リラ・ゼーレのクリスマス

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~7人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/12/07 22:00
完成日
2015/12/16 01:09

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 ここは、ムーディーな音楽の流れる夜の酒場。
「シェイクさん、その子は今晩踊らないのかい?」
 オカマの興行師、シェイクが片肘ついてまったりしている横から声が飛んできた。
「だめよ。この子は秘蔵っ子なんだから特別な日じゃないと、ダ・メ♪」
「つれないねえ。ま、そんときゃ知らせてくれな」
 通行人とのそんなやりとり。
 これを聞いたフラ・キャンディ(kz0121)、シェイクの方に身を寄せてこっそりと小声で言う。
「……ボク、踊ってもいいよ?」
「ダメよ。今晩の約束は私の楽団『シェイクス』の演奏だけ。そのお値段でフラちゃんのダンスもだなんてもったいないわ」
 にんまり微笑してフラの鼻の頭に指先でタッチする。
「じゃ、どうしてボクを舞台用の踊り子衣装でここに呼んだの?」
「そりゃ、こんな可愛い踊り子もいるところを見せつけてもったいぶっておかないとね」
 疑問に答えると同時に頬を寄せて、ぎゅっ。フラの方は、大人しく「そ、そういうもんなの?」と素直にむぎゅむぎゅ抱き締められるに身を任せる。
「こりゃ、シェイク。やり過ぎじゃ。……それより、次の仕事の打ち合わせじゃなかったっかの?」
 同席するフラの後見人たる老人、ジルがさすがに眉をひそめて悪ふざけをやめさせた。
「まあ、そうでもあるわね」
 シェイク、素直に身を正し真面目な表情。
「毎年、クリスマスに『ヴァリオスの劇場でやるくらいの本格的な演奏が聴きたい』っていう田舎の大きな町でやってるんだけど、そのご縁で新たな仕事の口があるの」
 どうやらクリスマスに先立ち、町の広場に大きなクリスマスツリーを立てて飾るらしい。
「毎年そこでクリスマスコンサートをするんだけど、今年はその樹を切り出す森で盗賊リスの被害があるらしいの。だから護衛がほしいけど、予算的にハンターを雇うには厳しいらしくて……」
「え? でも、仕事の口って……」
 フラ、思わず口を挟む。
「来るかどうかも分からない盗賊リスの護衛としては、ね」
 シェイク、いたずらそうにウインク。
「ただし、先に言ったように音楽に対してはどん欲な町よ」
「あ、もしかして」
 思わず声を大きくしたフラにウインクして続ける。
「そう。ツリー運搬の護衛をしたあと、その広場でコンサートをするの。護衛だけならお金は出せないけど、音楽で楽しませてくれるなら払う払う、いやむしろぜひ戦えて歌える人たちにお願いします、この通り頭も下げます、だって」
 その時の態度の変わりぶりを思い出したか、くすくす笑いながら涙を浮かべ肩を揺らす。
「あは。じゃ、リラ・ゼーレにピッタリの依頼だね。……ところで、『盗賊リス』って?」
「結構ないたずらっ子らしいわ。人が森にいると寄って来て置いてある荷物から何かを盗もうとするの。で、ついでに口から強酸を吐いて逃げるわ。……逆もあって、強酸を吐いて人を追い払っておいて荷物から何かを盗む、とかね。放っておいても退治しようとしても、痛い目に遭うか何かを溶かされたりするわ」
「んもう、いたずらっ子だなぁ……」
「大きさは両手の平に乗る程度の可愛い容姿らしいんだけどね」
「待つがいい」
 ここでジルが疑問を口にした。
「それだけならいくらでも対処はあろう。いたずらさせて、上着の一部くらい溶かされても問題あるまい」
「無関心や無抵抗、自分たちに有利ととればつけあがるらしいわ。それに一番の問題は、斧や鉈を強酸で狙われることらしいの」
「なるほど」
 今まさに必要な商売道具をダメにされてはたまらんな、とジル。しかも作業は樹木の切り倒しなので時間がかかる。
「それにね」
 おっと。シェイク、まだ続きがあるようだ。
「ツリーとして持って帰る樹はあまり大きくないんだけど、巻き込まれて下敷きになったらかわいそうだって」
「ボク、ぜひやりたい!」
 そんな優しさを聞いて、フラは思わず立ち上がって意欲を見せるのだった。

リプレイ本文


 ――こーん、こーん……。
 静かな森の中に小気味よい音が響いている。
「始まったね」
 霧雨 悠月(ka4130)がモミの木の伐採に取り掛かった木こりたちを背中越しに振り返って呟いた。
「ん……素敵なひゅーまん文明だわ。神様の憑代、というかお祭りのシンボルになるなら、あの子も切られても納得してくれるかもねー」
 隣のキーリ(ka4642)は振り向くこともなく言う。
 それを見て悠月、くすり。
「何よ、ユッキー」
「ううん、何でもない。……それより、困ったリス達だね」
 悠月、キーリにまじまじと見られてやっぱり、くす。話題を変えておく。
 まだ盗賊リスは現れてないが準備は必要だ。
「困りモンにゃ、ちょいと怖い目に遭ってもらうに限る。なぁ」
 横からぬっとヴァイス(ka0364)の巨体が出てきて誰かに覆いかぶさった。
「ちょ……重いですよぉ」
「あん。ヴァイスさん、ボクたち困りモンじゃないでしょう?」
 ヴァイス、弓月・小太(ka4679)とフラ・キャンディ(kz0121)の首根っこを両腕で抱え込んでいた。ちびっ子二人は仲良くわたわた。
「悪い悪い。小太もフラも相変わらず元気そうで何よりだ」
 すぐに解放して爽やかな笑顔を見せる。
「いたずらっ子はヴァイスさんじゃないー」
「いたずらっ子……というには大きすぎですよぅ」
 ぷんすか地団駄を踏むフラにわははと楽しそうなヴァイス。小太は冷静なツッコミを。
 そんな横には、静かにブリジット(ka4843)が佇んでいた。
「演奏会に来る子でしたら大人しくさせてあげられますが。……町に戻ってからの事もありますし、舞の練習も兼ねましょう」
 そう言ってハープボウを構えて見せる。
「ま、どっちもしっかりやらないとな。……さて、どうする?」
 木の根に腰掛けていた鞍馬 真(ka5819)が木の葉などを払いながら立ち上がり、淡々と皆に問う。
「お仕置きをして盗みをやめてもらえると一番なのですけどもぉ」
「そのためにはまず盗ませた上で困らせるのがいいだろうな」
 小太の言葉に頷きながら真が荷物を取り出す。
「わあっ。リアルブルーのお菓子だねっ」
 ポテトチップスにフラが反応する。
「将来的に完全討伐の依頼なんか来てもかわいそうだしな」
 ヴァイスはクッキーとナッツを取り出した。
「袋、持ってきたよ」
 悠月の開いた袋にそれらを入れていく。
「じゃ、仕上げは……」
 悠月が何かを取り出すと、真もヴァイスもブリジットも何かを取り出し袋の中に入れた。
「トウガラシ……んもう。みんなの方がいたずらっ子じゃない」
 にやり顔の四人を見てフラが汗たら~。
「あれ、キーリさんは?」
 キーリの様子に気付いた悠月がそちらを見る。
「レトルトカレーしかないわ」
「しかも六つ……」
 別に袋詰めにしたキーリ。こっそりとフラが突っ込んでおく。
「あとはこれを目立つところに、だな」
「これ見よがしに置いておけばいいだろう。……あとは」
 袋を縛ったヴァイス。真は余ったトウガラシをポケットに忍ばせる。
「服も狙うっていいますしね」
 ブリジットも少し持っておく。
「それやられると私、ポロリするわー」
 キーリ、セパレートな水着に近い服装の、胸と胸の間の細い布地に指を掛けて心配する。
「小太さん?」
「はっ。……そ、そうですねぇ」
 キーリの様子に気を取られていた小太、フラに声を掛けられびくうっ。
「じゃ、俺はワンコと散るぜ」
 ヴァイス、連れてきた柴犬と出掛ける。
「こっちから来るとは限らないしな」
 真も囮の荷物から距離を取った。
「罠がない場所に来た盗賊リスは各自で対応ですね」
 ブリジットも白い鎧姿を翻す。
「私は別の場所に仕掛けるかしらねー」
 キーリのレトルトカレーパックは別の場所になるようだ。

 というわけで、配置についた。



 さて、最初にキーリの張っていた場所に盗賊リスが来た。
「あら?」
 離れた場所に置いた袋を発見。大きな体ながらちょこまかと近寄って袋を破る。
 で、レトルトカレーをくわえてお尻を見せるとちょんちょん跳ねて逃げてった。
 盗賊リス、大きな獲物にかなり喜んでいる。すぐに立ち止まるとカリカリと前肢でレトルトパウチを破ろうとする。
 が、このパウチ。ご存知のように結構丈夫。
 不機嫌になったリス、ついに酸発射!
 が、このパウチ。ご存知のように食品劣化対策として化学変化にも強い。
 もちろん表層部分はただれるが。
「あらら、出っ歯で食い破るつもり?」
 見ていたキーリ、憤って食らいついた様子に目を丸めた。
 次の瞬間!
『クシッ!』
 ついにパウチを破ったが、リスは喜ぶことなく顔を引いて茫然としていた。
 続いて、慌てたように両前肢で鼻の頭を拭く、拭く、拭くっ。
 それでも止まらず、最後には大きなお尻をこっちに向けてふりふりしつつ顔を土に擦りつけた。
「あらら……」
 ようやく匂いが取れたようで、文字通り尻尾を巻いて逃げる可愛さに笑いをこらえるキーリだった。

「ん?」
 真はこのころ、囮とは反対の位置で縄を枝に括り付けていた。
 蛇のように見せてこちらに来ないようにしているのだ。
 ところが。
「おっと。お出ましか」
 ここで盗賊リスを発見。向こうもこっちに気付いた。
 何をするか、と思ったらちょこんと首を傾げている。
「……これは油断するだろうなぁ」
 やれやれ、と肩をすくめるとそのまま近寄って来た。まるで音楽に乗るような優雅な動きで、まるで盗賊リスなどという物騒な名前がついているとは思えないような可愛らしさである。
 で、十分近寄ると顔を上げて出っ歯の隙間から酸発射!
「おっと」
 真、余裕でかわす。驚いたリス、また発射。
「いい加減に……」
 さらにかわした瞬間、何かを投げた!
 トウガラシだ!
 リスの口の中にストライク。
『ッ!』
 ごろごろ転がって吐き出すと、ぴょんぴょん慌てて逃げてった。

 ――ぱぁん!
 激しい音が響いたのは、囮の袋近く。
「それはトウガラシ入りだっ!」
『ワンッ!』
 ヴァイスとワンコだ。
 ハリセンを烈火の如き激しさで上段から一気に振り下ろして大爆音を響かせたのだ。
 これにはリスどももびっくぅ、とトウガラシに困惑した体を硬直させた。
 その瞳は恐怖に見開かれている。かたかた、と微妙に前歯が震えていた。
「悪い悪い、元気そうで何よりだ」
 ヴァイス、追撃を掛けるようにオリジナルスマイルでにたぁり……。
 その殺気に気付いたか、少しほこほこと蒸気を発生させて一目散に逃げるリスだった。
 ちなみに、その場になぜか水たまりが残っていたとか。

 こちらも激しい。
「ほら?」
 ブリジットの伸ばした手は空を切った。
 盗賊リスが間一髪逃れて前方にダッシュ。
 と、思ったら横から白い腕が伸びてきた。
 円舞の体さばきでステップし回り込んでいたのだ。最初の動きは前に逃がすための囮だったようだ。近くに置いておいたハープボウから逆算された動きである。
「舞も舞台の広さから動きを計算しておくものですしね。はい。アーン♪」
 この盗賊リスも、抱きしめられたブリジットの腕の中でトウガラシの被害に遭うのだった。

 別の場所で、小太。
「悪戯なリスさんですかぁ。何もしなければ可愛いだけなんですけども…」
「ん?」
 呟きに反応したフラが振り返る。頬がリスのように膨らんでいるのは、大玉の飴玉を舐めているため。
「い、いろいろ盗んだり悪戯したりはいけないですねぇ」
 恥ずかしそうに反らした視線の先に、盗賊リス。
 ばったり遭遇してしまった。
「え、ええと。気がつかないフリ、気がつかないフリ……って、ふぇ!?」
 小太、何があった!
 リスは小太からポロリしたナッツの袋の落ち際をさらって逃げてったぞ!
「小太さん、大丈夫?」
「と、溶かして持ってくのはなしですよぉ!?」
 何と。
 小太はナッツを胸元に挟んでいたらしく、ここに酸を食らって溶かされたらしい。一面溶けた胸部分は肌があらわになり、合わせを引き寄せようが絶対に合わさることもなく。
 フラに素肌の白さを存分に見せる羽目になったが……見る見るうちに赤くなったとさ。
「ええと……あ、あそこ」
 フラ、空気を読み取って逃げたリスを指す。
 ナッツには香辛料がかかっていたようで、リスはナッツ袋を地面に叩きつけ、たしたしと地団駄を踏んでいた。

 そして作業してる木こりたち。
「……大丈夫かいの?」
「ええ。気にしないでください」
 振り向いた先に、悠月。
 腰を落とし、日本刀「白狼」を両手で鞘ごと水平に構えていた。
 悠月の視線の先には、盗賊リス。
 木こりの背後から斧に向かって酸を吐いたのだが、超感覚でいち早く気付いた悠月に割り込まれ、鞘で酸を受けられたのだ。
『きゅ……』
 その気迫にすごすごと退散する盗賊リス。
「いやあ、狙われていたとは助かったよ」
 無事に木こりの道具を守った。

 そして、伐採。
 周囲に人もリスもいないことを確認して……。
「倒れるぞ~」
 ――バキ、バキバキバキ……。



 モミの木を切り倒すと、ハンターたちは木を引く馬車を護衛しながら帰途に就く。
 そんな中、ブリジットがくるんと身を翻す。


モミの木さんは、年に一度のおめかしに
真白のヴェールで着飾るの


「あはっ」
 これを見たフラ、真似してくるん。


きれいにきれいに着飾って
ボクたちみんなもにっこり笑顔


「うん♪」
 ブリジットも微笑して続ける。


紅も、青も、人もエルフもドワーフさんも
リズムに乗れば何時だって何処だってお祭りさ♪
鬼さんもこちらへおいでよ
皆仲良く楽しみましょう


「あ、その……。ボクたちリラ・ゼーレの歌もできないかな?」
「それはいいかもですよぉ」
 立ち止まったフラに、小太が頷く。
「んー……『居場所を探す』とか『赤と青の星を見ていた』とか?」
 一番最初に、考え込むようにうつむいたキーリが反応した。
「ほら、私はクリムゾンの人間でもリアルブルーの人間でもないしね。生まれが違う以前に異種族もいるって事よ。人間社会じゃ最初は私も一人だったしね」
 少し寂しそうに呟く顔はすぐにびくりと跳ね上がった。
「ちょ……なにみんな見てるのよ」
 リラ・ゼーレの仲間全員が彼女の表情を気にしていたのだ。
「あー、ちょっと恥ずかしい話をしちゃったじゃないの」
「僕、こっちの世界にきてしばらく一人だったから……勇気づけられるのが好き!」
 キーリを励ますように悠月が声を張った。
「青い風に誘われて、流れ流れて見知らぬ世界」
 横からブリジットが誘うように歌った。
「紅い夕日に立ちすくむ、君の瞳に夢を見る」
 フラが続いた。
「居場所を探した二人の奇跡」
 これは、キーリ。
「一人じゃないよ、僕がいる」
 今度は、悠月。
「旅路ささやく僕の声、明日をさえずる君の夢……」
 そっと真が割って入る。
「過去から未来へ想いを紡ぐ」
 ヴァイス、にやりとつないでいく。
「二人見上げる星の色、赤と青の……」
「ハーモニー」
 キーリが問うと、真が打てば鳴るように。
「で……出会った運命、リラ・ゼーレ」
「一人じゃないよ、皆がいる……はっ!」
 小太がぽそりと言って悠月が締めたとき、気付いた。
「その……」
「いや、いい歌詞だねぇ」
 恥じ入るフラたちを見て、馬車を止めた木こりたちがにこりとしていた。



 こうして、町の広場に到着。
 住民たちは待ちわびていたようで、枝打ちする鉈を持った男がいれば長くきらびやかなリースを手にした女性もいる。子どもたちもキラキラ輝く星飾りを手に駆け回っていた。
「さあ、もうひと頑張りだ」
 木こりたちは引きずって傷んだ、根っこ側の枝を次々に払っていく。根本も切って適度な高さになるように。
「穴、掘ったぞ」
「よーし」
 ロープを使って穴を支点に直立させると、大きな石を穴に詰めて固めていく。土を叩きある程度固定すると……。
「レンガ、組めっ」
「おおっ」
 回りをレンガで囲って、中にさらに石を積めて固めていく。
「おっと、こうしちゃいられない。聴きながら作業できる曲をやろう」
 真、フラと小太を誘う。
「歌は出来ないですけど演奏と踊りならぁ。今日は神楽鈴も持ってきましたし静かな踊りでもいいのならやってみるのですよぉ」
 小太の伸ばした手を取るフラ。真の横笛に合わせてしゃんしゃん踊る。
 これを見た住民も、しゃんしゃんとリズムを取りながら作業作業♪
 はしごを掛けて、星を飾って。
「はいよ、スープができたよ」
 やがてそんな声も。
 気付けば屋台が立ち、祭りのようになってきた。


モミの木さんは、年に一度のおめかしに……


 今度はブリジットが軽やかで情熱的な舞いを披露しながら歌っている。
 おっと。
 剣を抜いて白い紙を投げ上げたぞ?


真白のヴェールで着飾るの


 見事な剣裁きで紙はばらばら。白い雪のように舞った。
「わあっ」
 見ていた人たちは拍手。
 もちろん、はしごの上でモミの木に白い雪飾りを施していた人も拍手拍手。笑顔が広がる。

「ほらユッキー、私たちの意地を見せるときよ」
「フラさんたちもブリジットさんも頑張ったからね。リラ・ゼーレの一員として、今度は僕とキーリさんとで盛り上げるよ」
 今度はキーリと悠月が出てきた。ひゅっ、と期待の口笛が鳴る。
 そこへばさっと舞う紅い上着。
「どう、私の踊り子衣装素敵でしょ? さ、いくわよー」
 肌をさらした衣装で情熱的なダンスを披露するキーリ。
「リアルブルー・ポップス、聴いてくださいっ!」
 続いて悠月が出てきて第一声で注目を集める。
「じゃ、行こうか」
「ええ」
 真のリュートとブリジットのハープが伴奏。
 ぱぁん、と音が響いたのはヴァイスのハリセン。打楽器として使っている。
 その中で悠月の熱唱が始まった。いつものように語りかけるように前のめりになり張りのある歌声を響かせ、全身で喜びを表す。その横からくるりとキーリ。ぴたっと止まって魅力的にウインクで決める。

 ちなみにこの時、小太は。
「そういえばフラさんは、こういうお祭りは経験あるんですかぁ?」
「こういうのって?」
 小太の手を取り屋台巡りをしていたフラが振り返って聞く。
「クリスマスですよぅ」
「ううん。初めてっ!」
「はわっ!」
 フラ、クリスマスツリーに飾るリースを持っていたようで、返事と同時にふわっと小太の首に掛けたりして飾り付けた。
「い、悪戯なリスさん……フラさんですぅ」
「あははっ。ボクたちも飾り付けの手伝いに行こう!」
 再び小太の手を取り駆け出すフラ。
 その向こうでは。
「ここでアイドルのお出ましだぁ」
 ヴァイスが華やかで装飾過多なアイドルコスチューム「紅」を纏って壇上に上がっていた。
「帝国流アイドルの全開全力のステージを披露するぜ」
 服装はともかく演奏に合わせて心を籠めて歌う。
「ほお、帝国流」
「帝国流だって」
 音楽に貪欲な住民はこの機会にと楽しく聞く。

 こうして、楽しい思い出とともにツリーはクリスマスまで町に華やぎをもたらしたという。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 4
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • 感謝のうた
    霧雨 悠月ka4130

重体一覧

参加者一覧

  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
    人間(蒼)|21才|女性|猟撃士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 感謝のうた
    霧雨 悠月(ka4130
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • メテオクイーン
    キーリ(ka4642
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 百年目の運命の人
    弓月・小太(ka4679
    人間(紅)|10才|男性|猟撃士
  • 咲き初めし白花
    ブリジット(ka4843
    人間(紅)|16才|女性|舞刀士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 「リラ・ゼーレ」本部(質問卓
ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
人間(リアルブルー)|21才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/12/03 19:21:29
アイコン リラ・ゼーレ控え室(相談卓
ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
人間(リアルブルー)|21才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/12/07 20:35:52
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/05 23:52:48