ゲスト
(ka0000)
【闇光】WALTZ
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/15 07:30
- 完成日
- 2016/02/23 05:59
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●微睡む闇の揺籠にて
……ふむ。レチタティーヴォが?
……確かに、CAMや魔導アーマーは残骸といえど、あれば役立つ。
……いささか部品を使いすぎたしな……補充出来るのならしておきたい。
……だが、ハンターが黙ってはおるまい。
……では、試作品はどうだ? あれならば例え壊されても被害は最小だ。
……そうだな、それがいい。試作品を使おう。
……では、手配をしよう。
●Black Stone
双頭の竜が空を舞う。
大きなコンテナを後ろ脚に把持して、空の王者の如く、悠々とそれは舞う。
竜は、フレーベルニンゲン平原まで来ると、少しだけ高度を落とす。
そして、その脚からコンテナが放たれた。
コンテナはドォンという大きな衝突音と共に、地面に落ちると、開いた蓋からゾンビ達が現れた。
しかし、異様なのは、彼らの統一された動きだった。
ゾンビ達は4~5体でひと班となり、CAMや魔導アーマーの残骸を拾ってはコンテナへと詰めていく。
中には彼らだけでは持てない本体そのものなどもあるが、それは大型の個体が抱え、引き摺り、コンテナへと入れていく。
どうしても入らない物に関しては引きちぎってコンテナへと放り込む。
大型の個体が蓋を閉め、空を見上げた。
暫くすると、空のコンテナが再び落下してきて大地を震わせた。
そして、双頭の竜がCAMなどの残骸が詰まったコンテナをほぼ、地面で止まることなく攫うようにして持って行く。
ゾンビ達はそれを見守る事も無く、落ちてきたコンテナへと、集めた残骸を入れて行く。
ゾンビが屈んだその時、後頚部で太陽の光を反射してキラリと光った。
そこには黒い石が埋め込まれていた。
●人形に狙われた操り人形
『な、なんでこんな所にゾンビが……!?』
『しかも、こいつら俺達が集めた残骸を……!』
そこは、周囲に散らばっていたCAMなどの残骸を一カ所に集め、後は魔導トラックに詰め込む作業が残っているだけ、という一種の瓦礫の山となっている場所だった。
連合軍として、魔導アーマーを操りながらCAMなどの残骸回収に従事していた二人は、突如現れたゾンビ達の統制の取れた動きを見て呆気にとられた後、激しい怒りを感じていた。
『行こう。相手はゾンビ20体、大型4体だ。上手く立ち回れば俺達だけでも対処できる』
『いや、もうすぐ回収用のトラックが来るはずだ。ハンター達も乗っているはずだし、もう少し様子を見て……』
『そんなことをしているうちに、また奴らに部品を持って行かれるぞ! これ以上は我慢ならない!』
『ま、待て……ったく、仕方が無いか』
制止を振り切り飛び出していった一台を追って、男もその後を追おうとスティックを倒したその時だった。
突然目の前に白い人影が飛び出してきて、驚いてブレーキをかける。
ガグン、と大きな振動を受けて、強かに後頭部をヘッドレストにぶつける。
「っつったぁ!」
衝撃に閉じていた眼を開けると、そこには表情のない、小さなマネキン人形が、いた。
――そして、男はそれ以外の事実を知ることなく絶命した。
飛び出していった魔導アーマーを操っていた男は、後から仲間が追ってこないことに気付くと、訝しんで振り返った。
『どうした?』
通信を入れるが、仲間からの返事は帰ってこない。
『おい……』
男の声に反応するかのように魔導アーマーは暫しガチャガチャとおかしな動きをした後、ゆっくりと動き始めた。
最初は慎重に、1歩、2歩。そして3歩目からは速歩で、5歩目からは全速力で男の乗っている魔導アーマー目がけて、仲間の魔導アーマーは突っ込んできた。
ドガァッという、思い金属がぶつかる音が響くが、男は衝撃に備えて構えていた為、予想以上のダメージはない。
『んだよ、どうしたんだよ、止めるってならもうちょっと穏便に……え?』
モニターに映し出された操縦席。
そこは血で赤く染まっていた。
……ふむ。レチタティーヴォが?
……確かに、CAMや魔導アーマーは残骸といえど、あれば役立つ。
……いささか部品を使いすぎたしな……補充出来るのならしておきたい。
……だが、ハンターが黙ってはおるまい。
……では、試作品はどうだ? あれならば例え壊されても被害は最小だ。
……そうだな、それがいい。試作品を使おう。
……では、手配をしよう。
●Black Stone
双頭の竜が空を舞う。
大きなコンテナを後ろ脚に把持して、空の王者の如く、悠々とそれは舞う。
竜は、フレーベルニンゲン平原まで来ると、少しだけ高度を落とす。
そして、その脚からコンテナが放たれた。
コンテナはドォンという大きな衝突音と共に、地面に落ちると、開いた蓋からゾンビ達が現れた。
しかし、異様なのは、彼らの統一された動きだった。
ゾンビ達は4~5体でひと班となり、CAMや魔導アーマーの残骸を拾ってはコンテナへと詰めていく。
中には彼らだけでは持てない本体そのものなどもあるが、それは大型の個体が抱え、引き摺り、コンテナへと入れていく。
どうしても入らない物に関しては引きちぎってコンテナへと放り込む。
大型の個体が蓋を閉め、空を見上げた。
暫くすると、空のコンテナが再び落下してきて大地を震わせた。
そして、双頭の竜がCAMなどの残骸が詰まったコンテナをほぼ、地面で止まることなく攫うようにして持って行く。
ゾンビ達はそれを見守る事も無く、落ちてきたコンテナへと、集めた残骸を入れて行く。
ゾンビが屈んだその時、後頚部で太陽の光を反射してキラリと光った。
そこには黒い石が埋め込まれていた。
●人形に狙われた操り人形
『な、なんでこんな所にゾンビが……!?』
『しかも、こいつら俺達が集めた残骸を……!』
そこは、周囲に散らばっていたCAMなどの残骸を一カ所に集め、後は魔導トラックに詰め込む作業が残っているだけ、という一種の瓦礫の山となっている場所だった。
連合軍として、魔導アーマーを操りながらCAMなどの残骸回収に従事していた二人は、突如現れたゾンビ達の統制の取れた動きを見て呆気にとられた後、激しい怒りを感じていた。
『行こう。相手はゾンビ20体、大型4体だ。上手く立ち回れば俺達だけでも対処できる』
『いや、もうすぐ回収用のトラックが来るはずだ。ハンター達も乗っているはずだし、もう少し様子を見て……』
『そんなことをしているうちに、また奴らに部品を持って行かれるぞ! これ以上は我慢ならない!』
『ま、待て……ったく、仕方が無いか』
制止を振り切り飛び出していった一台を追って、男もその後を追おうとスティックを倒したその時だった。
突然目の前に白い人影が飛び出してきて、驚いてブレーキをかける。
ガグン、と大きな振動を受けて、強かに後頭部をヘッドレストにぶつける。
「っつったぁ!」
衝撃に閉じていた眼を開けると、そこには表情のない、小さなマネキン人形が、いた。
――そして、男はそれ以外の事実を知ることなく絶命した。
飛び出していった魔導アーマーを操っていた男は、後から仲間が追ってこないことに気付くと、訝しんで振り返った。
『どうした?』
通信を入れるが、仲間からの返事は帰ってこない。
『おい……』
男の声に反応するかのように魔導アーマーは暫しガチャガチャとおかしな動きをした後、ゆっくりと動き始めた。
最初は慎重に、1歩、2歩。そして3歩目からは速歩で、5歩目からは全速力で男の乗っている魔導アーマー目がけて、仲間の魔導アーマーは突っ込んできた。
ドガァッという、思い金属がぶつかる音が響くが、男は衝撃に備えて構えていた為、予想以上のダメージはない。
『んだよ、どうしたんだよ、止めるってならもうちょっと穏便に……え?』
モニターに映し出された操縦席。
そこは血で赤く染まっていた。
リプレイ本文
●人形に襲われた操り人形と動く死体
「残骸を集めて持って帰るだけなんて、簡単なお仕事だよな~……ってなんじゃこりゃぁ!? え? あの2機って仲間のはずだよな? 何で戦ってんだ??」
魔導トラックの助手席でのんびりとくつろいでいた朝霧 桜華(ka6050)は目の前に飛び込んで来た魔導アーマー同士の争いを見て驚きの声を上げた。
明らかに防戦一方になっている魔導アーマーはアイアンボールからの攻撃を盾で防いだところを、逆手のシールドで運転席を狙って殴り付けられている。
さらにその先の残骸の山の向こうでは、おかしな動きをする連中が残骸を持ってどこかへと行こうとしているのが見えた。
トラックと併走してたエヴァンス・カルヴィ(ka0639)は異常を察知すると、すぐに愛馬に合図を送って先行する。
エヴァンスを見て、超級まりお(ka0824)もぺろりと上唇を舐めると愛馬と共にエヴァンスの横に付く。
『やばそうだねぇ。暴走魔導アーマー』
そうまりおが思っていると、エヴァンスが顎で残骸の山を示した。
「大型ゾンビがいやがる。俺はそっちへ行く」
「ん、りょーかーい」
ゾンビと聞いて瞳を輝かせたセリス・アルマーズ(ka1079)とゾンビの動きに興味を抱いたカナタ・ハテナ(ka2130)、白金 綾瀬(ka0774)がエヴァンスと共に残骸の山の向こう、ゾンビ達のもとへと向かう。
「乗っ取られたユニットと戦ったことは何度もあるが、今回はなんか違うな……あくまで勘だが」
気をつけろよ、と去り際のエヴァンスに言われて、まりおは「おっけー」と返すとトランシーバーに口を寄せた。
「……ってことになったんだけど、聞こえた?」
「あぁ、俺達で魔導アーマーを見りゃいいんだな。状況は?」
柊 真司(ka0705)のトランシーバーにアーサー・ホーガン(ka0471)も耳を近付けて話しを聞く。
「見た感じ、襲ってる方が優勢。……んー、それ以上の事は直接見にいかないと分かんないか」
その時、漸く魔導アーマーとトラックの通信が繋がった。
桜華は状況を聞いて左眉を跳ね上げた。
「今行くから、ふんばれよ!」
桜華がそう叫ぶように告げたその直後、防戦一方だった魔導アーマーの片足が叩き折られた。
●機械仕掛けの死体
「これ以上残骸を敵の手に渡すわけにはいかないわ。手早く倒して回収しましょう」
「あー、ちょっと待って欲しいのじゃ」
最も射程の広い綾瀬が「狂乱せしアルコル」改を構えた所を、カナタが待ったをかける。
「普通ゾンビといえば本能に従って人を襲ってくる筈じゃが何故に部品を集めてるのじゃろ? 変じゃな」
ちょっと離れた所で人が乗った魔導アーマーが暴れているのに、それを完全に無視してCAMの残骸を集めるゾンビに違和感を覚えたカナタはまず様子を見たいと申し出た。
歪・即・滅! 薄汚い歪虚は全て浄化してくれる! と意気込むセリスはやや不満げな表情を隠さずカナタを見る。……が、確かにゾンビの動きがおかしいのは感じているのでそこは大人しく従うことにする。
ゾンビ達は働き蟻のようにせっせせっせとゾンビ同士協力し合って機械の部品を持ち上げては少し離れた所にあるコンテナへと運んでいく。
「なるほどの。剣機に使う部品を集めてたんじゃな」
カナタはエヴァンスとセリスに視線で合図を送る。
離れた所にいる綾瀬には自分達が攻撃を仕掛けたら攻撃を、と依頼してある。
「では、行くとするかの」
カナタがセリスと共にコンテナの傍まで駆け寄る。2人を中心として光の波動が広がり、カナタからは猫の幻影と鳴き声がそれを追う。
光の洪水が周囲のゾンビ達を飲み込んだ。
エヴァンスが人馬一体となって一刀両断せんと大型ゾンビへテンペストを振り下ろす。
ギィンッ、という音と刀身から伝わる違和感にエヴァンスの左眉が跳ね上がる。
確かに刃を当てたゾンビの腕、その爛れた肌の下から見えたのは、機械で出来た骨だった。
「……なるほど、こっちも“機械人形”か」
エヴァンスが顔を歪めると同時に、ゾンビが突如腐った血を撒き散らしながら倒れた。
しかし、綾瀬の射撃を受けてもなお、大型ゾンビは再び起き上がった。
そして、全てのゾンビが手に持っていた残骸を地面へと放り投げると、そばにいる3人へと向き直る。
「薄汚いゾンビ共がぁ! 欠片も遺さず浄化してやるわぁ!!」
『やさしーおねーさんシスター』の面影が微塵も感じられない、ウォーモンガーじみた顔と気迫でセリスは吠えると、デカログスを構えて襲いかかるゾンビ達と対峙した。
●壊された操り人形
襲われている方の魔導アーマーは右の前脚を潰され、上体を傾がせながらも盾を上手く使って猛攻をいなしていた。
二体の魔導アーマーに真っ先に近付いたまりおは片方の運転席が血で染まっているのを目視すると、もう片方の操縦席の男へ声を張り上げた。
「救援のハンターだよー。そのアーマーの人、今アレの運転席に行くから、ちょっとの間だけ暴れないよう押さえ込んでプリーズ♪」
『みんなのヒーロー配管工さんは、どんな敵にも怯まない。だからボクも怯むわけにはいかないよね~』
「ヒアーウィ~ゴー!!」
燃え上がった闘争心のままに拳を突き上げるように愛馬から飛び上がり、暴走魔導アーマーの前脚に着地すると、運転席目がけて立体攻撃を仕掛ける。
一方、魔導トラックから降りた桜華とアーサー、真司はまりおの特攻に目を剥いていた。
「1人で無茶だ!」
真司がジェットブーツで距離を一気に詰めつつ、まりおの掩護へと向かう。
状況を見て、アーサーは舌打ちしたくなるのを堪え、とにかく魔導アーマーまでの距離を走った。
また、クラーレの仕業か?
いや、人目があるから先に気づくよな。
ルチアが使った融合とも違ってそうだ。
……となれば、レチタティーヴォの人形が残ってやがったか?
乗っていたのは確か覚醒者だったはずだ。
その彼が殺されたのだとしたら、敵の攻撃力が相当高いか、“複数で一気に仕掛けた”かだ。
「気をつけろ! レチタティーヴォの人形の仕業だとしたら、一体とは限らないぞ!!」
アーサーの叫びに、真司はハッとして、エア・スティーラーを構え、暴走アーマーの脚を狙う。
操縦席に辿り着いたまりおの耳にもその声は届き、「なるほど」と頷いた。
生臭い血の臭いのする操縦席。数値計の周囲にはぐずぐずに溶けた白い物体がべったりとはりつき、操縦桿には突き刺さった白いマネキンじみた人形の頭部、その目と目が合った。
まりおがMURASAMEブレイドを構えたその時、大きく足場が動いた。
今まで魔導アーマー同士押し合っていたのを、突然暴走アーマーの方が手を引き、その為、ただでさえ片前脚を失ってバランスが崩れていた魔導アーマーが前へと倒れ込んだのだ。
「っ!」
まりおは持ち前のバランス感覚で辛うじて地面への直撃は裂けたが、直後地面を薙ぐように払われた盾に全身を打たれて地面を転がった。
「大丈夫か!?」
桜華の声にまりおは手を上げて応えると、上体を起こす。衝撃に口の中を切ったのか、広がる鉄の味に顔をしかめた。
「とりあえず、運転席に人形っぽい白い変なのが貼り付いているのは見えたよ」
まりおの言葉を受けて、アーサーは睨むように魔導アーマーの全身を見る。
「機体の動きが凄い速いって言ってた」
唯一、トラックの中で操縦者と直接やり取りをした桜華が言った。
「それぞれがバラバラに動いてくるみたいだって」
「……なるほど」
その言葉を聞いた真司が鈍い金属音に再び暴走アーマーを見る。
ついに魔導アーマーは右腕を取られ、へし折られていた。
「もういい! 脱出して逃げろ!!」
アーサーが操縦席の男に向かって叫びながら、その攻撃範囲へと走り込んだ。
「さぁ! 俺が相手だ!!」
アーサーの声が聞こえたのか、暴走アーマーがアーサーに向けて機体を向けた。
そして、その両腕に血の跡が付いているのをアーサーは見逃さなかった。
●愚かなる機械じかけの死体
「……腕に機械の骨、か。それだけでも随分面倒になるもんだな」
3体目の大型ゾンビを相手取りながら、エヴァンスが額を流れ落ちてきた汗を乱暴に拭った。
エヴァンスの猛攻を受け止めたせいで、既に腕の肉は削げ落ち、歪み変形した金属の骨のみとなった腕が見える。
カナタとセリスのダブルセイクリッドフラッシュのおかげで、大型ゾンビ以外はほぼ殲滅することが出来ていた。
「剣機が関わってるとなればコレも普通のゾンビと違って体のどこかに機械部品でも組み込まれてるのかと思っておったが……こんなに大々的に改造されておるとは」
肩で息をしながらカナタは、倒れ、塵へと還っていくゾンビを見つめ、次いで大型ゾンビからの攻撃を手綱を操り軽々と躱す。
「これ以上残骸は渡せないのよね……狙い撃つわ!」
綾瀬の射撃が大型ゾンビの頭部をついに破砕したが、それでもまだ大型ゾンビは動く。
「いい加減、しつこい!!」
セリスが唸るような言葉と共にサーベルで肩口から右腕を切り飛ばす。
それでも痛覚のない大型ゾンビの動きは止まらず、左腕を振り回すようにセリスへと襲いかかる。
「そんな攻撃……!?」
強固な装甲を誇るセリスが攻撃をシールドで防ごうと構えようとしたその時、突然足を大きく引っ張られた。
馬上で大きくバランスを崩したセリスは、轟音と共に側頭部を思い切り殴られ、横に飛ばされ地面へと叩き付けられた。
「セリス!!」「セリスどん!!」
鈍い音が周囲に響き、カナタは思わずセリスへと駆け寄ろうとして、その足を止めた。
ゆらりとセリスは立ち上がると、後にカナタが「ちびるかと思ったのじゃ……」と語るほどの鬼の形相で、足を掴んだまま共に地面を転がったゾンビを見下ろし睨め付けた。
「……汚い手で私に触れるなぁっ!!!!」
その怒声と共に頭を踏み抜きゾンビにトドメを刺すと、サーベルの切っ先を殴り飛ばした大型ゾンビへと向けた。
「ゾンビの分際で私に泥を付けたこと、神の御許で悔いるといいわぁっ!!」
セリスの咆吼は遠く綾瀬に元まで届き、その様子をスコープ越しに見ていた綾瀬は言葉を失い、比較的そばにいたエヴァンスはその迫力に気圧され、思わず後ずさった。
●白い人形のなれの果て
正面から暴走アーマーの攻撃を盾で受け止め、時に盾を傾斜させ勢いを外に逸らす事で衝撃を逃しながら、血の跡が2カ所しかないことを確認するとアーサーが叫んだ。
「肘の関節の内側に白い何かが貼り付いているのが見える。多分、あれが『バラバラに動く』の原因だろうな!」
アーサーの言葉に、真司はアンティキティラを構えた。
「融合しているタイプか。やっかいだな」
敵が直接操っているタイプなら操縦席に乗り込んで銃で攻撃しようと思っていたが、どうやらそういう訳にもいかないらしい。しかし、敵のいる場所が判明したのなら、攻撃方法はいくらでもある。
「荒っぽい方法だが四の五の言ってられねえか」
真司はジェットブーツで飛び上がると、暴走アーマーの操縦席の後ろに立ち、そこからデルタレイを放った。光は操縦桿の頭部、それから肘の内側に向かって真っ直ぐに走り貫いて行く。
「なんだ、ただ運転席から操ってるんなら、ボクが操縦してやろうと思ってたのに」
まりおは帽子を被り直すと、再び駆け寄り肘の内側を狙って刀を振るう。
桜華もまた、1人暴走アーマーのヘイトを集めているアーサーをフォローすべくその横に出ると、ひと所に留まらないよう動きながら、振り下ろされた瞬間を狙って素早く踏み出し、同じく肘の内側へと苛烈な一撃を加えていく。
暴走アーマーのカラクリが分かれば、ハンターの連係した攻撃に怖いモノは無い。
桜華は自爆や、人形そのものが再び外に出てくる事などを警戒して動き続けたが、幸いにして一度融合した人形が再び人形の形を取ることも無く、両腕を切断すると同時に人形だったモノも白い塵へと還っていく。
「これで、お終いだ!」
真司が魔導拳銃を構え、引き金を引く。
雷を纏った銃弾が操縦桿に刺さった白い頭部を破壊すると同時に、暴走アーマーはその動きを止めたのだった。
●円舞曲の終演
最後の大型ゾンビが塵へと還っていく。
エヴァンスは突き刺したまま構えていた刃を、質量が消えると振るって鞘へと収めた。
「……何とか終わったのぅ」
カナタが、ほぅ、と溜息を吐き愛馬の首を撫でて労をねぎらう。
その時、陽の光が一瞬、おかしな影に遮られた。
「……竜?」
セリスが陽の光を手で遮りながら見上げると、頭上遥か彼方に、双頭の竜の姿が見えた。
綾瀬がすかさず銃を構えたが、竜はそのまま高度を落とすこと無く北へと去って行った。
「……このコンテナを運んできたのはあれか」
米粒よりも小さくなった竜の後姿を見て、エヴァンスは漸く柄にかけた手を下ろした。
カナタは馬から下りると、戦場に残ったゾンビ達に埋め込まれていた金属部品を見て回った。
「……残っておらなんだか……」
この場にいたゾンビ、その全ての首の後ろに黒い石を見て、カナタは剣魔の時の黒い石碑を連想したのだが、それもゾンビを倒すと共に塵へと還っていってしまった。
「……つまり、機械や鉱石の類いではない、と」
ということは、何なのだろうとカナタは首を傾げつつ、竜の飛んで行った方角を見上げた。
冬の空っ風が、汗ばんだ身体を急速に冷やし、カナタは悪寒を感じて思わず身を震わせたのだった。
結果、被害としては魔導アーマーの一体は右前脚及び右腕の破損、操縦席周囲を集中的に攻撃を受けた事による断線が数カ所。
一方操られていた魔導アーマーは両腕の肘関節から先の切断、操縦席にいた人形越しに雷撃が操縦板に回った事による回路の破綻。
また、残骸の山からは恐らく残されたコンテナから推測して、2杯分の魔導アーマー及びCAMの部品の喪失があったが、ハンター達が到着して以降の喪失は無かった。
何より、魔導アーマーの操縦士は頭部から血を流してはいたものの、軽傷で助けることが出来た。
桜華は持っていた酒を唯一の死者となった操縦士に捧げると、帰路に付く魔導トラックへと戻った。
●微睡む闇の揺籠にて
……やはりあの程度では相手にもならんか。
……だが、良いサンプルは手に入った。
……欲を言えばもう少し部品が手に入ると良かったのだがな。
……しかし、レチタティーヴォめ。謀りおって。
……まぁ、こちらに被害はさほどない。それよりも、計画を進めよう。
……そうだな。計画を進めよう。
「残骸を集めて持って帰るだけなんて、簡単なお仕事だよな~……ってなんじゃこりゃぁ!? え? あの2機って仲間のはずだよな? 何で戦ってんだ??」
魔導トラックの助手席でのんびりとくつろいでいた朝霧 桜華(ka6050)は目の前に飛び込んで来た魔導アーマー同士の争いを見て驚きの声を上げた。
明らかに防戦一方になっている魔導アーマーはアイアンボールからの攻撃を盾で防いだところを、逆手のシールドで運転席を狙って殴り付けられている。
さらにその先の残骸の山の向こうでは、おかしな動きをする連中が残骸を持ってどこかへと行こうとしているのが見えた。
トラックと併走してたエヴァンス・カルヴィ(ka0639)は異常を察知すると、すぐに愛馬に合図を送って先行する。
エヴァンスを見て、超級まりお(ka0824)もぺろりと上唇を舐めると愛馬と共にエヴァンスの横に付く。
『やばそうだねぇ。暴走魔導アーマー』
そうまりおが思っていると、エヴァンスが顎で残骸の山を示した。
「大型ゾンビがいやがる。俺はそっちへ行く」
「ん、りょーかーい」
ゾンビと聞いて瞳を輝かせたセリス・アルマーズ(ka1079)とゾンビの動きに興味を抱いたカナタ・ハテナ(ka2130)、白金 綾瀬(ka0774)がエヴァンスと共に残骸の山の向こう、ゾンビ達のもとへと向かう。
「乗っ取られたユニットと戦ったことは何度もあるが、今回はなんか違うな……あくまで勘だが」
気をつけろよ、と去り際のエヴァンスに言われて、まりおは「おっけー」と返すとトランシーバーに口を寄せた。
「……ってことになったんだけど、聞こえた?」
「あぁ、俺達で魔導アーマーを見りゃいいんだな。状況は?」
柊 真司(ka0705)のトランシーバーにアーサー・ホーガン(ka0471)も耳を近付けて話しを聞く。
「見た感じ、襲ってる方が優勢。……んー、それ以上の事は直接見にいかないと分かんないか」
その時、漸く魔導アーマーとトラックの通信が繋がった。
桜華は状況を聞いて左眉を跳ね上げた。
「今行くから、ふんばれよ!」
桜華がそう叫ぶように告げたその直後、防戦一方だった魔導アーマーの片足が叩き折られた。
●機械仕掛けの死体
「これ以上残骸を敵の手に渡すわけにはいかないわ。手早く倒して回収しましょう」
「あー、ちょっと待って欲しいのじゃ」
最も射程の広い綾瀬が「狂乱せしアルコル」改を構えた所を、カナタが待ったをかける。
「普通ゾンビといえば本能に従って人を襲ってくる筈じゃが何故に部品を集めてるのじゃろ? 変じゃな」
ちょっと離れた所で人が乗った魔導アーマーが暴れているのに、それを完全に無視してCAMの残骸を集めるゾンビに違和感を覚えたカナタはまず様子を見たいと申し出た。
歪・即・滅! 薄汚い歪虚は全て浄化してくれる! と意気込むセリスはやや不満げな表情を隠さずカナタを見る。……が、確かにゾンビの動きがおかしいのは感じているのでそこは大人しく従うことにする。
ゾンビ達は働き蟻のようにせっせせっせとゾンビ同士協力し合って機械の部品を持ち上げては少し離れた所にあるコンテナへと運んでいく。
「なるほどの。剣機に使う部品を集めてたんじゃな」
カナタはエヴァンスとセリスに視線で合図を送る。
離れた所にいる綾瀬には自分達が攻撃を仕掛けたら攻撃を、と依頼してある。
「では、行くとするかの」
カナタがセリスと共にコンテナの傍まで駆け寄る。2人を中心として光の波動が広がり、カナタからは猫の幻影と鳴き声がそれを追う。
光の洪水が周囲のゾンビ達を飲み込んだ。
エヴァンスが人馬一体となって一刀両断せんと大型ゾンビへテンペストを振り下ろす。
ギィンッ、という音と刀身から伝わる違和感にエヴァンスの左眉が跳ね上がる。
確かに刃を当てたゾンビの腕、その爛れた肌の下から見えたのは、機械で出来た骨だった。
「……なるほど、こっちも“機械人形”か」
エヴァンスが顔を歪めると同時に、ゾンビが突如腐った血を撒き散らしながら倒れた。
しかし、綾瀬の射撃を受けてもなお、大型ゾンビは再び起き上がった。
そして、全てのゾンビが手に持っていた残骸を地面へと放り投げると、そばにいる3人へと向き直る。
「薄汚いゾンビ共がぁ! 欠片も遺さず浄化してやるわぁ!!」
『やさしーおねーさんシスター』の面影が微塵も感じられない、ウォーモンガーじみた顔と気迫でセリスは吠えると、デカログスを構えて襲いかかるゾンビ達と対峙した。
●壊された操り人形
襲われている方の魔導アーマーは右の前脚を潰され、上体を傾がせながらも盾を上手く使って猛攻をいなしていた。
二体の魔導アーマーに真っ先に近付いたまりおは片方の運転席が血で染まっているのを目視すると、もう片方の操縦席の男へ声を張り上げた。
「救援のハンターだよー。そのアーマーの人、今アレの運転席に行くから、ちょっとの間だけ暴れないよう押さえ込んでプリーズ♪」
『みんなのヒーロー配管工さんは、どんな敵にも怯まない。だからボクも怯むわけにはいかないよね~』
「ヒアーウィ~ゴー!!」
燃え上がった闘争心のままに拳を突き上げるように愛馬から飛び上がり、暴走魔導アーマーの前脚に着地すると、運転席目がけて立体攻撃を仕掛ける。
一方、魔導トラックから降りた桜華とアーサー、真司はまりおの特攻に目を剥いていた。
「1人で無茶だ!」
真司がジェットブーツで距離を一気に詰めつつ、まりおの掩護へと向かう。
状況を見て、アーサーは舌打ちしたくなるのを堪え、とにかく魔導アーマーまでの距離を走った。
また、クラーレの仕業か?
いや、人目があるから先に気づくよな。
ルチアが使った融合とも違ってそうだ。
……となれば、レチタティーヴォの人形が残ってやがったか?
乗っていたのは確か覚醒者だったはずだ。
その彼が殺されたのだとしたら、敵の攻撃力が相当高いか、“複数で一気に仕掛けた”かだ。
「気をつけろ! レチタティーヴォの人形の仕業だとしたら、一体とは限らないぞ!!」
アーサーの叫びに、真司はハッとして、エア・スティーラーを構え、暴走アーマーの脚を狙う。
操縦席に辿り着いたまりおの耳にもその声は届き、「なるほど」と頷いた。
生臭い血の臭いのする操縦席。数値計の周囲にはぐずぐずに溶けた白い物体がべったりとはりつき、操縦桿には突き刺さった白いマネキンじみた人形の頭部、その目と目が合った。
まりおがMURASAMEブレイドを構えたその時、大きく足場が動いた。
今まで魔導アーマー同士押し合っていたのを、突然暴走アーマーの方が手を引き、その為、ただでさえ片前脚を失ってバランスが崩れていた魔導アーマーが前へと倒れ込んだのだ。
「っ!」
まりおは持ち前のバランス感覚で辛うじて地面への直撃は裂けたが、直後地面を薙ぐように払われた盾に全身を打たれて地面を転がった。
「大丈夫か!?」
桜華の声にまりおは手を上げて応えると、上体を起こす。衝撃に口の中を切ったのか、広がる鉄の味に顔をしかめた。
「とりあえず、運転席に人形っぽい白い変なのが貼り付いているのは見えたよ」
まりおの言葉を受けて、アーサーは睨むように魔導アーマーの全身を見る。
「機体の動きが凄い速いって言ってた」
唯一、トラックの中で操縦者と直接やり取りをした桜華が言った。
「それぞれがバラバラに動いてくるみたいだって」
「……なるほど」
その言葉を聞いた真司が鈍い金属音に再び暴走アーマーを見る。
ついに魔導アーマーは右腕を取られ、へし折られていた。
「もういい! 脱出して逃げろ!!」
アーサーが操縦席の男に向かって叫びながら、その攻撃範囲へと走り込んだ。
「さぁ! 俺が相手だ!!」
アーサーの声が聞こえたのか、暴走アーマーがアーサーに向けて機体を向けた。
そして、その両腕に血の跡が付いているのをアーサーは見逃さなかった。
●愚かなる機械じかけの死体
「……腕に機械の骨、か。それだけでも随分面倒になるもんだな」
3体目の大型ゾンビを相手取りながら、エヴァンスが額を流れ落ちてきた汗を乱暴に拭った。
エヴァンスの猛攻を受け止めたせいで、既に腕の肉は削げ落ち、歪み変形した金属の骨のみとなった腕が見える。
カナタとセリスのダブルセイクリッドフラッシュのおかげで、大型ゾンビ以外はほぼ殲滅することが出来ていた。
「剣機が関わってるとなればコレも普通のゾンビと違って体のどこかに機械部品でも組み込まれてるのかと思っておったが……こんなに大々的に改造されておるとは」
肩で息をしながらカナタは、倒れ、塵へと還っていくゾンビを見つめ、次いで大型ゾンビからの攻撃を手綱を操り軽々と躱す。
「これ以上残骸は渡せないのよね……狙い撃つわ!」
綾瀬の射撃が大型ゾンビの頭部をついに破砕したが、それでもまだ大型ゾンビは動く。
「いい加減、しつこい!!」
セリスが唸るような言葉と共にサーベルで肩口から右腕を切り飛ばす。
それでも痛覚のない大型ゾンビの動きは止まらず、左腕を振り回すようにセリスへと襲いかかる。
「そんな攻撃……!?」
強固な装甲を誇るセリスが攻撃をシールドで防ごうと構えようとしたその時、突然足を大きく引っ張られた。
馬上で大きくバランスを崩したセリスは、轟音と共に側頭部を思い切り殴られ、横に飛ばされ地面へと叩き付けられた。
「セリス!!」「セリスどん!!」
鈍い音が周囲に響き、カナタは思わずセリスへと駆け寄ろうとして、その足を止めた。
ゆらりとセリスは立ち上がると、後にカナタが「ちびるかと思ったのじゃ……」と語るほどの鬼の形相で、足を掴んだまま共に地面を転がったゾンビを見下ろし睨め付けた。
「……汚い手で私に触れるなぁっ!!!!」
その怒声と共に頭を踏み抜きゾンビにトドメを刺すと、サーベルの切っ先を殴り飛ばした大型ゾンビへと向けた。
「ゾンビの分際で私に泥を付けたこと、神の御許で悔いるといいわぁっ!!」
セリスの咆吼は遠く綾瀬に元まで届き、その様子をスコープ越しに見ていた綾瀬は言葉を失い、比較的そばにいたエヴァンスはその迫力に気圧され、思わず後ずさった。
●白い人形のなれの果て
正面から暴走アーマーの攻撃を盾で受け止め、時に盾を傾斜させ勢いを外に逸らす事で衝撃を逃しながら、血の跡が2カ所しかないことを確認するとアーサーが叫んだ。
「肘の関節の内側に白い何かが貼り付いているのが見える。多分、あれが『バラバラに動く』の原因だろうな!」
アーサーの言葉に、真司はアンティキティラを構えた。
「融合しているタイプか。やっかいだな」
敵が直接操っているタイプなら操縦席に乗り込んで銃で攻撃しようと思っていたが、どうやらそういう訳にもいかないらしい。しかし、敵のいる場所が判明したのなら、攻撃方法はいくらでもある。
「荒っぽい方法だが四の五の言ってられねえか」
真司はジェットブーツで飛び上がると、暴走アーマーの操縦席の後ろに立ち、そこからデルタレイを放った。光は操縦桿の頭部、それから肘の内側に向かって真っ直ぐに走り貫いて行く。
「なんだ、ただ運転席から操ってるんなら、ボクが操縦してやろうと思ってたのに」
まりおは帽子を被り直すと、再び駆け寄り肘の内側を狙って刀を振るう。
桜華もまた、1人暴走アーマーのヘイトを集めているアーサーをフォローすべくその横に出ると、ひと所に留まらないよう動きながら、振り下ろされた瞬間を狙って素早く踏み出し、同じく肘の内側へと苛烈な一撃を加えていく。
暴走アーマーのカラクリが分かれば、ハンターの連係した攻撃に怖いモノは無い。
桜華は自爆や、人形そのものが再び外に出てくる事などを警戒して動き続けたが、幸いにして一度融合した人形が再び人形の形を取ることも無く、両腕を切断すると同時に人形だったモノも白い塵へと還っていく。
「これで、お終いだ!」
真司が魔導拳銃を構え、引き金を引く。
雷を纏った銃弾が操縦桿に刺さった白い頭部を破壊すると同時に、暴走アーマーはその動きを止めたのだった。
●円舞曲の終演
最後の大型ゾンビが塵へと還っていく。
エヴァンスは突き刺したまま構えていた刃を、質量が消えると振るって鞘へと収めた。
「……何とか終わったのぅ」
カナタが、ほぅ、と溜息を吐き愛馬の首を撫でて労をねぎらう。
その時、陽の光が一瞬、おかしな影に遮られた。
「……竜?」
セリスが陽の光を手で遮りながら見上げると、頭上遥か彼方に、双頭の竜の姿が見えた。
綾瀬がすかさず銃を構えたが、竜はそのまま高度を落とすこと無く北へと去って行った。
「……このコンテナを運んできたのはあれか」
米粒よりも小さくなった竜の後姿を見て、エヴァンスは漸く柄にかけた手を下ろした。
カナタは馬から下りると、戦場に残ったゾンビ達に埋め込まれていた金属部品を見て回った。
「……残っておらなんだか……」
この場にいたゾンビ、その全ての首の後ろに黒い石を見て、カナタは剣魔の時の黒い石碑を連想したのだが、それもゾンビを倒すと共に塵へと還っていってしまった。
「……つまり、機械や鉱石の類いではない、と」
ということは、何なのだろうとカナタは首を傾げつつ、竜の飛んで行った方角を見上げた。
冬の空っ風が、汗ばんだ身体を急速に冷やし、カナタは悪寒を感じて思わず身を震わせたのだった。
結果、被害としては魔導アーマーの一体は右前脚及び右腕の破損、操縦席周囲を集中的に攻撃を受けた事による断線が数カ所。
一方操られていた魔導アーマーは両腕の肘関節から先の切断、操縦席にいた人形越しに雷撃が操縦板に回った事による回路の破綻。
また、残骸の山からは恐らく残されたコンテナから推測して、2杯分の魔導アーマー及びCAMの部品の喪失があったが、ハンター達が到着して以降の喪失は無かった。
何より、魔導アーマーの操縦士は頭部から血を流してはいたものの、軽傷で助けることが出来た。
桜華は持っていた酒を唯一の死者となった操縦士に捧げると、帰路に付く魔導トラックへと戻った。
●微睡む闇の揺籠にて
……やはりあの程度では相手にもならんか。
……だが、良いサンプルは手に入った。
……欲を言えばもう少し部品が手に入ると良かったのだがな。
……しかし、レチタティーヴォめ。謀りおって。
……まぁ、こちらに被害はさほどない。それよりも、計画を進めよう。
……そうだな。計画を進めよう。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/12 06:34:26 |
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作戦相談所 カナタ・ハテナ(ka2130) 人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/02/14 23:43:06 |