ゲスト
(ka0000)
【初夢】オワコンクリスマス!
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/02 19:00
- 完成日
- 2016/01/15 06:05
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「目覚めるのです、器ちゃん……目覚めるのです……」
不思議な声にうなされながら器ちゃんが目を覚ますと、そこはエルフハイムではなく高層ビルの立ち並ぶ近代都市であった!
「ここは……?」
「目覚めたようですね、器さん。ここはビフレストコーポレーション本社ビル前。しょっちゅうバグアや能力者に壁をブチ抜かれた場所です」
両目をごしごしと擦る器ちゃんの前には二人の謎の人物が立っていた。
一人は袴姿の少女。もう一人は何かこう、決してアダルトではないSFチックな全身スーツに身を包んだ女性。
二人共顔には怪しい仮面をつけていて、素顔は決してわからない。
「私のー名前はー……謎のオオガミさんなのですよー」
「私の名前は……名前……偽名を考えていませんでした。まあ、謎のAIとでも言っておきましょうか」
「なに? サンタなの?」
「サンタさんではーないのですよー。むしろ、器ちゃんの大切なモノを奪いにきました」
そう言って謎のオオガミさんが取り出したのは、「スノウメヰデン4」と書かれた予定。
「それは、私が登場するはずだったEXシナリオ……!」
「これを返して欲しければ、ヒイロ達と勝負です」
「その通りです。12月中に出るはずだったこのシナリオは調整が間に合わず出せない見通しですが、それはすべて私達の策」
「「 我らオワコンからの侵略者!! 活躍するNPC殺すマン!! 」」
二人が息を揃えて決めポーズを取ると、器は首を傾げ。
「別に私、そんなに活躍してないと思うけど……」
「嘘はいけないのですよー器ちゃん。つぶやきの回数が多すぎるのですよー」
「あなたを使ってマスターがログインしている証拠です! つぶやきはCTSにはなかったので色々とアレですが! ……というよりオオガミさんはキャラコミュで書き込みあったから同じですよね?」
「まさかの内輪もめはやめましょうアンサーちゃん。ヒイロわるくない」
「IDすら与えられずイラストすらつかなかったNPCの哀しみはあなた達には理解していただけないでしょうね……」
しばらく言い争っていた二人を前にあくびを一つ。
「で? どうしたら返してくれるの?」
「それは勿論物理的に……おうふッ!?」
突如オオガミさんの腹部に発光する霊体がめり込み、大きく背後に吹っ飛んだ。
「殺せばいいの?」
「なんて殺伐としているのでしょうか。初登場時のマスターですらもう少し可愛げがありましたよ」
「死んだと思ったですか? しかしヒイロはとっさにカシェル先輩を犠牲にすることでノーダメージでした」
むくりと立ち上がる謎のオオガミさん。そして「スノウメヰデン4」をポッケにねじ込むと、びゅんと走りだす。
「わふふー! 悔しかったら捕まえてみるがよいのですよー!」
「それではごきげんよう! いでよエーデルヴァイス!」
突如として空中から出現した巨大な人型兵器が瞳を輝かせる。繰り出されるガトリングを回避すると、ビフレストビルが穴だらけになった。
「刀狩りやブラッド君を出さないだけ感謝するのですよー!」
「そんなの字数的に無理ですよオオガミさん」
ダッシュで逃げていく二人に舌打ちする器。ローエングリンを取り出し、ロボットの振り下ろす剣を受け流す。
「クリスマスはサンタさんが来てくれて、プレゼントをくれて……そういう幸せな日だったはずなのに……。どうして出番を取られた挙句、こんな茶番に付き合わなければならないの?」
そのままローエングリンを大地につきたて、ギミックを起動する。
「これがよく出来た悪い夢なら、その“結界”を破壊すれば……」
「――無駄よぉ。この結界は誰にも壊せない……例え私であったとしてもね」
覚えのある声に振り返ると同時、無数の血の槍がエーデルヴァイスを貫いた。爆発四散!
「オルクス……なんでサンタの格好してるの?」
「私も奴らに奪われたのよ。「不死者のクリスマス」という夢オチシナリオをね……」
ふわりと大地に舞い降りたオルクスは握りこぶしを作り。
「夢の中で剣王様がリンドヴルムにまたがってプレゼントを配ったり、ナイトハルトが“武の極みたる者、家事全般無双”ってみんなの料理を作ったりするシナリオが出るはずだったのに!」
「それは別にいいけど、マスタースケジュールに予定書かないで急に出すのやめなよ」
「ご、ごめんなさい……って仕方ないでしょツイッターネタなんだから。それより一刻も早く奪還しないと、夢オチシナリオのリリース可能期間が終わってしまうわ! 剣王様のクリスマスが!!」
「私は別に終わってもいいんだけど……早く目覚めて着信してるメールからプレゼント受け取りたいし……」
「いいから手を貸しなさぁい。といっても奴らは夢の中の存在だから、果たして物理攻撃で倒せるのかどうか……」
そこでオルクスはポンと手を叩き。
「せっかくクリスマスなんだし、あの子たちが満足して帰ってくれるようなプレゼントを用意したらどうかしらぁ?」
「プレゼント……? でも私、あのヒトたちがなんなのか知らないんだけど……」
「残念ながら私もねぇ。う~ん、どうやって追い返したものか……知っているヒトがいればいいんだけどぉ」
ていうかそもそもそれ以前に結構平和的な解決方法を提示してきたオルクスに驚きを隠せない器であった。
「とりあえず、何も思いつかなかったら、徹底的に切り刻んで殺すから」
「そ、そう……。なんかそれってシナリオ的に良いのかしら……」
冷や汗を流すオルクスを置き去りに器は歩き出す。
かくして、スケジュールを乱すオワコンたちとの戦いが幕を開けたのであった!!!!!
シナリオ全然でなくてごめんなさい!!!!
不思議な声にうなされながら器ちゃんが目を覚ますと、そこはエルフハイムではなく高層ビルの立ち並ぶ近代都市であった!
「ここは……?」
「目覚めたようですね、器さん。ここはビフレストコーポレーション本社ビル前。しょっちゅうバグアや能力者に壁をブチ抜かれた場所です」
両目をごしごしと擦る器ちゃんの前には二人の謎の人物が立っていた。
一人は袴姿の少女。もう一人は何かこう、決してアダルトではないSFチックな全身スーツに身を包んだ女性。
二人共顔には怪しい仮面をつけていて、素顔は決してわからない。
「私のー名前はー……謎のオオガミさんなのですよー」
「私の名前は……名前……偽名を考えていませんでした。まあ、謎のAIとでも言っておきましょうか」
「なに? サンタなの?」
「サンタさんではーないのですよー。むしろ、器ちゃんの大切なモノを奪いにきました」
そう言って謎のオオガミさんが取り出したのは、「スノウメヰデン4」と書かれた予定。
「それは、私が登場するはずだったEXシナリオ……!」
「これを返して欲しければ、ヒイロ達と勝負です」
「その通りです。12月中に出るはずだったこのシナリオは調整が間に合わず出せない見通しですが、それはすべて私達の策」
「「 我らオワコンからの侵略者!! 活躍するNPC殺すマン!! 」」
二人が息を揃えて決めポーズを取ると、器は首を傾げ。
「別に私、そんなに活躍してないと思うけど……」
「嘘はいけないのですよー器ちゃん。つぶやきの回数が多すぎるのですよー」
「あなたを使ってマスターがログインしている証拠です! つぶやきはCTSにはなかったので色々とアレですが! ……というよりオオガミさんはキャラコミュで書き込みあったから同じですよね?」
「まさかの内輪もめはやめましょうアンサーちゃん。ヒイロわるくない」
「IDすら与えられずイラストすらつかなかったNPCの哀しみはあなた達には理解していただけないでしょうね……」
しばらく言い争っていた二人を前にあくびを一つ。
「で? どうしたら返してくれるの?」
「それは勿論物理的に……おうふッ!?」
突如オオガミさんの腹部に発光する霊体がめり込み、大きく背後に吹っ飛んだ。
「殺せばいいの?」
「なんて殺伐としているのでしょうか。初登場時のマスターですらもう少し可愛げがありましたよ」
「死んだと思ったですか? しかしヒイロはとっさにカシェル先輩を犠牲にすることでノーダメージでした」
むくりと立ち上がる謎のオオガミさん。そして「スノウメヰデン4」をポッケにねじ込むと、びゅんと走りだす。
「わふふー! 悔しかったら捕まえてみるがよいのですよー!」
「それではごきげんよう! いでよエーデルヴァイス!」
突如として空中から出現した巨大な人型兵器が瞳を輝かせる。繰り出されるガトリングを回避すると、ビフレストビルが穴だらけになった。
「刀狩りやブラッド君を出さないだけ感謝するのですよー!」
「そんなの字数的に無理ですよオオガミさん」
ダッシュで逃げていく二人に舌打ちする器。ローエングリンを取り出し、ロボットの振り下ろす剣を受け流す。
「クリスマスはサンタさんが来てくれて、プレゼントをくれて……そういう幸せな日だったはずなのに……。どうして出番を取られた挙句、こんな茶番に付き合わなければならないの?」
そのままローエングリンを大地につきたて、ギミックを起動する。
「これがよく出来た悪い夢なら、その“結界”を破壊すれば……」
「――無駄よぉ。この結界は誰にも壊せない……例え私であったとしてもね」
覚えのある声に振り返ると同時、無数の血の槍がエーデルヴァイスを貫いた。爆発四散!
「オルクス……なんでサンタの格好してるの?」
「私も奴らに奪われたのよ。「不死者のクリスマス」という夢オチシナリオをね……」
ふわりと大地に舞い降りたオルクスは握りこぶしを作り。
「夢の中で剣王様がリンドヴルムにまたがってプレゼントを配ったり、ナイトハルトが“武の極みたる者、家事全般無双”ってみんなの料理を作ったりするシナリオが出るはずだったのに!」
「それは別にいいけど、マスタースケジュールに予定書かないで急に出すのやめなよ」
「ご、ごめんなさい……って仕方ないでしょツイッターネタなんだから。それより一刻も早く奪還しないと、夢オチシナリオのリリース可能期間が終わってしまうわ! 剣王様のクリスマスが!!」
「私は別に終わってもいいんだけど……早く目覚めて着信してるメールからプレゼント受け取りたいし……」
「いいから手を貸しなさぁい。といっても奴らは夢の中の存在だから、果たして物理攻撃で倒せるのかどうか……」
そこでオルクスはポンと手を叩き。
「せっかくクリスマスなんだし、あの子たちが満足して帰ってくれるようなプレゼントを用意したらどうかしらぁ?」
「プレゼント……? でも私、あのヒトたちがなんなのか知らないんだけど……」
「残念ながら私もねぇ。う~ん、どうやって追い返したものか……知っているヒトがいればいいんだけどぉ」
ていうかそもそもそれ以前に結構平和的な解決方法を提示してきたオルクスに驚きを隠せない器であった。
「とりあえず、何も思いつかなかったら、徹底的に切り刻んで殺すから」
「そ、そう……。なんかそれってシナリオ的に良いのかしら……」
冷や汗を流すオルクスを置き去りに器は歩き出す。
かくして、スケジュールを乱すオワコンたちとの戦いが幕を開けたのであった!!!!!
シナリオ全然でなくてごめんなさい!!!!
リプレイ本文
「ちょっとぉ……こんなので本当に誘き出せるのぉ?」
無人のオフィス街。大通りを飛行するオルクスにぶら下がり、キヅカ・リク(ka0038)はポテチをばら撒いていた。
「僕は背中に乗せてくださいって書いたんですがそれは」
「あなたの方がデカイんだから嫌よ」
キヅカの服のパーカー部分を両手で掴んでぶら下げるのだが、首がきれいにしまっていたりする。
「僕が窒息するのが先かあの糞犬が出てくるのが先か……」
「ぽてちが落ちてる! ヒイロのだ!」
「早!」
地べたに落ちているポテチを拾って食べるオオガミさん。すかさずオルクスが血の結晶で檻を作ると、ジタバタと慌てた様子だ。
「普通に捕まったなぁ……」
肩に乗せた黒猫の顎を撫でながら冷や汗を流すヒース・R・ウォーカー(ka0145)の前に放り投げられたキヅカが頭から墜落、何か嫌な音がしたが気にしない。
「くっ、まさかこんな方法でオオガミさんを捕らえるなんて……!」
姿を見せた謎のAIが悔しそうに拳を握りしめるが、オキクルミ(ka1947)は頬に片手を当て。
「う~ん……別に当然と思ってしまうのが残念ですね……」
「地面に落ちた食べ物を口に入れるのが当然なのですか。人間って怖いです」
「……アンサー、お前そんなキャラだったか? というかオキクルミもそんなキャラだったか?」
二人を見比べるレイス(ka1541)にオキクルミはニコリを微笑み、肩を叩く。
「私は祖霊的な問題で結局こっちですが、霊闘士的なアレなので大丈夫ですよ、ヘイルさん♪」
「二行上に俺の名前書いてあるよね? IDもついてるよね?」
「ヘイル……なぜこっちの世界に……!?」
「聞いてる?」
謎のやり取りを横目にシュネー・シュヴァルツ(ka0352)は膝を抱えていた。
「オワコンなんてよくわかりません。終わったコンテンツならそっとなりを潜めておくべきです」
「ど、どうしたんだぁ、シュネー?」
「どうもこうもありません元々私はこういう性格なんです。公認設定なのでオフィシャル・オブ・ひきこもりです。シナリオ的にそうも言ってられないだけで……」
どす黒いオーラを纏ったシュネーからヒースは無言で一歩後退した。
「NPC殺すマン? ……はっ! 私なんて関わったNPCが失踪するマンですよ」
「それはシュネーのせいじゃn……」
「ですから、ホリィさんを渡すわけにはいきません」
横に立っていたホリィにしがみつくシュネー。ヒースは“ああ、今日は自分も無事じゃすまないな”と覚悟した。
「さあオオガミさん、スノウメヰデン4を返してください。それを待ち望んで予約力をせっせと貯めてる人たちだっているんです」
血の檻に閉じ込められたオオガミさん……文字数がきつくなるだけなので以下ヒイロ……は、がるると唸りをあげる。
しかし次の瞬間、血の檻は何者かの攻撃で砕かれていた。姿を見せたの無限 馨(ka0544)だ。
「俺は謎のインフィニティ仮面! 故あって助太刀させて貰うっす!! ……ってぇ、思いっきり正体が一行上に書いてあるっす!?」
正式名称とIDの表記は執筆上の義務なのだ。
「そらそうでしょうけど……締まらないすね。まあいいっす! 今日はクリスマス。夢の中とは言えそうオルクスが言ってるんだから間違いないっす」
「そうだったですか? プレゼントは? プレゼントあるですか?」
「今話してるから服を漁らないでほしいっす。……いいすか? 今日は最も恋人たちがいちゃつく日であり、そして最もぼっちの嫉妬心が燃え上がる日でもあるんすよ」
勝手にポッケを漁るヒイロの頭を押しのけ、馨はハンター達を指差す。
「俺以外の男性参加者三名に恋人がいる事はわかってるんす!」
「落ち着け。ボクの交友欄に恋人はいないぞぉ」
「ふっ、俺は騙されないっすよ。きっと友達以上恋人未満とかいう甘酸っぱい段階に決まってるっす! ヒースさんの交友セット五人中四人も女子だし!(※プレイング提出時点にて)」
「ヒースさんの交友欄にいて、友達以上恋人未満の女性……? 私とヒースさんは甘酸っぱい関係だった……?」
「帰ってきてくれぇ、シュネー」
片手で口元を抑えながら少女漫画的な背景効果を纏ったシュネーの肩を強く揺さぶるヒース。一方レイスは腕を組み。
「俺の彼女は――かわいい」
「うるせーーーーッ! 真顔で何言ってんすか!!」
「僕の彼女もかわいいぞ!!」
「あんたらのそういうところが腹立つんすよ! 何が“僕の彼女”だ!」
「僕の彼女だから僕の彼女って交友なんだよ何もおかしくないでーすー」
レイスとキヅカの胸ぐらを掴み激しく揺さぶる馨。一方オキクルミはその場に崩れ落ちていた。
「恋人……うっ、頭が……」
「だ、大丈夫かぁ?」
「大丈夫ですヒースさん。なんだかこれまでの色々な悲しい記憶が蘇って……私の恋って実った事あるんでしょうか。相手が死んだり、もう相手に相手がいたり……というかヒースさんには心配されたくないですよね?」
「よくわからないところに誤爆してるっすが、まあいいっす! オオガミさん、逃げるっす!」
ぴゅーっと走り出す二人。ハンターたちは慌てて追走を開始する。
「待ちなさいアンサー! 人様に迷惑かけちゃダメでしょ!」
バイクに跨がりアンサーを追うオキクルミとレイス。それでもアンサーには中々追いつけない。
「で、実際誰の依頼なんです? イリスさんや羽村さんがこんな事をするとは思えないんですけど」
「そ、それは……」
俯き口ごもるアンサー。オキクルミが首をかしげた直後、飛び出してきた何者かの影が二人のバイクを襲った。
慌てて飛び降りた二人の前に現れた影。その姿はレイスに酷似している。
「あれはまさか……俺?」
「このヴァーチャル空間に再現した異世界の戦士。つまり……」
「ヘイルさんが二人!?」
襲いかかる自分自身と激突するレイスだが、異世界の自分の方が明らかに強い。
「当然です。そのヘイルはコンテンツ終了時の力を有していますから」
アンサーの説明に険しい表情を浮かべるレイス。と、そこへ突如迫る巨大な影があった。
破壊された筈のエーデルヴァイスがオルクスの血を纏い復活し、アンサーへと襲いかかろうとしていたのだ。
振り下ろされた剣の一撃。オキクルミは咄嗟にアンサーを抱えて回避する。
「何故エーデルヴァイスがアンサーに攻撃を……!?」
「な、何故だろうなあ?」
だらだらと汗を流しながら目を逸らすレイス。本当ならオキクルミの位置に自分がいる筈だったのだが。
「EMIYAってて行けん……」
血の力を得たエーデルヴァイスは歪虚CAMのようなもの。身構えるアンサーの肩を叩き、オキクルミは槍を回し両手で構える。
「仕方ありませんね……事情を聞くのは後です。久しぶりの性能試験と参りましょうか」
「くっ、俺の見せ場が……。過去の自分等という質の悪い悪夢とやりあっている時間はない……貴様の方がついてこい、だ」
「「アンサーシステムスタンバイ――アクセスッ!!」」
「ふはははー、今日の俺は誰にも捕まらないっすよー!」
キヅカの銃弾を次々に回避する馨。あえて煽るように妙な動きを続ける。
「くそー腹立つーっ! あのね、そういうことするから動物園とか言われるんだよ!?」
ヒースは二刀を抜きヒイロはやはり刀を抜いてそれに応じる。
刃を交える二つの影。ヒイロは楽しげに頬を緩ませながら、余裕で剣戟をいなしていく。
「変わらないね、レインウォーカー君。でも、“未来”を生きるヒイロに勝つのは無理ですよ?」
「どこの誰だか知らないし、ボクの忘れた過去に関係あるのかも知らないけど……敵なら戦い斬るのみさぁ」
刃をくぐり抜け、バック転で距離を離し、ヒイロは目を細める。
「あれだけの戦いを潜り抜けて、それでも尚もう一度血染めの道を進む。君も中々物好きだね」
「失ったものばかりじゃないさぁ。得たものも、掛け替えのない時もあった。だから苦しくてもここにいるんじゃないかなぁ?」
口からでた言葉に黒猫が鳴く。ヒイロは優しく笑い、刃を納め。
「……でゅふふ! それはそれ、これはこれなのですよ! それ以上近づいてはいけませんよー。スノウメヰデン4がどうなってもよいのですかー?」
「それを失ったらお前もここにいられなくなるんじゃないかぁ?」
「はい。なのでコレを消すのではなく、参加人数を減らします」
「やめろおおお倍率が余計に高くなっちゃうだろおおお!」
頭を抱え絶叫するキヅカ。意を決したかのように振り返り。
「オルクスおばさん、ホリィ、僕に力を貸してくれ!」
「えぇ~……めんどくさくなってきたんだけどぉ」
「おなかすいた……」
「あれ!? これ君たちを助けようって戦いだよね!? ほら飴ちゃんあげるから頑張って!」
ペロペロキャンディーの代わりに聖機剣を受け取ったキヅカはオルクスの血の鎧を全身に纏い剣を振り上げる。
「数多の予約と旗取に落ちた人々の希望と哀しみを集め……今ここに目覚めよ、聖機剣ローエングリン!!」
「待つのです! スノウメヰデンがどうなってもよいのですか!? 参加人数二人くらいにするですよ!」
「システム的に無理だよねそれ!?」
その時だ。ヒイロが堂々と手に持っていたスノウメヰデンがひょいっと取り上げられた。
振り返るとそこにはシュネーが立っている。そしてそのまま無言で遠ざかっていく。
「オワコン時点まで育ったヒイロにそんな大ぶりの技が当たると思うですか?」
「お前の知り合いなんだろ、ナナクロ。だったら挨拶でもしてきなぁ」
ヒースは足元の黒猫を拾い上げ、そのまま投擲。空中をジタバタしつつ、猫はヒイロの顔にへばりつく。
「オオガミさんはやらせないっす!」
身構える馨の周囲に血が渦巻き、姿を見せたオルクスは肩を叩くと同時にやる気なく呟く。
「ブラッドフォートエンブリヲ」
青い光が輝き、オルクスと馨だけを小さな結界が飲み込んだ。
「内村の事かぁあああ――ッ!!」
「わっふーー!?」
天を切り裂く黄金の刃はまばゆい光と共に振り下ろされ、ヒイロを包み込んでいった。
「これで無事、スノウメヰデンは出ますね。私も続きを待ち望んでいるんです……出なかったら怒りますよ?」
カメラ目線のシュネーの尻の下には簀巻にされたヒイロと串刺しにされモザイクがかかった馨と、同じくモザイクの掛かっているキヅカが転がっている。
「ぐふっ、どうせなら、姐さんとかクリームヒルトちゃん達と、きゃっきゃうふふ出来る依頼を出して欲しかった……」
「無限さんが見せられない姿なのは理解できますが、なぜキヅカさんまで……?」
「オルクスの血の鎧もローエングリンも命を使う技だから、キヅカは死んだ」
完全に燃え尽き、いい笑顔で横たわるキヅカの手から聖機剣をひったくる器。
「最初からわかっていたけど……ホントに混沌とした状況だねぇ」
「ヒースさん……お顔どうされたんですか?」
「ナナクロに猛抗議された」
ヒースの顔は引っかき傷だらけで血まみれになっている。真っ黒焦げになった黒猫が怒り狂った結果である。
「あらあら? こちらも既に終わっているようですね?」
ゆっくりと歩いてきたオキクルミ達。その肩からフクロウが飛び立ち、簀巻のヒイロの上に降り立つ。
『ヒオヒオ、もうお金には困ってないんだからこんなドサ周りのお仕事しなくてもいいですのに』
「ヒイロは死ぬまで現場主義だったのですよ。でゅふふ……」
フクロウが喋ってる事にはもう誰も突っ込まなかった。
「それで、どうしてこんな事を?」
オキクルミの問いに顔を赤らめるアンサー。ヒイロは簀巻のままにんまりと笑い。
「実は首謀者はヒイロではなくアンサーちゃんなのですよ」
「え?」
「もう何年も会っていない……もう二度と会えないかもしれない旧友に会いたくて……」
呟きながらオキクルミに抱きつくアンサー。その背中に腕を回し、しっかりと受け止める。
「そうでしたか……。でも、活躍するNPC殺すマンはお止めなさいな。アヤメさんとか内村さんとか割とガチでトラウマなんですからね?」
「内村と聞いて」
「死んでていいよ?」
起き上がろうとしたキヅカの顔に尻を乗せ座り込む器。アンサーは苦笑を浮かべ。
「その辺りはオオガミさんが……」
「やはり諸悪の根源じゃないですか」
シュネーのきつい目線に口笛を吹くヒイロ。レイスは腕を組み。
「改めて、久しぶりだなアンサー。相変わらずイリスは研究室籠もりか? そっちの俺にたまに部屋から出させるように言ってくれ」
「ふふ。ヘイルは変わりませんね」
「変わらないどころか一度そっちの俺がこっちに来た事があってな。いつかネタにしてやろうと思っていたがこんなに早く機会が来るとはな」
「ロボットを血で動かすのはいいアイデアねぇ。今度やろうかしら」
「俺のせいで敵が強化される流れはやめてくれ」
高速で首を横にふるレイスにふっと笑みを浮かべるオルクス。シュネーは簀巻のヒイロを引きずり立ち上がる。
「では、そろそろ異世界にお帰りいただきましょうか。出口と入口は一緒です。お気をつけてさようなら」
「レインウォーカー君、またなのですよ~!」
「ヒースだぁ」
引きずられていくヒイロを見送るヒース。ふと、懐かしい気持ちがして笑みを作った。
今は遠い物語。それは今もヒースが戦い続ける限り、決して消えたりはしないだろう。
「わんこそばを食べさせて上げたかったところですが、そろそろ限界ですね」
「もうお別れですか……6000文字では少なすぎます」
オキクルミの言葉にアンサーは肩を落とす。
「――答えは得ている、大丈夫だよアンサー。これからも俺達は頑張っていけるから。確かに物語は終わったかもしれない。だけど、お前達の事はずっと憶えている。俺達は確かにここにいる。そうだろう?」
レイスの言葉に頷き、手を差し伸べるアンサー。二人はしっかりと手を繋ぐ。
「寂しくなったらまた来い。いつでも歓迎しよう」
アンサーはもう一度オキクルミと抱き合い、晴れやかな表情で頷いた。
「仮にこの別れが永遠だったとしても、私は忘れません。私達の物語を最後まで続けられたのは、あなた達が支えてくれたから。言葉では伝えきれないくらい……心から、ありがとう――」
二人のオワコンは時の彼方へと消え去り、夢の世界は解け、真っ白な光の中へ消えていく。その様子をハンター達はそれぞれの気持ちで見つめていた。
「……あ。そういえば私のクリスマスシナリオは?」
「ローエングリンで一緒に焼けちゃいましたね」
「え、えぇ~……?」
シュネーの邪悪な笑みに気の抜けた声をあげるオルクス。仕方ない。クリスマスどころか正月ももう終わっちまったぜ。
白けた空は朝焼けに染まるだろう。目覚めた時彼らが何を想うのか。それを楽しみに、僕も筆をおこう。
支えてくれる多くの人々に――ありがとう。今年も一年、宜しくお願いします。
無人のオフィス街。大通りを飛行するオルクスにぶら下がり、キヅカ・リク(ka0038)はポテチをばら撒いていた。
「僕は背中に乗せてくださいって書いたんですがそれは」
「あなたの方がデカイんだから嫌よ」
キヅカの服のパーカー部分を両手で掴んでぶら下げるのだが、首がきれいにしまっていたりする。
「僕が窒息するのが先かあの糞犬が出てくるのが先か……」
「ぽてちが落ちてる! ヒイロのだ!」
「早!」
地べたに落ちているポテチを拾って食べるオオガミさん。すかさずオルクスが血の結晶で檻を作ると、ジタバタと慌てた様子だ。
「普通に捕まったなぁ……」
肩に乗せた黒猫の顎を撫でながら冷や汗を流すヒース・R・ウォーカー(ka0145)の前に放り投げられたキヅカが頭から墜落、何か嫌な音がしたが気にしない。
「くっ、まさかこんな方法でオオガミさんを捕らえるなんて……!」
姿を見せた謎のAIが悔しそうに拳を握りしめるが、オキクルミ(ka1947)は頬に片手を当て。
「う~ん……別に当然と思ってしまうのが残念ですね……」
「地面に落ちた食べ物を口に入れるのが当然なのですか。人間って怖いです」
「……アンサー、お前そんなキャラだったか? というかオキクルミもそんなキャラだったか?」
二人を見比べるレイス(ka1541)にオキクルミはニコリを微笑み、肩を叩く。
「私は祖霊的な問題で結局こっちですが、霊闘士的なアレなので大丈夫ですよ、ヘイルさん♪」
「二行上に俺の名前書いてあるよね? IDもついてるよね?」
「ヘイル……なぜこっちの世界に……!?」
「聞いてる?」
謎のやり取りを横目にシュネー・シュヴァルツ(ka0352)は膝を抱えていた。
「オワコンなんてよくわかりません。終わったコンテンツならそっとなりを潜めておくべきです」
「ど、どうしたんだぁ、シュネー?」
「どうもこうもありません元々私はこういう性格なんです。公認設定なのでオフィシャル・オブ・ひきこもりです。シナリオ的にそうも言ってられないだけで……」
どす黒いオーラを纏ったシュネーからヒースは無言で一歩後退した。
「NPC殺すマン? ……はっ! 私なんて関わったNPCが失踪するマンですよ」
「それはシュネーのせいじゃn……」
「ですから、ホリィさんを渡すわけにはいきません」
横に立っていたホリィにしがみつくシュネー。ヒースは“ああ、今日は自分も無事じゃすまないな”と覚悟した。
「さあオオガミさん、スノウメヰデン4を返してください。それを待ち望んで予約力をせっせと貯めてる人たちだっているんです」
血の檻に閉じ込められたオオガミさん……文字数がきつくなるだけなので以下ヒイロ……は、がるると唸りをあげる。
しかし次の瞬間、血の檻は何者かの攻撃で砕かれていた。姿を見せたの無限 馨(ka0544)だ。
「俺は謎のインフィニティ仮面! 故あって助太刀させて貰うっす!! ……ってぇ、思いっきり正体が一行上に書いてあるっす!?」
正式名称とIDの表記は執筆上の義務なのだ。
「そらそうでしょうけど……締まらないすね。まあいいっす! 今日はクリスマス。夢の中とは言えそうオルクスが言ってるんだから間違いないっす」
「そうだったですか? プレゼントは? プレゼントあるですか?」
「今話してるから服を漁らないでほしいっす。……いいすか? 今日は最も恋人たちがいちゃつく日であり、そして最もぼっちの嫉妬心が燃え上がる日でもあるんすよ」
勝手にポッケを漁るヒイロの頭を押しのけ、馨はハンター達を指差す。
「俺以外の男性参加者三名に恋人がいる事はわかってるんす!」
「落ち着け。ボクの交友欄に恋人はいないぞぉ」
「ふっ、俺は騙されないっすよ。きっと友達以上恋人未満とかいう甘酸っぱい段階に決まってるっす! ヒースさんの交友セット五人中四人も女子だし!(※プレイング提出時点にて)」
「ヒースさんの交友欄にいて、友達以上恋人未満の女性……? 私とヒースさんは甘酸っぱい関係だった……?」
「帰ってきてくれぇ、シュネー」
片手で口元を抑えながら少女漫画的な背景効果を纏ったシュネーの肩を強く揺さぶるヒース。一方レイスは腕を組み。
「俺の彼女は――かわいい」
「うるせーーーーッ! 真顔で何言ってんすか!!」
「僕の彼女もかわいいぞ!!」
「あんたらのそういうところが腹立つんすよ! 何が“僕の彼女”だ!」
「僕の彼女だから僕の彼女って交友なんだよ何もおかしくないでーすー」
レイスとキヅカの胸ぐらを掴み激しく揺さぶる馨。一方オキクルミはその場に崩れ落ちていた。
「恋人……うっ、頭が……」
「だ、大丈夫かぁ?」
「大丈夫ですヒースさん。なんだかこれまでの色々な悲しい記憶が蘇って……私の恋って実った事あるんでしょうか。相手が死んだり、もう相手に相手がいたり……というかヒースさんには心配されたくないですよね?」
「よくわからないところに誤爆してるっすが、まあいいっす! オオガミさん、逃げるっす!」
ぴゅーっと走り出す二人。ハンターたちは慌てて追走を開始する。
「待ちなさいアンサー! 人様に迷惑かけちゃダメでしょ!」
バイクに跨がりアンサーを追うオキクルミとレイス。それでもアンサーには中々追いつけない。
「で、実際誰の依頼なんです? イリスさんや羽村さんがこんな事をするとは思えないんですけど」
「そ、それは……」
俯き口ごもるアンサー。オキクルミが首をかしげた直後、飛び出してきた何者かの影が二人のバイクを襲った。
慌てて飛び降りた二人の前に現れた影。その姿はレイスに酷似している。
「あれはまさか……俺?」
「このヴァーチャル空間に再現した異世界の戦士。つまり……」
「ヘイルさんが二人!?」
襲いかかる自分自身と激突するレイスだが、異世界の自分の方が明らかに強い。
「当然です。そのヘイルはコンテンツ終了時の力を有していますから」
アンサーの説明に険しい表情を浮かべるレイス。と、そこへ突如迫る巨大な影があった。
破壊された筈のエーデルヴァイスがオルクスの血を纏い復活し、アンサーへと襲いかかろうとしていたのだ。
振り下ろされた剣の一撃。オキクルミは咄嗟にアンサーを抱えて回避する。
「何故エーデルヴァイスがアンサーに攻撃を……!?」
「な、何故だろうなあ?」
だらだらと汗を流しながら目を逸らすレイス。本当ならオキクルミの位置に自分がいる筈だったのだが。
「EMIYAってて行けん……」
血の力を得たエーデルヴァイスは歪虚CAMのようなもの。身構えるアンサーの肩を叩き、オキクルミは槍を回し両手で構える。
「仕方ありませんね……事情を聞くのは後です。久しぶりの性能試験と参りましょうか」
「くっ、俺の見せ場が……。過去の自分等という質の悪い悪夢とやりあっている時間はない……貴様の方がついてこい、だ」
「「アンサーシステムスタンバイ――アクセスッ!!」」
「ふはははー、今日の俺は誰にも捕まらないっすよー!」
キヅカの銃弾を次々に回避する馨。あえて煽るように妙な動きを続ける。
「くそー腹立つーっ! あのね、そういうことするから動物園とか言われるんだよ!?」
ヒースは二刀を抜きヒイロはやはり刀を抜いてそれに応じる。
刃を交える二つの影。ヒイロは楽しげに頬を緩ませながら、余裕で剣戟をいなしていく。
「変わらないね、レインウォーカー君。でも、“未来”を生きるヒイロに勝つのは無理ですよ?」
「どこの誰だか知らないし、ボクの忘れた過去に関係あるのかも知らないけど……敵なら戦い斬るのみさぁ」
刃をくぐり抜け、バック転で距離を離し、ヒイロは目を細める。
「あれだけの戦いを潜り抜けて、それでも尚もう一度血染めの道を進む。君も中々物好きだね」
「失ったものばかりじゃないさぁ。得たものも、掛け替えのない時もあった。だから苦しくてもここにいるんじゃないかなぁ?」
口からでた言葉に黒猫が鳴く。ヒイロは優しく笑い、刃を納め。
「……でゅふふ! それはそれ、これはこれなのですよ! それ以上近づいてはいけませんよー。スノウメヰデン4がどうなってもよいのですかー?」
「それを失ったらお前もここにいられなくなるんじゃないかぁ?」
「はい。なのでコレを消すのではなく、参加人数を減らします」
「やめろおおお倍率が余計に高くなっちゃうだろおおお!」
頭を抱え絶叫するキヅカ。意を決したかのように振り返り。
「オルクスおばさん、ホリィ、僕に力を貸してくれ!」
「えぇ~……めんどくさくなってきたんだけどぉ」
「おなかすいた……」
「あれ!? これ君たちを助けようって戦いだよね!? ほら飴ちゃんあげるから頑張って!」
ペロペロキャンディーの代わりに聖機剣を受け取ったキヅカはオルクスの血の鎧を全身に纏い剣を振り上げる。
「数多の予約と旗取に落ちた人々の希望と哀しみを集め……今ここに目覚めよ、聖機剣ローエングリン!!」
「待つのです! スノウメヰデンがどうなってもよいのですか!? 参加人数二人くらいにするですよ!」
「システム的に無理だよねそれ!?」
その時だ。ヒイロが堂々と手に持っていたスノウメヰデンがひょいっと取り上げられた。
振り返るとそこにはシュネーが立っている。そしてそのまま無言で遠ざかっていく。
「オワコン時点まで育ったヒイロにそんな大ぶりの技が当たると思うですか?」
「お前の知り合いなんだろ、ナナクロ。だったら挨拶でもしてきなぁ」
ヒースは足元の黒猫を拾い上げ、そのまま投擲。空中をジタバタしつつ、猫はヒイロの顔にへばりつく。
「オオガミさんはやらせないっす!」
身構える馨の周囲に血が渦巻き、姿を見せたオルクスは肩を叩くと同時にやる気なく呟く。
「ブラッドフォートエンブリヲ」
青い光が輝き、オルクスと馨だけを小さな結界が飲み込んだ。
「内村の事かぁあああ――ッ!!」
「わっふーー!?」
天を切り裂く黄金の刃はまばゆい光と共に振り下ろされ、ヒイロを包み込んでいった。
「これで無事、スノウメヰデンは出ますね。私も続きを待ち望んでいるんです……出なかったら怒りますよ?」
カメラ目線のシュネーの尻の下には簀巻にされたヒイロと串刺しにされモザイクがかかった馨と、同じくモザイクの掛かっているキヅカが転がっている。
「ぐふっ、どうせなら、姐さんとかクリームヒルトちゃん達と、きゃっきゃうふふ出来る依頼を出して欲しかった……」
「無限さんが見せられない姿なのは理解できますが、なぜキヅカさんまで……?」
「オルクスの血の鎧もローエングリンも命を使う技だから、キヅカは死んだ」
完全に燃え尽き、いい笑顔で横たわるキヅカの手から聖機剣をひったくる器。
「最初からわかっていたけど……ホントに混沌とした状況だねぇ」
「ヒースさん……お顔どうされたんですか?」
「ナナクロに猛抗議された」
ヒースの顔は引っかき傷だらけで血まみれになっている。真っ黒焦げになった黒猫が怒り狂った結果である。
「あらあら? こちらも既に終わっているようですね?」
ゆっくりと歩いてきたオキクルミ達。その肩からフクロウが飛び立ち、簀巻のヒイロの上に降り立つ。
『ヒオヒオ、もうお金には困ってないんだからこんなドサ周りのお仕事しなくてもいいですのに』
「ヒイロは死ぬまで現場主義だったのですよ。でゅふふ……」
フクロウが喋ってる事にはもう誰も突っ込まなかった。
「それで、どうしてこんな事を?」
オキクルミの問いに顔を赤らめるアンサー。ヒイロは簀巻のままにんまりと笑い。
「実は首謀者はヒイロではなくアンサーちゃんなのですよ」
「え?」
「もう何年も会っていない……もう二度と会えないかもしれない旧友に会いたくて……」
呟きながらオキクルミに抱きつくアンサー。その背中に腕を回し、しっかりと受け止める。
「そうでしたか……。でも、活躍するNPC殺すマンはお止めなさいな。アヤメさんとか内村さんとか割とガチでトラウマなんですからね?」
「内村と聞いて」
「死んでていいよ?」
起き上がろうとしたキヅカの顔に尻を乗せ座り込む器。アンサーは苦笑を浮かべ。
「その辺りはオオガミさんが……」
「やはり諸悪の根源じゃないですか」
シュネーのきつい目線に口笛を吹くヒイロ。レイスは腕を組み。
「改めて、久しぶりだなアンサー。相変わらずイリスは研究室籠もりか? そっちの俺にたまに部屋から出させるように言ってくれ」
「ふふ。ヘイルは変わりませんね」
「変わらないどころか一度そっちの俺がこっちに来た事があってな。いつかネタにしてやろうと思っていたがこんなに早く機会が来るとはな」
「ロボットを血で動かすのはいいアイデアねぇ。今度やろうかしら」
「俺のせいで敵が強化される流れはやめてくれ」
高速で首を横にふるレイスにふっと笑みを浮かべるオルクス。シュネーは簀巻のヒイロを引きずり立ち上がる。
「では、そろそろ異世界にお帰りいただきましょうか。出口と入口は一緒です。お気をつけてさようなら」
「レインウォーカー君、またなのですよ~!」
「ヒースだぁ」
引きずられていくヒイロを見送るヒース。ふと、懐かしい気持ちがして笑みを作った。
今は遠い物語。それは今もヒースが戦い続ける限り、決して消えたりはしないだろう。
「わんこそばを食べさせて上げたかったところですが、そろそろ限界ですね」
「もうお別れですか……6000文字では少なすぎます」
オキクルミの言葉にアンサーは肩を落とす。
「――答えは得ている、大丈夫だよアンサー。これからも俺達は頑張っていけるから。確かに物語は終わったかもしれない。だけど、お前達の事はずっと憶えている。俺達は確かにここにいる。そうだろう?」
レイスの言葉に頷き、手を差し伸べるアンサー。二人はしっかりと手を繋ぐ。
「寂しくなったらまた来い。いつでも歓迎しよう」
アンサーはもう一度オキクルミと抱き合い、晴れやかな表情で頷いた。
「仮にこの別れが永遠だったとしても、私は忘れません。私達の物語を最後まで続けられたのは、あなた達が支えてくれたから。言葉では伝えきれないくらい……心から、ありがとう――」
二人のオワコンは時の彼方へと消え去り、夢の世界は解け、真っ白な光の中へ消えていく。その様子をハンター達はそれぞれの気持ちで見つめていた。
「……あ。そういえば私のクリスマスシナリオは?」
「ローエングリンで一緒に焼けちゃいましたね」
「え、えぇ~……?」
シュネーの邪悪な笑みに気の抜けた声をあげるオルクス。仕方ない。クリスマスどころか正月ももう終わっちまったぜ。
白けた空は朝焼けに染まるだろう。目覚めた時彼らが何を想うのか。それを楽しみに、僕も筆をおこう。
支えてくれる多くの人々に――ありがとう。今年も一年、宜しくお願いします。
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/01/02 17:15:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/30 01:01:40 |