ゲスト
(ka0000)
クルセイダーの懇願
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/19 19:00
- 完成日
- 2016/01/25 10:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
二人の女性ハンターが、石畳の上で用心深く歩を進めていた。
一人は長い銀髪の持ち主であり、紫色の瞳を周囲へと油断なく投げかけている。もう一人は彼女より年下の、青い髪を肩のあたりまで伸ばした少女であった。
ロザリア=オルラランことロザリーと、彼女の友人のテレスである。
二人は依頼を受け、グラズヘイム王国内のとある遺跡へとやって来ていた。彼女達が持つランタンに照らされるのは物言わぬ石の床と壁のみ。しかし、二人は注意を怠らずに進む。
彼女達が部屋の中央付近までたどり着いた時、ロザリーは不意に圧迫感を感じ、天井を見上げた。わずかな光源に照らされて薄暗い天井の一部が、不気味に蠢いている……!
「テレス! 飛びなさい!」
ロザリーの警告にテレスは咄嗟に横へと跳躍した。
間一髪、今まで彼女がいた場所に巨大な生物が降って来る。
床に落ちたそれは悔しげに体を揺らめかせた。
擬態していたのか石造りの遺跡と同系色の不定形の生き物――いわゆるスライムである。
テレスは魔法の行使に入り、ロザリーはすかさず間合いを詰めた。
「はああああああああああああ!!」
愛用のメイスを構え、勢い良く振りかぶると強く踏み込む。
「ストラァァァィクブロウ!」
メイスの柄頭が流星のように振り下ろされた。
ロザリーはこのメイスで数多の敵を葬ってきた。敵は所詮スライム。今回もかつての魔物達と同じ運命を辿ることになるであろう。
ロザリーはそう信じ、そのまま叩き付ける。
しかし……。
ぬと。
「――え?」
いつもと違う手応えにロザリーは自分が叩き込んだ鈍器に視線を向ける。彼女の武器の柄頭が、スライムの肉体に深く埋まっていた。ロザリーの目が驚愕に見開かれる。
スライムは身体を震わせると、ロザリーのメイスを飲み込もうとするかのように胴体の一部を自分にくいこんだ異物に這わせた。
「ちょっ……待っ……」
慌ててメイスを引き抜こうとしたロザリーだったが、叶わない。
「ロザリーさん! 危ない!」
今度はテレスの声がロザリーの危機を救った。
ロザリーは慌てて武器の柄から手を離し、背後へと飛ぶ。今まで彼女がいた空間を、スライムの体から新たに生えた複数の触手が薙いでいった。
距離を取ったロザリーにテレスが駆け寄った。
「ロザリーさん! 大丈夫ですか!?」
「ええ……しかし、わたくしの大事な……」
ロザリーはくやしげにスライムの胴体を睨みつけている。空の右手を強く握り締めながら。
ロザリーの視線の先では、まるで琥珀に閉じ込められた昆虫のように、彼女のメイスが丸ごとスライムの体内に取りこまれていた。
ハンターになった時から、少しずつ強化しながら使い続けていた愛用の武器。なんとしてでも取り返さなければ、と決意したロザリーをあざ笑うような出来事が起きた。
いくつもの不快な音と共に、小さな衝撃が遺跡を揺らす。
新たなスライムが数体、同じように天井から降ってきたのである。さきほどロザリーのメイスを奪った敵と同じような形状だ。
「くっ……これは……」
「引くしかないようですね……」
幸い、まだ囲まれてはいない。
ロザリーとテレスは素早く判断を下し、スライム達に背を向けて駆け出した。
●
石の廊下を走る二人。ロザリーの瞳はぶつけ先のない怒りに燃えていた。
「許せませんわ! あのスライム!」
「街で協力者を募りましょう。さすがに、あたし達二人じゃ……」
相手が並のスライムではなかったことを、二人のハンターはすでに看破していた。ロザリーはテレスの言葉に頷く。
「そうですわね……急ぎませんと……」
スライムの体は酸性を帯びていることが多い。先ほどのスライムがそうであった場合、彼女のメイスはやがて魔物の体の中で鉄くずとなってしまうであろう。
口では急ごうと言っていたものの、街で援軍を頼んで戻ってきたとしても、武器が無事である可能性は低いことをロザリーも薄々は気付いていた。
やがて遺跡の入り口から外へと出た二人。ここに来る際に利用した転移門がある場所へと向かうが……天の助けか、彼女達の視線の先に数人の人影が見えた。様々な武器や鎧を身につけているのが遠目でも分かる。
武装し、こんな辺鄙な場所を歩く人種などそうはいない。そう、ロザリー達と同じハンターだ。
ロザリーとテレスは顔を見合わせると、一団の方へと駆け寄った。
「そこのハンターの方々! ちょっとお話を聞いていただけませんか!?」
一人は長い銀髪の持ち主であり、紫色の瞳を周囲へと油断なく投げかけている。もう一人は彼女より年下の、青い髪を肩のあたりまで伸ばした少女であった。
ロザリア=オルラランことロザリーと、彼女の友人のテレスである。
二人は依頼を受け、グラズヘイム王国内のとある遺跡へとやって来ていた。彼女達が持つランタンに照らされるのは物言わぬ石の床と壁のみ。しかし、二人は注意を怠らずに進む。
彼女達が部屋の中央付近までたどり着いた時、ロザリーは不意に圧迫感を感じ、天井を見上げた。わずかな光源に照らされて薄暗い天井の一部が、不気味に蠢いている……!
「テレス! 飛びなさい!」
ロザリーの警告にテレスは咄嗟に横へと跳躍した。
間一髪、今まで彼女がいた場所に巨大な生物が降って来る。
床に落ちたそれは悔しげに体を揺らめかせた。
擬態していたのか石造りの遺跡と同系色の不定形の生き物――いわゆるスライムである。
テレスは魔法の行使に入り、ロザリーはすかさず間合いを詰めた。
「はああああああああああああ!!」
愛用のメイスを構え、勢い良く振りかぶると強く踏み込む。
「ストラァァァィクブロウ!」
メイスの柄頭が流星のように振り下ろされた。
ロザリーはこのメイスで数多の敵を葬ってきた。敵は所詮スライム。今回もかつての魔物達と同じ運命を辿ることになるであろう。
ロザリーはそう信じ、そのまま叩き付ける。
しかし……。
ぬと。
「――え?」
いつもと違う手応えにロザリーは自分が叩き込んだ鈍器に視線を向ける。彼女の武器の柄頭が、スライムの肉体に深く埋まっていた。ロザリーの目が驚愕に見開かれる。
スライムは身体を震わせると、ロザリーのメイスを飲み込もうとするかのように胴体の一部を自分にくいこんだ異物に這わせた。
「ちょっ……待っ……」
慌ててメイスを引き抜こうとしたロザリーだったが、叶わない。
「ロザリーさん! 危ない!」
今度はテレスの声がロザリーの危機を救った。
ロザリーは慌てて武器の柄から手を離し、背後へと飛ぶ。今まで彼女がいた空間を、スライムの体から新たに生えた複数の触手が薙いでいった。
距離を取ったロザリーにテレスが駆け寄った。
「ロザリーさん! 大丈夫ですか!?」
「ええ……しかし、わたくしの大事な……」
ロザリーはくやしげにスライムの胴体を睨みつけている。空の右手を強く握り締めながら。
ロザリーの視線の先では、まるで琥珀に閉じ込められた昆虫のように、彼女のメイスが丸ごとスライムの体内に取りこまれていた。
ハンターになった時から、少しずつ強化しながら使い続けていた愛用の武器。なんとしてでも取り返さなければ、と決意したロザリーをあざ笑うような出来事が起きた。
いくつもの不快な音と共に、小さな衝撃が遺跡を揺らす。
新たなスライムが数体、同じように天井から降ってきたのである。さきほどロザリーのメイスを奪った敵と同じような形状だ。
「くっ……これは……」
「引くしかないようですね……」
幸い、まだ囲まれてはいない。
ロザリーとテレスは素早く判断を下し、スライム達に背を向けて駆け出した。
●
石の廊下を走る二人。ロザリーの瞳はぶつけ先のない怒りに燃えていた。
「許せませんわ! あのスライム!」
「街で協力者を募りましょう。さすがに、あたし達二人じゃ……」
相手が並のスライムではなかったことを、二人のハンターはすでに看破していた。ロザリーはテレスの言葉に頷く。
「そうですわね……急ぎませんと……」
スライムの体は酸性を帯びていることが多い。先ほどのスライムがそうであった場合、彼女のメイスはやがて魔物の体の中で鉄くずとなってしまうであろう。
口では急ごうと言っていたものの、街で援軍を頼んで戻ってきたとしても、武器が無事である可能性は低いことをロザリーも薄々は気付いていた。
やがて遺跡の入り口から外へと出た二人。ここに来る際に利用した転移門がある場所へと向かうが……天の助けか、彼女達の視線の先に数人の人影が見えた。様々な武器や鎧を身につけているのが遠目でも分かる。
武装し、こんな辺鄙な場所を歩く人種などそうはいない。そう、ロザリー達と同じハンターだ。
ロザリーとテレスは顔を見合わせると、一団の方へと駆け寄った。
「そこのハンターの方々! ちょっとお話を聞いていただけませんか!?」
リプレイ本文
●
駆け寄ってきた二人のハンターに対し、真っ先に声を上げたのは神楽(ka2032)だった。
「ロザリーさん、こんにちは~っす。相変わらず美人っすね~。あ、今日はビキニ着てないんすね、珍しい」
「なななななななんのことでしょう!? わたくしはビキニアーマーなんて一度も着たことはありませんわ!」
実際は一度着たことがあるロザリーは動揺しながらも答えを返した。それを特に気にした様子もなく、神楽はテレスにも声をかける。
「テレスちゃんも、ちーっす! 今日も可愛いっすね! こんなとこで2人に会うとは奇遇っすね!」
「声をかける相手を間違えたかも……」
テレスはげっそりとした顔で呟く。
ややあって、二人は神楽以外にも見知った顔があることに気付いた。
「そ、そうですわ! 皆さんにお願いしたいことがあるのです!」
取り乱していたロザリーはごまかすように改めて、ハンター達に事情を説明した。
●
「……案内してください。今、すぐに」
普段は朗らかで優しいアニス・エリダヌス(ka2491)の喉から、怒りを押し殺すかのような声が漏れ出た。
アニスのことを知っているハンターは普段の様子との違いに戸惑う。アニスは友人を困らせる存在に対して激怒しているのだ。
「愛用の武器を奪われるとは、災難だったな、ロザリー姐さん」
続いて言葉を発したのはAnbar(ka4037)。彼も、ロザリーの友人である。
彼の隣でロザリーを興味深げに見ているのはルシェン・グライシス(ka5745)だ。
(依頼を受けてきてみたら、まさかかの有名な聖女様に出会えるとはね。これも何かの縁でしょうし、大切なメイスを取り戻すと致しましょうか)
『聖女』の噂を聞いたことがあったらしい彼女が、初めて見た実物を前に心の中で呟いた。
「大切なものが失われていくのを指を咥えて見ているしかないというのはとても悔しく悲しいですよね。出来る限りお手伝いいたします! 頑張ってスライムを倒しましょう!!」
エステル(ka5826)もロザリーを元気づけようと声をかける。
「はい! ……でも、あまり無理はなさらないでくださいね?」
もちろん本心では武器を取り戻したいのであろう、ロザリーの気持ちに応えるようにAnbarが再度口を開いた。
「安心してくれ。そいつらを倒すついでにきちんと取り戻してやるからさ」
Anbarの言葉には、ただの戦友に対する気持ち以上の感情が込められていた。
彼らの言葉で、一時は武器のことを諦めていたロザリーの瞳に輝きが宿る。
「あ、ありがとうございます!」
深く頭を下げるロザリー。
「武器取られるなんてしょうもねえ話しだぜ……クルセイダーの武器は信仰って言うだろ……」
ロザリーと同じくクルセイダーであるクルス(ka3922)がそう呟き、周りを見た。奇遇にも、この場にはロザリーとテレスを含めて七人もクルセイダーがいる。
「言わね? ……なんでもいい。さっさと潰そうぜ」
同調する答えが返ってこず、ごまかすためかクルスはさっさと歩き始めた。
●
総勢十名のハンターが遺跡内部へと潜っていく。
「エクラの信徒として、貴女に力を貸しましょう」
腰にランタンを下げたセリス・アルマーズ(ka1079)が先頭を歩いている。背丈並みの巨大な盾と、数多の負のマテリアルを払ってきたサーベルをもつ姿は聖騎士といった風貌だが、実態はただの民間人シスターである。
ロザリーから内部の情報は得ていたものの、周りへの警戒は怠らずに進む彼ら。
(今まで、ロザリーさんは、どこかおかしいというか、何かずれてるというか……失礼ながら、一言で言ってしまえばギャグキャラなイメージがあったけど、今回は本気で困ってるみたい。なら、助けてあげなくちゃ)
ティス・フュラー(ka3006)も一同の後ろを歩きながら、ロザリーの背を見て思う。
「できれば、メイスもきっちり取り戻してあげたいわね……」
小声でそう呟くティスであった。
やがて、彼らはロザリー達がスライムと遭遇した大部屋へとやってきた。
薄暗い部屋を、ハンター達が持つ灯りが照らす。光に炙り出されるように、遺跡内の床を蠢くものがいた。
石の床と同系色の、高さ2メートルはあろうかというスライムだ。三体いる。
それと同時に上を警戒していたセリスが仲間に注意を促した。天井に、やはり雑魔が張り付いていたのである。
天井に潜んでいた二体のスライムは存在が露見したことに気付いたのか、威嚇するように体を大きく広げた。しかし、まだ降りてはこない。
「ロザリーさん武器もないんだし苦手だろうけど援護を頼むっす! テレスちゃんはフォローしてあげるっす!」
ロザリーが援護が苦手だと未だに勘違いしている神楽がそう声をかける。二人は頷く。
ハンター達は即座に戦いの空気を纏った。
「気休めかも知れないけど、備えておいた方がいいでしょ?」
ルシェンがプロテクションを仲間へと使用する。それに併せ、ロザリーも彼女と同じ魔法を行使する。テレスもホーリーライトの準備へと入った。
こちらへと這いずり寄るスライムに対し、先手とばかりに放たれたティスのファイアーボールが石の床に弾けた。
巻き込まれたスライム達は、苦痛に悶える。
聖槍「ロンゴミニアド」をかざし、ルシェンはシャドウブリットを放つ。
「ふふふ……さぁ、この影で貪り尽くしてあげるわ♪」
火球でダメージを負った一体へとルシェンの魔法が襲い掛かり、身を撃つ。しかし、まだ撃破には至らない。
そのスライムに対し、集中攻撃を行う為の目印になるかとツナ缶を投げつけるエステル。缶詰は見事に先ほど連続で攻撃を受けたスライムの肉体に埋没する。ハンターの中に潜んでいたツナ缶愛好家達の悲鳴があがったような気もしたが……それは戦いの音にかき消された。
クルスはホーリーライトを放ちながら、それの光源も頼りにメイスを取り込んだスライムを探している。しかし、まだお目当てのスライムは見つからない。
やがて近づいてきた一体のスライムが触手を伸ばし、前線に立っていたAnbarを狙った。
地を駆けるものを使用していたAnbarはあっさりとそれを回避してのける。お返しとばかりにその触手へと斬撃を見舞った。
戦いが続くなか、一体のスライムの胴体から何か光が反射していることに気付いたアニス。
輝きの正体はロザリーのメイスだった。
「……それを、返しなさい!」
フルパワーで魔法を叩き込むアニス。命中した個体は光弾にえぐられ、身をのけぞらせるがまだ健在だ。しかし、アニスの攻撃はとまらない。
「穿ちなさい、アポリオン」
信仰上、使用を避けていた闇属性のシャドウブリットを惜しげもなく使う。
だが、彼女の追撃を邪魔するかのように、上から降りてきた二体のスライムがその射線を塞ぐ。一体はシャドウブリットを受けてひるんだが、もう一体が触手を全身から鞭のようにしならせた。
伸ばした複数の触手の内、一本がセリスの体に絡みついた。
それを見た神楽が慌てて駆けつけようとするが……。
「すぐに助け、いや待つっす。武器が溶けるなら防具や服も溶けるはずっす。つまりこのままちょっと待てば、ケケケケ」
と一瞬足を緩めたが、しかし。
「あ、ダメッス。肉も溶けるから骸骨になるっすよ。やばい、早く助けないとっす~!」
気を取り直して援護に向かう神楽。
鎧の上から纏わりつく粘体に顔をしかめるセリスだったが、幸い被害は大したことはない。スライムは彼女の体を取り込もうとしたが、仲間達の援護もあり、セリスはあっさりとその触手から逃れることに成功する。
しかし、今度は駆けつけた神楽が触手の犠牲になる。
「俺は美味くねーっすよ! 狙うなら女性陣の鎧を狙うっす~!」
悲鳴をあげる神楽に一部の女性陣は言いたいことがあるようだったが、最終的にはセリスのホーリーライトが神楽の身を救った。
その間に別のスライムと対峙しているハンターがいた。間合いを詰められたクルスはやむを得ず、武器を構えた。彼が持つのはロザリーと同種の鈍器である。ロザリーのそれとは違い、両手持ちの物であったが。
最悪武器だけ取りこまれても仕方ないと考えていたが、彼も決して無策だったわけではない。クルセイダーのスキルであるフォースクラッシュを使うつもりなのだ。武器に魔力を集中させて強力な一撃を放つという技である。
クルスは長大なメイスを振りかぶる。
(ああ……もしこれ有効だったら、ロザリーに今後使えるって薦めてやってもいいな。脳筋には使いやすいだろ)
ここでも脳筋扱いされているロザリーであった。
幸い彼の武器はスライムに取りこまれることなく、その体を存分に叩きつけることに成功する。クルスはひるむスライムから難なく距離を取ることに成功した。
エステルはスライムに取り込まれないように動き回りながら、ホーリーライトとシャドウブリットを使い分け、適宜攻撃を行っていた。また、攻撃の目印となるようツナ缶を投げる行為も可能な限りやり続け、その度に誰かの悲鳴があがった。
魔法による集中砲火を受けたスライムの一体が力を失い、無に帰す。
「歪虚滅ぼすべし、雑魔必滅、慈悲はない」
狂信的なエクラ教徒であり、歪虚の姿を見てすでに殺戮マシーンと化しているセリスは片っ端からホーリーライトでなぎ払っている。
彼女に導かれるように、また一体の雑魔が滅した。
ティスとアニスはお互い背を預けるようにして立ち、それぞれ魔法による攻撃をスライムへと行っている。
ハンター達の息をつく間もない攻撃は、スライムの自己回復能力をはるかに上回っていた。三体目のスライムがつぶれ、消え失せる。
残る二体のスライムはそれぞれ触手を繰り出すが、セリスが巨大な盾をかざして防ぎ、仲間を庇う。
隙を見て放たれたティスのライトニングボルトが丁度二体並んでいたところを貫いた。Anbarは地を駆けるものを使い、己の回避力を高める。
「援護してやるからとっとと行くっす!」
Anbarの意思を察してか、神楽が囮を買って出た。一体のスライムがつられ、神楽の体を捕えるが、その間に本命のスライムへと駆け寄るAnbar。
彼を援護するように、クルセイダー達の魔法がAnbarの背後からスライムへと殺到する。降り注ぐ光弾を受け、よろめくスライム。苦し紛れに触手を繰り出すが、Anbarは華麗なステップで回避した。
霊魔撃をアックス「ライデンシャフト」にまとわせ、ついにスライムへと肉薄する。魔力の篭った一撃は、スライムの軟体をものともせずに振り抜かれ、雑魔の体を切り裂いた。
それが致命傷となったか、スライムは大きく震え、石の床に潰れると共に消滅した。同時に、遺跡の中に金属音が響く。ロザリーのメイスが、雑魔の体から生還した証であった。
●
神楽を捕えたスライムもすぐさま打ち滅ぼし、雑魔を殲滅したハンター達。セリスは遺跡にこびりついた雑魔の残滓を消し去らんと、セイクリッドフラッシュで周囲を浄化した。
そんな中、Anbarはメイスを拾い上げ、ロザリーの下へとやってくる。手を伸ばそうとしたロザリーだったが、エステルがそれを制した。メイスにスライムの酸が残っている可能性があったからだ。
ロザリーに断りをいれた後、自前のミネラルウォーターでメイスを洗い流すエステル。腐食した部分はあったものの、幸い根幹はまだ無事であった。
「一度、鍛冶屋へお見せしてくださいね?」
「はい……こうして再び手に取れるなんて、夢のようです……!」
ロザリーは恐る恐る愛用の武器に手を伸ばし、柄を握る。それは、しっかりとした手ごたえを返してきた。ロザリーの顔が喜びでほころぶ。彼女はハンター達に向き直った。
「ありがとうございました……! 皆さん、本当に……!」
ロザリーは一人一人の顔を見つめ、頭を下げた。
●
来た道を戻りながら、神楽がロザリー達に話しかける。
「ロザリーさん、援護が上手くなってたっすね! テレスちゃんに教わったんっすか? そうだ、テレスちゃんといえば」
神楽は荷物の袋をごそごそと探り始めた。取り出したのはビキニアーマー。
「はいっす。これでロザリーさんとお揃いっすよ!」
「えー……」
とても嫌そうな顔を見せたものの、一応受け取りはしたテレス。
「これでロザリーさんもテレスちゃんに遠慮せずビキニを着れるっすね!」
神楽がテレスとやりとりをしている間に、クルスとAnbarがロザリーの隣にやって来た。
クルスは先ほどのフォースクラッシュが、あのスライムにも一定の効果をあげていたことをロザリーに伝えた。
ちょうど、魔力を武器に込めるスキルをロザリーも身につけるべきだと助言しようとしていたAnbarも頷く。
「これからも前線で戦い続けるのならば、今回みたいに物理攻撃が効き辛い敵と出くわした時のことも考えて、覚えてみても損はないと思うぜ。一考してみてくれ」
「はい、これからもさらに上を目指しますわ!」
ロザリーは笑顔で二人に答えた。
やがて、遺跡の入り口に戻ってきたハンター達。
新鮮な空気が彼らの肺を満たす。外の明かりに照らされ、彼らの体にまだいくばくかの傷が残っていることが晒される。
ルシェンは神楽の側に近づいた。
「男の傷は勲章、といいますけど、ちゃんと治さないとダメよ?」
「うおおおおおおお! いいっす! もっとヒールお願いするっす!」
ヒールを使う際、胸元を見せ付けるように体を寄せているルシェンに神楽が喜びの悲鳴をあげる。
「欲望のままに行動するのも大事ですけど、見極めを忘れない事ですよ?」
ルシェンはそう付け加えるが、神楽がそれを聞いていたかどうか。
クルセイダーたちはそれぞれヒールを行使し、ハンター達がこの戦いで受けた傷はすべて回復した。
遺跡から離れた野原で火を起こし、ささやかな宴を行うハンター達。
「戦いの後の一杯は美味しいわねぇ……あ、皆も飲む?」
紅茶中毒を自認するセリスが祝福の水筒を手に一杯やっている。
「怖かったですか? ごめんなさい」
先ほどの戦いの際に、普段見せない表情を見せていたことを気にしているのか、アニスも仲間にチョコレートと紅茶を振舞っていた。
ティスは自分が所持する中でもとっておきのツナ缶を取り出し、開ける。中には全てのツナの頂点に立てるかというような素晴らしいツナが詰まっている。彼女が改良に改良を重ねた一品だ。
切り分けたパンにそのツナを惜しげもなくはさむティス。そうして出来た最高のツナサンドを、まずはロザリーとテレスに渡した。
二人は目を輝かせ、それを受け取る。
顔を見合わせ、かぶりつく。二人の顔はたちまちうっとりとなった。
駆け寄ってきた二人のハンターに対し、真っ先に声を上げたのは神楽(ka2032)だった。
「ロザリーさん、こんにちは~っす。相変わらず美人っすね~。あ、今日はビキニ着てないんすね、珍しい」
「なななななななんのことでしょう!? わたくしはビキニアーマーなんて一度も着たことはありませんわ!」
実際は一度着たことがあるロザリーは動揺しながらも答えを返した。それを特に気にした様子もなく、神楽はテレスにも声をかける。
「テレスちゃんも、ちーっす! 今日も可愛いっすね! こんなとこで2人に会うとは奇遇っすね!」
「声をかける相手を間違えたかも……」
テレスはげっそりとした顔で呟く。
ややあって、二人は神楽以外にも見知った顔があることに気付いた。
「そ、そうですわ! 皆さんにお願いしたいことがあるのです!」
取り乱していたロザリーはごまかすように改めて、ハンター達に事情を説明した。
●
「……案内してください。今、すぐに」
普段は朗らかで優しいアニス・エリダヌス(ka2491)の喉から、怒りを押し殺すかのような声が漏れ出た。
アニスのことを知っているハンターは普段の様子との違いに戸惑う。アニスは友人を困らせる存在に対して激怒しているのだ。
「愛用の武器を奪われるとは、災難だったな、ロザリー姐さん」
続いて言葉を発したのはAnbar(ka4037)。彼も、ロザリーの友人である。
彼の隣でロザリーを興味深げに見ているのはルシェン・グライシス(ka5745)だ。
(依頼を受けてきてみたら、まさかかの有名な聖女様に出会えるとはね。これも何かの縁でしょうし、大切なメイスを取り戻すと致しましょうか)
『聖女』の噂を聞いたことがあったらしい彼女が、初めて見た実物を前に心の中で呟いた。
「大切なものが失われていくのを指を咥えて見ているしかないというのはとても悔しく悲しいですよね。出来る限りお手伝いいたします! 頑張ってスライムを倒しましょう!!」
エステル(ka5826)もロザリーを元気づけようと声をかける。
「はい! ……でも、あまり無理はなさらないでくださいね?」
もちろん本心では武器を取り戻したいのであろう、ロザリーの気持ちに応えるようにAnbarが再度口を開いた。
「安心してくれ。そいつらを倒すついでにきちんと取り戻してやるからさ」
Anbarの言葉には、ただの戦友に対する気持ち以上の感情が込められていた。
彼らの言葉で、一時は武器のことを諦めていたロザリーの瞳に輝きが宿る。
「あ、ありがとうございます!」
深く頭を下げるロザリー。
「武器取られるなんてしょうもねえ話しだぜ……クルセイダーの武器は信仰って言うだろ……」
ロザリーと同じくクルセイダーであるクルス(ka3922)がそう呟き、周りを見た。奇遇にも、この場にはロザリーとテレスを含めて七人もクルセイダーがいる。
「言わね? ……なんでもいい。さっさと潰そうぜ」
同調する答えが返ってこず、ごまかすためかクルスはさっさと歩き始めた。
●
総勢十名のハンターが遺跡内部へと潜っていく。
「エクラの信徒として、貴女に力を貸しましょう」
腰にランタンを下げたセリス・アルマーズ(ka1079)が先頭を歩いている。背丈並みの巨大な盾と、数多の負のマテリアルを払ってきたサーベルをもつ姿は聖騎士といった風貌だが、実態はただの民間人シスターである。
ロザリーから内部の情報は得ていたものの、周りへの警戒は怠らずに進む彼ら。
(今まで、ロザリーさんは、どこかおかしいというか、何かずれてるというか……失礼ながら、一言で言ってしまえばギャグキャラなイメージがあったけど、今回は本気で困ってるみたい。なら、助けてあげなくちゃ)
ティス・フュラー(ka3006)も一同の後ろを歩きながら、ロザリーの背を見て思う。
「できれば、メイスもきっちり取り戻してあげたいわね……」
小声でそう呟くティスであった。
やがて、彼らはロザリー達がスライムと遭遇した大部屋へとやってきた。
薄暗い部屋を、ハンター達が持つ灯りが照らす。光に炙り出されるように、遺跡内の床を蠢くものがいた。
石の床と同系色の、高さ2メートルはあろうかというスライムだ。三体いる。
それと同時に上を警戒していたセリスが仲間に注意を促した。天井に、やはり雑魔が張り付いていたのである。
天井に潜んでいた二体のスライムは存在が露見したことに気付いたのか、威嚇するように体を大きく広げた。しかし、まだ降りてはこない。
「ロザリーさん武器もないんだし苦手だろうけど援護を頼むっす! テレスちゃんはフォローしてあげるっす!」
ロザリーが援護が苦手だと未だに勘違いしている神楽がそう声をかける。二人は頷く。
ハンター達は即座に戦いの空気を纏った。
「気休めかも知れないけど、備えておいた方がいいでしょ?」
ルシェンがプロテクションを仲間へと使用する。それに併せ、ロザリーも彼女と同じ魔法を行使する。テレスもホーリーライトの準備へと入った。
こちらへと這いずり寄るスライムに対し、先手とばかりに放たれたティスのファイアーボールが石の床に弾けた。
巻き込まれたスライム達は、苦痛に悶える。
聖槍「ロンゴミニアド」をかざし、ルシェンはシャドウブリットを放つ。
「ふふふ……さぁ、この影で貪り尽くしてあげるわ♪」
火球でダメージを負った一体へとルシェンの魔法が襲い掛かり、身を撃つ。しかし、まだ撃破には至らない。
そのスライムに対し、集中攻撃を行う為の目印になるかとツナ缶を投げつけるエステル。缶詰は見事に先ほど連続で攻撃を受けたスライムの肉体に埋没する。ハンターの中に潜んでいたツナ缶愛好家達の悲鳴があがったような気もしたが……それは戦いの音にかき消された。
クルスはホーリーライトを放ちながら、それの光源も頼りにメイスを取り込んだスライムを探している。しかし、まだお目当てのスライムは見つからない。
やがて近づいてきた一体のスライムが触手を伸ばし、前線に立っていたAnbarを狙った。
地を駆けるものを使用していたAnbarはあっさりとそれを回避してのける。お返しとばかりにその触手へと斬撃を見舞った。
戦いが続くなか、一体のスライムの胴体から何か光が反射していることに気付いたアニス。
輝きの正体はロザリーのメイスだった。
「……それを、返しなさい!」
フルパワーで魔法を叩き込むアニス。命中した個体は光弾にえぐられ、身をのけぞらせるがまだ健在だ。しかし、アニスの攻撃はとまらない。
「穿ちなさい、アポリオン」
信仰上、使用を避けていた闇属性のシャドウブリットを惜しげもなく使う。
だが、彼女の追撃を邪魔するかのように、上から降りてきた二体のスライムがその射線を塞ぐ。一体はシャドウブリットを受けてひるんだが、もう一体が触手を全身から鞭のようにしならせた。
伸ばした複数の触手の内、一本がセリスの体に絡みついた。
それを見た神楽が慌てて駆けつけようとするが……。
「すぐに助け、いや待つっす。武器が溶けるなら防具や服も溶けるはずっす。つまりこのままちょっと待てば、ケケケケ」
と一瞬足を緩めたが、しかし。
「あ、ダメッス。肉も溶けるから骸骨になるっすよ。やばい、早く助けないとっす~!」
気を取り直して援護に向かう神楽。
鎧の上から纏わりつく粘体に顔をしかめるセリスだったが、幸い被害は大したことはない。スライムは彼女の体を取り込もうとしたが、仲間達の援護もあり、セリスはあっさりとその触手から逃れることに成功する。
しかし、今度は駆けつけた神楽が触手の犠牲になる。
「俺は美味くねーっすよ! 狙うなら女性陣の鎧を狙うっす~!」
悲鳴をあげる神楽に一部の女性陣は言いたいことがあるようだったが、最終的にはセリスのホーリーライトが神楽の身を救った。
その間に別のスライムと対峙しているハンターがいた。間合いを詰められたクルスはやむを得ず、武器を構えた。彼が持つのはロザリーと同種の鈍器である。ロザリーのそれとは違い、両手持ちの物であったが。
最悪武器だけ取りこまれても仕方ないと考えていたが、彼も決して無策だったわけではない。クルセイダーのスキルであるフォースクラッシュを使うつもりなのだ。武器に魔力を集中させて強力な一撃を放つという技である。
クルスは長大なメイスを振りかぶる。
(ああ……もしこれ有効だったら、ロザリーに今後使えるって薦めてやってもいいな。脳筋には使いやすいだろ)
ここでも脳筋扱いされているロザリーであった。
幸い彼の武器はスライムに取りこまれることなく、その体を存分に叩きつけることに成功する。クルスはひるむスライムから難なく距離を取ることに成功した。
エステルはスライムに取り込まれないように動き回りながら、ホーリーライトとシャドウブリットを使い分け、適宜攻撃を行っていた。また、攻撃の目印となるようツナ缶を投げる行為も可能な限りやり続け、その度に誰かの悲鳴があがった。
魔法による集中砲火を受けたスライムの一体が力を失い、無に帰す。
「歪虚滅ぼすべし、雑魔必滅、慈悲はない」
狂信的なエクラ教徒であり、歪虚の姿を見てすでに殺戮マシーンと化しているセリスは片っ端からホーリーライトでなぎ払っている。
彼女に導かれるように、また一体の雑魔が滅した。
ティスとアニスはお互い背を預けるようにして立ち、それぞれ魔法による攻撃をスライムへと行っている。
ハンター達の息をつく間もない攻撃は、スライムの自己回復能力をはるかに上回っていた。三体目のスライムがつぶれ、消え失せる。
残る二体のスライムはそれぞれ触手を繰り出すが、セリスが巨大な盾をかざして防ぎ、仲間を庇う。
隙を見て放たれたティスのライトニングボルトが丁度二体並んでいたところを貫いた。Anbarは地を駆けるものを使い、己の回避力を高める。
「援護してやるからとっとと行くっす!」
Anbarの意思を察してか、神楽が囮を買って出た。一体のスライムがつられ、神楽の体を捕えるが、その間に本命のスライムへと駆け寄るAnbar。
彼を援護するように、クルセイダー達の魔法がAnbarの背後からスライムへと殺到する。降り注ぐ光弾を受け、よろめくスライム。苦し紛れに触手を繰り出すが、Anbarは華麗なステップで回避した。
霊魔撃をアックス「ライデンシャフト」にまとわせ、ついにスライムへと肉薄する。魔力の篭った一撃は、スライムの軟体をものともせずに振り抜かれ、雑魔の体を切り裂いた。
それが致命傷となったか、スライムは大きく震え、石の床に潰れると共に消滅した。同時に、遺跡の中に金属音が響く。ロザリーのメイスが、雑魔の体から生還した証であった。
●
神楽を捕えたスライムもすぐさま打ち滅ぼし、雑魔を殲滅したハンター達。セリスは遺跡にこびりついた雑魔の残滓を消し去らんと、セイクリッドフラッシュで周囲を浄化した。
そんな中、Anbarはメイスを拾い上げ、ロザリーの下へとやってくる。手を伸ばそうとしたロザリーだったが、エステルがそれを制した。メイスにスライムの酸が残っている可能性があったからだ。
ロザリーに断りをいれた後、自前のミネラルウォーターでメイスを洗い流すエステル。腐食した部分はあったものの、幸い根幹はまだ無事であった。
「一度、鍛冶屋へお見せしてくださいね?」
「はい……こうして再び手に取れるなんて、夢のようです……!」
ロザリーは恐る恐る愛用の武器に手を伸ばし、柄を握る。それは、しっかりとした手ごたえを返してきた。ロザリーの顔が喜びでほころぶ。彼女はハンター達に向き直った。
「ありがとうございました……! 皆さん、本当に……!」
ロザリーは一人一人の顔を見つめ、頭を下げた。
●
来た道を戻りながら、神楽がロザリー達に話しかける。
「ロザリーさん、援護が上手くなってたっすね! テレスちゃんに教わったんっすか? そうだ、テレスちゃんといえば」
神楽は荷物の袋をごそごそと探り始めた。取り出したのはビキニアーマー。
「はいっす。これでロザリーさんとお揃いっすよ!」
「えー……」
とても嫌そうな顔を見せたものの、一応受け取りはしたテレス。
「これでロザリーさんもテレスちゃんに遠慮せずビキニを着れるっすね!」
神楽がテレスとやりとりをしている間に、クルスとAnbarがロザリーの隣にやって来た。
クルスは先ほどのフォースクラッシュが、あのスライムにも一定の効果をあげていたことをロザリーに伝えた。
ちょうど、魔力を武器に込めるスキルをロザリーも身につけるべきだと助言しようとしていたAnbarも頷く。
「これからも前線で戦い続けるのならば、今回みたいに物理攻撃が効き辛い敵と出くわした時のことも考えて、覚えてみても損はないと思うぜ。一考してみてくれ」
「はい、これからもさらに上を目指しますわ!」
ロザリーは笑顔で二人に答えた。
やがて、遺跡の入り口に戻ってきたハンター達。
新鮮な空気が彼らの肺を満たす。外の明かりに照らされ、彼らの体にまだいくばくかの傷が残っていることが晒される。
ルシェンは神楽の側に近づいた。
「男の傷は勲章、といいますけど、ちゃんと治さないとダメよ?」
「うおおおおおおお! いいっす! もっとヒールお願いするっす!」
ヒールを使う際、胸元を見せ付けるように体を寄せているルシェンに神楽が喜びの悲鳴をあげる。
「欲望のままに行動するのも大事ですけど、見極めを忘れない事ですよ?」
ルシェンはそう付け加えるが、神楽がそれを聞いていたかどうか。
クルセイダーたちはそれぞれヒールを行使し、ハンター達がこの戦いで受けた傷はすべて回復した。
遺跡から離れた野原で火を起こし、ささやかな宴を行うハンター達。
「戦いの後の一杯は美味しいわねぇ……あ、皆も飲む?」
紅茶中毒を自認するセリスが祝福の水筒を手に一杯やっている。
「怖かったですか? ごめんなさい」
先ほどの戦いの際に、普段見せない表情を見せていたことを気にしているのか、アニスも仲間にチョコレートと紅茶を振舞っていた。
ティスは自分が所持する中でもとっておきのツナ缶を取り出し、開ける。中には全てのツナの頂点に立てるかというような素晴らしいツナが詰まっている。彼女が改良に改良を重ねた一品だ。
切り分けたパンにそのツナを惜しげもなくはさむティス。そうして出来た最高のツナサンドを、まずはロザリーとテレスに渡した。
二人は目を輝かせ、それを受け取る。
顔を見合わせ、かぶりつく。二人の顔はたちまちうっとりとなった。
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スライム退治&メイス奪還相談卓 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/01/17 18:14:21 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/15 21:26:55 |