ゲスト
(ka0000)
新人歓迎!さいきょう大猪
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/30 22:00
- 完成日
- 2015/12/10 23:39
このシナリオは3日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
ここは、同盟領のとある田舎村。
その村の近くの森で。
「最近、ウサギやらを見んなったのぅ」
ぺきりと小枝を踏みしめ進みつつ、猟師の一人が言った。
「タヌキも同じじゃ。ま、農作物を荒らされんのはええこっちゃが……」
同行する猟師が同意する。が、止めた言葉には不安の響きが。
「それ。イノシシ程度なら鍋にしてしまやええが、クマあたりが出て来よる日にゃあ……」
「勘弁してやぁ。そんなんが村にでも来られた日にゃあ……」
「ん?」
ここで会話が途切れた。
森に異変があったのだ。
「な、何じゃ。このタマネギの腐ったようなにおいは?」
「おい、見ろ。木の幹が折れとるで!」
前方からのかすかな臭いにおいと明らかに自然に折れたのではない樹木を発見した。
駆け寄って調べてみると、折れた幹はまだ乾燥しきっていなかった。根の張る地面を確認するとやや浮き上がり、相当激しい勢いで何かがぶつかって折れたのだということが類推された。
「……そういや、村の古いのが『森で臭いにおいに出合ったらすぐ逃げろ』って」
「言ってたなぁ、亡くなったじーさんらが。『木々が折れてるならなお危険』だったか?」
顔を見合わせ言い伝えを思い出し一節ずつを言い合う。
「『なぜならそこはヤツの狩り場』……」
「『臭いにおいから逃げた獲物を追うため、ヤツは必ず戻って来る』ッ!」
「『ヤツの名は……』」
ごくり、と生唾を飲み込み頷き合うと、二人は一目散にその場を逃げ出した。
「ほ、ほへぇ……」
ここは、とある町のハンターオフィス。
未だ駆け出しの雰囲気の漂うハンター、南那初華(kz0135)が椅子に座って肩をすくめていた。
「そ、それで、『ヤツ』の名は?」
初華、ぐっと前のめにりなって聞く。
「ヤツの名?」
反対に座って彼女に話をしていたのは、背の低いオフィスの受付嬢。丸眼鏡がきらんと光る。ひい、と初華。
「ヤツの名は、その村で最も怖いとされている伝説の大猪『ロォリングサンダー』」
「ろ、ロォリングサンダー……」
うふふ、と不気味な微笑とともに初華の鼻先に顔を近付けて受付嬢は言う。復唱する初華、少しうぞぞっと身を縮めた。
「ど、どうしてそんな名前?」
「突っ込むこと稲妻の如く、転がり軸をずらすこと転石の如し」
「ほ、ほへぇ……」
「固い体毛刃を弾くこと岩の如く、転進して戻ってくること山彦の如し」
「どこぞの騎馬隊のような文言ね」
「あ、でもね」
ここで受付嬢、人差し指を立てた。
「突撃をかわされたあとの転進は転がるから素早い半面、真後ろに戻ってくることはないらしいの。だからだいたい三角形を描くみたいね」
もっとも、森の中だと木に当たって転進するようだけど、とかも。樹木が折れる理由であり、村人が危険を察知する手段でもある。
「と、とにかくロォリングサンダー一匹の退治ね?」
「そう。依頼してきた村の予算が低かったから、オフィス側から増額して新人用の依頼にしたんです。……だから、初華さんにも同行してもらいたくて」
受付嬢が気軽にそんなことを頼むのは、初華がクレープ屋台で主に働いて戦闘依頼にあまり出てないことを知ってるから。別にそれで悪いわけではないのだが、オフィス側としては依頼を受けて働いてもらいたいという事情がある。なぜなら……。
「こんなのでも戦力は戦力だし」
「んあっ! な、なんかゆった?」
おっと。受付嬢、思わず最後を口にしてしまったようで。
「別に。あくまで本音です」
「ひっどい言われよう……」
「でも、期待してるんですよ」
受付嬢の最後の言葉は業務的な口調ではなかった。
「うん! ……そんじゃ、やってみる!」
というわけで、初華とともに依頼のあった村に赴き、村への被害が出る前に大猪「ロォリングサンダー」を倒す人材、求ム。
ただし、ロォリングサンダーはすでに村に向かっており、森の手前の草原でハンターたちと出合うことになる。
ここは、同盟領のとある田舎村。
その村の近くの森で。
「最近、ウサギやらを見んなったのぅ」
ぺきりと小枝を踏みしめ進みつつ、猟師の一人が言った。
「タヌキも同じじゃ。ま、農作物を荒らされんのはええこっちゃが……」
同行する猟師が同意する。が、止めた言葉には不安の響きが。
「それ。イノシシ程度なら鍋にしてしまやええが、クマあたりが出て来よる日にゃあ……」
「勘弁してやぁ。そんなんが村にでも来られた日にゃあ……」
「ん?」
ここで会話が途切れた。
森に異変があったのだ。
「な、何じゃ。このタマネギの腐ったようなにおいは?」
「おい、見ろ。木の幹が折れとるで!」
前方からのかすかな臭いにおいと明らかに自然に折れたのではない樹木を発見した。
駆け寄って調べてみると、折れた幹はまだ乾燥しきっていなかった。根の張る地面を確認するとやや浮き上がり、相当激しい勢いで何かがぶつかって折れたのだということが類推された。
「……そういや、村の古いのが『森で臭いにおいに出合ったらすぐ逃げろ』って」
「言ってたなぁ、亡くなったじーさんらが。『木々が折れてるならなお危険』だったか?」
顔を見合わせ言い伝えを思い出し一節ずつを言い合う。
「『なぜならそこはヤツの狩り場』……」
「『臭いにおいから逃げた獲物を追うため、ヤツは必ず戻って来る』ッ!」
「『ヤツの名は……』」
ごくり、と生唾を飲み込み頷き合うと、二人は一目散にその場を逃げ出した。
「ほ、ほへぇ……」
ここは、とある町のハンターオフィス。
未だ駆け出しの雰囲気の漂うハンター、南那初華(kz0135)が椅子に座って肩をすくめていた。
「そ、それで、『ヤツ』の名は?」
初華、ぐっと前のめにりなって聞く。
「ヤツの名?」
反対に座って彼女に話をしていたのは、背の低いオフィスの受付嬢。丸眼鏡がきらんと光る。ひい、と初華。
「ヤツの名は、その村で最も怖いとされている伝説の大猪『ロォリングサンダー』」
「ろ、ロォリングサンダー……」
うふふ、と不気味な微笑とともに初華の鼻先に顔を近付けて受付嬢は言う。復唱する初華、少しうぞぞっと身を縮めた。
「ど、どうしてそんな名前?」
「突っ込むこと稲妻の如く、転がり軸をずらすこと転石の如し」
「ほ、ほへぇ……」
「固い体毛刃を弾くこと岩の如く、転進して戻ってくること山彦の如し」
「どこぞの騎馬隊のような文言ね」
「あ、でもね」
ここで受付嬢、人差し指を立てた。
「突撃をかわされたあとの転進は転がるから素早い半面、真後ろに戻ってくることはないらしいの。だからだいたい三角形を描くみたいね」
もっとも、森の中だと木に当たって転進するようだけど、とかも。樹木が折れる理由であり、村人が危険を察知する手段でもある。
「と、とにかくロォリングサンダー一匹の退治ね?」
「そう。依頼してきた村の予算が低かったから、オフィス側から増額して新人用の依頼にしたんです。……だから、初華さんにも同行してもらいたくて」
受付嬢が気軽にそんなことを頼むのは、初華がクレープ屋台で主に働いて戦闘依頼にあまり出てないことを知ってるから。別にそれで悪いわけではないのだが、オフィス側としては依頼を受けて働いてもらいたいという事情がある。なぜなら……。
「こんなのでも戦力は戦力だし」
「んあっ! な、なんかゆった?」
おっと。受付嬢、思わず最後を口にしてしまったようで。
「別に。あくまで本音です」
「ひっどい言われよう……」
「でも、期待してるんですよ」
受付嬢の最後の言葉は業務的な口調ではなかった。
「うん! ……そんじゃ、やってみる!」
というわけで、初華とともに依頼のあった村に赴き、村への被害が出る前に大猪「ロォリングサンダー」を倒す人材、求ム。
ただし、ロォリングサンダーはすでに村に向かっており、森の手前の草原でハンターたちと出合うことになる。
リプレイ本文
●
村の草原を渡る風は清らかで、なびく草も整然としていた。
それを見下ろすように立つ小柄な少女がぽつりとつぶやいた。
「まだ、何も被害を引き起こしていないのですね……」
ライゼ・イサカ(ka0773)である。風に乱れた黒髪を整えつつ、さらにぽそり。
「ケモノを狩るのは気が引けますが……」
これも仕事なので仕方ないですね、と静かに口にするつもりだった。
しかし、背後から騒ぎが!
「この私が、どんな難事件でもたちどころに真犯人を推理してみせましょう!」
騒ぎの元は、なびくコートに身を包む月詠クリス(ka0750)。ばばんと皆を指差している。
「いや……難事件って、ただの大猪退治……」
南那初華(kz0135)が汗たら~しながら突っ込む。
これに向きを変えるクリス。
「初華さん、取り違えてはいけませんよ。大猪はただの犯人。……そう、真犯人はきっといるのです!」
びしー、と初華を指差す。
「難しい話は不要だが……」
その背後からぬっと大きな人影が。
「巨大な猪か…実に楽しみだな……ククク」
クリスが振り向くと、鬼族の恭牙(ka5762)がいた。腕を組んでたたずむ様子は、鍛え抜いた筋肉質の肉体と合わせ威風堂々としたものだ。
「……ロォリングサンダーって、凄そうな名前ですね」
今度はクリスの前から。
龍堂 神火(ka5693)がカードバインダーに符をセットしながらぽそり。
「伝説の大猪『ロォリングサンダー』ですか……相手にとって不足はありませんね」
そんな神火の横で、ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812)が静かに闘志を燃やす。とんとん、と爪先を大地に突き、軽くステップ。
「ほへぇ……ヒルダさん、レガースしてるんだね」
初華、その動きで彼女の脛当てが目について聞いてみる。
「まあ、その時をお楽しみに」
ブリュンヒルデは多くを語らない。
「まずは作戦だ。私が囮になろう。ヒルダ殿の援護があれば……」
恭牙がそう言った時だった。
「私も頑張ります! まだ駆け出しですが宜しくお願いしますね!」
リラ(ka5679)が青い瞳を希望に輝かせ、にぎやかに横から身を伸ばす!
「あ、ええと……」
初華たちからの視線が集まる。
何というか、噛み合いきらないながらも続いていた会話がリラの言葉でぶった切られたのだ。
「はわっ! ええと、そんなつもりでは……と、とにかく強そうな名前ですねっ」
リラ、緊張していた。というか、初対面の人だらけで不安だったのだ。会話が止まってさらに不安になってわたわた。硬くなっているのだろう。
「名前が強そうでもみんながいれば平気だよぅ」
「そうだな」
初華が取り繕ったところで、突き出た岩に腰掛ける鞍馬 真(ka5819)がぶっきらぼうに言った。
「倒せば牡丹鍋か…悪くない」
「勝つ気満々ですね!」
真、岩から飛び降りつつ呟いたところをリラにまっすぐ見詰められた。
「べ、別に。村人が怖がってるし、聞けば昔は鍋にしたそうだろ」
虚を突かれ状態を引くが、ごにょごにょとつぶやきごまかしておく真だった。
「それでは頃合いです。……お集まりの皆さん、謎解きの時間といきましょう」
ここでクリスがひときわ大きな声を出した。皆が注目する。
さあ。
めい探偵の推理の始まりだ。
●
しばらくのち、一行は事件現場――もとい、森へと向かった。
その、途上。
森はもうすぐという、岩のところどころ顔を出す草原でのことだった。
「ボク、雑魔とはまだ戦ったことがないんだよね」
神火が魔導二輪「闘走」を押して歩きながら呟いた。
「今回はただの大きな猪らしいし、気を付けてれば大丈夫だよね?」
だれともなく聞いてみる。
「私もまだ雑魔とは戦ってないですが……」
ブリュンヒルデが応じた。口元に手を添え考えていたが、すぐに顔を上げる。
「持久力や脚力は日頃鍛えています。ですが『技』は稽古し、実際に使用しなければ身になりません」
穏やかに顔を上げたブリュンヒルデの横で、初華がぎくりとしていた。
「どうしました、初華さん?」
「えへ♪」
「……そういや初華さん、クレープ屋で働いてるんだって?」
真、流れで何となく気付いた。初華が実戦に余り出てないことを。
「う……少しは戦ってるんだけどね。あまり『技』は使ってないような」
「大丈夫ですよ、南那さん!」
横から元気良くリラが会話に飛び込んでくる。
「私も似たようなもんです、頑張りましょう!」
リラ、初華の手を取ってぶんぶん。
その時だった!
「あれ? あの岩、揺れました?」
森方面を注意深く見ていたライゼが手でひさしをつくり前のめりになった。
「おや。随分遠いですが岩のように大きいですね、ライゼさん」
クリスも口元に持っていこうとしたパイプを離しじっくりと確認。
それは一見黒い岩のようだったが、ゆっさと揺れながらだんだん大きくなっていた。
が、ピタリと止まってその正体が分かった。
揺れる小さな尻尾。
頑丈そうな後肢。
そして、ぎょろりと振り向いた顔。
そこには大きく反り返った牙と射貫くような眼光があった。
「いたか、ロォリングサンダー!」
発見と同時に恭牙が叫んで走り出したッ!
森にいったん戻ろうとしていたらしい大猪も完全に振り返って駆け出した。
まるで恭牙の呼び掛けに応えるように突っ込んでくるッ!
「えっ、い、猪ってあんなに大きくなるんだっけ…!?」
「初華さんは側面射撃を頼む!」
神火と真の叫びが交錯する。
「ほへ?」
「南那さん、こっちです!」
一瞬固まった初華をリラが手を取り側面の岩の影へ連れて行く。
「あと、頼みます」
残って岩の後ろに隠れようとする真と神火の後ろからブリュンヒルデが追い越していった。
「囮役の皆さん、私の発明品をお貸ししましょう!」
クリスは運動強化した怪しげな魔導機械をブリュンヒルデに投げて渡す。
一方で、ライゼ。
「……何とか、お手伝いを」
突撃した恭牙のたくましい背中とブリュンヒルデのなびく金髪を見ながら、よいしょと岩の上に登り風に乱れる髪をそっとなでつけるのだった。
●
そして、恭牙は大猪と正面から激突!
「疾風迅雷!」
右に飛び込み前転回避し、膝立ちすると同時にトンファーを敵側面にぶち込む。
「おおっ?!」
それが、弾かれた。すでに猪は通過している。
「それならば!」
続いてブリュンヒルデが来ている。恭牙から遅れたがその分体に大きく力をためる構えができた。
滑り込みつつ、足裏を見せて突き攻撃の蹴りを見舞った!
「その巨体、これで自重を支えられくなるでしょう?」
狙いは、前肢関節部分。体重を乗せ膝の破壊を狙った。
――ガシッ!
「……やりますね?」
きれいに入ったがブリュンヒルデが横に吹っ飛ばされた。あるいは、敵の攻撃特性から一番リスクマネジメントされている部分かもしれない。
「……いい感じです」
ロォリングサンダー対突撃部隊の激突は大猪に軍配が上がったが、遠く側面の岩に立つライゼはこくりと小さく頷いて満足そうだった。構えていたライフル「ミーティアAT7」も、今は下ろしている。
大猪は予定通り、本隊隠れる岩へと突っ込んでいたからだ。
「追うぞ」
「クリス様からです。なかなかいいですよ」
前から戻ってきた恭牙がブリュンヒルデを追い抜く。ブリュンヒルデ、前衛を任せる彼にクリスから預かったアルケミストデバイスを手渡した。
「おお。岩にぶつかった時が勝負だ!」
受け取った恭牙、大猪を追う。
そこで、予想だにしなかった悲劇が巻き起こるのであった!
こちら、本隊。大きな岩の裏。
「来るぞ」
真が岩から離れた場所で顔だけ出して確認し、腰だめにした試作振動刀の柄に手を掛ける。
「手札、ドローです」
神火も逆から伺いつつ、符に手を掛けた。
「推理の通りに動けば間違いないはずです。よろしくお願いします」
クリスはパイプ片手に二人を鼓舞する。
そこに、ものすごい勢いでロォリングサンダーが突っ込んできた。
――ドゴォ……。
「来た!」
前で待つ真と神火が左右に開いて姿を現す。
「ここだ!」
大猪を追っていた恭牙とブリュンヒルデも後方から詰めた。
もちろん、敵は激突の一瞬、止まっている。
「今ですっ! 突撃後の転進が右後ろか左後ろならこの三角陣形なら狙われないということです!」
クリスもいつのまにかパイプから鉄パイプに持ち替え姿を現し叫んだ。
指摘通り四人による三角包囲がいま、完成したッ!
「やった!」
右前方遠くにある岩に隠れていた初華が姿を現し歓声を上げている。一緒のリラも勝利を確信してその後ろにいる。
もちろんこの時、左前方遠くの岩に立つライゼも勝負の瞬間に息を飲んで見詰めていた。
悲劇は、その時に起こった。
●
――バフン……。
四人が三角包囲を詰めて……いや、特に遠距離攻撃するつもりだった神火の動く瞬間、周囲に黄色い空気が広がった。
「うわっ、臭い…!」
突然の鼻の曲がるようなにおいに神火がひるんだ。というか、目と鼻を押さえた。
「くっ……」
もちろん、想定外の出来事に四人全員の動きが止まった。
「いけない……」
この様子を見たライゼ、ライフル発射。
銃弾を受けたロォリングサンダー、のっそりとライゼの方を向いた。
「こっちに来てください……」
すかさずボルトアクション。次弾を込めてまた発射。今度はこちらを向いた牙を狙う。
これで完全に目の敵にされた。
猛然と突っ込んでくる。
ライゼ、ボルトアクション。
今度は何とごろんと横転されて交わされた。音に反応しているのか。
「……くさいです」
――ドゴン……。
大猪、岩にぶつかり粉砕する。
ライゼはその直前にひょーいと跳躍して脱出。
しかし、これは次にも狙われるぞ?
「南那さん、行きましょう」
少し前にリラが桃色の髪をなびかせ走っていた。初華が銃撃。
「初華さん、隠れて。今度は私が囮になる」
ここで右腰の銃を抜いた真が敢然と前に走りオートマチックピストルの銃声を轟かせる。
が、遅い。
着地したライゼに体当たりした大猪はすでに初華の方に向かっている。
「うわっ」
リラ、横に回り込んでからの攻撃を試みたが横転する敵に押し潰された。その分威力は弱まったが再び突進。真の声で隠れた初華のいる岩に、どーん。崩れた岩とともに吹っ飛ばされる初華。
「誰か、一瞬でも止めてください」
「任せろ!」
リラの叫びに恭牙が叫ぶ。もう周辺のにおいには慣れたようだ。
いや、むしろ怒りに燃えているッ!
「真さん、こっちさ来させねぇべか?」
「分かった。あと、頼む」
必死のブリュンヒルデの呼ぶ声に、真が腹をくくった。本隊と大猪の間に入る。
ぶつかった後の大猪は真の射撃を受け、そちらに突進。
真、これに対し攻撃を捨てた。
「少しでも……勢いを止めて」
横からライゼの援護射撃が来る。
しかし、真は突撃を受けて吹っ飛ぶ。
が、表情に敗北感はなく、むしろ勝利の確信が浮かんでいた。
どさり、と真が大地に落ちた時。
「神火さん、来ますよ」
(落ち着け…とりあえず手札……)
鉄パイプを振るいクリスが構える。神火は気を取り直してカードに手を掛ける。いつもの感覚。落ち着く心。
(よし、コンボで…今はこれしか…!)
顔を上げた時、大猪は間近に迫っていた。
「今です!」
クリス、神火を抱えるようにして横っ飛び。砕けた岩が二人を叩くがそれどころではないッ!
「伊達に鍛えてはいません!」
「鬼の力、舐めてもらっては困るぞ!!」
追ってきたブリュンヒルデと恭牙が、何と大猪の牙を押さえに掛かっているではないか!
怪力無双で完全に動きを封じ……。
いや!
力で勝てないと知った大猪がとんでもない行動に出た!
「うわっ!」
「おおっ?」
何と大猪、首を振り上げたのだ。
大地に足を踏ん張って大猪の動きを制していたが、こうなると体重分の負荷しかない。
ところが、ここにつむじ風のように突っ込んできた姿がある。
「ありがとうございます……はあああああ!!」
リラだっ!
低姿勢で鼻先を上げた大猪の下を取った。
そのまま大地に手を付き、バトルレガースの脚で蹴り上げた。
大猪の……喉をっ!
『グオッ!』
これは利いた。
リラの狙い通り敵をひっくり返すことに成功する。
「いまです!宜しくお願いします」
「よし、カードを重ね掛けして、胡蝶符のコンボ攻撃!」
神火、勝負の潮目は逃さない。カードオープンで強化型蝶の光弾を敵の腹にぶち込む。
「この地形があなたの不運です!」
上空からはブリュンヒルデの声。
何と、吹っ飛ばされたところから側面にあった岩に足を付いていた。
そこを大地のように蹴って……。
「螺旋突!」
日々、何度も稽古した技で敵の鳩尾を穿った!
そして、恭牙。
「楽しいな……楽しいぞ!」
こちらは飛ばされて大地に落ちると同時に不屈の闘志で起き上がり、六角棍「黒鉄」を両手持ち。
「させん!」
転がり起きようとするところを伸ばした棍で阻害。回転させないことで仰向けのままにする。
「……機導砲」
ついにクリスの一撃もさく裂。横っ腹を狙い恭牙の援護。
「零から百の瞬時の加速をイメージし……もう一発!」
「カードドロー!」
追撃するブリュンヒルデと神火の声。さらに遠くからボルトアクションと射撃の音。
やがて……。
「っしゃ! ロォリングサンダー、撃破!」
全員の攻撃が集中する中、ついに大猪はぐったりと横たわった。神火の声で皆がほっとする。
臭いにおいだけは、薄まりつつも残っていたが。
●
「うー、村人がお風呂を用意してくれてるはずね~」
湯気がほこほこの浴室で初華が背中に湯をざばー。
「退治した大猪、村人さんが移動してくれるのはありがたいですね」
白い湯気の中、濃い色の肌で目立つライゼはちゃぷんと胸元まで湯に漬かって極楽極楽。肉は食用、毛や皮は衣服や絨毯、牙は飾りなど有効活用を楽しそうに思い浮かべている。
「こうしてまた一つ難事件が解決したのだった」
「鍋にするんだから解体じゃないの?」
パイプ片手にのんびりするクリスの横に、初華がそう言いながらちゃぷん。
「……まあ、折角ですから、後で美味しく頂きましょう」
もちろんブリュンヒルデもゆったりと。
その目の前に突然、ざぱーん。
「うわっ」
飛び込んで来たのは……。
「改めてリラです。宜しく!」
リラ、振り返ってにこり。
こちら、男湯。
「あっちは賑やかだな」
恭牙が両手を湯船の端に広げてゆったりしつつ言う。
「まあ、においも落とさないといけないし。……それにしてもお疲れさん」
真、乙女心に気を遣いつつこきこきと首をひねりながら皆に感謝。
「お待たせ……」
そこに神火が浴室に入って来た。
「バイクで大猪運び、ごくろうさん」
「終わったってことだな……よし、食うぞ。猪は旨いからなぁ」
ざばー、と恭牙が上がる。
こうして、村人に感謝され美味い牡丹鍋をごちそうになった。
村の草原を渡る風は清らかで、なびく草も整然としていた。
それを見下ろすように立つ小柄な少女がぽつりとつぶやいた。
「まだ、何も被害を引き起こしていないのですね……」
ライゼ・イサカ(ka0773)である。風に乱れた黒髪を整えつつ、さらにぽそり。
「ケモノを狩るのは気が引けますが……」
これも仕事なので仕方ないですね、と静かに口にするつもりだった。
しかし、背後から騒ぎが!
「この私が、どんな難事件でもたちどころに真犯人を推理してみせましょう!」
騒ぎの元は、なびくコートに身を包む月詠クリス(ka0750)。ばばんと皆を指差している。
「いや……難事件って、ただの大猪退治……」
南那初華(kz0135)が汗たら~しながら突っ込む。
これに向きを変えるクリス。
「初華さん、取り違えてはいけませんよ。大猪はただの犯人。……そう、真犯人はきっといるのです!」
びしー、と初華を指差す。
「難しい話は不要だが……」
その背後からぬっと大きな人影が。
「巨大な猪か…実に楽しみだな……ククク」
クリスが振り向くと、鬼族の恭牙(ka5762)がいた。腕を組んでたたずむ様子は、鍛え抜いた筋肉質の肉体と合わせ威風堂々としたものだ。
「……ロォリングサンダーって、凄そうな名前ですね」
今度はクリスの前から。
龍堂 神火(ka5693)がカードバインダーに符をセットしながらぽそり。
「伝説の大猪『ロォリングサンダー』ですか……相手にとって不足はありませんね」
そんな神火の横で、ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812)が静かに闘志を燃やす。とんとん、と爪先を大地に突き、軽くステップ。
「ほへぇ……ヒルダさん、レガースしてるんだね」
初華、その動きで彼女の脛当てが目について聞いてみる。
「まあ、その時をお楽しみに」
ブリュンヒルデは多くを語らない。
「まずは作戦だ。私が囮になろう。ヒルダ殿の援護があれば……」
恭牙がそう言った時だった。
「私も頑張ります! まだ駆け出しですが宜しくお願いしますね!」
リラ(ka5679)が青い瞳を希望に輝かせ、にぎやかに横から身を伸ばす!
「あ、ええと……」
初華たちからの視線が集まる。
何というか、噛み合いきらないながらも続いていた会話がリラの言葉でぶった切られたのだ。
「はわっ! ええと、そんなつもりでは……と、とにかく強そうな名前ですねっ」
リラ、緊張していた。というか、初対面の人だらけで不安だったのだ。会話が止まってさらに不安になってわたわた。硬くなっているのだろう。
「名前が強そうでもみんながいれば平気だよぅ」
「そうだな」
初華が取り繕ったところで、突き出た岩に腰掛ける鞍馬 真(ka5819)がぶっきらぼうに言った。
「倒せば牡丹鍋か…悪くない」
「勝つ気満々ですね!」
真、岩から飛び降りつつ呟いたところをリラにまっすぐ見詰められた。
「べ、別に。村人が怖がってるし、聞けば昔は鍋にしたそうだろ」
虚を突かれ状態を引くが、ごにょごにょとつぶやきごまかしておく真だった。
「それでは頃合いです。……お集まりの皆さん、謎解きの時間といきましょう」
ここでクリスがひときわ大きな声を出した。皆が注目する。
さあ。
めい探偵の推理の始まりだ。
●
しばらくのち、一行は事件現場――もとい、森へと向かった。
その、途上。
森はもうすぐという、岩のところどころ顔を出す草原でのことだった。
「ボク、雑魔とはまだ戦ったことがないんだよね」
神火が魔導二輪「闘走」を押して歩きながら呟いた。
「今回はただの大きな猪らしいし、気を付けてれば大丈夫だよね?」
だれともなく聞いてみる。
「私もまだ雑魔とは戦ってないですが……」
ブリュンヒルデが応じた。口元に手を添え考えていたが、すぐに顔を上げる。
「持久力や脚力は日頃鍛えています。ですが『技』は稽古し、実際に使用しなければ身になりません」
穏やかに顔を上げたブリュンヒルデの横で、初華がぎくりとしていた。
「どうしました、初華さん?」
「えへ♪」
「……そういや初華さん、クレープ屋で働いてるんだって?」
真、流れで何となく気付いた。初華が実戦に余り出てないことを。
「う……少しは戦ってるんだけどね。あまり『技』は使ってないような」
「大丈夫ですよ、南那さん!」
横から元気良くリラが会話に飛び込んでくる。
「私も似たようなもんです、頑張りましょう!」
リラ、初華の手を取ってぶんぶん。
その時だった!
「あれ? あの岩、揺れました?」
森方面を注意深く見ていたライゼが手でひさしをつくり前のめりになった。
「おや。随分遠いですが岩のように大きいですね、ライゼさん」
クリスも口元に持っていこうとしたパイプを離しじっくりと確認。
それは一見黒い岩のようだったが、ゆっさと揺れながらだんだん大きくなっていた。
が、ピタリと止まってその正体が分かった。
揺れる小さな尻尾。
頑丈そうな後肢。
そして、ぎょろりと振り向いた顔。
そこには大きく反り返った牙と射貫くような眼光があった。
「いたか、ロォリングサンダー!」
発見と同時に恭牙が叫んで走り出したッ!
森にいったん戻ろうとしていたらしい大猪も完全に振り返って駆け出した。
まるで恭牙の呼び掛けに応えるように突っ込んでくるッ!
「えっ、い、猪ってあんなに大きくなるんだっけ…!?」
「初華さんは側面射撃を頼む!」
神火と真の叫びが交錯する。
「ほへ?」
「南那さん、こっちです!」
一瞬固まった初華をリラが手を取り側面の岩の影へ連れて行く。
「あと、頼みます」
残って岩の後ろに隠れようとする真と神火の後ろからブリュンヒルデが追い越していった。
「囮役の皆さん、私の発明品をお貸ししましょう!」
クリスは運動強化した怪しげな魔導機械をブリュンヒルデに投げて渡す。
一方で、ライゼ。
「……何とか、お手伝いを」
突撃した恭牙のたくましい背中とブリュンヒルデのなびく金髪を見ながら、よいしょと岩の上に登り風に乱れる髪をそっとなでつけるのだった。
●
そして、恭牙は大猪と正面から激突!
「疾風迅雷!」
右に飛び込み前転回避し、膝立ちすると同時にトンファーを敵側面にぶち込む。
「おおっ?!」
それが、弾かれた。すでに猪は通過している。
「それならば!」
続いてブリュンヒルデが来ている。恭牙から遅れたがその分体に大きく力をためる構えができた。
滑り込みつつ、足裏を見せて突き攻撃の蹴りを見舞った!
「その巨体、これで自重を支えられくなるでしょう?」
狙いは、前肢関節部分。体重を乗せ膝の破壊を狙った。
――ガシッ!
「……やりますね?」
きれいに入ったがブリュンヒルデが横に吹っ飛ばされた。あるいは、敵の攻撃特性から一番リスクマネジメントされている部分かもしれない。
「……いい感じです」
ロォリングサンダー対突撃部隊の激突は大猪に軍配が上がったが、遠く側面の岩に立つライゼはこくりと小さく頷いて満足そうだった。構えていたライフル「ミーティアAT7」も、今は下ろしている。
大猪は予定通り、本隊隠れる岩へと突っ込んでいたからだ。
「追うぞ」
「クリス様からです。なかなかいいですよ」
前から戻ってきた恭牙がブリュンヒルデを追い抜く。ブリュンヒルデ、前衛を任せる彼にクリスから預かったアルケミストデバイスを手渡した。
「おお。岩にぶつかった時が勝負だ!」
受け取った恭牙、大猪を追う。
そこで、予想だにしなかった悲劇が巻き起こるのであった!
こちら、本隊。大きな岩の裏。
「来るぞ」
真が岩から離れた場所で顔だけ出して確認し、腰だめにした試作振動刀の柄に手を掛ける。
「手札、ドローです」
神火も逆から伺いつつ、符に手を掛けた。
「推理の通りに動けば間違いないはずです。よろしくお願いします」
クリスはパイプ片手に二人を鼓舞する。
そこに、ものすごい勢いでロォリングサンダーが突っ込んできた。
――ドゴォ……。
「来た!」
前で待つ真と神火が左右に開いて姿を現す。
「ここだ!」
大猪を追っていた恭牙とブリュンヒルデも後方から詰めた。
もちろん、敵は激突の一瞬、止まっている。
「今ですっ! 突撃後の転進が右後ろか左後ろならこの三角陣形なら狙われないということです!」
クリスもいつのまにかパイプから鉄パイプに持ち替え姿を現し叫んだ。
指摘通り四人による三角包囲がいま、完成したッ!
「やった!」
右前方遠くにある岩に隠れていた初華が姿を現し歓声を上げている。一緒のリラも勝利を確信してその後ろにいる。
もちろんこの時、左前方遠くの岩に立つライゼも勝負の瞬間に息を飲んで見詰めていた。
悲劇は、その時に起こった。
●
――バフン……。
四人が三角包囲を詰めて……いや、特に遠距離攻撃するつもりだった神火の動く瞬間、周囲に黄色い空気が広がった。
「うわっ、臭い…!」
突然の鼻の曲がるようなにおいに神火がひるんだ。というか、目と鼻を押さえた。
「くっ……」
もちろん、想定外の出来事に四人全員の動きが止まった。
「いけない……」
この様子を見たライゼ、ライフル発射。
銃弾を受けたロォリングサンダー、のっそりとライゼの方を向いた。
「こっちに来てください……」
すかさずボルトアクション。次弾を込めてまた発射。今度はこちらを向いた牙を狙う。
これで完全に目の敵にされた。
猛然と突っ込んでくる。
ライゼ、ボルトアクション。
今度は何とごろんと横転されて交わされた。音に反応しているのか。
「……くさいです」
――ドゴン……。
大猪、岩にぶつかり粉砕する。
ライゼはその直前にひょーいと跳躍して脱出。
しかし、これは次にも狙われるぞ?
「南那さん、行きましょう」
少し前にリラが桃色の髪をなびかせ走っていた。初華が銃撃。
「初華さん、隠れて。今度は私が囮になる」
ここで右腰の銃を抜いた真が敢然と前に走りオートマチックピストルの銃声を轟かせる。
が、遅い。
着地したライゼに体当たりした大猪はすでに初華の方に向かっている。
「うわっ」
リラ、横に回り込んでからの攻撃を試みたが横転する敵に押し潰された。その分威力は弱まったが再び突進。真の声で隠れた初華のいる岩に、どーん。崩れた岩とともに吹っ飛ばされる初華。
「誰か、一瞬でも止めてください」
「任せろ!」
リラの叫びに恭牙が叫ぶ。もう周辺のにおいには慣れたようだ。
いや、むしろ怒りに燃えているッ!
「真さん、こっちさ来させねぇべか?」
「分かった。あと、頼む」
必死のブリュンヒルデの呼ぶ声に、真が腹をくくった。本隊と大猪の間に入る。
ぶつかった後の大猪は真の射撃を受け、そちらに突進。
真、これに対し攻撃を捨てた。
「少しでも……勢いを止めて」
横からライゼの援護射撃が来る。
しかし、真は突撃を受けて吹っ飛ぶ。
が、表情に敗北感はなく、むしろ勝利の確信が浮かんでいた。
どさり、と真が大地に落ちた時。
「神火さん、来ますよ」
(落ち着け…とりあえず手札……)
鉄パイプを振るいクリスが構える。神火は気を取り直してカードに手を掛ける。いつもの感覚。落ち着く心。
(よし、コンボで…今はこれしか…!)
顔を上げた時、大猪は間近に迫っていた。
「今です!」
クリス、神火を抱えるようにして横っ飛び。砕けた岩が二人を叩くがそれどころではないッ!
「伊達に鍛えてはいません!」
「鬼の力、舐めてもらっては困るぞ!!」
追ってきたブリュンヒルデと恭牙が、何と大猪の牙を押さえに掛かっているではないか!
怪力無双で完全に動きを封じ……。
いや!
力で勝てないと知った大猪がとんでもない行動に出た!
「うわっ!」
「おおっ?」
何と大猪、首を振り上げたのだ。
大地に足を踏ん張って大猪の動きを制していたが、こうなると体重分の負荷しかない。
ところが、ここにつむじ風のように突っ込んできた姿がある。
「ありがとうございます……はあああああ!!」
リラだっ!
低姿勢で鼻先を上げた大猪の下を取った。
そのまま大地に手を付き、バトルレガースの脚で蹴り上げた。
大猪の……喉をっ!
『グオッ!』
これは利いた。
リラの狙い通り敵をひっくり返すことに成功する。
「いまです!宜しくお願いします」
「よし、カードを重ね掛けして、胡蝶符のコンボ攻撃!」
神火、勝負の潮目は逃さない。カードオープンで強化型蝶の光弾を敵の腹にぶち込む。
「この地形があなたの不運です!」
上空からはブリュンヒルデの声。
何と、吹っ飛ばされたところから側面にあった岩に足を付いていた。
そこを大地のように蹴って……。
「螺旋突!」
日々、何度も稽古した技で敵の鳩尾を穿った!
そして、恭牙。
「楽しいな……楽しいぞ!」
こちらは飛ばされて大地に落ちると同時に不屈の闘志で起き上がり、六角棍「黒鉄」を両手持ち。
「させん!」
転がり起きようとするところを伸ばした棍で阻害。回転させないことで仰向けのままにする。
「……機導砲」
ついにクリスの一撃もさく裂。横っ腹を狙い恭牙の援護。
「零から百の瞬時の加速をイメージし……もう一発!」
「カードドロー!」
追撃するブリュンヒルデと神火の声。さらに遠くからボルトアクションと射撃の音。
やがて……。
「っしゃ! ロォリングサンダー、撃破!」
全員の攻撃が集中する中、ついに大猪はぐったりと横たわった。神火の声で皆がほっとする。
臭いにおいだけは、薄まりつつも残っていたが。
●
「うー、村人がお風呂を用意してくれてるはずね~」
湯気がほこほこの浴室で初華が背中に湯をざばー。
「退治した大猪、村人さんが移動してくれるのはありがたいですね」
白い湯気の中、濃い色の肌で目立つライゼはちゃぷんと胸元まで湯に漬かって極楽極楽。肉は食用、毛や皮は衣服や絨毯、牙は飾りなど有効活用を楽しそうに思い浮かべている。
「こうしてまた一つ難事件が解決したのだった」
「鍋にするんだから解体じゃないの?」
パイプ片手にのんびりするクリスの横に、初華がそう言いながらちゃぷん。
「……まあ、折角ですから、後で美味しく頂きましょう」
もちろんブリュンヒルデもゆったりと。
その目の前に突然、ざぱーん。
「うわっ」
飛び込んで来たのは……。
「改めてリラです。宜しく!」
リラ、振り返ってにこり。
こちら、男湯。
「あっちは賑やかだな」
恭牙が両手を湯船の端に広げてゆったりしつつ言う。
「まあ、においも落とさないといけないし。……それにしてもお疲れさん」
真、乙女心に気を遣いつつこきこきと首をひねりながら皆に感謝。
「お待たせ……」
そこに神火が浴室に入って来た。
「バイクで大猪運び、ごくろうさん」
「終わったってことだな……よし、食うぞ。猪は旨いからなぁ」
ざばー、と恭牙が上がる。
こうして、村人に感謝され美味い牡丹鍋をごちそうになった。
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MVP一覧
- 想いの奏で手
リラ(ka5679)
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/11/30 15:13:16 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/30 09:07:58 |