ダイエットの流行

マスター:葉槻

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
4日
締切
2016/01/27 09:00
完成日
2016/02/04 18:56

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 時は12月上旬に遡る。

 世間は年末特有の忙しなさを徐々に現し始め、ハンター達が出入りするような街ではリアルブルーより持ち込まれた『クリスマスと』呼ばれる祭事の準備が慌ただしく進められていた。
 そんなどこか浮き足だったような、色づいた町の中を一台の馬車が走り抜ける。
 馬車は町を抜け、穂を刈り取られた小麦畑の横を抜け、川を渡り……そしてついに目的地である村へと辿り着くと『白亜宮』と呼ばれる屋敷の前でその脚を止めた。

「ふふふ、無理を言って申し訳ないわね、フラット」
 鈴を転がしたように笑う旧知の老婦人――カサンドラを前にして、フランツは苦笑を禁じ得ない。
「まさかこんなに早く再度お呼びがかかるとは思いませんでした」
 白亜宮での音楽会がハンター達の協力により盛況のうちに終わり、それから3日。
 早馬で『至急来られたし』と言われれば、何かあったのかと自領に着いて休む間もなくとんぼ返りして来たフランツだったが、何のことはない、再度『お願い事』が出来ただけだと言われて、怒りよりもほっとしたのが半分、呆れたのが半分というのが今の心情だった。
「それこそ、早馬に内容の書面を持たせてくれれば」
 侍女が入れてくれた紅茶で唇を湿らせつつ、フランツがぼやけば、カサンドラは「だって」と少し頬を膨らませた。
「それじゃ詳細を伝えられないじゃない。それにうっかり、誰かに読まれたりしたら困ってしまうでしょう?」
「……そんな秘密の話なのですか? まぁここの人々は優秀ですからなぁ」
 この村の30代以下の者達は、領主であったカサンドラの夫の方針で、ほぼ9割以上の者が簡単な読み書きと計算は出来るよう教育がされていた。
「そういうわけでもないのだけれど……いやねぇ、あなたの領地のみなさんほどではないわ」
 謙遜ではなく、事実の一つとしてカサンドラが首を横に振る。

 『最低限の文化的生活を民に伝える』――これは、フランツの治める領地の先々代領主の頃より掲げられた自治目標の一つであった。
 そしてそれは冬は雪に閉ざされる僻地であるからこそ、『読書』『室内ゲーム』を推奨することにより徐々に人々の間に受け入れられ、現在は領民全体の9割が読み書き可能になっている。
 カサンドラの夫はこれを参考に教育改革を行ったにすぎない。

「……話が逸れてしまったね。で、今度の『お願い』は何だろうか?」
「ねぇ、フラット。『ダイエット』ってご存じ?」
「……はぁ。あの、痩せたいと食事を制限したり、運動をしたりする、あの?」
 フランツが首を傾げつつ答えると、「そうそう」と嬉しそうにカサンドラが笑った。
「今ね、帝都バルトアンデルスで若いお嬢さん達を中心にダイエットが流行っているのですって。しかも、『これさえあれば? すれば? 運動は不要』というのよ。ちょっとどういうものなのか調べてくれないかしら?」
「……はぁ」
 フランツは気の抜けたエールを飲んだ時のような微妙な表情でカサンドラに返事をする。
 そんなフランツの気配に気づいたのか、カサンドラがぐいっと身を乗り出して一気にまくし立てた。
「運動でないとしたら何なのかしら? 食事なのだとしたら、どんなものを食べているのかしら? ハーブを使っているのだとしたらうちでも栽培出来ないかしら? 薬的なものなのかしら? だとしたらその調合を知りたいわ。それとも制限的な方なのかしら? それならその制限内容を知りたいの。ねぇ、フラット、お願い。調べてきてちょうだいな」
「わかった、わかったから、危ないよ、キャス。ティーカップに当たりそうだ」
 主人のただならぬ様子に、傍らに控える大型犬が顔を上げてカサンドラを見つめたが、問題はなさそうだと判断したのか再び顔を伏せる。
 ダイエットと言えば、女子ならば皆一度は考えるものと聞いていたが、カサンドラの場合はそれが村の発展に直結しているらしいことに気づいて、フランツは思わず頬をゆるませた。
「本当に、君は昔から変わらないね」
「あら、フラットもそんなに変わっていないわよ。押しに弱いところとか」
 コロコロと笑うカサンドラに、フランツは気づかれないように眉間にしわを寄せ、瞳を伏せる。
「……それならよいのだけれどね」
「えぇ、わたくし、昔から人を見る目には自信があるのよ。……今は盲目のおばあちゃんですけれどね」
 自ら盲いた目を指さしつつ、ふふふとカサンドラは笑う。
 それをフランツはまぶしそうに見つめ、微笑むと薫り高い紅茶に口を付けた。

●ハンターオフィスにて
『バルトアンデルス内で流行しているダイエットについての調査依頼』
 そう書かれた依頼書がオフィスの壁に貼られた。

 この数日後にはこの場が戦場になるとは誰もまだ知らない帝都。
 ただただ冷たい風だけが、人々の服の襟をしっかりと閉ざさせていた。

リプレイ本文

●大衆食堂の一角にて
 20時。
「あ、もうみんな集まってました。遅くなってすみません」
 マリル(メリル)(ka3294)は隅のテーブルに4人の姿を見つけると駆け寄った。
 マリルが予想した通り、ここはハンターや旅行客に人気の大衆食堂である為、見るからに未成年の集団である5人がこの時間に出入りすることを咎める者はいない。
「いえ、私も先ほど着いたところです」
 ソナ(ka1352)が穏やかに告げると、エリオ・アスコリ(ka5928)がブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812)が席を押さえていてくれたのだとマリルに教えた。
 カウンターからやや離れたこの席は、店内の騒がしさのわりには一つ奥まった位置にある為か比較的静かだった。
「とりあえず、マリルさん何頼みますか? 食べながら報告にしましょ!」
 ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)がメニューを広げ、手を上げて定員を呼ぶ。
 メニュー表には簡単な料理のイラストと名前が記されている。マリルはこれを見て思わず眉間にしわを寄せた。
「……どうかしたんですか?」
 ブリュンヒルデが険しい表情のマリルに声を掛けると、『メリル』はぱっと顔を上げ、にっこりと笑った。
「お腹ぺこぺこだから、どれにしようかなーって。 ……流石に全部は無理だよねー? あーでもピザとパスタも気になるー!」
 メシマズと名高い帝国領ではあるが、流石帝都、というべきか。この店はよくハンターに物資の輸送を依頼している面もあって、同盟領やリアルブルー名物などが揃っていると評判の店だった。その分、お値段も張るのだが、今回の飲食代は全てフランツ持ちだと聞いたマリルの提案により、ここで夕食がてら報告をしようということになったのだった。
「うーん、噂通り『生食文化』が随分入り込んでいるみたいですね」
 メニューを見てルンルンが呟くと、ソナが「何です? それ」首を傾げた。
「んー、この『寿司』とか『新鮮生肝の刺身』とか。ヘルシー……なのかな?」
「あ、僕ポークソテーセットとソーダ水」
「今、自分の分だけしれっと頼みましたね……」
 最初からメニューを決めていたエリオに、ブリュンヒルデが呆れとも感心とも取れる微妙な表情で笑った。
 そんなワイワイと賑やかになった中、マリルは再び黙り込んだ。
 比較的識字率の高い帝都内、田舎と違って情報が多く飛び交い、流行り廃りも早い。
 自分の掴んだ情報だけでは、コレという確証を持てるモノが得られなかった為か、漠然とした不安がどうしてもぬぐい去れない。
『気にしすぎだよー。とりあえず、今はご飯ご飯♪』
 メリルの言葉に、マリルはそっと目を閉じて「そうね」と頷くと、今度こそメニュー表と真剣に向かい合った。

●ブリュンヒルデの場合
 7時。
 ブリュンヒルデは朝市が行われる広場にいた。
 そこで大量の香辛料と茶葉を取り扱っている露天に足を運んだのだが、これが非常に妖しい雰囲気を醸し出した店だった。
「ここ最近、急激に流通が高まった……もしくは高値や大口取引されるようになったハーブやお茶などご存じですか?」
 そう問うと、指差されたのは真っ赤な唐辛子の山。
 確かに、唐辛子に含まれている成分が発汗を促すという事で、話題になった事があった。
 また、冬は暖かなスープや鍋物が好まれる傾向にあるので、そこで欲しがる人も増えるのだろう。
 話しを聞いてみると、彼女はリアルブルー出身で、その妖しい雰囲気を醸し出している衣装は彼女の生まれ育った所の正装だという。
 ブリュンヒルデはお礼を告げると屋台を後にした。

 その後、午後もいくつかの薬剤店やカフェ、雑貨店を見て回ったが、一般的に『ダイエットティ』と呼ばれているブレンドティには自分が知っている茶葉の配合とさして大差がない、ということが分かっただけだった。
 ただ、その中でダイエットティとセットになっている食品に『ダイエットクッキー』と称されるクッキーがあった。
 しかも、クッキーの袋の周囲には『新発売』『今1番売れてます』『小腹が空いたら!』等の文字が躍っている。
「あの、これは?」
 入ったカフェで店員に問うと、店員はにこにこと説明してくれた。
「特別な調理法で作ったクッキーなんです。ちょっとぱさぱさとした口当たりなので、しっとり系が好きな方には違和感があるかもしれませんが、これ、胃の中で水分を吸って膨らむので、2~3個食べるだけで空腹感が紛れるんです。しかも、食物繊維が豊富なので、便秘にもいいんですよ……これに、この紅茶を合わせると、最強ですよ!」
 声を潜めた店員に薦められて、ちょうど小腹も空いていたブリュンヒルデは注文してみることにした。
 食べてみると確かに、少し固めで、ぱさぱさしている……が、味は悪くない。
 紅茶と合わせて食べると、口の中で砕けたクッキーがその水分を吸っていくような気もする。
 事実、5つ食べて暫く経つと、ブリュンヒルデの小腹は満たされていた。
「これは、中々凄いですね……!」
 ブリュンヒルデはクッキーを購入すると、再び帝都の探索へと出掛けていった。

●ルンルンの場合
 10時。
 大通りの一角に小さなテントを張ると、ルンルンは『ルンルン忍法花占い』と看板を掲げた。
 女性が興味を引きやすいように生花をあしらい、『今ならお値打ち!』というコメントも書き加える。
 1時間ほどして現れた最初の客はハンターの女性だった。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法花占い! 花弁飛ばせばぴたりと当たる」
 占うついでに事情を話すと、彼女も最近帝国に来たばかりで分からないと言う。
「でも、同じ依頼を担当している人が何か知っているかも。聞いてみるね」
 そう言って彼女は去って行った。

 その後もぽつりぽつりとお客は来たが、成果は上がらず。
「うーん、困りました……」
 恋愛の花占いを終えた女性の後ろ姿を見送ると、ルンルンはぺしょりと机につっぷした。
「ルンルンさん」
 声を掛けられ顔を上げると、最初の客だったハンターの女性が立っていた。
「遅くなって済みません。仲間にこの辺りに住まいを持っている人が居たので、最近街の様子で変わったことがないかを聞いてきました」
「わぁ、わざわざありがとう!」
 ルンルンは自分の幸運に感謝しつつ、女性を招き入れると『只今占い中』の看板を掛けてテントの入口を閉めた。
「んー……ダイエットと関係があるかどうかは分からないんですが……」
「いいんです、些細な事でも!」
 縋る思いで彼女の発言を待った。
「最近、街の飲食店で生肉を扱う店が増えた気がするって言ってました」
「生肉?」
「えぇ、基本的に帝国の人達は火を通した食事を好むんですけど、肉屋だけじゃなくて、飲食店でも……えぇっと、なんだっけ……『レバサシ』? とか『ユッケ』? とか、中まで火が通っていないメニューを扱う店が増えたそうです」
 ……ルンルンは自分がリアルブルーに居た頃の事を思い出す。
 (日本料理?)
「リアルブルーから来た仲間がそれを聞いて、『自分の国では普通だよ』って言ってましたから、もしかしたら向こうの文化がこちらに来ているだけなのかも知れないんですが……」
 徐々に自信なさげに尻すぼみになっていく女性に、ルンルンはぱっと笑顔を向ける。
「うぅん。私じゃ掴めなかった情報だから、助かっちゃう! ありがとうございます」
 ルンルンは女性にお礼代わりに依頼運をタダで占うと、店を畳んで次の目的地へと向かったのだった。

●ソナの場合
 13時。
 最も色々なケースを想定して精力的に動いたのがソナだった。
(薬系なら、特産品が役立ちそうだわ。ハーブ等の調合によるお茶やタブレット等のやせる内服薬、食事や水に滴下することで吸収をゆっくりにできたりするかもしれない。あ、香りをかぐと食欲が抑えられるとかあるといいわよね。お肌に刷り込むと痩せる粉や石鹸、貼っておくと代謝があがる湿布なんかもあると嬉しいかも)
 他にも補装具の可能性なども想定しながら、帝都のブティックを見て回っていた。
 なるほど、ヴィルヘルミナ陛下や、軍のアイドルとして名高いグリューエリンなどの顔写真をマネキンに張り付けて人々の注目を集めているらしい。
 ……確かに彼女達は普段から鍛えているのもあって痩身でありながらスタイルも良い。
 この国を動かす女性陣がスレンダーで美しいのだから、確かに女性達が憧れを抱くのも分かる気がする。

 暫く大通りを探索していると高級な馬車が停まり、店から出てきた美しく着飾った女性が馬車に乗り込んでいく姿が見えた。
 馬車を見送って、店の前へ行くとそこは豪奢な扉が設えられた店舗だった。
 看板を見ると宝石店であることが分かった。
 ガラス越しに中を見ると、そこには美しく微笑む細身のマネキンが、様々なアクセサリーを身につけて微笑んでいる。
 そんな中、展示された棚の一角に『ダイエットピアス』の文字が見えて、ソナは勇気を振り絞って中へと入った。
「いらっしゃいませ~」
 直ぐ様、体格の良い女性がニコニコとソナへと声を掛けてきた。
「あの、ダイエットの文字が見えて……」
「あらぁ? 貴女、ダイエットなんて必要ないんじゃな~い?」
「えっと……私じゃなくて、友達が……」
「ふぅん、なるほど。でも貴女は、もうちょっとお肉付けた方がいいわよぉ? メリハリバディが今人気急上昇中なんだから♪」
 店員の視線の先を見えると、第9師団長ゼナイドの絵姿と、彼女が右耳に付けているピアスのレプリカが紹介
されていた。
(……私にはメリハリがない、と言いたいのね……)
 思わずぐっと拳を握ったソナだった。
「でね、コレ、今年の新商品なのよぉ。裏にね、粘着剤がついてて、ピアス空けなくても付けられるのよぉ」
 その後も延々と「耳にはたくさんのツボがあってね~」という説明を丁寧に聴いていたソナだったが、あまりにも長く、うんちくが胡散臭い為、徐々に疲れてきた。
「……それ下さい」
「え?」
「おいくらですか?」
「あ、は~い、お買い上げありがとうございまぁす♪」
 実際レジに行ったら、驚くほど高い値段を提示されたのだが、幸いにして支度金と自分の所持金を合わせて何とか足りた。

 その後、美容院などを回っていると、あっというまに夜を迎えたのだった。

●エリオの場合
 16時。
 初めての依頼。スーツを着込み、緊張しながらエリオが向かったのは準上流階級――元々貴族などではなく、革命後に事業や功績により財を成した人々――の子女が通うマナー講座という名のサロンだった。
「うちもね、普通の商家だったのよ? でもお父様が貴族の方々とお付き合いが増えたから、お前もそれらしい作法を身につけろって」
 無事一日体験入学を終え、講義が終わった後、迎えの馬車を待っているのだという少女に付き合う形で話しを聞く。
 彼女は小指を立てて、気取ったような澄まし顔で紅茶を一口飲むと「普通に飲みたいわ」と肩を落とす。
 ぽっちゃりとした外見の、色白で笑うとえくぼの可愛らしい少女だった。愛嬌もあり、良くしゃべるが嫌味は無い。少し会話しただけでも頭の回転が速そうな印象をエリオは持った。
「これが終わったら、本格的に家庭教師を呼ぶんですって。自分の部屋が貰えたのは嬉しいけど、嫌になっちゃう」
 彼女は水差しからコップへ水を注ぐと、おもむろに鞄の中から小さなケースを取り出して、中に入っていた錠剤を口の中へと放り込んだ。
「それは?」
 エリオが問うと、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らし、頬を膨らませた。
「お父様がね、『これからの流行はスレンダーな女性なんだから、お前もやせろ』って。これを飲むと、余分な栄養を吸収しなくなるんですって」
「へぇ……ねぇ、よかったら、一錠僕にも分けてくれませんか?」
 エリオの申し出に彼女は目を丸くした。
「貴方が?」
「いや、僕の姉が……もうすぐ結婚するんですが、ドレスがキツイらしくて」
「まぁ、それはおめでとう。いいわよ。……あと3日分あるから、あげるわ」
 彼女はケースごとエリオに渡した。
「一日3回、空腹時に飲むのが良いんですって。だからどのくらい効果があるのか分からないけど」
「……あの、凄く失礼なコトを聞いても?」
「私、このお薬飲み始めて3ヶ月目だけど、これでもドレスのウエスト、拳一つ分やせたのよ」
 えへん、と豊満な胸を張って彼女は得意気に笑った。
「……それは、すごい」
 素直にエリオが驚くと、彼女はカラカラと笑った。
「飲み始めは吐き気がしたりするし……でもおかげで小食になったのよね」
 エリオがもう少し詳しく話しを聞こうと口を開きかけたところで、チリリンと迎えの到着を告げる鈴が鳴った。
「付き合ってくれてありがとう」
 彼女はにっこりと微笑むと、席を立ち、丁寧にお辞儀をして颯爽と去って行く。
 残念ながらエリオは彼女を引き留める言葉を選べないまま、見送った。

 手の中に残されたケースの中で錠剤がカラリと音を立てた。

●マリル(メリル)の場合
 17時。
「他に薬を扱っていそうな所……」
 すっかり暗くなった空の下、マリルは帝都の簡易地図を見ながら硬いパンを手で引きちぎった。
 口に入れれば口腔内の水分全てを奪われて、慌てて水を含む。
 なお、この水、“錬魔院の方から来た”という胡散臭い男から「今人気のダイエットウォーターだよ!」と勧められて購入したうちの1本だが、味も匂いも井戸の水とどう違うのか分からなかった。
『マリルは違いの分からない女だからねー』
 メリルのそんな言葉が聞こえて、マリルはムッと唇を尖らせた。
「メリルだって分からないでしょ」
『メリルはねー、なんでも美味しく食べれちゃうのが自慢だからねー! さー、名所探険再開♪』
 メイン通りから外れると、すぐに道はごちゃごちゃと入り組み、個人経営の錬金術や魔術の工房が吐き出す煙で空気は一気に悪くなる。
 空気が悪くなると同時に治安も悪くなり、中央から外れるほどスラム化が進む。
 逆にメイン通りから城に近付くほど治安は良く、豊かな生活を送っている者が多い。
 そして、ダイエットが必要な程“肥えている”のは後者にしかいない。

 あと3時間で集合時間。
 焦りを押さえつつ、マリルは錬金術組合周辺での聞き込みへと向かった。

●結果
 各自が手に入れたのは『クッキー』『粘着ピアス』『水』『薬』の4つと、『生食文化』の情報だった。
 翌日、ハンターオフィスへと報告に行き、手に入れた物に関しては分析調査を依頼。

 約2ヶ月後。
 歪虚による帝都襲撃から街が立ち直り始めた頃、漸く分析結果が依頼主とハンター達の元に届けられた。

 クッキー……主成分:小麦粉、大豆(おから)、卵
 ピアス……特記すべき特徴無し
 水……特記すべき特徴無し
 薬……主成分:ラズベリー他複数の薬草とデンプン。毒性成分検出無し

依頼結果

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MVP一覧

  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜ka5784
  • 緑青の波濤
    エリオ・アスコリka5928

重体一覧

参加者一覧

  • エルフ式療法士
    ソナ(ka1352
    エルフ|19才|女性|聖導士
  • 一人二役
    マリル(メリル)(ka3294
    人間(紅)|16才|女性|疾影士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • ライジングファイター
    ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812
    人間(紅)|18才|女性|格闘士
  • 緑青の波濤
    エリオ・アスコリ(ka5928
    人間(紅)|17才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/26 08:37:02
アイコン 質問卓
エリオ・アスコリ(ka5928
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/01/26 19:51:57
アイコン 相談卓
エリオ・アスコリ(ka5928
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/01/26 22:51:33