ゲスト
(ka0000)
機甲小隊Pクレープ対ブラブロ
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/01 22:00
- 完成日
- 2016/02/15 23:07
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「へぇえ、そんなことがあるのかい」
極彩色の街ヴァリオスの街角で魔導バイクの整備をしている男がそんなことを聞いています。
「ああ。歪虚の奴、パルムの格好でもしてるつもりなのかな」
整備をしている男の姿を脇で見ながら、ゴーグルの男は答えました。クレープに思いっきりかじりついていますね。
「なるほど。パルムってのはふわふわ浮いてるからなぁ」
「ま、パルムと違ってでかいがね。浮いてるだけじゃなく茶色い胞子をまき散らしながら加速するんだ。魔導バイクぐらいの速度が出るぜ? それで体当たりやら胞子の密度を上げた砲撃なんかして一撃離脱しゃがんだ。なかなか手強い」
どうやらゴーグルの男、変わったパルム型の歪虚にこてんぱんにされたようですね。悔し紛れにもう一回クレープにがぶり。
「なるほど。こっちゃ高速移動の戦闘ができても足元に何かありゃこうなって不利だなぁ」
しゃがんで整備している男は最後のナットを締め上げました。空中移動型とちがい、陸上移動型はこのあたり辛いですよね。
「よし、パンクは直ったぜ。リールの歪みがあるからタイヤそのものもそのうち交換するのが無難だな」
整備を終えて顔を上げたのは、戦場詩人ことダイン・グラマンでした。
ここは、ダインの自転車修理屋台。隣にはクレープを焼く屋台がありますね。
「ありがとよ。そのうち空飛ぶ大型キノコヴォイドの退治依頼がハンターオフィスに出るはずだが……高速戦闘部隊が組めるならここを通してハンターオフィスに依頼するよう推薦しとくぜ。確かここは……」
ゴーグルのライダーはにやりとしてダインを見ます。
「そうだなぁ。どうする、店長?」
ダイン、クレープ屋台に呼び掛けました。
「んあ? そりゃ、困ってる人がいれば頑張るよ。屋台は任せられる人たくさんいるし」
これを聞いたPクレープ店員の南那初華(kz0135)は身を乗り出して応じます。どうやら暇していたようですね。
「つーわけで機甲小隊Pクレープ、出張できるってよ」
ダイン、向き直ってゴーグルの男に伝えます。
「ありがとよ。……しかし、クレープ屋台に身をやつした戦闘部隊か。面白いことやってるよな。とにかく、依頼するはずの村にあんたらの名前を紹介しとくぜ」
そんなこんなで後日、ハンターオフィスに依頼したいという村人がPクレープを訪ねて来ました。
どんな敵だったか改めて話を聞くと、以下のような状況だそうです。
突然村近くに気まぐれに飛んで来た歪虚は、傘の部分が2スクエア四方強、いわゆる四畳半一間程度の面積のあるキノコ型。パルムのようにふわふわ浮くが、傘の一部分が上にめくれてそこから茶色い胞子を噴出することで魔導バイクなどよりも速く高速移動をする。
この移動形態からめくれた部分の反対側がとがり、正五角形の形状となっている。
柄と石突きは空中浮遊により本来の役目はなく、代わりに二股に分かれ石突きの先が大型クローに。全体としてそれぞれ左右の可動範囲を受け持つ大型アーム一対という形状になっている。
敵の攻撃は、
・前面の体当たり(威力極大)
・前部五角形の頂点から発射する収束胞子砲(威力普通、食らうと直後の行動に制限有り)
・巨大アームによる殴り(威力普通)
・巨大アームによる掴み投げ(威力大)
・側面を使っての体当たり(威力やや弱)
・側面の窪みから発射する胞子弾(威力微弱)
に大別されるらしい。
行動高度は四メートル程度らしいが、ある程度被害を受けると傘の株全体から茶色の胞子を噴射して急上昇。上空高くに一時避難しつつ風に流され落ちて来て再度突撃してくるという。
そんな様子からついた名前が、「ブラウンブロゥ」。
略して、ブラブロ。
傘の前部には左右に動いて睥睨するような一つ目が光っているそうだ。
ちょうど村にツーリングに来ていたハンターたちに偵察を頼んだところ、交戦してここまで判明したそうです。パンク修理に来たゴーグルの男もその一人ですね。
村から遠い平原に浮いては気まぐれにふらふらしてるだけで村にはまだ実被害はないんそうですが、気味悪いしいつ村方面に近寄るか分からないから退治してほしいとの事。
果たしてどうしたものか。
極彩色の街ヴァリオスの街角で魔導バイクの整備をしている男がそんなことを聞いています。
「ああ。歪虚の奴、パルムの格好でもしてるつもりなのかな」
整備をしている男の姿を脇で見ながら、ゴーグルの男は答えました。クレープに思いっきりかじりついていますね。
「なるほど。パルムってのはふわふわ浮いてるからなぁ」
「ま、パルムと違ってでかいがね。浮いてるだけじゃなく茶色い胞子をまき散らしながら加速するんだ。魔導バイクぐらいの速度が出るぜ? それで体当たりやら胞子の密度を上げた砲撃なんかして一撃離脱しゃがんだ。なかなか手強い」
どうやらゴーグルの男、変わったパルム型の歪虚にこてんぱんにされたようですね。悔し紛れにもう一回クレープにがぶり。
「なるほど。こっちゃ高速移動の戦闘ができても足元に何かありゃこうなって不利だなぁ」
しゃがんで整備している男は最後のナットを締め上げました。空中移動型とちがい、陸上移動型はこのあたり辛いですよね。
「よし、パンクは直ったぜ。リールの歪みがあるからタイヤそのものもそのうち交換するのが無難だな」
整備を終えて顔を上げたのは、戦場詩人ことダイン・グラマンでした。
ここは、ダインの自転車修理屋台。隣にはクレープを焼く屋台がありますね。
「ありがとよ。そのうち空飛ぶ大型キノコヴォイドの退治依頼がハンターオフィスに出るはずだが……高速戦闘部隊が組めるならここを通してハンターオフィスに依頼するよう推薦しとくぜ。確かここは……」
ゴーグルのライダーはにやりとしてダインを見ます。
「そうだなぁ。どうする、店長?」
ダイン、クレープ屋台に呼び掛けました。
「んあ? そりゃ、困ってる人がいれば頑張るよ。屋台は任せられる人たくさんいるし」
これを聞いたPクレープ店員の南那初華(kz0135)は身を乗り出して応じます。どうやら暇していたようですね。
「つーわけで機甲小隊Pクレープ、出張できるってよ」
ダイン、向き直ってゴーグルの男に伝えます。
「ありがとよ。……しかし、クレープ屋台に身をやつした戦闘部隊か。面白いことやってるよな。とにかく、依頼するはずの村にあんたらの名前を紹介しとくぜ」
そんなこんなで後日、ハンターオフィスに依頼したいという村人がPクレープを訪ねて来ました。
どんな敵だったか改めて話を聞くと、以下のような状況だそうです。
突然村近くに気まぐれに飛んで来た歪虚は、傘の部分が2スクエア四方強、いわゆる四畳半一間程度の面積のあるキノコ型。パルムのようにふわふわ浮くが、傘の一部分が上にめくれてそこから茶色い胞子を噴出することで魔導バイクなどよりも速く高速移動をする。
この移動形態からめくれた部分の反対側がとがり、正五角形の形状となっている。
柄と石突きは空中浮遊により本来の役目はなく、代わりに二股に分かれ石突きの先が大型クローに。全体としてそれぞれ左右の可動範囲を受け持つ大型アーム一対という形状になっている。
敵の攻撃は、
・前面の体当たり(威力極大)
・前部五角形の頂点から発射する収束胞子砲(威力普通、食らうと直後の行動に制限有り)
・巨大アームによる殴り(威力普通)
・巨大アームによる掴み投げ(威力大)
・側面を使っての体当たり(威力やや弱)
・側面の窪みから発射する胞子弾(威力微弱)
に大別されるらしい。
行動高度は四メートル程度らしいが、ある程度被害を受けると傘の株全体から茶色の胞子を噴射して急上昇。上空高くに一時避難しつつ風に流され落ちて来て再度突撃してくるという。
そんな様子からついた名前が、「ブラウンブロゥ」。
略して、ブラブロ。
傘の前部には左右に動いて睥睨するような一つ目が光っているそうだ。
ちょうど村にツーリングに来ていたハンターたちに偵察を頼んだところ、交戦してここまで判明したそうです。パンク修理に来たゴーグルの男もその一人ですね。
村から遠い平原に浮いては気まぐれにふらふらしてるだけで村にはまだ実被害はないんそうですが、気味悪いしいつ村方面に近寄るか分からないから退治してほしいとの事。
果たしてどうしたものか。
リプレイ本文
●
二台の魔導トラックと三台の魔導バイク、そして一騎の重装馬が小高い丘の上で止まった。
「どしたの、ダインさん?」
魔導トラック「オート三輪」の荷台に乗っていた南那初華(kz0135)が運転席から出てきたダイン・グラマンに聞いてみる。
「闇雲に走り回ってもね。広く確認するにゃこのあたりがいいだろ」
「なあ」
ダインが答えたところで、重装馬に乗ったゾファル・G・初火(ka4407)が浮かない声で話してきた。
「ちょっと試してみたいことがあるんだけどな~」
これを聞いた初華、ピンときて目くじら立てる。
「ゾファルさん、まさか捨て身の攻撃するつもり? 危ないよぅ」
「はい、いいよ」
そんな初華に、先に同乗していた荷台から降りて手を差し伸べているアルバ・ソル(ka4189)。紳士である。
「特攻するなんて言ってないじゃん!」
「包囲して敵の攻撃を散らすはずでしたね」
アルバの手を借りて降りた初華に突っ込むゾファル。その横に付けたバイクは、Uisca Amhran(ka0754)(以下、ウィスカ)。事前の作戦を再確認する。
「まず包囲……そして一カ所集中」
別の魔導バイクから下りて寄って来た雪継・紅葉(ka5188)がこくと頷きながら力強く言う。
「敵は大きいらしいから慎重にいきたいわね」
よっ、ともう一台の魔導トラック荷台から飛び降りた七夜・真夕(ka3977)が紅葉の言葉を補足する。
「とはいえ、敵の大きさにもよるかなー」
同じ魔導トラックの荷台に乗る狐中・小鳥(ka5484)は、太腿のホルスターにデリンジャーを収めたり背負った士筒「波瀾」を下ろして確認するなど装備点検に余念がない。敵を見てから決めてもいいじゃない、ということらしい。
「んー」
ここで、真夕と小鳥の乗っていた魔導トラックの運転席から声がした。
メルクーア(ka4005)である。ひょっこりと窓から顔を出している。
「それなら包囲の中心をゾファルさんにすればいいんじゃないかなぁ。で、紅葉さんの言う一カ所集中攻撃は爪でいい?」
「ん……」
メルクーアの視線に小さく頷く紅葉。
「うーん、だったらいいけど」
「サンキューじゃーん。俺様ちゃんが囮になってやっから、うまく囲んでくれなー」
初華もメルクーアの妥協案に納得したようだ。ゾファル、気分が良くなった。
「とにかく、ルンルン忍法とカードの力を駆使して、キノコ型モビルア…浮遊するキノコ歪虚をやっつけちゃいます!」
まとまった話に、改めてルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)が摘まんだ符を構えポーズを取る。いつでも戦闘OKだ。
それはそれとして、ダイン。
「あれかな?」
「間違いないね」
彼の見ていた方を双眼鏡で確認するアルバ。
どうやらブラブロ発見である。
「んじゃ、機甲小隊Pクレープ、出発!」
初華の号令で各自再搭乗する。
この時、紅葉が少し喉を伸ばした。
「怪我しちゃ嫌よ? 紅葉」
近寄った真夕がぎゅっと彼女を抱き締めたのだ。
真夕にそれ以上の言葉ない。
こく、と紅葉が頷く気配を感じ身を翻すとオート三輪の荷台に乗った。
「いくわよ~、Pクレープ・モヒート!」
小鳥と真夕を乗せたオート三輪二号車の運転席でぐっとアクセルを踏み込むメルクーア。
いつもの手応え。
いつもの加速。
「もはや愛車~」
気持ちよくかっ飛んでいく。
「真夕が一緒……」
紅葉も一瞬手を自らの胸に添えると、バイクのアクセル全開。二号車「モヒート」を追い掛ける。
もちろん、ほかのトラックやバイクもこれに倣う。
●
「敵も気付いたようね」
「そうだね……それにしても、またぎょうぎょうしいのが出てきたね」
トランシーバーで連絡し合う真夕とアルバの言う通り、先ほどまでふらふらと目的もなさそうに飛んでいたブラブロが大きく旋回していた。かなりの大きさだ。
やがて、こちらに向かってくる。
「はわわ!? 予想より大きい相手だよっ。うぅ、でも怯まず突撃だよーっ」
真夕の隣でも小鳥が敵の大きさに慌てつつも士筒を構える。
「ゾファルさんが真ん中だね」
ドライバーのメルクーア、左に。
これに呼応し、ダインの一号車は右。
スムーズな連携は、トランシーバーを持つ二人がそれぞれのトラックに乗っているのが大きい。
「小鳥さんが撃つなら私もだねっ」
一号車の初華、デリンジャーを手にする。
「射程が短い。指示は俺が出すからそれまで伏せて……敵のアームの可動範囲も気になる」
アルバ、初華を制した。
「ならば私は左のアームを」
ウィスカ、魔導二輪「闘走」の車体を傾けた。ゾファルの左につけ、ゾファルの重装馬をセンターに据えるつもりだ。
「ブラブロの動きを読んじゃいますね!」
ルンルンは魔導二輪「闘走」の速度をやや落とした。後ろにつけてまずは観察に徹するつもりだ。
「速度や動き方、周囲の状況を把握……うん、情報収集大切」
こくこく、と紅葉も速度を落としこちらは側面に。横からの観察に重点を置くつもりだ。
が、しかし。
「おい、それ早すぎじゃーん?」
ゾファルの言葉は敵の行動ではないッ!
――どっ、どーん!
ふわふわ浮く巨大キノコの傘のみ、という形状の敵が、いきなり前部くちばし状になった部分から収束胞子弾がぶっ放されたのだ。
大きな球状の物体が陣形の整いきらないゾファルたちを襲う。
もちろん、いくら早めの射撃でも、弾足が速くても警戒していた真正面からの攻撃を受けることはない。
ゾファル、この中で一番速度が遅い半面、回避能力が犠牲になっていない分、大きな弾丸をかわすことに成功した。
ただし、それは布石に過ぎなかった。
――ぐわっ! たたたたた……。
「クラゲみたいだし海の中にいてくれればいいのに…。…って、はわわわっ!」
射撃からあまり間をおかず、ブラブロがものすごい勢いで通過しつつ両側面から小さな胞子弾をばらまいたのだ。接敵前に射撃した小鳥、荷台でもろに食らう。
「アルバさん?」
「騎士として、っていうよりは男としてね。女性は守るよ」
初華のトラックでは、アルバが盾を構えてある程度防いでいた。
ちなみに、双方前からだと相対速度は倍になる。
「近いと風圧をもろに食らいますね」
ウィスカ、敵の通過に何もできなかった。体感速度が段違いだったことと、敵の風圧でバイクが煽られてしまったのもある。
「陣形……整えるまでに来たね」
紅葉も振り返る呆れる。
そして最後尾のルンルンは?
「カードを伏せてターンエンド。トラップカード発動……ルンルン忍法土蜘蛛の術! 少し位浮いてたって……きゃん!」
どうやら地縛符を使いたかったらしいが、結界自体は空間も含むが行動阻害は地面接地が前提なので何も起こらず。こっぴどく敵に体当たりされる。
「まずは相手を弱らせた方がいいんじゃない?」
メルクーア、ハンドル切って方向転換。
「姉さま仕込の巧みなバイクさばきで逃がしません!」
ウィスカもアクセルをふかしながらリアを滑らせ回る。
敵も大きく通過した後、再びこちらを向いている。
●
双方ターンしての折り返しラウンド、今度は紅葉がアクセルを噴かせた。
「相手のタイミングを外すの、ボクもできるよ」
どん、と加速。前に出る。
「風よ、お願い」
これを見た真夕、ウィンドガストで援護。
そして紅葉、ブラブロが収束胞子弾を撃つ直前にこちらの射程に収めた。
「真夕が一緒……」
出撃前の温もりを思い出す。敵がアームのクロー攻撃に移るところで急ブレーキしてデリンジャー斉射。
そしてッ!
「だから、いつもよりもっと頑張れる」
先の魔法援護も思い出しつつ、今度は日本刀「石切」を抜刀。
「斬るよ……ボクの本来の在り様、そのままに」
バイクを寝かせつつ敵の繰り出したアームをくぐり、片手で跳ね上げた。
ざっくりと斬り、敵のアームを一本吹っ飛ばした。
そしてバイクを寝かせたまま噴かせて逃走ッ!
「紅葉っ! いける。メルクーア、出して!」
紅葉の奮闘に真夕がその気になった。
「でっかい弾が来るかも……」
「当たらなければどうということはっ!」
小鳥の妥当な意見を気合で何とかするつもりのメルクーア、突っ込んだ。
「行くしかないねぇ」
これを見たダイン、呼応し加速。
その荷台に、アルバ!
「大きければいいものじゃないって事……」
エンブレムナイフを掲げた。彫られた紋章が煌く。
「知るといい!」
ファイヤーボールをすっ飛ばす。積極的だったのはこれを狙っていたから。
――どーん!
火球の爆発は紅葉とのすれ違い戦闘から再加速していたブラブロの勢いをそいだ。
「今だ!」
「使うのは初めてだけど、とりあえず相手に向けて撃てば当たるよね。下手な鉄砲数撃ちゃ当たるっていうしっ」
初華の銃と小鳥の士筒が火を噴くっ。
が、初華の方は射程不足。
「あーんっ。決めたかったのにィ」
「……れ、例外は何事にもあるということデ」
とりあえず、小鳥の射撃は敵をさらに痛めつけた。
「ホノミカヅチ!!」
さらに真夕がライトニングボルト。エンブレムナイフから雷撃が走り敵にさく裂した。
おかげで今回の敵の通過に勢いはない。衝撃波もなく、敵は前に逃げた形だ。
そしてまた最後尾にルンルンがいた。うつむいたままバイクに手を添えている。
傍にはウィスカが立っている。
「王国軍アルテミス小隊登録ハンターのUisca Amhran、出向先とはいえ機甲小隊Pクレープで全力を尽くします!」
名乗りを上げるとワンド「ゴールデン・バウ」を力強く掲げた。
「聴きなさい、聖地を守護してきた白龍へ祈りの歌を!」
朗唱が響くと柔らかい光が膨らんだ。
それに包まれたルンルン、顔を上げた。吹っ飛ばされたが完全に立ち直っている。
「対戦相手が強力なほど、燃えちゃうんだからっ! 私のターン」
引いた符カード、見詰める瞳。
「勝利の栄光を、皆さんに!」
ウィスカの術はここまで。光が収まる。
そしてルンルンの符が発動!
「風雷陣でゴロゴロドッシャーンですっ!」
迫るブラブロをゴロゴロピシャーン!
瞬間、ブラブロが底面から茶色の胞子を一斉に吐き出した。
ふわっ、と上空高く浮く巨体。
その間何も行動はない。無防備なまま風に遊ばれるように浮ききるとゆっくり落ちてきた。
「な、何?」
初華たちが見守る中……着地するや否や再び力強く動き出したのだ!
「狸寝入りしながら体力回復してた、って感じだな、ありゃあ」
警戒して近付かなかったことを悔いるダインだった。
●
その後も激闘が続く。
「よ、っと」
メルクーア、敵と並走して運転していた。
「小鳥、お願い」
「これくらいの距離ならこっちのほうがやりやすいんだよっ。それにこの距離ならはずさないんだよー」
荷台では真夕の期待に応え、小鳥が太腿からデリンジャーを抜いて撃っておいてからダンサーズショートソードで切り上げ。直線的な射撃と影から円を描く斬撃で敵を翻弄する。
「あ……」
とはいえ、敵はアームの力で小技の上から潰そうとして来る。
「これ以上はむりかしらん」
どこん、と叩かれたところで距離を置き防御障壁を出すメルクーア。そのまま離脱。小鳥や真夕は食らったみたいだが深刻なダメージではない。
「ダインさん、敵より遅いじゃない~」
一号車では初華がそんなことを。
「空中はこういうことがないんでね……揺れるぞ」
がくん、とトラックが跳ねた。
「きゃん! ……あっ」
「事後で済まない。揺れる時は頼ってくれ」
転びそうになった初華をアルバが抱き締めて支えていた。
空に浮いているのは相当有利だ。
おっと、さらにアームを振り回したぞ。
そこに割り込む影。
「当たらなければ、どうという事はありません! ……そして、こう近付けば、四方への攻撃は無理ですね」
ウィスカが、これまで細かく味方の体力を奪っていた胞子弾を防ぐべく盾を構えて密着するほど近寄った。
そこにアーム。
かわすウィスカ。
「ん?」
ここで、後方で観察していた紅葉が気付いた。
敵も単眼がぎろりと動いて気付いた。
最高速度で劣るゾファルが孤立していたのだ。
「これは困ったじゃん」
不敵に笑うゾファルは、敵の突っ込みをかわした。
しかし、これで確定的になった。
ブラブロのゾファル狙いが。
ターンして戻って来るブラブロ。
紅葉、これに気付いてゾファルの傍に急ぐ。
いや、味方全員が気付いて近寄っているのだ。
●
だが、これはすべてゾファルの作戦だったッ!
「……やっぱり新スキルは試してなんぼだよなー」
すべては、最初に崩れた鏃型陣形に敵を誘い込むため。
気付けば、向かってくる敵に対し味方はゾファルを戦闘に右翼左翼に続いていた。
「一種の釣り野伏せの変形版じゃ~ん」
振り上げるギガースアックス。
すでにチャージングで勢い十分。
その前に敵のアームが来たッ!
これを巨大斧で受けるゾファル。ここまではいい。
そして、敵の体当たりッ!
「ルンルン忍法五星花!」
「一人では厳しくても二人ならっ……ジャッジメント!」
左右からルンルンとウィスカの行動阻害スキルが援護する。
――どごっ!
受けた斧のまま吹っ飛ぶゾファル。
いや、あまりの勢いのため飛ばされるまで一瞬の溜めがある。
その顔は……。
痛みとともに会心の表情があった!
「全力反撃でいてこましたる」
吹っ飛ばされた勢いも円運動に変えて、巨大斧が下からドスン!
直後、ゾファルはしこたま地面に叩きつけられた。
「アルバ! 合わせて!!」
「悪いね、射程内だ!」
真夕雷撃とアルバのブリザードで追撃。食らいつつ通り過ぎる敵。
「見えます! 私にも敵が見えます!! 敵は再び逃げます」
「うん……上に、だね」
ウィスカと紅葉が敵の次の行動を予言したときだった!
「ほへ?」
初華が素っ頓狂な声を上げた。
何と、敵はそのまま上にブロウせず回頭もせず、まっすぐ飛び去ったのだ。
本格的に逃げたのである。
●
「はい、クレープ焼けたよ」
村に戻り、クレープを焼く初華。
「帰るところがあるのはいいことですが……」
ウィスカ、美味しく食べているのだが表情は浮かない。
「そういやあいつ、何がしたいのか分かんなかったしな」
ゾファルもクレープにがぶり。
「こっちが襲ったのだから、向こうは分が悪くなれば逃げる、か」
なるほどね、とアルバ。
「でも……敵の行動はほとんど確認した」
紅葉、伊達に観察に力を注いでいない。
「それを伝えて次に討伐するしかないわね」
真夕も同調する。
「人々の安全を守るのもプロカードゲーマーの使命なんだからっ!」
ルンルンも力強く頷く。
「アレだけ大きいなら飛び乗って攻撃とか出来そうだけど…振り落とされたら危ないことになりそうだよね」
それだけはしないように、と小鳥も注意点を付け加えるのだったり。
とにかく、完全討伐には至らなかったが後の討伐へ大きな役割を果たしたのだった。
二台の魔導トラックと三台の魔導バイク、そして一騎の重装馬が小高い丘の上で止まった。
「どしたの、ダインさん?」
魔導トラック「オート三輪」の荷台に乗っていた南那初華(kz0135)が運転席から出てきたダイン・グラマンに聞いてみる。
「闇雲に走り回ってもね。広く確認するにゃこのあたりがいいだろ」
「なあ」
ダインが答えたところで、重装馬に乗ったゾファル・G・初火(ka4407)が浮かない声で話してきた。
「ちょっと試してみたいことがあるんだけどな~」
これを聞いた初華、ピンときて目くじら立てる。
「ゾファルさん、まさか捨て身の攻撃するつもり? 危ないよぅ」
「はい、いいよ」
そんな初華に、先に同乗していた荷台から降りて手を差し伸べているアルバ・ソル(ka4189)。紳士である。
「特攻するなんて言ってないじゃん!」
「包囲して敵の攻撃を散らすはずでしたね」
アルバの手を借りて降りた初華に突っ込むゾファル。その横に付けたバイクは、Uisca Amhran(ka0754)(以下、ウィスカ)。事前の作戦を再確認する。
「まず包囲……そして一カ所集中」
別の魔導バイクから下りて寄って来た雪継・紅葉(ka5188)がこくと頷きながら力強く言う。
「敵は大きいらしいから慎重にいきたいわね」
よっ、ともう一台の魔導トラック荷台から飛び降りた七夜・真夕(ka3977)が紅葉の言葉を補足する。
「とはいえ、敵の大きさにもよるかなー」
同じ魔導トラックの荷台に乗る狐中・小鳥(ka5484)は、太腿のホルスターにデリンジャーを収めたり背負った士筒「波瀾」を下ろして確認するなど装備点検に余念がない。敵を見てから決めてもいいじゃない、ということらしい。
「んー」
ここで、真夕と小鳥の乗っていた魔導トラックの運転席から声がした。
メルクーア(ka4005)である。ひょっこりと窓から顔を出している。
「それなら包囲の中心をゾファルさんにすればいいんじゃないかなぁ。で、紅葉さんの言う一カ所集中攻撃は爪でいい?」
「ん……」
メルクーアの視線に小さく頷く紅葉。
「うーん、だったらいいけど」
「サンキューじゃーん。俺様ちゃんが囮になってやっから、うまく囲んでくれなー」
初華もメルクーアの妥協案に納得したようだ。ゾファル、気分が良くなった。
「とにかく、ルンルン忍法とカードの力を駆使して、キノコ型モビルア…浮遊するキノコ歪虚をやっつけちゃいます!」
まとまった話に、改めてルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)が摘まんだ符を構えポーズを取る。いつでも戦闘OKだ。
それはそれとして、ダイン。
「あれかな?」
「間違いないね」
彼の見ていた方を双眼鏡で確認するアルバ。
どうやらブラブロ発見である。
「んじゃ、機甲小隊Pクレープ、出発!」
初華の号令で各自再搭乗する。
この時、紅葉が少し喉を伸ばした。
「怪我しちゃ嫌よ? 紅葉」
近寄った真夕がぎゅっと彼女を抱き締めたのだ。
真夕にそれ以上の言葉ない。
こく、と紅葉が頷く気配を感じ身を翻すとオート三輪の荷台に乗った。
「いくわよ~、Pクレープ・モヒート!」
小鳥と真夕を乗せたオート三輪二号車の運転席でぐっとアクセルを踏み込むメルクーア。
いつもの手応え。
いつもの加速。
「もはや愛車~」
気持ちよくかっ飛んでいく。
「真夕が一緒……」
紅葉も一瞬手を自らの胸に添えると、バイクのアクセル全開。二号車「モヒート」を追い掛ける。
もちろん、ほかのトラックやバイクもこれに倣う。
●
「敵も気付いたようね」
「そうだね……それにしても、またぎょうぎょうしいのが出てきたね」
トランシーバーで連絡し合う真夕とアルバの言う通り、先ほどまでふらふらと目的もなさそうに飛んでいたブラブロが大きく旋回していた。かなりの大きさだ。
やがて、こちらに向かってくる。
「はわわ!? 予想より大きい相手だよっ。うぅ、でも怯まず突撃だよーっ」
真夕の隣でも小鳥が敵の大きさに慌てつつも士筒を構える。
「ゾファルさんが真ん中だね」
ドライバーのメルクーア、左に。
これに呼応し、ダインの一号車は右。
スムーズな連携は、トランシーバーを持つ二人がそれぞれのトラックに乗っているのが大きい。
「小鳥さんが撃つなら私もだねっ」
一号車の初華、デリンジャーを手にする。
「射程が短い。指示は俺が出すからそれまで伏せて……敵のアームの可動範囲も気になる」
アルバ、初華を制した。
「ならば私は左のアームを」
ウィスカ、魔導二輪「闘走」の車体を傾けた。ゾファルの左につけ、ゾファルの重装馬をセンターに据えるつもりだ。
「ブラブロの動きを読んじゃいますね!」
ルンルンは魔導二輪「闘走」の速度をやや落とした。後ろにつけてまずは観察に徹するつもりだ。
「速度や動き方、周囲の状況を把握……うん、情報収集大切」
こくこく、と紅葉も速度を落としこちらは側面に。横からの観察に重点を置くつもりだ。
が、しかし。
「おい、それ早すぎじゃーん?」
ゾファルの言葉は敵の行動ではないッ!
――どっ、どーん!
ふわふわ浮く巨大キノコの傘のみ、という形状の敵が、いきなり前部くちばし状になった部分から収束胞子弾がぶっ放されたのだ。
大きな球状の物体が陣形の整いきらないゾファルたちを襲う。
もちろん、いくら早めの射撃でも、弾足が速くても警戒していた真正面からの攻撃を受けることはない。
ゾファル、この中で一番速度が遅い半面、回避能力が犠牲になっていない分、大きな弾丸をかわすことに成功した。
ただし、それは布石に過ぎなかった。
――ぐわっ! たたたたた……。
「クラゲみたいだし海の中にいてくれればいいのに…。…って、はわわわっ!」
射撃からあまり間をおかず、ブラブロがものすごい勢いで通過しつつ両側面から小さな胞子弾をばらまいたのだ。接敵前に射撃した小鳥、荷台でもろに食らう。
「アルバさん?」
「騎士として、っていうよりは男としてね。女性は守るよ」
初華のトラックでは、アルバが盾を構えてある程度防いでいた。
ちなみに、双方前からだと相対速度は倍になる。
「近いと風圧をもろに食らいますね」
ウィスカ、敵の通過に何もできなかった。体感速度が段違いだったことと、敵の風圧でバイクが煽られてしまったのもある。
「陣形……整えるまでに来たね」
紅葉も振り返る呆れる。
そして最後尾のルンルンは?
「カードを伏せてターンエンド。トラップカード発動……ルンルン忍法土蜘蛛の術! 少し位浮いてたって……きゃん!」
どうやら地縛符を使いたかったらしいが、結界自体は空間も含むが行動阻害は地面接地が前提なので何も起こらず。こっぴどく敵に体当たりされる。
「まずは相手を弱らせた方がいいんじゃない?」
メルクーア、ハンドル切って方向転換。
「姉さま仕込の巧みなバイクさばきで逃がしません!」
ウィスカもアクセルをふかしながらリアを滑らせ回る。
敵も大きく通過した後、再びこちらを向いている。
●
双方ターンしての折り返しラウンド、今度は紅葉がアクセルを噴かせた。
「相手のタイミングを外すの、ボクもできるよ」
どん、と加速。前に出る。
「風よ、お願い」
これを見た真夕、ウィンドガストで援護。
そして紅葉、ブラブロが収束胞子弾を撃つ直前にこちらの射程に収めた。
「真夕が一緒……」
出撃前の温もりを思い出す。敵がアームのクロー攻撃に移るところで急ブレーキしてデリンジャー斉射。
そしてッ!
「だから、いつもよりもっと頑張れる」
先の魔法援護も思い出しつつ、今度は日本刀「石切」を抜刀。
「斬るよ……ボクの本来の在り様、そのままに」
バイクを寝かせつつ敵の繰り出したアームをくぐり、片手で跳ね上げた。
ざっくりと斬り、敵のアームを一本吹っ飛ばした。
そしてバイクを寝かせたまま噴かせて逃走ッ!
「紅葉っ! いける。メルクーア、出して!」
紅葉の奮闘に真夕がその気になった。
「でっかい弾が来るかも……」
「当たらなければどうということはっ!」
小鳥の妥当な意見を気合で何とかするつもりのメルクーア、突っ込んだ。
「行くしかないねぇ」
これを見たダイン、呼応し加速。
その荷台に、アルバ!
「大きければいいものじゃないって事……」
エンブレムナイフを掲げた。彫られた紋章が煌く。
「知るといい!」
ファイヤーボールをすっ飛ばす。積極的だったのはこれを狙っていたから。
――どーん!
火球の爆発は紅葉とのすれ違い戦闘から再加速していたブラブロの勢いをそいだ。
「今だ!」
「使うのは初めてだけど、とりあえず相手に向けて撃てば当たるよね。下手な鉄砲数撃ちゃ当たるっていうしっ」
初華の銃と小鳥の士筒が火を噴くっ。
が、初華の方は射程不足。
「あーんっ。決めたかったのにィ」
「……れ、例外は何事にもあるということデ」
とりあえず、小鳥の射撃は敵をさらに痛めつけた。
「ホノミカヅチ!!」
さらに真夕がライトニングボルト。エンブレムナイフから雷撃が走り敵にさく裂した。
おかげで今回の敵の通過に勢いはない。衝撃波もなく、敵は前に逃げた形だ。
そしてまた最後尾にルンルンがいた。うつむいたままバイクに手を添えている。
傍にはウィスカが立っている。
「王国軍アルテミス小隊登録ハンターのUisca Amhran、出向先とはいえ機甲小隊Pクレープで全力を尽くします!」
名乗りを上げるとワンド「ゴールデン・バウ」を力強く掲げた。
「聴きなさい、聖地を守護してきた白龍へ祈りの歌を!」
朗唱が響くと柔らかい光が膨らんだ。
それに包まれたルンルン、顔を上げた。吹っ飛ばされたが完全に立ち直っている。
「対戦相手が強力なほど、燃えちゃうんだからっ! 私のターン」
引いた符カード、見詰める瞳。
「勝利の栄光を、皆さんに!」
ウィスカの術はここまで。光が収まる。
そしてルンルンの符が発動!
「風雷陣でゴロゴロドッシャーンですっ!」
迫るブラブロをゴロゴロピシャーン!
瞬間、ブラブロが底面から茶色の胞子を一斉に吐き出した。
ふわっ、と上空高く浮く巨体。
その間何も行動はない。無防備なまま風に遊ばれるように浮ききるとゆっくり落ちてきた。
「な、何?」
初華たちが見守る中……着地するや否や再び力強く動き出したのだ!
「狸寝入りしながら体力回復してた、って感じだな、ありゃあ」
警戒して近付かなかったことを悔いるダインだった。
●
その後も激闘が続く。
「よ、っと」
メルクーア、敵と並走して運転していた。
「小鳥、お願い」
「これくらいの距離ならこっちのほうがやりやすいんだよっ。それにこの距離ならはずさないんだよー」
荷台では真夕の期待に応え、小鳥が太腿からデリンジャーを抜いて撃っておいてからダンサーズショートソードで切り上げ。直線的な射撃と影から円を描く斬撃で敵を翻弄する。
「あ……」
とはいえ、敵はアームの力で小技の上から潰そうとして来る。
「これ以上はむりかしらん」
どこん、と叩かれたところで距離を置き防御障壁を出すメルクーア。そのまま離脱。小鳥や真夕は食らったみたいだが深刻なダメージではない。
「ダインさん、敵より遅いじゃない~」
一号車では初華がそんなことを。
「空中はこういうことがないんでね……揺れるぞ」
がくん、とトラックが跳ねた。
「きゃん! ……あっ」
「事後で済まない。揺れる時は頼ってくれ」
転びそうになった初華をアルバが抱き締めて支えていた。
空に浮いているのは相当有利だ。
おっと、さらにアームを振り回したぞ。
そこに割り込む影。
「当たらなければ、どうという事はありません! ……そして、こう近付けば、四方への攻撃は無理ですね」
ウィスカが、これまで細かく味方の体力を奪っていた胞子弾を防ぐべく盾を構えて密着するほど近寄った。
そこにアーム。
かわすウィスカ。
「ん?」
ここで、後方で観察していた紅葉が気付いた。
敵も単眼がぎろりと動いて気付いた。
最高速度で劣るゾファルが孤立していたのだ。
「これは困ったじゃん」
不敵に笑うゾファルは、敵の突っ込みをかわした。
しかし、これで確定的になった。
ブラブロのゾファル狙いが。
ターンして戻って来るブラブロ。
紅葉、これに気付いてゾファルの傍に急ぐ。
いや、味方全員が気付いて近寄っているのだ。
●
だが、これはすべてゾファルの作戦だったッ!
「……やっぱり新スキルは試してなんぼだよなー」
すべては、最初に崩れた鏃型陣形に敵を誘い込むため。
気付けば、向かってくる敵に対し味方はゾファルを戦闘に右翼左翼に続いていた。
「一種の釣り野伏せの変形版じゃ~ん」
振り上げるギガースアックス。
すでにチャージングで勢い十分。
その前に敵のアームが来たッ!
これを巨大斧で受けるゾファル。ここまではいい。
そして、敵の体当たりッ!
「ルンルン忍法五星花!」
「一人では厳しくても二人ならっ……ジャッジメント!」
左右からルンルンとウィスカの行動阻害スキルが援護する。
――どごっ!
受けた斧のまま吹っ飛ぶゾファル。
いや、あまりの勢いのため飛ばされるまで一瞬の溜めがある。
その顔は……。
痛みとともに会心の表情があった!
「全力反撃でいてこましたる」
吹っ飛ばされた勢いも円運動に変えて、巨大斧が下からドスン!
直後、ゾファルはしこたま地面に叩きつけられた。
「アルバ! 合わせて!!」
「悪いね、射程内だ!」
真夕雷撃とアルバのブリザードで追撃。食らいつつ通り過ぎる敵。
「見えます! 私にも敵が見えます!! 敵は再び逃げます」
「うん……上に、だね」
ウィスカと紅葉が敵の次の行動を予言したときだった!
「ほへ?」
初華が素っ頓狂な声を上げた。
何と、敵はそのまま上にブロウせず回頭もせず、まっすぐ飛び去ったのだ。
本格的に逃げたのである。
●
「はい、クレープ焼けたよ」
村に戻り、クレープを焼く初華。
「帰るところがあるのはいいことですが……」
ウィスカ、美味しく食べているのだが表情は浮かない。
「そういやあいつ、何がしたいのか分かんなかったしな」
ゾファルもクレープにがぶり。
「こっちが襲ったのだから、向こうは分が悪くなれば逃げる、か」
なるほどね、とアルバ。
「でも……敵の行動はほとんど確認した」
紅葉、伊達に観察に力を注いでいない。
「それを伝えて次に討伐するしかないわね」
真夕も同調する。
「人々の安全を守るのもプロカードゲーマーの使命なんだからっ!」
ルンルンも力強く頷く。
「アレだけ大きいなら飛び乗って攻撃とか出来そうだけど…振り落とされたら危ないことになりそうだよね」
それだけはしないように、と小鳥も注意点を付け加えるのだったり。
とにかく、完全討伐には至らなかったが後の討伐へ大きな役割を果たしたのだった。
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相談卓 メルクーア(ka4005) ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/02/01 20:58:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/30 23:14:05 |