神さびる花のメモリア

マスター:尾仲ヒエル

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/10 22:00
完成日
2016/02/17 03:00

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●羊たちの死
「これだ。見てくれ」
 街道の近くに広がる農地。そこに何頭もの羊の死骸が転がっていた。
「隣のじいさんの羊もやられたらしい。人影みたいなものを見たって奴もいるが、これが人間の仕業とはとても思えん」
 死骸はどれも食いちぎられたようなあとがあり、部位ごとにバラバラに散らばっている。
 まるで強い力で引きちぎられたような羊の首を見つめ、農夫が首を振った。
「何か良くないもんがうろついてるんじゃないかと心配なんだ。見つけ出して退治してほしい」

●宿屋の一階
 街道沿いの宿屋。その一階では、数人の男たちが噂に興じていた。
「おい。知ってるか。『朱花の教団』」
「ああ。あれだろ。最近、信者を増やしているとかいう」
「『教主さま』とやらは、黒髪の美人らしいじゃないか」
「お美しいだけじゃないよ。お優しい教主さまは戦に心を痛めて、この間の暴食との戦いで家や家族を失った人々を慰め、彼らの生活を支えてくださっているんだ」
 そこに割って入った宿の主人は、朱花の教団の素晴らしさを力を込めて話す。
「俺のいとこが旦那を亡くしたんだが、教主さまに話を聞いていただいてすっかり明るくなったんだよ」
「よく町で教団の馬車がパンを配ってるわよ。飢える人を少しでも減らしたいんですって。はい。お酒」
 酒と料理を運んできた金髪娘の後ろ姿を目で追いながら、1人の男がおどけるように片方の眉を上げた。
「へえ。そりゃあ良いことだけどさ、本当にそんなおきれいな人間がいるもんかねえ?」
「まあ、優しくて美人ときたら、一度会ってみたいもんだな」
 ぐふふ、と笑い声を上げる男たちに、宿の主人が釘を刺す。
「下心を出したって駄目だぞ。教主さまの傍にはいつもお付きの人間や叔父さんが付いているからな」
 食事をとりながらハンターたちがそんな会話に耳を傾けていると、宿の扉がばたんと開いた。
 宿の中に駆け込んできた商人風の男が叫ぶ。
「た、大変だ! 向こうで馬車が襲われてる!」
 街道で馬車が襲われる場面を目撃したという男は、興奮した様子で説明をはじめる。
 馬車の特徴を聞いて、噂をしていた1人が呟いた。
「……それ、教団の馬車じゃないのか?」

●馬車の中
「ササノハ様は中でお待ち下さい。私が様子を見てまいります」
 横倒しになった馬車の中から、お付きの若者が外に出ていってすぐ。
 ぞっとするような悲鳴が上がった。
 御簾(みす)の間からそっと覗いたササノハに見えたものは、倒れた若者に群がる「何か」の姿だった。
「人間じゃ、ない……?」
 それらは人の形に似てはいたが、口元から突き出した鋭い牙や、刃物のように伸びた爪は、とても人間のものとは思えなかった。
 ぺたん、と腰を抜かしたように座り込んだササノハは、それでも外に向かおうと体を動かす。
「助けなきゃ」
 ピチャ……ピチャ……。
 外からはもう声は聞こえず、何かを咀嚼する音に、水音に似た音が混じるだけだ。
「なんで、なんで動かないの。どうしたら……」
 御簾に向かって伸ばされた腕が下ろされ、動こうとしない膝を叩く。
 艶やかな黒髪に包まれた小さな体の震えは、先ほどから少しも収まってはくれない。
「たすけて……叔父さん」
 まだあどけなさの残る頬に一筋の涙が伝った。

リプレイ本文

「バイクで先行する」
 黒髪をなびかせて八原 篝(ka3104)が魔導バイクを発進させる。
「準備してる時間はないね。魔導バイクぶっ飛ばして駆け付けるよ!」
 続いてレーシングタイプのバイクが飛ぶように走り出す。速度を重視したウーナ(ka1439)のバイクだ。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して絶対救出しちゃうんだから!」
 同時に走り出したルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)の魔導バイクの前部には、符をセットすることのできるカウルが張り出している。
「教団ねえ。装いからして東方の連中が仕切ってるらしいが……胡散臭ぇ話だ。ま、怪しげな異形の輩をブッ飛ばす方が先だあな」
「うん。急いで向かわないと」
 気だるげに呟く文挟 ニレ(ka5696)の言葉に、ドワーフのユウキ(ka5861)が真剣な表情で頷く。タイプの違う2人だが、人を護りたいという想いは一致している。
「為すべきことを為すまでですわ」
 そんな2人に並ぶ金鹿(ka5959)は、これが初めての依頼とは思えないほど落ち着いていた。その自信は、これまで学んできた術への誇りに裏打ちされたものだ。

 敵から少し離れた場所に到着すると、篝はバイクにまたがったまま望遠鏡を覗いた。
「……馬車の外に生存者はいないようよ。死体が2つと敵が6体。3体ずつ遺体に群がっているわ」
「そんな」
「っ!」
 馬車の外にも生存者がいるかもしれない、そう望みを持っていたウーナとルンルンが言葉を失う。
「状況は」
 そこにニレたちが追いついた。素早く情報の共有がされ、作戦が固められる。
「敵の詳細が不明なのが厄介ですが、やれることをやるまでですわね。馬車ごと護衛致しますわ」
 そう言った金鹿の横で、ユウキがロングソードを引き抜く。
「ボクとルンルンで、敵の気を少しでも引いて馬車から離すよ」
「足止めは任せて」
 オートマチックを構えたウーナがセーフティレバーを外すと、小さな信号の意匠が点灯するように光った。
「進路を塞ぐようなら、鉄扇でぶん殴るなり、カードでそっ首を掻っ切るなり、ある程度相手をしてやるさ」
 四辺を鋭く尖らせたカードを持ったニレが、にやりと笑ってみせる。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法ニンジャパワー! 目覚めて貴方のニンジャ力」
 ルンルンが符に口付けて投擲し、味方全員の攻撃力を上昇させる。
 まずはユウキが大声を出して敵の注意を引いた。
「楽しい遊び相手が来てあげたんだから、確り遊んでよ!」
 ルンルンも負けずに声を張り上げる。
「正義のニンジャカードゲーマー花忍ルンルン、ここに参上です! お前達の相手は、私達なんだからっ!」
 のそり、と、手前側にいた2体がつられて動き出した。
 ユウキとルンルンは、2体の気を引きながらうまく馬車から引き離す。
「もし誰か居るんだったら、返事しなくて良いからそのまま静かに隠れていて!」
 馬車にそう呼びかけた篝は、胸の中で犠牲者に謝罪しながら射程に入った3体の敵に猟銃を向ける。
 弾の雨が降り注ぎ、遺体を貪っていた3体の足が止まった。
「こっちも足止めしちゃうよ!」
 ウーナがオートマチックを連射すると、馬車近くにいた残りの敵の足が止まる。
 その隙にハンターたちは、敵の間を駆け抜け馬車を目指した。
「助けに参りましたわ!」
 金鹿がまず声をかけ、続いて御簾を持ち上げたニレが馬車の中を覗いた。
「着物姿に黒い長髪……まさかおたくが教主サマかい?」
 馬車の中のササノハが、こくこくと頷いてみせる。
「思ってたより随分若いな。ま、んなこたぁ今はどうでもいい。死にたくなけりゃあ大人しくしてな。……なあに心配いらねえよ。連中の退治はあっしらの専門だ」
 ニレの口調が柔らかくなる。飄々として見えて、人情に厚くお節介好きな一面があるのだ。
「大きな怪我はないみたいね」
 ウーナがササノハの体に視線を走らせ、素早く馬車の外に戻った。
「もう少しの間だけ我慢なさってくださいまし! 私たち、ハンターですの。言うなればこういったことの専門家ですのよ」
「そう。だから任せておいてよ」
 少しでも不安を取り除こうと、金鹿と篝が声を掛ける。
 外の光景を見せないほうが良いと判断した金鹿が最後に御簾を下ろし、4人のハンターは馬車を守るように陣取った。

 ゆらり、と、敵の体が動き出す。
 使い慣れた拳銃に持ち替えた篝が、近付いてきた敵の胸に弾を撃ち込む。弾は狙いたがわず左胸を貫き、敵が倒れる。
「あら。随分あっけないわね」
 篝の呟きに応えるように、倒れたはずの敵の体が動き、ゆっくりと起き上がった。
 そして胸に大きな風穴を開けたまま歩き出す。
「そう簡単に倒れてはくれねえか。……それなら、ぶっ放せるだけの最大火力をぶつけるだけさね。手近な奴から丸焼きにしてやろうじゃねえの」
 びっ、と音を立てて数枚の符を広げたニレが、風穴付きの敵を狙う。
「火炎符にコンボカードを合わせりゃそれなりに効くはずだ。とっとと灰になっちまいな」
 激しい炎に包まれた敵が咆哮を上げて倒れる。
 黒焦げになった残骸は、すぐに塵となって消えた。
 残りの敵の足止めをしながら、ウーナが声を掛ける。
「ねえねえ、言葉通じる? 歪虚なの?」
 しかし相手はうつろな表情で鋭い爪のついた腕を振るばかりで、言葉の通じる気配はない。
「通じなさそう、か。……ふうん。それならもういいや」
 飽きた口調で言ったウーナの手足に幾何学的な模様が輝く。
 破裂音と共に敵の体に弾丸が埋まり、凶暴なほどの冷気がその体の動きを止める。
「これならどう!」
 動きの止まった敵の頭部を篝が狙う。極限までの集中状態から放たれた弾丸は、敵の頭部を林檎のように軽々と砕いた。
 と、崩れ落ちた敵の後ろから、別の敵が現れ、篝に迫る。
「そうはさせませんわ」
 金鹿が投げた符が、光り輝く鳥へと変わり、篝の前に飛んだ。
 鳥は振り下ろされた鋭い爪を受け止めると、光の粒となって掻き消える。
「そらよ」
 すかさずニレが投げたカードが敵の首に深々と突き刺さった。

 馬車から離れた場所では、ユウキとルンルンが2体の敵を相手にしていた。
 金属音と共に、盾に彫り込まれた螺旋状の溝が敵の爪を受け止める。
「……ったく、斬っても斬っても!」
 苛立つユウキの口調が荒々しいものへと変わっていく。
「ユウキさん! いきますよ! ジュゲームリリカル、ルンルン忍法五星花! 星の光、舞い散る花弁になあれ!」
 ルンルンのバイクにセットされた符が光に包まれ、2体の敵を光の魔法が襲った。衝撃と共に、まばゆい光が敵を焼く。
 視覚を奪われた2体は、唸り声を上げながら腕を振り回した。
「っらあぁ!」
 敵の懐に飛び込んだユウキが、全身の力を込めてロングソードを振るう。
 マテリアルが込められた刃は腹部を両断し、敵は声もなく霧散した。
 その横で、よたよたとした足取りで馬車の方角へ向かうもう一体をルンルンは見逃さない。
「馬車には戻らせないんだからっ。ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術! 符を場に伏せてターンエンド」
 ルンルンが地縛符を使うと、馬車と敵の間に不可視の結界が張られる。
「今です、トラップカード発動!」
 敵が結界に踏み込んだ瞬間、地面がずぶずぶと泥状に固まって足に絡みつく。
「これ以上被害を出さないためにも確り仕留めるよ!」
 そこに追いすがったユウキがロングソードを深々と突き刺した。
 馬車の近くでは、残った敵をハンターたちが囲み攻撃している。
 ふっと息をついて顔を上げたユウキの視線の先、金鹿の体から金色の炎の幻影が立ち上った。
 その炎は散ったかと思えばそのまま蝶へ姿を転じ、ひらりひらりと金鹿の周囲を漂った。
「……きれい」
 ユウキが見とれる中、金鹿が符を放つ。
「身を焦がすは浄化の炎……灰となり巡りなさいな」
 火の精霊の力を宿した炎が最後の敵を焼き尽くした。

「さあて、あらかた片付いたか」
 カードを拾い上げるニレの隣で、ウーナが残念そうに呟く。
「正体を確認したかったけど、消えちゃったね」
「農場に残っていたのと同じ足跡……羊殺しの化け物退治はできたみたいね」
 しゃがみこんだ篝が地面に残った足跡を確認する。この足跡を見せて報告すれば依頼人の農夫も安心するだろう。
 馬車の中では、ユウキとルンルンがササノハに声を掛けていた。
「もう大丈夫です」
 にこっと微笑むルンルンの隣で、ユウキも頷いて見せた。
「うん。もう、大丈夫。周囲に敵は居ないよ」
「ありがとうございます」
 ほっとした表情を浮かべたササノハは、2人に支えられて馬車から降りる。
「ごめんなさい……僕にもっと力があれば」
 遺体のそばにひざまずいたササノハの瞳から、ぽろりと涙がこぼれ落ちる。
「今は何もできないけど、せめて、ね」
 並べた遺体に篝がそっと布を掛け、ユウキが衣服を整える。
「亡き人の形見……って言って良いのかな……そういうモノはボクが一応回収しておくね」
「ありがとうございます」
 そんな2人にササノハは深々と頭を下げた。
「幾ら悔やんでも、死んじまった奴は生き返りゃしないんだ。せめて丁重に弔ってやんな」
 ニレの言葉に素直に頷き、ササノハが着物の袖で涙を拭う。
「どうか2人の魂に平安が訪れますよう――」
 両手を組み合わせたササノハが祈りの言葉らしきものを呟く隣で、ハンターたちも黙祷を捧げる。
 篝の提案でひとまず馬車に戻った一行は、元気のないササノハを座らせた。
「あー。手、怪我してるじゃない。ほら。早く見せて」
 ウーナが応急手当を始めた右手の甲には、鮮やかな赤い花の形のアザが浮かんでいる。
「わあ。きれい。お花みたいですね」
 花の好きなルンルンが気付いて声を上げた。
「ありがとうございます。男なのに変かもしれないですけど、褒めていただいて嬉しいです」
 馬車の中に沈黙が訪れる。
「ん?」
「え?」
 ササノハの顔をハンターが一斉に覗き込んだ。
「……男の子?」
「は、はい。こんな格好なのでよく誤解させてしまうのですが、男です」
 ハンターたちの勢いに少々怯んだ様子のササノハが、こくこくと頷いて見せる。
 その外見はどう見ても深窓の美姫という風情であり、一見しただけでは少年と分かりそうにもない。
「……なーんだ。『僕』って言ってるから、ボクと同じなのかと思ったら男の子だったんだね」
 ユウキがふふっと笑う。
「ボクはユウキ。宜しくね」
「わたしは篝」
「ニレだよ。ま、よろしく頼まあ」
「あたしウーナ!」
「金鹿と申します」
「私は人呼んでニンジャキャプタールンルン! ルンルンって呼んでくださいね」
 個性的な自己紹介の数々に、ササノハがくすっと笑顔をこぼす。
「……ササノハと言います。宜しくお願い致します」
「ね。あたし、ササノハに色々と質問してみたいな」
「質問?」
 身を乗り出すウーナに、ササノハが不思議そうに首を傾げる。
「ササノハって教主なんでしょ。なんで教主してるの?」
「ええと、何から話したらいいのか。……自分ではよく分からないんですけど、小さい頃から僕には癒しの力があるらしいんです。その力で少しでも困っている人たちの役に立てたらと思って教主をさせていただいています」
「ボクも教団の話は殆ど知らないんだ。教団は主に何をしてるの?」
 自分とそう歳の変わらなそうな子が教主をしている教団。不思議に感じたユウキが尋ねる。
「そうですね。色々やっていますが、今はまだ帝都が大変な状況ですから、炊き出し……パンを配ったりしています」
「パン? お金とか大丈夫なの?」
「はい。お金のことは叔父さんに任せているので大丈夫です」
 現実的なウーナの質問に答えるササノハの声はあどけなく、叔父への信頼に満ちている。
「……怪しいねぇ」
 ササノハには聞こえないほどの小さな声でニレが呟くと、隣にいた篝が応じた。
「何も知らないササノハを騙して教祖なんてものに祭り上げてるって事なの? だとしたら、こんな普通の子に、いったい何を背負わせようってのよ……!」
 そんな会話がなされているとは知らないササノハは、ウーナの次の言葉に顔を輝かせていた。
「友達いる? いないならあたしがなろっか?」
「いいんですか? 僕、お友達ができるの初めてです」
 本当に嬉しいのだろう。ササノハの白い肌がほんのりと桜色に染まる。
 その言葉に引っかかるものを感じ、篝が尋ねた。
「初めて? ……もしかして、あなたも地球から転移してきたの?」
「いえ。違います。あの、篝さんは地球からいらしたんですか?」
 子供らしい好奇心に瞳を輝かせるササノハに、篝が故郷について話そうとしていた時、変わった鈴の音が聞こえてきた。
「あ、うちの馬車が来たみたいです」
「迎えに行ってくるよ」
「ボクも行きます」
 ハンターたちが教団の馬車を迎えに出た後、その場に残った金鹿はササノハの呟きを聞き取った。
「2人の家族に……僕はなんと言えば……」
 残された家族に2人の死を伝えることを考えているのだろう。ササノハの顔が曇る。
「……酷なことを言うと私のことを責めて頂いても良いですわ」
 そう前置きして金鹿がササノハに語りかける。
「貴方は教主として様々な話を聞いてきたのでしょう? ならば、貴方自身が、導き示す立場の者がまず強く在らねば。暫しの間涙に濡れる日々を過ごしたって良い、それでも最後の最後にはしゃんと立ち上がらなければ。貴方はきっと強い子ですもの……出来ますわね?」
「……はい」
 金鹿の言葉にササノハの表情が引き締まる。
「ササノハさま!」
「御無事ですか!」
 馬車から出て信者たちに取り囲まれた時には、ササノハの表情は教主としてのものに切り替わっていた。

「あなた方が教主を救ってくださったのですね。感謝致します」
 黒髪の男がハンターたちに頭を下げる。言葉こそ丁寧だったが、これ以上関わるなと言わんばかりの冷たい表情と態度だった。
「ちょっとあなた……」
 篝が男に食ってかかろうとしたとき、ササノハが駆け寄ってきた。
「叔父さん!」
「教主。御無事ですか」
「……はい。でも、御者とお付きの彼の2人が」
 ササノハの顔に、ほんの一瞬だけ切なげな表情が浮かぶ。叔父と呼ばれた男の態度は、身内のササノハに対してもよそよそしく距離のあるものだった。
「命を救ってくださってありがとうございました」
 ハンターたちに頭を下げたササノハは、まだ何か言いたそうな表情のまま、叔父に促されて馬車の中に入っていった。
「なーんか、大丈夫かな?」
「……強い子ですもの。きっと大丈夫ですわ」
 ウーナの呟きに応じる金鹿の言葉には、そうであってほしいという願いが込められている。
 鈴の音を響かせて去っていく馬車を、ハンターたちはそれぞれ複雑な表情を浮かべて見送った。

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MVP一覧

  • 弓師
    八原 篝ka3104

重体一覧

参加者一覧

  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 豪放なる慈鬼
    文挟 ニレ(ka5696
    鬼|23才|女性|符術師
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 守護ドワーフ
    ユウキ(ka5861
    ドワーフ|14才|女性|闘狩人
  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬(ka5959
    人間(紅)|20才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
八原 篝(ka3104
人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/02/09 22:59:26
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/07 07:29:25