• 調査

ダイエットの流行

マスター:葉槻

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
4日
プレイング締切
2016/01/27 09:00
リプレイ完成予定
2016/02/05 09:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。


 時は12月上旬に遡る。

 世間は年末特有の忙しなさを徐々に現し始め、ハンター達が出入りするような街ではリアルブルーより持ち込まれた『クリスマスと』呼ばれる祭事の準備が慌ただしく進められていた。
 そんなどこか浮き足だったような、色づいた町の中を一台の馬車が走り抜ける。
 馬車は町を抜け、穂を刈り取られた小麦畑の横を抜け、川を渡り……そしてついに目的地である村へと辿り着くと『白亜宮』と呼ばれる屋敷の前でその脚を止めた。

「ふふふ、無理を言って申し訳ないわね、フラット」
 鈴を転がしたように笑う旧知の老婦人――カサンドラを前にして、フランツは苦笑を禁じ得ない。
「まさかこんなに早く再度お呼びがかかるとは思いませんでした」
 白亜宮での音楽会がハンター達の協力により盛況のうちに終わり、それから3日。
 早馬で『至急来られたし』と言われれば、何かあったのかと自領に着いて休む間もなくとんぼ返りして来たフランツだったが、何のことはない、再度『お願い事』が出来ただけだと言われて、怒りよりもほっとしたのが半分、呆れたのが半分というのが今の心情だった。
「それこそ、早馬に内容の書面を持たせてくれれば」
 侍女が入れてくれた紅茶で唇を湿らせつつ、フランツがぼやけば、カサンドラは「だって」と少し頬を膨らませた。
「それじゃ詳細を伝えられないじゃない。それにうっかり、誰かに読まれたりしたら困ってしまうでしょう?」
「……そんな秘密の話なのですか? まぁここの人々は優秀ですからなぁ」
 この村の30代以下の者達は、領主であったカサンドラの夫の方針で、ほぼ9割以上の者が簡単な読み書きと計算は出来るよう教育がされていた。
「そういうわけでもないのだけれど……いやねぇ、あなたの領地のみなさんほどではないわ」
 謙遜ではなく、事実の一つとしてカサンドラが首を横に振る。

 『最低限の文化的生活を民に伝える』――これは、フランツの治める領地の先々代領主の頃より掲げられた自治目標の一つであった。
 そしてそれは冬は雪に閉ざされる僻地であるからこそ、『読書』『室内ゲーム』を推奨することにより徐々に人々の間に受け入れられ、現在は領民全体の9割が読み書き可能になっている。
 カサンドラの夫はこれを参考に教育改革を行ったにすぎない。

「……話が逸れてしまったね。で、今度の『お願い』は何だろうか?」
「ねぇ、フラット。『ダイエット』ってご存じ?」
「……はぁ。あの、痩せたいと食事を制限したり、運動をしたりする、あの?」
 フランツが首を傾げつつ答えると、「そうそう」と嬉しそうにカサンドラが笑った。
「今ね、帝都バルトアンデルスで若いお嬢さん達を中心にダイエットが流行っているのですって。しかも、『これさえあれば? すれば? 運動は不要』というのよ。ちょっとどういうものなのか調べてくれないかしら?」
「……はぁ」
 フランツは気の抜けたエールを飲んだ時のような微妙な表情でカサンドラに返事をする。
 そんなフランツの気配に気づいたのか、カサンドラがぐいっと身を乗り出して一気にまくし立てた。
「運動でないとしたら何なのかしら? 食事なのだとしたら、どんなものを食べているのかしら? ハーブを使っているのだとしたらうちでも栽培出来ないかしら? 薬的なものなのかしら? だとしたらその調合を知りたいわ。それとも制限的な方なのかしら? それならその制限内容を知りたいの。ねぇ、フラット、お願い。調べてきてちょうだいな」
「わかった、わかったから、危ないよ、キャス。ティーカップに当たりそうだ」
 主人のただならぬ様子に、傍らに控える大型犬が顔を上げてカサンドラを見つめたが、問題はなさそうだと判断したのか再び顔を伏せる。
 ダイエットと言えば、女子ならば皆一度は考えるものと聞いていたが、カサンドラの場合はそれが村の発展に直結しているらしいことに気づいて、フランツは思わず頬をゆるませた。
「本当に、君は昔から変わらないね」
「あら、フラットもそんなに変わっていないわよ。押しに弱いところとか」
 コロコロと笑うカサンドラに、フランツは気づかれないように眉間にしわを寄せ、瞳を伏せる。
「……それならよいのだけれどね」
「えぇ、わたくし、昔から人を見る目には自信があるのよ。……今は盲目のおばあちゃんですけれどね」
 自ら盲いた目を指さしつつ、ふふふとカサンドラは笑う。
 それをフランツはまぶしそうに見つめ、微笑むと薫り高い紅茶に口を付けた。

●ハンターオフィスにて
『バルトアンデルス内で流行しているダイエットについての調査依頼』
 そう書かれた依頼書がオフィスの壁に貼られた。

 この数日後にはこの場が戦場になるとは誰もまだ知らない帝都。
 ただただ冷たい風だけが、人々の服の襟をしっかりと閉ざさせていた。

解説

 フランツより、バルトアンデルス内で流行しているダイエットについて調べてきてほしいという依頼が出ています。
 (正しくは、フランツの旧き友人であるカサンドラからの依頼ですが、それはみなさんフランツから聞いて知っているものとして問題ありません)
 『いつ』
 『どこで』
 『誰に・何に』
 『どのように調べる』
 この上記4点を明記の上、ある程度的を絞った調査をした方がよい結果が得られるものと思います。
 また『こんなダイエットありそう』という予測もある程度立てていただけますと、ただ空振りにならずにすむかもしれません。

 繰り返しますが、このシナリオ内ではまだ12月上旬です。
 【闇光】第一フェーズの結果が出る前(具体的な日付までは明記しません)。
 ハンターの皆さんは忙しかった時期かと思いますが、一般民にはまだ何の被害も出ていない時期です。

 能力的な部分(当時はレベルが低かった~など)は多少矛盾が生じる事があるかもしれませんが、深く触れませんので、現在のレベル通り(スキルレベル含む)で大丈夫です。
 ただ、今後起きる事象(皇帝乱心だとか帝都バルトアンデルスに突如として大量のスケルトンが出現するだとか)は知り得ません。
 当時の、つかの間の平和を満喫していただけたらと思います。


 フランツですが、彼は調査には参加いたしません。
 出発までのサポート係となりますので、何か困ったことがありましたら遠慮無くお聞き下さい。
 分かる範囲でお答えいたします。


・人物紹介
カサンドラ・クスター
聖導師 盲目の老婦人。様々なハーブを特産とする村の元領主。
村人からは『聖母』と慕われ、現在は『白亜宮』と呼ばれる屋敷に利発な大型犬と彼女を慕う人々と静かに暮らしている。
フランツのことを『フラット』と愛称で呼び、フランツには『キャス』と愛称で呼ばれる間柄。

マスターより

 初めまして、またはご無沙汰いたしております、葉槻(はづき)です。
 大規模作戦、皆様お疲れ様でした。
 そちらが落ち着くまではシナリオ出したくても出せない状況でしたので、ため込んだ分、どんどんと色々やらかして行きたいと思います。

 それではどうか、あなたらしい一日をお過ごし下さいませ。

関連NPC

  • 深謀遠慮の翁
    フランツ・フォルスター(kz0132
    人間(クリムゾンウェスト)|70才|男性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/02/04 18:56

参加者一覧

  • エルフ式療法士
    ソナ(ka1352
    エルフ|19才|女性|聖導士
  • 一人二役
    マリル(メリル)(ka3294
    人間(紅)|16才|女性|疾影士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • ライジングファイター
    ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812
    人間(紅)|18才|女性|格闘士
  • 緑青の波濤
    エリオ・アスコリ(ka5928
    人間(紅)|17才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/26 08:37:02
アイコン 質問卓
エリオ・アスコリ(ka5928
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/01/26 19:51:57
アイコン 相談卓
エリオ・アスコリ(ka5928
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/01/26 22:51:33