領主の嘆き、草ジャック!

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/01 12:00
完成日
2016/03/08 09:21

みんなの思い出

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オープニング

●村が草に占拠される
 グラズヘイム王国のとある村。
 冬の終わりを告げる嵐は草を呼ぶ……という言い伝えがある。いや、言い伝えではなく実際に起こるもので、春の喜びと恐怖という二つの側面を持つ嵐だった。
 嵐になりそうなその日の午後、村人たちは仕事を早く切り上げ、準備に追われる。
「今日は荒れそうですねぇ」
「荒れるじゃろうねぇ」
 年寄りたちは空を見上げ溜息をつき、急いで家に帰る。
「風が南になってきていないかい?」
「なってきているねぇ」
 立ち話をしていた女性たちも溜息を洩らし、翌日に備えた食事作りをしないといけないと急いで戻る。
「明日はふわふわ草もこもこ~」
 子供たちははしゃぎながら通りを駆け巡りつつ、家路に早く着いた。
 予想通り、夜は谷を風が駆け抜け、村も通り抜けてどこに飛んでいく。
 枯草という落し物を大量にして。
 村人はここ数年で一番ひどい草の量に悲鳴を上げた。大きな通りから小さい道に入るところに草が溜まり、通行不能になっている。風が丘にぶつかる丁字路のような部分にはドーム状に枯草が集まっている。
 どこもかしこも枯草だらけで、深さは数十センチから二百センチくらい、道を進むのも大変であった。
「お隣さん、聞こえるぅ~、手伝ってぇ」
「うわっ、お隣が埋まってる」
「大丈夫かぁ」
「けが人は?」
「火は使うなよぉ」
 家から出られない家族もあり、救出に向かうこととなる。その前に、道に溜まっている草もどうにかして行かないとならない。
 草はひとまず麻袋に詰めるだけ詰めて、積んでいくしかなかった。毎年、それを耕す前の畑に集め、地道に燃やすことになる。
 まず「草掻き」を行い、夕方には道が通れるようになり、村人全員の安否確認はできた。
 翌日には本格撤去作業となる。
 そこで事件が起こった。
 草を集め麻袋に詰める作業を始めたところ、悲鳴が上がった。どこからやって来たのか、雑魔がふわふわもこもこの草に潜んでいたのだった。
 作業ができないどころか、外にいるだけでいつ雑魔に襲われるか分からない状況となってしまっている。
 村人はすぐさま領主に助けを求めた。

●領主と溜息
 地図上はいい位置であるが、地形が悪く田舎な町。川で物を運べるため、それなりに発展しているが、田舎町から脱却することはない。今では緩やかな発展と穏やかな生活を送れる地となっている。
 数年前は魔法公害が多く発生していたが、領主であるウィリアム・クリシスの努力と、公害に関わっていた商人や機導研究者や魔術師の納得によりあっという間に収まった。
 解決の際、領主の跡取り息子ニコラス・クリシスが死亡したことも影響していると噂されているが真偽は不明。いずれにせよ、領主が息子の死を嘆き悲しんだことは事実であり、現在の平和があるのも事実である。
 しかし、先日、歪虚が関わった事件が発生した。その町を治めていた代官が歪虚のことを報告もせず、魔法公害の発生にもかかわっているということは調査結果で分かった。
 人を疑いたくはないが疑わないといけない事態が起こりつつあるのかと思うと、気が滅入ってしまう。
 別の代官を立てたいがすぐには無理なため、信頼を置ける騎士をひとまず置くことにした。彼が信用おけると判断できた人を次の代官にするようにとも指示はしてあった。
「……ニコラスが生きていたら、任せることができるのだが」
 生きていれば二十歳くらい。少しずつ後を任せられるように教えて行くにはちょうど良かっただろう。
「にしても……またあの風か」
 領内の小さな村でこの時期に起る風の事を考えた。対策を練るも有効手段はない。
 風で飛んでくる草はふわふわして一見すると柔らかで気持ちいいが量は非常に多い。その上、毒性もわずかにあり、羊が食べ過ぎると死ぬことがあるのだ。
 もし、何かのはずみで引火すれば火災になり、大火災になりかねない。
「そうか……ニコラスがああなる前の前くらいの年の冬がひどかったのか」
 報告を受けて視察にいって驚いたのだった、草の量に。危なくはないだろうと言うことでニコラスも連れて行った。
『父上……ふわっ、こ、これは気の毒です』
 フカフカしている草に子供らしく目をキラキラさせていたが、一応、領主の跡取りとしては民を心配した言葉を口にしていた。
 ニコラスには村の子らと一緒に袋に詰める作業をさせた。麻袋を閉じた所に、村の子が乗ってはしゃいで遊んでいるのをニコラスは見て、ちらちらと父を伺いやめていた。
「やればよい物を」
 不意に思い出したことで口元が緩んだ。
「失礼します」
 執事が通したのは、クリシス家に代々仕える騎士一家の跡取りであるジョージ・モースだった。金より銀に近い髪を丁寧に束ねた長髪に、優しい緑の目が印象的な好青年だ。
 ジョージは資料を机に置く。
 村の名前等を見てウィリアムは眉をひそめた、春先に草が来るあの村だ。
「雑魔が出たそうです」
 ジョージが言うにはふわふわな雑魔がでたというのだ。
「ふわふわ? 可愛いのかな」
 ウィリアムは少し目を細める。ニコラスが飼っていた猟犬になるはずだったもこもこの犬を思い出した。
「毛むくじゃらの犬のような物だと言うことらしいです」
「その毛がその草にちょうどあっている、と?」
「そういうことです」
 草の間に隠れ、村人を虎視眈々と狙っているというのだ。
「私と幾人かで行こうと思いますが」
 ジョージは言うがどこか心配そうだ。兵士を使って雑魔を退治できなくはないが、連れて行ける兵には限りがある。
「ハンターの手も借りよう……人手が足りないのは十分承知しているから」
「私が実力不足で申し訳ありません」
「いや、私兵を多く使えばいらぬ摩擦も生まれる。それをきちんと説明して回りを説得できない私がいけないのだから」
 ウィリアムは笑う、王国を思う貴族ばかりではなく、足を引っ張る者も多いから。
「彼らに甘えてばかりでも行けないんだがね……」
 寂しそうに幸せだったときの家族の画を眺めた。

リプレイ本文

●草の壁
 現場に来たハンターたちは想像を絶する光景を目の当たりにした。
「溶けてなくならないから雪より取り除くのは骨が折れそうだ」
 レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は溜息を洩らした。枯草自体は道端で見かけるもので、抜けるなりむしられるなりして飛んでここまで来たんだろうと想像すると、自然の力は大きいと感心もする。
 村人の代表者がハンターたちに状況を説明した。火が使えない事以上に、雑魔が現れる為片づけられない現実が辛いと言う。
「不安を取り除くために俺たちは来た」
 バレル・ブラウリィ(ka1228)がぶっきらぼうだが、きっぱり言うと、村人たちは感激が生じる。
「困っている人は放っておけないよ。……それにしても雑魔食べられないかな?」
 ミノア・エデン(ka1540)は途中から音量を下げて独り言とした。野宿を常としているため、野草摘みと動物狩りは生活の基本だった。
「リアルブルーには男の中の男である漢が行う『探知』があると教わったの。これは探知技能を持たない私でもできるの、頑張るの!」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)は可愛らしい顔で凛々しく決意を表明するが、ふわふわしている草の山を見ると、童心が刺激されそわそわしてくる。
「こんなに草が積もってしまって……それでなくとも大変ですのに雑魔まで紛れ込んでしまっては辛いですよね」
 シャルア・レイセンファード(ka4359)は自分の身長より高くまで積もっている部分を見上げ、きゅっとワンドを握り締める。子どもたちからは遊びたいというエネルギーも感じるため、余計に早く片付けないといけない気持ちが湧く。
「犬畜生、否、雑魔となり果てた上、人間に楯突けばどんな仕打ちを受けるか教えてやる」
 不動シオン(ka5395)は不敵な笑みと共に、持参した十文字槍「人間無骨」の柄を握り、ホルスターに収まるオートマチック「アレニスカ」に触れる。これら武器の性能を試したい、雑魔たちの隠密行動ぷりを見たいと色々な思いが胸を占めていた。

●おびき出せ!
 村に近い畑には草を詰めたらしい麻袋が並べられており、至る所に麻袋に草の詰めかけがある。雑魔がいるために作業が中断している様子がうかがえる。戦闘中にこれらがあちこちに飛ぶことは否定できない。
 まずは敵をおびき出し、討つことが先だとハンターは考える。
 シャルアは見守る村人に声をかける。
「これから積もっている草を吹き飛ばしたり、どけたりして雑魔を探します。討伐が終わるまで隠れていただくか、離れたところに行ってくれませんか?」
 並行作業ができれば効率は良いだろうが、状況がはっきりしないと村人に危害が及ぶ。
「分かりました。おおい、皆、ハンターさんたちが雑魔討伐終わるまで安全なところで避難だ」
 代表者が大きな声をかけると、周囲に草がない家に分散して村人たちは入っていく。
「では、よろしくお願いします」
 代表者は切羽詰まった表情で対処をハンターに託して避難した。
「本当にこの中に雑魔はいるの?」
 ディーナは草を触ると、藁の山よりも柔らかい感触が伝わり感激で震える。
「これはふわふわもこもこなの、ドキドキするの!」
「危ないよ」
 ミノアは武器を構えつつ、周囲を警戒する。
「今こそ、リアルブルー直伝の技を試すの」
 ズボリ、ディーナは止める間もなく草に全身で突っ込んだ。
「いや待て、そんなものない……はず」
「どんな直伝の技なんだ?」
 バレルとレイオスが首をひねる中、ディーナは呼吸困難寸前で戻ってきた。
「こ、これは……危険なの。この技は、罠と言う罠にかかって行けば罠も見つかり解くことができるというものなの! 男の中の男がなしえると教わったの」
「なるほど、罠と言えば罠だな……が、お前は女に見えるが?」
 シオンはディーナの解説に出身でも知らない技があるのだと感心しつつ、的確な指摘をする。
「女でもいいの。その場合は名前がかわるそうなの」
 ディーナは返答した。
「罠にかかれば罠も見つかる……真理を感じますが……」
 シャルアは何か決定的な問題を感じる。
「落ち着け……真理といえば真理だが……」
「罠にかかる前に解けばいいんだ……となると、地道にどけるしかないか」
 バレルとレイオスが焦りつつ冷静に突っ込む。
 レイオスは草を少し掴み取り、それを村人に託すと言うことも思案する。距離を保って安全ならば村人も作業はできようから。
「おびき寄せないとどうにもならないな」
 バレルは草の山を少し取り崩しつつ、思案する。雑魔がいると言ってもまだ見ていないのも現実。
 手段を求め草の山を眺めていたとき悲鳴が上がる。
「きゃああ」
 ディーナの頭と腕に草がまとわりついている。それは草のようだがモップのようにも見えるが、がっぷりと彼女に噛みいているようである。
「出たな、雑魔っ! なかなかの隠密ぷりと見た」
 シオンは十文字槍を付き出す。
 これを見たのか雑魔たちはディーナを放して逃げる。
「きゃああ」
 ディーナは自分の横を槍の先が通るのを見て悲鳴を上げるつつも、振り返って雑魔に対して攻撃に備える。引っ込んだらしくディーナの視界にはいない。セイクリッドフラッシュを使えば攻撃できるのかとも思うが、様子を見る。
 シオンは今は槍で草を突いている状態だが、一瞬雑魔に刺さったような手ごたえはあった。
「これからだな」
 シオンは楽しそうにつぶやいた。槍を引き抜く際に草も引っ張り、山を崩す。
「……なら、これで来るか?」
 バレルはソウルトーチを発動したため、解放されたマテリアルが炎のように湧き上がる。雑魔が近くにいて、視覚かマテリアルに反応するなら有効であるので構えて待つ。
 出てくる気配はない。出てこないからと言って、そこにいないとは限らない。
「なら、これでどうだ」
 レイオスは衝撃波を放った、草むらに。
 バッと散る草で視界が悪くなる。
 技が通ったところに雑魔はいなかったようだが、飛び散った草の影に姿が見えた。
 シャルアはディーナにウィンドガストをかけてみた。風が彼女を取り巻き、山から草を引き離していく。
「使えそうですね」
 但し、草の山にかけた人物が突っ込むか、飛び出した雑魔との退路を断つ等近づかないとならないが。
「見つけた!」
 ミノアはアックスブレードを雑魔に叩き込んだ。その風圧で草がまた飛ぶ。手ごたえはあったはずだが、視界は悪い。
「肉はっ!」
 草をかき分けて探すが、消えたようだった。
「い、犬の肉だし、なくて十分よ」
 ミノアは残念がりながら、納得させた。

●噛みつきっ!
 草が巻き上がるため視界は悪くなる。草の嵐が収まったところで彼らは前進する。
「ディーナさん、無事ですか?」
 シャルアは草が積もっているところに突撃をしていたディーナを心配して尋ねる。
「聖導士だから血まみれになっても癒せるの。あんまり気にしないでなの」
 そして、血まみれの笑顔で草に突撃した。
「……まあ、ふかふかな草に突撃したい気持ちは分からなくもないかな。ぜひ、もらって帰ろう」
 ミノアはうなずいた。
 シオンは銃弾を叩きこみたいが相手は見えないし、少しの火種でも引火する可能性もあるので注意する。草の先は道だろうと考えるところにシオンは槍を突き立てる。
「ここで私に向かって飛び出ることもないのか……」
 慎重な敵というより、草から出ると危険と分かっているのだろう。
「それにしても……幻影の炎でここを歩くのは……仕方がないか」
 バレルは時々降ってくる草にひやりとする、表面上は冷静であるが。
 シャルアは自身にもウィンドガストをかけ、雑魔が外に出るなら退路を断つために行動する。状況によってはマジックアローを打てるようにもするが、どこからそれらが来るかわからないため非常に緊張する。
「草から飛び出してくるかもしれないんですよね」
 ウィンドガストで浮いた草の隙間から雑魔が見え、シオンとレイオスが即刻攻撃を仕掛けた。
「それにしてもずいぶん紛らわしい毛並みだな。まあ、ふわふわでも当人が燃えないだけ白毛玉よりマシか」
 レイオスは白くもこもこして、怒って火を噴きだす妖怪に嫌な思い出がある。もともとエトファリカ在住だったそれは、拾われて飼い主に連れられ北伐まで顔を出したのだった。

 ハンターたちは草を突きつつ、おびき出し、退路を断ったりそのまま攻撃する等で雑魔と草の山を削っていく。
 草の山は高位の歪虚に匹敵するような難敵となる、攻撃してこないので言い過ぎかもしれないが。
「……ウィンドガスト……そろそろ終わりです」
「……同じく衝撃波も」
「ソウルトーチはラストだ」
「同じく終わった」
 それぞれの申告が入る。
「ヒールがそろそろ終わるの」
「そうだね、それ以上血まみれになると危険だよ」
 けろりとしているディーナにミノアが言った言葉に仲間から首肯も見える。
「……後は何匹位何だろうか?」
「草の山から離れている草は村人に頼めないか?」
「そうだな」
 バレルとレイオスはうなずき合う。他の者も異論はなく、村人には離れているところでの作業を開始してもらった。
「突けば出るだろうし」
 シオンが勢いよく突き刺した。
「そこに敵がいたら……なんかそういうゲームあったよな、突き刺すと中からおっさんが飛び出す……」
 レイオスは思い出して苦笑した、少々違うが。
「そんなゲームがあるの? リアルブルーって結構怖いところなの……根性試しみたいな……」
 ディーナがしみじみと言った。
「いや、ないと思うが……」
「暗黒街の少年がしそうだな」
 バレルとシオンの感想にレイオスは首を横に振った。
「違う違う、ゲームって……本物の人間ではなく――」
 レイオスは説明をする羽目になった。
「それより、雑魔、まだいるんだよ」
「そうです、リアルブルーの怖い話よりも、目の前の怖い話を片付けましょう」
 ミノアとシャルアが現実に戻した。
「肉、残らないのかな……」
「残るといいですね」
 引き戻した二人も何かずれた会話をしていた。

 ハンターも人間だ、集中力が切れる。

 草を切り崩しつつ、雑魔を探し、ほぼ倒したと思われる状況が来たのは、それなりに時間が経ってからだった。

●最後はみんなで
 ハンターは村人が用意したお茶をいただいた後、草の片づけを申し出る。
「散らかしちゃいましたし、せっかくなので、お手伝いさせてほしいのですよ~。それに、まだ雑魔がいたら困りますし、ちょうどいいと思います」
 シャルアの言葉に村人は感激する。雑魔さえ退治してもらえばそれでよかったので、村人はひれ伏さんばかりだ。
「ああ、手伝う。生活に支障があるのは分かりきっている」
「だな……それにしてもこの草、宿のベッドより寝心地よさそうだぞ」
 バレルが農具を手にし、レイオスは適度な厚さの所にダイブする。
「や、やっぱり、気持ちいいの? ミノアも試すっ!」
 ミノアはやや分厚い草の部分に飛び乗った。
「ちょっと真面目にやらないとダメなの! ……でもやるなら今のうち!」
 ディーナは盛大に飛び込み、はねて地面に激突した。
 村の子供たちが草ダイブを笑いながら真似をしていた。いないとは思うが雑魔の恐怖もあって親が青ざめている。
「……さて、片づけをさっさと済まそう」
 シオンがダイブ組を見つめた後、掃除の道具を手にした。

 村人たちは雑魔が怖くてできなかっただけで、それさえなければテキパキと片付けは進む。村総出の役割分担作業で行う。今回はハンターもおり、片づけるペースは早い。
 集めてある畑に麻袋は順次運ばれていく。これらは後日、別途焼いていくとのこと。
「ありがとうございます」
 代表者は涙を流してお礼を言う。
「いや、これもハンターの仕事だ」
 シオンはまじめに答えた。それに雑魔退治で持ってきた武器の性能もきちんと見ることができた、槍に関しては。銃は使うタイミングが難しかった。
「草に突っ込むのは楽しかったの。えへっ」
 ディーナはにこにこと笑う。草に突っ込む、雑魔の餌食になるが同義語ではあったのだが。
「なあ、どうせ草が来るのを止められないなら、祭りにでもしてしまえばいいんじゃないか?」
 レイオスの提案に村人は驚愕する。
「これを編んで人形作ったり、それをコンテストとしたり……すぐにできる事じゃないが面白いかもしれないぜ?」
「片づけコンテスト、一定時間どれだけ詰めることができるかとか? あ、すみません、この草もらって帰ってもいいよね?」
 レイオスへ追加で言いながら、ミノアは村人に許可を求める。
「それをどうするんだ?」
 バレルが村人の代わりに尋ねた。
「布団の代わり」
「!?」
 答えにハンターおよび村人に衝撃が走る。
「野宿してるから、固い所で寝てばかりもねぇ……」
 ミノアの答えに涙をぬぐう村人もいる。
「たんと持っておかえり」
 詰め込んだ麻袋をずずいと村人は置いた。一袋当たりは相当の重量だ。
「祭りですか……防ぐことばかりを考えていました……」
 村人たちはレイオスが言っていた祭り案にしみじみ感じ入る。来ない方がいいに決まっているが、毎年量に差あってもそれはやってくるのだ。
「それはそれで楽しいかもしれませんね」
 シャルアは麻袋に乗っかる子供たちを見て、何か想像できるような気がした。

●領主
 ウィリアムは雑魔退治および草処理の報告を受けた。
「ハンターはやはり視野が広いと言うべきか。片づけするのは当たり前、祭りをするといいとか……ふふっ……ニコラスがいたらどんな顔をしていたか」
 家族の最後の絵を見て微笑んだ。

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MVP一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカーka1990
  • 想い伝う花を手に
    シャルア・レイセンファードka4359

重体一覧

参加者一覧

  • 堕落者の暗躍を阻止した者
    バレル・ブラウリィ(ka1228
    人間(蒼)|21才|男性|闘狩人
  • サバイバー
    ミノア・エデン(ka1540
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 想い伝う花を手に
    シャルア・レイセンファード(ka4359
    人間(紅)|18才|女性|魔術師
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談宅
バレル・ブラウリィ(ka1228
人間(リアルブルー)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/03/01 10:00:43
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/27 22:31:33