ゲスト
(ka0000)
猪突猛進かトン走か
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/12/08 15:00
- 完成日
- 2015/12/14 19:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●目撃者
村人は林の中でキノコを採取し、帰路についた。適度な量を籠に入れ、群生しているところを見つけて己の運の良さを喜んでいた。
彼は気付いた、何かが近付いてくることに。
ドドドドドと来るそれが猪に思えたため、村人はキノコをその場に置きあわてて木の陰に隠れた。
キノコに気付いたそれは、一心不乱に食べてから、またどこかに走り去った。
「……ち、小さい猪? 親が来たら嫌だな」
息を殺して木の陰に隠れていた村人は、籠を拾ってから急いで林の外に出た。
●畑
収穫後の畑はしばらく鳥が来ても、落ちている物がなくなれば来ない。日向ぼっこする鳥はいても、動かないしのんびりしたものだ。
次に植える物を考えつつ、畑の持ち主は眺めていた。
林から走ってきた生き物に驚く。狼かもしれないと、安全なところに逃げようとした。
「ぶひー」
畑の土を掘り返して走り回る生き物は猪か豚の子どものように見えた。泥だらけでよくわからないというのが実情だ。
捕まえるべきかと考えているうちに、沼がある方に走って行った。
他にも謎の生き物を目撃した者はいた。家族に話し、翌日には隣近所で話し、村中の話題になる。
猪か雑魔か不明。現在のところ大きな被害は出ていないが、不安の種であったため、領主に陳情することにした。
●小さな飼い主
「リュリュのフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリがいなくなったのです! すぐに、さがしなさいっ」
貴族のお嬢様で、御年7歳のリュリュはヒステリックに告げた。ヒステリックとはいえ、暴力的になるとか物に当たることもなく、可愛げのある半泣きで怒り続ける。
フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリとは、リュリュが飼っているペットの子豚である。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ……ううっ……いつ逃げたのかしら……」
昨日、馬車で移動したときはいた。
今朝、エサをあげたときはいた。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを逃がした者には、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリのトイレ係一か月を命じるわっ!」
「……その程度であれば……」
執事は「大したことないですよ」と突っ込みを入れかかり、口をつぐんだ。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリが死んでいたら……ベーコンにしてやる」
「豚ですから……」
「違うわよ! 逃がした奴をよ」
「それは恐ろしい罰でございます」
執事は使用人から聞き取りをした結果、犯人はリュリュ本人ではないかと持ちあがる。世話をしているのがリュリュ自身であるから、一番隙を作りやすいのは彼女だ。
なぜ、お嬢様のリュリュが世話をするかというと、子豚が可愛いから飼いたいといった彼女に両親が出した条件のためだ。必要なら大人も手を貸すが基本はリュリュ自身が子豚の世話をするという条件。
こんな条件を出したのにはもちろん思惑があり、大した身分のない貴族ではいつ何があるか分からないため、自分で何でもできるようにということが根底にあった。
リュリュがその条件を飲んで、なんとか面倒を見てきた。
「さて……どうやってお嬢様に伝えるか……」
まずはフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを見つけることが重要だと執事は思う。
村人の話からすると、畑や林そして沼あたりを走り回っているようだ。
一瞬、村人に頼もうとも考えたが、それが件の子豚でなかった場合、大きな事故が発生するかもしれない。
確実性を考えて、ハンターに依頼するのが一番だと執事は判断した。
「金一封ですが……泥だらけになりつつ、当家のお嬢様のペット、子豚のフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを捕まえてください」
大きさは体長50センチまだないし、子どもでも捕まえられる大きさなはずだ。
「逃亡している間に、あれこれ食べて大きくなっている……なんてことはないでしょう」
執事は一瞬楽しい想像に引きずられるが、気を引き締め仕事にかかる。
ハンターがフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを捕まえたら、服の洗濯と夕食と一泊の宿くらいは提供するつもりである。そのことも依頼書には記載しておいた。
村人は林の中でキノコを採取し、帰路についた。適度な量を籠に入れ、群生しているところを見つけて己の運の良さを喜んでいた。
彼は気付いた、何かが近付いてくることに。
ドドドドドと来るそれが猪に思えたため、村人はキノコをその場に置きあわてて木の陰に隠れた。
キノコに気付いたそれは、一心不乱に食べてから、またどこかに走り去った。
「……ち、小さい猪? 親が来たら嫌だな」
息を殺して木の陰に隠れていた村人は、籠を拾ってから急いで林の外に出た。
●畑
収穫後の畑はしばらく鳥が来ても、落ちている物がなくなれば来ない。日向ぼっこする鳥はいても、動かないしのんびりしたものだ。
次に植える物を考えつつ、畑の持ち主は眺めていた。
林から走ってきた生き物に驚く。狼かもしれないと、安全なところに逃げようとした。
「ぶひー」
畑の土を掘り返して走り回る生き物は猪か豚の子どものように見えた。泥だらけでよくわからないというのが実情だ。
捕まえるべきかと考えているうちに、沼がある方に走って行った。
他にも謎の生き物を目撃した者はいた。家族に話し、翌日には隣近所で話し、村中の話題になる。
猪か雑魔か不明。現在のところ大きな被害は出ていないが、不安の種であったため、領主に陳情することにした。
●小さな飼い主
「リュリュのフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリがいなくなったのです! すぐに、さがしなさいっ」
貴族のお嬢様で、御年7歳のリュリュはヒステリックに告げた。ヒステリックとはいえ、暴力的になるとか物に当たることもなく、可愛げのある半泣きで怒り続ける。
フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリとは、リュリュが飼っているペットの子豚である。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ……ううっ……いつ逃げたのかしら……」
昨日、馬車で移動したときはいた。
今朝、エサをあげたときはいた。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを逃がした者には、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリのトイレ係一か月を命じるわっ!」
「……その程度であれば……」
執事は「大したことないですよ」と突っ込みを入れかかり、口をつぐんだ。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリが死んでいたら……ベーコンにしてやる」
「豚ですから……」
「違うわよ! 逃がした奴をよ」
「それは恐ろしい罰でございます」
執事は使用人から聞き取りをした結果、犯人はリュリュ本人ではないかと持ちあがる。世話をしているのがリュリュ自身であるから、一番隙を作りやすいのは彼女だ。
なぜ、お嬢様のリュリュが世話をするかというと、子豚が可愛いから飼いたいといった彼女に両親が出した条件のためだ。必要なら大人も手を貸すが基本はリュリュ自身が子豚の世話をするという条件。
こんな条件を出したのにはもちろん思惑があり、大した身分のない貴族ではいつ何があるか分からないため、自分で何でもできるようにということが根底にあった。
リュリュがその条件を飲んで、なんとか面倒を見てきた。
「さて……どうやってお嬢様に伝えるか……」
まずはフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを見つけることが重要だと執事は思う。
村人の話からすると、畑や林そして沼あたりを走り回っているようだ。
一瞬、村人に頼もうとも考えたが、それが件の子豚でなかった場合、大きな事故が発生するかもしれない。
確実性を考えて、ハンターに依頼するのが一番だと執事は判断した。
「金一封ですが……泥だらけになりつつ、当家のお嬢様のペット、子豚のフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを捕まえてください」
大きさは体長50センチまだないし、子どもでも捕まえられる大きさなはずだ。
「逃亡している間に、あれこれ食べて大きくなっている……なんてことはないでしょう」
執事は一瞬楽しい想像に引きずられるが、気を引き締め仕事にかかる。
ハンターがフランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを捕まえたら、服の洗濯と夕食と一泊の宿くらいは提供するつもりである。そのことも依頼書には記載しておいた。
リプレイ本文
●外出
屋敷に出向くと、落ち着いた雰囲気の執事と眉間にしわを寄せている幼い少女が現れる。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを逃がした犯人とあの子を探してくれるってハンターですね。よろしくお願いします」
きちんと頭を下げる中、頼まれた以上の何かが入っている。
「任せてください! 私たちが絶対そのフランソワーズ・フェル……がちっ、痛っ……モンプ……ちゃんを無事に連れて帰ってあげちゃいます」
途中で噛みつつも笑顔で請け負うルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。噂で「逃がした犯人がベーコンにされる」と聞いているため、何もないうちに無事に子豚をつれもどしてあげたかった。
「頑張って子豚さんを捕まえますっ!」
マーオ(ka5475)はやる気十分に拳を固める。動物が大好き、狼もできれば攻撃はしたくないため、子豚を早く保護したかった。
「……ぶつぶつ……フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリをどう探せばいいんだろう。フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリが沼に落ちている可能性もあるのね。フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリのサイズだと狼も危ないよ! ……好きな物で釣ればいい?」
呪文のような思考がホワイトラビット(ka5692)から洩れている。
「捕まえるために薬品があるといいわね……。それより、豚と猪って似てるじゃない? 違いもたくさんあるけれど交配できるし、昔リアルブルーで豚が山に逃げこんだら猪になってたというニュースがあったわね。もしこのまま逃げ切ったら……んー、うん、なんでもないわ」
マリィア・バルデス(ka5848)はリュリュが怒りだす寸前の怖い目で睨み付けているのに気付き口をつぐむ。
「リュリュ殿は探しに行かないのかのう?」
ディヤー・A・バトロス(ka5743)はさらりと尋ねる。
「わたしたちもいるから一緒に行かないか?」
フルルカ(ka5839)は考えた、リュリュが自分でペットの世話をしているのだから本人が探しに行くのも重要だと。
「そうそう、ワシらが守るなら問題なかろう?」
「子豚が何をしていたのか、飼い主であるリュリュも知っていて良いだろう?」
ディヤーとフルルカに言われ、執事は思案顔をしつつも嬉しそうにしている。
「では、お嬢様をお願いします」
執事は丁寧にお辞儀をした。
「え? わたくしも?」
「はい、そこの村ですし、基本的には平穏なところですし、この方々を信じて問題ないでしょう」
「……仕方がないわね」
リュリュは大人ぶった雰囲気で同意した。
●現場と情報
子豚の部屋は屋敷の一階にある。部屋に入った瞬間、貴族的で人間並みに広い部屋に愕然となる。
「……住めるな」
マリィアは唖然とし、続いてあきれたと言うような溜息が洩れた。
「子豚の好きそうなのはたくさんありますね」
マーオは寝床になるような毛布や転がして遊ぶおもちゃなどを見る。
「ここを出て、子豚ちゃんは出て行ったんですね」
「扉がちょっとでも開いていれば出られるよね」
ルンルンとホワイトラビットが扉の外を眺める。一階で外への出入りもある為、子豚も隙があれば出て行けそうだ。
「そうなのです! 誰かが……」
「ひょっとしたら子豚は『逃げたい』と思っていたのかもな」
「えっ?」
怒りの言葉を中断し、不安そうにリュリュはフルルカを見上げる。
「しかし、出てみたら家が良かったと思っているかもしれない」
フルルカは安堵するリュリュを見て、子豚を大切に思っている気持ちは伝わってきた。
「逃がした……と言う犯人探しはここまでにして、子豚殿探しに尽力しようのう? 扉を閉め損ねたという不都合を起こした者は悔いておることじゃろう?」
「……う、まあ、あの子が無事に見つかればひとまず良しとします」
ディヤーの言葉に、リュリュはむくれているがうなずいた。
「さて、行きましょう?」
マーオが促した。
村に行く途中でマリィアは別行動をするという。
「子豚を捕まえるのに薬品や生薬物質があるか探してくるわね。このあたりの猟師さんは獲物を捕まえるのにしびれ薬や睡眠薬って使わないかしら? 狼は狩っていいのかしら?」
等々の質問にリュリュはしどろもどろになった結果であった。マリィアは罠を作るためにも、別行動が望ましいと仲間も判断した。
村に行くとお嬢様が来たと好意と好奇をもって迎えられる。
ここで推定子豚の被害を聞くこととなる。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリはそんな悪い子じゃないわ!」
「リュリュさん、豚の習性を考えると掘り返すことはしますし、走ることもしないわけではないですよ」
反論したリュリュにマーオがおっとりと教える。
「謎の生き物なら、雑魔の類かも知れませんね」
ルンルンはこのあたりで何もないから子豚とほぼ決めているが、用心が必要だと札を見せる。
「餌で釣れないかな?」
「好物があると、よりいいよね?」
フルルカとホワイトラビットに言われてリュリュはリンゴを取り出す。
「さあ、目撃談が多い沼地に行こう」
ディヤーに促されてリュリュはうなずいた。
●発見、子豚
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ、リンゴよ」
リュリュは沼の側で声をかける。
草も生えているところもあり、見えにくい部分が多い。
「ここを行くなら泥靴やスノーシューズを履くか、足裏の表面積を増やすように移動すればいいのよ」
ホワイトラビットは沈みそうな泥を見て助言する。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法分身の術!」
ルンルンが札を取り出し符術で式神を出す。「るんるん」と書かれた小さい物がスーと飛んで沼地を行く。
「ぶひっ」
それを見てじゃれるように動く物体が見えた。
「いましたね!」
マーオは沼地に走り込み数歩後、力尽きて泥に突っ伏した。
「だから、こう動かないとっ!」
カポエラ独特のぬめるような動きを披露する。表面積を広くするために、地面に伏せるような足払いから上半身をねじって両手をつきヌルリとした動きをして移動をしていく。ホワイトラビットは一気に泥まみれの兔ぽいシルエットの何かになった。
「……いえ、真似できませんが、参考になりました」
泥から立ち上がりマーオは「どうにかしないと」と首をひねる。
犬の吠える声がする。
「α、γ、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリちゃんをこの罠に追い込んでくるのよ」
マリィアの手から離れた犬たちが子豚を追いかける。
「いやああ、食べられちゃうわ!」
リュリュは悲鳴を上げ駆けつけようとしたが、泥に躊躇し、道の上でそわそわしている。
「ほら、助けにいくぞ?」
沼に下りて手を伸べるフルルカ。
「よし、ワシが助けてやろうぞ!」
ディヤーは沼におりて距離を測り、マテリアルを解放して魔法を放った。魔法の効果にディヤーは笑いが込み上げる、子豚の周りを風が舞い、犬たちを困惑させたから。
罠に追い込まれる寸前で子豚はぴょいと避けた。一方、止まるに止まれなかった犬たちが罠に突っ込んだ。
マリィアは驚愕したが、自分側に子豚が来たため手を伸ばして捕獲しようとした。ずるりとすべり、泥に倒れた。
「うぅ、なんたる不覚」
悔しがり、眠り薬等はなかったため手で捕まえるしかない。
「護衛もしっかりしないとですね!」
ルンルンは札を取り出すと生命感知の術を使う。狼の生態に詳しくなくとも、沼地の状況を見ると「これで出てくる方が珍しい」と感じる。
リュリュは悩んでいたが、子豚が無事なのがちらりと見えたため、緊張が少しほぐれた。ハンターたちの状況を見て、笑いが込み上げる。
「ふふっ」
「さて、迎えに行こう。手を貸すぞ」
フルルカが再び声をかける。その表情がちょっといじわるそうなのは、反対側の手に握っている物を見れば分かる。
「洗えばいいのじゃ! 躊躇はいらぬ。たき火でも起こすか、寒いなら?」
ディヤーに促されてリュリュはフルルカの手を取り、沼に足を踏み入れた。
「え?」
ニカリと笑うフルルカの手は泥だらけの手に代わっていたのだった。
「あ、あ、ああああっ!」
ディヤーが様子を見てケタケタ声を立てて笑い始めた。
「一度、泥に下りれば、後は気にせぬことじゃ!」
「よくもやりましたねっ」
リュリュはフルルカの手を離すと、反撃のために彼女の体を押そうとした。
「避けるのじゃっ」
ディヤーの声にフルルカが反射的に回避したため、リュリュは泥に向かって倒れていく。ディヤーとフルルカは手を伸ばして支えようとした。
手は取ったがリュリュの足はズブッと泥にはまる。
「ふ、ふわああああああああああああああああああ」
リュリュは悲鳴とも泣き声ともつかない声を上げた。顔は真っ赤だ。
「う、うっ、冷たい……」
「ぶぶぶぶ」
前を子豚が横切った。
「あっ」
リュリュが捕まえようとしたが、子豚が逃げたために泥に座り込んだだけだった。
「さっさと捕まえるわっ!」
リュリュがやる気を起こしたことで、ハンターたちは泥だらけになった顔を見合わせた。
「冷たいの、確かに」
魔法も準備していたディヤーであったが、見物している村人に一つ頼むことにした。たき火と手足を洗える水の用意を。村人は快くそれを引き受けた、領主の娘に優しい目を向けながら。
●寒さと泥と
子豚は素早かった。
疲れを知らぬのか、走りっぱなしである。右に左に、フェイントをかけハンターとリュリュを翻弄する。
「なんで逃げるのっ!」
怒りながら足を取られながらリュリュが走る。
ディヤーはリュリュの側で転びそうになったりした場合、手を貸す。そして、時々、子豚のために魔法をかけて回避力をアップさせ、笑う。
「……ニンジャ感覚に感あり、狼かもです」
ルンルンは術をかけた範囲に反応があったため仲間に忠告を出す。
「来ないとは思いますけれど」
マーオは指摘しつつも、警戒は強める。何があるかなど分からないから、自分たちや狼のために。
「むっ、来たっ、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ!」
ホワイトラビットは突進してくる子豚を捕まえようとしたが、足の間をするりと抜けて行かれる。それを滑らかな側転からブリッジを介してうつぶせになるという、カポエラな動作で追いかける。いくら素早く行動をとっても、子豚は待ってくれない。
「これでどうだっ!」
フルルカは泥団子を作り、子豚に投げつける。子豚が足を止めて追いかける人が追いつくかもしれないという思いだったが避けられ、当たったのはホワイトラビットだった。
「あ、ああ、すまない」
「これくらいは問題ないよ」
フルルカが困惑している間に、ホワイトラビットはにょろりと移動してきた。
「ぶひっ」
子豚は華麗に跳び、術で周囲を探るルンルンに飛び込む。
「きゃ」
迫り来た子豚を捕まえる間もなく、ルンルンは抱きつかれ、蹴り飛ばされた。
「……待ちなさいっ!」
ルンルンは泥の上に落ちた子豚に飛びかかり、泥まみれとなった。
「狼、狩る?」
マリィアは仲間に一応問いかける。
「歪虚ではないのであろう、命まで取る必要はない」
ディヤーはここに来る前に放しておいた相棒のイヌワシの反応を信じて告げる。
うなずくマーオが後押しする。
「……了解、注意はしておこう」
無理に戦わないという方針にマリィアは生き物の気配がするという方をうかがう。そのため、子豚から注意が逸れた。
次の一瞬で起きたことは捕まえるために重要だったとはいえ、喜劇とも悲劇とも言える。
マーオが視界に入った子豚に気付き、捕まえようとする。
フルルカは必要があれば結界を張るべきかと、符術を使えるよう構える。
ホワイトラビットは独自の行動でじわりじわりと子豚を追う。
ディヤーはウィンドガストを子豚ではなくリュリュにかける。
ルンルンは泥の中を走り、距離を詰めてから札を取り出す。
リュリュは子豚の事だけを考え、突っ込む。
マリィアは突進してくる子豚と人間たちを見たため、回避行動を取ろうとした。
ぐちゃり。
「ちょ」
「きゃあ」
「ぶひー」
「うわあ」
「ああっ」
「今ですっ! ジュゲームリリカル、ルンルン忍法土蜘蛛の術!」
悲鳴は誰が誰か分からぬほど重なり、子豚を逃がさまいとルンルンが術を使った。
ディヤーは腹がよじれるほど笑い、フルルカは笑いをこらえながら、団子になった仲間とリュリュを起こそうとそろりそろりと近づいた。
そして、子豚は――。
●心地良い疲労
泥から上がると寒さがしみる。
村人が用意してくれたたき火と、手足を洗える湯が素晴らしいほどぬくもりをくれた。
リュリュは子豚を捕まえてほっとした様子だ。
「おお、助かった」
ディヤーは村人の顔に笑みがあり、リュリュを見つめている優しい目に確信を得る。領主の娘が愛されることはいいことである、聞き込みをしていた時は距離を感じていたから。
「無事でよかったです……き、きゃああ……」
ルンルンは自分の状態を見て小刻みに震える。途中で夢中になって飛び込んでいたのだから仕方がない。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリさんはいい顔していますよ、楽しかったんですね」
マーオは笑顔で子豚をなでる。マーオには子豚が満足げな笑いをしているように見えた。
「そうだな……閉じ込められている子豚が逃げた……状況から、遊びたかったんだろう? リュリュがどの程度、遊んであげていたか知らないが自由にあこがれていたのかもしれぬぞ?」
フルルカは過去の自分を思い出しつつ、リュリュに話しかける。捕まったら捕まったで大人しくしているため、子豚自身、飼い主を嫌っているわけではないと感じる。
「……遊んではいたわ……」
「でも、足りなかったのかもしれないよ? リュリュのことは好きみたいだけどね?」
ホワイトラビットに指摘され、リュリュは言葉に詰まった。もじもじと動きながら、聞こえないわというように視線が動く。
「子豚がなぜ満足げに見えるか? リュリュ殿は走り回ってどう思った?」
ディヤーの質問にリュリュは唇を尖らせた。
「……め、面倒よ」
「ほほう?」
「……うっ……た、楽しかったわ……ちょ、ちょっとだけよ?」
リュリュは顔を真っ赤にしている。
「……フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリは今、大人しい。走り回るのも、リュリュ殿といるのも好きだからだ」
「……え? え? な、何恥ずかしいことを言っているのっ!」
リュリュは怒っているが、どこか勢いがない。
「眠そうだが、寝る前に風呂に入らないとね」
マリィアは眠そうなリュリュと子豚を見て、自分と犬を見た。犬たちを洗うのは骨が折れるのではないかと気付く。
「執事さんに報告です。できれば、着替えの服があれば幸せです」
ルンルンは泥が付いた顔で溜息を洩らした。
「リュリュさん、しっかり」
マーオは眠りかかっているリュリュから子豚を受け取り、微笑んだ。
屋敷に出向くと、落ち着いた雰囲気の執事と眉間にしわを寄せている幼い少女が現れる。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリを逃がした犯人とあの子を探してくれるってハンターですね。よろしくお願いします」
きちんと頭を下げる中、頼まれた以上の何かが入っている。
「任せてください! 私たちが絶対そのフランソワーズ・フェル……がちっ、痛っ……モンプ……ちゃんを無事に連れて帰ってあげちゃいます」
途中で噛みつつも笑顔で請け負うルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。噂で「逃がした犯人がベーコンにされる」と聞いているため、何もないうちに無事に子豚をつれもどしてあげたかった。
「頑張って子豚さんを捕まえますっ!」
マーオ(ka5475)はやる気十分に拳を固める。動物が大好き、狼もできれば攻撃はしたくないため、子豚を早く保護したかった。
「……ぶつぶつ……フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリをどう探せばいいんだろう。フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリが沼に落ちている可能性もあるのね。フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリのサイズだと狼も危ないよ! ……好きな物で釣ればいい?」
呪文のような思考がホワイトラビット(ka5692)から洩れている。
「捕まえるために薬品があるといいわね……。それより、豚と猪って似てるじゃない? 違いもたくさんあるけれど交配できるし、昔リアルブルーで豚が山に逃げこんだら猪になってたというニュースがあったわね。もしこのまま逃げ切ったら……んー、うん、なんでもないわ」
マリィア・バルデス(ka5848)はリュリュが怒りだす寸前の怖い目で睨み付けているのに気付き口をつぐむ。
「リュリュ殿は探しに行かないのかのう?」
ディヤー・A・バトロス(ka5743)はさらりと尋ねる。
「わたしたちもいるから一緒に行かないか?」
フルルカ(ka5839)は考えた、リュリュが自分でペットの世話をしているのだから本人が探しに行くのも重要だと。
「そうそう、ワシらが守るなら問題なかろう?」
「子豚が何をしていたのか、飼い主であるリュリュも知っていて良いだろう?」
ディヤーとフルルカに言われ、執事は思案顔をしつつも嬉しそうにしている。
「では、お嬢様をお願いします」
執事は丁寧にお辞儀をした。
「え? わたくしも?」
「はい、そこの村ですし、基本的には平穏なところですし、この方々を信じて問題ないでしょう」
「……仕方がないわね」
リュリュは大人ぶった雰囲気で同意した。
●現場と情報
子豚の部屋は屋敷の一階にある。部屋に入った瞬間、貴族的で人間並みに広い部屋に愕然となる。
「……住めるな」
マリィアは唖然とし、続いてあきれたと言うような溜息が洩れた。
「子豚の好きそうなのはたくさんありますね」
マーオは寝床になるような毛布や転がして遊ぶおもちゃなどを見る。
「ここを出て、子豚ちゃんは出て行ったんですね」
「扉がちょっとでも開いていれば出られるよね」
ルンルンとホワイトラビットが扉の外を眺める。一階で外への出入りもある為、子豚も隙があれば出て行けそうだ。
「そうなのです! 誰かが……」
「ひょっとしたら子豚は『逃げたい』と思っていたのかもな」
「えっ?」
怒りの言葉を中断し、不安そうにリュリュはフルルカを見上げる。
「しかし、出てみたら家が良かったと思っているかもしれない」
フルルカは安堵するリュリュを見て、子豚を大切に思っている気持ちは伝わってきた。
「逃がした……と言う犯人探しはここまでにして、子豚殿探しに尽力しようのう? 扉を閉め損ねたという不都合を起こした者は悔いておることじゃろう?」
「……う、まあ、あの子が無事に見つかればひとまず良しとします」
ディヤーの言葉に、リュリュはむくれているがうなずいた。
「さて、行きましょう?」
マーオが促した。
村に行く途中でマリィアは別行動をするという。
「子豚を捕まえるのに薬品や生薬物質があるか探してくるわね。このあたりの猟師さんは獲物を捕まえるのにしびれ薬や睡眠薬って使わないかしら? 狼は狩っていいのかしら?」
等々の質問にリュリュはしどろもどろになった結果であった。マリィアは罠を作るためにも、別行動が望ましいと仲間も判断した。
村に行くとお嬢様が来たと好意と好奇をもって迎えられる。
ここで推定子豚の被害を聞くこととなる。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリはそんな悪い子じゃないわ!」
「リュリュさん、豚の習性を考えると掘り返すことはしますし、走ることもしないわけではないですよ」
反論したリュリュにマーオがおっとりと教える。
「謎の生き物なら、雑魔の類かも知れませんね」
ルンルンはこのあたりで何もないから子豚とほぼ決めているが、用心が必要だと札を見せる。
「餌で釣れないかな?」
「好物があると、よりいいよね?」
フルルカとホワイトラビットに言われてリュリュはリンゴを取り出す。
「さあ、目撃談が多い沼地に行こう」
ディヤーに促されてリュリュはうなずいた。
●発見、子豚
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ、リンゴよ」
リュリュは沼の側で声をかける。
草も生えているところもあり、見えにくい部分が多い。
「ここを行くなら泥靴やスノーシューズを履くか、足裏の表面積を増やすように移動すればいいのよ」
ホワイトラビットは沈みそうな泥を見て助言する。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法分身の術!」
ルンルンが札を取り出し符術で式神を出す。「るんるん」と書かれた小さい物がスーと飛んで沼地を行く。
「ぶひっ」
それを見てじゃれるように動く物体が見えた。
「いましたね!」
マーオは沼地に走り込み数歩後、力尽きて泥に突っ伏した。
「だから、こう動かないとっ!」
カポエラ独特のぬめるような動きを披露する。表面積を広くするために、地面に伏せるような足払いから上半身をねじって両手をつきヌルリとした動きをして移動をしていく。ホワイトラビットは一気に泥まみれの兔ぽいシルエットの何かになった。
「……いえ、真似できませんが、参考になりました」
泥から立ち上がりマーオは「どうにかしないと」と首をひねる。
犬の吠える声がする。
「α、γ、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリちゃんをこの罠に追い込んでくるのよ」
マリィアの手から離れた犬たちが子豚を追いかける。
「いやああ、食べられちゃうわ!」
リュリュは悲鳴を上げ駆けつけようとしたが、泥に躊躇し、道の上でそわそわしている。
「ほら、助けにいくぞ?」
沼に下りて手を伸べるフルルカ。
「よし、ワシが助けてやろうぞ!」
ディヤーは沼におりて距離を測り、マテリアルを解放して魔法を放った。魔法の効果にディヤーは笑いが込み上げる、子豚の周りを風が舞い、犬たちを困惑させたから。
罠に追い込まれる寸前で子豚はぴょいと避けた。一方、止まるに止まれなかった犬たちが罠に突っ込んだ。
マリィアは驚愕したが、自分側に子豚が来たため手を伸ばして捕獲しようとした。ずるりとすべり、泥に倒れた。
「うぅ、なんたる不覚」
悔しがり、眠り薬等はなかったため手で捕まえるしかない。
「護衛もしっかりしないとですね!」
ルンルンは札を取り出すと生命感知の術を使う。狼の生態に詳しくなくとも、沼地の状況を見ると「これで出てくる方が珍しい」と感じる。
リュリュは悩んでいたが、子豚が無事なのがちらりと見えたため、緊張が少しほぐれた。ハンターたちの状況を見て、笑いが込み上げる。
「ふふっ」
「さて、迎えに行こう。手を貸すぞ」
フルルカが再び声をかける。その表情がちょっといじわるそうなのは、反対側の手に握っている物を見れば分かる。
「洗えばいいのじゃ! 躊躇はいらぬ。たき火でも起こすか、寒いなら?」
ディヤーに促されてリュリュはフルルカの手を取り、沼に足を踏み入れた。
「え?」
ニカリと笑うフルルカの手は泥だらけの手に代わっていたのだった。
「あ、あ、ああああっ!」
ディヤーが様子を見てケタケタ声を立てて笑い始めた。
「一度、泥に下りれば、後は気にせぬことじゃ!」
「よくもやりましたねっ」
リュリュはフルルカの手を離すと、反撃のために彼女の体を押そうとした。
「避けるのじゃっ」
ディヤーの声にフルルカが反射的に回避したため、リュリュは泥に向かって倒れていく。ディヤーとフルルカは手を伸ばして支えようとした。
手は取ったがリュリュの足はズブッと泥にはまる。
「ふ、ふわああああああああああああああああああ」
リュリュは悲鳴とも泣き声ともつかない声を上げた。顔は真っ赤だ。
「う、うっ、冷たい……」
「ぶぶぶぶ」
前を子豚が横切った。
「あっ」
リュリュが捕まえようとしたが、子豚が逃げたために泥に座り込んだだけだった。
「さっさと捕まえるわっ!」
リュリュがやる気を起こしたことで、ハンターたちは泥だらけになった顔を見合わせた。
「冷たいの、確かに」
魔法も準備していたディヤーであったが、見物している村人に一つ頼むことにした。たき火と手足を洗える水の用意を。村人は快くそれを引き受けた、領主の娘に優しい目を向けながら。
●寒さと泥と
子豚は素早かった。
疲れを知らぬのか、走りっぱなしである。右に左に、フェイントをかけハンターとリュリュを翻弄する。
「なんで逃げるのっ!」
怒りながら足を取られながらリュリュが走る。
ディヤーはリュリュの側で転びそうになったりした場合、手を貸す。そして、時々、子豚のために魔法をかけて回避力をアップさせ、笑う。
「……ニンジャ感覚に感あり、狼かもです」
ルンルンは術をかけた範囲に反応があったため仲間に忠告を出す。
「来ないとは思いますけれど」
マーオは指摘しつつも、警戒は強める。何があるかなど分からないから、自分たちや狼のために。
「むっ、来たっ、フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリ!」
ホワイトラビットは突進してくる子豚を捕まえようとしたが、足の間をするりと抜けて行かれる。それを滑らかな側転からブリッジを介してうつぶせになるという、カポエラな動作で追いかける。いくら素早く行動をとっても、子豚は待ってくれない。
「これでどうだっ!」
フルルカは泥団子を作り、子豚に投げつける。子豚が足を止めて追いかける人が追いつくかもしれないという思いだったが避けられ、当たったのはホワイトラビットだった。
「あ、ああ、すまない」
「これくらいは問題ないよ」
フルルカが困惑している間に、ホワイトラビットはにょろりと移動してきた。
「ぶひっ」
子豚は華麗に跳び、術で周囲を探るルンルンに飛び込む。
「きゃ」
迫り来た子豚を捕まえる間もなく、ルンルンは抱きつかれ、蹴り飛ばされた。
「……待ちなさいっ!」
ルンルンは泥の上に落ちた子豚に飛びかかり、泥まみれとなった。
「狼、狩る?」
マリィアは仲間に一応問いかける。
「歪虚ではないのであろう、命まで取る必要はない」
ディヤーはここに来る前に放しておいた相棒のイヌワシの反応を信じて告げる。
うなずくマーオが後押しする。
「……了解、注意はしておこう」
無理に戦わないという方針にマリィアは生き物の気配がするという方をうかがう。そのため、子豚から注意が逸れた。
次の一瞬で起きたことは捕まえるために重要だったとはいえ、喜劇とも悲劇とも言える。
マーオが視界に入った子豚に気付き、捕まえようとする。
フルルカは必要があれば結界を張るべきかと、符術を使えるよう構える。
ホワイトラビットは独自の行動でじわりじわりと子豚を追う。
ディヤーはウィンドガストを子豚ではなくリュリュにかける。
ルンルンは泥の中を走り、距離を詰めてから札を取り出す。
リュリュは子豚の事だけを考え、突っ込む。
マリィアは突進してくる子豚と人間たちを見たため、回避行動を取ろうとした。
ぐちゃり。
「ちょ」
「きゃあ」
「ぶひー」
「うわあ」
「ああっ」
「今ですっ! ジュゲームリリカル、ルンルン忍法土蜘蛛の術!」
悲鳴は誰が誰か分からぬほど重なり、子豚を逃がさまいとルンルンが術を使った。
ディヤーは腹がよじれるほど笑い、フルルカは笑いをこらえながら、団子になった仲間とリュリュを起こそうとそろりそろりと近づいた。
そして、子豚は――。
●心地良い疲労
泥から上がると寒さがしみる。
村人が用意してくれたたき火と、手足を洗える湯が素晴らしいほどぬくもりをくれた。
リュリュは子豚を捕まえてほっとした様子だ。
「おお、助かった」
ディヤーは村人の顔に笑みがあり、リュリュを見つめている優しい目に確信を得る。領主の娘が愛されることはいいことである、聞き込みをしていた時は距離を感じていたから。
「無事でよかったです……き、きゃああ……」
ルンルンは自分の状態を見て小刻みに震える。途中で夢中になって飛び込んでいたのだから仕方がない。
「フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリさんはいい顔していますよ、楽しかったんですね」
マーオは笑顔で子豚をなでる。マーオには子豚が満足げな笑いをしているように見えた。
「そうだな……閉じ込められている子豚が逃げた……状況から、遊びたかったんだろう? リュリュがどの程度、遊んであげていたか知らないが自由にあこがれていたのかもしれぬぞ?」
フルルカは過去の自分を思い出しつつ、リュリュに話しかける。捕まったら捕まったで大人しくしているため、子豚自身、飼い主を嫌っているわけではないと感じる。
「……遊んではいたわ……」
「でも、足りなかったのかもしれないよ? リュリュのことは好きみたいだけどね?」
ホワイトラビットに指摘され、リュリュは言葉に詰まった。もじもじと動きながら、聞こえないわというように視線が動く。
「子豚がなぜ満足げに見えるか? リュリュ殿は走り回ってどう思った?」
ディヤーの質問にリュリュは唇を尖らせた。
「……め、面倒よ」
「ほほう?」
「……うっ……た、楽しかったわ……ちょ、ちょっとだけよ?」
リュリュは顔を真っ赤にしている。
「……フランソワーズ・フェルガティーモ・プラチリは今、大人しい。走り回るのも、リュリュ殿といるのも好きだからだ」
「……え? え? な、何恥ずかしいことを言っているのっ!」
リュリュは怒っているが、どこか勢いがない。
「眠そうだが、寝る前に風呂に入らないとね」
マリィアは眠そうなリュリュと子豚を見て、自分と犬を見た。犬たちを洗うのは骨が折れるのではないかと気付く。
「執事さんに報告です。できれば、着替えの服があれば幸せです」
ルンルンは泥が付いた顔で溜息を洩らした。
「リュリュさん、しっかり」
マーオは眠りかかっているリュリュから子豚を受け取り、微笑んだ。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/07 08:27:46 |
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相談卓 ホワイトラビット(ka5692) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2015/12/08 11:35:48 |