【節V】チョコレート解放戦線異常なし

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/11 19:00
完成日
2016/02/15 19:53

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング



『突然だけど、今年のヴァレンタインデーを再開する!』
『『『な、なんだってー!!!』』』


 カカオ減産、そして高騰に伴うチョコレートの供給危機を前に、ハンターズソサエティのショップ店員シルキー・アークライトが敗北し、ソサエティショップ史上初のチョコレート販売停止がなされた事は記憶に新しい。
 アカシラが偶さかカカオ豆の原生地を知っていた事から、突如として執り行われることとなった【長江】への進撃は、破竹の勢いを見せた。実に百名を超えるハンター達による怒涛の侵攻に、現地の歪虚達は手も足も出なかった。結果として、ハンター達は東方の支配地域に食い込み、西方へのカカオの供給を回復させしめたのである。

 東方での争乱は、西方へも確かな影響を与えていた。西方に溜めこまれていたたカカオ豆は値下がりを免れず、爆発的な勢いで在庫が掃きだされることとなったのだ。カカオ豆は徐々に適正価格に近付いて行き――ついに、チョコレートの流通が、回復したのである。

 バレンタインデーというハートウォーミングでキャッチ―なイベントを前にして届いた朗報に、市井には喜びの声が溢れたという。
 尤も、裏方は血の涙を流しているかもしれないのだが。

●天ノ都とアカシラ
 ハンターズソサエティ本部に報告を終えて、紡伎 希(kz0174)は書類の束をファイリングする。
 初めての一人旅。その旅先で依頼の初受注。一通りの業務内容の研修を受けてはいたが、まさか、すぐに行う事になるとは思いもしなかった。
「ちょっといいかい?」
 唐突に呼び掛けられて顔を見上げると、そこには一人の鬼の女性。
 女性らしい豊かな膨らみを惜しげも無く強調したかのような際どい服装が目立つ。思わず――ごくり――と生唾を飲み込む、希。
 対して自分の胸は鳩マッチョの胸にも及ばないというのに……。
「アンタ、ハンター達の……なんていったか、アレだろ、ほら……」
「……はい。私は、ハンターズソサエティ受付嬢の紡伎 希です」
「そうそれだ! その服装は目立つからなァ」
 そんな事を言う鬼の言葉をそっくりそのまま返したい気持ちを希はぐっと堪えた。
「アタシはアカシラ。悪いが、ちょっと仲間が欲しくてねェ」
 長江一帯はカカオ豆の生育域であると同時に憤怒の歪虚の勢力域でもある。
 グラズヘイム王国からの軍資金と戦力で、長江一帯を歪虚の手から取り戻す作戦が開始された。
 作戦は順調だ。ただし、長江は広い為に討ち洩らした残党も多い。
 ハンター達が解放した最前線から運び出されるカカオ豆の輸送ルートの安全性は確保しなければならない。
「……そういうわけで、結構な範囲を制圧する必要があるのさ。ただ、アタシはちょっと離れないといけなくてね」
「事情は分かりました」
 広げた地図を確認しつつ希は契約の書類を取り出す。
 しかし、なんと広範囲だろうか。これほどの範囲となるとな、それなりの人数が必要だ。少なくとも10人以上の覚醒者は必要だろう。
「……費用の方はありますか?」
「あ?」
「え……」
「あー、はいはい、金子かい。それは王国のヘクスってやつにつけといてくれるかい? ナシはもう付けてあるからさ」
「分かりました。長江への遠征依頼の件は私も知っていますので、確認が取れ次第、依頼手続きを開始します」
 胡散臭さを感じたが、確認すればすぐに分かる事。
 確認するまでに、それなりの時間を費やす事になるだろうという希の予想は、翌日には覆される事となる。

●天ノ都とソルラ
「ノゾミさんの一人旅の邪魔をしにきた訳ではないですよ」
 ソルラ・クート(kz0096)が言い訳するように希に言った。
 王国騎士である彼女の本来の役目は王国内に潜伏する歪虚を追跡・撲滅する事だ。それが、なぜ、東方にと希が思うのも無理はない。
「たまたまリゼリオに滞在中だったのが私だったというだけです」
「それで、ソルラ様だけが来たのですね」
 軍資金と戦力を捻出するという話しだったグラズヘイム王国だが、度重なる遠征が続いた赤の隊。北方動乱を治めて戦力の再編成中の青の隊。そこへ、テスカ教団の件が加わって、十分な戦力を東方に送れない事情があった。
 主戦力はハンターに頼りっきりであるが、体面上の問題で、王国も騎士団を派遣する必要があったのだ。そこで、リゼリオに滞在中だったソルラに白羽の矢が立つ。
「小隊員全員が覚醒者という訳でもないので、とりあえず、私だけ……ですね」
 そういう事で、外交上の都合というわけだ。
 コホンと咳払いを一つしてからソルラの言葉は続く。
「私はすぐに王国に戻らなければならないのですが、それなりに成果をあげないと体面もありますので、どこか、手軽な一帯を制圧したいのです」
「……ソルラ様は、アカシラ様の事をご存じですか?」
「直接の面識はないですけど、ヘクス卿から手伝うようにと言われているわ」
 言いたくなかった人物の名前を言ったからだろうか、ソルラの表情が一瞬、堅くなる。
 一方、希はソルラの話しを聞き、サッと契約の書類を用意した。
「その『手軽な一帯』については、アカシラ様よりお聞きしています」
 希の言葉にソルラは目を丸くして感心した。
「凄いですよ、ノゾミさん! そんな事まで把握しているなんて!」
「受付嬢として当然の事です……フフ」
 自信満々の表情の希にソルラは笑顔を向けた。
「それじゃ、ノゾミさん、依頼をお願いしようかしら」
「はい。貴方のノゾミ、叶える事ができますよ♪」

●天ノ都とハンター達
 作戦室の正面には広大な範囲を示す地図。
 その地図を希は指示棒で差しながら説明していく。
「今回の目的は、長江西と呼ばれる一帯の制圧になります」
 長江の西側に広がる湿地帯だ。
 湿地帯だが、言うほどぬかるんでいるわけではない。
 支流の多くが何本も入り組んでいるという表現の方が正しいかもしれない。
「この一帯に潜んでいる雑魔や歪虚の掃討戦となり、細かい作戦内容は皆様にお任せとなっています。私は戦闘には参加せず、拠点にて待機していますので、なにか、あれば連絡いただければと思います」
 深く頭を下げて一礼した希に変わるようにソルラが前に進み出た。
「皆さん、今回は作戦への参加、ありがとうございます。グラズヘイム王国騎士団青の隊所属ソルラ・クートと申します」
 サイドテールを揺らしながら軽く会釈をしたソルラは、ハンター達全員を見渡した。
 そして、満足そうに笑顔を向ける。
「今作戦は私も同行致しますので、よろしくお願いします」
 こうして、作戦は開始されるのであった。

リプレイ本文

●拠点付近
 各方面に向かって出発する中、ソルラに1人の少女が近付いた。
「ごきげんようですわ、お姉さま。はじめましてですのー」
 チョココ(ka2449)が丁寧におじぎをする。
「えっと……チョココさんですね。アルテミス小隊のソルラです」
「アルテミス小隊? 入ると楽しいですの?」
 何気無いチョココの質問にソルラは思わず苦笑を浮かべる。
「そうですね……どちらかというと、楽しいかも……ですよ。チョココさんのお名前も書かせて頂きますね」

 ――そんなやり取りを思い出しながら、チョココは双眼鏡で辺りを見渡す。
 多くのハンター達は広大な一帯に向かって出発したが、数名は拠点付近に残っていた。チョココもその一人である。
「なんですの?」
 双眼鏡を外し、目を細めてみた。

 チョココが見たのは、椅子とテーブルとテント。
 せっせと、一人のハンターがそれらを組み立てては設置していた。

(姉さんは南西部か……)
 意気揚々と南西の方向に向かって出発した姉の事を、央崎 枢(ka5153)は思い出した。
 彼は長江に降り注ぐ日差しから仲間達が寛げるようにと、拠点近くに休憩スペースを作っている。
「なんだ?」
 興味深そうに近寄ってきたチョココに気がつき、枢は訊ねる。
「お邪魔しにきたのー」
「そうか。ゆっくりしていってくれ」
 さっと、椅子を用意した枢の勧めに従って、チョココは微笑みながら腰をかけた。

 二人がゆっくりしたのも束の間、遠くから何か奇怪な叫び声が響く。
『オ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛……』
 咄嗟に戦闘準備に入る二人。
 枢が剣を構え、チョココは杖を握る。
 藪から姿を現したのは、鳩――の頭を持つ筋肉マッチョな人型の雑魔であった。
 鍛え抜かれた大胸筋がピクピクと動いている。
「動きが怖い! 来るな!」
 思わず叫んだ枢の言葉なぞ、聞く耳も持たない。
 複数の雑魔が襲いかかってきた。
「攻撃ですのー」
 間延びしたようなチョココの声と共にファイアーボールの大爆発が起こる。
 何体かが吹き飛んだ所で、枢が素早い動きで斬りつけた。枢が姿勢を整えると、チョココが次にブリザードの魔法を唱える。
「熱した後に、冷却か」
「雑魔チョコレートの完成ですわー♪」
 枢の言葉にチョココが楽しそうに答えたのであった。

●北東方向
 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)はゴースロンを駆りながらソルラとの会話を思い出していた。
『客員ですか? ……でも、アルトさん!』
 その時、アルトは差し出されたソルラの手を握った。
 【黒祀】の頃に出逢った仲だ。直接、依頼で一緒になる事は少なかったが、ソルラにとっては大切な縁なのだろう。
『アルトさんは自由で良いと思うのです』
 小隊やら組織やら、そういう事は関係なく、高みを目指して欲しいという一人の友としての願いだった。
(ボクは、公的な組織に縛られれるのはたぶん無理だ。けど、一生懸命なソルラの力になりたい)
 結果的には今まで通りのお互いの立場に変わりはない。
 逆を言えば、既に『そういう縁同士』とも言えるだろう。
 気を取り直し、鋭い視線を周囲に向ける。
「広い、な。これは、効率よく回らないと」
「かなり広い範囲に渡っての掃討みたいだし、確かにこれは人手が必要みたいね」
 重装馬に乗ったユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が並んで並走して来て応える。
 二人が言う通り、長江西と呼ばれる一帯は広範囲であった。あらかじめ探索区域を決めていなかったら、一筋縄ではいかなかっただろう。
「これは、思った以上に骨が折れるわね。出てくる雑魔はムキムキマッチョな鳩という、何とも珍妙かつ不気味な奴だし……」
 ユーリが苦虫を噛み潰したような表情を、新たに出現した雑魔に向ける。
『『オ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛……』』
 カカオ豆を狙っているのはハンター達だけではないという事だ。
 手綱を巧みに操り、雑魔の群れへと方向を変えたユーリが気合いの掛け声と共に駆け出す。白銀色の長い髪が風に流れる。
 青白いマテリアルの雷を纏い、蒼刀を振り抜く。
 それだけで、雑魔の一体が斬り吹き飛ぶ。
 勢いを止める事なく走り抜けると再び駆け直す。雑魔といえども、囲まれると油断ならないからだ。
 その時、後方からミオレスカ(ka3496)が放った矢が、美しい弧を描いて雑魔に突き刺さる。
「これでも、猟撃士ですから」
 湿地帯の中、戦場で騎乗するために調教された馬に跨りながらの騎射だ。おまけに前衛の仲間とは距離も離れている。
 それでも彼女の放つ矢は的確に雑魔に突き刺さる。
「アルトさん、今です」
 放つ矢に冷気を纏ったマテリアルを込める。
 これに撃ち抜かれたら、体の動きが阻害されるのだ。
『ォ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛……』
 震えるように超高速の小刻みをみせた鳩マッチョ。
 その隙を前衛の二人が見逃すわけがない。アルトが電光石火の速さで刀を繰り出し、ユーリが白雷を纏った刀を振り落とす。
 3人は雑魔の群れをあっという間に退治していった。

 同じ北東方向を進むオウカ・レンヴォルト(ka0301)と十色 エニア(ka0370)も雑魔との遭遇戦を繰り広げていた。
「……ふむ、こいつの切れ味を試す良い機会だ、な」
 背が高いオウカよりも更に長い刀。物干し竿ではない。
 邪悪な魔物を斬るために打たれたと言われる一振りだ。
「やっぱり、スカートの丈が短いよね、これ」
 一方のエニアはアルテミス小隊の制服であるワンピースの裾に一瞬だけ、視線を向ける。
 ゴースロンが疾走する速さにスカートがなびく。
 気を取り直して、魔法を唱えた。
 強力な緑の風が羽の様にも見え、服装も相まって、エニアは美しい妖精のようにも……見える。
「ん、まとまって、来た、な」
 オウカが刀を向けた方向。
 雑魔が数体で固まりつつ、胸を強調して迫ってくる。胸(筋)の軍配は雑魔の方が上だ!
「胸筋が立派だし、おいしいチキンが出来るかな?」
 そんな事を言いながら火球の魔法を唱えた。
 大爆発を起こすが、残念ながら焼き鳥にはならない。
「よし、やってみる、か」
 辛うじて生き残った雑魔にオウカが接近しながら刀にマテリアルを込めた。
 次の瞬間、ただでさえ長大な刀が、機導術で更に巨大となった。虚を突かれた雑魔はそのまま刀先で貫かれた。

 粗方、北東方向の雑魔を討伐し、北東方向を探索していたハンター達が合流しての帰路の最中、一行はカカオ豆が群生している一帯をみつけた。
 元々自生は少ないかもしれないという事だったので、運が良かったかもしれない。
「ん? カカオ豆みたいね。折角だから持っていきましょうか」
 ユーリの言葉にアルトも下馬してカカオ豆を採取する。
 この様子なら、長江西一帯、くまなく探せば、他にも群生している所が見つかるかもしれない。
「カカオも今売れるからね」
 さすがにゴールドカカオは見当たらないが、それでも、良い成果と言える。
「それにしても、凄く過剰戦力だったね」
 エニアが馬から降りながら苦笑した。
 一行を見るにこのまま歪虚退治に向かっても問題ないようなメンバーだと感じる。しかも、北東方向だけの話しではない。他の方向に向かった仲間達も経験も力量も豊富な人達がいる。
 今回の依頼で、ハンター達が長江西を制圧すれば、東方に住む人々も勢力域の拡大が狙える。単にカカオ豆だけが目的とはなってはいない。
「これも、東西交流の架け橋ですね」
 ミオレスカが嬉しそうに呟いた。
 その呟きに、エニアがカカオ豆を取りながら口を開いた。
「チョコレートを交換し合うというのも楽しいかも」
「それも、良いかも、な」
 オウカが追随するように頷いた。
 東西交流でそういう事があっても面白いかもしれない。
「私は、みんなで、美味しく食べられれば、嬉しいです」
 ニッコリと笑って言ったミオレスカの手には、カカオ豆が一杯だ。
 これが、東西交流を促す一つの物となって、人の輪を繋げていく。そう考えると感慨深い物である。

●拠点付近
「星輝様は前線に行かれないのですか?」
 希の言葉に星輝 Amhran(ka0724)は柔らかい表情を向ける。
「是非ともワシも討伐に出たいのじゃが、拠点の留守番や雑用なども必要じゃろぅ? 婆に裏方は任せるのじゃ~」
 一帯からの連絡のまとめや拠点付近の整備等を手伝いつつ、星輝はそういう言い訳にして拠点に居た。
 初めて希と出逢った時の事を思い出しながら、様々な障害を乗り越えて成長した希の姿を見ていると、どうも、義妹と同じ様な視線になり、頬を緩んでしまう。
(こう、イスカばっかり仲良くなってうらやましい感があるのぅ)
「どういたしましたか、星輝様?」
 星輝の熱い視線に気がついたのか、希が心配して来た。
「なんでもないのじゃ。十鳥城の事で考え事をしていたのでな」
「フフ。星輝様は、いつでも、頼りなる御方ですね」
 軽く誤魔化しつつ、星輝の脳裏にオキナが浮かんだ。
(次は一体、なにを考えてるのかのう……)
 オキナ曰く、ハンター達は試練に打ち克った。だから、希は今、ここに居る。
 それでは、次の試練は果たして如何なる試練なのか。星輝は西方を望みながら、そんな想いを馳せていた。

●南東方向
 その喜劇は、拠点から出発する間際、ちょうど、ヴァイス(ka0364)が希の頭を撫でていた時だ。
「東方での活動、お疲れ様だな……また大きくなったか?」
「そう……ですか。ありがとうございます」
「これからも、宜しく頼むぜ、希」
 親しげな二人のやりとりを微笑みながら見守るメトロノーム・ソングライト(ka1267)の目の前をごつい天使が駆け抜けて行った。
「よ、米本さん!?」
 過去に受けた精神的なショックの影響で感情の表出が、人よりも少ない時が多い彼女が、この時ばかりは多いに驚く。
 それほどまでに衝撃的な光景だったからだ。
「名前を付けるなら、エンジェルスタイルというべきでしょうか」
 天央 観智(ka0896)がクールに分析をした。
 動じていない辺り、さすが、探究心溢れる科学者だ。魔術師でもある観智は米本に起こった事態がなにか分かっているというのもあるかもしれない。
「そういえば、RBに変身能力を持った登場人物が出てくる物語があったような無かったような気がする」
 日本刀と洋刀の二本を整えながら鞍馬 真(ka5819)が呟いた。
 こちらも、物事に動じていない。というよりも、米本に発生した事をすんなりと受け入れているかのようにも見える。
 背中に羽のようなマテリアルをエニアから付与された米本 剛(ka0320)が走っていたのが発端だ。
 さすがにガタイの良いおっさんの背中に可愛らしい羽が生えていたら違和感がありまくる。
「み、皆さん、ここは、一刻も早く、行くべきです!」
 正確にいうと、一刻も早くこの場から立ち去りたいと言う事なのだろう。愛馬黒風も心なしか怪訝な視線を向けている……気がする。
「早く行きましょう!」
 振り返った剛の姿は、正しく、エンジェル☆剛だった。

 南東に向かって走り出した一行。その先頭を行く剛が気を取り直していた。
「さてと……こんなに繋がりがある方が関わっている案件、頑張らない訳にはいきませんね」
 アルテミス小隊登録ハンターでもあり、アカシラとも関わりがある剛が気持ち新たにする。
 先程までのエンジェルスタイルはすっかり潜め、今は、不動の堅盾・米本 剛だ。
「そうだな。今の所は、雑魔の姿は見えないが、油断せずにいこう」
 ヴァイスも気を引き締める。
 話しに聞くと、長江西に出現する鳩マッチョは大胸筋が異様に発達しているという。
(信頼しているお二人がご一緒なので、とても心強く安心できます)
 最後尾を、戦馬コクトーに乗りながら走るメトロノームが心の中でそんな台詞を発する。
 今まで色々な敵や事件と遭遇してきた。何度、仲間に助けられた事か。
 そんな事を思った時だった。ヴァイスが二人に声を掛ける。
「剛、メトロノーム」
 彼が目配せした先、湿地帯の中で乾いている場所があった。見晴らしもよく小休憩には良いだろう。
 探索範囲が広いのだ。無理せずに休憩も時には必要だ。
「こうしているとピクニックみたいですね」
「雑魔が急に表れても、私が盾になりますから」
 馬から降りたメトロノームが微笑を浮かべ、剛が頼もしい言葉を口にした。
「観智と真の二人も来たみたいだな」
 別方向へ探索に行っていた真を観智を迎えに行っていたのだ。
 手分けをしてこの南東方向を探索できたはずだ。残った所を全員で行けばいい。
「あの、お二人に……」
 メトロノームがヴァイスと剛に向かって遠慮がちに呼び掛けた。
 少女の手に持つチョコレートの包装紙が、キラリと太陽の光を反射した。

「随分と大規模な依頼だな……少しでも、役に立てれば良いが」
 真が迎えに来た観智に言った。
「つつがなく、安全確保できれば……良いですけれど。雑魔や歪虚が、いるらしい……ですからね」
「覚醒者でなければ、危険。という事か」
 ふと引っ掛かりを感じた。
 確かに、輸送ルートの確保でというのは分かる。だが、範囲が広いのも気になる。
 そんな真の思いを汲み取ったのか、観智がある推測を口にした。
「RBのある古代帝国は、隣国に攻め込むのは、次へと続く布石でもありました」
「……つまり、この長江西の制圧は次があると?」
 真の言葉に観智が口元を緩めた。
 そういえば、今回の依頼を取り纏めた受付嬢の希は、東方での他の依頼に関わっているという話しだ。
「その次が、僕達に関係しているかは分かりませんが」
「まぁ、今は、鳩胸野郎の撃破に専念だ」
 視線の先、仲間達が休憩している先に雑魔の姿が確認できたからだ。

 それぞれが地面に降り立ち、迫ってくる鳩マッチョを迎え撃つ。
 全員を守るように剛が、禍々しい形相の鬼顔が彫られた盾を構えて立つ。
「誰かを生かす戦い……自分にやらせて貰います」
 剛はある模擬戦での言葉――『お前は、誰かを負かす戦いではなく、誰かを生かす戦いに優れているはずだ』――を思い出していた。
 その研鑽と修練の為、やる気は十分である。
 メトロノームが落ち着いた様子で、魔法を詠い紡ぎだしていく。
 蒼炎の鳳から降り注ぐ数多の炎の羽根が鳩マッチョの猛々しい胸に突き刺さっていく。
「僕も放たせていただきます」
 きらびやかなロングソードから火球の魔法を放った観智。
 メトロノームの魔法とも相まって、瞬く間に鳩マッチョが焼き鳥と化していく。
 わずかに生き残った雑魔共はそれでも向かってくる。
 何体か剛が抑えた所で、二人の闘狩人が其々の手に持った武器を振りまわしながら、左右に分かれて群れの中に突入した。
「一気に畳み掛ける!」
 ザッと左手に持った太刀で1体を右上から袈裟掛けに斬り伏せるとヴァイスは一歩強く踏み出した。
 右手に持つ刀を突き上げながら別の雑魔を切り裂く。
「ヴァイス!」
 逆方向から同時に飛び込んだ真がいつの間にかヴァイスの真横まで達していた。
 そして、彼の刀の動きに合わせて、真は洋刀を振りあげる。
 激しい金属音を立てて二本の刃が宙で火花を発すると、二人はその反動を利用し刀を返して雑魔を斬り倒した。
 こうして、戦闘は終始、ハンター達が圧倒したのであった。

●拠点周囲
「カカオ! カカオ! カカカカオ~」
 妙なハイテンションの少女、北谷王子 朝騎(ka5818)が拠点から少し離れた所をお馬さんと歩いている。
 馬は、ゴムボートを引いており、ボートにはカカオ豆が山の様に……載る予定である。
「あれは、希さんでちゅ!」
 拠点周囲を警戒していた希が視界に入り、思わず駆け寄る。
 先程、タロット占いしていたら、希が転んで大惨事になると出たばっかりだ。
「希さんの悲しい顔は見たくないでちゅ!」
 ……が、駆け出した朝騎だったが、希まで後少しという所で、足を沼地に取られて豪快に転んでしまう。
「わぁぁぁぁ!」
「あ、朝騎様!?」
 悲鳴で振り返った希が驚く。
 このままでは激突して二人とも泥まみれに!
「朝騎と希さんのパンツが大変なことになっちゃったでちゅ!」
 と思ったら、転んでいるのは、朝騎だけだった。希は踵からマテリアルの光を発して宙に跳んでいた。
「パン……ツじゃないでちゅか!?」
「フフ。これだけ短いスカートですから、短パンを履いていますよ」
 スカートをひらひらとさせながら、大地に降り立った希が、これほどかというドヤ顔を向けて、泥だらけの朝騎に言うのであった。

●北西方向
 春日 啓一(ka1621)が集めたカカオ豆を籠に満載し、馬に固定していた。
「チョコレートの為にねえ、アホらしいというかなんというか、まあこれも仕事だ仕方ねえな」
 これが、イケメンの余裕というものだろうか。それとも、単に冷めているだけなのだろうか。
 啓一はポロリと零れたカカオ豆を拾いながらそう言った。
「調査ついでに南国の果物も探して確保したいな」
 暑さを恨むように、思わず天を見上げたのはレイオス・アクアウォーカー(ka1990)だった。
 二人は北西を探索していた。時々の仲間との連絡は距離が離れすぎて取れない事も多かったが、今は北西での合流地点で休んでいた。
「果物か。確か、帰り際にいくつかそれらしいのがあったな。どうする気だ?」
「終った後に冷たいジュースにできれば最高だろう? もちろん、拠点の連中にも振舞うぜ」
 どの様な手段で冷やすのだろうかと、啓一が疑問に思った時だった。
 地鳴りが響き、それは段々大きくなってくる。
「「なんだ!?」」
 二人の声が重なった。

「エルちゃんのアイドル率が高すぎたみたいってカンジぃ? シガパイ、どぉう?」
 魔導バイクに乗りながら思わず片頬に手を当てながらエリス・ブーリャ(ka3419)が、そんな勘違いを口にしていた。
 シガパイこと、シガレット=ウナギパイ(ka2884)は煙草を咥えながら、バイクを巧みに操作し、雑魔の唾吐き攻撃を裂ける。
「集め過ぎたかァ」
 彼の腰にはゴールデンカカオがぶら下がっている。
 撒き餌代わりに用意したら、効果が在り過ぎたようだ。
 どこから臭いを嗅ぎつけたのか、鳩マッチョが鳩マッチョを呼ぶ事態へと化した。
「集め過ぎじゃ」
 諦めた感じで紅薔薇(ka4766)が言った。
 当初は在る程度、雑魔を集めてから、紅薔薇が手早い刀捌きで処理していたのだが、どういう訳か、鳩マッチョ雑魔が大量に釣れてしまったのだ。
 いくら雑魚とは言え、数が集まると危険だ。あの鳩マッチョの胸筋に潰されてしまうと想像するだけで悪寒が走る。
「こりゃ、いつかみたいに頼むぜェ」
「できれば、そうしたいがのう……この数じゃ」
 シガレットが口にしたのは、茨小鬼の軍団と戦った時の事だろう。
 あの時も多数の敵に囲まれたが、血路を紅薔薇が切り開いた。もっとも、あの時は優秀なヒーラーが複数居たからこそできた事で、同じ事をやれと言われてもそうそうできる事ではない。というか、胸筋に囲まれたくない。
「シガパイが回復に専念できるように、『エリスちゃん達』でしっかり護衛できればって事でしょぉ!」
 そういう事で、3人は合流地点を目指していたのだ。3人と5人では、対応は全然変わってくる。
 振り返れば、鳩マッチョが上体を揺らさず、胸筋だけを振るわせながら集団で迫ってくる。ある意味、圧巻だ。

 無事に合流を果たし、急いで戦闘準備を整える面々。
 鳩マッチョは丁寧に整列までして並んで前進してきた。汗でもかいているのだろうか、大胸筋に流れた水滴に太陽の光がキラリと反射した。
「なんだコイツら。胸筋が異常にデカイ! キレてる! キレてる! ――って余計暑苦しいわ!」
 ただでさえ暑くてげんなりとしていた所なのに、この状況である。レイオスの怒りはもっともだ。
 鳩マッチョな雑魔は胸筋を強調している。
「シガパイは真ん中だしぃ」
「余裕があれば、レクイエムも使うぜェ」
 円陣を組む指示を出したエリスに対し、シガレットがニヤッと笑った。
 黒いグローブを締め直し、啓一は迫ってくる鳩マッチョの一団を睨みつける。
 チョコレートだの、なんだの、とりあえず、雑魔を退治する事はには変わりはない。
「力の限り、殴るだけだな!」
 倒せば良い。シンプルな事だ。
「まったくじゃ」
 啓一の言葉を紅薔薇は肯定すると、意識を集中させる。
 これから大技を繰り出すからだ。
 チラリと視界の中にカカオ豆が目につく。
(故郷でこんな物が採れるとは知らんかったのじゃ。チョコなんぞ、東方が解放されるまで見た事が無かったしのう)
 解放されたとはいえ、まだまだ歪虚の勢力は残ったままだ。
 今回はチョコレートの件で偶然にも長江が解放されたが、昔の様に西方と陸路で繋がっているわけではない。
 天ノ都の復興も途上である。長江西一帯を制圧したら、カカオ農場を作って、一大産地にするのもいいかもしれん等と頭に一瞬過った。
「東方も復興を急がねばならんからのう。礎になってもらうのじゃ!」
 低い腰溜めから、火の粉のマテリアルを残しながら紅薔薇が斬りかかった。
 一閃する度に鳩マッチョの胸が裂けていく。
「いくら鍛えようと抵抗が低くちゃ意味無いでしょ!」
 エリスが群れに対して炎の機導術を放った。
 焼き鳥待ったなしだ。二人の範囲攻撃をくぐり抜けて迫る鳩マッチョを啓一とレイオスが迎撃する。
「ここから先は行き止まりだ」
「これ以上暑くされたら堪らん。速攻で潰す!」
 仲間達に掩護される形でシガレットが回復の魔法を敵陣に斬り込んだ紅薔薇へと使った。
「ここを凌いで、凱旋だなァ!」
 むしろ、凱旋しなければならない。
 凱旋できない事が意味する事、それは敗北の二文字だからだ。そして、敗北した際には筋肉祭りが繰り広げられるのに違いない。

 圧倒的なまでの大胸筋――もとい、雑魔の数を全て打ち倒した一行。
 雑魔の死体は残らず塵となって消え去ったので、一帯は元の長閑な湿地帯に戻った。
「お? こりゃ、カカオ豆じゃねぇかァ」
 シガレットが雑魔が消え去った跡地で輝くカカオ豆を見つけた。
 目を凝らすと他にもカカオ豆が散らばっているようにも見える。
「奴らが持っていた分かもしれねぇな」
 籠を持った啓一がカカオ豆を大事そうに拾っていく。
「果物の……類は、さすがに持っていなかったか」
 レイオスもそんな事を言いながらカカオ豆を拾う。
「戦いつつ、絆も深めましょう! 愛の源☆ チョコレートの材料を運ぶんだからね」
 元気一杯にエリスが追加の籠を用意してきた。
 愛の道を開く為には、自らも愛を持たなければならない。この愛を届けなくては。
「まだ、目に鳩マッチョの胸筋が焼きつかれておる……」
 戦い抜いた後遺症か、紅薔薇は頭を抱えていた。

●長江西のどこか
『ォ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛……』
 鳩マッチョ雑魔が弱々しく声をあげながら逃げていた。
「うなー? こっちは異常無しであるー」
 鶏の頭を掴み損ねて、黒の夢(ka0187)がぷくっと頬を膨らませた。
「汝達はオトコノコなのー? 鳥さんは解りにくいのなー!」
 彼女は雑魔とカカオ豆を求めて探索という名の迷子と化していた。
 偶然にも遭遇した鳩マッチョの生態を確認しようとしたが、この通りである。
「いいこいいこしてあげるのなー」
 あの柔らかそうな鳩マッチョの頭を撫でたい一心だが、身の危険を察知したのか、逃げ出す雑魔。
 鬼ごっこはいつの間にか、新たな雑魔を呼んでいたようだ。
『『オ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛!』』
 一斉に豆の殻っぽいなにかを投げつけて来るし、鳴き声は五月蠅い。
 人が愛の力でこの地を征服しようと思うのに、この雑魔達は……。
「煩いと即ジューシーにするのである!」
 朗々と呪文を詠い、唇から零れる息が火球となって雑魔への群れへと放たれ、大爆発を起こすのであった。

●南西方向
 探索は順調だった。散開から集合したタイミングで鳩マッチョの群れと遭遇したのは、ある意味、良いタイミングだったかもしれない。
「鉄壁の騎士の技、お目に掛かれるでしょうか?」
 ソルラと同じ制服姿のヴァルナ=エリゴス(ka2651)が真っ赤な刀身の剣を構える女騎士に声をかけた。
「大した技ではありませんけど」
 視線を雑魔に向けながら遠慮がちにソルラが応える。
「クート家は、一つの武器に拘らない、様々な武器を扱えるようにする習慣がある程度なので」
「戦場では、なにが起こるか分かりませんし、私は頼りになると思います」
 ヴァルナは大剣を構える。
 紅白に彩られた、はでやかで威風溢れる大剣だ。
「思った通り、ソルラさんには赤い剣が似合っていますね」
 Uisca Amhran(ka0754)がニコっとしながら杖と盾を構える。
 ソルラが手にしている剣は、過去、Uiscaがソルラに贈ったものだ。
「騎士と言うと、『剣術』に拘るかと思ったら、ソルラさんの家は違うのですね」
 ふと思った何気無い言葉にソルラは頭に?マークを浮かべる。
「私も詳しい事は分からないのですが、なんでも、来るべき戦いに備えて……という事らしいです」
「なるほど、です」
 和やかな会話を遮る様に、鳩マッチョの叫び声が響いた。

『『『オ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛!』』』

「女の子の前で下品な嗚咽をする子には罰ゲームです。痺れてもらいますよ?」
 黒檀製の杖を振り上げて、雷の魔法を唱える央崎 遥華(ka5644)。
 迸った電撃が何体も鳩マッチョを貫く。
「魔法で掩護します」
「ありがとうございます、遥華さん!」
 ソルラが一瞬だけ、振り返って返事をしてきた。
 青いワンピースの裾が揺れている。アルテミス小隊の制服という事らしいが、軍服というのに、大人の色っぽさを感じる。
「アルテミス小隊……カッコいい。小隊員になれたのかな?」
 出発前に挨拶した時に、周りの喧騒に追われてしまったが、登録されたのだろうか。
 同じ様な心配を心中に秘めながら、夜桜 奏音(ka5754)が符を掲げた。ちなみにキチンと登録済みである。
「私も隊員として、精一杯、戦わせてもらいます」
 符を投げ上げると、稲妻と化して雑魔に降りかかる。
 鳩マッチョの群れが二人の術に耐えきれず、左右にパッと分かれた。その片方に向かってミィナ・アレグトーリア(ka0317)が杖で魔法陣を宙に描いた。
「うちも、がんばるなんよ~」
 のんびりとした口調とは違い、放たれた炎球が雑魔の群れの中で爆発した。
 吹き飛んでいく鶏マッチョ共は、胸筋で華麗に着地していく。
「鳩がムネムネしてます」
 嫌悪感たっぷりの視線を向けて、マテリアルの籠った強烈な一撃を鳩マッチョの頭に叩き込む。
 それだけで鳩マッチョは四散した。
 あまりの衝撃的な姿に辺りの空気の流れが止まる。先程まで剣術がどうのこうの。技がどうのこうの言っていたのが虚しくなるレベルだ。
 静まり返った仲間を振り返ってUiscaは笑顔だった。
「私の通ったエリアはとても清浄です」
「あ、はい……」
 全員が同時に応えた。ここで、バーサクヒーラーだの言った日には、鳩マッチョみたいに粉砕されてしまうに違いない。

 鳩マッチョにとっては不幸な遭遇戦だっただろうが、一行にとっては探す手間が省けた。
 雑魔を全滅させ、しばしの休憩としたハンター達。偶然にも全員が女性となれば、話す話題も時期的なものになってしまうのは仕方が無いものかもしれない。
「……で、ソルラさんの本命は、エリオット団長とへクスさん、どちらです?」
 Uiscaのいぢわるな質問に、遥華が煎れた紅茶を盛大に噴き出すソルラ。
「ソ、ソルラさん、大丈夫ですか!」
 慌てて奏音がハンカチをソルラに差し出す。
「ありがとうございます」
 大事そうに受け取って、口元を拭き取る。
 何度も拭き取る。もういいよっていう程に。どんだけ慌ててるのか誰の目にも明らかだ。
「ど、どちらもないですから! ヘクス卿は天地がひっくり返ってもありませんし、団長は……ねぇ、ヴァルナさん」
 急に振られてもヴァルナは動じる事なく、静かに紅茶を口につけてから言った。
「私は、普段お世話になっている方に差し上げますよ? それで、ソルラさんはエリオット様が本命なのですか?」
 ソルラがUiscaとヴァルナの両サイドから弄られている中、奏音が隣に座る遥華に小声で訊ねた。
「エリオット団長というと、王国の騎士団長の方ですか?」
「ですね。ヘクス卿は、アム・シェリタ―揺籃館―のマスターでもありますよ」
「アルテミス小隊は騎士団直属の小隊……となると、団長とソルラさんは上司と部下という禁断の関k……」
 そこまで言って所で、ソルラが割って入ってきた。
「あくまでも、上司と部下なんです! 本当なんです!」
「それじゃ~、ヘクスさんなん?」
 必死に否定するソルラにミィナが訊ねる。
 その内容にソルラが脊髄反射した。
「そっちの方が、絶対に無いです! まだ、鳩マッチョの方が増しです!」
「そうなのん?」
「ミィナさんも気を付けた方が良いですよ! あの人は、いつもヘラヘラしてて、油断していると、ミィナさんみたいな可愛い子はすぐに食べられちゃうのです!」
 そこから、ヘクスについてあれこれをソルラが終始言い出すトークが続いたのは言うまでも無かった。

●制圧完了
 拠点には各方面で得られたカカオ豆が集められていた。
「長江西の制圧も完了したと見ていいでしょう。ハンターの皆様、ありがとうございました」
 一同を前に依頼結果のまとめを希が伝えて、深く一礼した。
 希が言う通り、ハンター達の探索分担が功を期し、同時に、カカオ豆の探索も最良の結果を迎えた。
 ハンター達は報酬のお金と、カカオ豆を受け取って、天ノ都へと、意気揚々と帰還したのであった。


 おしまい。

依頼結果

依頼成功度大成功
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MVP一覧


  • ヴァイス・エリダヌスka0364
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhranka0754
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智ka0896
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイka2884
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109
  • 混沌系アイドル
    エリス・ブーリャka3419
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカka3496
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音ka5754

重体一覧

参加者一覧

  • 黒竜との冥契
    黒の夢(ka0187
    エルフ|26才|女性|魔術師
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 幸せの魔法
    ミィナ・アレグトーリア(ka0317
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛(ka0320
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 混沌系アイドル
    エリス・ブーリャ(ka3419
    エルフ|17才|女性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 不破の剣聖
    紅薔薇(ka4766
    人間(紅)|14才|女性|舞刀士
  • 祓魔執行
    央崎 枢(ka5153
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師
  • 丘精霊の配偶者
    北谷王子 朝騎(ka5818
    人間(蒼)|16才|女性|符術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓、です
メトロノーム・ソングライト(ka1267
エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/02/11 18:45:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/08 23:54:43
アイコン 質問:ソルつむ相談窓口
星輝 Amhran(ka0724
エルフ|10才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/02/10 06:48:48