ゲスト
(ka0000)
【初夢】えりー・ざ・どらごんとプリン
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/11 15:00
- 完成日
- 2016/01/16 20:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「ドラゴンが出たぞーっ!」
泊まった宿で昼食をとるハンターたちの耳にも、村人が上げたと思われる大きな声が届いてきた。
ドラゴンといえば強力な精霊だ。それがどうして、こんな小さな村に現れたのか。
椅子から立ち上がり、ハンターたちはすぐに外へ出る。
村の中央。噴水がある広場の前に、ドラゴンはいた。
――正確には、ドラゴンの着ぐるみを身に纏った少女が。
「がおー」
さほど身長の高くない少女に合わせたサイズの着ぐるみは、ドラゴンの恐ろしさや威厳よりも、可愛らしい印象を見る者に与える。
「エ、エリー? 一体、何をしているんだ」
ひとりの男性が、目を丸くしながら着ぐるみの少女に話しかけた。どうやら少女は、エリーという名前らしい。
「違います。私はエリーじゃありません。えりー・ざ・どらごん、です」
胸を張り、ドヤ顔で着ぐるみ少女が言った。
「何を言ってるんだ。こんな騒ぎを起こして、いい加減にしないか。お前はエリーで、グラズヘイム王国ラスリド領で、刀匠を営む俺、ドリューのひとり娘だ」
わかりやすいドリューの説明気味な台詞にも、エリーは小さな顔を左右に振った。笑顔のままで。
「えりー・ざ・どらごんです。とても怖いどらごんなのです」
「はっはっは。そうか、そうか」
えっへんと言いたげなえりー・ざ・どらごんの前に、白髪に白髭を生やした老齢の男性が笑顔で近づく。
広場に集まっている村人のひとりが、その老齢の男性を村長と呼んだ。
「そんなに怖いどらごんなら、私が退治してしまうぞ。なんてな、はっはっは」
人のよさそうな村長は退治するのではなく、えりー・ざ・どらごんの頭を優しく撫でた。
その直後だった。
ぱかっと開いたえりー・ざ・どらごんの口から、真っ赤な火炎が吐き出されたのである。
「う、うわーっ! 村長が消し炭になっちまったぞ!」
村人から悲鳴が上がる。
ハンターの視界が真っ赤に染まるほどの豪炎を浴びせられ、村長の姿は一瞬にして失われた。
「がおー。えりー・ざ・どらごんは恐怖の象徴なのです」
愛らしい姿からは信じられない凶悪な攻撃に、父親のドリューも目をぱちくりさせる。
「な、なんてことを……! エリー! いい加減にしないか!」
「だから、エリーじゃなくて、えりー・ざ・どらごん。村を燃やしに来た凶悪などらごんなの」
「ほ、本気で言ってるのか……?」
「もちろんです。あ、そうだ。ここで、えりーのぱらめーたー? について説明します」
どこから取り出したのか、えりーがメモ紙を見ながら説明とやらを行う。
「えりーの生命力や攻撃力は……ええと……ううん……何だろ、これ。とりあえず、8です」
「8? パラメーターというのがよくわからないが、強さを表す数字だとしたら、ずいぶんと弱そうな印象を受けるんだが」
「弱くはないけど、8さんが横になってるんだもん。だから、とりあえず8なの」
8が横になっている。
聞かされたハンターは嫌な予感を覚えた。
そして、それはドリューも同様だったようである。
「ま、まさか……その8が横になってるというのは、無限大を示しているのでは……」
ドリューの呟きどおりだとしたら、とても実力行使でなんとかできる相手ではなかった。
「そうです。えりー・ざ・どらごんは最強です。あと好物はプリンです」
「……は?」
「好物はプリンです」
にこにこしながら、同じ情報を繰り返す。
そのうちに村人のひとりが、とんでもない予想を口にした。
「もしかして……プリンが食いたいけど、ないから暴れてるだけなのか……?」
にこにこし続けるえりー・ざ・どらごん。どうやら図星のようだ。
「えりー・ざ・どらごんを満足させたら、村を滅ぼすのは中止します。でも、普通のプリンでは満足しません。美味しく、工夫の凝らされたプリンを所望します」
とことこと歩き出したと思ったら、近くの民家からえりー・ざ・どらごんはテーブルと椅子を持ってきた。
村の広場に設置し、まるで審査員のごとく椅子に座る。
「満足できなかったら、村を燃やします。燃やされたくなかったら、美味しいプリンを作ってください」
お願いではなく、完全な脅迫だった。
普通なら、やれるものならと一笑に付してもおかしくはないが、すでに村長がひとり犠牲になっている。
美味しいプリンが食べられないと、拗ねた挙句に村を本当に燃やしてしまいそうだった。
「プ、プリンと言われたって、俺は作り方を知らないぞ……」
ドリューが慌てて周辺の人に尋ねるも、知っていても普通のプリンの調理方法だけだった。
絶望しかけていたドリューの視線が、やがて広場で呆然と立っているハンターに向けられた。
「み、皆さんはハンターですよね!? お願いです! ど、どうか美味しいプリンを作ってください! えりー・ざ・どらごんを満足させ、村を救うために!」
「ドラゴンが出たぞーっ!」
泊まった宿で昼食をとるハンターたちの耳にも、村人が上げたと思われる大きな声が届いてきた。
ドラゴンといえば強力な精霊だ。それがどうして、こんな小さな村に現れたのか。
椅子から立ち上がり、ハンターたちはすぐに外へ出る。
村の中央。噴水がある広場の前に、ドラゴンはいた。
――正確には、ドラゴンの着ぐるみを身に纏った少女が。
「がおー」
さほど身長の高くない少女に合わせたサイズの着ぐるみは、ドラゴンの恐ろしさや威厳よりも、可愛らしい印象を見る者に与える。
「エ、エリー? 一体、何をしているんだ」
ひとりの男性が、目を丸くしながら着ぐるみの少女に話しかけた。どうやら少女は、エリーという名前らしい。
「違います。私はエリーじゃありません。えりー・ざ・どらごん、です」
胸を張り、ドヤ顔で着ぐるみ少女が言った。
「何を言ってるんだ。こんな騒ぎを起こして、いい加減にしないか。お前はエリーで、グラズヘイム王国ラスリド領で、刀匠を営む俺、ドリューのひとり娘だ」
わかりやすいドリューの説明気味な台詞にも、エリーは小さな顔を左右に振った。笑顔のままで。
「えりー・ざ・どらごんです。とても怖いどらごんなのです」
「はっはっは。そうか、そうか」
えっへんと言いたげなえりー・ざ・どらごんの前に、白髪に白髭を生やした老齢の男性が笑顔で近づく。
広場に集まっている村人のひとりが、その老齢の男性を村長と呼んだ。
「そんなに怖いどらごんなら、私が退治してしまうぞ。なんてな、はっはっは」
人のよさそうな村長は退治するのではなく、えりー・ざ・どらごんの頭を優しく撫でた。
その直後だった。
ぱかっと開いたえりー・ざ・どらごんの口から、真っ赤な火炎が吐き出されたのである。
「う、うわーっ! 村長が消し炭になっちまったぞ!」
村人から悲鳴が上がる。
ハンターの視界が真っ赤に染まるほどの豪炎を浴びせられ、村長の姿は一瞬にして失われた。
「がおー。えりー・ざ・どらごんは恐怖の象徴なのです」
愛らしい姿からは信じられない凶悪な攻撃に、父親のドリューも目をぱちくりさせる。
「な、なんてことを……! エリー! いい加減にしないか!」
「だから、エリーじゃなくて、えりー・ざ・どらごん。村を燃やしに来た凶悪などらごんなの」
「ほ、本気で言ってるのか……?」
「もちろんです。あ、そうだ。ここで、えりーのぱらめーたー? について説明します」
どこから取り出したのか、えりーがメモ紙を見ながら説明とやらを行う。
「えりーの生命力や攻撃力は……ええと……ううん……何だろ、これ。とりあえず、8です」
「8? パラメーターというのがよくわからないが、強さを表す数字だとしたら、ずいぶんと弱そうな印象を受けるんだが」
「弱くはないけど、8さんが横になってるんだもん。だから、とりあえず8なの」
8が横になっている。
聞かされたハンターは嫌な予感を覚えた。
そして、それはドリューも同様だったようである。
「ま、まさか……その8が横になってるというのは、無限大を示しているのでは……」
ドリューの呟きどおりだとしたら、とても実力行使でなんとかできる相手ではなかった。
「そうです。えりー・ざ・どらごんは最強です。あと好物はプリンです」
「……は?」
「好物はプリンです」
にこにこしながら、同じ情報を繰り返す。
そのうちに村人のひとりが、とんでもない予想を口にした。
「もしかして……プリンが食いたいけど、ないから暴れてるだけなのか……?」
にこにこし続けるえりー・ざ・どらごん。どうやら図星のようだ。
「えりー・ざ・どらごんを満足させたら、村を滅ぼすのは中止します。でも、普通のプリンでは満足しません。美味しく、工夫の凝らされたプリンを所望します」
とことこと歩き出したと思ったら、近くの民家からえりー・ざ・どらごんはテーブルと椅子を持ってきた。
村の広場に設置し、まるで審査員のごとく椅子に座る。
「満足できなかったら、村を燃やします。燃やされたくなかったら、美味しいプリンを作ってください」
お願いではなく、完全な脅迫だった。
普通なら、やれるものならと一笑に付してもおかしくはないが、すでに村長がひとり犠牲になっている。
美味しいプリンが食べられないと、拗ねた挙句に村を本当に燃やしてしまいそうだった。
「プ、プリンと言われたって、俺は作り方を知らないぞ……」
ドリューが慌てて周辺の人に尋ねるも、知っていても普通のプリンの調理方法だけだった。
絶望しかけていたドリューの視線が、やがて広場で呆然と立っているハンターに向けられた。
「み、皆さんはハンターですよね!? お願いです! ど、どうか美味しいプリンを作ってください! えりー・ざ・どらごんを満足させ、村を救うために!」
リプレイ本文
●
「平和を取り戻す戦いか……。それにしても、ずいぶんと可愛いどらごんだな」
どこか不安げな村人が状況を見守る中、ザレム・アズール(ka0878)が軽く微笑む。
村人から調理器具を借り、腕まくりをして、ザレムは早速準備に入る。
「ははは、これは凄い。願えば材料が現れる! 料理し放題だっ! 一流パティシェの腕がなるぜ!」
興奮気味に叫んだザレム同様に、高瀬 未悠(ka3199)もプリン作りを行おうとする。
どういう理由かは不明だが、かねてよりの願望どおり、未悠の料理の腕はかなりのレベルになっていた。
未悠と一緒に参加している赤羽 颯(ka3193)は信頼する幼馴染で、蒼綺 碧流(ka3373)は妹のように可愛い存在だ。
一緒に頑張りましょうと声をかければ、パティシェとして参加中の颯はもちろんと笑顔で頷く。
しかし近くにいたはずの碧流からは、何の反応も返ってこない。
碧流……?
未悠が見つめる先で、小柄な碧流は大きさの違うダンボールを二個ほど両手に持ち、とことこと歩いていた。
未悠だけでなく颯も不思議そうにする中、碧流は真顔のまま両手に持ったダンボールをえりー・ざ・どらごんの隣に置いた。
「えりーさん……物は相談なのですが……ごにょごにょ」
なにやら耳打ちされたエリーが、露骨に嫌そうな顔をする。
「食べる分が減るから駄目です。おねーさんも早くプリンを作ってください。火を吐きますよ?」
こっそりと行った提案が却下された碧流は、笑顔のえりーに脅されて涙目になる。
「……わぅぅ、怒られたのです」
えぐえぐと泣きながらやってきた碧流を、未悠が一緒に作りましょうと慰める。
そんな一連のやりとりにも気づいていなかったトリス・ラートリー(ka0813)は、笑顔で作るべきプリンについて考える。
「どんなプリンがいいでしょうか♪ 満足できるようなプリンは~」
住民から借りた調理場で、まずは完成品のイメージを練っていく。
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)は、すでに調理に取り掛かっていた。
「スイーツを作るには少し時間がかかる。待ってる間に暴れられるとアレじゃし、とりあえずこれ食べて待ってもらおうか」
てきぱきと手を動かすレーヴェは切って冷やした林檎に、蜂蜜とシナモンをかけた一品をえりーに出した。
「ただの林檎じゃが、味付けするだけで変わるものじゃ。ポイントは――」
「――ごちそうさまでした」
レーヴェが料理の説明を開始した直後、皿にたっぷりと乗っていた林檎はあっさり空になっていた。
ひと口で完食された皿を見つめ苦笑いを浮かべるレーヴェ。
「こ、このままでは、おこぼれにあずかれないのです……!」
愕然とする碧流。
行動を開始したみんながプリンを作るのを眺めつつ、小首を傾げるスゥ(ka4682)。
「……そもそもプリンって、どう作るんだい?」
普通のプリンの調理法なら知っているという何人かが、慌ててスゥに作り方を説明する。
各ハンターがそれぞれに動く中、姿が見えない者が一名。
それはリュミア・ルクス(ka5783)だった。
えりー・ざ・どらごんと対面した直後、リュミアは何かを思いついたように、こそこそとどこかへ去ってしまっていた。
そして、戻ってきた。どこから調達したのか、えりー・ざ・どらごんと似たような着ぐるみ姿で。
注目されたリュミアは両手を大きく上げて叫ぶ。
「りゅみあ・ざ・どらごんです。ケーキをたくさんしょもーなんだよ! ぎゃおー!」
●
ケーキを作れとりゅみあが村人相手に暴れまわるのを、えりーはのほほんと眺めていた。
理由はひとつ。りゅみあの影響で、えりーもまたケーキを食べたくなったからである。
「ケーキたくさん食べたいんだよ! りゅみあ・ざ・どらごんはおなかが空いてるんだよ!」
村人のひとりが恐る恐る「どうして?」とりゅみあに尋ねる。
「金銭的事情です」
「……駄目どらごんだ」
「ぎゃおー!」
大きく開いた口から火球が吐き出され、駄目どらごんと言った村人にりゅみあが襲い掛かる。
村の中は騒がしさを増すが、調理に集中しているハンターはあまり気にしない。
トリスもそのうちのひとりだった。
腕を組んで楽しそうに作るプリンについて考えてるうちに、途中で重大なことに思い当たった。
ぽん、と手を打ち、心底楽しそうにくすくす笑う。
「……そういえば、ボク、お菓子って作るのは初めてですね♪ どうしましょう♪」
ひとりにこにこしながら、トリスは言葉を続ける。
「困りました。念じればレシピ本でもでてくるでしょうか? 試してみましょうか」
トリスが頭の中にレシピ本を思い浮かべている時にも、颯や未悠は調理を着々と進行させていく。
「プロとしては、ここは大人しくしているわけにはいかないね」
いつものようにほんわかした雰囲気を纏ってはいるが、颯の中には確かな自信が存在していた。
何がどうなったのか、現在の颯は将来の夢だったはずのパティシェになっている。
ならば、えりー・ざ・どらごんを満足させるプリンも作れるはずだ。
颯と幼馴染である未悠も気合を入れつつ、えりーへ宣戦布告する。
「えりー・ざ・どらごん、スイーツを愛する者として必ずあなたを満足させてみせるわ。美味し過ぎて、幸せ過ぎて死んでしまわないよう、気を付けることね」
全身にクールさを漂わせる未悠だけに、頭の中が甘いものの事でいっぱいになっているとは誰も想像できていなかった。
颯や未悠と一緒にいる碧流も手伝うかと思いきや、諦めきれないとばかりに小走りで再びえりーの元へ向かう。秘蔵のプリンを持っていたのを思い出したのだ。
何しにきたのと言わんばかりのえりーに、碧流がそっと隠し持っていた秘蔵のプリンを差し出す。これをどうぞと言って、再び審査員となるための交渉を開始したのである。
目の前の食欲と興味を我慢できなかったえりーは、プリンと引き換えに承諾。碧流は勝利を収めた。
高々とVサインをした碧流が、鼻息荒くえりーの隣に作ったダンボールの審査員席に座る。
「わふ! 私も審査員なのです!」
当然のごとく、碧流を見ていた村人たちが戸惑う。あいつ、寝返りやがったと。
そんな村人たちの視線は、ついさっきまで仲良さげに一緒にいた未悠へ向かう。
「碧流ってば、本当にプリンが大好きなんだから……。貴女が喜ぶプリンも作るから、待っていてね」
そういう問題じゃないだろという周囲のツッコミを気にせず、未悠は穏やかに微笑む。
ベタ甘な未悠は、寝返った碧流を見ても一切咎めなかった。
その間に、一心不乱に作業をしていたザレムの料理が完成する。
えりーの座るテーブルに、出来たのから順に提供していく。
隣のダンボールに座る碧流だけでなく、ぎゃおぎゃおと落ち着きなく暴れ回っていたりゅみあも美味しそうなにおいにつられてやってくる。
「まずはプリンだ。ノーマル、南瓜、チョコ、抹茶。足す物が違うだけで味は全然違うんだ」
並べられた品々に、早速えりーが手を付ける。
おこぼれ狙いで寝返り、審査員になった碧流はぽに状態で熱くプリンについて語りながら試食する。
脳内ではエンドレスでプリンプリン……と考えていただけに、情熱もスプーンの動きも止まらない。
りゅみあもケーキと騒いではいたが、実際は食べられればなんでもいいみたいだった。
次いで、レーヴェのプリンも到着する。
「趣向を凝らす、というのは単に時間をかければいいというものでもないのじゃよ。ココアプリンじゃ。ほれ、どうぞ」
ココアを牛乳で溶かし、牛乳と砂糖を加えて火にかけ、沸騰前に止める。
ゼラチンを溶かして、生クリームを加えて粗熱を取り、グラスに移して冷やす。
生クリームなどのトッピングを加えれば、レーヴェ自慢のココアプリンの完成である。
完成品を前にした碧流は瞳を輝かせて食べまくる。
「うまいのです! おかわり……は、無いですか」
ショボーンとした碧流の目の前、皿に乗っていたはずのプリンは二体のどらごんによって、あっという間に食い尽くされていた。
続々と他のハンターがプリンを完成させていくのを横目に、スゥは村人の手を借りての調理を行っていた。
「どらごんが満足するプリンなんだから、大きければ良いんじゃないかな」
村人に綺麗なバケツを用意してもらったあとで、スゥは先に完成していたザレムのプリンを遠目で観察する。
「プリンって色んな種類があるみたいだね。それなら全部作って、重ねちゃおう」
プリンの調理経験がないという点では、スゥと同じだったトリスもプリン作りに励んでいる最中だった。
「王国で知り合った方の、手作り焼きプリンが素晴らしく美味しかったですね」
ダメ元で念じたレシピ本は、食材同様にトリスの前に出現した。
その中からトリスが選んだのは、蜂蜜入り焼きプリンだった。
今の時期は、喉を使いすぎると体調を崩す恐れもあり、丁度いいと判断した。
卵、牛乳、蜂蜜、隠し味にしょうが汁を入れる。
レシピの指示通りに混ぜたり、容器に入れて冷ましたり、丁寧かつ素早く作業を行っていく。
味の確認も忘れない。
颯の作業も終盤に差し掛かりつつあった。
「プリン大好きな碧流ちゃんのことも考えて、バケツ状の型・サイズでシンプルながらも濃厚なプリンを作ったよ」
甘さが特徴のプリンだけに、カラメル部分をあえてほろにが風味にした。
そこが颯お手製プリンのアピールポイントでもあった。
「未悠ちゃんの方はどんな感じなのかな?」
普段はクールな未悠だが、あちこちから漂ってくる甘い香りに頬が緩みっぱなしだった。
特大プリンアラモードを全員で食べられるようにたくさん作りつつ、どんどん未悠は上機嫌になっていく。
「幸せだわ……私のプリンも美味しくな~れ、美味しくな~れ……♪」
特大プリンに生クリーム、星や花やハートの形に切った色とりどりのフルーツを盛り付ける。
「さあ、召し上がれ。幸せいっぱいのハッピーマックス・プリン・アラモードよ」
完成したプリンを未悠が颯と一緒に運んでいると、スゥもやってきた。
重たいのでえっちらおっちら、ふらふら歩きながら、なんとか運んでいる。
なんかすごいプリンと名付けられたとスゥのプリンに、えりーがいきなり顔を突っ込んだ。
かなりの大きさだったのだが、プリンは飲み物ですと言わんばかりに吸いつく。
黙っているとえりーやりゅみあに食いつくされてしまうので、負けないように碧流も狙ったプリンを食べる。
審査員とはいってもプリンを食べるのに一生懸命で、点数をつけようとする気配すらない。
「お、ハンドミキサーじゃ。この家いいもの持ってるのう。ではもひとつ簡単なもの作ろうかの」
茹でた玉蜀黍の粒を取り、牛乳砂糖加えてミキサーで砕く。
裏漉しをして綺麗な液体だけにしたところで、とろみがつくまで中火で煮る。
粗熱を取って容器に移して冷やしたあと、シナモンをかければ完成である。
「玉蜀黍で作ってるが、南瓜でも甘藷でもできるぞ。大事なのは卵ではなく、牛乳と砂糖なのじゃ」
食べても食べても、次から次に美味しいスイーツが出される。
とどめとなったのは、ザレムの用意した最後の一品だった。
「折角プリン液があるんだから、他も作ろう。プリン蒸しケーキだ!」
どどんと出されたプリンとケーキの合体作に、えりー・ざ・どらごんは口から炎ではなく涎を垂らす。
争うようにりゅみあと食べるも、食べ応えのあるボリュームを誇るプリン蒸しケーキにどんどんお腹が膨れていく。
ちなみに審査員だった碧流は、ひと足先にお腹をパンパンにして、ラッコのごとく地面で仰向けになっている。
「うぐぐ……プリン味のケーキだなんて……反則だよぉ……」
限界を超えるまで食べた結果、えりー・ざ・どらごんはパンパンにお腹を膨らませてその場にひっくり返った。
●
りゅみあ・ざ・どらごんも満足して、眠そうに目を擦りながら日当たりの良い場所でごろんと横になる。
「どうやらえりーは満足したみたいだな。まだとどめが残ってたってのに。まあ、いい。皆で食べればいいからな」
そう言ったザレムがさあ、おあがりよと出したのは、苺ミルクプリンだった。
えりーたちが満足したのもあり、ハンターや村人も平和にプリンの試食を開始する。
それぞれが舌鼓を打つ中、こっそりとその場を離れる者がいた。颯と未悠だ。
こっそりと未悠用に作っていたガトーショコラを、颯が彼女にプレゼントしようとしたのである。
手渡されたガトーショコラを食べた未悠が、瞳を輝かせる。
「颯、貴方はやっぱり最高だわ!」
ガトーショコラという大事な部分を入れ忘れただけでなく、勢いよく抱きついたせいで結果的に未悠は颯を押し倒してしまう。
「え?うわわわっ!? み、未悠ちゃん……?」
感激した未悠に押し倒された颯は、顔を真っ赤にして狼狽する。
それでも恐る恐る背中に手を回そうとした。甘いにおいがするという言葉とともに。
「……おねーさんは甘いですか?」
甘々な展開になろうとしたその時、えりー・ざ・どらごんがじーっと二人を見ていた。
「甘いにおいがするおねーさんは……美味しいですか?」
瞳に危険な光を宿し、どうしてか理由を尋ねたくない涎を垂れ流す。
甘くないと叫ぶ前に、新たな乱入者がやってくる。
「ぎゃおー。甘くて美味しいものは、りゅみあ・ざ・どらごんが食べるんだよ!」
「駄目だもん。えりー・ざ・どらごんのものだもん! がおー」
「りゅみあが食べるのっ!」
勢いよく開いた口から、りゅみあが炎を吐き出す。
負けじとエリーも応戦し、燃え盛る火炎が村の中で激突する。
炎で決着がつかず、二体のどらごんが取っ組み合いを開始した。
「ぎゃああ、村がぁぁぁ」
いきなり現れて叫び声を上げたのは、えりー・ざ・どらごんの犠牲になったはずの村長だった。
村長を見たレーヴェは驚くでもなく、案の定的な笑みを浮かべる。
「やっぱり村長は大丈夫じゃったな。ギャグ補正のおかげじゃ」
大騒ぎする村人を無視するようにザレムは己の作った料理の説明を続け、満腹の碧流は幸せそうな寝息を立てている。
スゥとトリスは、お互いのプリンを交換し合って楽しそうにお喋りする。
「ふあ、少し眠くなってきましたね。このまま寝たら、どんな夢を見るのかな……」
「美味しそうな夢を見るのでは? 起きたら何故か、無性にプリンが食べたくなるようなね」
スゥの言葉にトリスが返し、二人は笑い合う。
一方でえりー・ざ・どらごんとりゅみあ・ざ・どらごんは、壮大な勘違いから対立を続ける。
「がおー」
「ぎゃおー」
これが綺麗さっぱりひと晩で忘れられる、夢世界での竜決戦の幕開けであった。
「平和を取り戻す戦いか……。それにしても、ずいぶんと可愛いどらごんだな」
どこか不安げな村人が状況を見守る中、ザレム・アズール(ka0878)が軽く微笑む。
村人から調理器具を借り、腕まくりをして、ザレムは早速準備に入る。
「ははは、これは凄い。願えば材料が現れる! 料理し放題だっ! 一流パティシェの腕がなるぜ!」
興奮気味に叫んだザレム同様に、高瀬 未悠(ka3199)もプリン作りを行おうとする。
どういう理由かは不明だが、かねてよりの願望どおり、未悠の料理の腕はかなりのレベルになっていた。
未悠と一緒に参加している赤羽 颯(ka3193)は信頼する幼馴染で、蒼綺 碧流(ka3373)は妹のように可愛い存在だ。
一緒に頑張りましょうと声をかければ、パティシェとして参加中の颯はもちろんと笑顔で頷く。
しかし近くにいたはずの碧流からは、何の反応も返ってこない。
碧流……?
未悠が見つめる先で、小柄な碧流は大きさの違うダンボールを二個ほど両手に持ち、とことこと歩いていた。
未悠だけでなく颯も不思議そうにする中、碧流は真顔のまま両手に持ったダンボールをえりー・ざ・どらごんの隣に置いた。
「えりーさん……物は相談なのですが……ごにょごにょ」
なにやら耳打ちされたエリーが、露骨に嫌そうな顔をする。
「食べる分が減るから駄目です。おねーさんも早くプリンを作ってください。火を吐きますよ?」
こっそりと行った提案が却下された碧流は、笑顔のえりーに脅されて涙目になる。
「……わぅぅ、怒られたのです」
えぐえぐと泣きながらやってきた碧流を、未悠が一緒に作りましょうと慰める。
そんな一連のやりとりにも気づいていなかったトリス・ラートリー(ka0813)は、笑顔で作るべきプリンについて考える。
「どんなプリンがいいでしょうか♪ 満足できるようなプリンは~」
住民から借りた調理場で、まずは完成品のイメージを練っていく。
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)は、すでに調理に取り掛かっていた。
「スイーツを作るには少し時間がかかる。待ってる間に暴れられるとアレじゃし、とりあえずこれ食べて待ってもらおうか」
てきぱきと手を動かすレーヴェは切って冷やした林檎に、蜂蜜とシナモンをかけた一品をえりーに出した。
「ただの林檎じゃが、味付けするだけで変わるものじゃ。ポイントは――」
「――ごちそうさまでした」
レーヴェが料理の説明を開始した直後、皿にたっぷりと乗っていた林檎はあっさり空になっていた。
ひと口で完食された皿を見つめ苦笑いを浮かべるレーヴェ。
「こ、このままでは、おこぼれにあずかれないのです……!」
愕然とする碧流。
行動を開始したみんながプリンを作るのを眺めつつ、小首を傾げるスゥ(ka4682)。
「……そもそもプリンって、どう作るんだい?」
普通のプリンの調理法なら知っているという何人かが、慌ててスゥに作り方を説明する。
各ハンターがそれぞれに動く中、姿が見えない者が一名。
それはリュミア・ルクス(ka5783)だった。
えりー・ざ・どらごんと対面した直後、リュミアは何かを思いついたように、こそこそとどこかへ去ってしまっていた。
そして、戻ってきた。どこから調達したのか、えりー・ざ・どらごんと似たような着ぐるみ姿で。
注目されたリュミアは両手を大きく上げて叫ぶ。
「りゅみあ・ざ・どらごんです。ケーキをたくさんしょもーなんだよ! ぎゃおー!」
●
ケーキを作れとりゅみあが村人相手に暴れまわるのを、えりーはのほほんと眺めていた。
理由はひとつ。りゅみあの影響で、えりーもまたケーキを食べたくなったからである。
「ケーキたくさん食べたいんだよ! りゅみあ・ざ・どらごんはおなかが空いてるんだよ!」
村人のひとりが恐る恐る「どうして?」とりゅみあに尋ねる。
「金銭的事情です」
「……駄目どらごんだ」
「ぎゃおー!」
大きく開いた口から火球が吐き出され、駄目どらごんと言った村人にりゅみあが襲い掛かる。
村の中は騒がしさを増すが、調理に集中しているハンターはあまり気にしない。
トリスもそのうちのひとりだった。
腕を組んで楽しそうに作るプリンについて考えてるうちに、途中で重大なことに思い当たった。
ぽん、と手を打ち、心底楽しそうにくすくす笑う。
「……そういえば、ボク、お菓子って作るのは初めてですね♪ どうしましょう♪」
ひとりにこにこしながら、トリスは言葉を続ける。
「困りました。念じればレシピ本でもでてくるでしょうか? 試してみましょうか」
トリスが頭の中にレシピ本を思い浮かべている時にも、颯や未悠は調理を着々と進行させていく。
「プロとしては、ここは大人しくしているわけにはいかないね」
いつものようにほんわかした雰囲気を纏ってはいるが、颯の中には確かな自信が存在していた。
何がどうなったのか、現在の颯は将来の夢だったはずのパティシェになっている。
ならば、えりー・ざ・どらごんを満足させるプリンも作れるはずだ。
颯と幼馴染である未悠も気合を入れつつ、えりーへ宣戦布告する。
「えりー・ざ・どらごん、スイーツを愛する者として必ずあなたを満足させてみせるわ。美味し過ぎて、幸せ過ぎて死んでしまわないよう、気を付けることね」
全身にクールさを漂わせる未悠だけに、頭の中が甘いものの事でいっぱいになっているとは誰も想像できていなかった。
颯や未悠と一緒にいる碧流も手伝うかと思いきや、諦めきれないとばかりに小走りで再びえりーの元へ向かう。秘蔵のプリンを持っていたのを思い出したのだ。
何しにきたのと言わんばかりのえりーに、碧流がそっと隠し持っていた秘蔵のプリンを差し出す。これをどうぞと言って、再び審査員となるための交渉を開始したのである。
目の前の食欲と興味を我慢できなかったえりーは、プリンと引き換えに承諾。碧流は勝利を収めた。
高々とVサインをした碧流が、鼻息荒くえりーの隣に作ったダンボールの審査員席に座る。
「わふ! 私も審査員なのです!」
当然のごとく、碧流を見ていた村人たちが戸惑う。あいつ、寝返りやがったと。
そんな村人たちの視線は、ついさっきまで仲良さげに一緒にいた未悠へ向かう。
「碧流ってば、本当にプリンが大好きなんだから……。貴女が喜ぶプリンも作るから、待っていてね」
そういう問題じゃないだろという周囲のツッコミを気にせず、未悠は穏やかに微笑む。
ベタ甘な未悠は、寝返った碧流を見ても一切咎めなかった。
その間に、一心不乱に作業をしていたザレムの料理が完成する。
えりーの座るテーブルに、出来たのから順に提供していく。
隣のダンボールに座る碧流だけでなく、ぎゃおぎゃおと落ち着きなく暴れ回っていたりゅみあも美味しそうなにおいにつられてやってくる。
「まずはプリンだ。ノーマル、南瓜、チョコ、抹茶。足す物が違うだけで味は全然違うんだ」
並べられた品々に、早速えりーが手を付ける。
おこぼれ狙いで寝返り、審査員になった碧流はぽに状態で熱くプリンについて語りながら試食する。
脳内ではエンドレスでプリンプリン……と考えていただけに、情熱もスプーンの動きも止まらない。
りゅみあもケーキと騒いではいたが、実際は食べられればなんでもいいみたいだった。
次いで、レーヴェのプリンも到着する。
「趣向を凝らす、というのは単に時間をかければいいというものでもないのじゃよ。ココアプリンじゃ。ほれ、どうぞ」
ココアを牛乳で溶かし、牛乳と砂糖を加えて火にかけ、沸騰前に止める。
ゼラチンを溶かして、生クリームを加えて粗熱を取り、グラスに移して冷やす。
生クリームなどのトッピングを加えれば、レーヴェ自慢のココアプリンの完成である。
完成品を前にした碧流は瞳を輝かせて食べまくる。
「うまいのです! おかわり……は、無いですか」
ショボーンとした碧流の目の前、皿に乗っていたはずのプリンは二体のどらごんによって、あっという間に食い尽くされていた。
続々と他のハンターがプリンを完成させていくのを横目に、スゥは村人の手を借りての調理を行っていた。
「どらごんが満足するプリンなんだから、大きければ良いんじゃないかな」
村人に綺麗なバケツを用意してもらったあとで、スゥは先に完成していたザレムのプリンを遠目で観察する。
「プリンって色んな種類があるみたいだね。それなら全部作って、重ねちゃおう」
プリンの調理経験がないという点では、スゥと同じだったトリスもプリン作りに励んでいる最中だった。
「王国で知り合った方の、手作り焼きプリンが素晴らしく美味しかったですね」
ダメ元で念じたレシピ本は、食材同様にトリスの前に出現した。
その中からトリスが選んだのは、蜂蜜入り焼きプリンだった。
今の時期は、喉を使いすぎると体調を崩す恐れもあり、丁度いいと判断した。
卵、牛乳、蜂蜜、隠し味にしょうが汁を入れる。
レシピの指示通りに混ぜたり、容器に入れて冷ましたり、丁寧かつ素早く作業を行っていく。
味の確認も忘れない。
颯の作業も終盤に差し掛かりつつあった。
「プリン大好きな碧流ちゃんのことも考えて、バケツ状の型・サイズでシンプルながらも濃厚なプリンを作ったよ」
甘さが特徴のプリンだけに、カラメル部分をあえてほろにが風味にした。
そこが颯お手製プリンのアピールポイントでもあった。
「未悠ちゃんの方はどんな感じなのかな?」
普段はクールな未悠だが、あちこちから漂ってくる甘い香りに頬が緩みっぱなしだった。
特大プリンアラモードを全員で食べられるようにたくさん作りつつ、どんどん未悠は上機嫌になっていく。
「幸せだわ……私のプリンも美味しくな~れ、美味しくな~れ……♪」
特大プリンに生クリーム、星や花やハートの形に切った色とりどりのフルーツを盛り付ける。
「さあ、召し上がれ。幸せいっぱいのハッピーマックス・プリン・アラモードよ」
完成したプリンを未悠が颯と一緒に運んでいると、スゥもやってきた。
重たいのでえっちらおっちら、ふらふら歩きながら、なんとか運んでいる。
なんかすごいプリンと名付けられたとスゥのプリンに、えりーがいきなり顔を突っ込んだ。
かなりの大きさだったのだが、プリンは飲み物ですと言わんばかりに吸いつく。
黙っているとえりーやりゅみあに食いつくされてしまうので、負けないように碧流も狙ったプリンを食べる。
審査員とはいってもプリンを食べるのに一生懸命で、点数をつけようとする気配すらない。
「お、ハンドミキサーじゃ。この家いいもの持ってるのう。ではもひとつ簡単なもの作ろうかの」
茹でた玉蜀黍の粒を取り、牛乳砂糖加えてミキサーで砕く。
裏漉しをして綺麗な液体だけにしたところで、とろみがつくまで中火で煮る。
粗熱を取って容器に移して冷やしたあと、シナモンをかければ完成である。
「玉蜀黍で作ってるが、南瓜でも甘藷でもできるぞ。大事なのは卵ではなく、牛乳と砂糖なのじゃ」
食べても食べても、次から次に美味しいスイーツが出される。
とどめとなったのは、ザレムの用意した最後の一品だった。
「折角プリン液があるんだから、他も作ろう。プリン蒸しケーキだ!」
どどんと出されたプリンとケーキの合体作に、えりー・ざ・どらごんは口から炎ではなく涎を垂らす。
争うようにりゅみあと食べるも、食べ応えのあるボリュームを誇るプリン蒸しケーキにどんどんお腹が膨れていく。
ちなみに審査員だった碧流は、ひと足先にお腹をパンパンにして、ラッコのごとく地面で仰向けになっている。
「うぐぐ……プリン味のケーキだなんて……反則だよぉ……」
限界を超えるまで食べた結果、えりー・ざ・どらごんはパンパンにお腹を膨らませてその場にひっくり返った。
●
りゅみあ・ざ・どらごんも満足して、眠そうに目を擦りながら日当たりの良い場所でごろんと横になる。
「どうやらえりーは満足したみたいだな。まだとどめが残ってたってのに。まあ、いい。皆で食べればいいからな」
そう言ったザレムがさあ、おあがりよと出したのは、苺ミルクプリンだった。
えりーたちが満足したのもあり、ハンターや村人も平和にプリンの試食を開始する。
それぞれが舌鼓を打つ中、こっそりとその場を離れる者がいた。颯と未悠だ。
こっそりと未悠用に作っていたガトーショコラを、颯が彼女にプレゼントしようとしたのである。
手渡されたガトーショコラを食べた未悠が、瞳を輝かせる。
「颯、貴方はやっぱり最高だわ!」
ガトーショコラという大事な部分を入れ忘れただけでなく、勢いよく抱きついたせいで結果的に未悠は颯を押し倒してしまう。
「え?うわわわっ!? み、未悠ちゃん……?」
感激した未悠に押し倒された颯は、顔を真っ赤にして狼狽する。
それでも恐る恐る背中に手を回そうとした。甘いにおいがするという言葉とともに。
「……おねーさんは甘いですか?」
甘々な展開になろうとしたその時、えりー・ざ・どらごんがじーっと二人を見ていた。
「甘いにおいがするおねーさんは……美味しいですか?」
瞳に危険な光を宿し、どうしてか理由を尋ねたくない涎を垂れ流す。
甘くないと叫ぶ前に、新たな乱入者がやってくる。
「ぎゃおー。甘くて美味しいものは、りゅみあ・ざ・どらごんが食べるんだよ!」
「駄目だもん。えりー・ざ・どらごんのものだもん! がおー」
「りゅみあが食べるのっ!」
勢いよく開いた口から、りゅみあが炎を吐き出す。
負けじとエリーも応戦し、燃え盛る火炎が村の中で激突する。
炎で決着がつかず、二体のどらごんが取っ組み合いを開始した。
「ぎゃああ、村がぁぁぁ」
いきなり現れて叫び声を上げたのは、えりー・ざ・どらごんの犠牲になったはずの村長だった。
村長を見たレーヴェは驚くでもなく、案の定的な笑みを浮かべる。
「やっぱり村長は大丈夫じゃったな。ギャグ補正のおかげじゃ」
大騒ぎする村人を無視するようにザレムは己の作った料理の説明を続け、満腹の碧流は幸せそうな寝息を立てている。
スゥとトリスは、お互いのプリンを交換し合って楽しそうにお喋りする。
「ふあ、少し眠くなってきましたね。このまま寝たら、どんな夢を見るのかな……」
「美味しそうな夢を見るのでは? 起きたら何故か、無性にプリンが食べたくなるようなね」
スゥの言葉にトリスが返し、二人は笑い合う。
一方でえりー・ざ・どらごんとりゅみあ・ざ・どらごんは、壮大な勘違いから対立を続ける。
「がおー」
「ぎゃおー」
これが綺麗さっぱりひと晩で忘れられる、夢世界での竜決戦の幕開けであった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
美味しいプリンの相談場所 未悠(ka3199) 人間(リアルブルー)|21才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/01/11 00:12:44 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/10 11:09:23 |