叫べ、我が名は黒キノコ

マスター:尾仲ヒエル

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2015/12/13 19:00
完成日
2015/12/21 17:58

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●森に潜む影
 北の森で不可解な物を見た、という噂がささやかれ始めたのは数ヶ月ほど前のことだった。
 実際に出会った、と言う者や、巨大なキノコに似た姿だった、と言う者がいたが、なぜか詳しい話を聞こうとすると、皆、言葉をにごすのだった。
「どういうことだろうな?」
 剣を背にしたジョーが相棒のクレインを振り返る。
 ハンターオフィスの依頼を受けて、町の人々に聞き込みを行っていた2人だったが、有力な情報はなかなか集まらなかった。
「幻覚でも見せられたか、それとも人には言えない何かがあるか、だな」
「実際に行って確かめてみるしかないってことか」

●ぴょんぴょんするよ
「怪我人や死人は出ていないらしいが……」
「用心に越したことはないな」
 警戒しながら森を進んでいた2人の前に、ひらけた空間が現れた。
 足を止めたジョーがクレインに合図を送り、2人はそっと近くの茂みに身を潜める。
「なんだ? パルムか?」
 ひそひそと言葉を交わす2人の目線の先では、いくつもの黒い影がぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「パルムにしてはデカくないか?」
「そう言われればそうだな。それに、なんというか……黒くて禍々しいな」
 真っ黒なキノコたちは6体。
 人間の半分くらいの背丈はあるだろうか。
 目鼻はなく、傘の先から軸の下端まで全身真っ黒だった。
 そのフォルムと傘の中央の×印は、リアルブルー出身のジョーに故郷で見たシイタケを思い起こさせる。
 黒キノコたちは輪になってぴょんぴょんと跳ね回り、その姿はまるで踊っているように見えた。

●我が名は黒キノコ
「様子見がてら攻撃してみるか。援護してくれ」
 剣を手に忍び出たジョーが、一番手前の黒キノコに斬りかかる。
 銀色に光る刃が真っ直ぐに振り下ろされ……ボフン!
 突然、ジョーとその周りの空間が真っ黒な煙のようなものに包まれた。
「ジョー!」
 クレインが声を上げた時、ジョーが咳き込みながら煙の中から抜け出してきた。
「おい。大丈夫か」
「大丈夫だ。俺の名はジョー・ヤマモト。いずれ伝説になる男さ」
 見たこともないキリッとした表情で言い切るジョーに、クレインは得体のしれないものを見るような視線を向ける。
「……本当に大丈夫か?」
「ああ。不浄の者たちよ。その目に刻むがいい」
 ジョーが剣を再び構える。
 黒キノコたちは、まるでジョーの言葉に聞き入っているかのように動きを止めている。
「くらえ! 黄昏の審判(トワイライト・ジャッジメント)!」
 横薙ぎに斬りつけたジョーの剣が、黒キノコの軸を捉えた。
 カキーン!
 小気味の良い音と共に、ジョーの剣が弾かれる。
「くそっ! 絶対障壁か!」
「トワイライト……なに? 絶対障壁? おい、ちょっと待て。なんだその設定は。俺たちいつも普通に戦ってきただろう」
 その時、クレインの近くにいたキノコの一体から、ボフン、と煙が放出された。
 煙を吸い込んでしまったクレインがケホケホと咳き込む。
 やがて顔を上げた時には、その目の色が変わっていた。
「これは……封印を解きし戦慄の暗黒物質(ふういんをときしせんりつのダークマター)か……。フッ……そろそろ私の真の力を見せるときがきたようだな」
 杖を構えたクレインがファイアアローを放つ。
「いでよ、蒼炎の槍(そうえんのジャベリン)!」
 叫んだ内容とは関係なく、ごくごく普通の色の炎の槍がキノコの一体を吹き飛ばす。
「やるなクレイン」
「フッ。我が業火に灼けぬものはない」
「俺も負けてはいられないぜ!」
「ジョー危ない! 漆黒の輪舞曲(しっこくのろんど)だ!」
「うおおお!」
「たああ!」
 独特な戦闘はしばらく続き、最終的にジョーとクレインは計2体の黒キノコを霧散させた。
 2人は一度町に戻り報告を済ませると、酒場で町の人々に武勇伝を語り聞かせた。
 そしてその数時間後、我に返って絶叫すると、宿の部屋に引きこもった。

リプレイ本文

 森の中。一連なりの茂みがごそごそと動き、ハンターたちの頭がひょこんと顔を出した。
「いたっす! 黒キノコっす!! 注意っす!!」
 自分の背丈よりも大きな刀を抱えた上中里 玄(ka4976)が興奮したように囁く。
 ハンターたちの視線の先には、ぴょんぴょん跳ね回る4体の黒いキノコの姿があった。辺りの地面は、キノコたちが跳ね回ったせいで、ぼこぼこと盛り上がっている。
「なんだかよくわからん敵だな……慎重に当たるとするか」
 鞍馬 真(ka5819)が淡々と呟く。
「……少々特殊な力を持っているようだけど、身体的な害はないようだし……ハンターになりたての身にはもってこい、かしら」
 首を傾げながらキノコたちの様子を窺うリン・フュラー(ka5869)は、少し緊張した様子だ。
「報告書によれば、そう強くはなさそうだし、突撃してみちゃう?」
 アサルトライフルを手にしたPetra Rodenwald(ka5833)が、くいっとキノコたちに指を向けると、超級まりお(ka0824)が頷いて立ち上がった。
「キノコ退治だよねー。うん。なんか簡単そう。さっさとやっつけちゃおうか」
 跳ねるようにキノコたちに近づいていくまりおの足取りには自信が満ちている。
「私も接近して様子を見てきます!」
 様子見に一度攻撃しようと、ヘカテー・オリュンポス(ka5905) が、まりおの後に続いた。
 2人の接近に気が付いたキノコたちの動きが止まり、中の一体が威嚇するようにぴょんと跳ねる。
「ターゲット、ロックオン!」
 カードバインダーを構えたヘカテーが、一番端のキノコに向けて身構える。そして符を放とうとした瞬間、足元の盛り上がった土に躓いてバランスを崩した。
「ひゃう!?」
 その拍子に、ヘカテーの手元の符が発動する。
「あ」
 光弾が一番端のキノコの×印を直撃し、地面に倒れたヘカテーと、驚いた顔で振り返ったまりおが真っ黒な煙に包まれた。
 しばらくして煙が晴れた後に見えてきたのは、地面に倒れた2人の姿だった。
「大変!」
「大丈夫ですか!?」
 茂みから飛び出したPetraとリンが、倒れた2人の元に駆け寄る。玄と真もキノコたちの攻撃範囲から外れた位置にまで近づいた。
 心配そうに覗き込んだリンの目の前で、ヘカテーがむくりと起き上がる。
「ククク……我が名は伝説の魔王の生まれ変わり、ヘカテー・オリュンポス! 我が漆黒の眷属の瘴気を受け、前世の記憶を取り戻した!」
 高らかに宣言された言葉に、キノコたちと、ついでにハンターたちも動きを止める。
「……大丈夫そうね。いえ。これは大丈夫とは言わないのかしら」
「難しいところですね」
 Petraとリンが顔を見合わせる横で、腰に手を当てたヘカテーが高笑いを響かせる。
「フーハハハ! 我が蘇ったからには、この世界を破壊し尽くしてくれようぞ。まずは、ここにいる雑魚どもを葬ってくれよう。さあ、歓喜にむせぶが良い……麗しき闇の生贄となるのは、お前だー!」
 びしい! と、指をさした先には、一体のキノコ。
「受けてみよ、邪龍滅殺砲(ウロボロス・キャノン)!」
 ヘカテーが符を発動させると、蝶を思わせる光の弾が放たれ、さっきヘカテーが指さしたキノコとは別のキノコの軸に当たった。
 静まり返った空気の中で、ヘカテーがもう一度胸を張る。
「……。フハハ! 騙されたな! そういう作戦なのだ!」
「ウ……邪龍滅殺砲(ウロボロス・キャノン)……!」
 なぜか瞳を輝かせている玄の横で、真が咳払いをひとつする。
「報告書にあった通り、誰かが、その、喋っている間は動きが止まるようだな」
「そうみたいですね。この隙に斬ってみましょう」
 刀を抜いたリンがキノコの体に斬りつけると、キン、という金属音と共に弾かれる。真のデリンジャーの攻撃も同様に弾かれた。
「絶対障壁ってやつね」
「……くふっ、くふふふっ」
 眉根を寄せるPetraの足元の地面では、まりおが地面に伏せたまま肩を震わせていた。
「とーぅ!」
 掛け声と共に鮮やかなバク転宙返りで立ち上がったまりおは、片足で立つと、ゆっくりと両腕を左右に開いた。
「さすがの戦慄の暗黒物質もこのボクには通用しなかったようだね! ボクは『無敵跳人』まりお。鷹のように天を舞い、悪を倒す正義のヒーロー! 人呼んで『天空のジャスティス』。のちに伝説となる次代の英雄さ!」
 キリッとした顔で鷹のポーズを決めるまりおだが、その瞳孔は完全に開いている。
「正義のヒーロー……! かっこい……って、違あぁう! 中二は見るもの、見るものっす!」
 わはー、と思わず顔を輝かした玄が、余計な考えを振るい落とそうというかのように、ぶるぶるっと頭を振る。正直なところ、カッコイイ呪文や決めポーズなどのあれこれは嫌いではない玄だった。
「くらえっ! まりおバスター!!」
 葛藤する玄の横で、掛け声と共にまりおが投げつけた手裏剣は、カンカン、という音と共にキノコに弾かれた。
「くっ。しぶとい悪の手先め。だが、こんなことでボクの正義の心は折れはしない。……ジャスティス!」
 地面を蹴ったまりおが、勢いよく飛び上がる。
「高い!」
 逆光に目を細めるハンターたちの頭上で、くるりとまりおが宙返りを決める。そのまま急降下したまりおの着地した先は、さきほどヘカテーが邪龍滅殺砲(ウロボロス・キャノン)を当てたキノコの傘の上。

 ボフン!

「ジャスティス!」
 満足げに鷹のポーズを決めるまりおの背後で、潰れるようにへたったキノコが霧散していく。
「なかなかやるではないか」
 ヘカテーが褒め言葉を口にしたとき、残ったキノコたちが三方向に散開した。そして、ぐっと屈みこむように体を縮め、胞子を噴き出す。

 ポン! ポポン!

「同時!?」
「きゃあ!」
 次々と放たれた胞子によって、辺りが黒い煙に包まれ、驚きの声を上げるハンター全員を呑み込んだ。
 1人、また1人とむせながら煙から飛び出してくる中、よろりと煙の中から進み出た真は、苦しげな様子で左の目を押さえていた。
「……ぐ」
「大丈夫?」
 Petraがけほけほと咳き込みながら声をかけると、腕を下ろした真が無言で顔を上げた。その瞳が一瞬、金色に光り輝く。
「ああ。左目の封印が解かれただけだ……昨日までの私にGOOD BYE……そしてWELCOME 今日の私……」
 歌うように言った真はデリンジャーを仕舞うと、刀を抜く。
「私の名は孤独の瞳《ローンウルフ》。さあ、断罪の時間だ」
 その言葉を聞いたPetraに特別な反応はない。彼女もまた、胞子の影響を受けていた。
「なんてこと、『組織』がここまで追ってきたというの」
 意味ありげな様子で瞳を伏せたPetraが、ぎゅっと唇を噛む。
「『常闇ノ奔流』としての過去は捨てたというのに……今の私はただのPetra。そうでしょ?」
 静寂の中、Petraとキノコたちがじっと見つめ合う。やがて微動だにしないキノコたちから何かを感じ取ったらしいPetraが、そっと視線を外した。
「そう……見逃してくれる気はないみたいね」
 そう言ったPetraの肌の色が黒く変わり、背後から漆黒のオーラが立ち上った。黒いオーラの端は、まるで黒ビールを思わせるようにふつふつと泡立っている。
「私の覚醒能力を見て生き残ったキノコなどいない……。シュヴァルツビーアの奔流に飲まれて死になさい!」
 正確にキノコの軸の中心をとらえたアサルトライフルの弾は、しかし金属音と共に弾かれた。
「くっ、私のアウフシュタンド ウンティアドルッケンを防いだだと!? クリーク(戦争)に慣れているというのか、フューンギー(菌類)が調子に乗るなよ!」
 ドイツ語でキノコを罵るPetraの横で、真が動いた。
「灼熱の魂《イグニスソウル》」
 守りを捨てた構えを取った真が、同じキノコの背後をとる。
「漆黒斬《ダークストライク》」
 うおん、という低い音を響かせ、刀がキノコの軸を切り裂く。キノコはその場にとどまることさえできず、瀕死の様子で体をふらつかせた。
「さあ、断罪を」
 後ろに飛び退いた真が視線を送ると、アサルトライフルを構えたPetraが頷いた。
「私の眼には既にキノコの死体が映っている……三秒後のお前の姿だ。アインツ、ツヴァイ、ダライ!」
 破裂音と共に2体目のキノコが塵と化した。

 残った2体のキノコを見つめ、リンが手にした刀を引き抜く。それは、血を吸うと刃が仄かに紅く染まるという刀、「紅丸」。
「見て。刀が血を求めているわ」
 嫣然と微笑んだリンは、冷たく光る刃にぺろりと舌を走らせる。
「なんだか雰囲気が違うね」
「うむ。強力な闇の波動を感じるぞ」
 新たなる鷹のポーズを決めながらまりおが言うと、魔王ことヘカテーがお墨付きを与える。
 刀を構えたリンの瞳が血のような紅に染まった。
「……ふっ……可哀想な雑魔たち。キノコの身では、花を咲かせることもできはしない。美しく花開くこともなく、哀れに散っていくのね……」
 悲哀に満ちた目でキノコたちを見まわしたリンは、右側のキノコに狙いを定める。
「先に言っておくわ。……さよなら」
 距離を詰めて放たれた一撃は、澄んだ金属音と共に弾かれた。
「受けてみなさい、我が神速の剣……!」
 攻撃が何度防がれても、リンは手を休めることなく、繰り返しキノコを斬りつける。そして、一度距離を取り、精神を統一するように呼吸を整えると、一気に間合いを詰めた。
「荒れ狂う嵐の前には、全てがただ無残に散るのみ……!」
 その言葉と共に、「紅丸」がキノコの体を貫く。キノコの体から刀を抜いたリンは、その場に背を向け、振り返りもせず歩き出した。
「……三途の渡し賃です」
 呟いたリンが、背中越しに餞別として6Gを投げる。硬貨が地面に散らばった瞬間、3体目のキノコが霧散した。

「くう。しびれるっすね。でも、あたしだって負けないっすよ」
 残った1体を前に、片手で刀を掲げた玄が名乗りを上げる。その表情からは既に迷いは消えていた。
「あたしは上中里 玄! 『はじめ』にして『はるか』な遠くに見える『くろ』を名に持つ者っす! 玄は根源! 空間時間を超越した森羅万象の根源の色! ただ黒いだけのには負けはしねーっすよ!!」
 大太刀を抜いた玄が、動きを止めているキノコに駆け寄る。
「駆けるあたしは、風よりも疾く! 閃くカタナは、電よりも鋭く! 刃先が描くは、幾重の真円!」
 言葉通り円を描くような動きでキノコの周りを走った玄は、一気に間合いを詰める。
「食らえ! あたしの必殺技(とっておき)っす! 円閃多重結界、その名も銀風(しろがねのかぜ)!!」
 煙るように輝く銀色の刃先が、キノコの軸に風穴を開けた。玄が後ろに下がると、支えを失ったキノコは、どうっと地面に倒れ伏す。
「……終わったの?」
「まだっす」
 Petraの呟きに、玄が首を横に振る。その言葉通り、ハンターたちの目の前で一度倒れたはずのキノコが起き上がった。
「流石はラストワン! 残るだけあって強さも硬さも半端じゃねーっすね!」
 再び刀を構える玄は、この戦いを楽しんでいるように見える。
「『まだだ……お前たちの本気はそんなものか。さあ、見せてみるがいい……お前たちの真の力(リアル)!』」
 起き上がったキノコに声を当てていたヘカテーが、重々しく頷いた。
「良かろう。見せてやろう。我が真の力。……闇の祝福」
 マテリアルヒーリングにより、邪悪な微笑を浮かべるヘカテーの体が暖かな光に包まれる。
「咲く花は散る時を知るもの……その身で味わいなさい。私の真の力(リアル)!」
 リンの攻撃をぎりぎりで避けたキノコは、回転しながら目の前の真に体ごとぶつかっていった。
 その動きを見極めていた真は、滑るような動きで攻撃を避ける。
「笑止。この程度で『孤独の瞳《ローンウルフ》』たる私を倒そうとは」
 左目を覆ったポーズで呟く真の顔にも笑みが浮かんでいる。
「ヅツワーツ・ウンドゥラフング(黒きロンド)か、キノコにしては大げさな名前だ。ツィールシィーセン(精密射撃)の前に塵芥となるがいい!」
 Petraがアサルトライフルを構えて狙いをつける。
「みんなの力を束ねてぶつけて! あたしの魂、ここで燃やすっす!! がるるる……ぐるろろろォァアアアア!!!」
 咆哮を上げた玄の体を、銀色の風のようなオーラが包み込む。素早く踏み出した玄は、キノコの逃げ道を断ちながら斬りかかった。
 退路を断たれたキノコが躊躇うように体を揺らした瞬間、真の渾身の力を込めた一撃がキノコの傘に向けて振り下ろされた。
「完全体《ゴッド・エンド》の一撃」
「まだまだ! アインツ、ツヴァイ、ダライ!」
 真の攻撃によって地面に叩き付けられたキノコの体を、Petraのアサルトライフルの一撃が跳ね上げる。
 空に舞ったキノコの体を、まりおの「MURASAMEブレイド」の唸りが迎えた。
「コイツが止めのまりおカッターだっ!」
 真っ二つになったキノコの体に、更に光の弾が追い打ちをかける。
「闇へと還るが良い。邪龍滅殺砲(ウロボロス・キャノン)!」
 ぱさり、と、原型を留めないほど打ち砕かれたキノコの体は、今度こそ力尽きたように地面に落ち、やがて跡形もなく消えた。

●そして伝説へ
 我に返るまでの時間には個人差があるようで、酒場では、まりおとPetraが町の人々に今回の戦いの様子を語り聞かせていた。
「でね、そこでボクがかっこよく必殺技を決めたわけ」
「『組織』に追われている理由? フフ。そんな機密事項を知ったらあなたも狙われちゃうわよ」
 カウンターに顔を伏せたまま、先ほどからぴくりとも動かないリンの横では、玄が床に届かない両足をじたばたさせている。
「あたし、帰る。おうち帰って寝るっす。うわーーーーん!! 分かってたのにー!」 
 そんな仲間たちの様子を眺めながら、真1人はすっきりとした様子だった。
「あの自分が無敵になったような感覚は得難い経験だった……」
 無意識に左目を覆う仕草をしながら呟く真に、玄とリンが尊敬の眼差しを向ける。
「孤独の瞳《ローンウルフ》すごいっす」
「流石は孤独の瞳《ローンウルフ》……」

 ハンターたちの働きにより、町には平和が訪れた。
 そして、それからしばらくの間、町の子供たちの間では、こんな遊びが流行した。
「まりおカッター!」
「私の眼には既にキノコの死体が映っている……」
「三途の渡し賃です」
「ずばばばば! 円閃多重結界!」
「あー、オレ、孤独の瞳《ローンウルフ》やりたい!」
「邪龍滅殺砲(ウロボロス・キャノン)!」
 町は今日も平和である。

依頼結果

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MVP一覧


  • 鞍馬 真ka5819
  • 紅の鎮魂歌
    リン・フュラーka5869

重体一覧

参加者一覧


  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 根源たる灼熱の黒炎
    上中里 玄(ka4976
    人間(蒼)|12才|女性|舞刀士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 缶ビールマイスター
    Petra Rodenwald(ka5833
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • 紅の鎮魂歌
    リン・フュラー(ka5869
    エルフ|14才|女性|舞刀士
  • 我が名は魔王
    ヘカテー・オリュンポス(ka5905
    人間(蒼)|14才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 伝説の始まりの場所(相談卓)
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/12/11 21:55:20
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/11 01:15:25