ゲスト
(ka0000)
もつかみどり
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2016/02/03 22:00
- 完成日
- 2016/02/09 00:22
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ジェオルジでは農業が盛んだが、畜産業もそれに負けず劣らず盛んである。
広々とした丘陵に草を食む羊、牛、馬などが散らばる光景は、おなじみのものだ。
当地の畜産ギルドは『ジェオルジ産のお肉の良さをもっと認知してもらおう』というコンセプトのもと、毎年食肉イベントを行っている。
去年までそれは、無料の肉鍋ご奉仕+加工品の原価販売というごくありきたりなものだった。
しかし、今年は違う。
これまでにない試みを取り入れている。
●
ジェオルジの小さなハンターオフィス支店では、職員その1であるマリーが腹を立てていた。
締め切った窓の外を見て、もう!と足を踏み鳴らす。
「何でうちの近くで食肉イベントをやるのよ! 匂って匂ってしょうがないじゃないの!」
職員その2であるジュアンが、それをなだめる。
「近くって言っても丘二つ越えた向こうだからさ、我慢しなよ。大体食肉イベントは、去年も一昨年もあそこでやってるじゃないか。今年に限ってそう騒がなくても」
「騒ぐわよそりゃあ! だって去年一昨年とやってることが全然違うじゃない! 肉鍋大会ならあたしだって何も言わないわよ、でも、あれは問題外でしょうよ! 大体丘2つ隔ててたって意味ないわよ、うちが風下なんだから! 一体誰なの、あんな企画考えついたのは!」
「新しいギルド長……」
職員その3こと当該支店のマスコット、ミニコボルドのコボちゃんは彼らの会話をよそに裏口から出て行った。
風に乗り漂ってくる匂いと喧噪に引かれ丘を2つ越えて行った先には、旗と屋台と人だかり。
その中心に山と盛られているのは――血の滴る新鮮な臓物。
前掛けをした男たちが、メガホンを手に聴衆を煽っている。
「さあさあモツのつかみ取り! 今日限り! 早い者勝ち詰め放題! 8リットルバケツに詰め放題! 出血大サービス無料ご奉仕だよー!」
それに応じて動こうという人間は少なかった。臓物山のビジュアル的迫力もさることながら、素手でつかみ取りというあたりに抵抗を感じているのだろう。
文明生活により原始の本能が薄らいだ人間は、ことほどさように繊細なのだ。
だがコボルドコボちゃんは違う。
「わしー、わし! わし!」
お肉=ごちそうの公式のもと、遠慮なく突撃。
するとメガホン男から、着ているジャケットの襟を引っ張られた。
「どっから入って来たんだこのワン公は! しっし!」
軽くて小さいコボちゃん、ぽーんと投げられてしまう。
しかし負けない。吠えながら再度突撃して行く。
「わしししし! わしししし!」
突如、破れ鐘のごとき叫び声が降ってきた。
ギャアーッ!! ギャアーッ!!
何事かとコボちゃん含め、場にいた全員が空を見上げる。
鴉の群れがまっすぐこちらに向け飛んでくるのが見えた。
頭が骨――あからさまに歪虚だ。
ギャアー! ギャアー!
鴉どもはモツ山の上に降り立つや、片端から食い荒らし始める。
「うわ! 何だお前ら! 止めろーっ!」
追い払おうとする男たち。
「いてててて! 引け、引けー!」
しかし力及ばず。
「わしししし! わしー!」
横取りしようとするコボちゃん。
「キャンキャンキャンキャン」
しかし力及ばず。
こういう時頼りになるのは、そう、ハンターである。
広々とした丘陵に草を食む羊、牛、馬などが散らばる光景は、おなじみのものだ。
当地の畜産ギルドは『ジェオルジ産のお肉の良さをもっと認知してもらおう』というコンセプトのもと、毎年食肉イベントを行っている。
去年までそれは、無料の肉鍋ご奉仕+加工品の原価販売というごくありきたりなものだった。
しかし、今年は違う。
これまでにない試みを取り入れている。
●
ジェオルジの小さなハンターオフィス支店では、職員その1であるマリーが腹を立てていた。
締め切った窓の外を見て、もう!と足を踏み鳴らす。
「何でうちの近くで食肉イベントをやるのよ! 匂って匂ってしょうがないじゃないの!」
職員その2であるジュアンが、それをなだめる。
「近くって言っても丘二つ越えた向こうだからさ、我慢しなよ。大体食肉イベントは、去年も一昨年もあそこでやってるじゃないか。今年に限ってそう騒がなくても」
「騒ぐわよそりゃあ! だって去年一昨年とやってることが全然違うじゃない! 肉鍋大会ならあたしだって何も言わないわよ、でも、あれは問題外でしょうよ! 大体丘2つ隔ててたって意味ないわよ、うちが風下なんだから! 一体誰なの、あんな企画考えついたのは!」
「新しいギルド長……」
職員その3こと当該支店のマスコット、ミニコボルドのコボちゃんは彼らの会話をよそに裏口から出て行った。
風に乗り漂ってくる匂いと喧噪に引かれ丘を2つ越えて行った先には、旗と屋台と人だかり。
その中心に山と盛られているのは――血の滴る新鮮な臓物。
前掛けをした男たちが、メガホンを手に聴衆を煽っている。
「さあさあモツのつかみ取り! 今日限り! 早い者勝ち詰め放題! 8リットルバケツに詰め放題! 出血大サービス無料ご奉仕だよー!」
それに応じて動こうという人間は少なかった。臓物山のビジュアル的迫力もさることながら、素手でつかみ取りというあたりに抵抗を感じているのだろう。
文明生活により原始の本能が薄らいだ人間は、ことほどさように繊細なのだ。
だがコボルドコボちゃんは違う。
「わしー、わし! わし!」
お肉=ごちそうの公式のもと、遠慮なく突撃。
するとメガホン男から、着ているジャケットの襟を引っ張られた。
「どっから入って来たんだこのワン公は! しっし!」
軽くて小さいコボちゃん、ぽーんと投げられてしまう。
しかし負けない。吠えながら再度突撃して行く。
「わしししし! わしししし!」
突如、破れ鐘のごとき叫び声が降ってきた。
ギャアーッ!! ギャアーッ!!
何事かとコボちゃん含め、場にいた全員が空を見上げる。
鴉の群れがまっすぐこちらに向け飛んでくるのが見えた。
頭が骨――あからさまに歪虚だ。
ギャアー! ギャアー!
鴉どもはモツ山の上に降り立つや、片端から食い荒らし始める。
「うわ! 何だお前ら! 止めろーっ!」
追い払おうとする男たち。
「いてててて! 引け、引けー!」
しかし力及ばず。
「わしししし! わしー!」
横取りしようとするコボちゃん。
「キャンキャンキャンキャン」
しかし力及ばず。
こういう時頼りになるのは、そう、ハンターである。
リプレイ本文
大概はヒマなハンターオフィス・ジェオルジ支店。
その前でアシェ-ル(ka2983)とザレム・アズール(ka0878)は当惑していた。
「ザレムさん、鍵がかかっていますよ」
「んん? 休みか?」
そこへ、天竜寺 舞(ka0377)と天竜寺 詩(ka0396)もやってくる。
「えっ、開いてない?」
「おかしいなあ。今日は定休日じゃないはずだよー?」
皆で首を傾げているところ幸紅(ka5774)も来た。
「……もしかして、何かよからぬことが起きているんじゃないの?」
確かにそんな可能性もあるかもしれない。
調べてみよう。ということで皆は、窓から中を覗き込んでみた。
……職員のマリーとジュアンが何事か話し合っている。別に危険そうな様子はない。
とすると鍵がかかっているのは単なる外し忘れか。
思ったザレムは窓ガラスを叩き、注意を引く。
物音に気づいたジュアンが窓を開いてくれた。途端にマリーが、烈火のごとく怒り出す。
「早く閉めてよ臭いでしょー!」
実にうかつなことだがハンターたちはその瞬間まで、風に乗って流れてくる生臭さに注意がいっていなかった。誰も彼も依頼帰りで、この手の匂いをたっぷり嗅いできたばかりだったので。
舞は早速それが流れてくる方向を見定める。
「あれ? 何か向こうの方で何かやってるぞ」
姉に劣らず目のいい詩も、丘の向こうに視線を注ぐ。
豆粒ほどの群衆、テント、上り旗。
「ねえ、ジュアンさん。あれ何してるの?」
「ああ、あれは食肉イベントですよ」
「食肉イベントって……何?」
「平たく言うと『お肉食べ放題祭り』ですかねえ。この季節にはいつもやってるんですけど、今年はなんというかそのう……企画ミスがありまして」
●
血と脂でてらてら光っている臓物タワーに、鞍馬 真(ka5819)が横目を向ける。牛の串焼きにかぶりつきながら。
(改めて見ると、凄いインパクトだな……)
一般人が近寄ってこないのも無理はないと納得している所、重たげな足音が響いてくる。
振り向いてみれば巨漢ドワーフ、バルバロス(ka2119)。
「ほう……モツか。煮込むと美味いんじゃよなぁ」
野生の魂を失わない男にとって獣の本能を刺激する肉の匂いはこたえられないもの。
「しっし!」
「わしし! わし!」
犬らしきものと関係者とが揉めているが放置し、バケツを手に取りもつかみどり。
「美味そうな内臓の山よな」
エルバッハ・リオン(ka2434)も、もつ祭りに引き寄せられてきた。
「モツですか。そういえば、食べたことはなかったですね」
と呟きつつ、傍らに積まれたバケツを手に取る。
「せっかく貰えるのですから、鍋料理のお肉にでもしましょうか」
周囲を圧倒する臭いについて彼女は、あまり気にしていない。慣れているのだ。戦場で似たようなものを嗅ぐことが山ほどあるので。
その頭上に黒い影が差した。聞き苦しい鳴き声が降ってくる。
ギャー! ギャア-!
「ん?」
●
ジュアンからお得情報を聞き込んだザレムたちは、丘を越えイベント会場に向かう。
「肉食い放題。モツ持ち帰り放題。これは見逃せないぜ」
「ザレムさん、モツってどんなふうに調理するんですか?」
「そうだな、小腸や大腸なら煮込みがいいな。牛乳で下処理、下湯で、ショウガも使って徹底的に臭みを取る。そして数時間じっくり煮込む。煮込む間に他を調理だ。センマイは酢の物、レバーは新鮮なら刺身、でなければ焼く。ギアラ・コブクロ・テッポウ・ハツ・サガリ・ミノ・ハチノス・ウルテ……」
ザレムの細々した説明に、アシェールは大興奮。口元からこぼれ落ちそうになった涎を袖で拭う。
詩も料理は好きなたちなので、モツを手にいれたらどう料理しようか、今から考えている。
(豚レバーとセロリを炒めてウォッカでフランベ、なんてどうかな。後ペーストにしてパンに塗ったり……腸があるならもしかして、自作のソーセージ作れたりするんじゃないかな……)
あれこれ算段しているところ、幸紅が急に、訝しげな声を出してきた。
「え? ちょっと、あれ何?」
顔を上げてみれば、行く手の空に黒い塊。鳥の群れ。
遠目をきかせ舞が言う。
「トンビでもなし、鴉……でもないね。歪虚だよ!」
ハンターたちは一斉に駆け出した。
●
肉モツ山に群がる骨鴉の群れによって、会場は騒然としていた。
ギャア、ギャアー! ギャアアー!
焼き串を咥えた真が、群がる鴉のただ中で刀を振り回している。
「わたしの食事の邪魔をするな!」
鴉は嘴で真の頭や顔をつつこうとしているが、なかなかうまくいかない様子。
バルバロスもまた、奮闘している。
「邪魔な雑魔には退場願おうか」
リーチの長い巨斧を振り回すされると鴉も近づきづらい。頭上で旋回し隙を窺っている。
リオンはその1匹1匹に狙いを定め、ファイアーボールで地道な攻撃。
ギャ! ギャー!
業を煮やした一部の鴉は、次善策として屋台に目を向けた。テントに舞い降り、店頭の商品をつつき回し、わめき立てる。
逃げ惑う人々。
「うわぁ、あっち行けー!」
「やばいこっち来るぞー!」
●
ザレムは肉祭り会場につくや、屋台に群がる鴉どもを盾で殴って追い払った。そして、そこにいた人々に、露台の下などへ入るよう呼びかける。
「少しの間だけ隠れててくれ」
懲りずに向かってくる鴉の頭を脇に挟み、骨にヒビが入るほどの羽交い締め。
「火は消して、鍋とモツ入れには蓋を!」
ザレムの戦いぶりにを参考に、アシェールも参戦する。
(魔術師として、少しは上達したはずっ!)
魔術師としての向上心を奮い立たせ、脳裏に描くはモツ煮、モツ鍋、モツ焼き……。
「依頼を受ければ友達が増える……おまけに、戦闘後は美味しい食べ物が食べ放題って聞きました!」
アイスボルトが放たれた。鴉は飛び避けようとしたが、氷の矢が羽に突き刺さり、テントの屋根から落ちた。仕方ないので走って逃げる。
「時々、地上を凄く早い速度で走る鳥も居ましたよ……ね……まあこれは鶏くらいですけど」
追いかけるアシェール。しかし敵はすばしこく攻撃が当てにくい。
急遽駆けつけてきたリオンが彼女と協力、挟み撃ち戦法を採り、ウインドスラッシュで切り裂いた。
幸紅は気功砲で地上から鴉を打つ。落ちてきたものを、手甲のかぎ爪で引き裂く。
そんな中詩は、あちこち毛をむしられ倒れているトイプードル風の生物を見つけた。急いで駆け寄る。
「わ、コボちゃん大丈夫?」
舞は妹が助け起こした生き物を不思議そうな目で眺める。
「そのお洒落な犬、詩の知り合いなの?」
「コボちゃんは犬じゃなくてコボルトだよ」
「へえー。コボルトってお洒落なんだね。ちゃんと服着られるんだ」
「まぁお姉ちゃんの言う通りだね――ほら、しっかり」
ヒーリングをかけられたコボちゃんは起き上がった。自分が何をしていたか思い出し、再度モツの横取り合戦に挑む。
「わし、わし、わしい!」
ギャア! ギャアー!
返り討ちに遭い即座に逃げ出した。
「キャンキャンキャンキャン」
束になってそれを追いかけ、つつきまくる鴉たち。
ザレムは光の障壁で鴉を弾き、コボちゃんを助けてやる。
「退治するから、待て。いいか、待て。待てたら肉をやるから、待て」
襟首を掴み、後方にひょいと投げる。
受け止めた詩は、重ねてコボルドに言い聞かせた。
「危ないからコボちゃんは下がってて」
不満そうに顎を突き出し歯をむくコボちゃん。の鼻先を扇子ではたく舞。
「まぁ犬かコボルトか知らないけどお座り、待て。次は助けてあげないよ」
渋々お座りするコボちゃん。
舞は、ユナイテッド・ドライブ・ソードを手に駆け出した。
「ちょっと、あたしのお肉なんだからね! 勝手に食べるんじゃないよ!」
(別にお姉ちゃんだけの物じゃないと思うけど)
内心思いつつ詩も、杖を構えて彼女に続く。
一直線にモツ山へと向かった舞は、地表近くにいる鴉どもの間を一気に駆け抜ける。
何羽もの鴉が一瞬の間をおいて、ばらばらと崩れ落ちる。
「またつまらぬ物を斬っちゃったよ♪」
うそぶく舞。
これを見た他の鴉たちは一斉に、空へと向かって羽ばたいた。
「あっこら! 逃げるなー!」
詩がジャッジメントを放つ。光の杭に突き刺された鴉は、飛び立とうとする姿勢のまま固まった。
拘束の効果が消えないうちに舞は両翼を切り、動きを封じた。
「流石あたしの妹、可愛いし気が利くしお嫁さんにしたいくらいだよ!」
「もう、恥ずかしいよ!」
赤面する詩は続けてセイクリッドフラッシュを放つ。
光の波動に押され空中で姿勢を崩す鴉。
そこにアシェールがブリザードをかけ、なお動きを鈍らせた。
「肉は渡さんっ」
密集地帯に向けにザレムが機関銃を向けた。銃声が響き渡る。
歪虚の体は空中で細切れとなり、地上へと降り注いだ。
轟音に驚いたか、鴉は飛翔の高度を上げる。
攻撃が届かないと判断した真は、刀から拳銃へと武器を持ち帰る。
「当たれ!」
狙うのは翼だ。飛べないように。
バルバロスは落ちてくるそれを、逐一斧で潰してしまう。
その鮮やかな手際を眺めていたリオンの頭に、衝撃が走った。
「あだっ!」
鴉が上空から急降下し襲ってきたのだ。
兜を被っていたので大怪我はしなかったが、結構響く。
「~~このぉ! 大人しく闇に還りなさいっ!」
再度降下してくる滝を、ワンドではしと迎え撃ち、至近距離からファイアーボールを浴びせかける。
アシェールはファイアエンチャントを発動した。
「さあ、ラストスパートですよ!」
ハンターたちの武器に炎が宿る。
幸紅は蹴ってきた鴉の足を掴み、空っぽな頭目がけ燃える拳を打ち込んだ。
骨は乾いた音を立て砕け散る。体は黒煙を吹き上げ、驚くべき速度で腐敗していく。
●
リオンは歪虚の死骸を一カ所に集め、積み重ねた。モツ山の外側部分と一緒に。
「まあ、念のためにということで。汚染されてたらいけないですから」
疑わしきは焼却すべし。ということで、ファイアーボールを浴びせ、焼き尽くす。
それから、もつかみどり再開だ。
舞は手を血まみれにしながら、目ぼしいブツを物色。塊の中から突き出ていた腸の端を握って、ずるずる引きずり出す。
「このヒモもーらいっ」
スプラッタな光景だが、歪虚と日々戦うハンターにとってこの程度のグロさなど取るに足らない。いち早く戦利品を袋詰めし、屋台へ直行。
詩はレバーを重点的に探す。そのついでに、骨もいただいておく。後でコボちゃんにやるために。
バルバロスは大きな手のひらで豪快につかみ取り、バケツにぽいぽい入れて行く。
ザレムは漏れ無く各部位を収集。アシェールは自分の分を確保しつつ、そのお手伝い。
「おーい、アシェール、そっちにコブクロないかコブクロ」
「あ、ちょっと待ってくださいザレムさん。確かさっきこの辺に、それらしいものがあったような気が……」
真もバケツを下げ、好みのモツを回収中。
リオンはといえば、ひと鍋に使う分量とダシ用の骨を確保した後、すぐ屋台に舞い戻った。
厚切りベーコンの鉄板焼きとポテトの付け合わせを食しご満悦なところ、熱い視線を感じた。足元を見やれば滝のように涎を垂らしているコボちゃん。
彼女は食べているものを投げてやった。
噛まずに飲み込むコボちゃん。
数秒遅れて貰ったのが肉ではなく付け合わせのポテトであったと気づき、どういうことだと抗議する。
「わし! わしししし! わしー!」
近くの串焼き屋台にいる幸紅はイケメン店員との会話に夢中。その声に全く注意を向けていない。
「19? 若いのねー。うらやましいわ。私なんて今年でもう27よ」
「ええ!? マジすか!? いやー、そう見えないっすよ! 全然若いっすよお客さん!」
「あらお上手ねえ♪」
代わりにフランクフルトとハンバーグを手にした舞が寄ってきた。
「うるさいなあ、どしたの?」
そう聞くだけで何もくれようとはしない。
アシェールも来た。
「可愛いトイプードルさんですね」
もふり頭を撫でるだけ。何もくれない。
ますます憤激が高まるコボちゃん。噛み付こうかとすら考えるが、幸い詩が来てくれた。
「はい、コボちゃん」
大きな骨を渡されちょっと機嫌が直るコボルド。
続けてザレムが来る。
「ほれ」
レバーの端切れを分けてもらい、かなり機嫌が直ったコボルド。
詩は、もぐもぐしている舞に言う。
「お姉ちゃん、今さっき皆で相談したんだけど、これからハンター支部に行かない? せっかくだからマリーさんやジュアンさんにも内臓料理を作ってあげようと思うんだ。コボちゃんにも」
舞は口の中のものを急いで飲み込み、答えた。
「オフィスの人達にも料理を作ってあげるなんて、詩は優しいね、お姉ちゃん感動したよ! もう……もうあたしの嫁になれーっ!」
「お姉ちゃん止めて恥ずかしいから!」
●
ジェオルジ支部の簡易厨房。
2つの鍋が煮えている。1つはザレムの、1つはリオンの。
前者の鍋も後者の鍋もホルモンたっぷり野菜もたっぷり――特にこのあたりで名産のニラがたっぷり投入されている。
「アシェール、ちょっと見ておいてくれ。俺は野菜炒めの下ごしらえするから」
「はあーい。良い匂いが……誘惑です。しかし、頑張って待ちます」
真は自作煮込みの味を見ている。
「うーん、もうちょっとニンニク入れようかな」
詩はフライパンで豚レバーとセロリを炒め、ウオッカを注いだ。ぱっと燃え立つ青白い炎。
オフィス内に急遽作られた食卓では、舞、バルバロス、幸紅、それから支部職員のマリー、ジュアン、おまけのコボちゃんが控えている。
皆料理が出てくるのを、今か今かと待っている。眉間に大層なしわを寄せているマリー以外は。
「……なんでうちの支部でホルモン大会してるのよ……」
舞が答える。
「そりゃ近いし。設備も一通り整ってるし」
「じゃあ屋台でやったっていいじゃないの……」
台所からアシェールの声が響いてきた。
「あ! 大変! モツの汁が!」
ぷうんと食欲をそそる匂い。
小ぎれいな皿に盛られたレバー炒め、大皿の野菜炒め、煮込み、そして鍋が運ばれてきた。
詩は腰に手を当てて言う。
「向こうにまだまだあるから、一杯食べてね」
舞は箸を持った手を合わせた。
「さぁ、オフィスの人もコボちゃんとやらも、心して食べるがいいよ! いただきます!」
「お姉ちゃん一人で食べ過ぎ!」
鍋に浮くホルモンを気味悪そうにつつくマリーを、ザレムが促す。
「マリーも食べてみなよ。騙されたと思って」
マリーは半信半疑で肉をちょっぴり口にした。それから、思い直したように言った。
「……意外と悪くないわね」
真は感慨に耐えない調子で言う。
「うむ、ジェオルジの肉の美味さはよくわかった」
舞の健闘によりほとんど余りは出なかったのだが、それでも残った分は、彼が全部持って帰ったとのことである。
その前でアシェ-ル(ka2983)とザレム・アズール(ka0878)は当惑していた。
「ザレムさん、鍵がかかっていますよ」
「んん? 休みか?」
そこへ、天竜寺 舞(ka0377)と天竜寺 詩(ka0396)もやってくる。
「えっ、開いてない?」
「おかしいなあ。今日は定休日じゃないはずだよー?」
皆で首を傾げているところ幸紅(ka5774)も来た。
「……もしかして、何かよからぬことが起きているんじゃないの?」
確かにそんな可能性もあるかもしれない。
調べてみよう。ということで皆は、窓から中を覗き込んでみた。
……職員のマリーとジュアンが何事か話し合っている。別に危険そうな様子はない。
とすると鍵がかかっているのは単なる外し忘れか。
思ったザレムは窓ガラスを叩き、注意を引く。
物音に気づいたジュアンが窓を開いてくれた。途端にマリーが、烈火のごとく怒り出す。
「早く閉めてよ臭いでしょー!」
実にうかつなことだがハンターたちはその瞬間まで、風に乗って流れてくる生臭さに注意がいっていなかった。誰も彼も依頼帰りで、この手の匂いをたっぷり嗅いできたばかりだったので。
舞は早速それが流れてくる方向を見定める。
「あれ? 何か向こうの方で何かやってるぞ」
姉に劣らず目のいい詩も、丘の向こうに視線を注ぐ。
豆粒ほどの群衆、テント、上り旗。
「ねえ、ジュアンさん。あれ何してるの?」
「ああ、あれは食肉イベントですよ」
「食肉イベントって……何?」
「平たく言うと『お肉食べ放題祭り』ですかねえ。この季節にはいつもやってるんですけど、今年はなんというかそのう……企画ミスがありまして」
●
血と脂でてらてら光っている臓物タワーに、鞍馬 真(ka5819)が横目を向ける。牛の串焼きにかぶりつきながら。
(改めて見ると、凄いインパクトだな……)
一般人が近寄ってこないのも無理はないと納得している所、重たげな足音が響いてくる。
振り向いてみれば巨漢ドワーフ、バルバロス(ka2119)。
「ほう……モツか。煮込むと美味いんじゃよなぁ」
野生の魂を失わない男にとって獣の本能を刺激する肉の匂いはこたえられないもの。
「しっし!」
「わしし! わし!」
犬らしきものと関係者とが揉めているが放置し、バケツを手に取りもつかみどり。
「美味そうな内臓の山よな」
エルバッハ・リオン(ka2434)も、もつ祭りに引き寄せられてきた。
「モツですか。そういえば、食べたことはなかったですね」
と呟きつつ、傍らに積まれたバケツを手に取る。
「せっかく貰えるのですから、鍋料理のお肉にでもしましょうか」
周囲を圧倒する臭いについて彼女は、あまり気にしていない。慣れているのだ。戦場で似たようなものを嗅ぐことが山ほどあるので。
その頭上に黒い影が差した。聞き苦しい鳴き声が降ってくる。
ギャー! ギャア-!
「ん?」
●
ジュアンからお得情報を聞き込んだザレムたちは、丘を越えイベント会場に向かう。
「肉食い放題。モツ持ち帰り放題。これは見逃せないぜ」
「ザレムさん、モツってどんなふうに調理するんですか?」
「そうだな、小腸や大腸なら煮込みがいいな。牛乳で下処理、下湯で、ショウガも使って徹底的に臭みを取る。そして数時間じっくり煮込む。煮込む間に他を調理だ。センマイは酢の物、レバーは新鮮なら刺身、でなければ焼く。ギアラ・コブクロ・テッポウ・ハツ・サガリ・ミノ・ハチノス・ウルテ……」
ザレムの細々した説明に、アシェールは大興奮。口元からこぼれ落ちそうになった涎を袖で拭う。
詩も料理は好きなたちなので、モツを手にいれたらどう料理しようか、今から考えている。
(豚レバーとセロリを炒めてウォッカでフランベ、なんてどうかな。後ペーストにしてパンに塗ったり……腸があるならもしかして、自作のソーセージ作れたりするんじゃないかな……)
あれこれ算段しているところ、幸紅が急に、訝しげな声を出してきた。
「え? ちょっと、あれ何?」
顔を上げてみれば、行く手の空に黒い塊。鳥の群れ。
遠目をきかせ舞が言う。
「トンビでもなし、鴉……でもないね。歪虚だよ!」
ハンターたちは一斉に駆け出した。
●
肉モツ山に群がる骨鴉の群れによって、会場は騒然としていた。
ギャア、ギャアー! ギャアアー!
焼き串を咥えた真が、群がる鴉のただ中で刀を振り回している。
「わたしの食事の邪魔をするな!」
鴉は嘴で真の頭や顔をつつこうとしているが、なかなかうまくいかない様子。
バルバロスもまた、奮闘している。
「邪魔な雑魔には退場願おうか」
リーチの長い巨斧を振り回すされると鴉も近づきづらい。頭上で旋回し隙を窺っている。
リオンはその1匹1匹に狙いを定め、ファイアーボールで地道な攻撃。
ギャ! ギャー!
業を煮やした一部の鴉は、次善策として屋台に目を向けた。テントに舞い降り、店頭の商品をつつき回し、わめき立てる。
逃げ惑う人々。
「うわぁ、あっち行けー!」
「やばいこっち来るぞー!」
●
ザレムは肉祭り会場につくや、屋台に群がる鴉どもを盾で殴って追い払った。そして、そこにいた人々に、露台の下などへ入るよう呼びかける。
「少しの間だけ隠れててくれ」
懲りずに向かってくる鴉の頭を脇に挟み、骨にヒビが入るほどの羽交い締め。
「火は消して、鍋とモツ入れには蓋を!」
ザレムの戦いぶりにを参考に、アシェールも参戦する。
(魔術師として、少しは上達したはずっ!)
魔術師としての向上心を奮い立たせ、脳裏に描くはモツ煮、モツ鍋、モツ焼き……。
「依頼を受ければ友達が増える……おまけに、戦闘後は美味しい食べ物が食べ放題って聞きました!」
アイスボルトが放たれた。鴉は飛び避けようとしたが、氷の矢が羽に突き刺さり、テントの屋根から落ちた。仕方ないので走って逃げる。
「時々、地上を凄く早い速度で走る鳥も居ましたよ……ね……まあこれは鶏くらいですけど」
追いかけるアシェール。しかし敵はすばしこく攻撃が当てにくい。
急遽駆けつけてきたリオンが彼女と協力、挟み撃ち戦法を採り、ウインドスラッシュで切り裂いた。
幸紅は気功砲で地上から鴉を打つ。落ちてきたものを、手甲のかぎ爪で引き裂く。
そんな中詩は、あちこち毛をむしられ倒れているトイプードル風の生物を見つけた。急いで駆け寄る。
「わ、コボちゃん大丈夫?」
舞は妹が助け起こした生き物を不思議そうな目で眺める。
「そのお洒落な犬、詩の知り合いなの?」
「コボちゃんは犬じゃなくてコボルトだよ」
「へえー。コボルトってお洒落なんだね。ちゃんと服着られるんだ」
「まぁお姉ちゃんの言う通りだね――ほら、しっかり」
ヒーリングをかけられたコボちゃんは起き上がった。自分が何をしていたか思い出し、再度モツの横取り合戦に挑む。
「わし、わし、わしい!」
ギャア! ギャアー!
返り討ちに遭い即座に逃げ出した。
「キャンキャンキャンキャン」
束になってそれを追いかけ、つつきまくる鴉たち。
ザレムは光の障壁で鴉を弾き、コボちゃんを助けてやる。
「退治するから、待て。いいか、待て。待てたら肉をやるから、待て」
襟首を掴み、後方にひょいと投げる。
受け止めた詩は、重ねてコボルドに言い聞かせた。
「危ないからコボちゃんは下がってて」
不満そうに顎を突き出し歯をむくコボちゃん。の鼻先を扇子ではたく舞。
「まぁ犬かコボルトか知らないけどお座り、待て。次は助けてあげないよ」
渋々お座りするコボちゃん。
舞は、ユナイテッド・ドライブ・ソードを手に駆け出した。
「ちょっと、あたしのお肉なんだからね! 勝手に食べるんじゃないよ!」
(別にお姉ちゃんだけの物じゃないと思うけど)
内心思いつつ詩も、杖を構えて彼女に続く。
一直線にモツ山へと向かった舞は、地表近くにいる鴉どもの間を一気に駆け抜ける。
何羽もの鴉が一瞬の間をおいて、ばらばらと崩れ落ちる。
「またつまらぬ物を斬っちゃったよ♪」
うそぶく舞。
これを見た他の鴉たちは一斉に、空へと向かって羽ばたいた。
「あっこら! 逃げるなー!」
詩がジャッジメントを放つ。光の杭に突き刺された鴉は、飛び立とうとする姿勢のまま固まった。
拘束の効果が消えないうちに舞は両翼を切り、動きを封じた。
「流石あたしの妹、可愛いし気が利くしお嫁さんにしたいくらいだよ!」
「もう、恥ずかしいよ!」
赤面する詩は続けてセイクリッドフラッシュを放つ。
光の波動に押され空中で姿勢を崩す鴉。
そこにアシェールがブリザードをかけ、なお動きを鈍らせた。
「肉は渡さんっ」
密集地帯に向けにザレムが機関銃を向けた。銃声が響き渡る。
歪虚の体は空中で細切れとなり、地上へと降り注いだ。
轟音に驚いたか、鴉は飛翔の高度を上げる。
攻撃が届かないと判断した真は、刀から拳銃へと武器を持ち帰る。
「当たれ!」
狙うのは翼だ。飛べないように。
バルバロスは落ちてくるそれを、逐一斧で潰してしまう。
その鮮やかな手際を眺めていたリオンの頭に、衝撃が走った。
「あだっ!」
鴉が上空から急降下し襲ってきたのだ。
兜を被っていたので大怪我はしなかったが、結構響く。
「~~このぉ! 大人しく闇に還りなさいっ!」
再度降下してくる滝を、ワンドではしと迎え撃ち、至近距離からファイアーボールを浴びせかける。
アシェールはファイアエンチャントを発動した。
「さあ、ラストスパートですよ!」
ハンターたちの武器に炎が宿る。
幸紅は蹴ってきた鴉の足を掴み、空っぽな頭目がけ燃える拳を打ち込んだ。
骨は乾いた音を立て砕け散る。体は黒煙を吹き上げ、驚くべき速度で腐敗していく。
●
リオンは歪虚の死骸を一カ所に集め、積み重ねた。モツ山の外側部分と一緒に。
「まあ、念のためにということで。汚染されてたらいけないですから」
疑わしきは焼却すべし。ということで、ファイアーボールを浴びせ、焼き尽くす。
それから、もつかみどり再開だ。
舞は手を血まみれにしながら、目ぼしいブツを物色。塊の中から突き出ていた腸の端を握って、ずるずる引きずり出す。
「このヒモもーらいっ」
スプラッタな光景だが、歪虚と日々戦うハンターにとってこの程度のグロさなど取るに足らない。いち早く戦利品を袋詰めし、屋台へ直行。
詩はレバーを重点的に探す。そのついでに、骨もいただいておく。後でコボちゃんにやるために。
バルバロスは大きな手のひらで豪快につかみ取り、バケツにぽいぽい入れて行く。
ザレムは漏れ無く各部位を収集。アシェールは自分の分を確保しつつ、そのお手伝い。
「おーい、アシェール、そっちにコブクロないかコブクロ」
「あ、ちょっと待ってくださいザレムさん。確かさっきこの辺に、それらしいものがあったような気が……」
真もバケツを下げ、好みのモツを回収中。
リオンはといえば、ひと鍋に使う分量とダシ用の骨を確保した後、すぐ屋台に舞い戻った。
厚切りベーコンの鉄板焼きとポテトの付け合わせを食しご満悦なところ、熱い視線を感じた。足元を見やれば滝のように涎を垂らしているコボちゃん。
彼女は食べているものを投げてやった。
噛まずに飲み込むコボちゃん。
数秒遅れて貰ったのが肉ではなく付け合わせのポテトであったと気づき、どういうことだと抗議する。
「わし! わしししし! わしー!」
近くの串焼き屋台にいる幸紅はイケメン店員との会話に夢中。その声に全く注意を向けていない。
「19? 若いのねー。うらやましいわ。私なんて今年でもう27よ」
「ええ!? マジすか!? いやー、そう見えないっすよ! 全然若いっすよお客さん!」
「あらお上手ねえ♪」
代わりにフランクフルトとハンバーグを手にした舞が寄ってきた。
「うるさいなあ、どしたの?」
そう聞くだけで何もくれようとはしない。
アシェールも来た。
「可愛いトイプードルさんですね」
もふり頭を撫でるだけ。何もくれない。
ますます憤激が高まるコボちゃん。噛み付こうかとすら考えるが、幸い詩が来てくれた。
「はい、コボちゃん」
大きな骨を渡されちょっと機嫌が直るコボルド。
続けてザレムが来る。
「ほれ」
レバーの端切れを分けてもらい、かなり機嫌が直ったコボルド。
詩は、もぐもぐしている舞に言う。
「お姉ちゃん、今さっき皆で相談したんだけど、これからハンター支部に行かない? せっかくだからマリーさんやジュアンさんにも内臓料理を作ってあげようと思うんだ。コボちゃんにも」
舞は口の中のものを急いで飲み込み、答えた。
「オフィスの人達にも料理を作ってあげるなんて、詩は優しいね、お姉ちゃん感動したよ! もう……もうあたしの嫁になれーっ!」
「お姉ちゃん止めて恥ずかしいから!」
●
ジェオルジ支部の簡易厨房。
2つの鍋が煮えている。1つはザレムの、1つはリオンの。
前者の鍋も後者の鍋もホルモンたっぷり野菜もたっぷり――特にこのあたりで名産のニラがたっぷり投入されている。
「アシェール、ちょっと見ておいてくれ。俺は野菜炒めの下ごしらえするから」
「はあーい。良い匂いが……誘惑です。しかし、頑張って待ちます」
真は自作煮込みの味を見ている。
「うーん、もうちょっとニンニク入れようかな」
詩はフライパンで豚レバーとセロリを炒め、ウオッカを注いだ。ぱっと燃え立つ青白い炎。
オフィス内に急遽作られた食卓では、舞、バルバロス、幸紅、それから支部職員のマリー、ジュアン、おまけのコボちゃんが控えている。
皆料理が出てくるのを、今か今かと待っている。眉間に大層なしわを寄せているマリー以外は。
「……なんでうちの支部でホルモン大会してるのよ……」
舞が答える。
「そりゃ近いし。設備も一通り整ってるし」
「じゃあ屋台でやったっていいじゃないの……」
台所からアシェールの声が響いてきた。
「あ! 大変! モツの汁が!」
ぷうんと食欲をそそる匂い。
小ぎれいな皿に盛られたレバー炒め、大皿の野菜炒め、煮込み、そして鍋が運ばれてきた。
詩は腰に手を当てて言う。
「向こうにまだまだあるから、一杯食べてね」
舞は箸を持った手を合わせた。
「さぁ、オフィスの人もコボちゃんとやらも、心して食べるがいいよ! いただきます!」
「お姉ちゃん一人で食べ過ぎ!」
鍋に浮くホルモンを気味悪そうにつつくマリーを、ザレムが促す。
「マリーも食べてみなよ。騙されたと思って」
マリーは半信半疑で肉をちょっぴり口にした。それから、思い直したように言った。
「……意外と悪くないわね」
真は感慨に耐えない調子で言う。
「うむ、ジェオルジの肉の美味さはよくわかった」
舞の健闘によりほとんど余りは出なかったのだが、それでも残った分は、彼が全部持って帰ったとのことである。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/03 19:07:12 |
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相談卓だよ。 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/02/03 19:55:39 |