• 闇光
  • 戦闘

【闇光】迷子と迷子

マスター:T谷

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/01/17 19:00
リプレイ完成予定
2016/01/26 19:00

オープニング

 背中に感じる熱量は膨大で、アニタ・カーマイン(kz0005)は、かつて自分の目の前で消し炭になった友軍の姿を思い出していた。
 あれは焼夷手榴弾によるものだったか。数千度に達する熱にバリケードは見るも無惨に溶け崩れ、直後の戦闘により拠点を放棄する他なく、彼らをまともに葬ってやれなかったことが悔やまれる。
 だが、同じような熱に炙られても、今の自分はそう大したダメージも受けていない。改めて感心するのは、精霊の加護という奴か。
「だったら、これくらい切り抜けさせておくれよ……!」
 再び口腔でマテリアルを炎に変換しようと咆吼する竜種に背を向けたまま、アニタは、現在出すことの出来る全力で以て地面を蹴った。
 例え高火力の火炎弾といえども、直撃を受けることさえ避ければ致命傷にはなりえない。
 しかしそれは、覚醒者であるアニタに限ったことだ。
 
 ――彼女の腕の中で震える二つの小さな命にとっては、決してそうではないだろう。

 アニタが連合軍から派遣され、フレーベルニンゲン平原に点在する村々の避難誘導に携わっていたことが功を奏し、このはぐれた兄弟を発見した。年の頃は十歳前後。親元から離れ迷子になっていたのか、親などそもそも存在しないのか。そんなことを考える余裕もなく、押し寄せた歪虚の軍勢からはぐれた竜種数匹は、憎き生命を狙って執拗に彼女らを追ってくる。
 子供の体を気遣っての撤退では思った以上の速度は出せず、巨大な翼で宙を滑る竜種から逃げ切るのは難しい。
「お姉さんはな、駆けっこは得意なんだ。なんせ、戦車に装甲車、軍用ヘリコプターからだって逃げ切ったことがあるんだぞ?」
 その中で、アニタは子供達に向けてニヤリと笑って見せた。案の定、言葉の意味など知るはずもない子供達はぽかんと首を傾げたが、ほんの少しばかり、その細い腕から伝わる震えが小さくなったように思える。
 僅かに得た信頼。
 それは、アニタの笑顔に不安など微塵も混じっていないと、子供の感性が無意識に気付いたからなのかもしれない。
 戦場で笑顔を見せること、逆境にあるほど笑うこと。彼女が幼い頃、一番に教わった大事なことで、今や脳の深部に染み付いた、呼吸ほどに当たり前になっているものだ。アニタの人格形成にすら影響を及ぼした、最初の教訓。それが巡り巡って、また子供の心を少しでも動かしたことに、アニタは内心で苦笑する。
「じゃあ、確り掴まってな! 合流地点まで、一気に駆け抜けるよ!」
 彼らの様子からして、多少の強行は可能だと判断。飛ぶように過ぎる景色に目を回さないように、アニタは子供達の頭に手を回して、ぎゅっと強く引きつけた。
 そしてより強く地面を蹴って、竜種の視界から一時でも外れるように急角度をつけて、木々の隙間へと体をねじ込んだ。


 事前に連絡をいれておいた通り、ハンター達が森を抜けた先で待機していてくれた。
 しかし、まさか竜種を連れてくるとは思わなかったのだろう。少し驚いたようなその表情に、悪戯が成功したと言わんばかりにアニタは悪い子供のように口元を歪めて見せた。
「悪いね。何匹かは撒いたんだが、全部とはいかなかった。……ああ、この子らも頼むよ」
 彼女はそう言って、抱えた二人の子供をハンター達に渡すと――がくりと、膝を折った。
 よく見れば、アニタは全身に、無傷な箇所を探すのが困難なほどの火傷を負っていた。特に酷いのが背中で、着込んだ防弾チョッキが熱で溶け、焼け爛れた皮膚に繊維が張り付いてしまっている。
「さ、それじゃあドラゴン退治と行こうじゃないか」
 アニタは立ち上がり、ベリベリと嫌な音を響かせて防弾チョッキを脱ぎ捨てる。
「これであたしも龍殺しの仲間入り……って訳にゃ行かなそうだね、この程度じゃ」
 そして実に楽しそうに、狩人の目で中空を睨んでいた。

解説

・概要
 アニタと共に、子供を守りながら竜種を追い払え。

・敵
 赤と青の竜種二匹です。飛ぶことに特化しているようで、腕はなく、代わりに大きな翼を持ったワイバーンのような個体です。
 サイズは共に2。口からの火炎、急降下からの爪攻撃、全身を使った突進、噛み付きなどを行います。また、赤の竜種は着弾点から円形に炎の広がる火炎弾を、青の竜種は火炎放射のように直線を焼き払う炎を吐くようです。
 鱗や皮膜は非常に頑丈で、アニタの銃撃ではあまり傷をつける事が出来ませんでした。

・場所
 竜種の背後には森が、相対するハンター達の背後には荒野が広がっています。
 荒野に遮蔽物は少なく、ひと一人が何とか隠れられる岩がまばらに転がっているだけです。

・アニタ
 怪我のせいで動きは良くなく、体力も少ないため危険な状態です。
 しかし彼女はこの状況を楽しく思っているらしく、無理に下がらせようとすれば反発するでしょう。
 ダメージにより意識が朦朧とし、さらに土壇場で過剰に分泌された脳内物質により、少し正気ではないのかもしれません。

・子供
 十歳前後の二人の男の子です。
 非常な恐怖により混乱を来しています。

マスターより

いつまで経ってもワイバーンの造形に違和感しか感じませんT谷です。やっぱりドラゴンは四足のイメージが強いです。

今回の相手はかなり低級な竜であり、知能も犬くらいしかありません。

関連NPC


  • アニタ・カーマイン(kz0005
    人間(リアルブルー)|24才|女性|猟撃士(イェーガー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/01/26 01:44

参加者一覧

  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • スピードスター
    無限 馨(ka0544
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 生者の務め
    結城 藤乃(ka1904
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師
  • ドラゴンハート(本体)
    リュミア・ルクス(ka5783
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
不動 シオン(ka5395
人間(リアルブルー)|27才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/01/17 12:32:42
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/13 20:44:15