち直す。
「こちらではカニってどんな感じに食べてるんですかね? ゆでて足をもそもそと食うぐらいしかボクやったことないんですけども」
陽炎たちの少し後ろで、志乃原・勇雅(ka1411)が問いかける。
ハスキー(ka2447)は記憶を探るように、首を傾げる。
「蟹ってぇのはそんなに良いもんだっけか……? 正直、良く覚えてねぇんだよなぁー……」
何となくスタッフの感じから、めったに食べられない高級品らしい臭がした、ことぐらいしかわからない。
「美味しいわよ。寒~い時期に食べるかに鍋も格別だけど……。食欲の落ちる暑い季節に、さっぱりとしたお出汁でちゅるんと食べるカニも良いよね!」
話に割って入ったのは、サトコ・ロロブリジーダ(ka2475)だ。笑顔でカニのことを楽しみにしているように見える、が。
(クク、凡百の地方領主だろうが、取り入っておいて損はねぇだろ)
と黒い腹づもりはバッチリであった。
食べることを前提にしている中、懸念を示したのは坂斎 しずる(ka2868)だった。
「サワガニって……本当に大丈夫なの?」
難しい顔で、しずるは方をすくめた。
「領主からの依頼を私みたいな駆け出しにも回してくれるのには感謝だけど、毒見役は御免だわ」
「そうですね。森に居た時は良く食べてましたが」
しずるに答えたのは、シェリス・トゥーレシア(ka0270)だ。エルフとしての知識から、サワガニについて思い至ることを述べる。
少なくとも、森に生息するサワガニを食べることはよくあるらしい。大きさも海のカニとそれほど変わらないものもいる。もちろん、それなりに高級食材だ。
「ただ、大きくなっても味は同じなのでしょうかね。気になりますわ」
一般的なサワガニが雑魔になったのであれば、毒はないというのがシェリスの出した結論だった。
気になるところだが、まずは倒さなければならない。しずるは、地形を見渡しながら戦場を把握していた。不意に、先頭を歩いていたタディーナ=F=アース(ka0020)が立ち止まる。
「さて、見えてきたよ」
視線の先には、複数のカニ。中央には、どっぷりとした体の大ガニが鎮座していた。
「1匹と思ったら! カニは縄張り意識強いからあの大きいのが集団のボス……かな?」
優雅が目の前のカニたちに、目を丸くする。そんな優雅に声を抑えるように告げ、タディーナがすっと班分けを促す。
タディーナの手には、麻袋。それに川原の石を詰めながら、じっとカニの一匹を見やる。
もう一班の陽炎が、合図を出す。配置が完了し、狩りが始まった。
●
A班は全体の左側に陣営を展開していた。
タディーナは即席のサップを手にし、カニを見やる。水辺でじっとしているカニたちは、大人しい生物にしか見えない。
だが、タディーナの立っている周辺の木々は、ところどころ強い力でねじ切られたような跡が見られた。
「始めようかね」
精神を研ぎ澄ませ、目の前のカニに意識を向ける。その中の一匹に狙いをつける。
まずは、中型だ。集中が高まったと同時に、光を放つエネルギーの矢を、カニへ向けて射出した。
「おっと、気づいたようだね」
体がこちらに向いたのを確認し、林の方へ引き込む。カニは水辺から上がるかどうかのところで、迷うような仕草を見せた。
「きちんとついてきてくれなきゃ、困りますよ」
勇雅が重ねるように、マジックアローを放つ。二度の衝撃に、今度はいきり立つ。ハサミを掲げて、横……ではなく真正面からダッシュしてくるのだ。
勇雅も林の中へ紛れていったが、タディーナは林の中程で立ち止まった。たばこを吸いながら、カニの到来を待つ。
「ほら、きなよ」
攻撃を誘うと、カニバサミを大きく振り上げて、そのまま振り下ろした。
思った以上に素早い動きに、とっさに腕でかばう。
エリシャ・カンナヴィ(ka0140)から聞いていた、状況を見てきっちりと判断しないとというアドバイスを思い出したのだ。初撃を受けて、何となく攻撃の動作が見えた気がした。
●
A班の行動と同時に、B班も攻撃を開始した。まずは、サトコと陽炎が前方に出てカニをおびき出す。
慎重にサトコは周囲を見渡す。見えない位置にいられては、たまらないからだ。幸い、あのクラスの大きさで動いている生物の気配はない。
(雑魔相手の戦闘はいかに先手を取れるかが肝だ、雑魚相手だろうと油断はしねーさ)
不敵な笑みを浮かべながら、カニへと集中を高める。まだ、相手はこちらに気づいてはいない。
鋭い風を生み出し、カニへと浴びせかけた。狙い通り、こちらへ……真正面に突っ込んできた。
「さぁ、こっちですよ」
陽炎もアサルトライフルを抜き放ち、こちらへ向かうカニへ弾丸を叩き込む。
だが、軽快な横移動をも駆使しカニは弾丸を避けてみせた。
「っそ、カニのクセに変な動きしやがるッ、やり辛ぇ!」
思わずサトコは心の声を漏らす。幸いにもカニの動きに気を取られて、誰にも聞かれてはいなかったが。
サトコは林の木の裏へ回りこみ、陽炎は後ずさりながらカニを抑えに入る。
接近戦をこなせるメンバーが、B班には少ないのだ。
「なかなか、素早いですね」
横薙ぎに払われたハサミを脚部に受けつつ、陽炎はぐっとアルケミストタクトを握るのだった。
●
タディーナがカニを引きつけるA班では、ハサミの二撃目をタジェーナが受けつつも反撃を返していた。手に持っていたサップを、振り当てたのである。
カニのハサミにある可動指を攻撃を受けながらも、確実に仕留める。その瞬間、カニの動きが止まった。
「やっと出番だぜ」
するりと駆け寄ったハスキーが、動きの止まったカニの死角から仕掛ける。仕込み杖の刃が脚の関節へ食い込み、スパリと切断してみせる。
ごろりと転がるカニ足と、バランスを崩す本体へ追撃をかけるべく、アーシェが強く踏み込んでいった。
「ドカンと一発行くよ」
マテリアルを込めた魔導機械が唸りを上げ、歯車のような刃を回転させる。ガリガリと空を削る音をさせながら、さらに踏み込めば目玉付近に至る。
アーシェの一撃は、急所たるソコを潰してみせた。
この機会を逃すわけがない。
「最初の一匹ですね」
連撃で泡を吹き始めたカニを、勇雅が仕留める。鋭い風が、残る脚を切り落としたのだ。
だが、カニは絶命直前で叫び声を上げた。その叫び声が、沢に響く。
「勝手に荒ぶったようだね」
大ガニと残るサワガニが、こちらへ突進してくる。さらには、素早く泡を紡ぎだす。
泡は勇雅とハスキーの面前までふわりと降り立ち、はじけた。爆弾のような衝撃が当たりに撒かれる。ハスキーは防御を捨てて素早い身のこなしで、爆風の範囲から逃れる。勇雅は真正面から受けてしまっていた。
なおも、カニはA班へ向かう……。
●
A班が一匹目を屠る少し前、シェリスは祈りを捧げていた。
「さぁ、癒して差し上げますわ」
祈りがマテリアルの力を引き出し、陽炎の傷を癒す。シェリスに回復を頼みつつ、陽炎は光の剣でカニを切り裂いていた。
外殻が邪魔をして、思うダメージを引き出せてはいない。だが、陽炎が引きつけることが重要だった。
「陽炎さんが頑張っている間に、やっつけてあげないとね」
木から顔を出し、サトコはウィンドスラッシュを的確に放つ。外殻に守られているとはいえ、ところどころ弱い部分が先に切り裂かれる。
別の方向からは、しずるがカニを穿つ。
「鉛弾は食べれないものね」
身へと弾丸が入り込まないよう、目の部分に狙いをつける。カニが陽炎を狙って、ハサミを振り下ろした瞬間、同時に引き金を引いた。
マテリアルのこもった強烈な一撃が、カニの片目をえぐる。
撃つと同時にカニの動きに注意しながら、移動する。陽炎が射線にはいらないよう、しずるは注視していた。
そのときだ。
「なんだぁ!?」
突如聞こえてきた、金切り声のような音にサトコが思わず声を荒らげた。
すぐに、気づいて
「たいへーん、大きいのと中くらいのが一緒に向かっているよ」
と声色を修正する。
「サトコさん、一体引きつけてもらえますか?」
陽炎が、サトコに呼びかける。陽炎自身は、自分の運動性能を引き上げ、囮役を続ける決意を固めていた。
サトコが二つ返事で了解し、ウィンドスラッシュを中型のカニへ放つ。背後からの攻撃に、カニの進みが止まる。重ねて放つと、完全にサトコへの怒りを露わにしていた。
飛ばしてくる泡の爆弾からは、木を立てにして身を守る。
サトコが引きつけている間、最初のカニから再び陽炎が攻撃を受けていた。それをシェリスが回復していく。返す刀で陽炎も、カニの手足を切り落としてはいた。殻の部分に当たると、攻撃が弾かれるからか時間がかかる。
状況を見て、カニの死角からしずるが飛び出した。
「いい加減に、倒れなさいよ」
支柱となっていた脚の関節へ、両刃のナイフを突き立てる。そのまま捩じ切れば、バランスを崩したカニが地面に付す。
動けなくなれば、とどめを刺すのは簡単だ。陽炎の機導剣が残っていた目を切り落として、沈黙させた。
「これで、ひとまずは」
シェリスが陽炎をほぼ全快まで持って行き、こちらへ向かってくるカニを見据える。
全員が攻撃に転じるタイミングがやってきていた。
「さぁ、攻撃しましょう。聖なる力を纏いて。貫け、閃光」
シェリスが光弾を射出すれば、サトコが風の刃を重ねる。
動きが止まった瞬間を狙って、しずるが目玉を穿つ。反撃の泡攻撃は、サトコにならって林の木々に身を隠してかわす。
陽炎だけは、牽引役として真正面からアサルトライフルを放っていた。全員が攻撃に転じれば、その身をバラけさせるのは簡単だった。
見やれば、A班の戦いは続いていた。
●
B班がすべてを片付ける、少し前、タディーナは考えていた。
「さて、どうするか」
もう一度、サップを試すには体力が心もとない。機先を制するにも、泡を吐きながら向かってくるのでは危ない。
念のため、全身のマテリアルを活性化させ受けていた傷を癒やす。その間に、アーシェとハスキーがカニへと向かっていた。
大型だからといって、鈍重というわけではない。むしろ、重みのあるハサミは木々を当てただけでなぎ倒すほどのスピードを出す。
勇雅は光の矢を放ち、カニの動く方向に制限をかける。クリーンヒットは必要がない。要は、次の攻撃への布石となればいいのだった。
「いっくよ。思いっ切りガツンとね」
大ガニの前にグッと踏み込みを入れると、リボルビングソーでなぎ払うように脚を切り落とす。勇雅とアーシェの連続攻撃により、大ガニの動きが一瞬止まる。その隙を逃すようなハスキーではない。
近づいてきたアーシェを打ち払うように、ハサミが振り上げられる。
その瞬間、懐に潜り込んで、一閃。
関節ごと、ハサミを切り落とした。落下してきたハサミを素早く回避し、一度距離を取る。
今度は泡爆弾を撒きながら、大ガニは後退を試みるが
「左右も前も封じられたら、後ろですよね」
勇雅が逃さない。ハスキーの動きを見て、さらに押しとどめる。
「流れで行くか」
タディーナもこの連携の流れに紛れて、マジックアローを放つ。アーシェが執拗に甲羅を割りにかかり、ハスキーが脚を数本切り落としたところで、B班が合流した。
多勢に無勢。いかに大柄といっても、敵うものではない。
ものの十分ほどで、狩りは終わりを告げた。
●
「分担してやらないと、いけないわね」
目の前に伏せているカニ共を見ながら、しずるは肩をすくめる。
サトコの提案で、領主からもらった木箱に沢の水を汲みいれていく。ここへカニを入れていくことになったのだが、いかんせん、大きい。解体は、、戦いの中で行ったこともあって少しだけ楽だった。
運びきって疲れきったハンターたちをねぎらうべく、コックが意気揚々と調理に取り掛かる。
「コック殿でしたら、大丈夫と思いますが」
とシェリスがコックに一声かける。
「火をよく通してくださいね」
「もちろんですとも」
この忠告にコックはしっかりと頷き返した。
そんなコックからリアルブルーの料理について聞かれていた、ハンターの答えはまちまちだ。
「ここの食べ方が気になりますから、それを食べてみたいです」
勇雅は、クリムゾンウェストのかに料理に興味があると強くいう。もっとも、かに料理にそこまで詳しくないのもあったりした。
「カニ玉、カニクリームコロッケ、蟹焼売、蟹チャーハン、リゾット、あんかけ、松前焼き、カニ飯、色々ありますけど……」
陽炎は色々と答えてみるものの、貧乏舌だから高級食材は苦手だと詳しい話はするりとさけた。
なお、しずるは領主邸のキッチンの片隅で持て余されたようにちょこんと鎮座していた味噌を見つけ、味噌汁について教えていた。
「沢蟹は素揚げが美味いよ」
そう答えたタディーナは、中心の喧騒から離れておく。
いろいろな情報に惑わされつつ、コックが作った料理が並べられていく。
「よっし、食うぞ。あ、それは俺のだぜ!」
いの一番に更に向かっていったのは、ハスキーだ。喜びの声をあげながら、かたっぱしから味わっていく。
野性味あふれるハスキーを横に見ながら、クリムゾンウェストで食べられるというかに料理に勇雅は舌鼓を打つ。焼き物に煮物、汁物などと多彩な料理に目を白黒とさせていた。
「やっぱり、美味しいわね。こんな料理が食べられる領主様は、幸せですね」
サトコは領主の席近くを陣取っていた。下心が見え見えのため、執事が時折割って入る光景となっていた。
「意外といけるのね」
周りが食べるのに合わせ、おずおずと手を伸ばしていたしずるも、そんな感想を漏らしていた。
「かにみそが食べたかったのよね」
目当ての物にありつけ、アーシェはご満悦だった。その側ではシェリスも森にいた頃の味を懐かしんでいた。
端の方では、ひとりタディーナが粛々と酒とつまみになりそうな料理を味わう。
「お疲れ様でした、ごちそう様です」
手を合わせ、礼儀正しく陽炎が告げる。
あれだけあったかに料理はすっかりと平らげられていた。
「はっはっは、満足満足!」
領主もすっかり満足した様子だった。が、次のムチャぶりが来る前に、ハンターたちは屋敷を後にするのであった。
「カニって、猟師が狩るモノでしたっけ?」
沢を目指す道中、不知火陽炎(ka0460)はそんな疑問を口にする。
「まぁまぁ、ドカン! と殴ってガツン! といっちゃおうか!」
アーシェ・ネイラス(ka1066)は回転ノコギリの魔導機械を構え、意気込みを語る。
大きい敵とやりあえるということが、アーシェは楽しみだった。
「仕事ですし、しっかりとこなしますよ」
アーシェほどではないにせよ、陽炎も気を持ち直す。
「こちらではカニってどんな感じに食べてるんですかね? ゆでて足をもそもそと食うぐらいしかボクやったことないんですけども」
陽炎たちの少し後ろで、志乃原・勇雅(ka1411)が問いかける。
ハスキー(ka2447)は記憶を探るように、首を傾げる。
「蟹ってぇのはそんなに良いもんだっけか……? 正直、良く覚えてねぇんだよなぁー……」
何となくスタッフの感じから、めったに食べられない高級品らしい臭がした、ことぐらいしかわからない。
「美味しいわよ。寒~い時期に食べるかに鍋も格別だけど……。食欲の落ちる暑い季節に、さっぱりとしたお出汁でちゅるんと食べるカニも良いよね!」
話に割って入ったのは、サトコ・ロロブリジーダ(ka2475)だ。笑顔でカニのことを楽しみにしているように見える、が。
(クク、凡百の地方領主だろうが、取り入っておいて損はねぇだろ)
と黒い腹づもりはバッチリであった。
食べることを前提にしている中、懸念を示したのは坂斎 しずる(ka2868)だった。
「サワガニって……本当に大丈夫なの?」
難しい顔で、しずるは方をすくめた。
「領主からの依頼を私みたいな駆け出しにも回してくれるのには感謝だけど、毒見役は御免だわ」
「そうですね。森に居た時は良く食べてましたが」
しずるに答えたのは、シェリス・トゥーレシア(ka0270)だ。エルフとしての知識から、サワガニについて思い至ることを述べる。
少なくとも、森に生息するサワガニを食べることはよくあるらしい。大きさも海のカニとそれほど変わらないものもいる。もちろん、それなりに高級食材だ。
「ただ、大きくなっても味は同じなのでしょうかね。気になりますわ」
一般的なサワガニが雑魔になったのであれば、毒はないというのがシェリスの出した結論だった。
気になるところだが、まずは倒さなければならない。しずるは、地形を見渡しながら戦場を把握していた。不意に、先頭を歩いていたタディーナ=F=アース(ka0020)が立ち止まる。
「さて、見えてきたよ」
視線の先には、複数のカニ。中央には、どっぷりとした体の大ガニが鎮座していた。
「1匹と思ったら! カニは縄張り意識強いからあの大きいのが集団のボス……かな?」
優雅が目の前のカニたちに、目を丸くする。そんな優雅に声を抑えるように告げ、タディーナがすっと班分けを促す。
タディーナの手には、麻袋。それに川原の石を詰めながら、じっとカニの一匹を見やる。
もう一班の陽炎が、合図を出す。配置が完了し、狩りが始まった。
●
A班は全体の左側に陣営を展開していた。
タディーナは即席のサップを手にし、カニを見やる。水辺でじっとしているカニたちは、大人しい生物にしか見えない。
だが、タディーナの立っている周辺の木々は、ところどころ強い力でねじ切られたような跡が見られた。
「始めようかね」
精神を研ぎ澄ませ、目の前のカニに意識を向ける。その中の一匹に狙いをつける。
まずは、中型だ。集中が高まったと同時に、光を放つエネルギーの矢を、カニへ向けて射出した。
「おっと、気づいたようだね」
体がこちらに向いたのを確認し、林の方へ引き込む。カニは水辺から上がるかどうかのところで、迷うような仕草を見せた。
「きちんとついてきてくれなきゃ、困りますよ」
勇雅が重ねるように、マジックアローを放つ。二度の衝撃に、今度はいきり立つ。ハサミを掲げて、横……ではなく真正面からダッシュしてくるのだ。
勇雅も林の中へ紛れていったが、タディーナは林の中程で立ち止まった。たばこを吸いながら、カニの到来を待つ。
「ほら、きなよ」
攻撃を誘うと、カニバサミを大きく振り上げて、そのまま振り下ろした。
思った以上に素早い動きに、とっさに腕でかばう。
エリシャ・カンナヴィ(ka0140)から聞いていた、状況を見てきっちりと判断しないとというアドバイスを思い出したのだ。初撃を受けて、何となく攻撃の動作が見えた気がした。
●
A班の行動と同時に、B班も攻撃を開始した。まずは、サトコと陽炎が前方に出てカニをおびき出す。
慎重にサトコは周囲を見渡す。見えない位置にいられては、たまらないからだ。幸い、あのクラスの大きさで動いている生物の気配はない。
(雑魔相手の戦闘はいかに先手を取れるかが肝だ、雑魚相手だろうと油断はしねーさ)
不敵な笑みを浮かべながら、カニへと集中を高める。まだ、相手はこちらに気づいてはいない。
鋭い風を生み出し、カニへと浴びせかけた。狙い通り、こちらへ……真正面に突っ込んできた。
「さぁ、こっちですよ」
陽炎もアサルトライフルを抜き放ち、こちらへ向かうカニへ弾丸を叩き込む。
だが、軽快な横移動をも駆使しカニは弾丸を避けてみせた。
「っそ、カニのクセに変な動きしやがるッ、やり辛ぇ!」
思わずサトコは心の声を漏らす。幸いにもカニの動きに気を取られて、誰にも聞かれてはいなかったが。
サトコは林の木の裏へ回りこみ、陽炎は後ずさりながらカニを抑えに入る。
接近戦をこなせるメンバーが、B班には少ないのだ。
「なかなか、素早いですね」
横薙ぎに払われたハサミを脚部に受けつつ、陽炎はぐっとアルケミストタクトを握るのだった。
●
タディーナがカニを引きつけるA班では、ハサミの二撃目をタジェーナが受けつつも反撃を返していた。手に持っていたサップを、振り当てたのである。
カニのハサミにある可動指を攻撃を受けながらも、確実に仕留める。その瞬間、カニの動きが止まった。
「やっと出番だぜ」
するりと駆け寄ったハスキーが、動きの止まったカニの死角から仕掛ける。仕込み杖の刃が脚の関節へ食い込み、スパリと切断してみせる。
ごろりと転がるカニ足と、バランスを崩す本体へ追撃をかけるべく、アーシェが強く踏み込んでいった。
「ドカンと一発行くよ」
マテリアルを込めた魔導機械が唸りを上げ、歯車のような刃を回転させる。ガリガリと空を削る音をさせながら、さらに踏み込めば目玉付近に至る。
アーシェの一撃は、急所たるソコを潰してみせた。
この機会を逃すわけがない。
「最初の一匹ですね」
連撃で泡を吹き始めたカニを、勇雅が仕留める。鋭い風が、残る脚を切り落としたのだ。
だが、カニは絶命直前で叫び声を上げた。その叫び声が、沢に響く。
「勝手に荒ぶったようだね」
大ガニと残るサワガニが、こちらへ突進してくる。さらには、素早く泡を紡ぎだす。
泡は勇雅とハスキーの面前までふわりと降り立ち、はじけた。爆弾のような衝撃が当たりに撒かれる。ハスキーは防御を捨てて素早い身のこなしで、爆風の範囲から逃れる。勇雅は真正面から受けてしまっていた。
なおも、カニはA班へ向かう……。
●
A班が一匹目を屠る少し前、シェリスは祈りを捧げていた。
「さぁ、癒して差し上げますわ」
祈りがマテリアルの力を引き出し、陽炎の傷を癒す。シェリスに回復を頼みつつ、陽炎は光の剣でカニを切り裂いていた。
外殻が邪魔をして、思うダメージを引き出せてはいない。だが、陽炎が引きつけることが重要だった。
「陽炎さんが頑張っている間に、やっつけてあげないとね」
木から顔を出し、サトコはウィンドスラッシュを的確に放つ。外殻に守られているとはいえ、ところどころ弱い部分が先に切り裂かれる。
別の方向からは、しずるがカニを穿つ。
「鉛弾は食べれないものね」
身へと弾丸が入り込まないよう、目の部分に狙いをつける。カニが陽炎を狙って、ハサミを振り下ろした瞬間、同時に引き金を引いた。
マテリアルのこもった強烈な一撃が、カニの片目をえぐる。
撃つと同時にカニの動きに注意しながら、移動する。陽炎が射線にはいらないよう、しずるは注視していた。
そのときだ。
「なんだぁ!?」
突如聞こえてきた、金切り声のような音にサトコが思わず声を荒らげた。
すぐに、気づいて
「たいへーん、大きいのと中くらいのが一緒に向かっているよ」
と声色を修正する。
「サトコさん、一体引きつけてもらえますか?」
陽炎が、サトコに呼びかける。陽炎自身は、自分の運動性能を引き上げ、囮役を続ける決意を固めていた。
サトコが二つ返事で了解し、ウィンドスラッシュを中型のカニへ放つ。背後からの攻撃に、カニの進みが止まる。重ねて放つと、完全にサトコへの怒りを露わにしていた。
飛ばしてくる泡の爆弾からは、木を立てにして身を守る。
サトコが引きつけている間、最初のカニから再び陽炎が攻撃を受けていた。それをシェリスが回復していく。返す刀で陽炎も、カニの手足を切り落としてはいた。殻の部分に当たると、攻撃が弾かれるからか時間がかかる。
状況を見て、カニの死角からしずるが飛び出した。
「いい加減に、倒れなさいよ」
支柱となっていた脚の関節へ、両刃のナイフを突き立てる。そのまま捩じ切れば、バランスを崩したカニが地面に付す。
動けなくなれば、とどめを刺すのは簡単だ。陽炎の機導剣が残っていた目を切り落として、沈黙させた。
「これで、ひとまずは」
シェリスが陽炎をほぼ全快まで持って行き、こちらへ向かってくるカニを見据える。
全員が攻撃に転じるタイミングがやってきていた。
「さぁ、攻撃しましょう。聖なる力を纏いて。貫け、閃光」
シェリスが光弾を射出すれば、サトコが風の刃を重ねる。
動きが止まった瞬間を狙って、しずるが目玉を穿つ。反撃の泡攻撃は、サトコにならって林の木々に身を隠してかわす。
陽炎だけは、牽引役として真正面からアサルトライフルを放っていた。全員が攻撃に転じれば、その身をバラけさせるのは簡単だった。
見やれば、A班の戦いは続いていた。
●
B班がすべてを片付ける、少し前、タディーナは考えていた。
「さて、どうするか」
もう一度、サップを試すには体力が心もとない。機先を制するにも、泡を吐きながら向かってくるのでは危ない。
念のため、全身のマテリアルを活性化させ受けていた傷を癒やす。その間に、アーシェとハスキーがカニへと向かっていた。
大型だからといって、鈍重というわけではない。むしろ、重みのあるハサミは木々を当てただけでなぎ倒すほどのスピードを出す。
勇雅は光の矢を放ち、カニの動く方向に制限をかける。クリーンヒットは必要がない。要は、次の攻撃への布石となればいいのだった。
「いっくよ。思いっ切りガツンとね」
大ガニの前にグッと踏み込みを入れると、リボルビングソーでなぎ払うように脚を切り落とす。勇雅とアーシェの連続攻撃により、大ガニの動きが一瞬止まる。その隙を逃すようなハスキーではない。
近づいてきたアーシェを打ち払うように、ハサミが振り上げられる。
その瞬間、懐に潜り込んで、一閃。
関節ごと、ハサミを切り落とした。落下してきたハサミを素早く回避し、一度距離を取る。
今度は泡爆弾を撒きながら、大ガニは後退を試みるが
「左右も前も封じられたら、後ろですよね」
勇雅が逃さない。ハスキーの動きを見て、さらに押しとどめる。
「流れで行くか」
タディーナもこの連携の流れに紛れて、マジックアローを放つ。アーシェが執拗に甲羅を割りにかかり、ハスキーが脚を数本切り落としたところで、B班が合流した。
多勢に無勢。いかに大柄といっても、敵うものではない。
ものの十分ほどで、狩りは終わりを告げた。
●
「分担してやらないと、いけないわね」
目の前に伏せているカニ共を見ながら、しずるは肩をすくめる。
サトコの提案で、領主からもらった木箱に沢の水を汲みいれていく。ここへカニを入れていくことになったのだが、いかんせん、大きい。解体は、、戦いの中で行ったこともあって少しだけ楽だった。
運びきって疲れきったハンターたちをねぎらうべく、コックが意気揚々と調理に取り掛かる。
「コック殿でしたら、大丈夫と思いますが」
とシェリスがコックに一声かける。
「火をよく通してくださいね」
「もちろんですとも」
この忠告にコックはしっかりと頷き返した。
そんなコックからリアルブルーの料理について聞かれていた、ハンターの答えはまちまちだ。
「ここの食べ方が気になりますから、それを食べてみたいです」
勇雅は、クリムゾンウェストのかに料理に興味があると強くいう。もっとも、かに料理にそこまで詳しくないのもあったりした。
「カニ玉、カニクリームコロッケ、蟹焼売、蟹チャーハン、リゾット、あんかけ、松前焼き、カニ飯、色々ありますけど……」
陽炎は色々と答えてみるものの、貧乏舌だから高級食材は苦手だと詳しい話はするりとさけた。
なお、しずるは領主邸のキッチンの片隅で持て余されたようにちょこんと鎮座していた味噌を見つけ、味噌汁について教えていた。
「沢蟹は素揚げが美味いよ」
そう答えたタディーナは、中心の喧騒から離れておく。
いろいろな情報に惑わされつつ、コックが作った料理が並べられていく。
「よっし、食うぞ。あ、それは俺のだぜ!」
いの一番に更に向かっていったのは、ハスキーだ。喜びの声をあげながら、かたっぱしから味わっていく。
野性味あふれるハスキーを横に見ながら、クリムゾンウェストで食べられるというかに料理に勇雅は舌鼓を打つ。焼き物に煮物、汁物などと多彩な料理に目を白黒とさせていた。
「やっぱり、美味しいわね。こんな料理が食べられる領主様は、幸せですね」
サトコは領主の席近くを陣取っていた。下心が見え見えのため、執事が時折割って入る光景となっていた。
「意外といけるのね」
周りが食べるのに合わせ、おずおずと手を伸ばしていたしずるも、そんな感想を漏らしていた。
「かにみそが食べたかったのよね」
目当ての物にありつけ、アーシェはご満悦だった。その側ではシェリスも森にいた頃の味を懐かしんでいた。
端の方では、ひとりタディーナが粛々と酒とつまみになりそうな料理を味わう。
「お疲れ様でした、ごちそう様です」
手を合わせ、礼儀正しく陽炎が告げる。
あれだけあったかに料理はすっかりと平らげられていた。
「はっはっは、満足満足!」
領主もすっかり満足した様子だった。が、次のムチャぶりが来る前に、ハンターたちは屋敷を後にするのであった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/04 23:02:22 |
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相談卓 ハスキー(ka2447) 人間(リアルブルー)|20才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/08/09 20:10:06 |