隊商と鉄仮面、街道を行く

マスター:植田誠

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/04 22:00
完成日
2016/02/16 15:36

このシナリオは4日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング


 今日も今日とて隊商は街道を行く。
 帝国における歪虚との大規模な戦闘があったわけで内情も混乱している。だが、そう言う時こそ流通がしっかりしていないと都市機能がさらに低下する結果を招き、混乱に拍車がかかる。
「まぁ、そういう義務感からとかじゃなく、単に払いがいいからってのもありますよね~」
「身もふたもないこというなって……否定はしないけどな」
「いいじゃねぇか。なんだかんだで国の為にはなってるんだ。胸を張って良いと思うぞ」
 御者と、隊商のリーダー。2人の会話に割り込んできたのは鉄仮面をつけた男だ。
「いやいや、あんたの仕事こそ国の為だろう? 俺ならそんな仕事ゴメンだからな。何しろ……」
「見返りが少ない、だろ? まぁ俺自身退役兵ってのもあるが実際半分は慈善事業さね。で、もう半分は……」
「もう半分は?」
「……ま、趣味かな」
「なんだそりゃ」
 そんなことを話しながら3人は笑い声を上げた。
 鉄仮面の男。彼の名前はエルウィン。その生業は退役兵……特に怪我などが原因で退役した兵士への生活支援だ。
 支援といっても公的な介護やら生活保護的なことをしているわけではない。話相手になってあげたり、村単位で出来る簡単なイベントなどを催したり……言ってしまえば暇つぶしの相手だ。とはいえ、何もしていなければ彼らは往々にして動かぬ自分の身体を嘆いたり、帝国の為に戦えないことを後悔したりとネガティブになりがちだ。そういう鬱屈した感情を定期的に発散させる、そういう仕事も必要なのだ。
 帝国への歪虚襲撃が発生したのはそんな時であった。彼らは退役してもなお帝国の為になることが出来ないかと日々考えている。その話を聞いてはいても経っても居られず、すぐにでも帝都へ向かい復興の手伝いをしたいと言い出していた。放っていては辺境まで行って戦列に参加しよう等と言い出しかねない。そうなる前にエルウィンは帝都へ先発し、彼らの仕事先や仮住まいなどを準備する必要があった。そんな折、帝都へ向かう隊商と出くわし、金を払って相乗りさせてもらっているというわけだ。
 もっとも、帝都に向かう理由はそれだけではなかったのだが……
「しかし、帝都はどうなってるのかねぇ。それに皇帝陛下も……今はカッテ様が皇帝権を代行しているらしいが」
「そうらしいな。まぁ、あの嬢ちゃんがこのまま終わるわけがねぇけどな」
「……嬢ちゃん?」
「あぁ、いや……皇帝陛下が、な」
 ごまかすように顔をそむけるエルウィンだったが……ふと、何かに気付いたかのように後方へ顔を向ける。
「……おいおい、ありゃ歪虚じゃねぇか?」
「何!?」
 エルウィンが指差す方を見るリーダー。そこには確かに歪虚の姿があった。馬に乗ったゾンビ、いわゆるゾンビナイトという奴だろう。その身は甲冑と一体になっており、高い防御力を誇るという。それが計4騎。だがそれだけではなさそうだ。
「……肩に乗ってるの。ありゃ鷹……鷹のゾンビか」
 片目が腐れ落ちそうになっている鷹のゾンビ。それがゾンビナイトの肩にとまっている。ゾンビナイトたちは手に持つ槍を馬車の方へ向ける。同時に、鷹が飛びたちこちらへ向かってきた。
「空と地上からの挟撃ってか? 腐った脳みそしてるくせになかなか楽しいことをしてくるじゃねぇか」
「笑ってる場合じゃないだろ!? 逃げるぞ!!」
 楽しそうに笑ったエルウィンをよそに、リーダーは御者に逃げるように指示を出す。だが、敵の方がこちらより足が速そうだ。すぐに追いつかれてしまうだろう。
(迎撃しかないだろうな。問題は逃げながら戦うか、脚を止めて戦うかだろうが……)
 ゴンゴンと鉄仮面を軽くたたきながらエルウィンは考え……ようとしたが、止めた。
「ま、専門家がいるんだ。判断は任せた方がいいな。そうだろ?」
「……その通りだ。頼む!」
 リーダーは護衛の為に同乗していたハンターたちにそう言った。

リプレイ本文


「ふむ、ワシらの出番がきたようじゃな!」
「まずは出鼻を挫く……タイミングを合わせて!」
 抜刀し意気揚々と構えるディヤー・A・バトロス(ka5743)と、赤く変わった瞳で敵を見据えるティス・フュラー(ka3006)。二人はタイミングを合わせてファイアーボールを使用。ゾンビナイト……ゾンビ馬にまたがる騎士の様なゾンビは、それを回避しようとしたのだろうが急にがくんと動きが鈍る。
「これ以上近づかれても困るのでぇ、コロコロ落馬して下さいぃ」
 星野 ハナ(ka5852)が狙いすましたように地縛符を使用。敵の行動を阻害したのだ。そのままファイアーボールは命中。焼け焦げ崩れる馬。高い威力の魔法攻撃だ。だが、ナイトの方はまだ動く余力があるように見える。
「まさか、こうも都合よく獲物が釣れるとはな」
 それを見て不動シオン(ka5395)
は馬車から飛び降りる。馬がない以上馬車に乗った状態では満足に戦えない。地上で直接戦闘を行おうというのだろう。
「こないだのグライシュタットあたりでもあんな騎士タイプがいたな……なんにしろ、結局はあの人型のやろーをブッ飛ばせばいいわけだろ! 」
「あの呟き……エルウィンさんって公爵さん? まぁこれが終わってから聞いてみようかな」
 岩井崎 旭(ka0234)、メイム(ka2290)も同様。ナイトへと向かっていく。
「ギャンブルはしない主義でネ……とんずらこいて貰うよ、リーダーさん!」
「分かってる! 逃げるぞ!!」
 一方、馬車の方はフォークス(ka0570)に言われるまま加速しその場を離脱しようとする。
「エルウィン様、よろしくお願い致します」
「ん?」
 馬車が離れる寸前、エリス・カルディコット(ka2572)はエルウィンに言った。
「無論、私達で何とか致しますが、最後の砦はエルウィン様でございますよ?」
 退役兵でもまだ役割がある、頼りにしていると伝え、励まそうという考えだ。
「おうよ。だが、できれば俺が頑張らなきゃいけねぇようにはしないでくれよ!」
 その意図が伝わったのであろうエルウィンの言葉を背に受け、エリスは遠のいていく馬車を眺めていた。


 馬車から飛び降りたシオンが向かった個体はすでに大きなダメージを負っている。馬の方はファイアーボールで始末されている。
「だが、良い殺気だ」
 しかしその戦意が衰えた様子は無い。ヘタな動きをとられないように、確実に倒す必要がある。
 シオンは渾身撃を使用して攻撃。ゾンビはすでに焼け焦げた盾で防御。だが、威力の高さに負け盾が破壊される。そのまま攻撃を与える。だが、盾に威力を殺されたか致命傷には至らない。
 盾を破壊されたゾンビは双剣に持ち替えて攻撃してくる。ダメージのせいか動きは鈍っているはずだ……だが、剣劇は想像よりずっと重い。一撃でシオンに大きなダメージを与える。
「くっ、やるじゃないか……こちらも負けてはいられないな」
 再度の渾身撃。ナイトは片方の剣で受けつつもう片方で攻撃。
「良いぞ! その殺気で私を倒してみろ!」
 受けた剣はシオンの力に負けた。剣は取り落とされ、シオンの刀は腕を斬り落とす。
 シオンの方も攻撃を受ける。肩口に深々と剣は突き刺さるが、腕が切り落とされるということは無い。なんとか耐えた。斬り合いはシオンの勝利だ。
「フフ……いい勝負だったぞ」
 笑みを浮かべるシオン。だが、まだ敵は残されている。マテリアルヒーリングを使い態勢を立て直す。
「馬車には近づけさせねぇ!」
 旭は馬を駆り、ナイトの横から吼え猛る爆突風を撃ち込む。以前同型のゾンビと戦った、その時と同じように騎士を吹き飛ばし落馬させるのが狙い。
「……っ!」
 だが、狙いすました槍撃は横薙ぎに振るわれた大槍に妨害される。
「そう簡単にはやらせてくれないってか……」
 回避した旭は敵の後ろから逆サイド、盾側に回り込む。盾なら防御するだろう。そこから爆突風で吹き飛ばすつもり……だったが、向こうも大盾ごと体を寄せこちらを弾こうとする。
「パワー比べってことか? 上等!」
 槍と盾が衝突し、お互いの身体が仰け反る。相打ちだ。さらに旭は攻撃。騎士も迎撃。再度相打ち。撃ち負けない辺り旭の実力がうかがい知れるが、馬の方にも疲れが見える。
「長丁場は不利か……なら!」
 それならばと旭は再度接近。やはり大盾で受けるナイト。だが、同時に馬がバランスを崩す。見ると、片側の足が切断されている。目にもとまらぬ高速の斬撃、ワイルドラッシュだ。ゾンビごと馬の足を斬る作戦に成功。
 だが、至近だったのが災いした。
 落馬するゾンビが落ちる際に旭の馬を掴み、そのまま引き倒される。耐久力の高いゴースロンでも激しいぶつかり合いが続いたことによる疲労もあったのだろう、耐えきれず倒れ、立ち上がってこない。旭の方は無傷で着地。
「……ここからの流れも前と同じか」
 立ち上がりながら双剣を抜くナイト。旭はそれを見ながらリジェネレーションを使用して次なる戦闘へ備えた。
(移動速度、槍の間合い……)
 メイムは正面からゾンビナイトを狙う。鷹の指示を出しているであろうこの敵を先に倒せば、馬車の方が有利になるはずだ。
 だが、槍による攻撃は強力だ。間合いを測る。
「……少し相手の方が長い?」
 これを躱すため逆側、盾の方に馬首を巡らせる。防御される可能性が高い、だが槍側ではこちらが攻撃する前に攻撃を受け……やられる。
「当たれ~」
 突撃してきていたゾンビの側面から、射程に入ったところでワイルドラッシュ。素早い連撃は効果の高い攻撃だ。これにマテリアルリンクの力と光の力を持つ槍が乗ればかなりの効果が期待できる。
 実際ダメージは大いにあったようで、盾で防いだにも関わらずその体躯が揺れる。メイムはそのまま後方へ駆け抜ける。近い距離にいてはまずい。だが、ゾンビの方はすぐに態勢を立て直してきた。さすがに強い。
「足も想定より速い……拙い!」
 離れようとするも横に付かれた状態から離れない。そのまま体当たりを受け態勢を崩すメイム。だが、ゴースロンの耐久力とメイム自身の騎乗技術によりなんとか持ち直す。
「くっ!?」
 反撃しようと槍を振るうが、ゾンビの方はダメージを意に介さず体当たり。メイムの方は盾を破壊するも、その衝撃で落馬する。
 ふらつきながらも立ち上がるメイム。自己治癒を行おうとするが、そこに反転してきたゾンビが穂先を向ける。
 ランスチャージ。加速の乗った重い突きが防御の最も薄い胴部を貫き、押し切られ……ゾンビが急停止するとそのまま後方に吹っ飛ばされる。この攻撃で、メイムは気を失った。
「ゾンビなのに馬に乗れるとは……不釣り合いでございますっ」
 エリスは高加速射撃で馬の足を狙い撃つ。ナイトが盾の位置をずらし防御するが、盾の方が貫通した。威力の高い射撃だ。
「この荷物は、帝国で多くの方が待ち焦がれている大切なものでございます……」
 再度の高加速射撃。今度は盾の無い敵の右サイドを狙う。
「指一本たりとも触れさせません!」
 銃声。
 だがバランスのとりづらい馬上からの射撃。しかも両手持ちのライフル。馬の制動に気を使うとどうしても狙いが甘くなる。結果、太もも辺りを掠めるだけとなった。
「っ……ですが、次は……」
 外しません、と……言葉を継ごうとした時には敵が射程の内側まで入り込んでいた。距離を取る必要がある……が、距離を取ろうにも相手の方が速い。
 ならばと近距離戦に対応するため拳銃に持ち替えるが、その前に槍が突き刺さる。そのまま馬上から突き落とされる。地面を転がるエリス。痛む体に鞭打って立ち上がる。まだ、戦える。拳銃を手に前を見据え……
「あ……」
 視界に入ったのは馬と、それに跨るゾンビナイト。そして、突き降ろされる槍の穂先が、エリスの最後の記憶となった。
 この時点で味方は2人倒れ、敵は3体残り、さらにその2体はなお馬上にあった。


「やはり馬車を狙ってきたようじゃの」
「来るよ、気を付けて! ……それにしても、ハンター相手に鷹匠とは面白いジョークだね」
 馬上から迫りくるゾンビ鷹を視認したディヤー。馬車に乗ったフォークスもそれを確認し、声を張り上げ注意を呼び掛ける。馬車の安全確保が最優先。その為に前衛がゾンビナイトの足止めを行い、こうして距離を稼いでいるのだから。そして、その防衛網を突破し、空から近づいてくる鷹。それに対応するのは自分たちだ。
「攻撃は最大防御ですぅ、先手必勝ブッコロですよぅ」
 口調の割に物騒な発言をしているハナ。だが、言ってることは正しい。受身になっても良いことは無いだろう。
「スケルトンならよく戦ってるんだけど、知らない相手と戦うのは不安もあるわね……」
 馬車に同行、その直衛についているティスはそう呟く。だが、戦闘経験のあるなしはこの場に至っては関係ない。
「やることは変わらないわよね。手は抜けないし……」
 そして、迫るゾンビ鷹を見据える。
「抜けても抜かない!」
 そのまま後方へ氷の矢を放つ。アイスボルトだ。だが、射程ギリギリで放たれた氷の矢を、鷹はやすやすと回避する。
「ならば、自慢の回避機動の範囲毎、焼けばよいのじゃろ?」
 次いでファイアーボールを撃ち込むディヤー。鷹は大きく回避機動を取る。多少爆風を掠めたようだが、まだ問題なく飛べそうだ。
 鷹の方も一斉に翼を矢のように飛ばして攻撃を行う。だが、共に移動している状態だ。翼は馬車の駆け抜けた後の地面に刺さるのみ。
「マーちゃん、この位置キープで走って下さいぃ。私は術に集中するから……」
 ハナはそう言いつつ術に集中……しようとするが、ガクンと馬上の身体が揺れる。
「し、暫く私を落っことさないよう走り続けて下さいねぇ!」
 騎乗技術が他と比べてやや拙いハナ。やはり馬に任せるだけでは走行も安定しないか。それでもやることをやらないわけにもいかない。符を構え、チャンスをうかがう。
(護衛対象は一台たりとも欠かすわけにはいかない。そうじゃないと……)
「オマンマ食いっぱぐれるからね!」
 フォークスは、機関銃で弾幕を張る。回避性能が高いのか、鷹たちは空中で旋回しつつその弾幕を掻い潜っていく。
「的が小さい点…当て難いったらないね」
 だが、この攻撃は敵への牽制が目的でもある。
「今度は……外さないわ!」
「迷うな、灰に還れ!」
 フォークスの牽制射撃で動きの鈍った鷹に、二人の魔法が飛ぶ。先の攻撃では外したが、ティスのアイスボルトは敵の機動力を奪う。当たれば機動力の高い鷹には効果覿面。動きが大いに鈍る。
 そして、ディヤーのファイアアローはゾンビに対して高い効果を発揮する。どちらも状況に沿う魔法を選択し、撃ち込んだ。
 フォークスの的確な牽制も相まって、攻撃は着実に命中し始めた。
 それでも鷹の方は諦めない。それが主人の命令だからだろうか。攻撃を躱し、避けきれず命中。だが無理をしてでも接近、回避。それが、ハンターたちの意図したものだとは気付かない。
「何とか捉えられましたぁ……」
 宙を舞う鷹たちは、いつのまにやら一塊に集められている。そこに、複数の符が飛び、結界を形成する。
「五色光符陣!」
 結界の中にとらわれた鷹たちを強い光が焼く。ディヤーのファイアアローと同様、光の力を持つこの符術も凄まじい威力を発揮する。
 結果、鷹たちは力なくその場に墜落する。
「止めを!」
 フォークスの叫びに呼応し、ディヤーがファイアーボールを撃ち込む。ゾンビは耐久力が高い。確実に止めを刺さなければ再度動き出す可能性が高いのだ。
「フフフ、圧倒的かの我が軍は……む!?」
 一匹、体力がぎりぎり残っていたのか、飛び立ち逃げようと……
「油断大敵よ」
 したが、そこをティスのライトニングボルトが撃ち抜いた。今度こそ倒せたはずだ。
「まだだよ! 周囲の索敵を怠らないでネ!」
 フォークスの言葉に気を引き締めるハンターたち。前衛の仲間との戦闘を避け、迂回してこちらを狙ってくるゾンビナイトがいるかもしれない。あの連中こそ敵の主力であり、それが倒されなければ安心することはできないだろう。


「……これ以上はまずいか」
 ふらつき血を流すシオン。正面から当たる瞬間強打を用い馬の方を倒したのは良いものの、ランスチャージをまともに受けフラフラの状態だ。マテリアルヒーリングもすでに使えない。
「くっ……助けに行きたいけど……」
 旭の方はまだ体力が残されている。リジェネレーションのお陰だろう。だが、今は前後をゾンビに挟まれた状態。片方の攻撃が捌けても、もう片方は捌ききれない。このままでは早晩体力が尽き負けるだろう。
 唯一の救いは、こちらもワイルドラッシュを使い、馬を処理出来ている点か。残された馬はもういない。このゾンビたちが馬車へと追いつくことは出来ないだろう。
「っ……まだ私は戦える……まだ……」
 その闘争心は未だ尽きない……が、その体力には限界があった。ついに攻撃を受け切れず、まともに双剣の2連撃を受け、シオンが倒れた。
「くそぉっ!!」
 吼え猛る爆突風を使い、一体を吹き飛ばしのけぞらせる旭。態勢を崩させてこの1体をまず倒し、少しでも敵の数を減らそうという考え。だが……それは叶わない。
「ぐっ……くそったれ……」
 腹部を貫通している剣、後ろを取っていたもう一体のゾンビが瞬時に近づき突き刺したのだろう。さらに、立ち上がったゾンビが、シオンを倒しこちらへ目標を変えたゾンビが迫る。
 この時点で、旭の命運は尽きていた。

「そんな……」
 ティスは惨状を見て言葉を失った。
 追い付いてこない仲間を心配し馬車と共に戻ってきたハンターたちが見たのは、倒れた4人のハンター。
「まずいね……みんな周囲に気を付けて!」
 フォークスが叫ぶ。倒れたゾンビ馬の姿はあれども、騎士の姿は無い。周囲に潜んでいるのかもしれない。
 ……だが、結果として敵が襲ってくることは無かった。
「どういうことでしょうぅ」
「分からん……この様子からは殲滅できたとはとても思えんのじゃが……」
 訝しむハナと、ディヤー。それに答えたのはエルウィンだった。
「恐らく、馬車を追いかける手段が無くなったんで帰って行った……ってことじゃねぇかな」
 確かに、馬が無ければ馬車には追いつけない。それで諦めるゾンビとは思えないが、そう考えると説明がつくのも確かだ。4人がきっちり馬を倒していなければ今頃さらなる戦闘に晒されていたことだろう。
 単体で高い戦力を持つ敵……それに対し結果として1対1の構図になってしまった。それにより被害が大きくなったという側面はあるだろう。だが、それでも彼らの活躍により馬車は無事だった。多少の禍根は残ったものの、それで満足するべきだろう。
 こうしてハンターたちは怪我人を馬車に乗せ、治療の為近くの町へと向かったのだった。

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MVP一覧

  • SUPERBIA
    フォークスka0570

重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • SUPERBIA
    フォークス(ka0570
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • ピロクテテスの弓
    ニコラス・ディズレーリ(ka2572
    人間(紅)|21才|男性|猟撃士
  • ツナサンドの高みへ
    ティス・フュラー(ka3006
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 鉄壁の機兵操者
    ディヤー・A・バトロス(ka5743
    人間(紅)|11才|男性|魔術師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
不動 シオン(ka5395
人間(リアルブルー)|27才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/02/04 13:49:15
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/03 01:06:02