ゲスト
(ka0000)
【闇光】迷子と迷子
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/17 19:00
- 完成日
- 2016/01/26 01:44
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
背中に感じる熱量は膨大で、アニタ・カーマイン(kz0005)は、かつて自分の目の前で消し炭になった友軍の姿を思い出していた。
あれは焼夷手榴弾によるものだったか。数千度に達する熱にバリケードは見るも無惨に溶け崩れ、直後の戦闘により拠点を放棄する他なく、彼らをまともに葬ってやれなかったことが悔やまれる。
だが、同じような熱に炙られても、今の自分はそう大したダメージも受けていない。改めて感心するのは、精霊の加護という奴か。
「だったら、これくらい切り抜けさせておくれよ……!」
再び口腔でマテリアルを炎に変換しようと咆吼する竜種に背を向けたまま、アニタは、現在出すことの出来る全力で以て地面を蹴った。
例え高火力の火炎弾といえども、直撃を受けることさえ避ければ致命傷にはなりえない。
しかしそれは、覚醒者であるアニタに限ったことだ。
――彼女の腕の中で震える二つの小さな命にとっては、決してそうではないだろう。
アニタが連合軍から派遣され、フレーベルニンゲン平原に点在する村々の避難誘導に携わっていたことが功を奏し、このはぐれた兄弟を発見した。年の頃は十歳前後。親元から離れ迷子になっていたのか、親などそもそも存在しないのか。そんなことを考える余裕もなく、押し寄せた歪虚の軍勢からはぐれた竜種数匹は、憎き生命を狙って執拗に彼女らを追ってくる。
子供の体を気遣っての撤退では思った以上の速度は出せず、巨大な翼で宙を滑る竜種から逃げ切るのは難しい。
「お姉さんはな、駆けっこは得意なんだ。なんせ、戦車に装甲車、軍用ヘリコプターからだって逃げ切ったことがあるんだぞ?」
その中で、アニタは子供達に向けてニヤリと笑って見せた。案の定、言葉の意味など知るはずもない子供達はぽかんと首を傾げたが、ほんの少しばかり、その細い腕から伝わる震えが小さくなったように思える。
僅かに得た信頼。
それは、アニタの笑顔に不安など微塵も混じっていないと、子供の感性が無意識に気付いたからなのかもしれない。
戦場で笑顔を見せること、逆境にあるほど笑うこと。彼女が幼い頃、一番に教わった大事なことで、今や脳の深部に染み付いた、呼吸ほどに当たり前になっているものだ。アニタの人格形成にすら影響を及ぼした、最初の教訓。それが巡り巡って、また子供の心を少しでも動かしたことに、アニタは内心で苦笑する。
「じゃあ、確り掴まってな! 合流地点まで、一気に駆け抜けるよ!」
彼らの様子からして、多少の強行は可能だと判断。飛ぶように過ぎる景色に目を回さないように、アニタは子供達の頭に手を回して、ぎゅっと強く引きつけた。
そしてより強く地面を蹴って、竜種の視界から一時でも外れるように急角度をつけて、木々の隙間へと体をねじ込んだ。
●
事前に連絡をいれておいた通り、ハンター達が森を抜けた先で待機していてくれた。
しかし、まさか竜種を連れてくるとは思わなかったのだろう。少し驚いたようなその表情に、悪戯が成功したと言わんばかりにアニタは悪い子供のように口元を歪めて見せた。
「悪いね。何匹かは撒いたんだが、全部とはいかなかった。……ああ、この子らも頼むよ」
彼女はそう言って、抱えた二人の子供をハンター達に渡すと――がくりと、膝を折った。
よく見れば、アニタは全身に、無傷な箇所を探すのが困難なほどの火傷を負っていた。特に酷いのが背中で、着込んだ防弾チョッキが熱で溶け、焼け爛れた皮膚に繊維が張り付いてしまっている。
「さ、それじゃあドラゴン退治と行こうじゃないか」
アニタは立ち上がり、ベリベリと嫌な音を響かせて防弾チョッキを脱ぎ捨てる。
「これであたしも龍殺しの仲間入り……って訳にゃ行かなそうだね、この程度じゃ」
そして実に楽しそうに、狩人の目で中空を睨んでいた。
あれは焼夷手榴弾によるものだったか。数千度に達する熱にバリケードは見るも無惨に溶け崩れ、直後の戦闘により拠点を放棄する他なく、彼らをまともに葬ってやれなかったことが悔やまれる。
だが、同じような熱に炙られても、今の自分はそう大したダメージも受けていない。改めて感心するのは、精霊の加護という奴か。
「だったら、これくらい切り抜けさせておくれよ……!」
再び口腔でマテリアルを炎に変換しようと咆吼する竜種に背を向けたまま、アニタは、現在出すことの出来る全力で以て地面を蹴った。
例え高火力の火炎弾といえども、直撃を受けることさえ避ければ致命傷にはなりえない。
しかしそれは、覚醒者であるアニタに限ったことだ。
――彼女の腕の中で震える二つの小さな命にとっては、決してそうではないだろう。
アニタが連合軍から派遣され、フレーベルニンゲン平原に点在する村々の避難誘導に携わっていたことが功を奏し、このはぐれた兄弟を発見した。年の頃は十歳前後。親元から離れ迷子になっていたのか、親などそもそも存在しないのか。そんなことを考える余裕もなく、押し寄せた歪虚の軍勢からはぐれた竜種数匹は、憎き生命を狙って執拗に彼女らを追ってくる。
子供の体を気遣っての撤退では思った以上の速度は出せず、巨大な翼で宙を滑る竜種から逃げ切るのは難しい。
「お姉さんはな、駆けっこは得意なんだ。なんせ、戦車に装甲車、軍用ヘリコプターからだって逃げ切ったことがあるんだぞ?」
その中で、アニタは子供達に向けてニヤリと笑って見せた。案の定、言葉の意味など知るはずもない子供達はぽかんと首を傾げたが、ほんの少しばかり、その細い腕から伝わる震えが小さくなったように思える。
僅かに得た信頼。
それは、アニタの笑顔に不安など微塵も混じっていないと、子供の感性が無意識に気付いたからなのかもしれない。
戦場で笑顔を見せること、逆境にあるほど笑うこと。彼女が幼い頃、一番に教わった大事なことで、今や脳の深部に染み付いた、呼吸ほどに当たり前になっているものだ。アニタの人格形成にすら影響を及ぼした、最初の教訓。それが巡り巡って、また子供の心を少しでも動かしたことに、アニタは内心で苦笑する。
「じゃあ、確り掴まってな! 合流地点まで、一気に駆け抜けるよ!」
彼らの様子からして、多少の強行は可能だと判断。飛ぶように過ぎる景色に目を回さないように、アニタは子供達の頭に手を回して、ぎゅっと強く引きつけた。
そしてより強く地面を蹴って、竜種の視界から一時でも外れるように急角度をつけて、木々の隙間へと体をねじ込んだ。
●
事前に連絡をいれておいた通り、ハンター達が森を抜けた先で待機していてくれた。
しかし、まさか竜種を連れてくるとは思わなかったのだろう。少し驚いたようなその表情に、悪戯が成功したと言わんばかりにアニタは悪い子供のように口元を歪めて見せた。
「悪いね。何匹かは撒いたんだが、全部とはいかなかった。……ああ、この子らも頼むよ」
彼女はそう言って、抱えた二人の子供をハンター達に渡すと――がくりと、膝を折った。
よく見れば、アニタは全身に、無傷な箇所を探すのが困難なほどの火傷を負っていた。特に酷いのが背中で、着込んだ防弾チョッキが熱で溶け、焼け爛れた皮膚に繊維が張り付いてしまっている。
「さ、それじゃあドラゴン退治と行こうじゃないか」
アニタは立ち上がり、ベリベリと嫌な音を響かせて防弾チョッキを脱ぎ捨てる。
「これであたしも龍殺しの仲間入り……って訳にゃ行かなそうだね、この程度じゃ」
そして実に楽しそうに、狩人の目で中空を睨んでいた。
リプレイ本文
「ふおおー! すごーい。ほんとに飛んでる! かっこいい!」
大空を羽ばたく、赤と青の二体の竜種。リュミア・ルクス(ka5783)はアニタから子供を受け取りながら、それを目の前に、キラキラと瞳を輝かせ無邪気に声を上げていた。
「いや、そんなこと言ってる場合じゃないっすよ!」
「だってドラゴンなんだよ、ドラゴン!」
「私も喜ばしいな。一度は竜の首、この手で狩ってみたかったんだ」
二体の竜は真っ直ぐこちらに向かって来ている。その鋭い眼光は、アニタを仕留め損ねたことに怒りを燃やしているようにも見えた。
無限 馨(ka0544)は少し慌てながら、不動シオン(ka5395)は闘争本能を隠しもせずに、竜とアニタの間に割り込んでいく。
「アニタ姐さん、無事っすか!?」
「何、この程度。怪我の内にも入りゃしないさ」
心配そうに声をかける馨に向け、アニタはむしろ楽しげに笑う。しかしそこに力はなく、気力で立っているという状態に見えた。
「強がるんじゃないの、前と随分様子が違うわよ」
そんなアニタの元へと歩み寄る結城 藤乃(ka1904)の言葉には、諫めるような響きがあった。
「酷い火傷、消毒は逆に危ないわ」
詳しく見なくても分かるほどの傷だ。藤乃は手早く、持っていたシャツを裂き包帯代わりの布片を作ると、ミネラルウォーターで濡らしていく。
「アニタさん、このようなことになるまで……」
夜桜 奏音(ka5754)はその痛々しさに目を細める。
相当な痛みがアニタを襲っているはずだ。退くことを勧めたいがしかし、ここで諭しても彼女は聞かないだろう。
「低級のようだが、竜か。ちと骨が折れる相手だな。カーマイン隊長、あれにその負傷で立ち向かうのは無茶だ。楽しみたいなら、最低限の手当を受けてくれ」
ちらりと、近衛 惣助(ka0510)は子供達の方へと目を向ける。リュミアに抱きしめられて戸惑う様子も見受けられるが、命が危ういこの状況への恐怖は根強く彼らを蝕んでいるのだろう。
「まずは、この子達を安全な場所へ匿おう。……LH044の二の舞だけは御免だ」
「当たり前っす」
「同感ね」
思わず漏れた惣助の言葉に、馨と藤乃は重く頷いた。
●
思考は鈍っていようとも、情報共有の基本をアニタが忘れることはなかった。
二体の竜の特徴を言葉少なに理解すると、ハンター達は瞬時に優先度を割り振って作戦を立てる。
「赤いのは頼んだっすよ!」
まず飛び出したのは馨だ。前方に躍り出ながら、猛然と迫る竜に向けてマテリアルを込めたカードを投げつける。
馨の意のままに軌道を変えたカードが二体に殺到し、その体を切り刻む――と良かったのだが、聞いた通りに鱗も皮膜も相当な防御を誇るようだ。甲高い音共にカードは弾かれ、僅かな傷を与えるのみだった。
「さあ、俺が相手っすよ!」
だが、気を引くには十分。竜達は馨の敵意に反応し、ぴくりと目元を振るわせて大きく咆吼した。
「当てさせませんので、子供達の避難をお願いします」
竜の動きを予測して符を放ち、奏音は不可視の結界を展開する。出来れば二体纏めて縛ってしまいたいが、竜の体躯を考えて少し難しいかもしれない。
「向こうだ、急ぐぞ……任せておけ、お兄さん達は化け物退治のプロだ。絶対に君達を守る」
惣助は子供達に言い聞かせ、同時に銃とアーマーを誇示し自信に満ちた笑みを見せた。
物々しい装備と大人の男という組み合わせに、子供達は少し表情を引きつらせる。しかし、それがアニタの装備と似ていると気付いたのか、恐る恐る惣助の顔を伺い、そしてうんと小さく頷いた。
「よーし、おねーちゃんが助けてあげるからね!」
結界の位置を確認し、惣助とリュミアは子供を抱えて森へと走る。馨が囮として動く側と逆に、戦域の隅を斜めに突っ切り、万が一には竜が結界に阻まれる位置取りだ。
竜の首がふらふらと揺れる。正面と左右、方々に分かれた獲物をどう狙うのか、判断が追い付かない様子が見て取れる。
「なら教えてやろうか。貴様を殺すのは、私だ」
アニタを背後に庇うように、シオンが数歩前に出る。そして拳銃を構え、赤い竜の片翼に銃弾を撃ち込んだ。
バチンと、皮膜を撃ったと思えない硬質な音が響く。
ダメージは少ない。しかし竜の思考は単純で、その刺激に怒りという反応を返した。
喉の奥をぐるると鳴らしシオンを睨む。たまに視線が森に向かうのは、怒りと食欲、どちらを優先すべきかまだ迷っているのだろうか。
「これだから、人助けしようなんて連中は面倒なんだ」
お人好し共め、とアニタが呟く。
「動かないで、ずれちゃうでしょ。あと、人のこと言えないでしょう。こんなになって」
藤乃の治療を、アニタは煩わしげに、しかし弱々しく拒んでいた。藤乃の静止がなければ、今すぐにでも意気揚々と竜に食ってかかっていることだろう。
アニタは一種のコンバットハイを起こしている。その姿に藤乃はある予感を覚え、だから放っておくことが出来なかった。
生き残ってしまった者。何かを犠牲に、今を生きる者。
そんな空気を、アニタに感じていた。
「あなたも軍人なら、誰かの背中を、死を見ながら生き長らえた事があるはずよ……その傷を、あの子供達にも与えるの?」
「……それが人を強くすることもある」
「弱くすることもね」
アニタに包帯を巻きながら、藤乃の脳裏に過ぎるのは、かつての惨劇。
耐え切れずに附抜けた自分。そんな例を知っているから、肯定など到底できない。
「ここは熱くてもいいわ、でもここは冷ましなさいな……私の上官だった人の、遺言よ」
心臓と頭。順に示し、そして藤乃は、ニヤリと笑った。
「おい、治療が終わったなら援護射撃を頼む。子供が狙われたら堪らんからな!」
シオンの声が飛ぶ。
「ええ、今行くわ」
それに応えるように、藤乃とアニタは銃を構えた。
●
惣助とリュミアが、木々の間に体を滑り込ませた。その背中を追って、恨みの籠もった竜の咆吼が叩き付けられる。
次いで爆音が響き僅かな熱の余波が枝葉を揺らすが、幸いにもこちらを狙ったものではないようだ。
「ここに隠れていて貰おう」
森の中、さっと見渡して最も幹の太い木の陰に子供を運ぶ。藤乃の迷彩ジャケットを被らせれば、遠目で見つかることはないはずだ。
「ほらほら、もう大丈夫。がんばった強い子にはごほーびなのだ、おねーちゃんの胸で好きなだけ泣くといいんだよ!」
油断なく竜の動向を見定める惣助の横で、リュミアは子供達をぎゅっと強く抱きしめる。明るく声を掛け、安全だと言い聞かせる。
子供達の涙腺が緩むのが分かった。リュミアの元気な様子に緊張の糸が切れたのだろう。リュミアはその頭を、よしよしと撫で続けた。
「俺達が一仕事終えるまで、これを食べて待っていてくれ」
そしてある程度涙も流し終え、泣き声も鼻水をすする音に変わった頃、惣助が、持っていたチョコレートとクッキーを子供達に手渡した。
「おお、いいもの貰ったねー!」
素直にそれを受け取る二人。リュミアは嬉しそうに、それを見守った。
●
空中から振り下ろされた凶悪な爪を、馨は踊るような動きで回避する。
轟音と共に地面が砕け、上がる砂煙。そして流れる様に振り回された鞭のような尾が、咄嗟に身を屈めた頭上を薙ぎ払った。
「多少の怪我じゃ、引けねーっすよね!」
この体格差だ。掠るだけでも馨の体力は大きく削られる。
返す刀で放ったカードは、次の瞬間大きく跳び上がった竜の真下で空を切った。
そのまま空中で、竜の口腔にマテリアルが集まる。嫌な音を立てて輝きを増した炎が馨に向け――
「援護いたします」
その直前に飛来した符が、竜の眼前で爆発するように激しく舞い散る桜吹雪を生み出した。
視界を塞がれ、炎の狙いは僅かに逸れる。馨の真横を、灼熱の渦が通り抜けていった。
赤の竜と相対するハンター達は、分散して岩陰へと身を滑り込ませた。
爆発し周囲に炎を撒き散らす火炎弾が、空中に陣取る竜の口から次々と吐き出される。
「ちっ、面倒な」
「子供達も馨さんも心配です。早く仕留めなければ……」
分散したことで纏めてやられることはないだろうが、熱波から身を守りながらの攻撃では、効果的なダメージを与えづらい。
拳銃の引き金を引きながらシオンは苛立ちを隠さず吐き捨て、奏音は全体を見渡しながら符を放つタイミングを見極める。
「……翼膜に、アニタのつけた銃痕が残っているわ。そこを狙いましょう」
隙を見て岩陰から身を乗り出し、藤乃は目聡くそれを見つけた。若しくは、鱗ほどの頑強さを持たないだろう眼を狙うか。
「それで行こうか」
「任せな」
その提案に、シオンとアニタが頷き返す。そして藤乃の牽制射撃が竜の動きを制限し、二人の銃撃が的確に翼膜と眼を重点的に、攻撃を加える。
「まずは視界を焼かれなさい」
対して奏音の符は一点を攻撃するに向いていないが、複数の符を用いた結界が光を放ち、強烈な光量が竜を包み込みダメージを与えていく。竜は目を眩ませ、火炎弾が見当違いの場所に着弾し炎を上げた。
「すまない、遅くなった」
そこへ、子供の避難を終えた惣助が合流する。同時に、また幾度目かの火炎弾を放とうと大きく開いた口に向け、冷気を込めた弾丸を叩き込んだ。
着弾と共に冷気が竜の口腔に広がり――
「子供がいるんだ、悪いがそいつは遠慮してくれ」
出口を塞がれ、エネルギーが暴発した。
ドン、と竜の口から響く鈍い爆発音。口内を焼かれ、竜が大きく体勢を崩す。
そして、リュミアは一人、森の中でマテリアルを集中させていた。
竜は他の仲間に気を取られ、彼女の存在に気付いていない。
「……あまねく竜は、人に討たれる運命なんだよ。どんな神話だって、そういう風に決まってるの」
一人呟き、手にした燭台の先端に炎が渦巻く。
「あなた達を討ち果たして、竜として完全なものにしてあげる!」
完全な不意打ち。
リュミアの放った火球は竜のそれとも遜色なく輝き、体勢を崩したその背中で炸裂し大爆発を巻き起こした。
「ようやくか!」
爆炎の中で高度を落とした竜を見て、シオンは矢も楯もたまらず飛び出した。
「落ちなさい!」
その頭上を追い越して、藤乃の銃撃が追い打ちをかけた。白く纏わり付いた冷気が竜の翼を凍り付かせ、風を掴む力を奪い取る。
回転し落ちながら、竜は苦し紛れに炎を放つ。
「だから、遠慮してくれと言っているだろう」
しかし再び、惣助の一撃がそれを凍り付かせ、竜の頭が炎に包まれる。
苦しげな咆吼が響く。次の瞬間に、竜は地面に激突した。
そのまま慌てた様子で、竜が起き上がろうとする。しかし、
「残念ですが、させません」
踏ん張った足が、ずぶりと地面に沈み込んだ。落下地点に先回りしていた奏音の符による不可視の結界が、その場を歪め竜の動きを封じ込める。
「目指せ、竜退治の英雄!」
「この私を、楽しませて貰うぞ!」
リュミアが一直線に雷撃で貫くと同時、回り込むように正面を避けたシオンが刀を振り上げていた。
不随意に体を硬直させた竜に向け、持ちうる力を注ぎ込んだ渾身の一撃が振り下ろされる。
「血と悲鳴を、撒き散らせ!」
鱗を砕き筋肉を引き裂き、シオンの刃が深く、竜の喉元に突き刺さった。
割れた喉から絞り出すように、断末魔の咆吼が轟く。
「うおおお! やっとっすか!」
そちらに目を向ける暇もないが、恐らくは赤の竜を味方が撃破したのだろう。
吹き荒れる炎に肩口を焼かれながら、その事実に、肩で息をした馨の瞳に力が戻った。
次いで横合いから飛んだ銃撃と魔法が、青の竜に叩き付けられる。強襲に、竜がぐらりと体勢を崩す。
馨の受けたダメージは小さくないが、しかし、アニタの見ている前で醜態を晒すわけにはいかなかった。それに何よりも、あの珠の肌に傷をつけた落とし前は、きっちりと付けて貰わなければ気が済まない。
「っしゃあ! 気合い入れてかかるっすよ!」
遂に訪れたこの機会、踏ん張らなければ男が廃るというものだ。
背負った槍をようやく構え、馨は足にマテリアルを込めて勢いよく地面を蹴った。
竜の高度は一気に落ちた。そして、不意のダメージに翼のコントロールもままならない様子だ。
届く。
馨は飛び上がり、翼に向け槍を大きく振り下ろした。
●
「高く売れるだろうと思ったが、手土産にもならんとはな……」
シオンが倒れた竜の鱗を剥ぐも、手に取ったそばから風に溶けて消えていく。その破片を握り潰して、シオンは期待外れに小さくため息をついた。
「子供達もアニタさんも、無事で良かったです」
「がんばったね男の子! かっこいいぞー!」
驚異も去り、涙ぐんで森から這い出す子供達に奏音とリュミアが走り寄り、抱きしめる。
「あれ、姐さんは行かないんすか?」
「ん? いいよ、あたしは。終わったら、どっと疲れちまった」
それを遠くに見て、アニタは満足げに地面に腰を下ろした。傷の具合は相変わらずだが、応急処置の甲斐もあってか命に別状はないようだ。
「早く医者に行った方が良いんじゃない? 痕、残るわよ」
「ああ、確かに。それは良くないねえ」
藤乃の忠告に、アニタは笑う。
「そういえば、あの子達はこれからどうするんだ?」
「親とか、無事に見つかると良いんすけどねえ」
アニタによれば、子供達の見つかった近辺の避難は既に終えているらしい。もし親がいるなら、その避難先にいる可能性が高いと。
「ま、探してみるさ」
命を賭けて守ったのだ。もう少し世話を見るくらいどうって事はない。
そう言って、アニタは遠く、ようやく笑顔を見せ始めた子供達の横顔を見つめていた。
大空を羽ばたく、赤と青の二体の竜種。リュミア・ルクス(ka5783)はアニタから子供を受け取りながら、それを目の前に、キラキラと瞳を輝かせ無邪気に声を上げていた。
「いや、そんなこと言ってる場合じゃないっすよ!」
「だってドラゴンなんだよ、ドラゴン!」
「私も喜ばしいな。一度は竜の首、この手で狩ってみたかったんだ」
二体の竜は真っ直ぐこちらに向かって来ている。その鋭い眼光は、アニタを仕留め損ねたことに怒りを燃やしているようにも見えた。
無限 馨(ka0544)は少し慌てながら、不動シオン(ka5395)は闘争本能を隠しもせずに、竜とアニタの間に割り込んでいく。
「アニタ姐さん、無事っすか!?」
「何、この程度。怪我の内にも入りゃしないさ」
心配そうに声をかける馨に向け、アニタはむしろ楽しげに笑う。しかしそこに力はなく、気力で立っているという状態に見えた。
「強がるんじゃないの、前と随分様子が違うわよ」
そんなアニタの元へと歩み寄る結城 藤乃(ka1904)の言葉には、諫めるような響きがあった。
「酷い火傷、消毒は逆に危ないわ」
詳しく見なくても分かるほどの傷だ。藤乃は手早く、持っていたシャツを裂き包帯代わりの布片を作ると、ミネラルウォーターで濡らしていく。
「アニタさん、このようなことになるまで……」
夜桜 奏音(ka5754)はその痛々しさに目を細める。
相当な痛みがアニタを襲っているはずだ。退くことを勧めたいがしかし、ここで諭しても彼女は聞かないだろう。
「低級のようだが、竜か。ちと骨が折れる相手だな。カーマイン隊長、あれにその負傷で立ち向かうのは無茶だ。楽しみたいなら、最低限の手当を受けてくれ」
ちらりと、近衛 惣助(ka0510)は子供達の方へと目を向ける。リュミアに抱きしめられて戸惑う様子も見受けられるが、命が危ういこの状況への恐怖は根強く彼らを蝕んでいるのだろう。
「まずは、この子達を安全な場所へ匿おう。……LH044の二の舞だけは御免だ」
「当たり前っす」
「同感ね」
思わず漏れた惣助の言葉に、馨と藤乃は重く頷いた。
●
思考は鈍っていようとも、情報共有の基本をアニタが忘れることはなかった。
二体の竜の特徴を言葉少なに理解すると、ハンター達は瞬時に優先度を割り振って作戦を立てる。
「赤いのは頼んだっすよ!」
まず飛び出したのは馨だ。前方に躍り出ながら、猛然と迫る竜に向けてマテリアルを込めたカードを投げつける。
馨の意のままに軌道を変えたカードが二体に殺到し、その体を切り刻む――と良かったのだが、聞いた通りに鱗も皮膜も相当な防御を誇るようだ。甲高い音共にカードは弾かれ、僅かな傷を与えるのみだった。
「さあ、俺が相手っすよ!」
だが、気を引くには十分。竜達は馨の敵意に反応し、ぴくりと目元を振るわせて大きく咆吼した。
「当てさせませんので、子供達の避難をお願いします」
竜の動きを予測して符を放ち、奏音は不可視の結界を展開する。出来れば二体纏めて縛ってしまいたいが、竜の体躯を考えて少し難しいかもしれない。
「向こうだ、急ぐぞ……任せておけ、お兄さん達は化け物退治のプロだ。絶対に君達を守る」
惣助は子供達に言い聞かせ、同時に銃とアーマーを誇示し自信に満ちた笑みを見せた。
物々しい装備と大人の男という組み合わせに、子供達は少し表情を引きつらせる。しかし、それがアニタの装備と似ていると気付いたのか、恐る恐る惣助の顔を伺い、そしてうんと小さく頷いた。
「よーし、おねーちゃんが助けてあげるからね!」
結界の位置を確認し、惣助とリュミアは子供を抱えて森へと走る。馨が囮として動く側と逆に、戦域の隅を斜めに突っ切り、万が一には竜が結界に阻まれる位置取りだ。
竜の首がふらふらと揺れる。正面と左右、方々に分かれた獲物をどう狙うのか、判断が追い付かない様子が見て取れる。
「なら教えてやろうか。貴様を殺すのは、私だ」
アニタを背後に庇うように、シオンが数歩前に出る。そして拳銃を構え、赤い竜の片翼に銃弾を撃ち込んだ。
バチンと、皮膜を撃ったと思えない硬質な音が響く。
ダメージは少ない。しかし竜の思考は単純で、その刺激に怒りという反応を返した。
喉の奥をぐるると鳴らしシオンを睨む。たまに視線が森に向かうのは、怒りと食欲、どちらを優先すべきかまだ迷っているのだろうか。
「これだから、人助けしようなんて連中は面倒なんだ」
お人好し共め、とアニタが呟く。
「動かないで、ずれちゃうでしょ。あと、人のこと言えないでしょう。こんなになって」
藤乃の治療を、アニタは煩わしげに、しかし弱々しく拒んでいた。藤乃の静止がなければ、今すぐにでも意気揚々と竜に食ってかかっていることだろう。
アニタは一種のコンバットハイを起こしている。その姿に藤乃はある予感を覚え、だから放っておくことが出来なかった。
生き残ってしまった者。何かを犠牲に、今を生きる者。
そんな空気を、アニタに感じていた。
「あなたも軍人なら、誰かの背中を、死を見ながら生き長らえた事があるはずよ……その傷を、あの子供達にも与えるの?」
「……それが人を強くすることもある」
「弱くすることもね」
アニタに包帯を巻きながら、藤乃の脳裏に過ぎるのは、かつての惨劇。
耐え切れずに附抜けた自分。そんな例を知っているから、肯定など到底できない。
「ここは熱くてもいいわ、でもここは冷ましなさいな……私の上官だった人の、遺言よ」
心臓と頭。順に示し、そして藤乃は、ニヤリと笑った。
「おい、治療が終わったなら援護射撃を頼む。子供が狙われたら堪らんからな!」
シオンの声が飛ぶ。
「ええ、今行くわ」
それに応えるように、藤乃とアニタは銃を構えた。
●
惣助とリュミアが、木々の間に体を滑り込ませた。その背中を追って、恨みの籠もった竜の咆吼が叩き付けられる。
次いで爆音が響き僅かな熱の余波が枝葉を揺らすが、幸いにもこちらを狙ったものではないようだ。
「ここに隠れていて貰おう」
森の中、さっと見渡して最も幹の太い木の陰に子供を運ぶ。藤乃の迷彩ジャケットを被らせれば、遠目で見つかることはないはずだ。
「ほらほら、もう大丈夫。がんばった強い子にはごほーびなのだ、おねーちゃんの胸で好きなだけ泣くといいんだよ!」
油断なく竜の動向を見定める惣助の横で、リュミアは子供達をぎゅっと強く抱きしめる。明るく声を掛け、安全だと言い聞かせる。
子供達の涙腺が緩むのが分かった。リュミアの元気な様子に緊張の糸が切れたのだろう。リュミアはその頭を、よしよしと撫で続けた。
「俺達が一仕事終えるまで、これを食べて待っていてくれ」
そしてある程度涙も流し終え、泣き声も鼻水をすする音に変わった頃、惣助が、持っていたチョコレートとクッキーを子供達に手渡した。
「おお、いいもの貰ったねー!」
素直にそれを受け取る二人。リュミアは嬉しそうに、それを見守った。
●
空中から振り下ろされた凶悪な爪を、馨は踊るような動きで回避する。
轟音と共に地面が砕け、上がる砂煙。そして流れる様に振り回された鞭のような尾が、咄嗟に身を屈めた頭上を薙ぎ払った。
「多少の怪我じゃ、引けねーっすよね!」
この体格差だ。掠るだけでも馨の体力は大きく削られる。
返す刀で放ったカードは、次の瞬間大きく跳び上がった竜の真下で空を切った。
そのまま空中で、竜の口腔にマテリアルが集まる。嫌な音を立てて輝きを増した炎が馨に向け――
「援護いたします」
その直前に飛来した符が、竜の眼前で爆発するように激しく舞い散る桜吹雪を生み出した。
視界を塞がれ、炎の狙いは僅かに逸れる。馨の真横を、灼熱の渦が通り抜けていった。
赤の竜と相対するハンター達は、分散して岩陰へと身を滑り込ませた。
爆発し周囲に炎を撒き散らす火炎弾が、空中に陣取る竜の口から次々と吐き出される。
「ちっ、面倒な」
「子供達も馨さんも心配です。早く仕留めなければ……」
分散したことで纏めてやられることはないだろうが、熱波から身を守りながらの攻撃では、効果的なダメージを与えづらい。
拳銃の引き金を引きながらシオンは苛立ちを隠さず吐き捨て、奏音は全体を見渡しながら符を放つタイミングを見極める。
「……翼膜に、アニタのつけた銃痕が残っているわ。そこを狙いましょう」
隙を見て岩陰から身を乗り出し、藤乃は目聡くそれを見つけた。若しくは、鱗ほどの頑強さを持たないだろう眼を狙うか。
「それで行こうか」
「任せな」
その提案に、シオンとアニタが頷き返す。そして藤乃の牽制射撃が竜の動きを制限し、二人の銃撃が的確に翼膜と眼を重点的に、攻撃を加える。
「まずは視界を焼かれなさい」
対して奏音の符は一点を攻撃するに向いていないが、複数の符を用いた結界が光を放ち、強烈な光量が竜を包み込みダメージを与えていく。竜は目を眩ませ、火炎弾が見当違いの場所に着弾し炎を上げた。
「すまない、遅くなった」
そこへ、子供の避難を終えた惣助が合流する。同時に、また幾度目かの火炎弾を放とうと大きく開いた口に向け、冷気を込めた弾丸を叩き込んだ。
着弾と共に冷気が竜の口腔に広がり――
「子供がいるんだ、悪いがそいつは遠慮してくれ」
出口を塞がれ、エネルギーが暴発した。
ドン、と竜の口から響く鈍い爆発音。口内を焼かれ、竜が大きく体勢を崩す。
そして、リュミアは一人、森の中でマテリアルを集中させていた。
竜は他の仲間に気を取られ、彼女の存在に気付いていない。
「……あまねく竜は、人に討たれる運命なんだよ。どんな神話だって、そういう風に決まってるの」
一人呟き、手にした燭台の先端に炎が渦巻く。
「あなた達を討ち果たして、竜として完全なものにしてあげる!」
完全な不意打ち。
リュミアの放った火球は竜のそれとも遜色なく輝き、体勢を崩したその背中で炸裂し大爆発を巻き起こした。
「ようやくか!」
爆炎の中で高度を落とした竜を見て、シオンは矢も楯もたまらず飛び出した。
「落ちなさい!」
その頭上を追い越して、藤乃の銃撃が追い打ちをかけた。白く纏わり付いた冷気が竜の翼を凍り付かせ、風を掴む力を奪い取る。
回転し落ちながら、竜は苦し紛れに炎を放つ。
「だから、遠慮してくれと言っているだろう」
しかし再び、惣助の一撃がそれを凍り付かせ、竜の頭が炎に包まれる。
苦しげな咆吼が響く。次の瞬間に、竜は地面に激突した。
そのまま慌てた様子で、竜が起き上がろうとする。しかし、
「残念ですが、させません」
踏ん張った足が、ずぶりと地面に沈み込んだ。落下地点に先回りしていた奏音の符による不可視の結界が、その場を歪め竜の動きを封じ込める。
「目指せ、竜退治の英雄!」
「この私を、楽しませて貰うぞ!」
リュミアが一直線に雷撃で貫くと同時、回り込むように正面を避けたシオンが刀を振り上げていた。
不随意に体を硬直させた竜に向け、持ちうる力を注ぎ込んだ渾身の一撃が振り下ろされる。
「血と悲鳴を、撒き散らせ!」
鱗を砕き筋肉を引き裂き、シオンの刃が深く、竜の喉元に突き刺さった。
割れた喉から絞り出すように、断末魔の咆吼が轟く。
「うおおお! やっとっすか!」
そちらに目を向ける暇もないが、恐らくは赤の竜を味方が撃破したのだろう。
吹き荒れる炎に肩口を焼かれながら、その事実に、肩で息をした馨の瞳に力が戻った。
次いで横合いから飛んだ銃撃と魔法が、青の竜に叩き付けられる。強襲に、竜がぐらりと体勢を崩す。
馨の受けたダメージは小さくないが、しかし、アニタの見ている前で醜態を晒すわけにはいかなかった。それに何よりも、あの珠の肌に傷をつけた落とし前は、きっちりと付けて貰わなければ気が済まない。
「っしゃあ! 気合い入れてかかるっすよ!」
遂に訪れたこの機会、踏ん張らなければ男が廃るというものだ。
背負った槍をようやく構え、馨は足にマテリアルを込めて勢いよく地面を蹴った。
竜の高度は一気に落ちた。そして、不意のダメージに翼のコントロールもままならない様子だ。
届く。
馨は飛び上がり、翼に向け槍を大きく振り下ろした。
●
「高く売れるだろうと思ったが、手土産にもならんとはな……」
シオンが倒れた竜の鱗を剥ぐも、手に取ったそばから風に溶けて消えていく。その破片を握り潰して、シオンは期待外れに小さくため息をついた。
「子供達もアニタさんも、無事で良かったです」
「がんばったね男の子! かっこいいぞー!」
驚異も去り、涙ぐんで森から這い出す子供達に奏音とリュミアが走り寄り、抱きしめる。
「あれ、姐さんは行かないんすか?」
「ん? いいよ、あたしは。終わったら、どっと疲れちまった」
それを遠くに見て、アニタは満足げに地面に腰を下ろした。傷の具合は相変わらずだが、応急処置の甲斐もあってか命に別状はないようだ。
「早く医者に行った方が良いんじゃない? 痕、残るわよ」
「ああ、確かに。それは良くないねえ」
藤乃の忠告に、アニタは笑う。
「そういえば、あの子達はこれからどうするんだ?」
「親とか、無事に見つかると良いんすけどねえ」
アニタによれば、子供達の見つかった近辺の避難は既に終えているらしい。もし親がいるなら、その避難先にいる可能性が高いと。
「ま、探してみるさ」
命を賭けて守ったのだ。もう少し世話を見るくらいどうって事はない。
そう言って、アニタは遠く、ようやく笑顔を見せ始めた子供達の横顔を見つめていた。
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作戦相談卓 不動 シオン(ka5395) 人間(リアルブルー)|27才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/01/17 12:32:42 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/13 20:44:15 |