【刻令】老木と金糸雀、ガレット第二階層

マスター:御影堂

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/08 19:00
完成日
2016/02/15 20:17

みんなの思い出

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オープニング


 王国中部、鉱山に沿って作られた街ガレット。
 良質な鉄鉱石を算出することで知られるガレットは、今、特需の波に乗っていた。
「なんだかよくわからねぇが、チャンスは活かさねぇとな!」
 なお、鉱夫たちは特需の理由はわかっていない様子である。
 王国内で「何か」を作るために、良質な鉄や貴重金属が必要ということだ。鉱夫たちには、関係ない。掘って、掘って、掘りまくるだけだ。

 ガレット鉱山は整備された階層と発掘段階にある階層で分かれている。また、整備された階層であっても手入れされていない横穴がいくつもある。いまだに拡張途中なのだ。
 開拓する中で複雑な構造やマテリアル滞留による歪虚の出現等、多くの障害が発生する。今回の障害は、第二階層にある大空洞で発生していた。
 大空洞は第二階層の中央付近に作られた、縦穴の俗称である。第一階層を抜く形で、鉱山の中でも稀有な、空が見える場所なのだ。
「頼むぜ、姫。歪虚ぐれぇ、スパっと倒してくんな!」
「あのね。私はただの自警団副団長。偵察しにきただけなんだから」
 その大空洞に一人の少女が向かう。
 彼女の名は、ミシェル。ガレット自警団の副団長を務める少女だ。慎ましやかな胸の上に板金でできた鎧を纏っていることから、板金姫と呼ばれている。
「で、例の歪虚ってどいつよ」
 整備された道は、特に迷うことなく通過できる。大空洞に至った彼女の目には、唯一日光が入る場所のために生えた老木と草花、それと小鳥の姿しか見えない。
「いや、姫。あれですよ、あれ」
 鉱夫が指差したのは、小鳥だった。
「あれの、どこが歪虚……」
「よくみてください。小鳥とは、縮尺が違いますよ」
 目を凝らしてみれば、小鳥と思しきものは老木の胴回りほどの横幅。子どもほどの背の高さを持っていた。小鳥ではなく、怪鳥の類だ。
「……確かに……しかし」
「……しかし、なんです?」
 怪鳥を見つめ、ミシェルは肩を震わせていた。
 首を傾げる鉱夫に、ミシェルは震える声で告げる。

「かわゆい」

 怪鳥は、一見して金糸雀のような姿である。冬場だからかたっぷりと羽毛を蓄え、怪鳥はまんまると太っていた。ぷくっとした身体の中に、小粒な目が二つ。小首を傾げるような仕草をこちらに向けていた。

「かわゆいって……姫さん。あれは、歪虚ですぜ?」
「わかっている……だが、かわいいじゃないか!」
 強く主張するミシェルに鉱夫は呆れ顔で、肩をすくめた。緊張感のない二人を前に、雑魔な鳥たちも小首を傾げる動作を繰り返すばかり。
 これなら無害なのではないか、とミシェルが近づこうとした瞬間。老木が激しく揺らいだ。まるで自ら意志を持っているかのように枝葉が動いたのである。
「なっ!?」
 これに驚いたのは、ミシェルだけではない。鉱夫もまた、驚きの表情を見せる。どうやら、老木までも雑魔と化しているとは気づかなかったらしい。
 老木は指揮を執るように、枝を動かす。それに呼応して鳥達が動き始めた。大空洞の闖入者、ミシェルに対して歌うような声を上げて風刃を飛ばす。
 鉱夫を後ろに下げ、手持ちの盾で風刃を防ぐ。仮にも副団長、鉱夫を守りつつ辛くも大空洞から抜け出す。その間際にミシェルは、老木が鳥達に光を与えている様子を見たのであった。


「あの老木って……たしか」
「第二階層の守り主って呼ばれてたな」
「そうよね」
 ミシェルは街まで戻ってきた後の鉱夫の落ち込みを見ていた。
 鳥だけなら落ち込みはしないだろうが、老木は想定外であったのだろう。話が広まるに連れ、あからさまに他の階層の担当者にも影響が出ていた。鉱夫になるものは、誰もが一度は老木に挨拶にいったものだ。
「……えぇい!!」
 ミシェルは模擬剣を思いっきり振り下ろすと、顔を上げた。
「落ち込んでいるのは、私らしくない! 老木を倒して、新しい木を植えればいいのよ!」
 ふんすと張り切りを見せてミシェルは出て行った。
 その背中に、残された団長は小さく告げる。
「その前に、ハンター呼べよ……」

リプレイ本文


 ガレットの鉱道は、冷えた空気に土の臭いがふんだんに含まれている。
 時代が積み重ねられた鉱山の臭いを嗅ぎ、榊 兵庫(ka0010)は徐ろに切り出した。
「……信仰の対象である老木を切り倒さざるを得なくなった鉱夫たちの気持ちはさぞや苦渋に満ちたものなんだろうな」
「きっと苦しいわよね」
 兵庫の言葉を受けて、幸紅(ka5774)も鉱夫たちの心情を推し量る。 
 そこへ星野 ハナ(ka5852)が歩み寄った。
「老木さんが多少なりとも残られるとうれしいですねぇ……木札のお守りとか、作れるじゃないですかぁ」
「鳥を操る上に強化までするんじゃ……ただの木じゃねぇ」
 警戒を露わに告げるのは、フェルム・ニンバス(ka2974)だ。
「木が木じゃねぇな」
「ん?」
 フェルムの発言に、兵庫が振り向いた。
「……違う。今のは気の迷いだ、忘れろ」
 咳払いを一つして、フェルムは仕切りなおす。
「ともかく、気になる木なのは間違いねぇ……今のも違うからな」
 今回の歪虚は、どうあがいても洒落がきいてしまう難敵であった。
「まぁ、危ういのは間違いない。鉱夫の決断を無にしないためにも、きちんと撃破しなくてはならないな」
 兵庫がしめるように告げると、仄かに明かりが見えてきた。
 どうやら依頼に記載されていた空洞が近づいてきたらしい。
「あそこです」
 空洞までの案内役を担うミシェルに促され、全員の視線が光の先へ向けられる。
 そこにいたのは、のんびりと日光で温まる大きすぎる小鳥たちの姿であった。
 ぱっと見えるだけで、四体。
「やはり複数か」
 コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)が、倒すべき敵を見据え呟いた。
 ミシェルは「えぇ」と頷き、
「私も錯乱していたから、きちんと見れていなかったわ」と反省の色を見せた。
「複数いるなら、まとめて倒すだけだ」
 フェルムが告げ、広範囲に攻撃できるフワ ハヤテ(ka0004)やハナが頷いた。
 それにしても、とハヤテは目を凝らす。
「巨大な小鳥とはまたおかしな存在もあったものだ。あれ、かわいいのかい?」
 確認するように振り返ったハヤテに、
「可愛い姿でこの私の心を虜にする気か? 馬鹿め、そんなことで私の戦意を奪えるものか!」
「雑魔退治ってより、伐採作業だなぁ。精々、抗ってみやがれ」
 コーネリアやボルディア・コンフラムス(ka0796)は、小鳥というより敵として認識していた。各々の得物を手に、戦意を高揚させる。
 一方で
「雑魔じゃなけりゃあデカいローストチキンだってのにねぇ」
「乙女心なんぞ食欲の前には、ポイなのですぅ」
 フォークス(ka0570)やハナは、食い気に思考が支配されていた。
 無論、フェルムも「かわいいのか、あれ」と疑問を呈している。
 兵庫に至っては、
「小鳥というのは、あのサイズだから愛らしいんだと再認識させられた」
 きっぱりと述べている。
 ミシェルは冷静になれば、という文句を付しつつ複雑な表情を浮かべる。幸紅はそんなミシェルを宥めるように笑みを浮かべるのだった。

「まぁ、立ちふさがる歪虚は排除するのみだが、な」
 兵庫が槍を携えて、小鳥たちを見据える。その中央に老いた大樹が見えた。
 老木を瞳に捉え、ボルディアが一歩を踏み出す。
「さぁて、お手並み拝見といこうか」
 入り口の際でボルディアは、天井まで届く火柱のようなオーラを身に纏う。膨大な焔にフェルムが風の守りを追加する。
 十全に準備を整えたボルディアが駆け出し、それが合図となった。


 侵入者の出現に、小鳥たちが盛大に鳴き叫ぶ。ボルディアはけたたましい鳴き声の中を一気に駆け抜け、木の下までたどり着く。
 続けて、兵庫と幸紅が空洞へ駆け込む。
「それでは、まずは一発」
 二人が接敵を果たす前に、ハヤテが炎弾を撃ちこむ。兵庫の視線の先、三体の敵が集中する場所へ炎弾は飛翔し、弾けた。
 爆発した焔は一体を巻き込み、二体は飛翔して回避してみせた。
 小鳥たちは、飛翔した勢いをそのままに風刃を放つ。
「少し掠ったか」
 脚元に痛みを感じたが、かすり傷程度だ。向かってきた小鳥めがけて、槍を大振りに振り下ろす。渾身の一撃は、鳥の身体を袈裟斬りに伏した。
 かろうじて生命をつなぎ留めた小鳥は、下がりながら風刃を放つ。他の鳥と三重に放たれた風刃を受けつつ、兵庫は槍にマテリアルを溜めて振りぬいた。
「遠くから狙うってのは、遠くから狙われる覚悟があるってこった」
 槍をもとの構えに戻した時、小鳥に届いた衝撃波が両翼を切り裂いていた。地に落ちたまま、動かなくなる。
 それを見届けると、兵庫はすかさず次の相手へ向き直るのだった。

 兵庫と同時にかけ出した幸紅は、逆側から攻めていた。左舷には一匹。確実に落とすべく駆け寄る。牽制に放たれた風刃を避けつつ、気を練りあげて拳を突き出す。
 小鳥は素早く幸紅の殴打を避けた。降り立った地面へ符が舞い降りる。
「とりあえず歪虚は全部ブッコロですぅ……五色光符陣!」
 ハナのはなった符が、数匹の小鳥を巻き込んで光を破裂させた。目がくらむような光に、一匹が焼かれて揺れ動く。
 目がくらんだらしい。動きの鈍ったところへ、幸紅がすかさず攻撃を加えた。
「今回の私のお仕事は行動阻害ですからぁ……そのほうがみなさん攻撃しやすくなりますしぃ」
 フフッと笑みを浮かべながら次の符を構える。
 見れば接敵していた幸紅が、一撃を見舞い、やや後退していた。風の守りの切れ目を狙われたようである。
「油断も隙もないな」
 念には念を入れ、フェルムが幸紅にウィンドガストを重ねがける。
 幸紅は自身の役割をはたすべく、マテリアルを循環させ傷を癒やす。つかず離れずの距離で、小鳥を後ろへ行かせまいと踏ん張っていた。
「あたしは、あたしにできることを……」


「さぁて、伐採と……」
 滾る紅のオーラをそのままに、ボルディアは樹の根元でハルバードを構えていた。いざと振りかぶった、その時、老木の枝葉が揺れた。
 見上げれば、巨大な小鳥の尻が見えた。
「……っ!」
 苛烈なヒップアタックを風の守りと、自身の腕力で受けきる。横薙ぎに払えば、おかわりといわんばかりに小鳥が嘴を向けていた。
 老木がすかさず小鳥へと力を与え、突撃させる。
 二撃目もかわし、ボルディアは煩わしそうに小鳥を睨めつけた。

「それじゃあ、鉛のファルスでも詰め込んどくカナ」

 飄々とした声が聞こえたと同時に、小鳥へ弾丸が撃ちこまれた。弾丸は冷気に満ちており、小鳥の肉を抉ると同時に動きを鈍らせる。
 フォークスの放ったレイターコールドショットだ。
「Hey Chicken! 鉛の味はどうだい?」
 挑発するように笑みを浮かべ、少し先の鳥へ告げる。小鳥は激情の声を上げたが、老木が枝を動かすとすぐに納めた。
「Eat shit and die! 食われてもいいのかい?」
 もう一発見舞い、小鳥の動きを制限する。
 その間に、ボルディアは刃を老木へと切り入れていた。
「せいっ!」
 鋭く放たれる二つの斬撃――防御するべく出された太枝がばっさりと切り飛ばされる。幹を狙おうとしても、枝葉を盾のように揺り動かして防ぎにかかる。
「まずは剪定かよ……ますます伐採作業だな」
 大きく振りかぶり遠心力を含めて、更に一撃。返すように、二撃目を斬り入れる。二撃目は幹に入り、大きな傷痕を残した。
 老木も怒るように枝葉を振り回す。さながら鞭のような読めない軌道に、ボルディアは硬い装甲の隙間に一撃を叩きこまれた。
「これしきなら……」
 回復するまでもない。
 距離を詰めなおそうと見れば、小鳥が弾丸に撃ちぬかれて散っていた。
「どんなに可愛い姿をしていようと所詮は雑魔……生かしておく理由はない」
 可愛い姿を利用し、人々を虜にして命さえも奪う。
 ――それが歪虚なのだ。
 歪虚の姿について語るミシェルへ、コーネリアは戦闘前にそう語っていた。いきり立つ小鳥の姿に、愛らしさは感じられない。
 同様にいかに愛されていようと、歪虚と化したならば倒さねばならない。
「さて、次は……老木だ」
 マテリアルの込められた弾丸が、老木の枝葉を散らす。まさに老木の死に際を見ているかのようであった。 


 幸紅が対峙していた小鳥は、殴打から逃れるべく飛翔していた。
 頭一つ分上で羽ばたく小鳥めがけて、幸紅は練り上げた気を放出する。放たれた気功波は鳥の翼を穿ち、バランスを崩す。
 落ちたところへ、フェルムが氷の矢を撃ちこむ。冷気に動きを鈍らせた小鳥へ、幸紅がすかさず接近する。突き出された嘴を左にかわし、一気にクローを叩き込む。
 合わせてフェルムがファイアーボールを放ち、焼き鳥が一つ仕上がった。
「終わりよ」
 気を練り上げ燻ぶる小鳥へとどめを刺す。
 地面に伏し、消えていくのを見届けると兵庫の戦陣へ視線を移す。小鳥たちの中央では、派手な光と焔が迸っていた。

「これで最後ですけどぉ、ちょうどでしたねぇ」
 ハナの放った複数の符が結界を作り、残る小鳥たちを光で焼く。重ねて放たれたハヤテの炎弾が、小鳥たちを焔で焼く。
 二重に焼かれた小鳥たちのうち、一体は炭と化して風に消えていった。
 老木が残り少ない枝葉の先で光を作る。ただ一匹残った小鳥へ、光を飛ばそうと枝を振るった。
「させないよ」
 ハヤテがすかさず老木のマテリアルに干渉し、光を打ち消す。
 振るった枝も、コーネリアの狙いすまされた弾丸に撃ち落とされた。
「悪あがきだな。大勢は決している」
 ライフルのスコープから顔を離し、コーネリアは呟く。

 強化を受けられなかった小鳥は、距離を取ろうと翼を広げるが飛び立つことができない。煤けた翼から羽根がほろほろと崩れ落ちる。
 ハナの五色光符陣によって眩んだ目は、接近する兵庫の姿を捉えられなかった。
 突然目の前に現れた相手に、嘴を繰り出すも空を切る。
「その首、いただいた」
 振り上げられた十字槍が一閃、小鳥の突き出された頭に落ちる。叫ぶ間すらなく、小鳥は翼を広げて倒れた。
「戦えば戦うほど、かわいらしくないな……」
 消えていく小鳥を見下ろし、兵庫は息を吐く。
「さて……」
 顔を上げて、老木を見れば幹が大きく傾いていた。
 接近するまでもない。勝負は決していた。

 小鳥がすべて倒されるより、少し前――。
「いい的だネ、穴あきチーズの出来上がりさ」
 弾丸を吐き切ったライトマシンガンの銃口を上げ、フォークスは笑みを零していた。
 老木の幹は弾痕が無数に創られ、枝葉は無残に散っていた。残された枝で小鳥を制しようとしていたが、ハヤテに光は消され、フォークスやコーネリアが振り止めた瞬間に枝を撃ち折っていく。

「そろそろ、最後の仕上げといこうじゃねぇか」

 ボルディアは燃え盛るオーラが自身に吸収されるのを見届けると、少し距離を取った。深呼吸とともに、再び火柱を再燃させる。
 活力に満ちた身体で、大きく踏み出し老木へと得物を振るう。黄金の刃が大穴からこぼれ落ちる日光に照らされ、光を増す。
 輝く刃が二つの軌跡を描く。老木は防ごうと枝葉を伸ばすが、圧倒的に足りていなかった。弾痕をつなぐように刃は幹をぶった斬り、斜め十字に斬線を残した。
 悲鳴のごとく、みしみしと音を立て老木が倒れる。枝を無理から動かし蠢く老木へ、ボルディアは最後の一撃を叩き込んだ。
 幹のど真ん中に振り下ろしたハルバードを引き上げる。
 今度こそ動かなくなった老木を見下ろし、ボルディアは告げた。
「伐採、完了だな」


「老木さんは残念でしたけどぉ、今度の守り主さんは健康で長生きしてくれるように、みんなでパーッと明るくお祝いしながら植樹するのはどうですぅ?」
 ハナは報告を受けて空洞へ遣って来たミシェルに、そう提案をした。
「みんなの心の支えになって、ここが発展しますようにって……お手伝いしますよぅ?」
「そうね」
 ミシェルが何か言おうとしたところで、フォークスが待ったをかけた。
「慈善事業じゃないンでね、そっから先はオプション料金だヨ」
「何か鳥料理を作ろうと鉱夫たちが張り切ってますから、お祝いだけでも……」
 鳥料理と聞いて、フォークスは自身のお腹をさする。
「腹は減っているからな。つま……料理の配膳くらいは手伝うとするか」
 ローストチキンもあるのだろうかと思いながら、フォークスは洞窟を後にする。
 そこへ洞窟内を見まわってきたボルディアが戻ってきた。
「周囲に敵影はなかったぜ。ここでやっても問題ないな」
「……老木も少し葉っぱや細枝が落ちてる程度だな」
 フェルムが雑魔化する前に散ったらしい枝を持って、合流する。もう少し何かあれば、お守りやアクセサリーでも作れたかもしれない。
「ま、変なもんになるかもしれないし、火にくべて供養するかな」

 やや日もくれ始めた頃、新たな苗木の植樹が行われた。
「……この苗木が大木になる迄、ここに居る誰も生きてはいないだろうが」
 植樹の風景を前に、兵庫はぽつりと呟いた。
 厳密に言えばエルフのハヤテは生きている可能性は高い。だが、大樹となるころには森から出られなくなるだろう。ならば同じことと、ハヤテは黙す。
「この木が新たな心の支えになってくれればいいな」

 夕日が大穴から苗木へと降り注ぐ。
 苗木を取り囲むように鉱夫たちが祈りを捧げ、ハンターたちはそれを見守る。だが、それもつかの間、鉱夫の気質か時間の問題か。
「それじゃあ、食べるとしよう!」と誰かが告げた。
「いい焼き加減だ。早速食べよう」
 フォークスたちも鉱夫につづいて、並べられた鳥料理を見る。あの小鳥たちのサイズには及ばないが、まるまるとしたローストチキンまで用意されていた。
 香ばしい鳥料理に舌鼓を打ちながら、ハヤテはふと思う。

「目当ての『モノ』のためにも、良い鉱石が取れるといいな」

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MVP一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテka0004
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 好奇心の一手
    フェルム・ニンバスka2974

重体一覧

参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • SUPERBIA
    フォークス(ka0570
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 好奇心の一手
    フェルム・ニンバス(ka2974
    人間(紅)|14才|男性|魔術師
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士

  • 幸紅(ka5774
    人間(蒼)|27才|女性|格闘士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
フェルム・ニンバス(ka2974
人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/02/07 14:49:54
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/05 09:12:20