ゲスト
(ka0000)
領主の嘆き、草ジャック!
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/01 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/03/10 12:00
オープニング
●村が草に占拠される
グラズヘイム王国のとある村。
冬の終わりを告げる嵐は草を呼ぶ……という言い伝えがある。いや、言い伝えではなく実際に起こるもので、春の喜びと恐怖という二つの側面を持つ嵐だった。
嵐になりそうなその日の午後、村人たちは仕事を早く切り上げ、準備に追われる。
「今日は荒れそうですねぇ」
「荒れるじゃろうねぇ」
年寄りたちは空を見上げ溜息をつき、急いで家に帰る。
「風が南になってきていないかい?」
「なってきているねぇ」
立ち話をしていた女性たちも溜息を洩らし、翌日に備えた食事作りをしないといけないと急いで戻る。
「明日はふわふわ草もこもこ~」
子供たちははしゃぎながら通りを駆け巡りつつ、家路に早く着いた。
予想通り、夜は谷を風が駆け抜け、村も通り抜けてどこに飛んでいく。
枯草という落し物を大量にして。
村人はここ数年で一番ひどい草の量に悲鳴を上げた。大きな通りから小さい道に入るところに草が溜まり、通行不能になっている。風が丘にぶつかる丁字路のような部分にはドーム状に枯草が集まっている。
どこもかしこも枯草だらけで、深さは数十センチから二百センチくらい、道を進むのも大変であった。
「お隣さん、聞こえるぅ~、手伝ってぇ」
「うわっ、お隣が埋まってる」
「大丈夫かぁ」
「けが人は?」
「火は使うなよぉ」
家から出られない家族もあり、救出に向かうこととなる。その前に、道に溜まっている草もどうにかして行かないとならない。
草はひとまず麻袋に詰めるだけ詰めて、積んでいくしかなかった。毎年、それを耕す前の畑に集め、地道に燃やすことになる。
まず「草掻き」を行い、夕方には道が通れるようになり、村人全員の安否確認はできた。
翌日には本格撤去作業となる。
そこで事件が起こった。
草を集め麻袋に詰める作業を始めたところ、悲鳴が上がった。どこからやって来たのか、雑魔がふわふわもこもこの草に潜んでいたのだった。
作業ができないどころか、外にいるだけでいつ雑魔に襲われるか分からない状況となってしまっている。
村人はすぐさま領主に助けを求めた。
●領主と溜息
地図上はいい位置であるが、地形が悪く田舎な町。川で物を運べるため、それなりに発展しているが、田舎町から脱却することはない。今では緩やかな発展と穏やかな生活を送れる地となっている。
数年前は魔法公害が多く発生していたが、領主であるウィリアム・クリシスの努力と、公害に関わっていた商人や機導研究者や魔術師の納得によりあっという間に収まった。
解決の際、領主の跡取り息子ニコラス・クリシスが死亡したことも影響していると噂されているが真偽は不明。いずれにせよ、領主が息子の死を嘆き悲しんだことは事実であり、現在の平和があるのも事実である。
しかし、先日、歪虚が関わった事件が発生した。その町を治めていた代官が歪虚のことを報告もせず、魔法公害の発生にもかかわっているということは調査結果で分かった。
人を疑いたくはないが疑わないといけない事態が起こりつつあるのかと思うと、気が滅入ってしまう。
別の代官を立てたいがすぐには無理なため、信頼を置ける騎士をひとまず置くことにした。彼が信用おけると判断できた人を次の代官にするようにとも指示はしてあった。
「……ニコラスが生きていたら、任せることができるのだが」
生きていれば二十歳くらい。少しずつ後を任せられるように教えて行くにはちょうど良かっただろう。
「にしても……またあの風か」
領内の小さな村でこの時期に起る風の事を考えた。対策を練るも有効手段はない。
風で飛んでくる草はふわふわして一見すると柔らかで気持ちいいが量は非常に多い。その上、毒性もわずかにあり、羊が食べ過ぎると死ぬことがあるのだ。
もし、何かのはずみで引火すれば火災になり、大火災になりかねない。
「そうか……ニコラスがああなる前の前くらいの年の冬がひどかったのか」
報告を受けて視察にいって驚いたのだった、草の量に。危なくはないだろうと言うことでニコラスも連れて行った。
『父上……ふわっ、こ、これは気の毒です』
フカフカしている草に子供らしく目をキラキラさせていたが、一応、領主の跡取りとしては民を心配した言葉を口にしていた。
ニコラスには村の子らと一緒に袋に詰める作業をさせた。麻袋を閉じた所に、村の子が乗ってはしゃいで遊んでいるのをニコラスは見て、ちらちらと父を伺いやめていた。
「やればよい物を」
不意に思い出したことで口元が緩んだ。
「失礼します」
執事が通したのは、クリシス家に代々仕える騎士一家の跡取りであるジョージ・モースだった。金より銀に近い髪を丁寧に束ねた長髪に、優しい緑の目が印象的な好青年だ。
ジョージは資料を机に置く。
村の名前等を見てウィリアムは眉をひそめた、春先に草が来るあの村だ。
「雑魔が出たそうです」
ジョージが言うにはふわふわな雑魔がでたというのだ。
「ふわふわ? 可愛いのかな」
ウィリアムは少し目を細める。ニコラスが飼っていた猟犬になるはずだったもこもこの犬を思い出した。
「毛むくじゃらの犬のような物だと言うことらしいです」
「その毛がその草にちょうどあっている、と?」
「そういうことです」
草の間に隠れ、村人を虎視眈々と狙っているというのだ。
「私と幾人かで行こうと思いますが」
ジョージは言うがどこか心配そうだ。兵士を使って雑魔を退治できなくはないが、連れて行ける兵には限りがある。
「ハンターの手も借りよう……人手が足りないのは十分承知しているから」
「私が実力不足で申し訳ありません」
「いや、私兵を多く使えばいらぬ摩擦も生まれる。それをきちんと説明して回りを説得できない私がいけないのだから」
ウィリアムは笑う、王国を思う貴族ばかりではなく、足を引っ張る者も多いから。
「彼らに甘えてばかりでも行けないんだがね……」
寂しそうに幸せだったときの家族の画を眺めた。
グラズヘイム王国のとある村。
冬の終わりを告げる嵐は草を呼ぶ……という言い伝えがある。いや、言い伝えではなく実際に起こるもので、春の喜びと恐怖という二つの側面を持つ嵐だった。
嵐になりそうなその日の午後、村人たちは仕事を早く切り上げ、準備に追われる。
「今日は荒れそうですねぇ」
「荒れるじゃろうねぇ」
年寄りたちは空を見上げ溜息をつき、急いで家に帰る。
「風が南になってきていないかい?」
「なってきているねぇ」
立ち話をしていた女性たちも溜息を洩らし、翌日に備えた食事作りをしないといけないと急いで戻る。
「明日はふわふわ草もこもこ~」
子供たちははしゃぎながら通りを駆け巡りつつ、家路に早く着いた。
予想通り、夜は谷を風が駆け抜け、村も通り抜けてどこに飛んでいく。
枯草という落し物を大量にして。
村人はここ数年で一番ひどい草の量に悲鳴を上げた。大きな通りから小さい道に入るところに草が溜まり、通行不能になっている。風が丘にぶつかる丁字路のような部分にはドーム状に枯草が集まっている。
どこもかしこも枯草だらけで、深さは数十センチから二百センチくらい、道を進むのも大変であった。
「お隣さん、聞こえるぅ~、手伝ってぇ」
「うわっ、お隣が埋まってる」
「大丈夫かぁ」
「けが人は?」
「火は使うなよぉ」
家から出られない家族もあり、救出に向かうこととなる。その前に、道に溜まっている草もどうにかして行かないとならない。
草はひとまず麻袋に詰めるだけ詰めて、積んでいくしかなかった。毎年、それを耕す前の畑に集め、地道に燃やすことになる。
まず「草掻き」を行い、夕方には道が通れるようになり、村人全員の安否確認はできた。
翌日には本格撤去作業となる。
そこで事件が起こった。
草を集め麻袋に詰める作業を始めたところ、悲鳴が上がった。どこからやって来たのか、雑魔がふわふわもこもこの草に潜んでいたのだった。
作業ができないどころか、外にいるだけでいつ雑魔に襲われるか分からない状況となってしまっている。
村人はすぐさま領主に助けを求めた。
●領主と溜息
地図上はいい位置であるが、地形が悪く田舎な町。川で物を運べるため、それなりに発展しているが、田舎町から脱却することはない。今では緩やかな発展と穏やかな生活を送れる地となっている。
数年前は魔法公害が多く発生していたが、領主であるウィリアム・クリシスの努力と、公害に関わっていた商人や機導研究者や魔術師の納得によりあっという間に収まった。
解決の際、領主の跡取り息子ニコラス・クリシスが死亡したことも影響していると噂されているが真偽は不明。いずれにせよ、領主が息子の死を嘆き悲しんだことは事実であり、現在の平和があるのも事実である。
しかし、先日、歪虚が関わった事件が発生した。その町を治めていた代官が歪虚のことを報告もせず、魔法公害の発生にもかかわっているということは調査結果で分かった。
人を疑いたくはないが疑わないといけない事態が起こりつつあるのかと思うと、気が滅入ってしまう。
別の代官を立てたいがすぐには無理なため、信頼を置ける騎士をひとまず置くことにした。彼が信用おけると判断できた人を次の代官にするようにとも指示はしてあった。
「……ニコラスが生きていたら、任せることができるのだが」
生きていれば二十歳くらい。少しずつ後を任せられるように教えて行くにはちょうど良かっただろう。
「にしても……またあの風か」
領内の小さな村でこの時期に起る風の事を考えた。対策を練るも有効手段はない。
風で飛んでくる草はふわふわして一見すると柔らかで気持ちいいが量は非常に多い。その上、毒性もわずかにあり、羊が食べ過ぎると死ぬことがあるのだ。
もし、何かのはずみで引火すれば火災になり、大火災になりかねない。
「そうか……ニコラスがああなる前の前くらいの年の冬がひどかったのか」
報告を受けて視察にいって驚いたのだった、草の量に。危なくはないだろうと言うことでニコラスも連れて行った。
『父上……ふわっ、こ、これは気の毒です』
フカフカしている草に子供らしく目をキラキラさせていたが、一応、領主の跡取りとしては民を心配した言葉を口にしていた。
ニコラスには村の子らと一緒に袋に詰める作業をさせた。麻袋を閉じた所に、村の子が乗ってはしゃいで遊んでいるのをニコラスは見て、ちらちらと父を伺いやめていた。
「やればよい物を」
不意に思い出したことで口元が緩んだ。
「失礼します」
執事が通したのは、クリシス家に代々仕える騎士一家の跡取りであるジョージ・モースだった。金より銀に近い髪を丁寧に束ねた長髪に、優しい緑の目が印象的な好青年だ。
ジョージは資料を机に置く。
村の名前等を見てウィリアムは眉をひそめた、春先に草が来るあの村だ。
「雑魔が出たそうです」
ジョージが言うにはふわふわな雑魔がでたというのだ。
「ふわふわ? 可愛いのかな」
ウィリアムは少し目を細める。ニコラスが飼っていた猟犬になるはずだったもこもこの犬を思い出した。
「毛むくじゃらの犬のような物だと言うことらしいです」
「その毛がその草にちょうどあっている、と?」
「そういうことです」
草の間に隠れ、村人を虎視眈々と狙っているというのだ。
「私と幾人かで行こうと思いますが」
ジョージは言うがどこか心配そうだ。兵士を使って雑魔を退治できなくはないが、連れて行ける兵には限りがある。
「ハンターの手も借りよう……人手が足りないのは十分承知しているから」
「私が実力不足で申し訳ありません」
「いや、私兵を多く使えばいらぬ摩擦も生まれる。それをきちんと説明して回りを説得できない私がいけないのだから」
ウィリアムは笑う、王国を思う貴族ばかりではなく、足を引っ張る者も多いから。
「彼らに甘えてばかりでも行けないんだがね……」
寂しそうに幸せだったときの家族の画を眺めた。
解説
雑魔退治です。
●ふわふわの草
問題の村の至る所にあります。
細くて長くて柔らかで、風に簡単に舞います。
村人は少しずつ麻袋にまとめ、ひとまず生活道は確保している状態です。所により、深さは二メートル近くあるところも。
●雑魔×10
大型犬ほどの大きさ、枯れ草色の毛並。
草の中を移動しているらしく、カサカサと音をたてていることも。
人間を見つけると不意打ちを仕掛ける。
噛みつき、ひっかきなど一般的な動物に近い行動しかとらない。
●NPC
・ウィリアム・クリシス 40歳前後、男、グラズヘイム王国のとある領主。妻と息子(ニコラス)は事件で失い、今は娘と二人暮らし。民の事を考える良い領主として民の人気は高い。
・ジョージ・モース 20代後半、男、クリシス家に代々仕える家の跡取り。非覚醒者の武人。
●ふわふわの草
問題の村の至る所にあります。
細くて長くて柔らかで、風に簡単に舞います。
村人は少しずつ麻袋にまとめ、ひとまず生活道は確保している状態です。所により、深さは二メートル近くあるところも。
●雑魔×10
大型犬ほどの大きさ、枯れ草色の毛並。
草の中を移動しているらしく、カサカサと音をたてていることも。
人間を見つけると不意打ちを仕掛ける。
噛みつき、ひっかきなど一般的な動物に近い行動しかとらない。
●NPC
・ウィリアム・クリシス 40歳前後、男、グラズヘイム王国のとある領主。妻と息子(ニコラス)は事件で失い、今は娘と二人暮らし。民の事を考える良い領主として民の人気は高い。
・ジョージ・モース 20代後半、男、クリシス家に代々仕える家の跡取り。非覚醒者の武人。
マスターより
こんにちは。
ふわふわと溜まっている草の中には雑魔がいるかもしれない……という怖い状態です。
普通に捜索して行けば退治は可能ですが、無駄に怪我はしますよ? 不意打ちを受けない対策が鍵でしょう。
なお、依頼主の領主は先日のリプレイ「少年、恐怖の先に夢をみる」にいますが、読まずとも問題ありません。
よろしくお願いします。
ふわふわと溜まっている草の中には雑魔がいるかもしれない……という怖い状態です。
普通に捜索して行けば退治は可能ですが、無駄に怪我はしますよ? 不意打ちを受けない対策が鍵でしょう。
なお、依頼主の領主は先日のリプレイ「少年、恐怖の先に夢をみる」にいますが、読まずとも問題ありません。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/08 09:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談宅 バレル・ブラウリィ(ka1228) 人間(リアルブルー)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/03/01 10:00:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/27 22:31:33 |