ゲスト
(ka0000)
アマリリス~吸血鬼が来る!
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/22 22:00
- 完成日
- 2016/03/07 18:37
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「ダメだ……」
ハミル・タグは手にした鉄鉱石を放り投げつつ落胆した。
ここは同盟領の蒸気工業都市フマーレに近い山中で開発中のセル鉱山。ハミルはここの開発主任だ。
「これでも問題は無かろう。何が不満だ?」
この鉱山の開発事業者、グリス・オムに進言した山師のノーザン・ウエストが口をねじ曲げ聞いてくる。
「質が悪すぎます。精製には多大な労力が掛かりますね。ここ、製鉄は丸投げでしょう? これならいくらフマーレに近くても遠くから運んだ方がマシです」
「しかし今は魔導型デュミナスなどの急速な増産で超売り手市場。少々質が悪くとも……」
「採掘序盤ならこの質でも掘削続行ですけどね。事業の進んだこの段階では困る品質です。それでなくとも作業量を増やして早く取引先の納得する結果を出せとつつかれてるのに」
ハミルの見立てでは、もう見込みがないといったところのようだ。
「仕方ない。計画目標の修正を進言してくる」
ノーザン、いったん引き上げた。
「……もしかして、これは」
一方で、石工職人のメイスンは別の事に気が付いた。同じくいったん引き上げる。
しばらくのち、蒸気工業都市フマーレ近くの町。
その町の小高い丘にまだ目新しい豪邸があった。
セル鉱山の開発事業主であるグリス・オムはここに住んでいる。
「ご覧ください」
山師のノーザン・ウエストが持参した荷物をグリスに開陳していた。
「これまでの鉄鉱石はこちらのように質が今一つでこれまで搬入した業者には評判が悪かったです」
うむ、とグリス。浮かない表情だ。
というより、憔悴している。
実は、正念場を迎えていたのだ。
これまで当初に想定していたような高品質の鉄鉱石が採掘できていない。各方面から苦情や取引の打ち切り、非難まで浴びて事業失敗の直前まで追い込まれていた。もちろん、離れず引き続き協力関係にある業者もたくさんいる。
――ここで引けるわけがない。
彼らの本音である。
投資はすでにできる限りした。
あとは投資に見合う利益を待つばかりなのだ。
ここで引くわけにはいかず、失敗は許されないのであるッ!
一方で、アムたちアマリリス商会など生活必需品を納入する業者たちには撤退は見られない。鉄鉱石を引き受けてひと儲けしようとする業者とは違い、こちらの支払いは滞っているわけではない。
そんなギリギリのところで……。
ノーザンの表情が、にたりと歪んだ。
そしてしゃあしゃあと言葉をつなぐ。
「ところが、現地で熱心に作業するに連れてこのような鉄鉱石が出始めたのです」
ごろり、と机に置いたのは見事な品質の鉄鉱石だった。
「おお……ついに出たか!」
グリス、この……ノーザンがどこから持ってきたかも分からない鉄鉱石に飛びついた!
事業を強力に推し進める決定を下した瞬間である。
「失礼します」
ノーザンの話が終わり、入れ替わりにアムが入室した。
「こちら……グリス様の家紋ですわね?」
アム、前回の戦闘と洞窟探索で発見した家紋入りの留め具をグリスに見せた。
「お、おお……これは……」
グリスが言葉を失ったのは、家に伝わる大切な留め具と同じものだったから。
アム、これが吸血鬼の洞窟にあったこと、女性の亡骸の服についていたこと、吸血鬼はゴーレムに閉じられていたこと、そして、留め具の女性は吸血鬼から「契約の女」と呼ばれゴーレムが倒されたことで約束も破られたと言ったことを話した。
「まさか……我が家系の生贄の伝説は本当だったのか……先祖代々の土地は、その女性たちが命を差し出していたことで守られて……」
「次はおそらく鉱山街が襲われるでしょう。……討伐隊を組むことを進言しますわ」
「……ここで鉱山街をやられてたまるか! せっかくここまでこぎつけて」
グリス、アムに討伐命令を出した。
そしてアムたちが町に戻る前。
「うわあっ! 窓から蝙蝠が入って来た!」
「ひ、人型になった……」
「き、吸血鬼だあっ!」
黒ずくめの服装で赤と緑の横縞蝶ネクタイをした吸血鬼が夜な夜な現れ、血を吸ったり、暗黒衝撃波を放ったり、あるいは蝙蝠の群れとなり覆い尽くして意識を失わせ喉を裂いたりして一人ずつ殺していた。
アムたちは鉱山街に到着すると、早速夜を待ち戦闘に備えるのだった。
「ダメだ……」
ハミル・タグは手にした鉄鉱石を放り投げつつ落胆した。
ここは同盟領の蒸気工業都市フマーレに近い山中で開発中のセル鉱山。ハミルはここの開発主任だ。
「これでも問題は無かろう。何が不満だ?」
この鉱山の開発事業者、グリス・オムに進言した山師のノーザン・ウエストが口をねじ曲げ聞いてくる。
「質が悪すぎます。精製には多大な労力が掛かりますね。ここ、製鉄は丸投げでしょう? これならいくらフマーレに近くても遠くから運んだ方がマシです」
「しかし今は魔導型デュミナスなどの急速な増産で超売り手市場。少々質が悪くとも……」
「採掘序盤ならこの質でも掘削続行ですけどね。事業の進んだこの段階では困る品質です。それでなくとも作業量を増やして早く取引先の納得する結果を出せとつつかれてるのに」
ハミルの見立てでは、もう見込みがないといったところのようだ。
「仕方ない。計画目標の修正を進言してくる」
ノーザン、いったん引き上げた。
「……もしかして、これは」
一方で、石工職人のメイスンは別の事に気が付いた。同じくいったん引き上げる。
しばらくのち、蒸気工業都市フマーレ近くの町。
その町の小高い丘にまだ目新しい豪邸があった。
セル鉱山の開発事業主であるグリス・オムはここに住んでいる。
「ご覧ください」
山師のノーザン・ウエストが持参した荷物をグリスに開陳していた。
「これまでの鉄鉱石はこちらのように質が今一つでこれまで搬入した業者には評判が悪かったです」
うむ、とグリス。浮かない表情だ。
というより、憔悴している。
実は、正念場を迎えていたのだ。
これまで当初に想定していたような高品質の鉄鉱石が採掘できていない。各方面から苦情や取引の打ち切り、非難まで浴びて事業失敗の直前まで追い込まれていた。もちろん、離れず引き続き協力関係にある業者もたくさんいる。
――ここで引けるわけがない。
彼らの本音である。
投資はすでにできる限りした。
あとは投資に見合う利益を待つばかりなのだ。
ここで引くわけにはいかず、失敗は許されないのであるッ!
一方で、アムたちアマリリス商会など生活必需品を納入する業者たちには撤退は見られない。鉄鉱石を引き受けてひと儲けしようとする業者とは違い、こちらの支払いは滞っているわけではない。
そんなギリギリのところで……。
ノーザンの表情が、にたりと歪んだ。
そしてしゃあしゃあと言葉をつなぐ。
「ところが、現地で熱心に作業するに連れてこのような鉄鉱石が出始めたのです」
ごろり、と机に置いたのは見事な品質の鉄鉱石だった。
「おお……ついに出たか!」
グリス、この……ノーザンがどこから持ってきたかも分からない鉄鉱石に飛びついた!
事業を強力に推し進める決定を下した瞬間である。
「失礼します」
ノーザンの話が終わり、入れ替わりにアムが入室した。
「こちら……グリス様の家紋ですわね?」
アム、前回の戦闘と洞窟探索で発見した家紋入りの留め具をグリスに見せた。
「お、おお……これは……」
グリスが言葉を失ったのは、家に伝わる大切な留め具と同じものだったから。
アム、これが吸血鬼の洞窟にあったこと、女性の亡骸の服についていたこと、吸血鬼はゴーレムに閉じられていたこと、そして、留め具の女性は吸血鬼から「契約の女」と呼ばれゴーレムが倒されたことで約束も破られたと言ったことを話した。
「まさか……我が家系の生贄の伝説は本当だったのか……先祖代々の土地は、その女性たちが命を差し出していたことで守られて……」
「次はおそらく鉱山街が襲われるでしょう。……討伐隊を組むことを進言しますわ」
「……ここで鉱山街をやられてたまるか! せっかくここまでこぎつけて」
グリス、アムに討伐命令を出した。
そしてアムたちが町に戻る前。
「うわあっ! 窓から蝙蝠が入って来た!」
「ひ、人型になった……」
「き、吸血鬼だあっ!」
黒ずくめの服装で赤と緑の横縞蝶ネクタイをした吸血鬼が夜な夜な現れ、血を吸ったり、暗黒衝撃波を放ったり、あるいは蝙蝠の群れとなり覆い尽くして意識を失わせ喉を裂いたりして一人ずつ殺していた。
アムたちは鉱山街に到着すると、早速夜を待ち戦闘に備えるのだった。
リプレイ本文
●
ここは、フマーレ郊外のグリス・オム邸宅。
アムと天竜寺 詩(ka0396)はここにいた。
「よし、戦力は整ったか。必ず討伐してくれよ。……すでに投げ打つだけの資産は投げ打った。ここで大切な作業員を失うわけにはいかん!」
事業主のグリスが何かに憑りつかれたかと思うほどの血相でまくしたてた。
「その上で気になることがありまして」
そこにアムが話をかぶせた。
「……グリスさんの家に伝わる伝説について詳しく教えてくれませんか? できれば、生贄になったとされる女性の肖像画もあれば」
詩もグリスに確認した。
「ああ、あるが……」
同じ頃、セル鉱山の鉱山街で。
「喉元をざっくり、容赦なし……」
リラ(ka5679)が片膝をついて沈痛そうな面持ちをしていた。
実は昨晩、また一人襲われて死人が出ていたのだ。
その被害者は首の横を大きく切られて血に染まっていた。青い瞳を曇らせて声を絞り出すと死体の顔を覆っていた白い布を下ろす。
「吸血鬼……必ず退治いたします」
立ち上がり、ぐっと拳を握りしめる。もう瞳に曇りはない。力強い視線に使命が宿る。
「わしら、三交代で一日中作業しとるんじゃ。おちおち眠れんし、作業もできん。……頼む」
周囲で様子をうかがっていた作業員たちが一斉にリラに頭を下げていた。
鉱山街の街角では。
「最終決戦は昼間したいですねぇ…夜の蝙蝠厄介ですぅ」
星野 ハナ(ka5852)が口元に拳を当てて眉の根を寄せていた。
「以前、日中にアムとメイスンの二人を連れて洞窟に行ってみたんですが、もぬけの空でした。布団もなかったので本格的に場所を移したんだと思います」
同行するモータルが言う。
「そこにいたままなら夜をまたずにくびり殺せるのに……」
聖導士のセリス・アルマーズ(ka1079)が舌打ちしそうな勢いで呟く。ついさっきまで優しいシスターさんっぽい雰囲気だったのだが、一瞬で雰囲気が変わっていた。
「アムさんといい、相変わらず無茶しますわね」
こちらは、エレンジア・アーヴァイン(ka5584)。ほふぅ、と少人数で敵の潜伏場所に行ったモータルたちの無鉄砲さを上品に嘆く。
「それより、これは何だ?」
次に響いた凛々しい声はドワーフの聖導士、ロニ・カルディス(ka0551)。これとは、軒先に掛けられたり窓際に置かれていたニンニクやら鏡やらのこと。
「詩君によると、リアルブルーの吸血鬼対策みたいなのよね」
セリス、様子を一転させ可愛らしく首をひねる。
「ふうん……。ま、効果がどうあれ対策だ。……我らの前に姿を見せたその時こそ、貴様の最後だ!」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)が青い瞳を細めてアサルトライフル「RJBS」を構える。
「そうだな。防衛戦ではあるが……」
ロニ、考えながらこぼす。
「それにしても聖導士がここまで集まるとは…。…吸血鬼退治だからでしょうかね…」
サクラ・エルフリード(ka2598)は味方の陣容を改めて見て感心する。自分を含め、ロニとセリス、夕方に到着する予定の詩で半数が聖導士。
ロニ、サクラの言葉に力を得る。
「そう……これは、如何に敵を炙り出して捕らえるかの狩りだ」
細めた瞳と引き上げた口角に力を込める。
「バンパイアハンター、ですね」
この時、合流したリラが言う。
「とりあえず私は襲撃された時の状況を聞いて回りましょうか…。何かヒントがあるかもしれないですし…」
「念のためですわ。何人か集まってグループで情報収集したほうが良さそうですわ」
サクラとエレンジアの言葉。
二人一組になって、皆が情報収集に散る。
●
日が暮れて、鉱山街に夜が来る。
警備の開始である。
「メイスン、見張りを頼むぞ」
ロニは街の中心にある高い櫓にメイスンを配した。緊急時には鐘を鳴らすだろう。
「聞き込みでは…正面から女性が来て気付いたらいなかったというのもありました…」
「これが敵の変装しそうな女性の似顔絵だよ」
サクラの情報に、詩は昼間に見せてもらった肖像画の似顔絵を仲間に配った。
「だが、多くはいつの間にか街中にいた、だったな。正面に注意を引き寄せれば、宙に浮くから後がやりやすいだろう」
コーネリア、思案する。
「初日は慎重に、相手の出方を待つのがいいでしょうか?」
リラがコーネリアスに提案。
「だったら…全くあてがないよりましですしぃ」
ここで、ハナ。タロットを出してシャッフル。時計のように配し、中央に一枚。ホロスコープスプレッドだ。
「黄道十二星座の導きを……私の探し物はどこですぅ?」
「ドキドキしますね」
ハナの手つきを見守るセリス。
そして展開したカードは。
「零時以外全部逆位置…よし、正面の門を警戒だ」
「でもそこ、塔のカードですよぅ。中央部は隠者の逆ですし」
コーネリア、すぐに決心した。ハナの方は慎重だ。
「どういうことですの?」
「正面が酷い目にあって周りが大混乱、よね? 破天荒なのは慣れてるわ、いくわよ~!」
上品に聞いたエレンジア。同じく上品だったセリス……あれ、なんだか豹変した様子でエレンジアを強引に連れ出して出て行ったぞ。
「行くぞ」
コーネリアもハナを強引に連れ出した。
コーネリアとハナは正面門に向かっていた。
「あっ!」
そこで叫ぶ二人。
門扉はすでに開き、女性が男性を介抱していたのだ。
「貴様、誰だ!」
激しく誰何し駆け寄るコーネリア。振り向く姿は、詩の配った似顔絵の面影に似ていた。同時にハナの連れていたフクロウが翼を広げ犬が吠え立てた。
「福ちゃんケンちゃん、間違いないのですねぇ」
ハナ、ペットの様子で敵を確信する。
「その顔は……」
コーネリアはアサルトライフルを構え作業員に当てないようにと慎重になったところ、振り向いた女性は背筋の凍るような微笑を見せて……多数の蝙蝠に分散した。
「しまった!」
これでコーネリアが抜かれた。
「はへぇ?」
蝙蝠の群れはハナを狙った。
「これは……スリープクラウドぉ?」
トランシーバーを操作していたハナ、蝙蝠の群れに巻かれて幻惑された。くたっ、と膝から崩れ落ちそうになったところ、再び蝙蝠が集まって人型になった吸血鬼に背後から抱き留められていた。服装は黒装束で、赤と緑の横縞蝶ネクタイ姿。鋭い牙がハナの首筋を狙う。
「行って来い、幻獣王!」
コーネリア、咄嗟にキーホルダー「チューダ」を取り出して投げた。狙うはハナのおでこ。
「痛…は、放すですぅ」
――たぁん!
命中して気付いたハナが抵抗したところにコーネリアの威嚇射撃。吸血鬼、逃げた。
その行く手に、二つの影。
「そこまでだ!」
「ここから先は行かせません!」
聖者の指輪をつけた手をかざすロニと、チャイナドレスの上にビキニアーマー姿のリラが立ち塞がる。
吸血鬼はすっと手をかざした。
「暗黒弾!」
――どぉん…。
吸血鬼、問答無用でさく裂型の波動を放ち住居内に逃げる。幸い夜勤で住民はいない。
この時、別の場所。
この音を聞いた、セリスは自らの乗る戦馬にエレンジアを引き上げた。
「私のいないところで~っ。すぐに行きますよっ!」
「……少しはしたない格好ですわね」
ふわふわスカートのまま馬に二人乗りしたエレンジアは白い太腿を派手にさらした自らの姿に恥じ入りながらもセリスの背中に抱き着き急行する。
しかし、現場に到着したときには吸血鬼は完全に逃げた後。
ただ、誰かを襲う前に戦闘したので今晩の犠牲者はいなかった。
●
二日目の晩。
「首筋、大丈夫ですぅ?」
「ええ…綺麗なままです…」
ハナがサクラに昨晩牙を立てられそうになったところを見せていた。続けて、「サクラさんはどうですかね~」、「わ、私は捕まってませんよ…」とかハナがサクラの襟元をぐいぐいやったりもしているが。
「これまでのパターンだと、連続して正面はないぞ」
メイスンが物見台から正面を見ておくだけでいいだろう、とコーネリア。吸血鬼の変装を見破ったことも計算している。
「そうなると…どこから来ますの?」
エレンジアが首をひねる。
「もう変装は通用しないと考えるから……空から?」
「そう考えるのが妥当だろう」
詩が次の手を予想する。ロニも頷く。エレンジア、二人の顔を見てうんうんと頷いたところ――。
「そうなればやることは一つ。広く警戒するだけですね! さあ、行きますよ!」
セリスが力強く立ち上がった。またもエレンジアを連れて出る。
「またはしたない格好をすることになるのですわね……」
エレンジアは、観念したようにぽそりとつぶやくだけ。
「アムさん、あれを使おうと思うんですけど」
ここでリラはアムに声を掛けた。
「あれ? いいわ。用意しましょう」
応じるアム。何かリラが仕掛けるようだ。
実際、今夜は空から来た。
「サクラさん、あれ!」
「はい……蝙蝠になって少しずつ町に侵入してるようですね」
アムが夜空を指差し、サクラがトランシーバーで仲間に連絡を取っていた。
蝙蝠の向かった方には、詩とモータルのコンビがいた。
「お前は!」
「待って、モータル君! ……少し教えてほしいんだけど、あの洞窟、逃げようと思ったら逃げられたぽいのにどうしてそうしなかったの? 契約だから?」
目の前に蝙蝠が集まり赤と緑の蝶ネクタイ姿の吸血鬼になったところでモータルが攻撃しようとしたが、詩が止めた。慎重に話を振る。
「なぜこの私が私の根城から逃げねばならんのだ?」
吸血鬼、面倒くさそうに答えた。
「いや、だから契約の女とか言ってたはず……」
「ああ。健気な様子が気に入ったので女の言うことを聞いてやっただけだ。普通ならこうだ」
吸血鬼、ライトニングボルトのような暗黒衝撃波を放ち宙に舞う。
そこに、アムを従えたサクラが到着。
「この場で仕留めさせてもらいます…。聖導士として見逃すわけにはいかないのです…」
霊槍「グングニル」を投げるサクラ。敵、これをかわして鋭い爪をかざし突っ込んできた。
「サクラさん!」
「大丈夫です…後ろにいてください」
サクラ、シールド「ゴッデス」で敵の初撃を受ける。もう一つの手は受け切れずに食らってしまうが。戻って来た聖槍でお返しに突く。
「よし、間に合ったぁ!」
そこに、戦馬に乗ったセリスとエレンジアが到着。すでにセリスの様子は豹変している。
「歪虚滅殺! 光属性のサーベル「デカログス」を食らえっ!」
一直線に殺到し切り掛かる。が、吸血鬼は宙に逃げる。
「逃げますわよね、こんなに血相を変えて攻めてこられましたら」
エレンジアは後ろで吸血鬼に同情しつつマジックアローを放つ。
「ホーリーライト……あっ!」
セリスが放ったところで吸血鬼は蝙蝠に分裂して、逃げた。
「届くかな? セイクリッドフラッシュ!」
詩の周囲に光の波動が広がり、結構な数の蝙蝠を叩き落とした。
●
三日目の晩。
皆はやはり、二日目の晩のように街中を広く警戒する方法を取っていた。
――ドォン……。
「何だ?」
爆発音と塀の崩れる音を聞いたロニが振り向いた。
「行ってみましょう!」
リラが動き、ロニが追った。
爆発音の地点に一番近かったのは、サクラとアムだった。
「……今晩はえらく雑な侵入ね」
「アムさん、下がって……さあ、昨晩の続きを…」
アムを制して前に出たサクラだったが、吸血鬼の様子の変化に気付いた。
何と、黒装束ではなく三分の一程度が茶色だったのだ。
「……どうしました、その色?」
思わず聞いてみるサクラ。
「昨晩削られた分、その辺の蝙蝠を取り込んだがまだ馴染まんのだよ……ええい、イライラする」
吸血鬼はそう言いつつサクラに襲い掛かる。もちろん盾で応じるサクラ。
いや、蝙蝠に分裂してサクラを追い越し、アムに憑りついて眠らせて背後を取った。
が、ここでまたもチューダのキーホルダーがアムに命中。目覚めて逃げる。
吸血鬼はキーホルダーの飛んで来た方を見た。
「人間の血の味がそんなに美味いか?」
コーネリア、ただいま参上。ハナもいる。
「聖なるかな聖なるかな、その御霊静かに眠らん……」
ここで静かな鎮魂歌の詠唱が聞こえてきた。
聖盾「ガラハド」を構えたロニである。背後からはリラが快速を飛ばして大回り。挟むように回り込むつもりだ。
「レクイエムだ。……前のように好きにはさせん」
ロニ、行動阻害をかけていた。
「間に合った!」
ここで詩とモータルも到着。これで前と左右の包囲が完成した。
「ふん!」
赤と緑の蝶ネクタイをした吸血鬼、前日に詩の攻撃を食らっていたからからコーネリアとロニの中間方面へと逃げた。
これが勝敗を分けた。
「狩る! ジャッジメント!」
確固たる信念を込め、ロニが光の杭を吸血鬼に撃ち込んだ。背中に受けてびくん、と背筋を伸ばし動きを止める吸血鬼。
「バインダーのカードをすべてオープン。五色光符陣ですぅ」
ハナは装填していた符を全消費。光の結界で吸血鬼を包み幻惑する!
たまらず蝙蝠に分裂する吸血鬼。
その時だった!
「間に合ったか!」
戦馬のセリスとエレンジアが到着。
「モータル君、ここで待ってて」
「コウモリになって逃げる気でしょうか…。ですがそうは行きません…」
詩が回り込み、サクラが霊槍をかざす。位置についた詩もスタッフ「ケレース」を構える。
そして、セリス。
「歪虚ごときが人の言動をするなぁ! 人への最大限の侮辱だあっ!」
敵意をみなぎらせサーベルをかざす!
「光よ!」
サクラ、詩、セリスの聖導士三人による、セイクリッドフラッシュの輝きが今、広がる。トライアングルの中心にはもちろん、逃げようとした蝙蝠がいる。
「セイクリッドフラッシュの三方陣。逃れられるはずはない」
ロニ、聖なる輝きを見つつ勝利を確認していた。
「まだだ……貴様が吸い取った血を一滴残らず搾り出してやる!」
おっと、三角形の中心部はむしろ高さが低い。ここに注目していたコーネリアがライフルの3連続攻撃!
「わたしも力添えしますわ」
さらにエレンジアのマジックアローもほとばしる。
これで上空の蝙蝠も滅した。
敵、完全討伐である。
いや、実はそうではない。
空に舞う蝙蝠の中、地面すれすれを飛ぶ二匹がいた。皆は上空を逃げる蝙蝠の群れを見ているので気付かない。
もちろん攻撃は受けているが、この二匹は他の蝙蝠より耐久力が段違いにあった。
一匹は首に赤い蝶ネクタイがあった。
もう一匹は首に緑の蝶ネクタイ。
敵の本体である。
このまま壁に向かい、逃げるつもりだ。
二匹、壁を越えるため高度を上げて……。
ばさーっとシーツが被せられた。
「落ちなさい! いけー!」
声が響くとリラが塀から飛び降りて来てシーツを丸め込んだ。
「逃がしません。もう一度皆さんの攻撃を食らいなさい!」
飛翔撃を叩き込んで仲間の方にリリース。
再び輝くセイクリッドフラッシュを背に、ふぅと桃色の髪の乱れを直すリラだった。
ここは、フマーレ郊外のグリス・オム邸宅。
アムと天竜寺 詩(ka0396)はここにいた。
「よし、戦力は整ったか。必ず討伐してくれよ。……すでに投げ打つだけの資産は投げ打った。ここで大切な作業員を失うわけにはいかん!」
事業主のグリスが何かに憑りつかれたかと思うほどの血相でまくしたてた。
「その上で気になることがありまして」
そこにアムが話をかぶせた。
「……グリスさんの家に伝わる伝説について詳しく教えてくれませんか? できれば、生贄になったとされる女性の肖像画もあれば」
詩もグリスに確認した。
「ああ、あるが……」
同じ頃、セル鉱山の鉱山街で。
「喉元をざっくり、容赦なし……」
リラ(ka5679)が片膝をついて沈痛そうな面持ちをしていた。
実は昨晩、また一人襲われて死人が出ていたのだ。
その被害者は首の横を大きく切られて血に染まっていた。青い瞳を曇らせて声を絞り出すと死体の顔を覆っていた白い布を下ろす。
「吸血鬼……必ず退治いたします」
立ち上がり、ぐっと拳を握りしめる。もう瞳に曇りはない。力強い視線に使命が宿る。
「わしら、三交代で一日中作業しとるんじゃ。おちおち眠れんし、作業もできん。……頼む」
周囲で様子をうかがっていた作業員たちが一斉にリラに頭を下げていた。
鉱山街の街角では。
「最終決戦は昼間したいですねぇ…夜の蝙蝠厄介ですぅ」
星野 ハナ(ka5852)が口元に拳を当てて眉の根を寄せていた。
「以前、日中にアムとメイスンの二人を連れて洞窟に行ってみたんですが、もぬけの空でした。布団もなかったので本格的に場所を移したんだと思います」
同行するモータルが言う。
「そこにいたままなら夜をまたずにくびり殺せるのに……」
聖導士のセリス・アルマーズ(ka1079)が舌打ちしそうな勢いで呟く。ついさっきまで優しいシスターさんっぽい雰囲気だったのだが、一瞬で雰囲気が変わっていた。
「アムさんといい、相変わらず無茶しますわね」
こちらは、エレンジア・アーヴァイン(ka5584)。ほふぅ、と少人数で敵の潜伏場所に行ったモータルたちの無鉄砲さを上品に嘆く。
「それより、これは何だ?」
次に響いた凛々しい声はドワーフの聖導士、ロニ・カルディス(ka0551)。これとは、軒先に掛けられたり窓際に置かれていたニンニクやら鏡やらのこと。
「詩君によると、リアルブルーの吸血鬼対策みたいなのよね」
セリス、様子を一転させ可愛らしく首をひねる。
「ふうん……。ま、効果がどうあれ対策だ。……我らの前に姿を見せたその時こそ、貴様の最後だ!」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)が青い瞳を細めてアサルトライフル「RJBS」を構える。
「そうだな。防衛戦ではあるが……」
ロニ、考えながらこぼす。
「それにしても聖導士がここまで集まるとは…。…吸血鬼退治だからでしょうかね…」
サクラ・エルフリード(ka2598)は味方の陣容を改めて見て感心する。自分を含め、ロニとセリス、夕方に到着する予定の詩で半数が聖導士。
ロニ、サクラの言葉に力を得る。
「そう……これは、如何に敵を炙り出して捕らえるかの狩りだ」
細めた瞳と引き上げた口角に力を込める。
「バンパイアハンター、ですね」
この時、合流したリラが言う。
「とりあえず私は襲撃された時の状況を聞いて回りましょうか…。何かヒントがあるかもしれないですし…」
「念のためですわ。何人か集まってグループで情報収集したほうが良さそうですわ」
サクラとエレンジアの言葉。
二人一組になって、皆が情報収集に散る。
●
日が暮れて、鉱山街に夜が来る。
警備の開始である。
「メイスン、見張りを頼むぞ」
ロニは街の中心にある高い櫓にメイスンを配した。緊急時には鐘を鳴らすだろう。
「聞き込みでは…正面から女性が来て気付いたらいなかったというのもありました…」
「これが敵の変装しそうな女性の似顔絵だよ」
サクラの情報に、詩は昼間に見せてもらった肖像画の似顔絵を仲間に配った。
「だが、多くはいつの間にか街中にいた、だったな。正面に注意を引き寄せれば、宙に浮くから後がやりやすいだろう」
コーネリア、思案する。
「初日は慎重に、相手の出方を待つのがいいでしょうか?」
リラがコーネリアスに提案。
「だったら…全くあてがないよりましですしぃ」
ここで、ハナ。タロットを出してシャッフル。時計のように配し、中央に一枚。ホロスコープスプレッドだ。
「黄道十二星座の導きを……私の探し物はどこですぅ?」
「ドキドキしますね」
ハナの手つきを見守るセリス。
そして展開したカードは。
「零時以外全部逆位置…よし、正面の門を警戒だ」
「でもそこ、塔のカードですよぅ。中央部は隠者の逆ですし」
コーネリア、すぐに決心した。ハナの方は慎重だ。
「どういうことですの?」
「正面が酷い目にあって周りが大混乱、よね? 破天荒なのは慣れてるわ、いくわよ~!」
上品に聞いたエレンジア。同じく上品だったセリス……あれ、なんだか豹変した様子でエレンジアを強引に連れ出して出て行ったぞ。
「行くぞ」
コーネリアもハナを強引に連れ出した。
コーネリアとハナは正面門に向かっていた。
「あっ!」
そこで叫ぶ二人。
門扉はすでに開き、女性が男性を介抱していたのだ。
「貴様、誰だ!」
激しく誰何し駆け寄るコーネリア。振り向く姿は、詩の配った似顔絵の面影に似ていた。同時にハナの連れていたフクロウが翼を広げ犬が吠え立てた。
「福ちゃんケンちゃん、間違いないのですねぇ」
ハナ、ペットの様子で敵を確信する。
「その顔は……」
コーネリアはアサルトライフルを構え作業員に当てないようにと慎重になったところ、振り向いた女性は背筋の凍るような微笑を見せて……多数の蝙蝠に分散した。
「しまった!」
これでコーネリアが抜かれた。
「はへぇ?」
蝙蝠の群れはハナを狙った。
「これは……スリープクラウドぉ?」
トランシーバーを操作していたハナ、蝙蝠の群れに巻かれて幻惑された。くたっ、と膝から崩れ落ちそうになったところ、再び蝙蝠が集まって人型になった吸血鬼に背後から抱き留められていた。服装は黒装束で、赤と緑の横縞蝶ネクタイ姿。鋭い牙がハナの首筋を狙う。
「行って来い、幻獣王!」
コーネリア、咄嗟にキーホルダー「チューダ」を取り出して投げた。狙うはハナのおでこ。
「痛…は、放すですぅ」
――たぁん!
命中して気付いたハナが抵抗したところにコーネリアの威嚇射撃。吸血鬼、逃げた。
その行く手に、二つの影。
「そこまでだ!」
「ここから先は行かせません!」
聖者の指輪をつけた手をかざすロニと、チャイナドレスの上にビキニアーマー姿のリラが立ち塞がる。
吸血鬼はすっと手をかざした。
「暗黒弾!」
――どぉん…。
吸血鬼、問答無用でさく裂型の波動を放ち住居内に逃げる。幸い夜勤で住民はいない。
この時、別の場所。
この音を聞いた、セリスは自らの乗る戦馬にエレンジアを引き上げた。
「私のいないところで~っ。すぐに行きますよっ!」
「……少しはしたない格好ですわね」
ふわふわスカートのまま馬に二人乗りしたエレンジアは白い太腿を派手にさらした自らの姿に恥じ入りながらもセリスの背中に抱き着き急行する。
しかし、現場に到着したときには吸血鬼は完全に逃げた後。
ただ、誰かを襲う前に戦闘したので今晩の犠牲者はいなかった。
●
二日目の晩。
「首筋、大丈夫ですぅ?」
「ええ…綺麗なままです…」
ハナがサクラに昨晩牙を立てられそうになったところを見せていた。続けて、「サクラさんはどうですかね~」、「わ、私は捕まってませんよ…」とかハナがサクラの襟元をぐいぐいやったりもしているが。
「これまでのパターンだと、連続して正面はないぞ」
メイスンが物見台から正面を見ておくだけでいいだろう、とコーネリア。吸血鬼の変装を見破ったことも計算している。
「そうなると…どこから来ますの?」
エレンジアが首をひねる。
「もう変装は通用しないと考えるから……空から?」
「そう考えるのが妥当だろう」
詩が次の手を予想する。ロニも頷く。エレンジア、二人の顔を見てうんうんと頷いたところ――。
「そうなればやることは一つ。広く警戒するだけですね! さあ、行きますよ!」
セリスが力強く立ち上がった。またもエレンジアを連れて出る。
「またはしたない格好をすることになるのですわね……」
エレンジアは、観念したようにぽそりとつぶやくだけ。
「アムさん、あれを使おうと思うんですけど」
ここでリラはアムに声を掛けた。
「あれ? いいわ。用意しましょう」
応じるアム。何かリラが仕掛けるようだ。
実際、今夜は空から来た。
「サクラさん、あれ!」
「はい……蝙蝠になって少しずつ町に侵入してるようですね」
アムが夜空を指差し、サクラがトランシーバーで仲間に連絡を取っていた。
蝙蝠の向かった方には、詩とモータルのコンビがいた。
「お前は!」
「待って、モータル君! ……少し教えてほしいんだけど、あの洞窟、逃げようと思ったら逃げられたぽいのにどうしてそうしなかったの? 契約だから?」
目の前に蝙蝠が集まり赤と緑の蝶ネクタイ姿の吸血鬼になったところでモータルが攻撃しようとしたが、詩が止めた。慎重に話を振る。
「なぜこの私が私の根城から逃げねばならんのだ?」
吸血鬼、面倒くさそうに答えた。
「いや、だから契約の女とか言ってたはず……」
「ああ。健気な様子が気に入ったので女の言うことを聞いてやっただけだ。普通ならこうだ」
吸血鬼、ライトニングボルトのような暗黒衝撃波を放ち宙に舞う。
そこに、アムを従えたサクラが到着。
「この場で仕留めさせてもらいます…。聖導士として見逃すわけにはいかないのです…」
霊槍「グングニル」を投げるサクラ。敵、これをかわして鋭い爪をかざし突っ込んできた。
「サクラさん!」
「大丈夫です…後ろにいてください」
サクラ、シールド「ゴッデス」で敵の初撃を受ける。もう一つの手は受け切れずに食らってしまうが。戻って来た聖槍でお返しに突く。
「よし、間に合ったぁ!」
そこに、戦馬に乗ったセリスとエレンジアが到着。すでにセリスの様子は豹変している。
「歪虚滅殺! 光属性のサーベル「デカログス」を食らえっ!」
一直線に殺到し切り掛かる。が、吸血鬼は宙に逃げる。
「逃げますわよね、こんなに血相を変えて攻めてこられましたら」
エレンジアは後ろで吸血鬼に同情しつつマジックアローを放つ。
「ホーリーライト……あっ!」
セリスが放ったところで吸血鬼は蝙蝠に分裂して、逃げた。
「届くかな? セイクリッドフラッシュ!」
詩の周囲に光の波動が広がり、結構な数の蝙蝠を叩き落とした。
●
三日目の晩。
皆はやはり、二日目の晩のように街中を広く警戒する方法を取っていた。
――ドォン……。
「何だ?」
爆発音と塀の崩れる音を聞いたロニが振り向いた。
「行ってみましょう!」
リラが動き、ロニが追った。
爆発音の地点に一番近かったのは、サクラとアムだった。
「……今晩はえらく雑な侵入ね」
「アムさん、下がって……さあ、昨晩の続きを…」
アムを制して前に出たサクラだったが、吸血鬼の様子の変化に気付いた。
何と、黒装束ではなく三分の一程度が茶色だったのだ。
「……どうしました、その色?」
思わず聞いてみるサクラ。
「昨晩削られた分、その辺の蝙蝠を取り込んだがまだ馴染まんのだよ……ええい、イライラする」
吸血鬼はそう言いつつサクラに襲い掛かる。もちろん盾で応じるサクラ。
いや、蝙蝠に分裂してサクラを追い越し、アムに憑りついて眠らせて背後を取った。
が、ここでまたもチューダのキーホルダーがアムに命中。目覚めて逃げる。
吸血鬼はキーホルダーの飛んで来た方を見た。
「人間の血の味がそんなに美味いか?」
コーネリア、ただいま参上。ハナもいる。
「聖なるかな聖なるかな、その御霊静かに眠らん……」
ここで静かな鎮魂歌の詠唱が聞こえてきた。
聖盾「ガラハド」を構えたロニである。背後からはリラが快速を飛ばして大回り。挟むように回り込むつもりだ。
「レクイエムだ。……前のように好きにはさせん」
ロニ、行動阻害をかけていた。
「間に合った!」
ここで詩とモータルも到着。これで前と左右の包囲が完成した。
「ふん!」
赤と緑の蝶ネクタイをした吸血鬼、前日に詩の攻撃を食らっていたからからコーネリアとロニの中間方面へと逃げた。
これが勝敗を分けた。
「狩る! ジャッジメント!」
確固たる信念を込め、ロニが光の杭を吸血鬼に撃ち込んだ。背中に受けてびくん、と背筋を伸ばし動きを止める吸血鬼。
「バインダーのカードをすべてオープン。五色光符陣ですぅ」
ハナは装填していた符を全消費。光の結界で吸血鬼を包み幻惑する!
たまらず蝙蝠に分裂する吸血鬼。
その時だった!
「間に合ったか!」
戦馬のセリスとエレンジアが到着。
「モータル君、ここで待ってて」
「コウモリになって逃げる気でしょうか…。ですがそうは行きません…」
詩が回り込み、サクラが霊槍をかざす。位置についた詩もスタッフ「ケレース」を構える。
そして、セリス。
「歪虚ごときが人の言動をするなぁ! 人への最大限の侮辱だあっ!」
敵意をみなぎらせサーベルをかざす!
「光よ!」
サクラ、詩、セリスの聖導士三人による、セイクリッドフラッシュの輝きが今、広がる。トライアングルの中心にはもちろん、逃げようとした蝙蝠がいる。
「セイクリッドフラッシュの三方陣。逃れられるはずはない」
ロニ、聖なる輝きを見つつ勝利を確認していた。
「まだだ……貴様が吸い取った血を一滴残らず搾り出してやる!」
おっと、三角形の中心部はむしろ高さが低い。ここに注目していたコーネリアがライフルの3連続攻撃!
「わたしも力添えしますわ」
さらにエレンジアのマジックアローもほとばしる。
これで上空の蝙蝠も滅した。
敵、完全討伐である。
いや、実はそうではない。
空に舞う蝙蝠の中、地面すれすれを飛ぶ二匹がいた。皆は上空を逃げる蝙蝠の群れを見ているので気付かない。
もちろん攻撃は受けているが、この二匹は他の蝙蝠より耐久力が段違いにあった。
一匹は首に赤い蝶ネクタイがあった。
もう一匹は首に緑の蝶ネクタイ。
敵の本体である。
このまま壁に向かい、逃げるつもりだ。
二匹、壁を越えるため高度を上げて……。
ばさーっとシーツが被せられた。
「落ちなさい! いけー!」
声が響くとリラが塀から飛び降りて来てシーツを丸め込んだ。
「逃がしません。もう一度皆さんの攻撃を食らいなさい!」
飛翔撃を叩き込んで仲間の方にリリース。
再び輝くセイクリッドフラッシュを背に、ふぅと桃色の髪の乱れを直すリラだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 エレンジア・アーヴァイン(ka5584) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/02/22 21:14:20 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/21 20:26:59 |