ゲスト
(ka0000)
アマリリス~迎撃の巨人
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/25 22:00
- 完成日
- 2016/02/07 19:16
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●セル鉱山と商人たち
「赤ずきんは自衛団を組織するよう進言したらしい」
「ふはは、むしろどっぷり首を突っ込んでくれてるじゃないか」
「うまいこと商取引以外の仕事が押し付けられたようで何より」
「自前の護衛がいてそれが利点かもしれんが、このように利点は簡単に欠点にもなる」
同盟領のどこかで商人たちのそんな囁き声がする。
赤ずきん、とはアマリリス商会代表のアムのことだ。
蒸気工業都市フマーレの近くで開発の進むセル鉱山に必要物資を搬入する業者の集まりに、後から割り込んだので厄介者にされている。これまでは、そこそこの品質で多くの量が求められる「酒」の取引で、密造酒を持ってきたアマリリス商会に完敗している。それは仕方ないのだが、調子に乗ってほかの品目の取引にまで首を突っ込まれるわけにはいかない、ということろだ。
作戦がうまいこといって商人たちはとてもご機嫌である。
が。
「しかし、伝説の巨人が実在していたということは危険なのでは?」
「なに、鉱山街まで来なければ……」
「おい。新しい情報だとその巨人の行動範囲が日々広がって鉱山街に向かっているそうだ」
「何?」
新たにもたらされた情報に絶望感が漂う。
「その情報、赤ずきん側がわざと派手に流してるな」
「仕方ない。ハンターでも雇って……」
「こっちが手を打っても赤ずきんの手柄になるな……」
「くそっ。赤ずきんめ、最初に見つけた時にとっとと退治していればこのようなことには……」
とにかく、ほかの商人には手の出しにくい状態になっていた。
●炭鉱街では
「巨人の動きは?」
自警団の控室でアマリリス商会のアムが鋭く聞いた。
「足跡や小枝の落ち具合から、森の中のこの広場を目指しいたみたいです」
現場責任者のハミル・タグは偵察した情報をまとめた地図を広げ説明した。
岩壁の巨人は夜な夜な岩壁から抜け出して活動していることが遠くから聞こえる音、翌朝の残った足跡などから確実とされている。その音が夜毎に近付いているのだから鉱山街の作業員たちはたまったものではない。
「夜にだけ動いて……朝にはもとに戻っているんですか?」
モータルが聞いてみる。おかしな話だ、と言わんばかりだ。
「そもそも、前回戦った時に要所の番人たるゴーレムと結論付けたはずですが?」
メイスンも首を突っ込んだ。もしもそうなら見立てと合わないし、頻繁に動き出した理由が分からない。
「宝物を守る番人なら盗んだ物の痕跡を頼りに追って来て取り返そうとするのは分かるわ」
アム、裕福な家の出だ。この手の話などに触れる機会も多いだろう。
「あそこで別に何も盗んで……」
「でも、ここに一直線に来ないでまずこの広場を目指した理由は明白ね。……あの日、私たちが撤退したルートだもの」
不服そうなモータルにアムが地図を指差し説明する。
「あ、そうか」
「そういえば巨人からの粉や埃をたくさん浴びてここで払いましたね」
そういうことか、とモータルとメイスン。
「今晩、この広場で決着をつけるわ。……メイスンは念のためにここで留守番を。私たちは倒してから洞窟にも行ってみるわ」
「アムさん、敵がゴーレムなら回復してるはず。完全に破壊しておかないと危ないかもしれません」
意気を上げるアムにメイスンが釘を差した。
果たしてどうしたものか。
「赤ずきんは自衛団を組織するよう進言したらしい」
「ふはは、むしろどっぷり首を突っ込んでくれてるじゃないか」
「うまいこと商取引以外の仕事が押し付けられたようで何より」
「自前の護衛がいてそれが利点かもしれんが、このように利点は簡単に欠点にもなる」
同盟領のどこかで商人たちのそんな囁き声がする。
赤ずきん、とはアマリリス商会代表のアムのことだ。
蒸気工業都市フマーレの近くで開発の進むセル鉱山に必要物資を搬入する業者の集まりに、後から割り込んだので厄介者にされている。これまでは、そこそこの品質で多くの量が求められる「酒」の取引で、密造酒を持ってきたアマリリス商会に完敗している。それは仕方ないのだが、調子に乗ってほかの品目の取引にまで首を突っ込まれるわけにはいかない、ということろだ。
作戦がうまいこといって商人たちはとてもご機嫌である。
が。
「しかし、伝説の巨人が実在していたということは危険なのでは?」
「なに、鉱山街まで来なければ……」
「おい。新しい情報だとその巨人の行動範囲が日々広がって鉱山街に向かっているそうだ」
「何?」
新たにもたらされた情報に絶望感が漂う。
「その情報、赤ずきん側がわざと派手に流してるな」
「仕方ない。ハンターでも雇って……」
「こっちが手を打っても赤ずきんの手柄になるな……」
「くそっ。赤ずきんめ、最初に見つけた時にとっとと退治していればこのようなことには……」
とにかく、ほかの商人には手の出しにくい状態になっていた。
●炭鉱街では
「巨人の動きは?」
自警団の控室でアマリリス商会のアムが鋭く聞いた。
「足跡や小枝の落ち具合から、森の中のこの広場を目指しいたみたいです」
現場責任者のハミル・タグは偵察した情報をまとめた地図を広げ説明した。
岩壁の巨人は夜な夜な岩壁から抜け出して活動していることが遠くから聞こえる音、翌朝の残った足跡などから確実とされている。その音が夜毎に近付いているのだから鉱山街の作業員たちはたまったものではない。
「夜にだけ動いて……朝にはもとに戻っているんですか?」
モータルが聞いてみる。おかしな話だ、と言わんばかりだ。
「そもそも、前回戦った時に要所の番人たるゴーレムと結論付けたはずですが?」
メイスンも首を突っ込んだ。もしもそうなら見立てと合わないし、頻繁に動き出した理由が分からない。
「宝物を守る番人なら盗んだ物の痕跡を頼りに追って来て取り返そうとするのは分かるわ」
アム、裕福な家の出だ。この手の話などに触れる機会も多いだろう。
「あそこで別に何も盗んで……」
「でも、ここに一直線に来ないでまずこの広場を目指した理由は明白ね。……あの日、私たちが撤退したルートだもの」
不服そうなモータルにアムが地図を指差し説明する。
「あ、そうか」
「そういえば巨人からの粉や埃をたくさん浴びてここで払いましたね」
そういうことか、とモータルとメイスン。
「今晩、この広場で決着をつけるわ。……メイスンは念のためにここで留守番を。私たちは倒してから洞窟にも行ってみるわ」
「アムさん、敵がゴーレムなら回復してるはず。完全に破壊しておかないと危ないかもしれません」
意気を上げるアムにメイスンが釘を差した。
果たしてどうしたものか。
リプレイ本文
●
「よう」
アムたちが鉱山街の自警団控室を出ると、樽に腰掛けたジャック・エルギン(ka1522)が声を掛けてきた。
「狼といいゴーレムといい物騒な場所だが、ここは大丈夫なのか?」
よっ、と樽から下りながら聞いてくる。
「大丈夫じゃないから自警団なんて組んだんでしょ? 大丈夫じゃなくてもそれなりの見返りがあれがいいんだけど」
アム、ジャックに言ったあと採掘責任者のハミルを見た。
「質の悪い鉄鉱石しかまだ出てないですね」
どうも芳しくないらしい。
「おいおい、本当に大丈夫かよ」
ジャック、さすがに眉の根を寄せる。
そんな彼らと離れた場所で声が響く。
「なんぞ、怖い話は知らぬか? できれば、若い女性を攫う吸血鬼の話なんかがよいのう」
ディヤー・A・バトロス(ka5743)が作業員を見れば声を掛けて情報収集中。
「ここはよそから集められた人ばかりです。距離は遠いですがふもとの村で前回聞き込みをしたのですが……」
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は残念そうに言う。
前回調査しても、それに纏わる事は分からず終い。彼女の見立て通り、鉱山街で古い情報は期待できない。
「何、巨人は無理でも飛び回る蝙蝠の噂もあるでな」
ディヤー、笑顔でツィスカを振り返る。
「ええい、巨人も蝙蝠もどうでもいい!」
ここでフルルカ(ka5839)が、どかーん。
「そこな小僧に誘われて来てみたら、ただの討伐依頼だと? ええいディヤー、そなた『トレジャーハント』と言ったではないか!」
つかつかとディヤーに詰め寄るとディヤーを指差す。ついでに額を指先でつんつん、あぅあぅ。
そんな騒動には構わずほかの仲間は。
「ん、でも、どうして禁足地になっているのかとかは……」
「現地の人が祟り神と認識したからでしょうか?」
サクラ・エルフリード(ka2598)はゴーレムだけではなく、全体的な流れが気になるよう。これにはツィスカも同意で小さく頷く。
「行方不明者の確認なんてもの重要だけど、どう?」
天竜寺 詩(ka0396)がハミルに聞く。
「さすがにないですね」
ハミルがきっぱり。
「それは良かった。……前回洞窟で発見した骨や寝床の事は気になるけど、それを調べる為にもきっちりゴーレムは倒しちゃわないとね」
詩が頷いた時だった。
「それだ」
朱の旗袍に赤い短髪のアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が立ち上がった。
「まずはゴーレム」
赤い瞳は倒す気満々だ。
「お? やっちゃうじゃーん?」
だらん、と座っていたゾファル・G・初火(ka4407)も生き生きと立ち上がる。
それはそれとして、ディヤーとフルルカ。
額を指先でつんつんされていたディヤーが指の圧力に負けず言い返す。
「たしかあの時、『それじゃあちゃんと』と言ったはずなのじゃ!」
フルルカ、固まった。
そして叫ぶ。
「わたしのワクワクを返せーっ!!!」
「……盛り上がってきましたし、行きますか」
そんなこんなでモータルは皆を振り返り出発を促した。
●
深い森の広場に、満月間近の月が高い。
その静寂の遠くから、どしん……という音が響いた。
「来たか」
アルトが試作振動刀「オートMURAMASA」の柄に手を掛け隠れた幹にぐっと身を寄せた。
「アムちゃん、私たちは支援なんだから無理しちゃだめだよ」
「分かったわ」
別の場所では詩は詩がアムとともに横に移動。
――ずしん、どしん……。
「トレジャーハントでなくてすいません」
「ま、乗りかかった船じゃな」
謝るモータルはディヤーと潜伏して様子をうかがっている。
「ま、何はともあれゴーレム倒さなきゃ始まらねーんだろ?」
その近くにいるジャック、ジャラジャラとハンマーを確認しつつ目を細める。
「ん、中を探すにしても巨人をなんとかしないと、ですね…。前回は倒す気はなかったですが…今回は全力で対応しないとですね…」
呟くサクラは左手のシールド「ゴッデス」ではなく霊槍「グングニル」を握る右手の感触を何度も確認している。明らかにやる気だ。
そして少し後ろでは両刃のギガースアックスが青い月明かりを冷たく跳ねていた。
ゾファルである。
「そうそう。まっすぐこっちに来るじゃーん」
にたぁ、と笑顔を浮かべ重装馬にまたがっている。
さらにその前方。
「ワクワク、しっかり返してもらうぞ?」
巫女装束の合わせからすっと陰陽護符の束を取り出したフルルカも迎撃準備完了。
「それにしても分からないことだらけ……」
そう呟いたのは、ツィスカ。
隠れる大樹の月影の中、面を伏せている。
前回から聞き込みを中心に活躍したが、何も明るみに出ていない。
――どしん、ずしん……。
近寄る足音はどんどん大きくなり、今では至近の地響きが伝わって来る。
アルトが潜伏場所で腰をぐっと落とす。
最後方のゾファルがそっと馬の首筋を撫でて鎮めた。
そして、ツィスカが大樹の影から出て来る。
「我々の知らない技術や知識が使われているかもしれません、それらを拝見させて貰いましょうか」
青い月明かりの下、白い面を上げる。青い瞳が見開かれる。
――どしん!
ツィスカの言葉と同時に、背の高い木々の間から伝説の巨人が姿を現したッ!
「巨人を破壊します。……そして、すべての解明を」
ライフル「ペネトレイトC26」を構えるツィスカ。
戦闘開始だ。
まず詩が潜伏場所から走って出た。
♪
眠れ、眠れ 荒ぶる神よ
遠い伝説がお前の寝床……
♪
「詩っ!」
詩、何かを歌い上げた。アムが続き詩の手を引いて逃げて行く。
巨人、この動きに反応したッ!
――スタァン!
この時、巨人が振り向いた反対側から銃声。
「あれはたしか『レクイエム』……歪虚ではないから行動阻害にはならないようね」
ツィスだ。巨人に二人を追わせまいとライフル発射。
「そして相変わらず堅いこと」
言いつつボルトアクションで次弾装填し、隠れる。
巨人、今度はそちらを見た。
これまでの動きは、右、左。
その正面に誰かが突っ込むッ!
「おらおら楽しませてくれよじゃーん」
ゾファルだ。
真正面最後方から人馬一体で助走十分。一気に巨人の視野の外から弾丸のように真正面に突っ込んできた。振り上げるは、嬉々として研いで持ってきた巨大な斧!
――ガツッ!
敵の左に抜けつつ左膝頭にぶち込んだ!
「こういうでかぶつとやりあってみたかったじゃーん」
駆け抜け振り向くゾファル。敵、崩れていない。
敵はゾファルを追うように振り向こうとしている。ついでにぶん殴る気だろう、遠心力をつけて腕を振り上げている。
が、ゾファルがあざ笑っているのはそこである。
時は少しだけ遡る。
「ひゅう、リアルブルーの鉄巨人と喧嘩させりゃ面白そうだな」
ツィスカの銃撃を受けた巨人を見上げ、ジャックが口笛を吹いていた。
その横をゾファルが馬で駆けあがっていく。
「……よし」
「行くのか? ならば風の陣じゃ。そう簡単に当たるまい」
「サンキュー」
続こうと腰を上げたジャックにディヤーがウィンドガスト。
「ん、今のうちに前衛の陣を築いておきます。ゾファルさんとの挟撃にします」
サクラも腰を浮かせた。
「支援は任せるのだ」
同時にフルルカ、サクラの後ろに立つ。
「今日のそなたらのラッキースキルは【禹歩】だ。軽い足取りで戦闘が捗る事間違いなしだ」
ぴらりと護符二枚を散らし、占い結果で祝福する。
これら支援を受けたジャックとサクラが正面主力としてゾファルについて突撃した。
そして、巨人がゾファルに振り向いた!
「うってつけな良いモンを持ってきたんだ、ご期待あれだ!」
巨人の背後からそんな声が響くと……。
――ガツッ!
振りかぶっていた巨人の腕が弾かれたように跳ね上げられた。
「ジェットハンマー狙い撃ちっ、てね」
ジャックが自動推進式の鉄球を敵の肘にぶち当てていたのだ!
それだけではない。
「ん、今ならいけますね…。フォースクラッシュ…くらってください…!」
足元お留守、とばかりにサクラが非常に低い体勢でグンニグルで突撃。片方のひざ裏に痛烈な一撃を加えた。
そして右側の奥からも!
「『死んだ存在』とは見做されないみたいだね。それならこっちがあるけど」
詩の魔導銃「サラマンダー」が火を噴いた。
狙いはサクラの狙った側の足首だ。
「ここが勝負所でしょう」
逆サイドではツィスカがライフルを放り投げ、隠れた木々から出てきた。
魔導拳銃「ベンティスカ」に換装し、ダイブしながら詩の狙った足首へと攻撃を集中させた。
これで右足の重心バランスは崩れた。
が、敵は腕を広げてこれを利用する動きを見せる。
「コマ? ……でも、これで終わりじゃん」
それでもゾファルは逃げない。
なぜならッ!
「コマであれば軸を崩せばいい」
ぶっきらぼうな言葉は、アルト。
彼女が風となり後背から一気に敵の残した左足に襲い掛かっていた!
「……蓮華」
しかも試作振動刀で狙ったのは、一太刀めで左ひざ裏。返す刀で左足首を狙う重心崩しだっ。
●
「終わったのじゃ」
後衛で仲間の連続攻撃を見守っていたディヤーがふふんと鼻息。
「それより巨人の周囲に蝙蝠はいるのか?」
フルルカも討伐後の行動に移っている。
二人の前では、巨人が万歳しついにバランスを崩して倒れようとしていた。
「たーおーれーるーぞー」
突っ込んで左足に止めを食らわせたゾファルの声が響く。
――ずずぅん……。
「あとは砕くだけだな」
「油断するつもりはありませんが…」
横倒しになった敵にジャックとサクラが殺到した、その時。
――ごろ…ごろごろごろっ!
足を中心にした円を描くように巨人が転がったではないか!
「まさかです…」
盾を掲げジャックをかばうように前に出たサクラだが当然受け切れるはずはなく二人とも吹っ飛ばされる。
さらに転がる敵。
「くっ」
「ひでえじゃん」
アルト、逃げが間に合わず弾かれゾファルは巨斧の腹で受け流そうとしてやはり吹っ飛ばされた。
「やっぱり遠距離のほうがいいのかな?」
「でも誰かが前にいないと突撃してくるじゃない」
詩とアムが援護射撃。
「ツィスカさん!」
「大丈夫。誰かが近くで足止めを」
ライフルを拾ってツィスカに渡しに行くモータルをツィスカ自身が拒んだ。そして手短にあった機械、射撃戦闘補正装置を媒介に機導砲どーん!
派手な攻撃。
味方に今一番必要な時間的余裕を作る。
ここでフルルカが動いた。
潜伏場所から身を晒し護符を一枚掲げた。
「運気の低い者は、鳥の意匠のアイテムを持ち歩くと【瑞鳥符】の加護があるぞ」
光り輝く鳥をフルルカに飛ばした。
回りつつ身を起こしていた巨人は、機導砲を食らってぐらついたがすぐにツィスカに殴りかかっていたのだ。
その拳の軌道に瑞鳥符が入った。
殴られて光が散る。
「どうだ、有難いだろ?」
「……むしろ当たったではないか」
得意げにディヤーを振り返るのだが、パンチの威力は弱まったもののむしろそれで逃げるツィスカの動きに合わせることができてヒットしていたり。
「しかもこっちに来ておる!」
「ええい。ディヤー、なんとかせい」
「……どちらが土のマナに愛されておるかのう?」
ディヤー、アースウォール発動。
「そんなもので止められるか」
「だから逃げるのじゃ!」
――グバッ!
巨人の突進は当然アースウォールを粉々にする。
が、壁をブラインドにディヤーとフルルカは横に脱出していた。
その横を、またもゾファルが馬とともに巨人を追い攻撃。
が、巨人は今度は詩のいる方面めがけて突進。さらに追っていくゾファルというパターンが繰り返される。
「被害、増えたきたでしょうか…。集まってください…」
やがてサクラの声が響く。
「回復だね。私もやるよ」
詩も効果的にヒーリングスフィアを使うため寄って来た。敵はついに正対したゾファルとガチンコタイマンをしている。……たった今、敵の左腕と斧との壮絶な相討ちで派手に吹っ飛ばされたが。一方で敵の左腕はこれで粉砕。
「狙われないようにしないとですけど…」
「面倒だ。狙われようぜ?」
状況を見たサクラの言葉にジャックが提案。機動力を生かしたゾファルのようにいちいち追えないのだ。
「試したいことがある」
回復が終わるとアルトも寄って来た。
「運動強化で援護します」
ツィスカも皆の背後に付いた。
そして敵、突っ込んでくる!
まずはアルトが突っ込んだ。ツィスカの援護で身が軽い。
「こちらも最高速ですれ違う!」
カウンターの居合い気味の攻撃で敵の右ひざ裏を打つ。
しかし、くっ、と舌打ち。
「……私はいずれ全てを切り裂く」
岩だろうが鉄だろうが龍の鱗だろうがゴーレムの硬い身体といえども、な……という言葉は飲み込み崩れる。敵の後ろ手が背中に当たっていたのだ。
その、敵の足元。
「ん、今ならいけますね…。フォースクラッシュ…くらってください…!」
前に出たサクラ、渾身の一撃で敵の右足首を突く。
これで敵はバランスを崩した。サクラは直後に敵の膝蹴りを食らうが。
「ドタマかち割ってやらぁ!」
前傾姿勢となった敵に、ジャック。渾身撃で振り下ろしつつ、ハンマーが激しくジェット噴射!
――がきぃ…ん。
「おわっ!」
右腕との壮絶な相討ちの結果……。
敵は倒れた。
頭部が転がり右足が動かなくなっている。
――ぐぐっ……。
しかし、左足と右腕で身を起こそうと四つ這いになった。
その、無くなった頭部付近の胴体の奥に何かが光っていた。
「そこです」
「とにかく撃つよ!」
ツィスカと詩の射撃で、その何かは砕けた。
瞬間、ゴーレムは大地に崩れ二度と動かなくなるのだった。
●
「コアか……惜しいな」
戦い終わって、アルトが最後に砕けた破片を手にしていた。やがてそれは消え失せるのだが。
「逃げてばっかだったじゃん」
近くではゾファルがだらんと座って空を見上げている。突撃主体の敵が気に食わなかったらしい。
そして、巨人が出た後の岩壁では。
今回も洞窟の入り口があった。
「ようこそ」
アムたちが奥の寝室まで行くと黒マントの男が待っていた。
「巨人は我を守る封印。長い年月で逆に門番代わりにしていたが……封印は破られた。契約の女との約束もこれで終わりだ。楽しみにしているがいい」
一方的にそれだけ言うと男は数多くの蝙蝠になり、天井方面に飛んで行った。
「やっぱり吸血鬼だね」
見上げる詩。
「出口があるのか?」
「……式符では不明じゃが小さい蝙蝠用の穴でもあるかの?」
ディヤーも見上げている。フルルカは術を使い類推。
「契約の女について調べたいですね」
「下で拾ったこれ……割と良い品、だと思うぜ。村人って感じじゃねえ」
考え込むツィスカに、目利きして持ってきた家紋入りの留め具を見せるジャック。
「敵対関係は確定的ですね……ふぅ」
サクラはため息をつきつつ、倒さねばとの思いを抱くのだった。
「よう」
アムたちが鉱山街の自警団控室を出ると、樽に腰掛けたジャック・エルギン(ka1522)が声を掛けてきた。
「狼といいゴーレムといい物騒な場所だが、ここは大丈夫なのか?」
よっ、と樽から下りながら聞いてくる。
「大丈夫じゃないから自警団なんて組んだんでしょ? 大丈夫じゃなくてもそれなりの見返りがあれがいいんだけど」
アム、ジャックに言ったあと採掘責任者のハミルを見た。
「質の悪い鉄鉱石しかまだ出てないですね」
どうも芳しくないらしい。
「おいおい、本当に大丈夫かよ」
ジャック、さすがに眉の根を寄せる。
そんな彼らと離れた場所で声が響く。
「なんぞ、怖い話は知らぬか? できれば、若い女性を攫う吸血鬼の話なんかがよいのう」
ディヤー・A・バトロス(ka5743)が作業員を見れば声を掛けて情報収集中。
「ここはよそから集められた人ばかりです。距離は遠いですがふもとの村で前回聞き込みをしたのですが……」
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は残念そうに言う。
前回調査しても、それに纏わる事は分からず終い。彼女の見立て通り、鉱山街で古い情報は期待できない。
「何、巨人は無理でも飛び回る蝙蝠の噂もあるでな」
ディヤー、笑顔でツィスカを振り返る。
「ええい、巨人も蝙蝠もどうでもいい!」
ここでフルルカ(ka5839)が、どかーん。
「そこな小僧に誘われて来てみたら、ただの討伐依頼だと? ええいディヤー、そなた『トレジャーハント』と言ったではないか!」
つかつかとディヤーに詰め寄るとディヤーを指差す。ついでに額を指先でつんつん、あぅあぅ。
そんな騒動には構わずほかの仲間は。
「ん、でも、どうして禁足地になっているのかとかは……」
「現地の人が祟り神と認識したからでしょうか?」
サクラ・エルフリード(ka2598)はゴーレムだけではなく、全体的な流れが気になるよう。これにはツィスカも同意で小さく頷く。
「行方不明者の確認なんてもの重要だけど、どう?」
天竜寺 詩(ka0396)がハミルに聞く。
「さすがにないですね」
ハミルがきっぱり。
「それは良かった。……前回洞窟で発見した骨や寝床の事は気になるけど、それを調べる為にもきっちりゴーレムは倒しちゃわないとね」
詩が頷いた時だった。
「それだ」
朱の旗袍に赤い短髪のアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が立ち上がった。
「まずはゴーレム」
赤い瞳は倒す気満々だ。
「お? やっちゃうじゃーん?」
だらん、と座っていたゾファル・G・初火(ka4407)も生き生きと立ち上がる。
それはそれとして、ディヤーとフルルカ。
額を指先でつんつんされていたディヤーが指の圧力に負けず言い返す。
「たしかあの時、『それじゃあちゃんと』と言ったはずなのじゃ!」
フルルカ、固まった。
そして叫ぶ。
「わたしのワクワクを返せーっ!!!」
「……盛り上がってきましたし、行きますか」
そんなこんなでモータルは皆を振り返り出発を促した。
●
深い森の広場に、満月間近の月が高い。
その静寂の遠くから、どしん……という音が響いた。
「来たか」
アルトが試作振動刀「オートMURAMASA」の柄に手を掛け隠れた幹にぐっと身を寄せた。
「アムちゃん、私たちは支援なんだから無理しちゃだめだよ」
「分かったわ」
別の場所では詩は詩がアムとともに横に移動。
――ずしん、どしん……。
「トレジャーハントでなくてすいません」
「ま、乗りかかった船じゃな」
謝るモータルはディヤーと潜伏して様子をうかがっている。
「ま、何はともあれゴーレム倒さなきゃ始まらねーんだろ?」
その近くにいるジャック、ジャラジャラとハンマーを確認しつつ目を細める。
「ん、中を探すにしても巨人をなんとかしないと、ですね…。前回は倒す気はなかったですが…今回は全力で対応しないとですね…」
呟くサクラは左手のシールド「ゴッデス」ではなく霊槍「グングニル」を握る右手の感触を何度も確認している。明らかにやる気だ。
そして少し後ろでは両刃のギガースアックスが青い月明かりを冷たく跳ねていた。
ゾファルである。
「そうそう。まっすぐこっちに来るじゃーん」
にたぁ、と笑顔を浮かべ重装馬にまたがっている。
さらにその前方。
「ワクワク、しっかり返してもらうぞ?」
巫女装束の合わせからすっと陰陽護符の束を取り出したフルルカも迎撃準備完了。
「それにしても分からないことだらけ……」
そう呟いたのは、ツィスカ。
隠れる大樹の月影の中、面を伏せている。
前回から聞き込みを中心に活躍したが、何も明るみに出ていない。
――どしん、ずしん……。
近寄る足音はどんどん大きくなり、今では至近の地響きが伝わって来る。
アルトが潜伏場所で腰をぐっと落とす。
最後方のゾファルがそっと馬の首筋を撫でて鎮めた。
そして、ツィスカが大樹の影から出て来る。
「我々の知らない技術や知識が使われているかもしれません、それらを拝見させて貰いましょうか」
青い月明かりの下、白い面を上げる。青い瞳が見開かれる。
――どしん!
ツィスカの言葉と同時に、背の高い木々の間から伝説の巨人が姿を現したッ!
「巨人を破壊します。……そして、すべての解明を」
ライフル「ペネトレイトC26」を構えるツィスカ。
戦闘開始だ。
まず詩が潜伏場所から走って出た。
♪
眠れ、眠れ 荒ぶる神よ
遠い伝説がお前の寝床……
♪
「詩っ!」
詩、何かを歌い上げた。アムが続き詩の手を引いて逃げて行く。
巨人、この動きに反応したッ!
――スタァン!
この時、巨人が振り向いた反対側から銃声。
「あれはたしか『レクイエム』……歪虚ではないから行動阻害にはならないようね」
ツィスだ。巨人に二人を追わせまいとライフル発射。
「そして相変わらず堅いこと」
言いつつボルトアクションで次弾装填し、隠れる。
巨人、今度はそちらを見た。
これまでの動きは、右、左。
その正面に誰かが突っ込むッ!
「おらおら楽しませてくれよじゃーん」
ゾファルだ。
真正面最後方から人馬一体で助走十分。一気に巨人の視野の外から弾丸のように真正面に突っ込んできた。振り上げるは、嬉々として研いで持ってきた巨大な斧!
――ガツッ!
敵の左に抜けつつ左膝頭にぶち込んだ!
「こういうでかぶつとやりあってみたかったじゃーん」
駆け抜け振り向くゾファル。敵、崩れていない。
敵はゾファルを追うように振り向こうとしている。ついでにぶん殴る気だろう、遠心力をつけて腕を振り上げている。
が、ゾファルがあざ笑っているのはそこである。
時は少しだけ遡る。
「ひゅう、リアルブルーの鉄巨人と喧嘩させりゃ面白そうだな」
ツィスカの銃撃を受けた巨人を見上げ、ジャックが口笛を吹いていた。
その横をゾファルが馬で駆けあがっていく。
「……よし」
「行くのか? ならば風の陣じゃ。そう簡単に当たるまい」
「サンキュー」
続こうと腰を上げたジャックにディヤーがウィンドガスト。
「ん、今のうちに前衛の陣を築いておきます。ゾファルさんとの挟撃にします」
サクラも腰を浮かせた。
「支援は任せるのだ」
同時にフルルカ、サクラの後ろに立つ。
「今日のそなたらのラッキースキルは【禹歩】だ。軽い足取りで戦闘が捗る事間違いなしだ」
ぴらりと護符二枚を散らし、占い結果で祝福する。
これら支援を受けたジャックとサクラが正面主力としてゾファルについて突撃した。
そして、巨人がゾファルに振り向いた!
「うってつけな良いモンを持ってきたんだ、ご期待あれだ!」
巨人の背後からそんな声が響くと……。
――ガツッ!
振りかぶっていた巨人の腕が弾かれたように跳ね上げられた。
「ジェットハンマー狙い撃ちっ、てね」
ジャックが自動推進式の鉄球を敵の肘にぶち当てていたのだ!
それだけではない。
「ん、今ならいけますね…。フォースクラッシュ…くらってください…!」
足元お留守、とばかりにサクラが非常に低い体勢でグンニグルで突撃。片方のひざ裏に痛烈な一撃を加えた。
そして右側の奥からも!
「『死んだ存在』とは見做されないみたいだね。それならこっちがあるけど」
詩の魔導銃「サラマンダー」が火を噴いた。
狙いはサクラの狙った側の足首だ。
「ここが勝負所でしょう」
逆サイドではツィスカがライフルを放り投げ、隠れた木々から出てきた。
魔導拳銃「ベンティスカ」に換装し、ダイブしながら詩の狙った足首へと攻撃を集中させた。
これで右足の重心バランスは崩れた。
が、敵は腕を広げてこれを利用する動きを見せる。
「コマ? ……でも、これで終わりじゃん」
それでもゾファルは逃げない。
なぜならッ!
「コマであれば軸を崩せばいい」
ぶっきらぼうな言葉は、アルト。
彼女が風となり後背から一気に敵の残した左足に襲い掛かっていた!
「……蓮華」
しかも試作振動刀で狙ったのは、一太刀めで左ひざ裏。返す刀で左足首を狙う重心崩しだっ。
●
「終わったのじゃ」
後衛で仲間の連続攻撃を見守っていたディヤーがふふんと鼻息。
「それより巨人の周囲に蝙蝠はいるのか?」
フルルカも討伐後の行動に移っている。
二人の前では、巨人が万歳しついにバランスを崩して倒れようとしていた。
「たーおーれーるーぞー」
突っ込んで左足に止めを食らわせたゾファルの声が響く。
――ずずぅん……。
「あとは砕くだけだな」
「油断するつもりはありませんが…」
横倒しになった敵にジャックとサクラが殺到した、その時。
――ごろ…ごろごろごろっ!
足を中心にした円を描くように巨人が転がったではないか!
「まさかです…」
盾を掲げジャックをかばうように前に出たサクラだが当然受け切れるはずはなく二人とも吹っ飛ばされる。
さらに転がる敵。
「くっ」
「ひでえじゃん」
アルト、逃げが間に合わず弾かれゾファルは巨斧の腹で受け流そうとしてやはり吹っ飛ばされた。
「やっぱり遠距離のほうがいいのかな?」
「でも誰かが前にいないと突撃してくるじゃない」
詩とアムが援護射撃。
「ツィスカさん!」
「大丈夫。誰かが近くで足止めを」
ライフルを拾ってツィスカに渡しに行くモータルをツィスカ自身が拒んだ。そして手短にあった機械、射撃戦闘補正装置を媒介に機導砲どーん!
派手な攻撃。
味方に今一番必要な時間的余裕を作る。
ここでフルルカが動いた。
潜伏場所から身を晒し護符を一枚掲げた。
「運気の低い者は、鳥の意匠のアイテムを持ち歩くと【瑞鳥符】の加護があるぞ」
光り輝く鳥をフルルカに飛ばした。
回りつつ身を起こしていた巨人は、機導砲を食らってぐらついたがすぐにツィスカに殴りかかっていたのだ。
その拳の軌道に瑞鳥符が入った。
殴られて光が散る。
「どうだ、有難いだろ?」
「……むしろ当たったではないか」
得意げにディヤーを振り返るのだが、パンチの威力は弱まったもののむしろそれで逃げるツィスカの動きに合わせることができてヒットしていたり。
「しかもこっちに来ておる!」
「ええい。ディヤー、なんとかせい」
「……どちらが土のマナに愛されておるかのう?」
ディヤー、アースウォール発動。
「そんなもので止められるか」
「だから逃げるのじゃ!」
――グバッ!
巨人の突進は当然アースウォールを粉々にする。
が、壁をブラインドにディヤーとフルルカは横に脱出していた。
その横を、またもゾファルが馬とともに巨人を追い攻撃。
が、巨人は今度は詩のいる方面めがけて突進。さらに追っていくゾファルというパターンが繰り返される。
「被害、増えたきたでしょうか…。集まってください…」
やがてサクラの声が響く。
「回復だね。私もやるよ」
詩も効果的にヒーリングスフィアを使うため寄って来た。敵はついに正対したゾファルとガチンコタイマンをしている。……たった今、敵の左腕と斧との壮絶な相討ちで派手に吹っ飛ばされたが。一方で敵の左腕はこれで粉砕。
「狙われないようにしないとですけど…」
「面倒だ。狙われようぜ?」
状況を見たサクラの言葉にジャックが提案。機動力を生かしたゾファルのようにいちいち追えないのだ。
「試したいことがある」
回復が終わるとアルトも寄って来た。
「運動強化で援護します」
ツィスカも皆の背後に付いた。
そして敵、突っ込んでくる!
まずはアルトが突っ込んだ。ツィスカの援護で身が軽い。
「こちらも最高速ですれ違う!」
カウンターの居合い気味の攻撃で敵の右ひざ裏を打つ。
しかし、くっ、と舌打ち。
「……私はいずれ全てを切り裂く」
岩だろうが鉄だろうが龍の鱗だろうがゴーレムの硬い身体といえども、な……という言葉は飲み込み崩れる。敵の後ろ手が背中に当たっていたのだ。
その、敵の足元。
「ん、今ならいけますね…。フォースクラッシュ…くらってください…!」
前に出たサクラ、渾身の一撃で敵の右足首を突く。
これで敵はバランスを崩した。サクラは直後に敵の膝蹴りを食らうが。
「ドタマかち割ってやらぁ!」
前傾姿勢となった敵に、ジャック。渾身撃で振り下ろしつつ、ハンマーが激しくジェット噴射!
――がきぃ…ん。
「おわっ!」
右腕との壮絶な相討ちの結果……。
敵は倒れた。
頭部が転がり右足が動かなくなっている。
――ぐぐっ……。
しかし、左足と右腕で身を起こそうと四つ這いになった。
その、無くなった頭部付近の胴体の奥に何かが光っていた。
「そこです」
「とにかく撃つよ!」
ツィスカと詩の射撃で、その何かは砕けた。
瞬間、ゴーレムは大地に崩れ二度と動かなくなるのだった。
●
「コアか……惜しいな」
戦い終わって、アルトが最後に砕けた破片を手にしていた。やがてそれは消え失せるのだが。
「逃げてばっかだったじゃん」
近くではゾファルがだらんと座って空を見上げている。突撃主体の敵が気に食わなかったらしい。
そして、巨人が出た後の岩壁では。
今回も洞窟の入り口があった。
「ようこそ」
アムたちが奥の寝室まで行くと黒マントの男が待っていた。
「巨人は我を守る封印。長い年月で逆に門番代わりにしていたが……封印は破られた。契約の女との約束もこれで終わりだ。楽しみにしているがいい」
一方的にそれだけ言うと男は数多くの蝙蝠になり、天井方面に飛んで行った。
「やっぱり吸血鬼だね」
見上げる詩。
「出口があるのか?」
「……式符では不明じゃが小さい蝙蝠用の穴でもあるかの?」
ディヤーも見上げている。フルルカは術を使い類推。
「契約の女について調べたいですね」
「下で拾ったこれ……割と良い品、だと思うぜ。村人って感じじゃねえ」
考え込むツィスカに、目利きして持ってきた家紋入りの留め具を見せるジャック。
「敵対関係は確定的ですね……ふぅ」
サクラはため息をつきつつ、倒さねばとの思いを抱くのだった。
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さて作戦相談と、その次じゃな ディヤー・A・バトロス(ka5743) 人間(クリムゾンウェスト)|11才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/01/25 20:55:25 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/20 23:35:38 |